JP2002356612A - 生分解性樹脂水系分散体及び生分解性複合材料 - Google Patents

生分解性樹脂水系分散体及び生分解性複合材料

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JP2002356612A
JP2002356612A JP2001163039A JP2001163039A JP2002356612A JP 2002356612 A JP2002356612 A JP 2002356612A JP 2001163039 A JP2001163039 A JP 2001163039A JP 2001163039 A JP2001163039 A JP 2001163039A JP 2002356612 A JP2002356612 A JP 2002356612A
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biodegradable resin
lactic acid
acid
dispersion
resin
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English (en)
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Koichi Niizeki
恒一 新関
Masahiro Okuya
正宏 奥谷
Katsuhisa Kamio
克久 神尾
Osamu Yokomizo
修 横溝
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Miyoshi Yushi KK
Miyoshi Oil and Fat Co Ltd
Original Assignee
Miyoshi Yushi KK
Miyoshi Oil and Fat Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繊維製品や紙製品等への塗工用等として利用
して、繊維製品や紙製品の耐水性、耐油性、気密性、光
沢、熱接着性等の樹脂膜物性を向上できると共に、繊維
製品や紙製品の生分解性を低下させることがなく、安定
した分散性を有する生分解性樹脂水系分散体を提供す
る。 【解決手段】 本発明の生分解性樹脂水系分散体は、生
分解性樹脂が分散安定化剤の存在下に水に分散安定化さ
れている水系分散体であって、全生分解性樹脂中の乳酸
系生分解性樹脂の割合が50重量%以上であり、且つ乳
酸系生分解性樹脂が、光学異性体としてL型乳酸とD型
乳酸の割合が、重量比でL型乳酸:D型乳酸=75:2
5〜95:5である乳酸モノマー成分を60重量%以上
含有するものであることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は生分解性樹脂水系分
散体及び生分解性複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】紙、パ
ルプ、動植物繊維の不織布、織布、編布、皮革製品等の
動植物性素材よりなる製品は、微生物等によって分解さ
れ易く、埋没による廃棄処分が容易であるが、これらの
動植物性素材は耐水性、耐溶剤性、気密性、強度等の物
性が充分でない場合が多い。このため、動植物性素材に
各種の合成樹脂液等を塗布したり、噴霧したり、含浸さ
せる等によって、動植物性素材に合成樹脂被膜を形成し
た複合素材とすることにより、これらの問題の改善を図
ってきた。
【0003】しかしながら、従来より動植物性素材と複
合化するために用いられていた合成樹脂は、微生物等に
よる分解が極めて遅いため、埋没による廃棄処分が困難
であり、また燃焼カロリーが高いため焼却処分した場
合、焼却炉を傷める等の問題があり、更に一部の合成樹
脂は焼却時に有害ガスを発生して環境汚染を生じる虞れ
があった。従って、このような合成樹脂と動植物性素材
とを複合化した素材も当然、合成樹脂の有する上記問題
を生じる虞れがあり、このため近年は、従来の合成樹脂
にかわる生分解性樹脂の応用開発が進められている。
【0004】例えば、特開平4−334448号公報、
特開平5−311600号公報、特開平8−24483
6号公報等には、パルプ、繊維等と生分解性樹脂からな
る生分解性複合材料が提案されている。しかしながらこ
れらの生分解性複合材料を得るには生分解性樹脂の有機
溶媒溶液を用いる必要があり、しかも使用できる有機溶
媒は、塩素系溶媒や芳香族系溶媒に限定されるため、安
全面、環境面で好ましいものではなかった。
【0005】一方、特開平2−222421号公報に
は、ポリヒドロキシ酪酸・ポリヒドロキシ吉草酸共重合
体の水系分散体をコーティングした生分解性複合材料
が、特開平9−78494号公報には、ポリ乳酸及び/
又は他のヒドロキシカルボン酸との共重合物の粒子及び
充填剤を、水溶性高分子を用いて水分散させてなる水系
塗料組成物が提案されている。しかしながら、従来の生
分解性樹脂の水系分散体を用いた生分解性複合体は、生
分解性樹脂水系分散体の造膜性が十分でないために、樹
脂本来の耐水性、耐油性、強度等の機能を十分に発揮さ
せることが出来なかった。即ち、一般に分散粒子が大き
いと造膜性が悪く、製品である生分解性複合体における
