JP2002358900A - ディスプレイ用部材および感光性ペースト - Google Patents

ディスプレイ用部材および感光性ペースト

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JP2002358900A
JP2002358900A JP2002092203A JP2002092203A JP2002358900A JP 2002358900 A JP2002358900 A JP 2002358900A JP 2002092203 A JP2002092203 A JP 2002092203A JP 2002092203 A JP2002092203 A JP 2002092203A JP 2002358900 A JP2002358900 A JP 2002358900A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い歩留まりで、クロストークが生じないディ
スプレイ用部材およびそのようば部材を与えるペースト
を提供する。 【解決手段】隔壁頂部の長手方向の中心線平均粗さ(R
a)が0.05〜0.30μmまたは隔壁頂部および側
面の長手方向の中心線平均粗さが0.05〜0.30μ
mの範囲内であるディスプレイ用部材である。また、感
光性有機成分、平均粒子径が0.003〜0.1μmの
フィラーおよびカルボキシル基を少なくとも1個有する
平均分子量が200〜7000の化合物を含むこと、ま
たは少なくともウレタン化合物を含む感光性有機成分、
無機粒子およびカップリング剤を1〜15重量%含有す
ることを特徴とする感光性ペーストである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、隔壁を有するプラ
ズマディスプレイ(PDP)、プラズマアドレス液晶デ
ィスプレイ(PALC)、電子放出素子(FED)また
は蛍光表示管(VFD)を用いたディスプレイに適用さ
れるディスプレイ用部材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自発光型の放電ディスプレイであるPD
Pや電子放出素子を用いたディスプレイは、液晶ディス
プレイに比べて明るい画像が得られると共に、視野角が
広い、大画面化や高精細化の要求に応えられることか
ら、そのニーズが高まっている。
【0003】自発光型の代表的なディスプレイであるP
DPでは、前面ガラス基板と背面ガラス基板との間に設
けられている隔壁で仕切られた放電空間内で対向するア
ノード電極およびカソード電極間にプラズマ放電を生じ
させ、この空間内に封入されているガスから発生する紫
外線を放電空間内に塗布されている蛍光体に当てること
によって表示を行う。隔壁は単に発光領域を区分するの
みでなく、発光輝度や色純度などのディスプレイの表示
特性に影響を与えるものであると共に、ディスプレイの
製造過程においても重要な要因となる影響を有するもの
である。隔壁は背面ガラス基板に形成されるが、前面ガ
ラス基板を封着して放電空間を形成する際、隔壁形成に
よるガラス基板の全体的な反りや隔壁自身の凹凸などに
原因する割れや封着不良の発生が起こるという問題があ
り、これらは歩留まりの低下やクロストークなどの誤動
作発生などの重大な欠陥となることが知られている。こ
のような欠陥の発生を解消することは、ディスプレイ作
製の歩留まり向上やディスプレイの大型化を実現するの
に重要な課題である。
【0004】従来、高い表示性能を有するディスプレイ
の隔壁を形成する方法としては、感光性ペーストを用い
るフォトリソグラフィ法が知られている。この方法は、
隔壁成分となるガラス成分とパターン形成のための感光
性有機成分を基本成分として構成される感光性ペースト
をガラス基板に塗布し、これにパターン露光し、現像し
て隔壁パターンを形成した後、焼成して本質的に無機成
分からなる隔壁を作製するというものである。この隔壁
表面の粗さの程度は、前面ガラス基板との封着の際の精
度に影響を与え、さらに放電領域となる空間を排気する
時の作業時間の長短とも関係する。特に、寸法精度が劣
る場合には、クロストークなどの誤作動が発生し、ディ
スプレイの表示性能が悪化するという問題もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前面ガラス
基板を封着する際のガラス基板の割れや封着不良を抑制
し、クロストークが生じないディスプレイ用部材および
その製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、以下の構成を有する。すなわち、隔壁頂
部の長手方向の中心線平均粗さ(Ra)が0.05〜
0.30μmであるディスプレイ用部材である。
【0007】また、隔壁頂部および側面の長手方向の中
心線平均粗さが0.05〜0.30μmの範囲内である
ことを特徴とするディスプレイ用部材である。
【0008】また、感光性有機成分、平均粒子径が0.
