JP2000021314A - プラズマディスプレイ用部材 - Google Patents

プラズマディスプレイ用部材

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JP2000021314A
JP2000021314A JP18383898A JP18383898A JP2000021314A JP 2000021314 A JP2000021314 A JP 2000021314A JP 18383898 A JP18383898 A JP 18383898A JP 18383898 A JP18383898 A JP 18383898A JP 2000021314 A JP2000021314 A JP 2000021314A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ハレーションの発生を防ぎ、表示品位の高いプ
ラズマディスプレイ用部材を提供することを目的とす
る。 【解決手段】基板上に少なくとも電極層、誘電体層A、
誘電体層B、隔壁および蛍光体層を順次積層した部材で
あって、該誘電体層Aが光学濃度(OD値)0.5以上
の黒色層、該誘電体層Bが全光線反射率40%以上の白
色層であることを特徴とするプラズマディスプレイ用部
材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマディスプ
レイ用部材、詳しくは外観品位、白色性に優れ、ハレー
ションの発生が少なく、特にプラズマディスプレイパネ
ル(プラズマディスプレイともいう)に用いた場合、非
常に高い正面輝度、表示品位が得られる誘電体層を形成
したプラズマディスプレイ用部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、大型ディスプレイとしてプラズマ
ディスプレイが注目されている。プラズマディスプレイ
は、液晶パネルに比べて高速の表示が可能であり、且つ
大型化が容易であることから、OA機器および広報表示
装置などの分野に浸透している。また高品位テレビジョ
ンの分野などでの進展が非常に期待されている。このよ
うな用途の拡大にともなって、微細で多数の表示セルを
有するカラープラズマディスプレイが注目されている。
【0003】プラズマディスプレイは、前面基板と背面
基板をはり合わせて構成される。前面基板は、ガラス基
板の裏面にITOや酸化錫からなる透明電極が形成され
ている。透明電極は帯状に複数本形成されている。この
隣り合う透明電極間に通常10kHz〜数10kHzの
パルス状AC電圧を印加し表示用の放電を得るが、透明
電極のシート抵抗は数10Ω/cm2 と高いため、電極
抵抗が数10kΩ程度になり、印加電圧パルスが十分に
立ち上がらずに駆動が困難になる。そこで、透明電極上
に通常金属製のバス電極を形成して抵抗値を下げる。こ
れら電極は、透明誘電体層(絶縁層)によって被覆され
ている。透明誘電体層には、低融点ガラスが用いられ
る。その上に保護層として、MgOの層を電子ビーム蒸
着法により形成する。前面基板に形成される誘電体層
は、放電のための電荷を蓄積するコンデンサーとしての
役割を有している。
【0004】一方背面基板は、表示データを書き込むデ
ータ電極を作製し、それを誘電体層(絶縁層)で被覆
し、その上に、隔壁を形成し、さらに隔壁の間に赤、
緑、青の各色に発光する蛍光体ペーストを塗布後、乾
燥、焼成を行って蛍光体層を形成したものである。
【0005】前面基板と背面基板とをマトリクス駆動が
可能になるように合わせて、封着した後、排気し、He
−Xe、Ne−Xeなどの混合ガスを封入し、駆動回路
を実装してプラズマディスプレイを作製する。
【0006】隣り合う透明電極の間にパルス状の交流電
圧を印加するとガス放電が生じ、プラズマが形成され
る。ここで生じた紫外線が蛍光体を励起して可視光を発
光し前面基板を通して表示発光を得る。
【0007】このようにしてプラズマディスプレイを作
製する場合に、誘電体層中のアルカリ金属イオンなどの
影響、具体的には電極に用いる銀、ガラス基板中に含ま
れる錫などの金属イオンとのイオン交換反応による誘電
体層の変色が表示品位を低下させるという問題があっ
た。一方、誘電体層は蛍光体からの発光を反射して輝度
を上げることが可能であることが好ましく、このような
電極と蛍光体層の間に介在して発揮する機能と、誘電体
層の上にある隔壁と蛍光体層の形成を問題なく行うこと
ができるようバランスさせることが重要である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ハレーショ
ンの発生を防ぎ、表示品位の高いプラズマディスプレイ
用部材を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的は、基
板上に少なくとも電極層、誘電体層A、誘電体層B、隔