被膜形成が不十分であるため、生分解性複合体は、耐水
性、耐油性、強度、気密性、表面光沢等の性能(以下、
これらの性能を樹脂膜特性と呼ぶことがある。)が十分
に得られ難い。分散粒子の径が小さく造膜性の良好な分
散体を調製するためには、多量の分散剤を用いる必要が
ある。しかしながら分散剤は通常、樹脂に比べて親水性
が高く、強度等の物理的性質も低いため、多量の分散剤
を用いると得られる生分解性樹脂複合体の耐水性や強度
が損なわれる虞れがある。更に分散剤と樹脂との相溶性
が十分でない場合には、光沢等の物性が低下するという
問題がある。また、生分解性複合体が耐熱性と耐水性を
要求される場合には、耐熱性の良好な高融点の生分解性
樹脂を用い、さらに分散剤の量を極力少なくする必要が
生じ、必然的に生分解性樹脂水系分散体における分散粒
子径は大きくなる。このような粒子径の大きな高融点生
分解性樹脂の水系分散体の造膜温度は著しく高くなり、
例えば塗工面同士、あるいは塗工面と非塗工面を熱接着
させようとする場合においても、低温での熱接着が困難
であり、特にポリ乳酸樹脂の場合には、高い温度で処理
しなければ造膜や熱接着が困難であるなどの問題があっ
た。従って、必要最小量の分散剤で優れた耐水性、耐油
性、強度、表面光沢などの機能を発揮する造膜性が良好
で実用的な生分解性樹脂水系分散体の出現が求められて
いた。これらの要求に応えるものとして、例えば特開2
001−11294には、特定の分散安定化剤を少量用
いることにより、耐水性などの樹脂膜特性と造膜性の両
者を満足させる方法が提案されているが、造膜性向上の
要求を完全に満たすものではなかった。
【0006】本発明は上記の現状に鑑みなされたもの
で、繊維製品や紙製品等の天然素材を原料とする製品へ
の塗工、含浸、噴霧、内部添加用等としての利用が可能
であり、多量の分散剤を用いることなく安定性に優れる
とともに比較的低温での造膜性に優れた生分解性樹脂水
系分散体を提供することを目的とする。また本発明は、
この生分解性樹脂水系分散体を用いた耐水性、光沢、熱
接着性等の樹脂膜特性に良好な生分解性複合材料を提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち本発明の生分解性樹
脂水系分散体は、生分解性樹脂が分散安定化剤の存在下
に水に分散安定化されている水系分散体であって、全生
分解性樹脂中の乳酸系生分解性樹脂の割合が50重量%
以上であり、且つ乳酸系生分解性樹脂が、光学異性体と
してL型乳酸とD型乳酸の割合が、重量比でL型乳酸:
D型乳酸=75:25〜95:5である乳酸モノマー成
分を60重量%以上含有するものであることを特徴とす
る。
【0008】本発明の生分解性樹脂水系分散体は、生分
解性樹脂が、乳酸系生分解性樹脂と、乳酸成分を含まな
い脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂とを重量比で、乳
酸系生分解性樹脂:脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂
=95:5〜50:50で含む混合物であるものが好ま
しい。また脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂として
は、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネ
ートアジペート、ポリブチレンサクシネートカーボネー
トより選ばれた1種又は2種以上の混合物を用いること
が好ましい。
【0009】本発明の生分解性樹脂水系分散体に用いら
れる分散安定化剤としては、平均分子量30万以上のカ
チオン性高分子化合物又は平均分子量30万以上のアニ
オン性高分子化合物が好ましい。
【0010】本発明の生分解性複合材料は、上記生分解
性樹脂水系分散体を、シート基材と複合化してなること
を特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の生分解性樹脂水系分散体
において、乳酸系生分解性樹脂としては、ポリ乳酸や、
乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体が用いら
れ、これらは単独又は2種以上を混合して用いることが
できる。
【0012】乳酸と共重合させる他のヒドロキシカルボ
ン酸としては、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、2
−ヒドロキシバレリン酸、2−ヒドロキシカプロン酸、
2−ヒドロキシヘプタン酸、2−ヒドロキシオクタン
酸、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸、2−ヒ
ドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ−2−エチ
ル酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチルバレリン酸、2−
ヒドロキシ−2−エチルバレリン酸、2−ヒドロキシ−
2−プロピルバレリン酸、2−ヒドロキシ−2−ブチル
バレリン酸、2−ヒドロキシ−2−メチルカプロン酸、
2−ヒドロキシ−2−エチルカプロン酸、2−ヒドロキ