003〜0.1μmのフィラー(以下、「フィラーA」
という)およびカルボキシル基を少なくとも1個有する
平均分子量が200〜7000の化合物を含むことを特
徴とする感光性ペーストまたは少なくともウレタン化合
物を含む感光性有機成分、無機粒子およびカップリング
剤を1〜15重量%含有することを特徴とする感光性ペ
ーストである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のディスプレイ用部材は、
隔壁頂部長手方向の中心線平均粗さRaが0.05〜
0.30μmであるディスプレイ部材である。また、隔
壁頂部および側面の長手方向のRaが0.05〜0.3
0μmの範囲内であるディスプレイ用部材である。隔壁
の頂部の凹凸を微小化して、封着を精度よく行うことは
形成されたディスプレイのクロストークを解消すること
になり、ディスプレイ製造の歩留まりの向上になる。さ
らに隔壁の頂部と側面の凹凸を微小化することは表面の
みでなく隔壁自体の空隙率をも低下するので内部に滞留
するガスや空気、さらに表面に吸着されているガスや空
気を減少することになり、放電領域の排気をスムースに
進行させることが可能になり、ディスプレイの組立作業
の時間を短縮し、生産性の向上になるというメリットが
あるためである。このような粗さ特性の隔壁を有するデ
ィスプレイ用部材は、少なくともウレタン化合物を含む
感光性有機成分、無機粒子およびカップリング剤を含有
する感光性ペーストを用いることによって製造される。
【0010】本発明のディスプレイ用部材の代表的なも
のはPDPの背面ガラス基板の作製に用いる部材であ
り、これには銀ペーストなどを用いて形成したストライ
プ状電極やその上に形成された絶縁膜があり、さらに、
その上に隔壁が形成されたものがある。
【0011】隔壁頂部長手方向のRaが0.05〜0.
30μmの範囲内にあると、形成されたディスプレイの
クロストークが減少するのでディスプレイ製造時の歩留
まりが向上する。さらに頂部および側面長手方向のRa
が0.05〜0.30μmの範囲内にあると、形成され
た放電空間を真空状態に排気する場合の作業時間が短縮
されるので生産性が向上する。より好ましいRaの値の
範囲は0.05〜0.20μmであり、さらに好ましく
は0.05〜0.15μmである。
【0012】ここで、中心線平均粗さRaは物質の表面
粗さを示す一つの指標であり、その定義はJISB06
01に準拠するものであり、粗さ曲線を基にして得られ
る物性値である。粗さ曲線は、対象面に直角な平面で対
象面を切断した時にその切り口に現れる輪郭から、表面
のうねり成分を除去した曲線のことである。また中心線
は、この粗さ曲線の平均線に平行に直線を引いた時に、
この直線と粗さ曲線で囲まれた面積が、この直線の両側
で等しくなる直線のことである。Raは、粗さ曲線と中
心線とで囲まれた面積を測定長さで除した値をμm単位
で表したもので、測定範囲内の凹凸の程度を表してい
る。測定には、触針式の表面粗さ計(東京精密(株)サ
ーフコム1500A)を用いて、隔壁頂部の長手方向の
凹凸を長さ10cmの範囲について測定した。また、隔
壁を基板から分離して、隔壁側面の長手方向の凹凸を長
さ10cmの範囲について測定した。
【0013】粗さを表す指標には基準長さの中で最も凸
な部分と最も凹な部分との差を示す最大高さRtがある
が、本発明の課題を解決するにはRaが0.05〜0.
30μmであることが必要であるが、さらに、Rtが
0.20μm以下であることが好ましく、0.15μm
以下であることがより好ましい。
【0014】隔壁の凹凸を少なくすることは隔壁の頂
部、側面の表面積を小さくすることになり、寸法精度も
向上する。この結果が前述したようにクロストークの減
少、排気時間の短縮、表示位置依存性の解消などに繋が
るものとなる。
【0015】隔壁の頂部長手方向のRaまたは頂部およ
び側面長手方向のRaが0.05〜0.30μmの範囲
であるディスプレイ用部材は、感光性有機成分、平均粒
子径が0.003〜0.1μmのフィラーAおよびカル
ボキシル基を少なくとも1個有する平均分子量が200
〜7000の化合物を含むことを特徴とする感光性ペー
ストを用いて製造することができる。
【0016】さらに、このような粗さ特性の隔壁を有す
るディスプレイ用部材は、感光性ペーストを用いて製造
されるが、この感光性ペーストは少なくともウレタン化
合物を含む感光性有機成分、無機粒子およびカップリン
グ剤を含有することを特徴するものである。
【0017】感光性ペーストを構成する成分のうち、感
光性有機成分は一般的にバインダー成分となるポリマー
類、光反応性化合物類および光重合開始剤を必須成分と
して含み、必要に応じて、増感剤、可塑剤、紫外線吸収
剤、分散剤、界面活性剤、有機染料、増粘剤、酸化防止
剤、ゲル化防止剤などの添加成分が加えられる。ここで
感光性とは、活性光線の作用を受けて重合、架橋、分
解、変性などの反応を通して化学構造が変化する能力を
有していることを意味する。
【0018】バインダー成分となるポリマー類は、アル
カリ水溶液現像を可能にするため、側鎖にカルボキシル
基を有する重合体であることが好ましいが、これに限定
されるものではない。側鎖にカルボキシル基を有する重
合体の場合、その酸価は50〜140であることが好ま
しい。酸価を140以下とすることで現像許容幅を広く
することができ、酸価を50以上にすることで、未露光
部の現像液に対する溶解性が低下することがなく、従っ
て、現像液を濃くする必要がなくなり露光部の剥がれを
防ぎ、高精細パターンを得ることができる。このような
重合体として、焼成時の熱分解温度が低いことから(メ