壁および蛍光体層を順次形成した部材であって、該誘電
体層Aが光学濃度(OD値)0.5以上の黒色層、該誘
電体層Bが全光線反射率40%以上の白色層であること
を特徴とするプラズマディスプレイ用部材により達成す
ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のプラズマディスプレイ用
部材に用いる基板は、ソーダガラスや高歪み点ガラス
(例えば、旭硝子社製のPD−200)などである。
【0011】これらの基板上に形成される電極層の材質
として、銀を80重量%以上、好ましくは95重量%以
上含む材料を用いることが抵抗値、基板との密着性の点
から好ましい。また電極層中に1〜5重量%のガラスフ
リット成分を含有させることにより、基板との密着性に
優れた電極層を得ることができる。
【0012】本発明において電極層の厚みは、2〜10
μmが好ましい。電極層厚みが、前記範囲内であると十
分に導通がとれ、パネル欠陥等の欠点が生じない。ま
た、前記範囲を越えると後記する誘電体層に亀裂が発生
しやすくなるため好ましくない。
【0013】本発明において、電極層の形成方法は特に
限定されるものではなく、公知の技術、例えば通常の導
電性ペーストを所望のパターンを有するスクリーン版を
用いて印刷するいわゆるスクリーン印刷法、通常の感光
性導電性ペーストを用い、該感光性導電性ペーストを基
板上に塗布後、所望のパターンを有するフォトマスクを
介してパターン露光し、現像するいわゆるフォトリソグ
ラフィー法などを適用することができる。
【0014】本発明では、電極層を形成した基板上に、
無機材料からなる黒色層である誘電体層Aおよび白色層
である誘電体層Bが形成されている。誘電体層が白色層
のみでは、放電時、基板内への光線の侵入を防げず、基
板内で光線が反射を繰り返し表示面側に出射するため、
映像が白くぼやける現象(ハレーション)が起こりやす
い。基板への光線の侵入を防ぐために誘電体層を黒色層
とすることは有効であるが、黒色層のみでは放電時、正
面輝度が低くなる。そこで本発明においては、誘電体層
を、光学濃度(OD値)0.5以上の黒色層(誘電体層
A)上に、全光線反射率が40%以上の白色層(誘電体
層B)を設けたものとすることで、基板側へ放射された
光線を反射し、正面輝度を上げることができる。
【0015】誘電体層Aの光学濃度(OD値)が0.5
未満であるとハレーション防止効果が十分得られない。
【0016】また誘電体層Bは、その上部に形成される
蛍光体層からの発光を効率よく前方に反射して表示光の
輝度を高める役割を担っている。このため、白色化して
反射率を上げることが必要であり、本発明においては全
光線反射率を40%以上に保持することにより、プラズ
マディスプレイの輝度を高くし明るい表示を可能にする
ことができる。全光線反射率が40%未満であると、十
分な輝度が得られない。
【0017】本発明において誘電体層の反射率は、自記
分光光度計UV−3101PC型(島津製作所製)を用
いて測定される。全光線反射率は、入射角8度で入射し
た光の全反射を測定したものである。この際、100%
反射板(副白板)として硫酸バリウム板を使用した。
【0018】誘電体層の光学濃度(OD値)は、全光線
反射率をTtとすると、OD=−logTtで計算でき
るが、マクベス濃度計(マクベス社製)で簡単に測定で
きる。
【0019】電極層上に誘電体層を形成することによっ
て、隔壁を形成する場合に、剥がれや倒れが生じにくく
なる。特に、隔壁を感光性ペースト法で形成する場合に
は、隔壁上部と下部の光硬化の差に起因する内部応力が
生じやすく、隔壁を焼成する際に剥がれなどの欠陥の原
因になりやすい。隔壁層の下に、誘電体層を形成するこ
とは、このような欠陥発生を防止することができるので
歩留まり向上のために有効である。
【0020】誘電体層の厚み、すなわち、誘電体層A、
誘電体層Bの厚みの合計は、電極層厚みによる凹凸がで
きるだけ解消される範囲である電極厚みの1.1〜5.
0倍が好ましい。具体的には3〜30μm、より好まし
くは4〜25μmであることが好ましい。誘電体層が厚
くなると、焼成の際、脱バインダー性が低下するのでク
ラックが生じやすく、また基板にかかる応力が大きいた
めに基板が反るなどの問題が生じる。また、薄過ぎると
平坦性があって、均一かつ緻密な誘電体層を形成しにく
い。
【0021】各誘電体層を構成する無機材料は主として
ガラスが用いられるが、誘電体層Aは電極に接して形成
されるので、電極材料として用いられる銀との接触で活
性な成分を含むものは使用できない。誘電体層Aのガラ
スがアルカリ金属を含有する場合には、電極に由来する
銀イオンとイオン交換反応を起こし、誘電体層が着色す
るという問題が生じる。この問題を回避するためには、
実質的にアルカリ金属を含まないガラスを用いることが
好ましい。実質的に含まないとは、含んだとしても0.
