JP2002371259A - 生分解性水分散系接着剤組成物 - Google Patents
生分解性水分散系接着剤組成物Info
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Abstract
かつ取扱い作業者、作業周辺環境等を汚染しない水分散
系を維持した上で、実用上要求される充分な接着強度を
常態のみでなく湿潤状態においても示す生分解性水分散
系接着剤組成物を提供すること。また、接着力の低下を
まねくことなく、サブミクロン領域の微粒子よりなる生
分解性水分散系接着剤組成物を提供すること。 【解決手段】 脂肪族ポリエステルを主成分とする生分
解性ポリエステルの水分散液100重量部(固形分)に
ポリイソシアネート類化合物1重量部以上を配合してな
る生分解性水分散系接着剤組成物。
Description
接着剤組成物に関するものである。
さの点でも、また作業者および作業環境の安全性の点で
も溶剤系接着剤組成物に比して優れており、紙、布の接
着、屋内外塗装、さらには自動車、航空機などにおける
プラスチックスや金属の接着など広汎に使用されてい
る。しかしながら、水分散系接着剤組成物の主成分が非
生分解性であるため、廃棄処理上地球に相応の負担を与
えるという問題点を有している。
成物の主成分としては、生分解性樹脂の水分散液が提案
されている。例えば、WO97/04036にはポリヒ
ドロキシアルカノエートの水分散系が、特開平8−81
634号公報にはポリカプロラクトンの水分散系が、特
開平10−101911号公報にはポリ乳酸の水分散系
が、特開2000−7789号公報には生分解性ポリエ
ステルからなる自己分散型の水分散系が、および特開平
11−92712号公報には脂肪族ポリエステルの水分
散系が開示されている。また、上記ポリエステル類の水
分散系と違って、特開平9−77910号公報には澱粉
誘導体の水分散系が開示されている。これらの生分解性
樹脂の水分散液を主成分とする接着剤組成物は、生分解
性故に廃棄の際に地球を汚染しないという利点を持つだ
けでなく、加水分解性を有するが故にそれらを用いて作
られた加工品のリサイクルを容易にするという利点(リ
サイクル適性という)も併せ持っている。
わたり、広義の接着、より詳しくは狭義の接着、あるい
はコーティング、含浸、複合化などに要求される様々な
要求を過不足なく満たすという意味では、上述諸例の生
分解性樹脂の水分散液を主成分とする接着剤組成物だけ
では、特に接着強度において不充分であり、実用に至っ
ていない場合が多く見られる。接着剤組成物は、それ自
身乾燥した場合に充分な強度を示す必要があるのは勿論
であるが、被着材または基材に対して、さらには配合さ
れるそれ自身自立性を持たない、例えばフィラー、微細
繊維などに対して充分な接着強度を示すことが必要とな
るが、生分解性樹脂の水分散系を主成分とした接着剤組
成物の接着強度向上方法に関する技術は未だ発表されて
いない。
シアネート類化合物を添加することは特開昭49−34
932号公報以来公知であり、また該イソシアネート類
化合物の混和を容易にするためポリアルキレングリコー
ルを反応させて自己乳化型イソシアネートプレポリマー
を用いることも、特公平4−15270号公報に開示さ
れているが、これらは非生分解性の水分散系接着剤組成
物である。前記のような非生分解性の水分散系接着剤組
成物は、多くの場合カルボキシル基、水酸基、アミド基
などのイソシアネート類化合物と反応する活性水素を多
く持つ樹脂を、該接着剤組成物の主成分としている。従
って、ポリイソシアネート類化合物添加の対象となる非
生分解性水分散系接着剤組成物の構成は、生分解性水分
散系接着剤組成物とは大いに異なっており、上記ポリイ
ソシアネート類化合物添加による接着強度向上効果が同
様に期待されうるか、また、その上生分解性が該ポリイ
ソシアネート類化合物添加で損なわれず維持されるか否
かは予見出来ない。
橋触媒と、非ハロゲン系溶剤とからなり、該生分解性ポ
リマーの数平均分子量が15,000以下である生分解
性溶剤系塗料組成物が、特開平8−311368号公報
に公知である。該組成物は、水系でなく溶剤系の組成物
であり、通常の水分散系接着剤組成物が含有する乳化剤
を欠く点で組成上大きく異なっている。その上主成分た
る生分解性ポリマーは、数平均分子量が15,000以
下と小さい。そうした系へのイソシアネート類化合物の
添加が生分解性、かつ強靱な最終塗膜を与えたとして
も、一般的ではない乳化剤を含み、主成分ポリマーがよ
り大きな分子量を持ち、かつ多くのポリマー鎖が凝集し
た球状粒子をなす水分散系接着剤組成物に添加されたイ
ソシアネート類化合物が同様に反応し同様の期待効果を
発揮するとは予見されない。特に水系接着剤の接着性は
一般に溶剤系接着剤の接着性より劣ると考えられており
なおさらである。また、上記二例の場合は、リサイクル
適性については言及がない。
成分である生分解性樹脂を良好な水分散化にするのは実
用上要望が多く、生分解性樹脂の粒子をミクロンないし
サブミクロン領域の微粒子にすることを要する。しか
し、粒子のサブミクロン化には、生分解性樹脂の分子量
抑制が必要であるが、それは必然的に接着力低下をもた
らすので、サブミクロン微粒子の生分解性樹脂を主成分