タ)アクリル酸エステル類および(メタ)アクリル酸を
共重合成分とした共重合体が好ましく用いられる。側鎖
にカルボキシル基を有する重合体が、側鎖にエチレン性
不飽和基を有して、バインダー成分自体が感光性を有す
るものであることも好ましい。
【0019】感光性有機成分には、光反応性化合物類が
必須成分として用いられるが、これらは反応性のエチレ
ン性不飽和基を1つまたは1つ以上有するモノマーある
いはオリゴマー成分から選択して用いることができる。
エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、ア
クリロイル基、メタクリロイル基であることが好ましい
が、特に、アクリロイル基やメタクリロイル基であるこ
とが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0020】本発明のディスプレイ用部材の製造方法で
は、このような光反応性化合物としてウレタン化合物を
用いることが好ましい。すなわち、末端にエチレン性不
飽和基を有し、それらをウレタン結合を含む有機基で結
合した化合物である。このようなエチレン性不飽和基を
有するウレタン化合物は、エチレンオキシドを含有する
アルキレンオキシドのオリゴマーを構成成分とし、末端
にアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するもの
が好ましく、エチレン性不飽和基とアルキレンオキシド
オリゴマーとの結合にはジイソシアネート化合物が用い
られ、ウレタン結合を形成している。これに限定される
ものではないが、本発明で好ましく用いられるエチレン
性不飽和基を含むウレタン化合物は一般式(1)で示さ
れる。 R1−(R2−R3)n−R2−R1 (1) (ここで、R1はアクリロイル基またはメタクリロイル
基、R2はウレタン結合を含む有機基、R3はアルキレン
オキサイドオリゴマーであり、nは1〜10の自然数を
表す) ここで用いるジイソシアネート化合物としては、脂肪
族、芳香族または脂環式のジイソシアネート化合物を用
いることができるが、脂環式ジイソシアネート化合物を
用いることがより好ましく、特にイソフォロンジイソシ
アネートを用いたものが好ましいが、これに限定される
ものではない。R3のアルキレンオキシドオリゴマー
は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコオリゴ
マーが好ましく、エチレンオキシドの配合量は8〜50
%であることが好ましい。
【0021】これらの化合物に一般式(2)または
(3)で示されるエチレン性不飽和基を有するアミン化
合物を併用することが好ましい。光に対する感度を向上
させることができる場合があるためである。
【0022】 R456N (2) R45N−M−NR67 (3) (ここで、R4はエチレン性不飽和基を含む置換基であ
り、R5、R6、R7はエチレン性不飽和基を含む置換
基、水素、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、
アラルキル基、ヒドロキシアルキル基のいずれかから選
ばれたもので、R5、R6、R7は同じであっても異なっ
ていてもよい、Mは2価の連結基を表す) アミン化合物のエチレン性不飽和基を有する置換基とし
ては、下記一般式(4)、(5)、または(6)で示さ
れるものが好ましい。 CH2=CR8−A−(L)a−CH(OH)−CH2− (4) CH2=CR8−(A)b−(L)a−SO2− (5) CH2=CR8−(A)b−(L)a−CO− (6) (ここで、R8は、水素原子またはメチル基である。A
は、COO、CONH、または置換または無置換のフェ
ニレン基である。Lは、炭素数1〜20の環式または非
環式のアルキレン、アリーレン、アラルキレンから選ば
れたもので、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原
子、水酸基、アリール基などで置換されていてもよい。
a,bは0または1を示す)。とりわけCH2=C(CH
3)COOCH 2CH(OH)CH2−が好ましく用いられ
る。
【0023】また、アミン化合物として、3級アミン化
合物を用いることが好ましい。特に、3級アミン化合物
としては、下記一般式(7)で示される構造を有する化
合物が好ましく用いられる。 (CH2=C(R)−CO−Z)3-m−NR’m (7) (ここで、Rは水素原子またはメチル基、R’はアルキ
ル基、アリール基、アラルキル基、またはヒドロキシア
ルキル基、Zは−O−R”−または−NHR”−、R”
はアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、また
はヒドロキシアルキレン基、mは0、1、または2であ
る) 感光性ペーストを構成する無機粒子は、低融点ガラス粉
末60〜97重量%とフィラー3〜40重量%とからな
ることが好ましい。フィラーは焼成収縮率の制御や形成
された隔壁の強度を保持するために低融点ガラスと共に
用いられることが多く、3重量%以下ではその添加効果
が発揮できず、40重量%以上では、隔壁の強度の減少
などの問題点を生じるので好ましくない。
【0024】また、低融点ガラス粉末の屈折率は1.4
5〜1.65であることが好ましい。感光性ペーストは
有機成分を溶解した有機溶媒系の中に無機粒子を分散さ
せたものであり、その塗布膜では有機成分層の中にかな
り高い濃度で無機粒子が存在している。このような塗布
膜にフォトリソグラフィ法でパターン形成を行うために
は、少なくとも共存する各成分の屈折率を近似させるこ