5重量%以下であり、より好ましくは0.1重量%以下
であることを示す。
【0022】また本発明において誘電体層は、ソーダガ
ラス基板や高歪み点ガラス基板の上に焼き付けて形成さ
れるので、これらのガラス基板を熱変形させない550
〜600℃の温度域で焼成できることが必須である。従
って、各誘電体層を構成する無機材料には、ガラス転移
点400〜550℃、軟化点400〜600℃のガラス
を主成分とするものが好ましい。ガラス転移点および軟
化点が400℃より低い場合は、後工程中にガラスが溶
融して誘電体層の厚みの均一性や特性が低下する。ま
た、ガラス転移点が550℃より高い場合や軟化点が6
00℃より高い場合は、ガラス基板上での焼成が不十分
となり、誘電体層の剥離や欠落を生じやすくなる。
【0023】また、ガラス成分が、上記範囲のガラス転
移点および軟化点を有すると共に、50〜400℃の範
囲の熱膨張係数α50400の値が、70〜85×10-7
/K、より好ましくは72〜80×10-7/Kであるこ
とが、基板ガラスの熱膨張係数と整合し、焼成の際にガ
ラス基板にかかる応力を減らす点で好ましい。85×1
-7/Kを越えると、誘電体層の形成面側に基板が反る
ような応力がかかり、70×10-7/K未満では誘電体
層のない面側に基板が反るような応力がかかる。このた
め、基板の加熱、冷却を繰り返すと基板が割れる場合が
ある。また、前面基板との封着の際、基板の反りのため
に両基板が平行にならず封着できない場合もある。
【0024】本発明において誘電体層Aは、上記のよう
に実質的にアルカリ金属を含まず、上記の熱特性を有す
るガラスを主成分とするものが好ましいが、このような
ガラスとしては、通常の硼珪酸鉛系ガラス、ビスマス系
ガラス等挙げられるが特に限定されるものではない。
【0025】本発明の場合、ビスマス系ガラス、特に、
酸化ビスマスを10〜70重量%含有するガラスを用い
ることは、ペーストの安定性などの利点がある。酸化ビ
スマスの添加量は、70重量%を越えるとガラスの耐熱
温度が低くなり過ぎてガラス基板上への焼き付けが難し
くなる。
【0026】また、誘電体層Aは、光学濃度が0.5以
上の黒色層である必要があり、このために黒色顔料を含
むことが好ましい。
【0027】本発明でいう黒色顔料とは特に限定される
ものではないが、Cr、Co、Fe、Mn、Ni、Ru
のうち少なくとも1種類を含有するものが好ましく使用
される。特に、黒色顔料中の前記金属の合計含有量が1
0〜90重量%であることが好ましい。合計含有量が1
0重量%未満では誘電体層Aに十分な黒色性を付与しに
くい。90重量%を越えると、焼成時に誘電体層の剥が
れが生じる。
【0028】本発明において誘電体層Aを形成する無機
材料は、前記ガラス転移点400〜550℃、軟化点4
00〜600℃であるガラスを50〜98重量%、黒色
顔料を2〜50重量%含有することが好ましい。
【0029】誘電体層Aの形成に用いるガラスの組成の
具体例としては酸化物換算表記で、 酸化ビスマス 10〜70重量% 酸化珪素 3〜30重量% 酸化ホウ素 10〜30重量% 酸化亜鉛 10〜40重量% 酸化鉄 2〜 6重量% 酸化コバルト 2〜 6重量% を含有するものを挙げられるがこれに限定されるもので
はない。
【0030】上記ガラス組成において酸化ビスマスは、
10〜70重量%の範囲で配合される。10重量%未満
では、焼き付け温度や軟化点を制御するのに効果が少な
い。70重量%を超えるとガラスの耐熱温度が低くなり
過ぎてガラス基板上への焼き付けが難しくなる。
【0031】酸化珪素は、3〜30重量%の範囲で配合
できるが、3重量%未満の場合はガラス層の緻密性、強
度や安定性が低下し、またガラス基板と熱膨張係数のミ
スマッチが起こり、所望の値から外れる。30重量%を
超えるとガラス転移点や軟化点が上昇し、耐熱温度が高
くなる。このため600℃以下でガラス基板上に緻密に
焼き付けることが難しくなり、気泡が残留し、電気絶縁
性が低下する。
【0032】酸化ホウ素は、10〜30重量%の範囲で
配合することによって、電気絶縁性、強度、熱膨張係
数、絶縁層の緻密性などの電気、機械および熱的特性を
向上することができる。
【0033】酸化亜鉛は10〜40重量%の範囲で添加
されるのが好ましい。10重量%未満では緻密性向上の
効果が無く、40重量%を超えると、焼き付け温度が低
くなり過ぎて制御できなくなり、また絶縁抵抗が低くな
るので好ましくない。
【0034】黒色顔料である酸化鉄、酸化コバルトなど
の金属は黒色を付けるために、それぞれが2〜6重量%
の範囲で添加されるのが好ましい。2重量%未満では光
学濃度(OD値)0.5以上の黒色が得られにくく、6
重量%を越えると誘電体層の特性を損ねる恐れがある。
【0035】また、上記組成において黒色顔料として酸
化鉄、酸化コバルト以外に酸化クロム、酸化マンガン、
酸化ニッケル、酸化ルテニウムなども好ましく用いるこ
とができる。
【0036】また、誘電体層Bの主成分であるガラスと
しては、誘電体層A同様、通常の硼珪酸鉛系ガラス、ビ
スマス系ガラスを用いることができ、特に限定されるも
のではない。
【0037】本発明で誘電体層Bとして好ましく使用さ
れるビスマス系ガラスの代表的な組成としては酸化物換
