JP4597300B2 - ディスプレイ用部材の製造方法およびディスプレイの隔壁形成用感光性ぺースト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は隔壁(障壁、リブ、スペーサーともいう)を有するディスプレイとその製造方法に関するものであり、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと記す)、プラズマアドレス液晶ディスプレイ、電子放出素子または蛍光表示管を用いた画像表示装置などに用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
大きく重いブラウン管に代わる画像表示装置として、軽い薄型のいわゆるフラットパネルディスプレイが注目されている。フラットパネルディスプレイとして液晶ディスプレイ(LCD)が盛んに開発されているが、これには画像が暗い、視野角が狭いといった短所がある。一方、自発光型の放電型ディスプレイであるPDPや電子放出素子を用いた画像表示装置は、液晶ディスプレイに比べて明るい画像が得られると共に、視野角が広い、さらに大画面化、高精細化の要求に応えられることから、そのニーズが高まりつつある。
【0003】
電子放出素子を用いた画像表示装置は、平面でかつ明るく見やすいなどの利点を有している。電子放出素子には、熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子がある。冷陰極電子放出素子には電界放出型(FE型)、金属/絶縁層/金属型(MIM型)や表面伝導型などがある。このような冷陰極電子源を用いた画像形成装置は、それぞれのタイプの電子放出素子から放出される電子ビームを蛍光体に照射して蛍光を発生させることで画像を表示するものである。この装置において、前面ガラス基板(フェースプレートともいう)と背面ガラス基板(素子基板ともいう)にそれぞれの機能を付与して用いるが、背面ガラス基板には、複数の電子放出素子とそれらの素子の電極を接続するマトリックス状の配線が設けられる。これらの配線は、電子放出素子の電極部分で交差することになるので絶縁するための絶縁層(誘電体層)が設けられる。さらに両基板の間で耐大気圧支持部材として隔壁が形成される。
【0004】
PDPは、液晶ディスプレイに比べて高速の表示が可能であり、かつ大型化が容易であることからOA機器および情報表示装置などの分野に浸透している。また、高品位テレビジョンの分野などでの進展が非常に期待されている。PDPは、前面ガラス基板と背面ガラス基板との間に設けられた隔壁で仕切られた放電空間内でアノード電極およびカソード電極間にプラズマ放電を生じさせ、この空間内に封入されているガスから発生する紫外線を放電空間内に塗布された蛍光体に当てることによって表示を行う。
【0005】
プラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイは、TFT−LCDのTFT(薄膜トランジスター)アレイ部分をプラズマチャネルに置き換えたもので、プラズマ部分以外は基本的にTFT−LCDと同じ構造である。また、プラズマ発生部分については、PDPにおける技術が適用されている。
【0006】
プラズマ発生部分は、高さ200μm程度、ピッチ480μm程度の隔壁で区切られている。つまり上記の各種ディスプレイは、いずれも隔壁を必要とする。以下、これらの各種ディスプレイを代表してPDPについて記述する。
【0007】
PDPにおける隔壁は、従来、絶縁ガラスペーストをスクリーン印刷法でパターン状に印刷して乾燥するという工程を繰り返して所定の高さにした後、焼成して形成していた。しかしながら、通常のスクリーン印刷法では、特にパネルサイズが大型化した場合に、予め基板上に形成されている放電電極と絶縁ガラスペーストの印刷場所との位置合わせが難しく、位置精度が得られ難いという問題がある。しかも、所定の隔壁高さを得るため多数回の重ね合わせ印刷を行うことによって隔壁およびその側面エッジ部の波打ちや裾の乱れが生じ、高さの精度が得られないため、表示品質が悪くなり、また、作業性が悪く歩留まりも低いなどの問題点がある。特にPDPの大面積化、高解像度化に伴い、このようなスクリーン印刷による方法では、高アスペクト比で高精細の隔壁の製造が技術的に困難となり、また、コスト的にも不利になってきている。
【0008】
このような問題を改良する方法として、特開平6−295676号公報などで、感光性ペーストを用いてフォトリソグラフィ技術により隔壁を形成する方法が提案されている。しかし、これらの公報に開示された技術では、感光性ペーストの感度や解像度が低く、高アスペクト比で高精細な隔壁が得られないために、例えば、80μmを越えるような高さの隔壁パターンを加工する場合、複数回の加工工程(塗布・乾燥、露光、現像)を必要とするため、工程が長くなる欠点があった。
【0009】
特開平8−50811号公報では、感光性ガラスペースト法を用いて、隔壁を1回の露光で形成する方法が提案されている。しかし、この方法では、ピッチが200μm以下、隔壁の線幅が50μm以下の高精細隔壁を作製する際、線幅の太り、現像残り(残膜)が発生し、パターン形成性が悪いという問題があった。また、焼成時に有機成分が消失し難く、そのため剥がれや着色の原因になるという問題があった。また、焼成時の収縮が大きく、所望の高さの隔壁を得るためにパターン形成時の高さを高くする必要があり、パターン形成時のマージンが小さく、歩留まりが悪くなるという問題があった。
【0010】
一方、PDPの蛍光体層からの発光の効率を向上するために隔壁の反射率を高くしたいという要求がある。すなわち、隔壁の透過率が高いと、隔壁側面や隔壁間の底面に塗布されている蛍光体層から発光される表示光の反射が不足し、さらに、隣の隔壁間の蛍光体層の表示光の洩れ込みが起こり、輝度が高く、色純度の良好なディスプレイが得られない。これに対し、特公平6−44452号公報には、ガラス粉末とそれと異なる屈折率を有する充填材との混合物を用いた隔壁の形成を開示しているが、このような組成物は、感光性ペーストを用いたフォトリソグラフィ法による隔壁形成には不適切である。また、特開平8−138559号公報には、形成された隔壁の表面に表示に特定の波長の光のみを反射する反射膜を形成する方法が提案されているが、その反射膜の形成のために工程が増えるなどの問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、感光性ガラスペーストを用いたフォトリソグラフィ法による隔壁形成は、良好なパターニング性を得るために光の透過性の高い感光性ガラスペーストを用いることが必要である一方、その結果、得られる隔壁は反射率が低く良好な表示特性が得られないという矛盾を有する。
【0012】
本発明の目的は、良好なパターニングが可能でコスト的にも有利なフォトリソグラフィ法により、輝度や色純度向上に寄与する反射率の高い白色隔壁を有するディスプレイ用部材を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のディスプレイ用部材の製造方法は、低融点ガラス50〜90重量%とフィラー10〜50重量%からなる無機微粒子と感光性有機成分を含有する感光性ペーストを基板上に塗布・乾燥し、フォトリソグラフィ法でパターニングし、パターンを焼成して隔壁を形成する工程を含むことを特徴とするディスプレイ用部材の製造方法であって、フィラーの粒度分布が少なくとも2つ以上のピークを有し、かつ、少なくとも1種の前記フィラーのピークが0.005〜0.08μmの範囲内にあることを特徴とする。