とが好ましい。用いる有機成分の平均屈折率が1.4〜
1.7の範囲にあるのが通常であるので無機粒子の屈折
率もこの範囲に出来るだけ近似するものを選ぶことが必
要になる。種々の酸化物からなるガラス成分はその配合
を考慮することで特性の制御が可能であり、本発明にお
いても熱特性、屈折率などをコントロールした低融点ガ
ラス粉末が使用できる。低融点ガラス粉末としては、屈
折率が1.45〜1.65であり、ガラス転移点が40
0〜550℃、荷重軟化点が450〜600℃を有する
ものが好ましい。荷重軟化点を450℃以上とすること
で、部材形成およびディスプレイ形成の後工程において
隔壁が変形することがなく、荷重軟化点を600℃以下
とすることで、焼成時に溶融し強度の高い隔壁を得るこ
とができる。感光性ペーストに用いる低融点ガラス粉末
は、ペースト形成時の充填性および分散性が良好で、ペ
ーストの均一な厚さでの塗布が可能であると共にパター
ン形成性を良好に保つためには、平均粒子径が1〜4μ
mであり、最大粒子径が35μm以下であることが好ま
しい。このような粒度分布を有するガラス粉末がペース
トへの充填性および分散性の点で優れており、塗布膜内
に空気などの気泡を残存させることなく緻密な膜が形成
されるためパターン形成性が良くなる。また、低融点ガ
ラス粉末の場合は焼成工程でその殆どが溶融し一体化さ
れるので、かなり大きな粒子径の粉末も許容される。こ
の範囲であれば、充填性および分散性を満足させて、塗
布性およびパターン形成性の優れた感光性ペーストを構
成することができる。
【0025】感光性ペーストの無機粒子を低融点ガラス
粉末とフィラー成分とから構成することは、焼成収縮率
の減少、形成された隔壁の強度向上、隔壁の不透明化な
どのために好ましい。これらの場合のフィラー成分の平
均粒子径は、ペースト中への充填性や分散性を最適化す
るサイズの範囲で選ばれる。本発明では、上記したフィ
ラーA以外に、平均粒子径1〜4μm、かつ平均屈折率
が1.45〜1.65のフィラー(以下、「フィラー
B」という)を、無機粒子全体に対し3〜40重量%の
範囲で含有することができる。このようなフィラーBと
して、屈折率が調整された高融点ガラスやコーディエラ
イト、セルジアン、アノーサイト、ステアタイト、スポ
ジュウメン、フォルステライト、シリカから選ばれた少
なくとも一種が用いられる。高融点ガラス粉末として
は、ガラス転移点500〜1200℃、荷重軟化点55
0〜1200℃を有するものが好ましい。フィラーBは
フィラーAに比べて粒子径が大きいので隔壁の強度を向
上させる効果が高く、フィラーAとフィラーBを併用す
ることによって、チッピングが起こりにくい隔壁が得ら
れる傾向がある。ただし、フィラーAとフィラーBの合
計量が、無機粒子全体に対して50重量%を越えると、
隔壁強度が低下するので好ましくない。
【0026】フィラーAとしては露光光の波長に比べて
微小な平均粒子径を有する微粒子が分散したゾルを用い
ることも可能である。このような微粒子の場合は露光の
際に光を散乱させることがないので、上述の平均屈折率
1.45〜1.65の範囲内であっても範囲外であって
も良く、屈折率に関係なく物質の選択ができる。このよ
うなフィラーAの平均粒子径は0.003〜0.1μm
の範囲内であることが必要である。フィラーAの平均粒
子径を0.003μm以上とすることで、感光性ペース
トおよびその塗布膜においてフィラーAの凝集を抑えて
感光性ペーストの良好なパターニング性が保持され、
0.1μm以下とすることで、露光に用いる紫外線光の
波長である350〜440nmに比べて十分に小さいた
め、紫外線光の透過性すなわちパターニング性に影響を
与えることがない。なお、フィラーAの平均粒子径はマ
イクロトラック粒度分析計UPA150MODEL、N
o.9340(日機装株式会社)を用いて測定した値で
ある。また、フィラーBの平均粒子径はマイクロトラッ
ク粒度分布計HRAMODEL、No.9320−X1
00(日機装株式会社)を用いて測定した。
【0027】平均粒子径が0.003〜0.1μmのフ
ィラーAかつカルボキシル基を少なくとも1個有する平
均分子量が200〜7000の化合物を含むことが好ま
しい。このようなフィラーAの表面にカルボキシル基が
吸着または結合することにより、フィラーA同士の凝集
が抑制されて分散性が向上して均質な感光性ペーストが
得られるので、表面が平滑である隔壁が製造できる。カ
ルボキシル基を少なくとも1個有する化合物の分子量が
200以上であることで、カルボキシル基以外の部分の
立体効果によって感光性ペースト中のフィラーAの分散
性が向上するため、パターニング性に影響を与えること
がなく、この感光性ペーストを用いて製造される隔壁の
表面平滑性が向上する。また7000以下であることに
より、塗布するために必要な感光性ペーストの流動性を
保持することができる。また、カルボキシル基を少なく
とも1個有する化合物が、ポリアルキレンオキサイド鎖
を有することにより、無機粒子以外の成分が焼成時に分
解しやすく焼成残渣が少ない傾向があるため好適に使用
できる。
【0028】隔壁の頂部長手方向のRaまたは頂部およ
び側面長手方向のRaを0.05〜0.30μmの範囲
にコントロールことのできる感光性ペーストとしては、
その成分としてカップリング剤を含有することが好まし
い。カップリング剤としては、ケイ素、チタン、ジルコ
ニウム、アルミニウムなどの含金属元素系カップリング
剤を用いることが好ましく、その含有量は1〜15重量
%であることが好ましい。1重量%以下では十分な効果
を発揮することができず、15重量%以上になると部材
形成およびディスプレイ形成の後工程において隔壁が変