算表記で、 酸化ビスマス 10〜70重量% 酸化珪素 3〜30重量% 酸化ホウ素 10〜30重量% 酸化亜鉛 10〜40重量% 酸化ジルコニウム 1〜10重量% を含有するものなどが挙げられるが、これに限定される
ものではない。
【0038】本発明において誘電体層Bは、上記の組成
成分を含有し、ガラス転移点が450〜550℃、軟化
点500〜600℃であるガラスを50〜90重量%と
フィラーを10〜50重量%含有することが好ましい。
フィラーとしては、軟化点が600℃以上の高融点ガラ
スやセラミックスが挙げられ、特に白色フィラーである
チタニア(酸化チタン)、アルミナ、シリカ、チタン酸
バリウム、ジルコニアからなる群から選ばれた少なくと
も一種を用いることが好ましい。
【0039】本発明においてフィラーの平均粒子径は、
0.15〜5.00μm、さらには0.15〜4.00
μmであることが好ましい。フィラーの平均粒子径が
0.15μm未満では、白色性が低下し、所望の反射率
が得らにくい。また5.00μmを越えると、誘電体層
の平滑性、緻密性が低下するため好ましくない。
【0040】このようなフィラーを添加することによ
り、焼成時の収縮率が小さくなり、形成される誘電体層
Bの内部応力が小さくなるので、誘電体層Bの上に形成
される隔壁の割れや剥がれなどの欠陥発生が抑制できる
と共に、ガラス基板の反りを減少することにも寄与する
ことができる。本発明では、白色フィラーを選択して添
加することにより、形成される誘電体層Bは白色を呈
し、これが表示光をよく反射するため、パネルの輝度を
向上すると共に、表示色の純度の向上にも効果を発揮す
る。
【0041】本発明において誘電体層は、例えば、無機
材料と有機成分からなる誘電体ペーストaを塗布・乾燥
し、誘電体層Aのペースト層を形成し、その後に同様の
方法で誘電体ペーストbにより誘電体層Bのペースト層
を形成し、これらを焼成する方法で形成できる。
【0042】誘電体層A、誘電体層Bを形成するための
誘電体ペーストa、誘電体ペーストbには、上記したガ
ラスと黒色顔料、ガラスまたはガラスとフィラーからな
る無機材料を分散配合するバインダーとして有機成分が
用いられる。
【0043】有機成分としては、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合
体や共重合体、アクリル酸エステル重合体や共重合体、
セルロース系樹脂などが使用できるが、これらに限定さ
れるものではなく、中でもセルロース系樹脂は、焼成に
おける脱バインダー性がよい点で好ましい。
【0044】本発明においては、誘電体層を少なくとも
2層の多層構造とし(2層の場合には上からB層、A層
とする)、その最上層を形成する誘電体ペーストの塗布
膜と感光性ペーストで形成した隔壁パターンを同時に焼
成してプラズマディスプレイ用基板を製造する方法にも
適用されるが、このような場合においては、誘電体ペー
ストの有機成分として、隔壁パターンの形成に用いられ
るものと同様の有機成分を適用することが、親和性や同
時焼成においての脱バインダー性の観点から好ましいと
考えられる。従って、その誘電体ペーストが感光性を有
することがあり、その機能を有効に利用することができ
るが、光重合開始剤などの活性光を吸収して光反応を開
始する成分を添加しない場合は、その他のバインダー成
分と同様に扱うことができる。
【0045】各誘電体ペーストの粘度は、バインダー成
分を溶解する溶媒を用いて調整する。溶媒としては、メ
チルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチル
セロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロ
ソルブ、ブチルセロソルブアセテート、メチルエチルケ
トン、アセトン、ジオキサン、シクロペンタノン、テト
ラヒドロフラン、エチルアルコール、イソプロピルアル
コール、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクト
ン、テルピネオールなど、またはこれらの混合物が挙げ
られるが、これらに限定されるものではない。
【0046】各誘電体ペーストに用いる無機材料の量
は、無機材料と有機成分の和に対して50〜90重量%
であるのが好ましい。50重量%未満では、誘電体層の
緻密性、表面の平坦性が欠如し、90重量%を越えると
ペースト粘度が上昇し、塗布時の厚みムラが大きくな
る。
【0047】各誘電体ペーストの粘度は、3000〜8
万cps(センチ・ポイズ)、より好ましくは4000
〜6万cpsであり、この範囲であれば、電極層上に誘
電体層を形成する際、焼成収縮応力に起因する誘電体層
の亀裂を抑制する効果があり好ましい。3000cps
未満では、塗布ムラができやすく、8万cpsを超える
と、電極層付近に焼成収縮力が集中し易く、亀裂が発生
しやすくなる。
【0048】さらに各誘電体ペースト中に可塑剤を含ん
でもよく、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレー
ト、ポリエチレングリコール、グリセリンなどが用いら
れる。
【0049】本発明において誘電体層は、少なくとも
A、B2層からなるものであればよく、例えば、誘電体
層を構成するガラス成分が共通であっても、例えば、1
つの層はフィラー成分を含み、他の層はフィラーを含ま
ないが、生成した誘電体層Aの光学濃度が0.5以上の