シ−2−プロピルカプロン酸、2−ヒドロキシ−2−ブ
チルカプロン酸、2−ヒドロキシ−2−ペンチルカプロ
ン酸、2−ヒドロキシ−2−メチルヘプタン酸、2−ヒ
ドロキシ−2−エチルヘプタン酸、2−ヒドロキシ−2
−プロピルヘプタン酸、2−ヒドロキシ−2−ブチルヘ
プタン酸、2−ヒドロキシ−2−メチルオクタン酸、3
−ヒドロキシプロピオン酸、4−ヒドロキシ酪酸、5−
ヒドロキシバレリン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、7
−ヒドロキシヘプタン酸等が挙げられる。
【0013】本発明において用いるポリ乳酸や、乳酸と
他のヒドロキシカルボン酸との共重合体には、L型異性
体とD型異性体とが存在するが、本発明において用いる
乳酸系生分解性樹脂は、該樹脂を構成する乳酸モノマー
成分が、L型乳酸とD型乳酸とを重量比で、L型乳酸:
D型乳酸=75:25〜95:5で含むものであること
が必要である。乳酸モノマー成分中のL型乳酸の割合が
95重量部を超える(D型乳酸の割合が5重量部未満)
乳酸モノマーを用いた乳酸系生分解性樹脂より得た水系
分散体は、シート基材表面に皮膜を形成させる温度(造
膜温度)が高く、良好な皮膜を形成し得ないとともに、
乳酸系生分解性樹脂と脂肪族ポリエステル系生分解性樹
脂とを混合して用いる場合、両者の相溶性が低下して造
膜性が悪くなる。一方、乳酸モノマー成分中のL型乳酸
の割合が75重量部未満(D型乳酸の割合が25重量部
を超える)乳酸モノマーを用いた乳酸系生分解性樹脂よ
り得た生分解性水系分散体は、乳酸系生分解性樹脂が加
水分解性が高いために分散体の経時安定性が低下し、実
用に供することが困難となる。
【0014】本発明において用いる乳酸系生分解性樹脂
は、上記L型乳酸:D型乳酸=75:25〜95:5で
含む乳酸モノマー成分の割合が60重量%以上であるこ
とが必要である。従って、乳酸系生分解性樹脂として
は、L型乳酸:D型乳酸=75:25〜95:5で含む
乳酸のホモポリマーや、この乳酸60重量%以上と他の
ヒドロキシカルボン酸40重量%以下との共重合体を用
いることができる。乳酸系生分解性樹脂中の乳酸モノマ
ー成分の割合が60重量%未満であると、被膜の強度や
光沢、透明性などが損なわれる虞れがある。乳酸系生分
解性樹脂としては、乳酸モノマー成分の割合が、80重
量%以上であるものが特に好ましい。
【0015】本発明において生分解性樹脂としては、上
記乳酸系生分解性樹脂のみからなるものや、上記乳酸系
生分解性樹脂50重量部以上と他の生分解性樹脂との混
合物が用いられる。生分解性樹脂中の乳酸系生分解性樹
脂の割合が50重量部未満(他の生分解性性樹脂の割合
が50重量部を超える)の場合には、被膜の強度や光
沢、透明性などが損なわれる。乳酸系生分解性樹脂に脂
肪族ポリエステル系生分解性樹脂を混合して用いると、
本発明の生分解性樹脂水系分散体の造膜性や、形成され
る被膜の耐衝撃性を向上させることができる。乳酸系生
分解性樹脂の有する被膜強度、光沢、透明性等の優れた
特性を損なうことなく、造膜性や被膜の耐衝撃性を向上
させるためには、重量比で乳酸系生分解性樹脂:脂肪族
ポリエステル系生分解性樹脂=95:5〜50:50の
割合の混合物が好ましく、乳酸系生分解性樹脂:脂肪族
ポリエステル系生分解性樹脂=90:10〜70:30
の混合物がより好ましい。
【0016】乳酸系生分解性樹脂と混合して用いること
のできる、脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂として
は、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネ
ートアジペート、ポリブチレンサクシネートカーボネー
トが好ましく用いられる。脂肪族ポリエステル系生分解
性樹脂は、1種又は2種以上を混合して用いることがで
きる。
【0017】本発明において分散安定化剤としては、通
常のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非
イオン性界面活性剤、高分子界面活性剤、ポリビニルア
ルコール等の水溶性高分子を用いることができるが、平
均分子量30万以上のカチオン性高分子化合物、または
平均分子量30万以上のアニオン性高分子化合物の何れ
かを用いると、分散体の粒子径が十分に小さくなり好ま
しい。
【0018】上記分散安定化剤としての平均分子量30
万以上のカチオン性高分子化合物としては、カチオン性
アクリル系重合体、カチオン性ポリアミン系重合体が挙
げられる。カチオン性アクリル系重合体としては、メタ
クリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチル
アミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、
アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチル
アミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、ジ
メチルアミノメチルメタクリルアミド、ジメチルアミノ
エチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタ
クリルアミド、ジメチルアミノメチルアクリルアミド、
ジメチルアミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノ
プロピルアクリルアミド等のカチオン性アクリル系モノ
マーや、これらカチオン性アクリル系モノマーにハロゲ
ン化アルキル、ジアルキル硫酸、モノクロル酢酸等を反
応して得られる、例えばメタクリル酸ジメチルアミノエ
チルメチルクロライド塩、メタクリル酸ジエチルアミノ
エチルジメチル硫酸塩、メタクリル酸ジメチルアミノプ
ロピルクロル酢酸塩等の4級アンモニウム塩等の単独重
合体や共重合体が挙げられる。
【0019】共重合体としては、上記カチオン性アクリ
ル系モノマー及びその4級アンモニウム塩と、アクリル
酸アルキルエステル、アクリル酸ヒドロキシアルキルエ
ステル、アクリル酸ポリオキシエチレンエステル、アク
リル酸アルコキシポリオキシエチレンエステル、メタク
リル酸アルキルエステル、メタクリル酸ヒドロキシアル
キルエステル、メタクリル酸ポリオキシエチレンエステ
ル、メタクリル酸アルコキシポリオキシエチレンエステ
ル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアク
リルアミド、ジエチルアクリルアミド、イソプロピルア
クリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、ジエチルメ
タクリルアミド、メチロールアクリルアミド、モルホリ
ルアクリルアミド等のアクリルモノマー、エチルビニル
エーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、トリエチ
レングリコールビニルエーテル、メトキシトリエチレン
グリコールビニルエーテル等のビニルエーテル類、ヒド
ロキシエチルアリルエーテル、テトラエチレングリコー
ルアリルエーテル、メトキシエチレングリコールアリル
エーテル等のアリルエーテル類、酢酸ビニル、モノクロ
ル酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のカルボン酸ビニル
エステル類、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、メ
チルビニルイミダゾール等のビニルアミン類、ジアリル
アンモニウムクロライド、或いは上記カチオン性アクリ
ル系モノマー及びその4級アンモニウム塩と共重合可能
な不飽和結合を有するモノマーとの共重合体等が挙げら
れる。
【0020】カチオン性ポリアミン系重合体としては、
ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリ−3
−メチルプロピルイミン、ポリ−2−エチルプロピルイ
ミン等の環状イミンの重合体、ポリビニルアミン、ポリ
アリルアミン等の不飽和アミンの重合体等や、これらの
4級アンモニウム塩等のポリアミン系ポリマーが挙げら
れる。またこれらのポリアミン系ポリマーに、アルキル
基、ヒドロキシアルキル基、アシル基、ポリオキシアル
キレン基、カルボキシアルキル基等を付加したものも良
い。アルキル基はアルキルハライドを、ヒドロキシアル
キル基は1,2−エポキシアルカンを、アシル基はアシ
ルハライドを、ポリオキシアルキレン基は酸化エチレン
を、カルボキシアルキル基はモノクロル酢酸やアクリル
酸等を、それぞれポリアミン系ポリマーと反応させるこ
とにより付加させることができる。
【0021】カチオン性高分子化合物は、前記カチオン
性アクリル系重合体及びカチオン性ポリアミン系重合体
を、さらにシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル
酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン
酸、セバシン酸等の二塩基酸類や、これら二塩基酸類の
アルキルエステル類、ヘキサメチレンジイソシアネート
グリシジルエーテル、ジフェニルメタンジイソシアネー
ト等のジイソシアネート類、エチレングリコールジグリ
シジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジル
エーテル、オルソフタル酸ジグリシジルエーテル等のジ
エポキシ類、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリ
メチロールプロパンポリグリシジルエーテル等のポリグ
リシジルエーテル類、尿素、グアニジン類、二塩基酸ジ
ハライド、ジアルデヒド等で架橋したものでも良い。
【0022】本発明において、カチオン性高分子化合物
としてカチオン性アクリル系モノマーと他のモノマーと
の共重合体を用いる場合、カチオン性高分子化合物中に
おけるカチオン性アクリル系モノマーの含有率は30モ
ル%以上であることが好ましい。カチオン性高分子化合
物は、通常、適当な酸性化合物の塩として用いるのが好
ましく、このような酸性化合物としては、塩酸、硫酸、
蟻酸、リン酸等の無機酸、酢酸、蓚酸、酒石酸、リンゴ
酸、乳酸、安息香酸等の有機酸のいずれでも良いが、中
でも酢酸、リン酸、乳酸が安全性、価格、熱安定性、着
色性等の面で好ましい。
【0023】本発明において上記したカチオン性高分子