とする生分解性水分散系接着剤組成物は実現されていな
い。
的は、生分解性およびリサイクル適性を損なわず、かつ
取扱い作業者、作業周辺環境等を汚染しない水分散系を
維持した上で、実用上要求される充分な接着強度を常態
のみでなく湿潤状態においても示す生分解性水分散系接
着剤組成物を提供することにある。また、本発明のもう
一つの目的は、接着力の低下をまねくことなく、サブミ
クロン領域の微粒子よりなる生分解性水分散系接着剤組
成物を提供することにある。
結果、上記のような従来の課題を解決することができ
た。すなわち本発明は、脂肪族ポリエステルを主成分と
する生分解性ポリエステルの水分散液100重量部(固
形分)にポリイソシアネート類化合物1重量部以上を配
合してなる生分解性水分散系接着剤組成物を提供するも
のである。
下記の繰り返し単位を有することを特徴とする前記の生
分解性水分散系接着剤組成物を提供するものである。
のアルキレン基または炭素数5または6の脂環式炭化水
素基である)
下記の繰り返し単位を有することを特徴とする前記の生
分解性水分散系接着剤組成物を提供するものである。
アルキル基または炭素数1〜19のアルケニル基であ
り、nは1〜約4の値である)
少なくとも下記単位
ある)および/または下記単位
位および/または前記[化9]に記載の繰り返し単位が
結合した構造を有する前記の生分解性水分散系接着剤組
成物を提供するものである。
少なくとも下記単位
ン基である)を介して前記[化8]に記載の繰り返し単
位および/または前記[化9]に記載の繰り返し単位が
結合した構造を有する前記の生分解性水分散系接着剤組
成物を提供するものである。
平均分子量が、18,000以上であることを特徴とす
る前記の生分解性水分散系接着剤組成物を提供するもの
である。
分散化する際に用いられる乳化剤が、イソシアネート基
と反応し化学結合する活性水素を含むことを特徴とする
前記の生分解性水分散系接着剤組成物を提供するもので
ある。
コール類であることを特徴とする前記の生分解性水分散
系接着剤組成物を提供するものである。
物が、水分散性であることを特徴とする前記の生分解性
水分散系接着剤組成物を提供するものである。
物に予め可塑剤および/またはさらにイソシアネート基
と反応する活性水素を持たない界面活性剤を加えておく
ことを特徴とする前記の生分解性水分散系接着剤組成物
を提供するものである。
物を配合した後で、室温下放置または加熱してイソシア
ネート基濃度が初期より低下することを特徴とする前記
の生分解性水分散系接着剤組成物を提供するものであ
る。
最終的に赤外線分析法において感知されなくなっても接
着強度向上を有することを特徴とする前記の生分解性水
分散系接着剤組成物を提供するものである。
着剤組成物を生分解性材料同士の接着に使用することを
特徴とする接着方法を提供するものである。
する。なお、本発明に言う「生分解性」とは、土中、コ
ンポスト中および水中の微生物により自然環境下で最終
的に炭酸ガスと水などに分解される性質を意味する。さ
らに「リサイクル適性」とは、アルカリ水などに浸漬し
た際に、接着剤の加水分解反応により、被着材を取出し
再利用に供することができる性質を意味する。
リエステルであることができ、好ましくは、上記[化
1]で示される繰り返し単位を有する生分解性ポリエス
テル;上記[化2]で示される繰り返し単位を有する生
分解性ポリエステル;少なくとも上記[化3]で示され
る単位および/または[化4]で示される単位を介して
上記[化1]の繰り返し単位および/または[化2]の
繰り返し単位が結合した構造を有する生分解性ポリエス
テル;少なくとも上記[化5]で示される単位および/
または[化6]で示される単位および/または[化7]
で示される単位を介して上記[化1]の繰り返し単位お
よび/または[化2]の繰り返し単位が結合した構造を
有する生分解性ポリエステル等が挙げられ、これらのラ
ンダムおよび/またはブロック共重合体、ブレンド物も
有用である。
ト、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリエチレ
ンサクシネート、ポリエチレンサクシネートアジペー
ト、または前記ポリエステルをヘキサメチレンジイソシ
アネートやγ−アミノプロピルトリメトキシシラン等で
結合させた反応生成物が生分解性ポリエステルとして例
示される。
リグリコール酸、さらには微生物の産生するポリヒドロ
キシ酪酸・ポリヒドロキシ吉草酸共重合体、ポリヒドロ
キシアルカノエートなどが上記[化2]の繰り返し単位
を有する生分解性ポリエステルとして例示される。
その生分解性が阻害されない範囲において上述以外の構
造の結合が許容される。テレフタレート繰り返し単位が
40mol%以下のポリブチレンサクシネートテレフタ
レートやポリエチレンサクシネートテレフタレートはそ
の一例である。
数平均分子量は、必要な接着強度を得る点から18,0
00以上が、より望ましくは20,000以上が好まし
い。そのために生分解性ポリエステルをウレタン基[化
3]、炭酸エステル基[化4]、さらにはシリケート含
有基[化5]、[化6]および[化7]を介して結合さ
せうる。高分子化合物自身の引張強さは、一般に分子量
の増加と共に初め大きく後ゆるやかに向上するが、大き
くなると自身の強さとは逆に被着材への接着強度が減少