形するため好ましくない。
【0029】ケイ素系のカップリング剤としては、トリ
メトキシシラン、トリエトキシシラン、テトラメトキシ
シラン、テトラエトキシシラン、テトラプロキシシラ
ン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシ
ラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシ
シラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキ
シシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエト
キシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シ
ラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル
トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェ
ニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、フェニルトリプロポキシシラン、ジフェニルジメト
キシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、γ−グリシ
ドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピ
ルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメ
チルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルト
リエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミ
ノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノ
エチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−
β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシ
シラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキ
シシランなどが例示できる。
【0030】チタン系のカップリング剤としては、テト
ラエトキシチタネート、テトライソプロピルチタネート
やテトラ−n−ブチルチタネートなどのチタンアルコキ
シド類、、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エ
チルヘキシル)チタネート、ポリヒドロキシチタンステ
アレート、チタンテトラアセチルアセトナート、ポリチ
タンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレ
ート、チタンエチルアセトアセテート、チタンラクテー
ト、チタントリエタノールアミネートなどを例示するこ
とができる。ジルコニウム系およびアルミニウム系のカ
ップリング剤としてはチタン系化合物に対応した化合物
を用いることができる。
【0031】これらのカップリング剤の添加により、隔
壁の凹凸が微小となりRaが0.05〜0.30μm程
度の平滑表面を有する隔壁が得られる理由については明
らかになっていないが、感光性ペースト塗布膜状態およ
び露光・現像で形成される隔壁パターンを構成する各成
分がカップリング効果を受けてより近接性を高め、内部
も表面もより緻密化するので、それが焼成後の隔壁の表
面粗さを微小にする原因となるものと推定される。
【0032】感光性ペーストは、感光性有機成分、必要
に応じてその他の添加剤および有機溶媒などの各種成分
を所定の組成となるように調合して有機溶液を調製した
後、無機粒子を加え、3本ローラや混練機で均質に混合
・分散することにより製造することができる。感光性ペ
ーストの粘度は、有機溶媒により10〜200Pa・s
(パスカル・秒)程度に調整して使用される。この時使
用される有機溶媒としては、プロピレングリコール、プ
ロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレング
リコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレン
グリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、エ
チルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルエチルケト
ン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロ
ペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアル
コール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシ
ド、γ-ブチロラクトンなどやこれらのうちの1種以上を
含有する有機溶媒混合物が挙げられる。
【0033】この感光性ペーストは、PDP、PAL
C、FEDやVFDを用いたディスプレイなどの隔壁形
成に用いられる。隔壁はガラス基板上に直接形成する場
合もあるが、多くはガラス基板上に、銀、銅、クロム、
アルミニウム、ニッケル、金などの導電性金属を用いた
電極を設け、それらを被覆するように形成されている誘