また、本発明のディスプレイの隔壁形成用感光性ぺーストは、低融点ガラス50〜90重量%とフィラー10〜50重量%からなる無機微粒子と感光性有機成分を含有する感光性ペーストであって、前記フィラーの粒度分布が少なくとも2つ以上のピークを有し、かつ、少なくとも1種の前記フィラーのピークが0.005〜0.08μmの範囲内にあることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明における隔壁のパターニングにはフォトリソグラフィ技術が用いられる。本発明では、フォトリソグラフィ法に関する上記の課題を、第一の態様では、平均粒子径が0.005〜0.08μmのフィラーAを用いることにより解決した。
【0018】
第二の態様においては、粒度分布が少なくとも2つ以上のピークを有し、かつ、少なくとも1種のフィラーBのピークが0.005〜0.08μmの範囲にあるフィラーを用いることにより解決した。
【0019】
以下その2つの態様について順に述べる。
【0020】
第一の態様では、フィラーAの粒径が上記範囲内にあると、露光光の波長である350〜420nmよりも小さいので、ペースト中にフィラーAが分散して存在してもパターン露光の妨げにならず、パターン形成に悪影響を与えることがない。このように照射光波長よりも微細な粒子を用いることはペースト塗布膜の状態での露光光の散乱を防止するのに有効であることを見出した。一方、隔壁を焼成すると、フィラーAの存在は隔壁の白色化に有効に作用し、本発明の目的である良好な表示特性に好ましい、50%以上の全光線反射率を得ることができる。このような平均粒子径を有するフィラーAの添加による隔壁の反射率の向上効果の原因については、必ずしも明らかではないが、次のように推定される。すなわち、微細な平均粒子径を有するフィラーAは焼成の工程で凝集して粒子径0.3〜2μmの凝集粒子を構成する。するとこの凝集粒子は母体となるガラスに対して一般的に高屈折率のフィラーを使用しているために、このフィラーによる散乱が顕著になり、隔壁の反射率を向上させ、蛍光体層からの発光の効率を向上することができる。さらに、機構はよく分からないが、フィラーAは、ペースト中で均一に高分散していればいるほど焼成後の反射率がより向上することも見いだされている凝集粒子としてより好ましいサイズは粒子径で0.5〜1.0μmである。ここでいう凝集粒子の粒子径とは、電子顕微鏡による凝集粒の観察写真を画像処理し、凝集粒子の見かけの面積と同面積の円に換算した際の直径をいう。さらに、一部には、焼成後に隔壁が完全に緻密化されず微細な気泡などのボイドが均一に微細な状態で存在し、これらが隔壁を白色化して反射効果を示すものと推定している。
【0021】
焼成後の隔壁の倒れを防止し、下部層との密着性を高めるためには隔壁の気孔率は1〜6%の範囲が好ましく、より好ましくは1〜4%である。気孔率が6%より大きいとガラス基板との密着強度が低下するのに加えて、隔壁の強度不足、また、放電時に気孔から排出されるガス、水分の吸着による輝度低下などの発光特性低下の原因となる場合がある。パネルの放電寿命、輝度安定性などの発光特性を考慮すると、1〜4%が好ましい。1%未満では、緻密な隔壁であり過ぎるため前面版と背面板パネルを封着する時に、僅かな応力によっても亀裂が入りやすくなり封着時欠陥が増加する傾向にあるため好ましくない。
【0022】
本発明におけるフィラーAは、平均粒子径を0.08μm以下とすることが必要である。0.08μmを越えると、良好なパターニング性を得ることが難しくなる。また、フィラーAは、平均粒子径を0.005μm以上とすることが必要である。0.005μm未満では、微細になりすぎて凝集しやすくなりペースト中に均一に充填・分散することが技術的に難しくなる。そのため、良好なパターニング性を得ることが難しくなる。フィラーAの平均粒子径の好ましい範囲は0.005〜0.03μmであり、より好ましい範囲は0.005〜0.05μmである。また、フィラーAの粒度分布のピークも0.005〜0.08μmの範囲内にあることが好ましい。フィラーAは、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、イットリア、セリア、酸化亜鉛、酸化錫の群から選ばれた少なくとも一種を含むことが、高い軟化点を有することと、低融点ガラスに対して高屈折率の成分が多いので焼成後に高い反射率を得られることから、好ましい。
【0023】
フィラーAは、ペースト中に存在している状態での粒径と、焼成された後に隔壁内に存在する状態での粒径は異なり、後者ではやや粒径が大きい方に分布して存在する。これは焼成後にフィラーAが微粒子であるために低温でも焼結し、粒成長するためと推定される。これは、後述のフィラーBにおいても同様である。
【0024】
第一の態様において、隔壁を構成する無機微粒子は、低融点ガラス70〜95重量%と本発明におけるフィラーA5〜30重量%とからなることが必要である。フィラーAが5重量%未満では、添加による反射率向上の効果が得られない。また、30重量%を超えると微粒子のフィラーAは凝集しやすいため光透過を阻害するようになりパターニング性が低下し、所望の隔壁パターンが得られない。
より好ましいフィラーAの組成比は10〜25重量%である。
【0025】
本発明の第二の態様においては、フィラーBの粒度分布のピークが0.005〜0.08μmの範囲内にある。
【0026】
従ってフィラーBは、露光光の波長である350〜420nmよりも小さいので、ペースト中にフィラーが分散して存在してもパターン露光の妨げにならず、パターン形成に悪影響を与えることがない。このように照射光波長よりも微細な粒子を用いることはペースト塗布膜の状態での露光光の散乱を防止するのに有効であることを見出した。一方、隔壁を焼成すると、フィラーBの存在は隔壁の白色化に有効に作用し、本発明の目的である良好な表示特性に好ましい、50%以上の全光線反射率を得ることができる。このような粒度分布のピークを有するフィラーBの添加による隔壁の反射率の向上効果の原因については、上記のフィラーAの効果と同様に考えられている。
【0027】
本発明におけるフィラーBは、粒度分布のピークを0.08μm以下とすることが必要である。0.08μmを越えると、良好なパターニング性を得ることができない。また、フィラーBは、粒度分布のピークを0.005μm以上とすることが必要である。0.005μm未満では、微細になりすぎて凝集しやすくなりペースト中に均一に充填・分散することが技術的に難しくなる。そのため、良好なパターニング性を得ることができない。フィラーBの粒度分布のピークの好ましい範囲は0.005〜0.08μmであり、より好ましい範囲は0.005〜0.05μmである。フィラーBは、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、イットリア、セリア、酸化錫、酸化亜鉛の群から選ばれた少なくとも一種を含むことが、高い軟化点を有することと、高屈折率の成分が多いので焼成後に高い反射率を得られることから、好ましい。
【0028】