したり、あるいは微粒子として水分散化するのが困難に
なるばかりか、生分解性やリサイクル適性がある程度損
なわれる場合がある。従って本発明に使用する生分解性
ポリエステルの数平均分子量の上限は、使用実態に則し
て決められる。
るには、乳化剤を使用する方法、あるいは使用しない方
法により調製され得る。例えば、乳化剤を使用して生分
解性ポリエステルの水分散液を得る方法は、生分解性ポ
リエステルを乳化剤の働きにより水中に微粒子状に分散
させ、かつ分散状態で安定に存在させることができ、生
分解性ポリエステルの加熱溶融および/または溶剤添加
などにより流動状化する工程、これに乳化剤および水を
混和する工程が骨子となる。混和順序により初期油中水
滴(W/O)型から転相を経て水中油滴(O/W)型に
なる場合、初めからO/W型で得られる場合とがある。
性剤(陰イオン性、非イオン性、陽イオン性、両性イオ
ン性)および水溶性天然高分子、半合成および合成水溶
性高分子であり、接着強度向上のために配合されるポリ
イソシアネート類化合物のイソシアネート基と反応し化
学結合しうる活性水素を含有することが望ましい。すな
わち水酸基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基など
を親水性基として持つ界面活性剤または水溶性高分子化
合物が望ましいが、中でもポリビニルアルコール類、例
えば部分鹸化ポリビニルアルコール、陰イオン性または
陽イオン性を賦与された部分鹸化ポリビニルアルコール
が望ましい。あるいは部分鹸化ポリビニルアルコールと
澱粉とのブロック共重合物、さらに脂肪族ポリエステル
とポリエチレンオキシドとのブロック共重合物などが望
ましい。なお、また本発明の趣旨から、生分解性を損な
わないようとの観点も乳化剤の選択には重要であり、疎
水部にフェニル基、分枝炭化水素残基を持つ界面活性剤
は避けた方がよい。添加する乳化剤の配合量は、生分解
性ポリエステル100重量部に対して、2〜20重量部
が好ましい。
分解性ポリエステルの水分散液を得る方法は、生分解性
ポリエステルを予め変性しておく工程(生分解性ポリエ
ステルの自己水分散可能化工程)とそれに水を添加する
工程からなる。最初の工程は、生分解性ポリエステルに
多くの場合カルボキシル基を多数含有させる工程で、例
えば生分解性ポリエステルに多価カルボン酸、同無水物
などを付加反応させる、あるいはカルボキシル基を含ん
だポリオール(例えばジメチロールプロピオン酸)から
生分解性ポリエステルを合成、次にアルカリ(例えばア
ルキルアミン)を加えて上記カルボキシル基を中和する
ことを内容とする。水を加えて混和撹拌する次なる工程
により生分解性ポリエステルの水分散液が得られる。こ
の方法の詳細は特開2000−7789号公報に「生分
解性ポリエステルからなる自己水分散性粒子およびその
製法」として開示されている。
子中にイソシアネート基を2個以上有する脂肪族、脂環
式、芳香族ポリイソシアネートおよびその誘導体であ
り、ヘキサメチレンジイソシアネート、およびそのトリ
マータイプ、ビューレットタイプ、TMPアダクトタイ
プなど、さらにはイソホロンジイソシアネート、トリレ
ンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシア
ネートが例示される。これらのポリイソシアネート類化
合物の多くは水と反応する上、水と混和し難いので、予
め可塑剤に溶解しておいてから生分解性ポリエステルの
水分散系に添加することができる。このような方法は、
特開昭49−34932号公報に開示されている。
行わなくてもよい水分散可能なポリイソシアネート類化
合物が以下に開示されている。その多くは脂肪族、脂環
式、芳香族ポリイソシアネートと、イソシアネート基と
反応しうる活性水素を1個以上有する親水性界面活性剤
とを反応して得られる。上記親水性界面活性剤として
は、例えばポリエチレンオキシド誘導体(特公平4−1
5270号公報、特開平4−159260号公報、特開
平10−204380号公報)、エチレン性不飽和結合
含有イオン性界面活性剤誘導体(特開2000−169
547号公報、特開2000−191743号公報)が
挙げられる。
分解性ポリエステルの水分散液100重量部(固形分)
に対する配合量は、1重量部以上でなければならない。
1重量部未満では、所望の接着強度向上効果が得られな
い。配合量の必要以上の増加は、発泡による作業上のト
ラブル、生分解性の低下、価格上昇の点から好ましくな
い。配合最適量は、通常1.0〜10重量部/生分解性
ポリエステルの水分散液100重量部(固形分)で充分
である。
ト類化合物が水分散可能の場合には、これを直接あるい
はこれに予め水を加え水分散液としてから、生分解性ポ
リエステルの水分散液に加え撹拌することで達成され
る。一方、ポリイソシアネート類化合物が水分散可能に
変性されていない場合には、これを先述したように予め
可塑剤に溶解してから、あるいはさらにそこへイソシア
ネート基と反応する活性水素を持たない界面活性剤を加
え均一に撹拌してから、生分解性ポリエステルの水分散
液に加え撹拌、均質化することで達成される。そのよう
な可塑剤としては、例えばアジピン酸ジアルキルエステ
ル、セバシン酸ジアルキルエステル、ジエチレングリコ