黒色層であり、誘電体層Bが40%以上の全光線反射率
を有する白色層であることの条件を満たすものであれば
よい。各誘電体ペーストを構成する成分が量的あるいは
質的に異なってもよい。
【0050】各誘電体ペーストを基板上に塗布後、焼成
するが、誘電体ペーストを塗布後、隔壁用ペーストを用
いて隔壁パターンを形成し、場合により全誘電体層と隔
壁パターンを同時に焼成することによって、剥がれや倒
れのない均一な隔壁層を形成することができる。
【0051】本発明において隔壁パターンは、サンドブ
ラスト法、スクリーン印刷法、金型転写法、フォトリソ
グラフィー法(感光性ペースト法)等、種々の方法を選
択して適用されるが、高アスペクト比かつ高精細なパタ
ーン形成が可能という点から、本発明では感光性ペース
ト法が好ましく適用される。感光性ペースト法は、主と
してガラス粉末からなる無機成分と感光性を持つ有機成
分からなる感光性ペーストを誘電体層または誘電体ペー
スト塗布膜が形成されたガラス基板上に塗布し、フォト
マスクを介して露光し、現像して隔壁パターンを形成
し、その後焼成して隔壁を得る方法である。
【0052】感光性ペースト法によって形成した隔壁パ
ターンは、厚み方向に光硬化の不均一による歪み応力が
生じやすいため、焼成の際に剥がれが生じやすい。隔壁
の剥がれが生じると剥がれた箇所で色の混色が起こり、
また剥がれた隔壁がパネル上に残り画素をつぶしてしま
いプラズマディスプレイ製造の歩留まりが低下する。こ
れを抑制するために、隔壁パターンを未焼成の誘電体層
上で形成し、該隔壁パターンと全誘電体層を同時に焼成
するが、剥がれが抑制され、歩留まりが向上する点で好
ましい。
【0053】隔壁の高さは70〜160μmであり、焼
成収縮を考慮すると隔壁パターン形成のために塗布され
る感光性ペースト塗布膜の厚さは100〜220μmあ
ることが必要となる。このような厚さの感光性ペースト
塗布膜に高精細なパターンを露光し、高アスペクト比の
パターンを解像度高く形成するためには、露光用の活性
光線を塗布膜の最下部まで出来るだけ直進的に透過させ
ることが必須である。このため、感光性ペーストに配合
されるガラス成分および感光性有機成分が共に光透過性
の高いものを選び、これらを均一に混合することが重要
である。さらに、感光性ペーストのような感光性有機成
分中にガラス粉末が分散しているような混合物系では、
これらの成分のそれぞれの平均屈折率が近似しているこ
とが光透過度を高めるために最も重要になる。
【0054】一般的に、有機成分の屈折率は1.45〜
1.7であるが、ガラス成分の屈折率はより高くなるの
で、両者の屈折率を整合させるためには、ガラス成分の
平均屈折率を好ましくは1.5〜1.7にコントロール
し、有機成分の平均屈折率との差を±0.05程度にな
るようにすることが最も好ましい。この点から、隔壁形
成に用いられる感光性ペーストのガラス成分は、平均屈
折率が1.5〜1.7であると共に、ガラス転移点45
0〜550℃、軟化点500〜600℃であることが好
ましい。また熱特性は誘電体層の最上層膜と同時に焼成
されることがあるので同等または近似していることが好
ましい。
【0055】上記のような条件を満足する感光性ペース
ト用ガラス成分として下記のような成分と配合量を有す
るものが用いられる。すなわち、酸化物換算表記で、 酸化リチウム 2〜10重量% 酸化珪素 8〜40重量% 酸化ホウ素 20〜50重量% 酸化バリウム 2〜15重量% 酸化アルミニウム 8〜30重量% の組成を有するものであるが、これに限定されるもので
はない。
【0056】隔壁形成用感光性ペーストのガラス成分中
にも、誘電体層に配合されたと同様のフィラー成分を加
えることが可能であり、それにより、隔壁パターンの焼
成時の収縮率が小さくなり、パターン形成が容易にな
り、焼成時の形状保持性が向上する。
【0057】なお本発明で使用される誘電体、隔壁用の
ガラス粉末の作製法としては、例えば原料であるビスマ
ス、リチウム、珪素、アルミニウム、ホウ素、バリウム
などの化合物を所定の配合組成となるように混合し、9
00〜1200℃で溶融後、急冷し、ガラスフリットに
してから粉砕して、1〜5μmの微細な粉末にする方法
が挙げられる。原料には高純度の炭酸塩、酸化物、水酸
化物などが使用できる。また、ガラス粉末の種類や組成
によっては99.99%以上の超高純度なアルコキシド
や有機金属の原料を使用し、ゾル・ゲル法で均質に作製
した粉末を使用すると高電気抵抗で緻密な気孔の少な
い、高純度な誘電体層、隔壁が得られるので好ましい。
【0058】上記において使用されるガラス粉末の粒子
径は、作製しようとする誘電体層の厚み、隔壁の線幅や
高さを考慮して選ばれるが、粉末は、50体積%粒子径
(平均粒子径、D50)が2.0〜6.0μm、10体
積%粒子径(D10)が0.6〜1.7μm、90体積
%粒子径(D90)が7〜20μm、トップサイズが4
5μm以下で、比表面積が1.5〜3.0m2/gある
ことが好ましい。さらにD50が3.0〜5.5μm、
D10が1.0〜1.5μm、D90が8.0〜15μ
m、トップサイズが35μm以下、比表面積1.0〜
2.0m2/gを有していることがより好ましい。
【0059】隔壁形成用感光性ペースト中のガラス粉末
量は、65〜85重量%であることが好ましい。65重