電体層の上に形成される。このように基板上に所定の隔
壁を形成してディスプレイ用部材を得ることができ、さ
らにこれを用いてディスプレイを作製することができ
る。
【0034】感光性ペーストの塗布は、スクリーン印刷
法、バーコーター法、ロールコータ法、ドクターブレー
ド法、スリットダイコーター法などの一般的な方法で行
うことができる。塗布厚さは、所望の隔壁の高さとペー
ストの焼成収縮率を考慮して決めることができる。本発
明では、少なくとも隔壁頂部を構成する塗布膜を形成す
る際、塗布膜のレベリング性が良好な塗布方法であるド
クターブレード法あるいはスリットダイコーター法を用
いて塗布することが好ましい。もちろん、全ての塗布工
程を、ドクターブレード法あるいはスリットダイコータ
ー法を用いて行うこともできる。
【0035】次いで、塗布・乾燥した感光性ペースト膜
にフォトマスクを介して露光を行って、隔壁パターンを
形成する。超高圧水銀灯を光源として、プロキシミティ
露光を行うのが一般的である。露光条件はペーストの塗
布膜厚さによって異なるが、通常5〜60mW/cm2
の出力の超高圧水銀灯を用いて10秒〜10分間露光を
行う。露光後、露光部分と未露光部分の現像液に対する
溶解度差を利用して、現像を行う。本発明の感光性ペー
ストを使用した場合には、アルカリ水溶液での現像が可
能になる。アルカリとしては、有機アルカリ水溶液を用
いた方が焼成時にアルカリ成分を除去し易いので好まし
い。アルカリ水溶液の濃度は通常0.05〜2重量%、
より好ましくは0.1〜0.8重量%である。アルカリ
濃度が低すぎれば可溶部が完全に除去されず、アルカリ
濃度が高すぎれば、露光部のパターンを剥離させたり、
侵食したりするおそれがある。現像時の温度は、20〜
50℃で行うことが工程管理上好ましい。
【0036】感光性ペーストの塗布膜から露光・現像の
工程を経て形成された隔壁パターンは次に焼成炉で焼成
されて、有機成分を熱分解して除去し、同時に無機粒子
中の低融点ガラスを溶融させて無機成分の隔壁を形成す
る。焼成を行うには通常、隔壁パターンが形成されたガ
ラス基板を通常は500〜590℃に約15〜30分間
保持して焼成を行う。このような工程で隔壁が形成され
たディスプレイ用部材を得ることができる。
【0037】隔壁に挟まれたセル内に、赤、緑、青に発
光する蛍光体ペーストを塗布・焼成して蛍光体層を形成
するとPDP用の背面ガラス基板が構成される。この背
面ガラス基板と別途作製された前面ガラス基板を張りあ
わせ後、封着、ガス封入してPDPが作製される。これ
らの技術は、PALC、FEDやVFDを用いたディス
プレイなどにおいても、好ましく適用される。
【0038】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、濃度(%)は時に断らない限り重量%である。
【0039】実施例および比較例に用いた無機粒子およ
び有機成分は次の通りである。
【0040】a.低融点ガラス粉末I 酸化物換算組成:酸化リチウム7重量%、酸化ケイ素2
3重量%、酸化ホウ素30重量%、酸化バリウム4重量
%、酸化アルミニウム22重量%、酸化亜鉛3重量%、
酸化マグネシウム6重量%、酸化カルシウム5% 特性:ガラス転移点497℃、荷重軟化点530℃、熱
膨張係数75×10-7/K、屈折率1.59、平均粒子
径2.6μm、トップサイズ24μm b.低融点ガラス粉末II 酸化物換算組成:酸化リチウム9重量%、酸化ケイ素2
2重量%、酸化ホウ素33重量%、酸化バリウム4重量
%、酸化アルミニウム21重量%、酸化マグネシウム6
重量%、酸化カルシウム5重量% 特性:ガラス転移点476℃、荷重軟化点519℃、熱
膨張係数83×10-7/K、屈折率1.59、平均粒子
径2.3μm、トップサイズ25μm c.フィラーI(フィラーB) 酸化物換算組成:酸化ケイ素38重量%、酸化ホウ素重
量9%、酸化バリウム5重量%、酸化アルミニウム35
重量%、酸化亜鉛3重量%、酸化マグネシウム5重量
%、酸化カルシウム5重量% 特性:ガラス転移点652℃、荷重軟化点800℃、屈
折率1.58、平均粒子径2.7μm d.フィラーII(フィラーA) 組成が酸化チタン41.8重量%、酸化錫37.1重量
%、酸化ケイ素21.1重量%で固形分濃度20.4重
量%のゾル。平均粒子径0.005μm e.フィラーIII(フィラーA) 組成が酸化チタン100重量%で、固形分濃度18.5
重量%のゾル。平均粒子径0.004μm。平均粒子径
0.004μm f.ポリマーI スチレン/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合
体(重量組成比30/30/40)100重量部に対し
てグリシジルメタクリレートを40重量部付加させたも
ので、重量平均分子量43,000、酸価100 g.ポリマーII メタクリル酸とメチルメタクリレートとの共重合体に
3,4−エポキシシクロヘキシルメタクリレートを付加
反応して得られたもの:重量平均分子量28,000、
酸価120 h.アミン化合物I ビス(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロ
ピル)イソプロピルアミン i.アミン化合物II ビス(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロ
ピル)n−プロピルアミン j.アミン化合物III (RCH2CH(OH)CH2)2N−CH(CH3)CH2(OC
2CH(CH3))5.6−N(CH2CH(OH)CH2R)