ールジベンゾエート、アセチルリシノール酸メチル、フ
タル酸ジアルキルエステルなどが挙げられる。また上目
的の界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン系
非イオン性界面活性剤の末端水酸基をアシル化してアル
キルエステルとしたポリオキシエチレンアルキルエーテ
ルアルキレート、あるいはポリオキシエチレンの両末端
水酸基が一塩基性脂肪酸でエステル化した形のポリオキ
シエチレンジアルキレートなどが挙げられる。
のイソシアネート基濃度は、貯蔵中に水と反応してイソ
シアネート基濃度を減少する。接着強度向上には、この
イソシアネート基濃度の大きい方が好都合と予想される
が、必ずしもそうではない場合もあることが見出され
た。さらにイソシアネート基濃度の減少が進み、赤外線
分析法ではその存在を有意に感知出来なくなった場合で
も接着強度向上の認められる場合のあることも見出され
た。ポリイソシアネート類化合物中のイソシアネート基
の反応相手が、生分解性水分散系接着剤組成物中の生分
解性ポリエステル(粒子表面および内部)、乳化剤、水
などとまたもちろん被着体をも加えて多岐にわたり、あ
るいは水との反応生成物のポリ尿素が反応性フィラーに
なりうることも考えると、そうした接着強度向上が現わ
れることも了解される。この場合、イソシアネート基に
よる生分解性ポリエステルの単なる増粘の接着への寄与
は小さい。すなわち、生分解性ポリエステル粒子が中心
となり、それに乳化剤や上述ポリ尿素が化学結合されて
その粒子間隙が埋められ強固な接着剤層が出来上がる。
あるいは、その接着剤層がイソシアネート基によってさ
らに被着体と化学結合され一層強固な接着層が形成され
る。換言すれば、多成分化学結合型接着層が接着を支え
ていると考えられる。なおまた現今市場にある生分解性
ポリエステルが結晶性ポリマーであることを考えると、
それらを中心に形成される上記多成分化学結合型接着層
は、含有する結晶性領域に由来する独特な強靭性や熱的
性質を持ち、非晶性非生分解性ポリマーを主成分とする
汎用水分散系接着剤組成物とは異なる接着性能を発現す
ると期待される。従って、本発明の生分解性水分散系接
着剤組成物の接着強度向上効果を最大限に、しかも経済
的に発揮するためには、生分解性ポリエステルの水分散
液にポリイソシアネート類化合物を添加し、該組成物を
調製してから被着材または基材上への塗布までの放置時
間を最適範囲に保つことが重要である。生分解性ポリエ
ステルの水分散液にポリイソシアネート類化合物を添加
し、該組成物を調製後、水系のままで約24時間置いて
から被着材または基材上に塗布した時、接着強度向上効
果が最大となった例もある(実施例2)。ポリイソシア
ネート類化合物中のイソシアネート基は、24時間放置
中に、水>乳化剤>生分解性ポリエステル(粒子表面)
の順に反応し、その後イソシアネート基が消費されてい
くが、結果として上述多成分化学結合型接着層形成を招
来したと考えられる。
は、必要に応じて、可塑剤、粘着付与剤、フィラー、顔
料、分散安定剤、増粘剤、粘性調節剤、さらには芳香
剤、防虫剤、医薬、農薬などの薬剤を含有することがで
きる。
使用方法は、刷毛、スプレー、各種コーターなど実際の
作業条件に見合った公知の装置による被着材、あるいは
基材への塗布に始まる。次いで、もう一つの被着材を上
記塗布面に載置させてから乾燥することにより接着は達
成される。木、板、紙、布の接着、植毛や不織布製造な
ど被着材の少なくとも一方が多孔質材料の場合がその例
である。それに対し被着材が非多孔質材料の場合には、
先ず少なくとも一方の被着材に本発明の生分解性水分散
系接着剤組成物を塗布し直ちに乾燥し、次いでもう一方
の被着材をそのまま、あるいは同様に生分解性水分散系
接着剤組成物を塗布し直ちに乾燥してから重ね、熱圧す
ることで接着は達成され得る。いわゆるヒートシールに
よる接着であり、セロファン、PETシート、ナイロン
シート、またはアルミ箔、銅箔などの金属箔など、それ
にもちろん紙、布などの多孔質材料などの接着に適用さ
れ得る。
系接着剤組成物を塗布し、乾燥することで目的が達成さ
れ得る場合がある。紙へ適用した印刷用紙、強光沢紙、
耐溶剤紙、防湿紙、磁気記録紙などの作製、木工塗装、
建築塗装、船舶塗装などコーティングと呼ばれる場合で
ある。農薬、肥料、殺虫剤、害虫忌避剤などの徐放化の
ためのコーティングも同様に適用され得る。
木材パルプ、繊維屑、皮屑などの水分散液へ接着剤を添
加してシートを得る内添法などに本発明の生分解性水分
散系接着剤組成物を使う場合も上記手順の変態で、添
加、乾燥で行われる。さらにまた、狭義の接着とは異な
るが、本発明の生分解性水分散系接着剤組成物から成形
品を造ることもできる。セラミックス製の手袋型に本発
明の接着剤組成物を薄層に塗布し、回転しつつ乾燥・熱
処理後脱型して得られる、廃棄処理に問題を残さない樹
脂手袋はその一例である。しかし、本発明の生分解性水
分散系接着剤組成物の使用方法で行われる乾燥は、該組
成物の主成分樹脂をなす脂肪族ポリエステルを主体とす
る生分解性ポリエステルの融点以上の温度で行い、同ポ
リエステルを溶融せしめて生分解性水分散系接着剤組成
物層を均質な固相とすることが必要である。
用いて作られた加工品試料は、生分解性およびリサイク