量%より少ないと、焼成時の収縮率が大きくなり、隔壁
の断線、剥がれの原因となるため好ましくない。またパ
ターンの太り、現像時の残膜の発生が起り易い。85重
量%より多いと、感光性成分が少なすぎてパターン形成
性が悪くなる。
【0060】隔壁用感光性ペーストの感光性有機成分と
して、露光により可溶化するタイプおよび不溶化するタ
イプのいずれの成分をも使用することが可能であるが、
本発明では、材料の多様性、種々の特性の付与の可能
性、形成されたパターンの物性、焼成時の脱バインダー
性の向上などの観点でバリエーションの多い光不溶化タ
イプ、すなわち露光部分が光硬化するタイプを用いるこ
とが好ましい。
【0061】感光性有機成分は、通常、オリゴマもしく
はポリマ成分、感光性モノマ成分および光重合開始剤を
基本的要素とするものであるが、これらの他に、必要に
応じて溶媒、増感剤、安定剤、可塑剤、紫外線吸光剤、
重合禁止剤などを加えることができる。感光性ペースト
には、無機材料の分散安定性を改善する分散剤、塗布性
を改良するためのレベリング剤などを加えてもよい。
【0062】感光性ペースト中に含まれる有機成分の屈
折率を制御するため、感光性モノマの屈折率に注意を払
うことが必要である。屈折率1.55〜1.8の感光性
モノマを用いることによって、有機成分の屈折率を高め
ることができる。屈折率の高い感光性モノマとしては、
ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香環や硫黄原子を含
有する多官能アクリレートもしくは多官能メタクリレー
トモノマが好ましい。
【0063】感光性ペーストを構成するオリゴマもしく
はポリマとしては、前記した誘電体ペーストに適用され
た有機バインダーから選んで用いることも可能である
が、パターン形成性や現像特性を考慮して、側鎖にカル
ボキシル基とエチレン性不飽和基を有する感光性でアル
カリ水溶液可溶の成分を用いるのが好ましい。
【0064】光重合開始剤は、ラジカル種を発生するも
のから選んで用いられる。高精細で高アスペクト比の隔
壁パターンを形成する必要性から増感剤の使用が重要な
条件となる。1分子直接開裂型の光重合開始剤と三重項
増感剤との組み合わせが好ましいが、これらに限定され
るものではない。
【0065】感光性ペーストの粘度は、有機成分を溶解
する有機溶媒の量で調整される。セロソルブ類、アセト
ン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アルコー
ル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルスル
フォキシド、γ−ブチロラクトンなどが単独または混合
して用いられる。
【0066】感光性ペーストは、誘電体層の最上層で焼
成済みまたは未焼成の膜の上にスクリーン印刷法、バー
コーター法、ロールコーター法、スリットダイコーター
法、ブレードコーター法などの既知の技術を用いて塗布
される。
【0067】感光性ペーストを塗布した後、露光装置を
用いて露光を行う。露光は通常のフォトリソグラフィ技
術で行われるように、フォトマスクを介して行われる。
この際にフォトマスクを感光性ペーストの塗布膜表面に
密着する方法あるいは一定の間隔をあけて行うプロキシ
ミティー露光法のいずれを用いてもよい。露光に使用さ
れる活性光線は、紫外線が最も好ましく、その光源とし
て、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、
ハロゲンランプなどが使用される。超高圧水銀灯を光源
とした平行光線を用いプロキシミティー露光機を用いる
のが一般的である。露光条件は感光性ペーストの塗布厚
みによって異なるが、3〜50mW/cm2 の出力の超
高圧水銀灯を用いて10秒〜20分間露光を行う。
【0068】露光後、露光部分と未露光部分の現像液に
対する溶解度差を利用して、現像を行うが、この場合、
浸漬法、スプレー法、ブラシ法などが用いられる。現像
液には、感光性ペースト中の有機成分、特にオリゴマも
しくはポリマが溶解可能な溶液を用いる。アルカリ水溶
液現像が可能なことがプロセス上好ましい。感光性ペー
ストのオリゴマもしくはポリマに、カルボキシル基を側
鎖に有するものを用いることにより、アルカリ水溶液現
像が可能になる。アルカリ水溶液としては水酸化ナトリ
ウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウムの水溶液など
が使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成
時にアルカリ成分を除去し易いので好ましい。有機アル
カリとしては、一般的なアミン化合物を用いることがで
きる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキ
サイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイ
ド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが
挙げられる。現像時の温度は、20〜40℃で行うこと
が工程管理上好ましい。
【0069】感光性ペーストの塗布膜から露光・現像の
工程を経て形成された隔壁パターンは、焼成炉で焼成さ