2 (ただし、R=−OCOC(CH3)=CH2) k.ウレタン化合物I 一般式(1)において、R1はアクリロイル基、R2はイ
ソフォロンジイソシアネート残基、R3はエチレンオキ
サイド20%を含有するエチレンオキサイド−プロピレ
ンオキサイドコオリゴマーで、全体の分子量は、19,
000 l.ウレタン化合物II 一般式(1)において、R1はアクリロイル基、R2はイ
ソフォロンジイソシアネート残基、R3はエチレンオキ
サイド50重量%を含有するエチレンオキサイド−プロ
ピレンオキサイドコオリゴマーで、全体の分子量は1
4,000 m.フィラーIV(フィラーA) 組成が酸化ケイ素100重量%で、固形分濃度が28重
量%のゾル。平均粒子径0.08μm、分散媒がベンジ
ルアルコール n.フィラーV(フィラーB) 酸化物換算組成:BaO・Al23・SiO2(セルジ
アン)。屈折率1.54、平均粒子径2.3μm o.フィラーVI(フィラーA) 組成が酸化アルミニウム100重量%で、固形分濃度が
15重量%のゾル。平均粒子径0.009μm、分散媒
がプロピレングリコール/ベンジルアルコール p.カルボキシル基を含む化合物I 平均分子量=1018 C816−((C24O)8−CO−C24−COOH)2 q.カルボキシル基を含む化合物II 平均分子量=896 CH2−((C24O)9−COOH)2 r.カルボキシル基を含む化合物III 平均分子量=192 CH2−(C24O−COOH)2 s.カルボキシル基を含む化合物IV 平均分子量=7020 C815−((C36O)37−CO−C612−COO
H)3。 (感光性ペーストの作製)60℃で8時間真空乾燥した
ポリマーをγ−ブチロラクトンに混合して、撹拌しなが
ら60℃に加熱して溶解し、ポリマー溶液を作製した。
低融点ガラス粉末は、400℃で2時間保持して乾燥し
た。
【0041】感光性ペーストは、ポリマー、光反応性化
合物に光重合開始剤(2−ベンジル−2−ジメチルアミ
ノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン)5重量
部、増感剤(2,4−ジエチルチオキサントン)2重量
部、有機染料(スダンIV)0.01重量部、カップリング
剤所定量、γ−ブチロラクトン30重量部を50℃に加
熱しながら溶解し、その後、無機粒子を添加し、三本ロ
ーラーを用いて混練して得た。 (実施例1) 低融点ガラスI:60重量部、テトラエトキシシラン1
0重量部、ポリマーI:15重量部、アミン化合物I:
5重量部、ウレタン化合物I:5重量部、光重合開始剤
(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モル
フォリノフェニル)ブタノン)5重量部、増感剤(2,
4−ジエチルチオキサントン)2重量部、有機染料(ス
ダンIV)0.01重量部、γ−ブチロラクトン30重量
部を三本ローラーを用いて混練して感光性ペーストを得
た。
【0042】次いで、ディスプレイ部材を作製した。ま
ず、100mm角ガラス基板(旭硝子(株)製PD20
0)上に、平均粒子径が1.5μmの球状銀粉末及び感
光性有機成分を含む感光性銀ペーストを用いて、フォト
リソグラフィ法によりピッチ150μm、線幅40μm
のストライプ上パターンを形成した。次に、空気中58
0℃、35分間焼成し、銀含有量97.5%、ガラスフ
リット量2.5%の電極層を形成した。この電極層の厚
みは、3.8μmであった。
【0043】次に、エチルセルロース5%のテルピネオ
ール溶液24g、平均粒子径0.24μmのルチル型酸
化チタン5g、ガラス粉末(酸化物表記:酸化ビスマス
67%、酸化ケイ素10%、酸化ホウ素12%、酸化ア
ルミニウム3%、酸化亜鉛3%、酸化ジルコニウム5
%)140gを混合した後、三本ローラーで混練して誘
電体ペーストを得た。この誘電体ペーストを、電極層を
形成したガラス基板上にスクリーン印刷法でメッシュ3
25のスクリーンを用いて乾燥後の厚みが23μmにな
るように塗布した。続いて570℃で30分間焼成して
厚み13μmの誘電体層を形成した。
【0044】次に、本実施例の感光性ペーストを、上記
の誘電体層が形成されたガラス基板上に、スクリーン印
刷法でメッシュ325のスクリーンを用いて乾燥後の厚
みが210μmになるように塗布した。塗布膜にピンホ
ールなどの発生を回避するために塗布・乾燥を数回繰り
返し行い、膜厚の調整を行った。途中の乾燥は80℃で
5分行い、所定の膜厚に達した後は80℃で90分乾燥
した。
【0045】次いで、150μmピッチ、線幅20μm
のネガ用のクロムマスクを用いて、上面から20mW/
cm2出力の超高圧水銀灯で露光量500J/cm2のプ
ロキシミティ露光を施した。この時、フォトマスクの汚
染を防ぐため、マスクと塗膜面との間に100μmのギ
ャップを設けた。その後、35℃に保持したモノエタノ
ールアミンの0.3重量%水溶液をシャワーで180秒
間かけることにより現像し、さらにシャワースプレーで
水洗浄し、光硬化していないスペース部分を除去してガ
ラス基板上にストライプ状の隔壁パターンを形成した。
隔壁パターンを顕微鏡で観察し、露光部の剥がれ、パタ
ーンの蛇行およびパターン間の埋まり(残膜)が発生せ
ず、かつパターンの断面形状が矩形または台形である場
合にパターン形成性が良好と判断されるが、本実施例で
は、これらの条件が全て満足されることを確認した。こ
のようにして得られた隔壁パターンを空気中、580℃
で20分間焼成し、ディスプレイ用部材を製造した。
【0046】形成された隔壁の断面形状を電子顕微鏡で
観察したところ、隔壁の高さ130μm、隔壁頂部の線
幅32μm、ピッチ150μmであった。さらに、隔壁
