JP4510108B2 - ブローバイガス用オイルセパレータ - Google Patents
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Description
ここで、ブローバイガス中にはエンジンオイル等の潤滑油が微粒化されたオイルミストが含まれているため、ブローバイガス中のオイルミストが吸気系に流出するのを防止する必要がある。そこで、ブローバイガス中のオイルミストを捕集する手段として、シリンダヘッドカバーの内側やクランクケースと吸気管路を連結する連結流路の途中にオイルセパレータが設けられている。
ところで、サイクロン式のオイルセパレータは、サイクロンが最良の性能を発揮することのできるブローバイガスの流量の範囲が限られている。特許文献1のように単一のサイクロンでオイルセパレータを構成する場合は、ブローバイガスの流量が少ないときに、オイルミストの捕集能力が低下するという問題がある。
ここで、個々のサイクロンで効率よくオイルミストを捕集できるようにするには、サイクロンごとにブローバイガスの専用の流路を設け、各サイクロンに接線方向からブローバイガスが流入するようにする方法が考えられる。しかし、この方法は装置の構造が複雑となりコスト増につながる。
まず、本発明の第1の発明は、エンジンのクランクケース内に発生するブローバイガスに含まれるオイルミストを捕集可能となっており、一列に並んだ複数のサイクロンと、サイクロンの並びに並列しサイクロンの上部側面に位置するブローバイガスの整流室を備え、該整流室には該サイクロンの並びよりも手前となる位置にブローバイガスの流入口が形成されており、前記整流室に面する部位におけるサイクロンの上部の外周壁は、整流室とサイクロンを隔てる隔壁とされており、隣接するサイクロンに面する部位におけるサイクロンの上部の外周壁は、隣接するサイクロンの外周壁と共有される共有壁とされており、前記隔壁にはブローバイガスのサイクロン内部への入口となるスリットが、サイクロンの軸方向に平行に形成されており、前記流入口から前記整流室に流入し該整流室内を整流室の外壁面または前記隔壁に沿って流れるブローバイガスが、前記スリットからサイクロンの外周壁の接線方向にサイクロンの内側表面に沿ってサイクロン内部へ流入するオイルセパレータであって、前記流入口に最も近い位置のサイクロンにおいては、前記スリットは整流室の外周壁とサイクロンの外周壁が交差する位置から隔壁の側に所定の幅で隔壁の高さ方向全域にわたって該流入口に向けて開口して形成されており、該隔壁の該スリットの側面となる部位は該スリットの開口方向と平行に形成されており、前記流入口からブローバイガスの流入方向で2番目以降に位置するサイクロンにおいては、前記スリットは流入方向手前のサイクロンとの共有壁と当該サイクロンの隔壁の境界の位置から隔壁側に所定の幅で、隔壁の高さ方向の全域にわたって形成されており、手前のサイクロンの隔壁の外側表面と該スリットの共有壁側の側面と当該サイクロンの共有壁の内側表面とが滑らかに連続していることを特徴とする構成である。
そして、整流室の流入口から流入したブローバイガスは、整流室の外壁面または隔壁に沿って流れ、隔壁に設けられたサイクロンの軸方向に平行なスリットからサイクロン内部へ、サイクロンの外周壁の接線方向にサイクロンの内側表面に沿って流入する。よってブローバイガスはサイクロンの最外周へ外壁面に沿って供給されるため、サイクロン内部での旋回流の形成が容易である。そのため、旋回流の遠心力によりブローバイガス中のオイルミストを凝集させて捕集することが出来る。
また、この第1の発明によれば、隔壁の高さ方向の全域にわたってスリットが形成されているのでブローバイガスが整流室の上部又は下部に滞留することが無く、ブローバイガスのサイクロンへの流入がスムースである。
そして、流入口に最も近い位置のサイクロンでは、スリットの開口向き及びスリット続く隔壁がブローバイガスの流入方向と平行となっているため、ブローバイガスがサイクロンに流入するとき流れの乱れが生じにくい。また、流入口から2番目以降のサイクロンにおいては、手前のサイクロンの隔壁の外側表面と該スリットの共有壁の側の側面と当該サイクロンの共有壁の内側表面とが滑らかに連続しているため、ブローバイガスがサイクロンに流入するとき流れの乱れが生じにくい。よって、サイクロン内部での安定した旋回流の形成が容易であり、旋回流の遠心力によりブローバイガス中のオイルミストを効率よく凝集させて捕集することが出来る。
この第2の発明によれば、整流室のガス流路の幅が確保されているので、流入口から整流室に流れ込んだブローバイガスは整流室の手前にも奥にも均一に流れる。そのため、各サイクロンにブローバイガスが均一に分配され、各サイクロンが同等の処理効率を発揮することができる。よって、特定のサイクロンへブローバイガスが過剰供給されることがなく、ブローバイガスの流量がオイルセパレータ全体の処理能力の限度の流量となるまで、オイルミストを効率よく捕集することができる。
この第3の発明によれば、オイルセパレータをシリンダヘッドカバーの内部に配置できるので、自動車エンジンのコンパクト化を図ることができる。
まず、上述の第1の発明によれば、オイルセパレータの構造が簡単であり大きさもコンパクトとなる。また、ブローバイガスがサイクロンの接線方向に流入するので、サイクロン内部での旋回流の形成が容易であり、旋回流の遠心力によりブローバイガス中のオイルミストを凝集させて捕集することが出来る。
次に上述の第2の発明によれば、ブローバイガスが整流室の上部又は下部に滞留することが無く、ブローバイガスのサイクロンへの流入がスムースである。また、サイクロンに流れ込むブローバイガスの流れに乱れが生じにくいので、サイクロン内部での旋回流の形成が容易であり、旋回流の遠心力によりブローバイガス中のオイルミストを効率よく凝集させて捕集することが出来る。