ル適性(アルカリ水または酸性水、あるいは単なる水に
対する崩壊性)に優れており、例えば以下に示す。本発
明の生分解性水分散系接着剤組成物の生分解性により、
上記加工品試料を望まれるサイズにした上で、土壌、コ
ンポスト、酵素水溶液中などに入れ、放置すれば生分解
反応が進行し、被着材または基材も生分解性の場合に
は、最終的には痕跡を残さないことができる。本発明の
生分解性水分散系接着剤組成物のリサイクル適性によ
り、被着材または被加工基材が紙、アルミなどの場合
は、上記加工品試料をアルカリ水に浸漬し、場合によっ
ては加温することにより生分解性水分散系接着剤組成物
層中の樹脂分(生分解性ポリエステル)を加水分解して
紙、アルミなどだけを回収し、それらをリサイクル使用
に供することができる。
は、連続相が水よりなり、作業の容易さ、作業環境汚染
の少ないことで溶剤系接着剤と異なり優れている。ま
た、本発明の生分解性水分散系接着剤組成物には、ポリ
イソシアネート類化合物が配合されているため、それか
ら形成される接着層またはコーティング層はそれら自身
強靱化され、さらに被着材または基材に強固に接着し、
ポリイソシアネート類化合物が配合されていない生分解
性水分散系接着剤組成物の場合に比べて優れた接着強度
性能が発揮される。さらに、本発明の生分解性水分散系
接着剤組成物は、脂肪族ポリエステルを主成分とする生
分解性ポリエステルの水分散液(固形分)を主体とする
ため、廃棄された場合に環境中の微生物によって分解、
消失され、地球に余分な負荷を与えない利点を有する。
被着材および基材が生分解性材料の場合には接着加工物
またはコーティング加工物が問題なく廃棄することがで
きるので好ましい。なお、本発明の生分解性水分散系接
着剤組成物は、アルカリ水崩壊性を有し被加工基材のリ
サイクル適性を可能とする点で、省資源という社会ニー
ズにも応えるものである。
明する。ただし、それらは例示であって、本発明を限定
するものではない。なお、特記しない限り、%は重量百
分率である。
試験はISO−14855の方法によった。ただし、試
料は本発明の生分解性水分散系接着剤組成物をシリコー
ン離型紙上へ8ミルのアプリケーターで流涎し、直ちに
融点+30℃の熱風循環式乾燥機で3分間乾燥し、1時
間後、塗膜付シリコーン離形紙を被着体上に置き、6±
/MPa(60±10kg/cm2)、融点+30〜4
0℃、3分間熱圧着したものである。但し、融点60℃
の場合、この加圧は省略した。
時の蒸発残分(%)を固形分濃度とした。
K.K.東京計器製)の12rpm(BM型)または10r
pm(BH型)における測定値を粘度とした。
2、K.K.堀場製作所製)における測定値をpHとした。
ック分析計FRA、リーズアンドノースラップ社製)に
より得られる体積平均値を平均粒子径とした。
よる値である。測定装置;Shodex System
−11、カラム;Shodex GPC K−801お
よびK−806M(2本)、溶離液;クロロホルム、検
出器;Shodex RI、標準ポリマーPMMA(S
hodex Standard M−75)、操作条
件;試料濃度0.2%、流速1.0ml/min、注入
量100μl、温度40℃。
引張試験機(テンシロンRTA100、オリエンテック
社製)に装置し、試料と剥離面が90°となるように3
00mm/minで引っ張った時(以下、90°剥離試
験という)の接着力を90°剥離接着強度とした。
アジペート水分散液(ポリブチレンサクシネート・アジ
ペートのジイソシアネートによる増粘品;数平均分子量
=4.62×10 4、融点=95℃、ビオノーレ#30
50、昭和高分子 K.K.製。乳化剤;部分鹸化ポリビニ
ルアルコール、平均重合度=2,000、鹸化度=88
モル%、クラレポバール220E、K.K.クラレ製。固形
分濃度=53.0%、平均粒子径=1.50μm、粘度
=2,500mPa・s/23℃、pH=5.3)10
0gに水分散性脂肪族ポリイソシアネート(イソシアネ
ート含有率=20.0%、アクアネートAQ110、日
本ポリウレタン工業 K.K.製)3gを予め1gの水を加
えて乳濁状として加え、撹拌棒でよく撹拌し生分解性水
分散系接着剤組成物を調製した。1時間後、この組成物
をセロファン(厚さ=17μm、レンゴー K.K.製)上
に3ミルのアプリケーターで塗布し、直ちに130℃の
熱風循環式乾燥機で3分間乾燥した。1時間後、得られ
た組成物の塗膜付セロファン2枚を塗布面同士を向き合
わせヒートシールテスター(TP−701−Bヒートシ
ールテスター、テスター産業 K.K.製)で130℃、
0.2MPa、10s熱圧着してヒートシール加工品試
料を得た。この試料を20℃、65%RH中に24時間
放置し、90°剥離試験を行ったところ、セロファンが
切断し、充分な接着強度が得られた。また生分解性は3
8.0%(24日後)であった。
ネートを用いない他は、実施例1と同様にして実験した
ところ、得られたヒートシール加工品試料の90°剥離
接着強度は100g/15mm巾、生分解性は64.4
%(24日後)であった。
(ポリカプロラクトン;数平均分子量=5.90×10
4、融点=60℃、セルグリーンPH−5、ダイセル化
学工業 K.K.製。乳化剤;部分鹸化ポリビニルアルコー
ル、鹸化度=79モル%、平均重合度=2,000、K.