化合物うち、メタクリル酸ジメチルアミノエチルやその
中和物等のモノマー、或いはこれらモノマーの4級塩の
少なくとも一種を主成分とする重合体が好ましい。
【0024】一方、分散安定化剤としての平均分子量3
0万以上のアニオン性高分子化合物としては、不飽和モ
ノカルボン酸系単量体、不飽和ジカルボン酸系単量体、
不飽和スルホン酸系単量体等の単量体の単独重合体やこ
れら単量体相互の共重合体、これら不飽和モノカルボン
酸系単量体、不飽和ジカルボン酸系単量体、不飽和スル
ホン酸系単量体等の単量体と、共重合可能な他の単量体
(以下、単に他の単量体と呼ぶ。)との共重合体等が挙
げられる。不飽和モノカルボン酸系単量体としては、ア
クリル酸、メタクリル酸、クロトン酸やこれらの酸の中
和物、部分中和物等が挙げられ、不飽和ジカルボン酸系
単量体としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、
シトラコン酸やこれらの酸の中和物、部分中和物等が挙
げられ、不飽和スルホン酸系単量体としては、ビニルス
ルホン酸、アリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、
スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル
プロパンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレー
ト、スルホエチルマレイミド、3−アリロキシ−2−ヒ
ドロキシプロパンスルホン酸やこれらの中和物、部分中
和物等が挙げられる。
【0025】アニオン性高分子化合物として、上記不飽
和モノカルボン酸系単量体、不飽和ジカルボン酸系単量
体、不飽和スルホン酸系単量体等の単量体と他の単量体
との共重合体を用いる場合、他の単量体としては特に制
限はないが、例えば(メタ)アクリルアミド、イソプロ
ピルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド等のア
ミド系単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、
スチレン、2−メチルスチレン、酢酸ビニル等の疎水性
単量体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポ
リプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ア
リルアルコール、ポリエチレングリコールモノアリルエ
ーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテ
ル、3−メチル−3−ブテン−1−オール(イソプレノ
ール)、ポリエチレングリコールモノイソプレノールエ
ーテル、ポリプロピレングリコールモノイソプレノール
エーテル、3−メチル−2−ブテン−1−オール(プレ
ノール)、ポリエチレングリコールモノプレノールエス
テル、ポリプロピレングリコールモノプレノールエステ
ル、2−メチル−3−ブテン−2−オール(イソプレン
アルコール)、ポリエチレングリコールモノイソプレン
アルコールエーテル、ポリプロピレングリコールモノイ
ソプレンアルコールエーテル、N−メチロール(メタ)
アクリルアミド、グリセロールモノアリルエーテル、ビ
ニルアルコール等の水酸基含有単量体、(メタ)アクリ
ルアミドメタンホスホン酸、(メタ)アクリルアミドメ
タンホスホン酸メチルエステル、2−(メタ)アクリル
アミド−2−メチルプロパンホスホン酸等のリン含有単
量体、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリ
レート、エトキシプロピレングリコール(メタ)アクリ
レート等を挙げることができる。
【0026】アニオン性高分子化合物は、前記不飽和モ
ノカルボン酸系単量体、不飽和ジカルボン酸系単量体、
不飽和スルホン酸系単量体等の単量体の単独重合体やこ
れら単量体相互の共重合体、及びこれらの単量体と他の
単量体との共重合体等に、さらにシュウ酸、マロン酸、
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベ
リン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の二塩基酸類や、
これら二塩基酸類のアルキルエステル類、ヘキサメチレ
ンジイソシアネートグリシジルエーテル、ジフェニルメ
タンジイソシアネート等のジイソシアネート類、エチレ
ングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリ
コールジグリシジルエーテル、オルソフタル酸ジグリシ
ジルエーテル等のジエポキシ類、ソルビタンポリグリシ
ジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジル
エーテル等のポリグリシジルエーテル類、尿素、グアニ
ジン類、二塩基酸ジハライド、ジアルデヒド等で架橋し
たものでも良い。
【0027】アニオン性高分子化合物は、通常、適当な
塩基性化合物の塩として用いるのが好ましく、このよう
な塩基性化合物としては、アルカリ金属の水酸化物、ア