れて、有機成分を熱分解して除去し、同時にガラス微粒
子成分を溶融させて無機質の隔壁を形成する。焼成雰囲
気や温度は、ペーストや基板の特性によって異なるが、
通常は空気中で焼成される。焼成炉としては、バッチ式
の焼成炉やベルト式の連続型焼成炉を用いことができ
る。
【0070】バッチ式の焼成を行うには通常、隔壁パタ
ーンが形成されたガラス基板を室温から500℃程度ま
で数時間掛けてほぼ等速で昇温した後、焼成温度として
設定された550〜600℃に30〜40分間で上昇さ
せて、15〜30分間保持して焼成を行う。焼成温度は
用いるガラス基板のガラス転移点より低くなければなら
ないので自ずから上限が存在する。焼成温度が高すぎた
り、焼成時間が長すぎたりすると隔壁の形状にダレなど
の欠陥が発生する。また、有機成分に含まれる感光性モ
ノマ、感光性オリゴマもしくはポリマ、種々の添加剤の
熱分解特性とガラス粉末成分の熱特性が不釣り合いにな
ると、隔壁が褐色に着色したり、隔壁が基板から剥がれ
たりする欠陥が発生する。
【0071】形成された隔壁の側面および隔壁間の底部
に蛍光体層を形成することによりプラズマディスプレイ
用部材を得ることができる。
【0072】蛍光体層は、例えば、赤、緑、青いずれか
1色に発光する蛍光体粉末と、バインダー樹脂、溶媒を
主成分とする3色の蛍光体ペーストを基板上の隔壁間に
ストライプ状にそれぞれ塗布した後、焼成することによ
り形成することができる。なお蛍光体ペーストの塗布方
法は、特に限定されないが、スクリーン印刷法、サンド
ブラスト法、フォトリソグラフィ法で行うことができ、
吐出孔を有する口金から吐出し塗布することも可能であ
る。
【0073】本発明のプラズマディスプレイ用部材を、
例えば、別途作成された前面ガラス基板と封着した後、
放電ガスを封入し配線の実装を行うことで輝度の高く、
クロストークなどの欠陥のないプラズマディスプレイを
得ることができる。
【0074】
【実施例】以下に本発明を実施例を用いて具体的に説明
する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではな
い。なお、実施例中の濃度は断りのない場合は重量%で
ある。
【0075】実施例1〜6、比較例1、2 1.電極層の形成 平均粒径3μmの銀粉末を含む感光性銀ペーストを用い
て、ピッチ230μm、線幅200μmのストライプ状
電極(銀含有量95%)パターンを形成した125mm
角のガラス基板(旭硝子社製PD−200)を空気中で
590℃、30分間焼成することで、厚み5μmの電極
層を形成した。
【0076】2.誘電体層形成 誘電体層形成用の実質的にアルカリ金属成分を含有しな
い酸化ビスマス10〜70%含有ガラスとして、誘電体
ペーストaには次のような組成と特性を有するものを使
用した。
【0077】ガラスの組成:酸化ビスマス44%、酸化
珪素13%、酸化硼素19%、酸化アルミニウム1%、
酸化亜鉛10%、酸化鉄4%、酸化コバルト3%、酸化
チタン2%、酸化ジルコニウム2%、酸化クロム2%。
【0078】ガラスの特性:平均粒径3.4μm、ガラ
ス転移点476℃、軟化点515℃、熱膨張係数α50
〜40075×10-7/K。
【0079】また、誘電体ペーストbには次のような組
成と特性を有するものを使用した。 ガラスの組成:酸化ビスマス38%、酸化珪素7%、酸
化硼素19%、酸化バリウム12%、酸化アルミニウム
3%、酸化亜鉛21%。
【0080】ガラスの特性:平均粒径3.4μm、ガラ
ス転移点476℃、軟化点525℃、熱膨張係数α50
〜40077×10-7/K。
【0081】また、誘電体ペーストbに用いたフィラー
は石原産業(株)製ルチル型チタニア(R550)で平
均粒径は0.24μmである。
【0082】誘電体ペーストa、b共にエチルセルロー
ス6%テルピネオール溶液に上記ガラス粉末とフィラー
成分を分散・混合した後、三本ローラで混練して作成し
た。ガラス粉末、フィラーおよび有機成分の割合は60
%、6%および34%であった。これを上記の電極層を
形成したガラス基板の上に誘電体層Aをスクリーン印刷
法で塗布し、乾燥後、同様の方法で誘電体層Bを形成
し、所定温度で30分間焼成することにより厚さ20μ
mの誘電体層を形成した。
【0083】表1は、誘電体層Bの厚みを10μmに固
定し、誘電体層Aの厚みを変えた場合に得られた誘電体
層Aの光学濃度(OD値)、誘電体層Bの全光線反射率
を示す(実施例1〜3)。
【0084】
【表1】
【0085】また、実施例1〜3と同一の手法により、
以下内容の誘電体層A、Bを形成した(実施例4〜
6)。
【0086】誘電体層Aの厚みを10μmに固定し、誘
電体層Bの厚みを変えた場合に得られた誘電体層Aの光
学濃度(OD値)、誘電体層Bの全光線反射率を表2に
示す。
【0087】
【表2】
【0088】さらに誘電体層AおよびBの厚みを調整し
て表3に示す誘電体層AのOD値、誘電体層Bの全光線
反射率を有する誘電体層を形成した(比較例1、2)。
【0089】
【表3】
【0090】3.隔壁形成 実施例1〜6および比較例1、2で得られた誘電体層
A、誘電体層Bからなる多層構造の誘電体層上に次のよ
うにして隔壁を形成した。
【0091】感光性ポリマ(X−4007)の34%γ
−ブチロラクトン溶液32g、感光性モノマ(MGP4
00)10.5g、光重合開始剤(IC−369)3.