本発明の第二の態様のフィラーは、粒度分布に少なくとも2つ以上のピークを有する。粒度分布に2つ以上のピークを有することにより、焼成後に緻密な組織が得られ、強度の高い隔壁を形成することができる。特に、フィラーが上記フィラーB以外に1.5〜5μmの範囲内に粒度分布のピークを有するフィラーCを含むことが好ましい。1.5〜5μmの範囲内に粒度分布のピークを有するフィラーCを含むことにより、焼成前のパターン形成性を維持しつつ、焼成後の隔壁の強度を保持し、焼成収縮率を抑制し、形状保持率を高める効果がある。ただし、フィラーBの存在による効果を損なわないために、隔壁を構成する無機成分に対して、フィラーCを5〜30重量%、フィラーBを5〜20重量%とすることが好ましい。
【0029】
フィラーCは、感光性ガラスペーストにおける感光性有機成分や低融点ガラスの平均屈折率との整合をとり、露光光の散乱を抑えるために、平均屈折率が1.45〜1.65の範囲内にあることが好ましい。フィラーCの平均屈折率をこの範囲内とするために、組成を調整した高融点ガラスやコーディエライトをフィラーCとして好ましく用いることができる。
【0030】
高融点ガラスとしては、ガラス転移点500〜1200℃、軟化点550〜1200℃を有するものが好ましく、このような高融点ガラスは、酸化珪素および酸化アルミニウムをそれぞれ15重量%以上含有する組成を有するものが好ましく、これらの含有量合計が50重量%以上であることが必要な熱特性を得るのに有効である。高融点ガラスの組成はこれに限定されるものではないが、例えば以下のような酸化物換算組成のものを用いることができる。
酸化珪素 15〜50重量%
酸化ホウ素 5〜20重量%
酸化バリウム 2〜10重量%
酸化アルミニウム 15〜50重量%
さらに具体的には、例えば、酸化珪素38重量%、酸化ホウ素10重量%、酸化バリウム5重量%、酸化アルミニウム36重量%で、その他の成分として酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムを少量づつ含有するガラス転移点625℃、軟化点746℃の高融点ガラスの平均屈折率は、およそ1.59であり、これは本発明で好ましく使用される低融点ガラスの平均屈折率と同等である。
【0031】
フィラーCのもう一つの成分であるコーディエライトの屈折率はおよそ1.58であり、好適である。
【0032】
隔壁は通常、ガラス基板上に形成されることを考慮し、低融点ガラスは、ガラス転移点400〜550℃、軟化点450〜600℃であることが好ましい。軟化点を450℃以上とすることで、ディスプレイ形成の後工程において隔壁が変形することがなく、軟化点を600℃以下とすることで、焼成時に溶融し強度の高い隔壁を得ることができる。
【0033】
また、低融点ガラスの平均屈折率は、感光性ガラスペーストにおける感光性有機成分の平均屈折率との整合をとり、露光光の散乱を抑えるために、1.5〜1.65の範囲内とすることが好ましい。
【0034】
上記の特性を満たす低融点ガラスは、例えば酸化物換算表記で以下の様な組成で得ることができる。
【0035】
酸化リチウム、酸化ナトリウムまたは酸化カリウムのアルカリ金属酸化物のうち少なくとも1種を用い、その合計量が3〜15重量%、さらには3〜10重量%であることが好ましい。
【0036】
アルカリ金属酸化物は、ガラスの軟化点、熱膨張係数のコントロールを容易にするのみならず、ガラスの屈折率を低くすることができるため、感光性有機成分との屈折率差を小さくすることが容易になる。アルカリ金属酸化物の合計量が3重量%以上とすることでガラスの低融点化の効果を得ることができ、15重量%以下とすることでガラスの化学的安定性を維持すると共に熱膨張係数を小さく抑えることができる。アルカリ金属としては、ガラスの屈折率を下げることやイオンのマイグレーションを防止することを考慮するならリチウムを選択するのが好ましい。
【0037】
酸化ケイ素の配合量は5〜30重量%が好ましく、より好ましくは10〜30重量%である。酸化ケイ素は、ガラスの緻密性、強度や安定性の向上に有効であり、また、ガラスの低屈折率化にも効果がある。熱膨張係数をコントロールしてガラス基板とのミスマッチによる剥離などを防ぐこともできる。5重量%以上とすることで、熱膨張係数を小さく抑えガラス基板に焼き付けた時にクラックを生じない。また、屈折率を低く抑えることができる。30重量%以下とすることで、ガラス転移点、軟化点を低く抑え、ガラス基板への焼き付け温度を低くすることができる。
【0038】
酸化ホウ素は、鉛などの重金属を含有しないガラスにおいて低融点化のために必要な成分であり、さらに低屈折率化にも有効であり、20〜45重量%、さらには20〜40重量%の範囲で配合することが好ましい。20重量%以上とすることで、ガラス転移点、軟化点を低く抑えガラス基板への焼き付けを容易にする。また、45重量%以下とすることでガラスの化学的安定性を維持することができる。
【0039】
酸化バリウムおよび酸化ストロンチウムのうち少なくとも1種を用い、その合計量が2〜15重量%、さらには2〜10重量%であることが好ましい。これらの成分は、ガラスの低融点化、熱膨張係数の調整に有効であり、焼き付け温度の基板の耐熱性への適用、電気絶縁性、形成される隔壁の安定性や緻密性の点でも好ましい。2重量%以上とすることで低融点化の効果を得ることができると共に結晶化による失透を防ぐこともできる。また、15重量%以下とすることにより、熱膨張係数を小さく抑え、屈折率も小さく抑えることができる。またガラスの化学的安定性も維持できる。
【0040】
酸化アルミニウムはガラス化範囲を広げてガラスを安定化する効果があり、ペーストのポットライフ延長にも有効である。10〜25重量%の範囲で配合することが好ましく、この範囲内とすることでガラス転移点、軟化点を低く保ち、ガラス基板上への焼き付けを容易とすることができる。
【0041】
さらに、酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムは、ガラスを溶融しやすくすると共に熱膨張係数を制御するために配合されることが好ましい。酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムは合計で2〜15重量%配合するのが好ましい。合計量を2重量%以上とすることで結晶化によるガラスの失透を防ぎ、15重量%以下とすることでガラスの化学的安定性を維持することができる。
【0042】
また、上記の組成には表記されていないが、酸化亜鉛はガラスの熱膨張係数を大きく変化させることなく低融点化させる成分でありこれも配合されることが好ましい。多く配合しすぎると屈折率が大きくなる傾向にあるので、1〜20重量%の範囲で配合するのが好ましい。
【0043】
本発明では、隔壁製造の際に上記のような第一の態様ではフィラーA、第二の態様では少なくともフィラーBとさらに好ましくはフィラーCを含むフィラーおよび低融点ガラスから各々なる無機微粒子と感光性有機成分を含有する感光性ペーストを用いる。感光性有機成分としては、これに限定されるものではないが、照射光を吸収して生起する重合および/または架橋反応などによって光硬化して溶剤に不溶になる型の感光性成分を用いることが好ましい。
【0044】
すなわち、感光性有機成分は、感光性モノマー、感光性または非感光性オリゴマーもしくはポリマーを主成分とし、光重合開始剤を含有するものが好ましく用いられる。感光性有機成分には、必要に応じて紫外線吸収剤、重合禁止剤、増感剤、可塑剤、増粘剤、酸化防止剤、分散剤、その他の添加剤を加えることもできる。
【0045】