K.クラレ製。固形分濃度=57.1%、平均粒子径=
1.9μm、粘度=10,300mPa・s/21℃、
pH=5.3)100gに上記実施例1と同じ水分散性
脂肪族ポリイソシアネート3gを予め1gの水を加えて
乳濁状として加え、充分撹拌して生分解性水分散系接着
剤組成物を調製した。調製後から塗布までの放置時間を
1時間、24時間および38日とし、実施例1と同様
に、ただし温度は90℃にしてセロファンのヒートシー
ルを行い、得られたヒートシール加工品試料を実施例1
と同条件で90°剥離試験を行い、測定した90°剥離
接着強度と、塗布時生分解性水分散系接着剤組成物のイ
ソシアネート基濃度(PHR/生分解性水分散系接着剤
組成物の固形分)と共に表1に示す。
った。なお、上記ヒートシール加工品試料を3×5cm
に切り出したものを土壌に埋め込んで測定した生分解性
は64%(24日後)であった。ただし、土壌は茨城県
東茨城郡羽鳥美野里町由木のSDSみのり農場の土壌
(火山灰灰土)を最大容水量の50%含水比として、試
料と試験土壌との重量比は1:400とし、25℃での
重量減少率から生分解性を測定した。
ネートを用いない他は、実施例2と同様に実験したとこ
ろ、得られたヒートシール加工品試料の90°剥離接着
強度は200g/15mmとなり、また生分解性は10
0%(8日後)となった。以上の値は、接着剤組成物調
製後から塗布までの放置時間を1時間、24時間および
38日後と変えても変動しなかった。
アジペート水分散液(ポリブチレンサクシネート・アジ
ペート;数平均分子量=18,600、融点=95℃、
ビオノーレ#3050のジイソシアネート未増粘品、昭
和高分子 K.K.製。乳化剤;ポリエチレンオキシドアル
キレンアルキルエーテル、融点=50℃、ノイゲンDK
S NL−85、第一工業製薬 K.K.製。固形分濃度=
31.5%、平均粒子径=1.3μm、粘度=3,56
0mPa・s/20℃、pH=5.4)100gにヘキ
サメチレンジイソシアネートのトリマー(パーノックD
N−990、大日本インキ化学工業 K.K.製)1g、ア
ジピン酸ジアルキルエステル(アデカサイザーRS−1
07、旭電化工業 K.K.製)1g、および活性水素を持
たないポリエチレンオキシド系非イオン性界面活性剤
(ノイゲンEA−160アセチル化物、第一工業製薬
K.K.製)0.1gの混合物を加えホモミキサー(T.
K.ロボミキサー、特殊機化工 K.K.製)にて強制撹拌
混合し、生分解性水分散系接着剤組成物を調製した。1
時間放置後、これを上質紙(米坪量70g/m2)上に
3ミルのアプリケーターで塗布し、直ちに105℃に調
整した熱風循環式乾燥機で3分間乾燥した。1時間後、
この塗布面にもう一枚の上記と同じ上質紙を重ね、実施
例1と同様の条件によりヒートシールテスターで熱圧着
した。得られたヒートシール加工品試料を実施例1と同
一条件で測定したところ、90°剥離試験では紙層が破
れた。さらに上記ヒートシール加工品試料を20℃の水
に10分間浸漬しても接着部分に剥離は見られなかっ
た。また生分解性は49.7%(24日後)、さらにま
た実施例2と同一条件で行った土壌中の生分解性は9
3.0%(49日後)であった。
アネートのトリマーを用いない他は、実施例3と同様に
実験したところ、得られたヒートシール加工品試料の9
0°剥離試験では紙破、ただし試料の水浸漬後には接着
部分が自然剥離した。また生分解性は84.0%(24
日後)であった。
酸;数平均分子量=7.58×104、融点=175.
6℃、ラクティ5000、SPM71215−24、K.
K.島津製作所製。ロジン系タッキファイヤー;スーパー
エステルA−110、融点約100℃、荒川化学工業K.
K.製をポリ乳酸に20PHR添加。乳化剤;スルホン酸
変性部分鹸化ポリビニルアルコール、平均重合度=1,
500、鹸化度=88モル%、クラレSポバール、K.K.
クラレ製。固形分濃度=31.3%、平均粒子径=2.
2μm、粘度=10,500mPa・s、pH=5.
0)100gに水分散性脂肪族ポリイソシアネート(イ
ソシアネート含有率=17.4%、バイヒジュール31
00、住友バイエルウレタン K.K.製)2gを予め1g
の水を加えて乳濁状として加え、充分撹拌して生分解性
水分散系接着剤組成物を調製した。1時間後、この組成
物をPETフィルム(厚さ=50μm、東洋紡エステル
フィルムE−5100、東洋紡績 K.K.製)上に3ミル
のアプリケーターで塗布し、直ちに205℃に調整した
熱風循環式乾燥機に3分間入れ乾燥した。1時間後、こ
の塗布面にもう一枚のPETフィルムを重ね、実施例1
と同様の条件(但し温度は180℃)によりヒートシー
ルテスターで熱圧着した。得られたヒートシール加工品
試料を実施例1と同一条件で測定したところ、90°剥
離試験でPETが破断した。生分解性は84.0%(2
4日後)となった。続いて上記ヒートシール加工品試料
を5cm角に切り、0.1N苛性ソーダ水溶液中に室温
下一昼夜浸漬したところ、PETフィルムが剥離して得
られた。
ネートを用いない他は、実施例4と同様に実験したとこ
ろ、得られたヒートシール加工品試料は自然剥離した。
生分解性は94.0%(8日後)であった。
アジペート水分散液(ポリブチレンサクシネート・アジ
ペート;数平均分子量=7.0×104、融点=95
℃、ビオノーレ#3001、昭和高分子 K.K.製。乳化
剤;部分鹸化ポリビニルアルコール;数平均重合度=
2,000、鹸化度=88モル%、クラレポバール22
0E、K.K.クラレ製。固形分濃度=57.0%、平均粒
子径=1.2μm、粘度=80,100mPa・s/2
0℃、pH=5.6)100gに水分散性脂肪族ポリイ
ソシアネート(イソシアネート含有率=17.0%、ア
クアネートAQ−210、日本ポリウレタン工業 K.K.