ルカリ土類金属の水酸化物、モノエタノールアミン、ジ
イソプロパノールアミン等のアミン化合物、アンモニア
等が用いられる。
【0028】アニオン性高分子化合物としては、上記し
た化合物のうち、メタクリル酸やその中和物の少なくと
も一種を主成分とする重合体が好ましい。
【0029】上記平均分子量30万以上のカチオン性高
分子化合物、平均分子量30万以上のアニオン性高分子
化合物は、単独で用いる場合に限らず、他の分散安定化
剤と併用した場合でも効果がある。
【0030】上記カチオン性高分子化合物やアニオン性
高分子化合物と混合して用いる分散安定化剤としてはポ
リビニルアルコールが好ましく、特に平均分子量30万
以上のカチオン性高分子や平均分子量30万以上のアニ
オン系高分子化合物と、特定のポリビニルアルコールと
を混合して用いると分散体の経時安定性が更に向上する
ため好ましい。このような特定のポリビニルアルコール
としては、鹸化度70〜90%、平均分子量5〜30万
のものが好ましい。特に、生分解性樹脂水系分散体にお
ける生分解性樹脂の分散安定性をより高めるとともに、
生分解性水系分散体を用いて得た複合材料の耐水性を高
める上で、平均分子量30万以上のカチオン性高分子化
合物又は平均分子量30万以上のアニオン性高分子化合
物と、上記ポリビニルアルコールとを、重量比で、カチ
オン性高分子化合物又はアニオン性高分子化合物:ポリ
ビニルアルコール=8:2〜1:9の割合で使用するこ
とが好ましい。上記カチオン性高分子化合物又はアニオ
ン性高分子化合物と、ポリビニルアルコールとの更に好
ましい割合は、重量比でカチオン性高分子化合物又はア
ニオン性高分子化合物と、ポリビニルアルコール=5:
5〜2:8である。
【0031】分散安定化剤の使用量は、生分解性樹脂重
量の0.1重量%〜5.0重量%相当量が好ましく、
0.5重量%〜1.0重量%相当量がより好ましい。
【0032】本発明の生分解性樹脂水系分散体には、必
要に応じて上記成分以外に更に、増粘剤、表面平滑剤、
離型剤、撥水剤(疎水性向上剤)、防錆剤、流動性調製
剤、可塑剤、着色剤等を含有せしめることができ、増粘
剤としては、ポリエチレングリコール等のポリアルコキ
シド系高分子、メチルセルロース、カルボキシメチルセ
ルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエ
チルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロース等のセルロース誘導体、カチオン化澱粉、エーテ
ル化澱粉等の澱粉誘導体、アラビアガム、グアーガム、
キサンタンガム等の植物ガム、カゼイン、キトサン、キ
チン等の動物性高分子等が挙げられる。一方、表面平滑
性、離型性、撥水性等を改善するために、天然ワック
ス、合成ワックス等のワックス類を含有させることがで
きる。天然ワックスとしては、キャンデリラワックス、
カルナバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ固
体ろう等の植物系天然ワックス、みつろう、ラノリン、
鯨ろう等の動物系天然ワックス、モンタンワックス、オ
ゾケライト、セレシン等の鉱物系天然ワックス、パラフ
ィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロ
ラタムワックス等の石油系天然ワックス等が挙げられ
る。また合成ワックスとしては、フィッシャー・トロプ
シュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素
類、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導
体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等の変性ワッ
クス、硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体等の水素化ワ
ックス、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸
アミド、無水フタル酸イミド等が挙げられる。
【0033】上記生分解性水系分散体をシート基材と複
合化してなる本発明の生分解性複合材料は、上記生分解
性樹脂水系分散体を、紙、パルプ、動植物繊維の不織
布、織布、編布、皮革製品等の動植物素材からなる製品
に複合化して得られ、これらの製品の撥水・撥油性、耐
水性、気密性、表面光沢等を向上させることができる。
複合化方法としては、本発明の水系分散体を、動植物素
材からなるシート状物、板状物、不織布、織布、編布、
成形品等の製品の表面に塗布したり噴霧したり、これら
の製品に含浸させた後、加熱ロール、プレス、金型等に
よって加熱、加圧処理する方法等が挙げられる。また、
これらの製品の製造原料として用いる動植物素材の粉
末、粒状体、スラリー、ペースト等に添加して複合化し
たり、他の天然素材、例えば粘土、砂等の無機系鉱物質
等の粉末、粒状体相互を結合するためのバインダーとし
て用いて粉末、粒状体等と複合化しても良い。例えば、
シート基材が紙の場合、生分解性樹脂水系分散体をパル
プスラリー中に添加して抄紙することにより、パルプと
生分解性樹脂とを複合化させることができる。