感光性モノマーとしては、活性な炭素−炭素二重結合を有する化合物が好ましく、官能基として、ビニル基、アリル基、アクリレート基、メタクリレート基、アクリルアミド基を有する単官能および多官能化合物が使用できる。
【0046】
特に多官能アクリレート化合物および/または多官能メタクリレート化合物を有機成分中に10〜80重量%含有させたものが好ましい。多官能アクリレート化合物および/または多官能メタクリレート化合物には多様な種類の化合物が開発されているので、それらから反応性、屈折率などを考慮して選択することが可能である。
【0047】
感光性有機成分の屈折率を制御する方法として、屈折率1.55〜1.8を有する感光性モノマーを選んで含有させて、感光性有機成分の平均屈折率を無機材料の平均屈折率に近づける方法が簡便である。このような高い屈折率を有する感光性モノマーは、ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香環や硫黄原子を含有するアクリレートもしくはメタクリレートモノマから選択することができる。
【0048】
感光性有機成分として、光反応で形成される硬化物物性の向上やペーストの粘度の調整などの役割を果たすと成分としてオリゴマーもしくはポリマーを加えることができる。
【0049】
これらのオリゴマーもしくはポリマーは、炭素−炭素二重結合を有する化合物から選ばれた成分の重合または共重合により得られた炭素連鎖の骨格を有するものである。特に、分子側鎖にカルボキシル基と不飽和二重結合を有する重量平均分子量2000〜6万、より好ましくは3000〜4万のオリゴマーましくはポリマーが用いられる。側鎖のカルボキシル基を有するので、感光後に未露光部分をアルカリ水溶液で現像できる感光性ペーストを与えることができる。このような側鎖にカルボキシル基などの酸基を有するオリゴマーもしくはポリマーの酸価は50〜150、好ましくは70〜120の範囲になるようにコントロールすることが好ましい。
【0050】
感光性オリゴマーもしくはポリマーを得るために、不飽和二重結合を導入するには、カルボキシル基を側鎖に有するオリゴマーもしくはポリマーに、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドを付加反応させるとよい。
【0051】
さらに、上記のようにカルボキシル基を側鎖に有するオリゴマーもしくはポリマーに不飽和二重結合を導入して感光性を付与するには、カルボキシル基とアミン系化合物との間で塩結合を形成させる方法を用いることもできる。例えば、ジアルキルアミノアクリレートやジアルキルアミノメタクリリレートを反応させて塩結合を形成してアクリレートまたはメタクリレート基を感光性基とすることができる。エチレン性不飽和基数は、反応条件により適宜選択することができる。
【0052】
感光性モノマー、オリゴマーもしくはポリマーはいずれも活性光線のエネルギー吸収能力はないので、光反応を開始するためには、さらに、光重合開始剤が必要成分であり、場合によって光重合開始剤の効果を補助するために増感剤を加えることがある。光重合開始剤には、1分子系直接開裂型、イオン対間電子移動型、水素引き抜き型、2分子複合系など機構的に異なる種類があり、それらから選択して用いられる。
【0053】
感光性ペーストの無機微粒子と感光性有機成分との配合比率としては、60/40〜90/10(重量部)が好ましい。さらに、65/35〜85/15(重量部)であることが焼成による収縮率の点からも好ましい。
【0054】
感光性ペーストは、通常、無機微粒子、感光性モノマー、感光性または非感光性オリゴマーもしくはポリマー、光重合開始剤を基本成分とし、必要に応じてその他の添加剤および溶媒などの各種成分を所定の組成となるように調合した後、3本ローラや混練機で均質に混合分散することにより製造することができる。
【0055】
感光性ペーストの粘度は、有機溶媒により1万〜20万cps(センチ・ポイズ)程度に調整して使用される。この時使用される有機溶媒としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ-ブチロラクトンなどやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物が挙げられる。
【0056】
本発明におけるディスプレイでは、隔壁はガラス基板上に直接形成する場合もあるが、多くはガラス基板上の電極を被覆するように形成されている誘電体層の上に形成される。いずれの場合においても、感光性ペーストを塗布する前に、塗布面の表面処理を行って接着性を向上させることが有効である。このような表面処理には通常シラン系カップリング剤や金属アルコキシ化合物などが用いられる。
【0057】
感光性ペーストの塗布は、スクリーン印刷法、バーコーター法、ロールコータ法、ドクターブレード法などの一般的な方法で行うことができる。塗布厚さは、所望の隔壁の高さとペーストの焼成による収縮率を考慮して決めることができる。
【0058】
塗布・乾燥した感光性ペースト膜にフォトマスクを介して露光を行って、隔壁パターンを形成する。露光の際、ペースト塗布膜とフォトマスクを密着して行う方法と一定の間隔をあけて行う方法(プロキシミティ露光)のいずれを用いても良い。露光用の光源としては、水銀灯やハロゲンランプが適当であるが、超高圧水銀灯が最もよく使用される。超高圧水銀灯を光源として、プロキシミティ露光を行うのが一般的である。露光条件はペーストの塗布膜厚さによって異なるが、通常5〜60mW/cm2の出力の超高圧水銀灯を用いて20秒から10分間露光を行う。
【0059】
露光後、露光部分と未露光部分の現像液に対する溶解度差を利用して、現像を行うが、この場合、浸漬法、スプレー法、ブラシ法などが用いられる。本発明で好ましく用いられる感光性ペーストは、側鎖にカルボキシル基を有するので、アルカリ水溶液での現像が可能になる。アルカリとしては、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカリ成分を除去し易いので好ましい。有機アルカリとしては、一般的なアミン化合物を用いることができる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどがあげられる。アルカリ水溶液の濃度は通常0.05〜2重量%、より好ましくは0.1〜0.8重量%である。アルカリ濃度が低すぎれば可溶部が完全に除去されず、アルカリ濃度が高すぎれば、露光部のパターンを剥離させたり、侵食したりするおそれがある。現像時の温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。
【0060】
感光性ペーストの塗布膜から露光・現像の工程を経て形成された隔壁パターンは次に焼成炉で焼成されて、有機成分を熱分解して除去し、同時に無機微粒子成分中の低融点ガラスを溶融させて無機質の隔壁を形成する。焼成雰囲気や温度は、ペーストや基板の特性によって異なるが、通常は、空気中で焼成される。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やベルト式の連続型焼成炉を用いることができる。
【0061】
バッチ式の焼成を行うには通常、隔壁パターンが形成されたガラス基板を室温から500℃程度まで数時間掛けてほぼ等速で昇温した後、焼成温度として設定された550〜600℃に30〜120分間で上昇させて、約15〜30分間保持して焼成を行う。焼成温度は用いるガラス基板のガラス転移点より低くなければならないので自ずから上限が存在する。焼成温度が高すぎたり、焼成時間が長すぎたりすると隔壁の形状にダレなどの欠陥が発生する。