製)2gを予め1gの水を加えて乳濁状として加え、充
分撹拌して生分解性水分散系接着剤組成物を調製した。
1時間後にこの組成物をコットンデニム(270g/m
2)上に12ミルのアプリケーターで塗布し、レーヨン
パイル(1.5デニール、0.6mm長)を5万ボルト
アップ方式により全面植毛した。しかる後110℃、5
分、続いて130℃、5分間熱処理し植毛加工品試料を
得た。JIS L−1084(45R法)による植毛強
さ試験は、1000回摩擦後で、常態時、湿潤時共に外
観変化は認められなかった。生分解性は36.0%(2
4日後)であった。
ネートを用いない以外は、実施例5と同様に実験したと
ころ、得られた植毛加工品試料の植毛強さは、常態時で
は1000回摩擦後外観変化なし、湿潤時は100回摩
擦でパイルの剥落が認められた。生分解性は56.0%
(24日後)であった。
接着剤組成物を綿ブロード#40にコーティングバー#
72で塗布し、その上に同じく綿ブロード#40を重
ね、重さ約6kgのゴムローラーを5往復後、130℃
に調整した熱風循環式乾燥機に3分間入れ、乾燥熱処理
して綿ブロード接着試料を得た。この試料の90°剥離
試験、および引張試験(ただし何れもクロスヘッドスピ
ード=300mm/min、オリエンテック製テンシロ
ンRTA100による)の結果は、共に綿ブロードが切
断し、充分な接着が行われていた。
ネートを用いない以外は、実施例6と同様に実験したと
ころ、得られた綿ブロード接着試料は90°剥離接着強
度=400g/10mm、抗張力=1,300g/10
mmであり、綿ブロードの破壊には至らなかった。
接着剤組成物にさらにクレー、スターチ、ピロリン酸ソ
ーダおよび水を加えて撹拌混合し、印刷用紙用の塗工液
を調製した。その処方は次の通りである。実施例2の生
分解性水分散系接着剤組成物53.7g、クレー250
g、スターチ10%水溶液150g、ピロリン酸ソーダ
10%水溶液1g、水284gである。この塗工液を調
製し、1時間後(実施例2の生分解性水分散系接着剤組
成物調製24時間後)にバーコーター#18で上質紙
(70g/m2)上に塗布し、直ちに105℃、3分、
次いで130℃、3分間熱処理し、キャレンダー処理
(97〜99℃、4MPa、2回通し)後、20℃、6
5%RH中に一昼夜放置後に印刷用紙塗工試料を得た。
試料の印刷用紙性能を評価し、その結果は表2に示すよ
うに、アルカリ水加水分解によるパルプ分リサイクル適
性を損なうことなく印刷時塗工層強度を示すIGTピッ
ク値および耐水性で優れていた。
ネートを用いない以外は、実施例7と同様に実験し、表
2に示すような結果を得た。
分解性水分散系接着剤組成物それぞれにタルク(ハイト
ロン、竹原化学工業K.K.製)を固形分単位で等量加え、
水を加えて有効成分40%の防湿加工用塗工液を調製し
た(それぞれ実施例8の1および実施例8の2とす
る)。1時間後、2ミルのアプリケーターを用い上質紙
(70g/m2)上にこれを塗布し、熱風循環式乾燥機
で130℃、3分間乾燥熱処理した。次いでこれを平板
プレスで熱圧し、防湿加工用塗工試料とした。この試料
をJISZ−0208によって透湿性を測定し、その結
果を表3に示す。
ネートを用いない他は、実施例8と同様に実験し、得ら
れた試料の透湿性を測定した。透湿性の測定結果は表3
の通りであった。ただし、実施例1の生分解性水分散系
接着剤組成物を用いて、上記水分散性脂肪族ポリイソシ
アネートを用いない場合を比較例8の1、実施例2の生
分解性水分散系接着剤組成物に対応する場合を比較例8
の2とした。
シネート・アジペート水分散液、および実施例2のポリ
カプロラクトン水分散液のそれぞれに、同上実施例で用
いた水分散性脂肪族ポリイソシアネートを上記水分散液
の固形分に対し10PHRになるように加え、充分攪拌
し、さらに水を加えて有効成分10%なる含浸用液を調
製した(それぞれ実施例9の1および実施例9の2とす
る)。10分後、ここへ含浸用原紙(米坪量104g/
m2、ノーサイズ紙)を2分間浸漬し、引き上げて自然
流下分を除き、直ちに130℃の熱風循環式乾燥機で5
分間、乾燥熱処理し、生分解性ポリエステル含浸紙を得
た。20℃、65%RH中に24時間放置後、JISP
−8115による耐折強さを、またJIS P−811
3による引張強さを同上雰囲気中で測定し、表4に示す
結果を得た。
ネートを用いない他は、実施例9と同様に実験し、表4
に示す結果を得た。なお、実施例1の生分解性ポリエス
テルの水分散液を用いて、上記水分散性脂肪族ポリイソ
シアネートを用いない場合を比較例9の1、実施例2の
生分解性ポリエステルの水分散液に対応する場合を比較
例9の2とした。
・アジペート水分散液(ポリブチレンサクシネート・ア
ジペートのジイソシアネートによる増粘品、数平均分子
量=2.2×104、融点=98.5℃、ビオノーレ3
050試作品、昭和高分子K.K.製。乳化剤;部分鹸化ポ
リビニルアルコール、平均重合度2,000、鹸化度=