4g、増感剤(DETX−S)3.4g、紫外線吸光剤
(スダンIV)0.04g、下記の組成と特性を有するガ
ラス成分49gの割合で混合・予備混練した後、三本ロ
ールにかけて感光性ペーストを作製する。
【0092】ガラスの組成:酸化リチウム9%、酸化珪
素20%、酸化硼素31%、酸化バリウム4%、酸化ア
ルミニウム24%、酸化亜鉛2%、酸化マグネシウム6
%、酸化カルシウム4%。
【0093】ガラスの特性:平均粒径2.6μm、ガラ
ス転移点480℃、軟化点520℃、熱膨張係数79×
10-7/K。
【0094】感光性ペーストを乾燥厚み180μmにな
るようにスクリーン印刷を複数回繰り返して塗布した。
塗布膜上にフォトマスク(ストライプ状パターン、ピッ
チ150μm、線幅20μm)を置いて、12mW/c
2の出力の超高圧水銀灯の露光機で露光し、0.6J
/cm2の露光量を与えた。
【0095】その後、35℃に保持したモノエタノール
アミンの0.2%水溶液を120秒間シャワーすること
により現像し、さらに水洗した。これにより形状の優れ
た隔壁パターンが形成され、未露光部のペースト塗布膜
が除去された部分には誘電体層の表面が露出した。隔壁
パターンは空気中570℃で15分間焼成され、電子顕
微鏡で観察して隔壁の高さは130μmであり、線幅
(半値幅)は33μmであった。
【0096】4.蛍光体形成およびパネル作製 前記3で得られた誘電体層上に隔壁を形成した基板に、
ノズル塗布法で蛍光体ペーストを塗布し、焼成し蛍光体
層を形成してプラズマディスプレイ用の背面ガラス基板
を作製した。別途作製された前面ガラス基板と前記背面
基板を封着し、放電セルにXe−He混合ガスを封入
し、配線を実装して作製されたプラズマディスプレイを
得た。
【0097】5.評価 パネル放電時の評価を目視により行い、その結果を表4
に示す。
【0098】
【表4】
【0099】表4より、本発明の実施例により得られた
プラズマディスプレイパネルは、ハレーションの発生が
無く非常に高い輝度が得られることが分かる。
【0100】略記号の説明 X−4007:40%メタクリル酸、30%メチルメタ
クリレート、30%スチレンからなる共重合体のカルボ
キシル基に対して0.4当量のグリシジルメタクリレー
トを付加反応させた重量平均分子量43,000、酸価
95の側鎖にカルボキシル基とエチレン性不飽和基を有
するポリマ。
【0101】MGP400:下記の化学式で示される化
合物
【化1】
【0102】IC−369:Irgacure-369(チバ・ガイ
ギー社製品) 2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフ
ォリノフェニル)ブタノン−1 DETX−S:2,4−ジエチルチオキサントン スダンIV:紫外線吸収剤(東京化成工業(株)製)
【0103】
【発明の効果】本発明のプラズマディスプレイ用部材
は、基板上に少なくとも電極層、誘電体層A、誘電体層
B、隔壁および蛍光体層を順次形成した部材であって、
該誘電体層Aが光学濃度(OD値)0.5以上の黒色
層、該誘電体層Bが全光線反射率40%以上の白色層で
あるため、ハレーションの発生を防ぎ、高輝度の表示が
可能な高品位のプラズマディスプレイ用部材を得ること
ができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に少なくとも電極層、誘電体層A、
    誘電体層B、隔壁および蛍光体層を順次形成した部材で
    あって、該誘電体層Aが光学濃度(OD値)0.5以上
    の黒色層、該誘電体層Bが全光線反射率40%以上の白
    色層であることを特徴とするプラズマディスプレイ用部
    材。
  2. 【請求項2】誘電体層Aおよび誘電体層Bが共に実質的
    にアルカリ金属を含まないものである請求項1記載のプ
    ラズマディスプレイ用部材。
  3. 【請求項3】誘電体層Aおよび誘電体層Bが、共にガラ
    ス転移点400〜550℃、軟化点400〜600℃の
    ガラスを主成分とするものである請求項2記載のプラズ
    マディスプレイ用部材。
  4. 【請求項4】誘電体層Aが、ガラス転移点400〜55
    0℃、軟化点400〜600℃であるガラスを50〜9
    8重量%、黒色顔料を2〜50重量%含有するものであ
    る請求項3記載のプラズマディスプレイ用部材。
  5. 【請求項5】前記黒色顔料が、Cr、Co、Fe、M
    n、Ni、Ruのうち、少なくとも1種類を含有し、こ
    れら金属の該黒色顔料中の合計含有量が10〜90重量
    %である請求項4記載のプラズマディスプレイ用部材。
  6. 【請求項6】誘電体層Bが、ガラス転移点450〜55
    0℃、軟化点500〜600℃であるガラスを50〜9
    0重量%、白色フィラーを10〜50重量%含有するも
    のである請求項3〜5のいずれか1項に記載のプラズマ
    ディスプレイ用部材。
  7. 【請求項7】白色フィラーが、チタニア、アルミナ、シ
    リカ、チタン酸バリウム、ジルコニアからなる群から選
    ばれた少なくとも一種である請求項6記載のプラズマデ
    ィスプレイ用部材。
  8. 【請求項8】白色フィラーの平均粒子径が0.15〜
    5.00μmである請求項6または7記載のプラズマデ
    ィスプレイ用部材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006090534A1 (ja) * 2005-02-22 2006-08-31 Nitto Denko Corporation 誘電体層及び誘電体層形成基板の製造方法
EP1701372A3 (en) * 2005-03-09 2008-12-03 E.I. Du Pont De Nemours And Company Black electrodes and methods of forming them
JP2009170418A (ja) * 2008-01-16 2009-07-30 Samsung Sdi Co Ltd 下板誘電体層及びプラズマディスプレイパネル

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