【0062】
本発明では、第一の態様では平均粒子径0.005〜0.08μmのフィラーA成分の効果により、第二の態様では、粒度分布に少なくとも2つ以上のピークを有し、かつ、少なくとも1種のフィラーBのピークが0.005〜0.08μmの範囲にあることにより、白色度の向上した隔壁が得られる。隔壁の全光線反射率は50%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。全光線反射率(Rt)は入射角8度で入射した光の全反射を測定したものである。全光線反射率がこの条件を満たすことにより、蛍光体層からの発光を高い割合で開口部から外部に放射することになり輝度を高めると共に、隣の発光色への影響を遮断することができ、それぞれの発光色の色純度を高めることができる。色純度は、CIE色度図におけるR,G,B各色の座標値(Rx,Ry),(Gx,Gy),(Bx,By)がそれぞれ下記の関係式(1),(2),(3)範囲にあることが好ましく、本発明によりこの範囲内とすることができる。
(1)0.65≦Rx≦0.72および0.24≦Ry≦0.33
(2)0.08≦Gx≦0.12および0.75≦Gy≦0.82
(3)0.16≦Bx≦0.20および0.01≦By≦0.06。
【0063】
さらに反射のうち、入射角0度で入射した光の拡散成分を測定し、これを拡散反射率(Rd)とし、この時、(Rt−Rd)/Rt=Rnとして計算される値Rnを直進反射率とする。本発明では、直進反射率が3%以下であることが好ましく、さらには1%以下であることが好ましい。すなわち、拡散反射率の割合が高いことが好ましく、隔壁での反射光の反射方向はランダムであることが好ましい。隔壁の表面で反射された光は色々な方向に反射を繰り返して、できるだけ多くが開口部から外部に放射されることが輝度向上に有効となるからである。
【0064】
このようにして得られた隔壁に挟まれたセル内に、赤、緑、青に発光する蛍光体ペーストを塗布してプラズマディスプレイパネル用の背面基板が構成される。この背面基板と前面基板とを張り合わせた後、封着、ガス封入してプラズマディスプレイが作製される。これらの技術は、プラズマアドレス液晶ディスプレイおよび電子放出素子または蛍光表示管を用いたディスプレイにおいても、好ましく適用される。
【0065】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、濃度(%)は特に断らない限り重量%である。
【0066】
(測定方法)
(1)全光線反射率の測定
反射率の測定の条件は下記の通りである。測定装置:UV−3101PC型自記分光光度計(島津製作所製)
スリット幅:7.5nm
測定速度:SLOW(約4points/sec)
光源:ハロゲンランプ(340nm以上)
検出器:PMT(860nm以下)
副白板:BaSO4
入射角:8度
測定には、ガラス基板にペーストをスクリーン印刷法で塗布し乾燥した後、570℃で15分間焼成した厚さ30μmの膜を用いた。
【0067】
(2)粒度分布・平均粒子径
粉末の粒度分布・平均粒子径は、レーザー回折散乱法を利用した粒度分布計(マイクロトラックHRA粒度分析計 MODEL No.9320−X100)を用い、以下の条件にて測定した。
試料量 :1g
分散条件 :精製水中で1〜1.5分間超音波分散、分散しにくい場合は0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液中で行う。
粒子屈折率:無機粉末の種類によって変更する(リチウム系ガラス粉末では、1.6、ビスマス系ガラス粉末では、1.88の値を使用した。)
溶媒屈折率:1.33
測定数 :2回
無機微粉末が屈折率の等しい複数種の粉末からなる場合は、各粉末を混合後、該粉末を上記の方法で測定した。また無機微粉末が屈折率の異なる複数種の粉末からなる場合には、まず単独粉末それぞれをレーザー回折散乱法で測定し、その後、単独粉末の粒度分布と粉末の混合比から複合粉末の粒度分布を計算して求めた。
【0068】
(3)色純度の測定
大塚電子社製の測光機MCPD−200を用いて測定した。
【0069】
(4)粒子の平均粒子径の測定
堀場製作所製の動的光散乱式粒径分布測定装置LB−500を用いて測定した。
【0070】
(5)隔壁における粒子の平均粒子径の測定
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて対応箇所を50万倍に拡大して撮影し、その写真の画像処理から平均粒子径を算出した。
【0071】
(6)気孔率の測定
連続自動粉体真密度測定器((株)セイシン企業製、オートトゥルーデンサーMAT−7000)を用いて測定した。気孔率P(%)は、焼成膜を粉砕した微粉末での値を真密度dth、焼成膜の形態での値を嵩密度dexとした時、P={1−(dex/dth)}×100と定義される。
真密度は、塗布・焼成膜を乳鉢で指頭に感じない程度の325メッシュ以下くらいまで粉砕して測定する。一方、嵩密度は、塗布・焼成膜の一部を形状を崩さないように削りとり、粉砕を行わないこと以外は真密度の場合と同様にして計測した。
【0072】
(7)軟化点の測定
ここでいう軟化点は、厳密には荷重軟化点を意味する。粒度を調整したガラス粉末約50mgを白金セルに入れ、示差熱分析装置(DTA)を用いて、アルミナ粉末を標準試料として、室温から20K/minで昇温して得られたDTA曲線より、最初の吸熱の極小値の温度を軟化点とした。
【0073】
(比較例1)
酸化物換算組成が、酸化リチウム6.8%、酸化ケイ素23%、酸化ホウ素33%、酸化バリウム4.5%、酸化アルミニウム19.5%、酸化亜鉛2.8%、酸化マグネシウム5.8%、酸化カルシウム4.6%の低融点ガラスを用いた。この低融点ガラスのガラス転移点は497℃、軟化点は530℃、熱膨張係数は75×10-7/Kであった。ガラス成分は、予めアトラクターで微粉末とし、平均粒子径2.6μm、屈折率1.58の非球状粉末として使用した。この低融点ガラス粉末100重量部に対して、0.08重量部のアゾ系有機染料スダンIVをアセトンに溶解し、分散剤を加えてホモジナイザーで均質に撹拌し、この溶液中にガラス粉末を添加して均質に分散・混合後、ロータリーエバポレーターを用いてアセトンを蒸発させ、150〜200℃の温度で乾燥した。
【0074】
一方、γ−ブチロラクトンに感光性ポリマーを40%溶液になるように混合し、撹拌しながら60℃まで加熱して全てのポリマーを溶解した。用いた感光性ポリマーは、メタクリル酸40%、メチルメタクリレート30%およびスチレン30%からなる共重合体のカルボキシル基に対して0.4当量のグリシジルメタクリレートを付加反応させたもので、その重量平均分子量は43,000,酸価は95であった。
【0075】
室温の感光性ポリマー溶液に、感光性モノマー(以下に示すMGP400)、光重合開始剤(以下に示すIC−369)および増感剤(2,4−ジエチルチオキサントン)を加えて溶解させた。
MGP400:X2N-CH(CH3)-CH2-(OCH2CH(CH3))n-NX2
X:-CH2CH(H)-CH2O-CO-C(CH3)=CH2
n:2〜10
IC−369:‘Irgacure369’(チバガイギー社製品)