88モル%、クラレポバール220E、K.K.クラレ製。
固形分濃度=45.9%、平均粒子径=0.67μm、
粘度=1,200mPa・s/23℃、pH=5.6)
100gに水分散性脂肪族ポリイソシアネート(イソシ
アネート含有量=20.0%、アクアネートAQ−11
0、日本ポリウレタン工業K.K.製)4gを予め1gの水
を加えて乳濁状として加え、ガラス棒でよく攪拌し、生
分解性水分散系接着剤組成物を調製した。1時間後、こ
の組成物を上質紙(米坪量70g/m2)上に3ミルの
アプリケーターで塗布し、直ちに130℃に調整した熱
風循環式乾燥機で5分間乾燥熱処理した。24時間後、
この塗布面にもう一枚の上質紙を重ね、温度を120℃
とした以外は実施例1と同様の条件でヒートシールを行
った。1時間後に接着面を剥離したところ、素材の紙層
で破壊した。生分解性は、48.2%(24日後)であ
った。
アネートを用いること以外、実施例10と同様に実験し
た。接着面は10g/15mmという僅かな抵抗を示す
のみで簡単に界面剥離した。生分解性は、81.8%
(24日後)であった。
クル適性を損なわず、かつ取扱い作業者、作業周辺環境
等を汚染しない水分散液を維持した上で、実用上要求さ
れる充分な接着強度を常態のみでなく湿潤状態において
も示す生分解性水分散系接着剤組成物が提供される。ま
た本発明によれば、接着力の低下をまねくことなく、サ
ブミクロン領域の微粒子よりなる生分解性水分散系接着
剤組成物が提供される。
Claims (13)
- 【請求項1】 脂肪族ポリエステルを主成分とする生分
解性ポリエステルの水分散液100重量部(固形分)に
ポリイソシアネート類化合物1重量部以上を配合してな
る生分解性水分散系接着剤組成物。 - 【請求項2】 生分解性ポリエステルが、下記の繰り返
し単位を有することを特徴とする請求項1に記載の生分
解性水分散系接着剤組成物。 【化1】 (式中、R1およびR2は、炭素数2〜10のアルキレン
基または炭素数5または6の脂環式炭化水素基である) - 【請求項3】 生分解性ポリエステルが、下記の繰り返
し単位を有することを特徴とする請求項1に記載の生分
解性水分散系接着剤組成物。 【化2】 (式中、R5は、水素、炭素数1〜19のアルキル基ま
たは炭素数1〜19のアルケニル基であり、nは1〜約
4の値である) - 【請求項4】 生分解性ポリエステルが、少なくとも下
記単位 【化3】 (式中、R3は、ジイソシアネート残基である)および
/または下記単位 【化4】 を介して請求項2に記載の繰り返し単位および/または
請求項3に記載の繰り返し単位が結合した構造を有する
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の生分解性水分
散系接着剤組成物。 - 【請求項5】 生分解性ポリエステルが、少なくとも下
記単位 【化5】 および/または下記単位 【化6】 および/または下記単位 【化7】 (式中、R4は、炭素数2〜6のアルキレン基である)
を介して請求項2に記載の繰り返し単位および/または
請求項3に記載の繰り返し単位が結合した構造を有する
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の生分解性水分
散系接着剤組成物。 - 【請求項6】 生分解性ポリエステルの数平均分子量
が、18,000以上であることを特徴とする請求項1
ないし5のいずれか1項に記載の生分解性水分散系接着
剤組成物。 - 【請求項7】 生分解性ポリエステルを水分散化する際
に用いられる乳化剤が、イソシアネート基と反応し化学
結合する活性水素を含むことを特徴とする請求項1に記
載の生分解性水分散系接着剤組成物。 - 【請求項8】 乳化剤が、ポリビニルアルコール類であ
ることを特徴とする請求項7に記載の生分解性水分散系
接着剤組成物。 - 【請求項9】 ポリイソシアネート類化合物が、水分散
性であることを特徴とする請求項1に記載の生分解性水
分散系接着剤組成物。 - 【請求項10】 ポリイソシアネート類化合物に予め可
塑剤および/またはさらにイソシアネート基と反応する
活性水素を持たない界面活性剤を加えておくことを特徴
とする請求項9に記載の生分解性水分散系接着剤組成
物。 - 【請求項11】 ポリイソシアネート類化合物を配合し
た後で、室温下放置または加熱してイソシアネート基濃
度が初期より低下することを特徴とする請求項1に記載
の生分解性水分散系接着剤組成物。 - 【請求項12】 イソシアネート基濃度が、最終的に赤
外線分析法において感知されなくなっても接着強度向上
を有することを特徴とする請求項11に記載の生分解性
水分散系接着剤組成物。 - 【請求項13】 請求項1ないし12のいずれか1項に
記載の生分解性水分散系接着剤組成物を生分解性材料同
士の接着に使用することを特徴とする接着方法。
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