次に上述の第3の発明によれば、ブローバイガスは各サイクロンへ均一に供給されるため、ブローバイガスの流量がオイルセパレータ全体の処理能力の限度の流量となるまで、オイルミストを効率よく分離することができる。
次に上述の第4の発明によれば、オイルセパレータをシリンダヘッドカバーの内部に配置できるので、自動車エンジンのコンパクト化を図ることができる。
図1に本発明の一実施例である自動車エンジンのヘッドカバーの内部に配置されるオイルセパレータ10の外観正面図を示す。オイルセパレータ10は一列に並んだ4個の小型のサイクロン31,32,33,34を備えたサイクロン方式のオイルセパレータであって、サイクロン31〜34の上部側面に位置する整流室20と、ブローバイガスを導入するガス導入口12と、ブローバイガスを排出するガス排出口14と、ブローバイガスから分離されたオイルを回収するオイルドレン16を備えている。
そこで、流入口22から整流室20に流入してスリット51からサイクロン31に流入したブローバイガスは、隔壁41のサイクロン31内側表面に沿ってサイクロン31に流入して、時計回りの旋回流を形成する。
そこで、流入口22から整流室20に流入して隔壁41に沿って流れてくるブローバイガスは、スリット52から共有壁45のサイクロン32内側表面に沿ってサイクロン32に流入して、反時計回りの旋回流を形成する。
スリット51〜54は上述のごとくサイクロン31〜34の軸方向に平行に形成されており、ブローバイガスは各スリットを通ってサイクロンに供給される。
なお、実施例では上記スリット51〜54はそれぞれ等しい幅とされている。
そのため、サイクロン31〜34にはブローバイガスが均一に分配され、各サイクロンが同等の処理効率を発揮することができる。よって、特定のサイクロンへブローバイガスが過剰供給されることがなく、ブローバイガスの流量がオイルセパレータ10の処理能力の限度の流量となるまで、オイルミストを効率よく捕集することができる。
各スリット51〜54から各サイクロン31〜34に流入したブローバイガス中のオイルミストはサイクロン31〜34内部で生じた旋回流の遠心力により凝縮されて油滴となり、サイクロン31〜34の外壁の内側を伝って、あるいはサイクロン31〜34の底部に落下して捕集され、サイクロン31〜34の底からオイルドレン16に集められて回収される。
そして、オイルミストが分離されたブローバイガスは各サイクロン31〜34の流出口61〜64から流出し、ガス排出口14からオイルセパレータ10の外へ排出される。
また、実施例では並列するサイクロンの数は4個としたが、並列するサイクロンの数は4個に限られず、整流室の形状についても実施例に限られるものではなく、本発明の思想の範囲で各種の形態とすることが可能である。
10A 下部ケース
10B サイクロン部
10C ガス排出部
10D 上部ケース
12 ガス導入口
14 ガス排出口
16 オイルドレン
20 整流室
22 流入口
24 ガス流路
31、32、33、34 サイクロン
41、42、43、44 隔壁
45、46、47 共有壁
48 外周壁
51、52、53、54 スリット
61、62、63、64 流出口
Claims (3)
- エンジンのクランクケース内に発生するブローバイガスに含まれるオイルミストを捕集可能となっており、
一列に並んだ複数のサイクロンと、サイクロンの並びに並列しサイクロンの上部側面に位置するブローバイガスの整流室を備え、該整流室には該サイクロンの並びよりも手前となる位置にブローバイガスの流入口が形成されており、
前記整流室に面する部位におけるサイクロンの上部の外周壁は、整流室とサイクロンを隔てる隔壁とされており、隣接するサイクロンに面する部位におけるサイクロンの上部の外周壁は、隣接するサイクロンの外周壁と共有される共有壁とされており、
前記隔壁にはブローバイガスのサイクロン内部への入口となるスリットが、サイクロンの軸方向に平行に形成されており、
前記流入口から前記整流室に流入し該整流室内を整流室の外壁面または前記隔壁に沿って流れるブローバイガスが、前記スリットからサイクロンの外周壁の接線方向にサイクロンの内側表面に沿ってサイクロン内部へ流入するオイルセパレータであって、
前記流入口に最も近い位置のサイクロンにおいては、前記スリットは整流室の外周壁とサイクロンの外周壁が交差する位置から隔壁の側に所定の幅で隔壁の高さ方向全域にわたって該流入口に向けて開口して形成されており、該隔壁の該スリットの側面となる部位は該スリットの開口方向と平行に形成されており、
前記流入口からブローバイガスの流入方向で2番目以降に位置するサイクロンにおいては、前記スリットは流入方向手前のサイクロンとの共有壁と当該サイクロンの隔壁の境界の位置から隔壁側に所定の幅で、隔壁の高さ方向の全域にわたって形成されており、手前のサイクロンの隔壁の外側表面と該スリットの共有壁側の側面と当該サイクロンの共有壁の内側表面とが滑らかに連続していることを特徴とするオイルセパレータ。 - 請求項1に記載のオイルセパレータであって、
前記整流室はブローバイガスの流れに乱れが生じないガス流路の幅が確保されており、ブローバイガスが前記複数のサイクロンに均一に分配されることを特徴とするオイルセパレータ。 - 請求項1〜請求項2のいずれか1項に記載のオイルセパレータであって、
自動車エンジンのシリンダヘッドカバーの内部に配置されることを特徴とするオイルセパレータ。
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