2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1
その後、この溶液を400メッシュのフィルターを用いて濾過し、有機ビヒクルを作製した。
【0076】
低融点ガラス、平均粒子径0.012μmのシリカ粉末(アエロジル社製、製品番号:200)であるフィラーAと有機ビヒクルを3本ローラで混合・分散して感光性ペーストを得た。感光性ペーストに含まれる各成分の量(重量部)は、低融点ガラス56、フィラーA14、感光性ポリマー19、感光性モノマー7.5、光重合開始剤2.4、増感剤2.4とした。低融点ガラスとフィラーAの混合比率は80:20であった。また、このときのフィラーAの粒度分布のピークは0.015μmである。
【0077】
この感光性ガラスペーストについて前述の方法により反射率を測定したところ、g線での全光線反射率は82%、直進反射率は1.5%であった。
【0078】
次いで、プラズマディスプレイパネルを作製した。まず、100mm角ガラス基板上に、平均粒径1.5μmの球状銀粉末および感光性有機成分を含む感光性銀ペーストを用いて、フォトリソグラフィ法により、ピッチ150μm、線幅40μmのストライプ状パターンを形成した。次に、空気中で580℃、20分間焼成し、銀含有量97.5%、ガラスフリット量2.5%の電極層を形成した。この電極層の厚みは、3.8μmであった。
【0079】
次にエチルセルロース5%のテルピネオール溶液30g、平均粒子径0.24μmのルチル型酸化チタン5g、ガラス粉末(酸化物表記の組成:酸化ビスマス67%、酸化ケイ素10%、酸化ホウ素12%、酸化アルミニウム3%、酸化亜鉛3%、酸化ジルコニウム5%)165gを混合・予備混練をした後、三本ローラにかけて誘電体ペーストを作製した。この誘電体ペーストを上記の電極層を形成したガラス基板上に、スクリーン印刷法でメッシュ325のスクリーンを用いて乾燥厚み22μmになるように塗布した。続いて570℃で30分間焼成して厚み12μmの誘電体層を形成した。
【0080】
次に、本比較例の感光性ガラスペーストを、325メッシュのスクリーンを用いたスクリーン印刷により塗布した。塗布膜にピンホールなどの発生を回避するために塗布・乾燥を数回繰り返し行い、膜厚の調整を行った。途中の乾燥は80℃で10分間行った。その後、80℃で1時間保持して乾燥した。乾燥後の塗布膜厚さは160μmとした。
【0081】
続いて、150μmピッチ、線幅20μmのネガ用のクロムマスクを用いて、上面から20mW/cm2出力の超高圧水銀灯で露光量1J/cm2のプロキシミティ露光を施した。露光後のパターンを、35℃に保持したモノエタノールアミンの0.2%水溶液をシャワーで300秒間かけることにより現像し、その後、シャワースプレーにより光硬化していないスペース部分を水洗除去してガラス基板上にストライプ状の隔壁パターンを形成した。
【0082】
このようにして得られた隔壁パターンを空気中、560℃で30分間焼成して白色隔壁を形成した。形成された隔壁の断面形状を電子顕微鏡で観察したところ、高さ130μm、隔壁中央部の線幅30μm、ピッチ150μmの良好な形状であった。この隔壁の気孔率は4%であった。
【0083】
次に、ディスペンサーを用いて隔壁間に、赤色、緑色、青色に発光する蛍光体粉末を含有する蛍光体ペーストを塗布し、乾燥することにより蛍光体層を形成してプラズマディスプレイパネル用の背面板を得た。
【0084】
次に、この背面板とプラズマディスプレイパネル用の前面板とを合わせ、封着、ガス封入し、駆動回路を接続してプラズマディスプレイを得た。このパネルに電圧を印加して表示を行い、全面点灯時の輝度を大塚電子社製の測光機MCPD−200を用いて測定したところ、輝度は400cd/m2であり、また色純度は、(Rx、Ry)=(0.66,0.28)、(Gx、Gy)=(0.10,0.76)、(Bx、By)=(0.16,0.035)で、鮮明かつ美麗な表示特性を得ることができた。
【0085】
比較例2
低融点ガラスとフィラーAの混合比を85:15とした以外は比較例1を繰り返した。焼成後の全光線反射率は68%、直進反射率は1.2%あった。またこの感光性ガラスペーストを用いて作製したプラズマディスプレイパネルは、輝度が380cd/m2 であり、色純度は、(Rx、Ry)=(0.68,0.31)、(Gx、Gy)=(0.10,0.77)、(Bx、By)=(0.17、0.045)で、鮮明かつ美麗な表示特性をを得ることができた。この隔壁の気孔率は4%であった。
【0086】
比較例3
フィラーAとして平均粒子径0.03μmのシリカ粉末(ナノテック社製)を用いた以外は、比較例1を繰り返した。焼成後の全光線反射率は78%、直進反射率は1.4%であった。またこの感光性ガラスペーストを用いて作製したプラズマディスプレイパネルは、輝度が420cd/m2であり、良好な表示特性を得ることができた。この隔壁の気孔率は3%であった。
【0087】
比較例4
フィラーAとして平均粒子径0.013μmのアルミナ粉末(石原産業社製、製品番号:TTO−51)を用いた以外は、比較例1を繰り返した。焼成後の全光線反射率は81%、直進反射率は1.1%であった。またこの感光性ガラスペーストを用いて作製したプラズマディスプレイパネルは、輝度が380cd/m2であり、良好な表示特性を得ることができた。この隔壁の気孔率は4%であった。
【0088】
比較例5
フィラーAとして平均粒子径0.021μmのチタニア粉末(デグサ社製、製品番号:P25)を用いた以外は、比較例1を繰り返した。焼成後の全光線反射率は84%、直進反射率は0.7%であった。またこの感光性ガラスペーストを用いて作製したプラズマディスプレイパネルは、輝度が440cd/m2であり、また色純度は、(Rx、Ry)=(0.66,0.26)、(Gx、Gy)=(0.09,0.78)、(Bx、By)=(0.18,0.03)で、鮮明かつ美麗な表示特性を得ることができた。この隔壁の気孔率は5%であった。
【0089】
比較例6
フィラーAとして、平均粒子径0.005μmのチタニア系微粒子を含有する溶液濃度20%を用いた以外は、比較例1を繰り返した。ここで用いたチタニア系微粒子(触媒化成社製、“オプトレイク”502)は、酸化チタン41.8%、酸化錫37.1%、酸化ケイ素21.1%から構成されたものであった。
【0090】
焼成後の全光線反射率は80%、直進反射率は1.5%であった。またこの感光性ガラスペーストを用いて作製したプラズマディスプレイパネルは、輝度が450cd/m2であり、また色純度は、(Rx、Ry)=(0.67,0.29)、(Gx、Gy)=(0.09,0.78)、(Bx、By)=(0.17,0.04)で、鮮明かつ美麗な表示特性をを得ることができた。この隔壁の気孔率は4%であった。
【0091】
比較例7
フィラーAとして平均粒子径0.008μmのチタニア系粉末を用いた以外は、比較例1を繰り返した。ここで用いたチタニア系微粒子(触媒化成社製、“オプトレイク”507)は、酸化チタン41%、酸化錫44%、酸化ケイ素15%から構成されたものであった。
【0092】
焼成後の全光線反射率は86%、直進反射率は1.3%であった。またこの感光性ガラスペーストを用いて作製したプラズマディスプレイパネルは、輝度が460cd/m2であり、また色純度は、(Rx、Ry)=(0.69,0.29)、(Gx、Gy)=(0.10,0.78)、(Bx、By)=(0.18,0.03)で、鮮明かつ美麗な表示特性をを得ることができた。この隔壁の気孔率は2%であった。