【0034】本発明の生分解性樹脂水系分散体を、動植
物素材からなる製品の耐水性、耐溶剤性等を高めるため
に用いる場合、離型性・疎水性向上剤として天然ワック
ス及び/又は合成ワックスを含有していることが好まし
い。天然ワックス及び/又は合成ワックスを含有する場
合、製品の撥水・撥油性、耐水性、耐油性、気密性等の
より向上を図ることができるとともに、加工時の熱処理
工程における加熱ロール、プレス、金型等からの離型性
が向上するため好ましい。
【0035】本発明の生分解性樹脂水系分散体は、例え
ば攪拌装置を有する密閉槽内に、生分解性樹脂、可塑
剤、分散安定化剤、及び水を同時に仕込み、加熱攪拌し
ながら加圧して生分解性樹脂を分散させる加圧分散法、
常圧または加圧下に保持されている熱水中に、生分解性
樹脂、可塑剤、分散安定化剤とを含む溶融物を添加攪拌
して分散させる直接分散法、生分解性樹脂の有機溶媒溶
液を、可塑剤、分散安定化剤を含む水溶液中に添加攪拌
して分散させた後、有機溶媒を除去する方法、生分解性
樹脂を加熱溶融させ、これに可塑剤、分散安定化剤とを
含む水溶液を添加攪拌して生分解性樹脂を水に分散させ
る転相法等により得ることができる。
【0036】上記以外の方法でも、生分解性樹脂の水系
分散体を得ることができる方法であれば適宜採用するこ
とができるが、生分解性樹脂の幅広い種類に適応が可能
な点で、上記した生分解性樹脂の有機溶媒溶液を、可塑
剤、分散安定化剤とを含む水溶液中に添加攪拌して分散
させる方法が好ましい。また水系分散体を調製するに際
し、必要により高圧ホモゲナイザー等の分散装置を併用
しても良い。
【0037】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。
【0038】実施例1〜5、比較例1〜4 表1に示す生分解性樹脂、分散安定化剤、脱イオン水、
酢酸エチルを同表に示す割合でホモミキサーを装着した
オートクレーブ中に仕込み、100℃に加熱して10,
000r.p.m.で3分間撹拌した後、40℃まで急冷し
た。その後、減圧下に酢酸エチルを除去して生分解性樹
脂水系分散体を得た。尚、分散安定化剤としてカチオン
性高分子化合物を用いた場合、pHが6以上のときには
酢酸でpHを6に調整し、アニオン性高分子化合物を用
いた場合、pHが8以下のときには水酸化ナトリウムで
pHを8に調整してから加熱、撹拌した。得られた各水
系分散体中に分散している生分解性樹脂の粒子径を比較
するために、水系分散体の製造直後に粒度分布測定装置
(堀場製作所株式会社製:LA−910型粒度分布測定
装置)にて分散している生分解性樹脂の粒子径(メジア
ン径及び平均径)を測定した。またこの水系分散体を、
20℃と40℃の雰囲気下で保持し、それぞれの温度に
おける水系分散体の経時安定性を評価した。これらの結
果を表1にあわせて示す。
【0039】
【表1】
【0040】表1に示した水系分散体の安定性は、10
0mlのスクリュー管に水系分散体50mlを入れ、2
0℃と40℃の恒温槽中で静置した後、1カ月後及び2
カ月後の分散状態を目視観察し、 ◎・・・分離が認められない。 ○・・・分離が認められるが、沈殿物の発生は認められ
ない。 △・・・分離が認められるが、スクリュー管の横倒し、
立て直し操作を10回繰り返すと、再分散して均一とな
る。 ×・・・分離が認められると共に沈降物がハードケーキ
状となり、スクリュー管の横倒し、立て直し操作を10
回繰り返しても再分散しない。 として評価した。また、製造直後と40℃にて2ヶ月静
置後の水系分散体の酸価を基準油脂分析法に基づき測定
し、樹脂中のエステル結合の加水分解によって生じるカ
ルボキシル基の増加を見た。
【0041】尚、上記表1に示す生分解性樹脂、分散安
定化剤等は以下の通りである。
【0042】乳酸系生分解性樹脂 (1)乳酸系生分解性樹脂A:L型異性体:D型異性体
=90:10(重量比)であり、平均分子量17万、ガ
ラス転移温度56℃のポリ乳酸。 (2)乳酸系生分解性樹脂B:L型異性体:D型異性体
=80:20(重量比)であり、平均分子量19万、ガ
ラス転移温度52℃のポリ乳酸。 (3)乳酸系生分解性樹脂C:L型異性体:D型異性体
=65:35(重量比)であり、平均分子量10万、ガ
ラス転移温度41℃のポリ乳酸。 (4)乳酸系生分解性樹脂D:L型異性体:D型異性体
=99:1 (重量比)であり、平均分子量20万、融
点176℃、ガラス転移温度61℃のポリ乳酸。
【0043】脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂 (1)脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂A:平均分子
量12万、融点95℃、ガラス転移温度−45℃のポリ
ブチレンサクシネート。 (2)脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂B:平均分子
量4万、融点60℃、ガラス転移温度−60℃のポリカ
プロラクトン。
【0044】分散安定化剤 (1)分散安定化剤A:アクリルアミド/メタクリル酸
(重量比で83:17)共重合体(平均分子量2000
万) (2)分散安定化剤B:アクリルアミド/メタクリル酸
ジメチルアミノエチル(重量比で30:70)共重合体