頂部の長手方向のRaとRtを触針式の表面粗さ計(東
京精密(株)サーフコム1500A)で測定した。隔壁
3本について、隔壁頂部を長手方向に10cmの範囲で
測定を行い、これらの平均値をRa、Rtとした。ま
た、基板から分離した隔壁3本について、隔壁側面の長
手方向に10cmの範囲で測定を行い、これらの平均値
をRa、Rtとした。測定値は表1に示した。
【0047】上記のディスプレイ用部材の隣り合う隔壁
間に蛍光体を塗布した。蛍光体の塗布は、口径130μ
mの穴が形成されたノズル先端から蛍光体ペーストを吐
出するディスペンサー法を用いた。蛍光体は隔壁の側面
に焼成後厚み25μm、誘電体層上に焼成後厚み25μ
mになるように塗布した後、500℃で10分間の焼成
を行って、背面ガラス基板を作製した。別途作製した前
面ガラス基板と背面ガラス基板を封着ガラスを用いて封
着し、排気した。排気開始後から1×10-4Paに到達
するまでの時間を測定した。さらに、キセノン5重量%
含有のネオンガスを封入した。駆動回路を実装してPD
Pを作製した。得られたPDPは全面正常に駆動した。
【0048】
【表1】
【0049】(実施例2〜6)条件および結果を表1に
示した。得られたPDPは全面正常に駆動した。隔壁の
頂部長手方向のRa並びに隔壁頂部および側面の長手方
向のRaが0.05〜0.30μmの範囲にある隔壁が
形成されたディスプレイ部材を用いて構成されたPDP
はクロストークがなく全面正常に作動した。従って、こ
のようにRaが0.05〜0.30μmにコントロール
された隔壁を有するディスプレイ部材を用いると歩留ま
り高くPDPを得ることができる。表1には、隔壁の表
面粗さを本発明の範囲に制御することにより、セルの排
気時間が短縮されることを示すデータとして排気開始後
から1×10-4Paに到達するまでの時間を参考までに
示した。
【0050】(実施例7〜10)カルボキシル基を含む
化合物を2重量部添加した後、三本ローラーを用いて混
練して感光性ペーストを得たこと以外は実施例1を繰り
返した。条件および結果を表1に示した。得られたPD
Pは全面正常に駆動した。隔壁の頂部長手方向のRa並
びに隔壁頂部および側面の長手方向のRaが0.05〜
0.30μmの範囲にある隔壁が形成されたディスプレ
イ部材を用いて構成されたPDPはクロストークがなく
全面正常に作動した。従って、このようにRaが0.0
5〜0.30μmにコントロールされた隔壁を有するデ
ィスプレイ部材を用いると歩留まり高くPDPを得るこ
とができる。表1には、隔壁の表面粗さを本発明の範囲
に制御することにより、セルの排気時間が短縮されるこ
とを示すデータとして排気開始後から1×10-4Paに
到達するまでの時間を参考までに示した。
【0051】(比較例1〜2)条件および結果を表1に
示した。実施例1〜10に比べて排気時間が長く、ま
た、得られたPDPは放電時にクロストークが発生し
た。
【0052】(比較例3〜6)条件および結果を表1に
示した。比較例3では、良好なパターン形状が得られな
かったので、PDPを作製できなかった。比較例4で
は、感光性ペーストの粘度が非常に高いので、スクリー
ン印刷ができず、PDPを作製できなかった。比較例5
では、実施例1〜10に比べて排気時間が長く、また、
得られたPDPは放電時にクロストークが発生した。ま
た、比較例6では、焼成によって隔壁の形状が丸みを帯
びて、PDPを作製できなかった。
【0053】
【発明の効果】本発明のディスプレイ用部材は、隔壁頂
部長手方向の中心線平均粗さを本発明の範囲内としたの
で、クロストークが生じにくく、プラズマディスプレイ
(PDP)、プラズマアドレス液晶ディスプレイ(PA
LC)、電子放出素子(FED)または蛍光表示管(V
FD)を用いたディスプレイなどに好適に用いることが
できる。
【0054】また、本発明のペーストは、感光性有機成
分、平均粒子径が0.003〜0.1μmのフィラーお
よびカルボキシル基を少なくとも1個有する平均分子量
が200〜7000の化合物を含むこと、または少なく
ともウレタン化合物を含む感光性有機成分、無機粒子お
よびカップリング剤を1〜15重量%含有することをを
特徴としたので焼成後の表面形態を制御しながら、所望
の形状の隔壁を高い精度で形成することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA03 AB14 AB20 AC01 AC08 AD01 BC13 BC53 BC85 CC06 CC09 CC20 FA17 FA29 5C027 AA09 5C040 GC19 GF12 GF18 JA15

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】隔壁頂部の長手方向の中心線平均粗さが
    0.05〜0.30μmの範囲内であることを特徴とす
    るディスプレイ用部材。
  2. 【請求項2】隔壁頂部および側面の長手方向の中心線平
    均粗さが0.05〜0.30μmの範囲内であることを
    特徴とするディスプレイ用部材。
  3. 【請求項3】感光性有機成分、平均粒子径が0.003
    〜0.1μmのフィラーおよびカルボキシル基を少なく
    とも1個有する平均分子量が200〜7000の化合物
    を含むことを特徴とする感光性ペースト。
  4. 【請求項4】少なくともウレタン化合物を含む感光性有
    機成分、無機粒子およびカップリング剤を1〜15重量
    %含有することを特徴とする感光性ペースト。
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