【0093】
比較例8
フィラーとして平均粒子径0.015μmのジルコニア粉末(ナノテック社製)を用いた以外は、比較例1を繰り返した。焼成後の全光線反射率は73%、直進反射率は1.6%であった。またこの感光性ガラスペーストを用いて作製したプラズマディスプレイパネルは、輝度が400cd/m2であり、良好な表示特性を得ることができた。この隔壁の気孔率は5%であった。
【0094】
比較例9
感光性モノマーとして、MGP400の代わりにビス(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)n−プロピルアミン(GMPA)を用いた他は比較例1を繰り返した。焼成後の全光線反射率は75%、直進反射率は1.6%であった。またこの感光性ガラスペーストを用いて作製したプラズマディスプレイパネルは、輝度が400cd/m2であり、また色純度は、(Rx、Ry)=(0.68,0.30)、(Gx、Gy)=(0.11,0.78)、(Bx、By)=(0.16,0.046)で、鮮明かつ美麗な表示特性をを得ることができた。この隔壁の気孔率は4%であった。
【0095】
実施例1
低融点ガラスとして、比較例1と同じものを用いた。フィラーCとして、酸化物換算組成が、酸化珪素38%、酸化ホウ素10%、酸化バリウム5%、酸化カルシウム4%、酸化アルミニウム36%、酸化亜鉛2%、酸化マグネシウム5%の高融点ガラスを用いた。この高融点ガラスのガラス転移点は652℃、軟化点は746℃、熱膨張係数43×10-7/K、ピーク粒子径2.4μmで平均屈折率は1.59であった。またフィラーBとして、ピーク粒子径が0.012μmのシリカ粉末を用いた。
【0096】
この低融点および高融点ガラス粉末100重量部に対して、0.08重量部のアゾ系有機染料“スダンIV”をアセトンに溶解し、分散剤を加えてホモジナイザーで均質に撹拌し、この溶液中にガラス粉末を添加して均質に分散・混合後、ロータリーエバポレーターを用いてアセトンを蒸発させ、150〜200℃の温度で乾燥した。
【0097】
感光性ポリマー溶液として、比較例1と同じものを用いた。室温の感光性ポリマー溶液に、感光性モノマー(MGP400)、光重合開始剤(IC−369)、ゲル化防止剤(ベンゾチアゾール)、分散剤(“ノプコスパース”)、重合禁止剤(ハイドロキノンモノエチルエーテル)および可塑剤(ジブチルフタレート)を加えて溶解させた。その後、この溶液を400メッシュのフィルターを用いて濾過し、有機ビヒクルを作製した。
【0098】
溶剤を除去した有機成分の配合割合は、感光性ポリマー38%、感光性モノマー38%、光重合開始剤9.2%、ゲル化防止剤8.1%、分散剤1.4%、重合禁止剤0.3%、可塑剤4.2%である。
【0099】
低融点ガラス、高融点ガラス(フィラーC)よびフィラーBと有機ビヒクルを3本ローラで混合・分散して感光性ペーストを得た。感光性ペーストに含まれる各成分(重量部)は、低融点ガラス50、高融点ガラス(フィラーC)12、フィラーB3.3、感光性有機成分35とした。無機成分中の低融点ガラス、フィラーCおよびフィラーBの混合比率は76.6:18.4:5となる。
【0100】
この感光性ガラスペーストについて前述の方法により反射率を測定したところ、全光線反射率は78%、直進反射率は1.4%であった。
形成された隔壁の断面形状を電子顕微鏡で観察したところ、高さ135μm、隔壁中央部の線幅33μm、ピッチ150μmの良好な形状であった。この隔壁の気孔率は4%であった。
【0101】
次に、ディスペンサーを用いて隔壁間に、赤色、緑色、青色に発光する蛍光体粉末を含有する蛍光体ペーストを塗布し、乾燥することにより蛍光体層を形成して、プラズマディスプレイパネル用の背面板を得た。
【0102】
次に、この背面板とプラズマディスプレイパネル用の前面板とを合わせ、封着、ガス封入し、駆動回路を接続してプラズマディスプレイを得た。このパネルに電圧を印加して表示を行い、全面点灯時の輝度を大塚電子社製の測光機MCPD−200を用いて測定したところ、輝度は400cd/m2であり、また色純度は、(Rx、Ry)=(0.66,0.28)、(Gx、Gy)=(0.10,0.76)、(Bx、By)=(0.16,0.055)で、鮮明かつ美麗な表示特性を得ることができた。
【0103】
実施例2
フィラーBとしてピーク粒子径0.03μmのチタニア粉末(石原産業製、製品番号:TTO−55)を用いた以外は、実施例1を繰り返した。焼成後の全光線反射率は80%、直進反射率は1.4%であった。またこの感光性ガラスペーストを用いて作製したプラズマディスプレイパネルは、輝度が420cd/m2であり、また色純度は、(Rx、Ry)=(0.67,0.27)、(Gx、Gy)=(0.09,0.75)、(Bx、By)=(0.16,0.025)で、鮮明かつ美麗な表示特性を得ることができた。この隔壁の気孔率は3%であった。
【0104】
実施例3
フィラーBとしてピーク粒子径0.005μmのチタニア粉末(石原産業製)を用いた以外は、実施例1を繰り返した。焼成後の全光線反射率は80%、直進反射率は1.7%であった。またこの感光性ガラスペーストを用いて作製したプラズマディスプレイパネルは、輝度が420cd/m2であり、また色純度は、(Rx、Ry)=(0.67,0.28)、(Gx、Gy)=(0.11,0.77)、(Bx、By)=(0.17,0.045)で、鮮明かつ美麗な表示特性を得ることができた。この隔壁の気孔率は3%であった。
【0105】
実施例4
フィラーBとしてピーク粒子径0.008μmのチタニア粉末を用いた以外は、実施例1を繰り返した。焼成後の全光線反射率は75%、直進反射率は2.0%であった。またこの感光性ガラスペーストを用いて作製したプラズマディスプレイパネルは、輝度が390cd/m2であり、また色純度は、(Rx、Ry)=(0.66,0.26)、(Gx、Gy)=(0.12,0.76)、(Bx、By)=(0.16,0.052)で、鮮明かつ美麗な表示特性を得ることができた。この隔壁の気孔率は5%であった。
【0106】
実施例5
フィラーBとしてピーク粒子径0.013μmのアルミナ粉末(デグサ社製、製品番号:アルミナC)を用いた以外は、実施例1を繰り返した。焼成後の全光線反射率は73%、直進反射率は1.6%であった。またこの感光性ガラスペーストを用いて作製したプラズマディスプレイパネルは、輝度が430cd/m2であり、また色純度は、(Rx、Ry)=(0.66,0.25)、(GX、Gy)=(0.09,0.76)、(Bx、By)=(0.17,0.045)で、鮮明かつ美麗な表示特性を得ることができた。この隔壁の気孔率は4%であった。
【0107】
実施例6
フィラーBとしてピーク粒子径0.02μmのジルコニア粉末(ナノテック社製)を用いた以外は、実施例1を繰り返した。焼成後の全光線反射率は65%、直進反射率は1.2%であった。またこの感光性ガラスペーストを用いて作製したプラズマディスプレイパネルは、輝度が390cd/m2であり、また色純度は、(Rx、Ry)=(0.67,0.29)、(GX、Gy)=(0.10,0.76)、(Bx、By)=(0.17,0.040)で、鮮明かつ美麗な表示特性を得ることができた。この隔壁の気孔率は5%であった。
【0108】
実施例7