(平均分子量730万) (3)分散安定化剤C:アクリルアミド/メタクリル酸
(重量比で92:8)共重合体(平均分子量10万) (4)分散安定化剤D:ポリビニルアルコール(鹸化
度:81.0%、平均分子量22万)
【0045】上記実施例1〜5、及び水系分散体が得ら
れた比較例1〜3について、各水系分散体を、中性上質
紙(坪量70g/m)にバーコーターNo.20で塗
工し、40℃の熱風乾燥機中で30分間乾燥した後、フ
ェロ板に挟み、株式会社羽島製全自動転写プレス:HP
−84にて130℃、200g/cm、及び160
℃、200g/cmの条件にて1分間プレスして処理
した。次いで処理紙をJIS−P−8111に準拠し、
20℃、60%RHで前処理した後、撥水性(耐水
性)、撥油性(耐油性)、表面光沢、生分解性を測定し
た。130℃でプレスした場合の結果を表2に、160
℃でプレスした場合の結果を表3に、40℃で2ヶ月静
置した後の試料について160℃でプレスした場合の結
果を表4にそれぞれ示す。また、さらに、上記の各水系
分散体を、檜の木片(幅8mm、長さ60mm、厚さ2
mm)に刷毛塗りし自然乾燥した後、塗工面同士を長さ
方向に4mm重ね合わせ、フェロ板に挟んで上記のプレ
ス装置にてプレスして処理した後、処理片の引張り強度
を測定し、引っ張り強度の大きさにより熱接着性の良否
を評価した。引っ張り強度は、130℃、200g/c
で5分プレスした場合と、160℃、200g/c
で5分プレスした場合について測定した。これらの
評価結果を表5に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】※1:撥水性は、JIS−P−8140に
準拠して5分後の吸水度で示した。 ※2:撥油性は、TAPPI紙パルプ試験法No.40
に準じて測定した。 ※3:表面光沢は、JIS−8142に準拠して測定し
た。 ※4:生分解性は、2枚のポリプロピレン製の網に挟ん
だ塗工紙を、愛知県岩倉市の当社工場敷地内の地表10
cmから30cmの土中に埋没し、6ケ月後に完全に消
失している場合を○、塗工紙の一部が残っている場合を
×と判定した。 ※5:引っ張り強度は、JIS−K−6850に準拠し
て接着面積325mmでの引っ張り強度を測定し、破
断時の引っ張り強度の値で示した。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように本発明の生分解性水
系分散体は分散安定性に優れるとともに、実質的に有機
溶媒を含んでいないため安全面、環境面において優れて
いる。また本発明の生分解性樹脂水系分散体は、造膜性
に優れ、比較的低温で天然素材に塗工して、優れた樹脂
膜特性を発現する被膜を確実に形成することが出来る。
また、本発明の水系分散体を布製品、紙製品等と複合化
して得た生分解性複合材料は、生分解性に優れることは
もとより、耐水・耐油性、光沢性、熱接着性に優れる効
果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神尾 克久 愛知県岩倉市野寄町西出1番地の1 ミヨ シ油脂株式会社名古屋工場内 (72)発明者 横溝 修 愛知県岩倉市野寄町西出1番地の1 ミヨ シ油脂株式会社名古屋工場内 Fターム(参考) 4J002 CF032 CF181 HA07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生分解性樹脂が分散安定化剤の存在下に
    水に分散安定化されている水系分散体であって、全生分
    解性樹脂中の乳酸系生分解性樹脂の割合が50重量%以
    上であり、且つ乳酸系生分解性樹脂が、光学異性体とし
    てL型乳酸とD型乳酸の割合が、重量比でL型乳酸:D
    型乳酸=75:25〜95:5である乳酸モノマー成分
    を60重量%以上含有するものであることを特徴とする
    生分解性樹脂水系分散体。
  2. 【請求項2】 生分解性樹脂が、乳酸系生分解性樹脂
    と、乳酸成分を含まない脂肪族ポリエステル系生分解性
    樹脂とを重量比で、乳酸系生分解性樹脂:脂肪族ポリエ
    ステル系生分解性樹脂=95:5〜50:50で含む混
    合物である請求項1記載の生分解性樹脂水系分散体。
  3. 【請求項3】 乳酸成分を含まない脂肪族ポリエステル
    系生分解性樹脂が、ポリブチレンサクシネート、ポリブ
    チレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネ
    ートカーボネートより選ばれた1種又は2種以上である
    請求項2記載の生分解性樹脂水系分散体。
  4. 【請求項4】 分散安定化剤が、平均分子量30万以上
    のカチオン性高分子化合物又は平均分子量30万以上の
    アニオン性高分子化合物を含有する請求項1〜3のいず
    れかに記載の生分解性樹脂水系分散体。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の生分解
    性水系分散体を、シート基材と複合化してなることを特
    徴とする生分解性複合材料。
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