フィラーBとしてピーク粒子径0.03μmのシリカ粉末を用い、低融点ガラス、高融点ガラスとフィラーBの混合比率を75:18.3:6.7とした以外は、実施例1を繰り返した。焼成後の全光線反射率は80%、直進反射率は1.4%であった。またこの感光性ガラスペーストを用いて作製したプラズマディスプレイパネルは、輝度が440cd/m2であり、良好な表示特性が得られた。この隔壁の気孔率は2%であった。
【0109】
実施例8
低融点ガラスとして下記の酸化物換算組成および熱特性を有するものを用いた以外は実施例1を繰り返した。低融点ガラス組成:酸化リチウム8.6%、酸化珪素20.1%、酸化ホウ素31%、酸化アルミニウム20.6%、酸化バリウム3.8%、酸化マグネシウム5.9%、酸化カルシウム4.2%、酸化亜鉛2.1%。ガラス転移点472℃、軟化点515℃、熱膨張係数83×10-7/K、屈折率1.59焼成後の全光線反射率は83%、直進反射率は1.1%であった。またこの感光性ガラスペーストを用いて作製したプラズマディスプレイパネルは、輝度が410cd/m2で、良好な表示特性が得られた。この隔壁の気孔率は4%であった。
【0110】
実施例9
高融点ガラスの代わりにピーク粒子径2.5μmのコーディエライトを用いたほかは、実施例1を繰り返した。焼成後の全光線反射率は60%、直進反射率は2.0%であった。またこの感光性ガラスペーストを用いて作製したプラズマディスプレイパネルは、輝度が450cd/m2で、良好な表示特性が得られた。この隔壁の気孔率は3%であった。
【0111】
比較例10
電子放出素子を用いたディスプレイは、電子放出素子を作製した電子源を固定する背面基板と、蛍光体層とメタルバックが形成された前面基板を封着して作製した。前面基板と背面基板との間には、支持枠と耐大気圧支持部材としての隔壁(スペーサー)を作製した。
【0112】
表面伝導型電子放出素子および電極間配線を形成した基板上に、比較例1で用いた感光性ペーストをスクリーン印刷により全面塗布・乾燥し、これを繰り返して乾燥厚みが約1.0mmの塗布膜を形成した。この塗布膜に、幅2mmのストライプ状の開口部を1cmピッチで有するフォトマスクを密着させて、出力15mW/cm2の超高圧水銀灯で紫外線露光した。露光量は1.2J/cm2とした。
【0113】
次に、2回目の感光性ペーストの塗布・乾燥を行って、最初と同様の厚みの2段目の塗布膜を形成し、今度は開口部幅1.6mmのフォトマスクを最初の露光部に対応するようにアライメントして同様に露光した。この手法を3段目まで繰り返し、3段目には幅1.2mmの開口部を有するフォトマスクを使用した。このように露光処理の終わった塗布膜を比較例1と同様の手段で現像・水洗して、、断面が3段の雛壇状の高さ2.3mmのストライプ状の隔壁(スペーサー)パターンを形成した。これを空気中560℃で30分間焼成し、電子放出素子を用いたディスプレイ用の背面基板を得た。
【0114】
一方、ブラックマトリクスおよび3原色に発光する蛍光体層を形成しメタルバックを設けた前面基板を別途作成し、上記背面基板と封着して電子放出素子を用いたディスプレイを得た。得られたディスプレイは、白色隔壁の効果によりディスプレイの輝度は、380cd/m2となり向上した。
【0115】
実施例10
実施例1で用いた感光性ペーストを用いた以外は、比較例10を繰り返した。得られたディスプレイは、白色隔壁の効果により輝度が向上した。得られたディスプレイの輝度は、350cd/m2で、良好な表示特性が得られた。
【0116】
比較例11
フィラーAとして平均粒子径0.24μmのシリカ粉末(石原産業社製、製品番号:CR−EL)を用いた以外は、比較例1を繰り返した。隔壁パターンの形状が頭頂部に膨らみがあり、底部がくびれたものとなり、ディスプレイ用の隔壁として不都合であった。
【0117】
比較例12
フィラーAとして平均粒径0.15μmのアルミナ粉末を用いた以外は、比較例1を繰り返した。形成された隔壁パターンは頭頂部に膨らみがあり、底部がくびれたものとなり、ディスプレイ用の隔壁として不都合であった。
【0118】
比較例13
比較例1において、フィラーAとして平均粒子径2.5μmのコーディエライトを用いた。隔壁パターンの形成は良好に行われたが、焼成後の全光線反射率は50%以下であり、作製したプラズマディスプレイパネルにおいては、輝度は、100cd/m2であり、輝度の向上効果がなく、隣の発光の洩れが観測され、色純度の低下が認められた。
【0119】
比較例14
比較例1において、低融点ガラスの代わりに酸化物換算組成が、酸化珪素38%、酸化ホウ素10%、酸化バリウム5%、酸化カルシウム4%、酸化アルミニウム36%、酸化亜鉛2%、酸化マグネシウム5%の高融点ガラスをフィラーAとして用いた。この高融点ガラスのガラス転移点は652℃、軟化点は746℃、熱膨張係数43×10-7/K、平均粒子径2.4μmで平均屈折率は1.59であった。
【0120】
隔壁パターンの形成は良好に行われたが、焼成後の全光線反射率は50%以下であり、作製したプラズマディスプレイパネルにおいては、輝度は、140cd/m2であり、輝度の向上効果がなく、隣の発光の洩れが観測され、色純度の低下があった。
【0121】
比較例15
フィラーBの代わりにピーク粒子径0.25μmのチタニア粉末を用いた以外は、実施例1を繰り返した。隔壁パターンの形状が頭頂部に膨らみがあり、底部がくびれたものとなり、ディスプレイ用の隔壁として不都合であった。
【0122】
比較例16
フィラーBの代わりにピーク粒子径0.15μmのアルミナ粉末を用いた以外は、実施例5を繰り返した。形成された隔壁パターンは頭頂部に膨らみがあり、底部がくびれたものとなり、ディスプレイ用の隔壁として不都合であった。
【0123】
比較例17
低融点ガラスと高融点ガラス(フィラーC)とフィラーBとの混合比率を95:3:2とした以外は実施例1を繰り返した。良好な形状の隔壁が得られたが、作製したプラズマディスプレイパネルは、輝度が150cd/m2であり、本発明の目的の表示特性を満足するものではなかった。
【0124】
比較例18
低融点ガラスと高融点ガラス(フィラーC)とフィラーBとの混合比率を45:35:20とした以外は実施例1を繰り返した。隔壁形状が不良であり、隔壁強度も不足であった。
【0125】
【発明の効果】
本発明によれば、良好なパターニングが可能でコスト的にも有利なフォトリソグラフィ法により、輝度や色純度向上に寄与する反射率の高い白色隔壁を有するディスプレイ用部材を提供することができる。
Claims (2)
- 低融点ガラス50〜90重量%とフィラー10〜50重量%からなる無機微粒子と感光性有機成分を含有する感光性ペーストを基板上に塗布・乾燥し、フォトリソグラフィ法でパターニングし、パターンを焼成して隔壁を形成する工程を含むことを特徴とするディスプレイ用部材の製造方法であって、前記フィラーの粒度分布が少なくとも2つ以上のピークを有し、かつ、少なくとも1種の前記フィラーのピークが0.005〜0.08μmの範囲内にあることを特徴とするディスプレイ用部材の製造方法。
- 低融点ガラス50〜90重量%とフィラー10〜50重量%からなる無機微粒子と感光性有機成分を含有する感光性ペーストであって、前記フィラーの粒度分布が少なくとも2つ以上のピークを有し、かつ、少なくとも1種の前記フィラーのピークが0.005〜0.08μmの範囲内にあることを特徴とするディスプレイの隔壁形成用感光性ぺースト。
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