JP2004323804A - 生分解性樹脂水系分散体 - Google Patents

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Koichi Niizeki
恒一 新関
Masahiro Okuya
正宏 奥谷
Katsuhisa Kamio
克久 神尾
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Miyoshi Yushi KK
Miyoshi Oil and Fat Co Ltd
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Miyoshi Yushi KK
Miyoshi Oil and Fat Co Ltd
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Abstract

【課題】繊維製品や紙製品等への塗工用等として利用することで、繊維製品や紙製品の生分解性を低下させることなく繊維製品や紙製品の耐水性、耐油性、気密性、光沢、熱接着性等の物性を向上できる生分解性樹脂水系分散体であって、保存中等に生分解性樹脂が加水分解されにくく経時安定性に優れるとともに、優れた皮膜樹脂物性を発現する生分解性樹脂水系分散体を提供する。
【解決手段】本発明の生分解性樹脂水系分散体は、分子構造中にエステル結合を含む生分解性樹脂と、オキサゾリン化合物とが水系溶媒に分散していることを特徴とする。
【選択図】 なし。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は生分解性樹脂水系分散体に関する。
【0002】
【従来の技術】
布製品や紙製品等の植物性繊維を原料とした製品は、微生物等によって分解され易く、埋没による廃棄処分が容易であるが、植物性繊維等の天然素材は耐水性、耐溶剤性、気密性、強度等の物性が充分でない場合が多い。このため、天然素材に各種の合成樹脂液等を塗布したり、噴霧したり、含浸させる等によって、天然素材に合成樹脂皮膜を形成した複合素材とし、これらの問題の改善を図ってきた。
【0003】
しかしながら、従来より植物性繊維等の天然素材と複合化するために用いられていた合成樹脂は、微生物等による分解が極めて遅いため、埋没による廃棄処分が困難であり、また燃焼カロリーが高いため焼却処分した場合、焼却炉を傷める等の問題があり、更に一部の合成樹脂は焼却時に有害ガスを発生して環境汚染を生じる虞れがあった。従って、このような合成樹脂と天然素材とを複合化した素材も当然、合成樹脂の有する上記問題を生じる虞れがあり、このため近年は、従来の合成樹脂にかわる生分解性樹脂の応用開発が進められている。
【0004】
例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3には、パルプ、繊維等と生分解性樹脂からなる生分解性複合材料が提案されている。またポリヒドロキシ酪酸・ポリヒドロキシ吉草酸共重合体の水系分散体をコーティングした生分解性複合材料(特許文献4)や、ポリ乳酸及び/又は他のヒドロキシカルボン酸との共重合物の粒子及び充填剤を、水溶性高分子を用いて水分散させてなる水系塗料組成物(特許文献5)も提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平4−334448号公報
【特許文献2】
特開平5−311600号公報
【特許文献3】
特開平8−244836号公報
【特許文献4】
特開平2−222421号公報
【特許文献5】
特開平9−78494号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1〜3に記載されている生分解性複合材料を得るには生分解性樹脂の有機溶媒溶液を用いる必要があり、しかも使用できる有機溶媒は、塩素系溶媒や芳香族系溶媒に限定されるため、安全面、環境面で好ましいものではなかった。また分子構造中にエステル結合を含む生分解性樹脂は加水分解性が高く、特にポリ乳酸系生分解性樹脂はガラス転移温度以上の温度では急速に加水分解することが知られている。このため特許文献4、5に記載されているようなエステル結合を含む生分解性樹脂の水系分散体は、水系分散体とした後の経時安定性が悪く、生分解性樹脂が徐々に加水分解されてしまう等の問題があった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、加水分解を防止して経時安定性に優れ、且つ造膜後の皮膜樹脂物性に優れた生分解性樹脂水系分散体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明の生分解性樹脂水系分散体は、分子構造中にエステル結合を含む生分解性樹脂と、オキサゾリン化合物とが水系溶媒に分散していることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において、分子構造中にエステル結合を含む生分解性樹脂としては、脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂、脂肪族芳香族ポリエステル系生分解性樹脂、アセチルセルロース系生分解性樹脂、化学変性澱粉系生分解性樹脂、ポリエステルポリカーボネート系生分解性樹脂等が用いられ、これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0010】
脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂としては、例えばポリ乳酸、乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート等の二塩基酸ポリエステル、ポリカプロラクトン、カプロラクトンと他のヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレートと他のヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ酪酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を混合して用いることができる。
【0011】
脂肪族芳香族ポリエステル系生分解性樹脂としては、例えばコハク酸やアジピン酸、セバシン酸などの脂肪族二塩基酸及びテレフタル酸等の芳香族二塩基酸とエチレングリコールやブチレングリコール等の脂肪族グリコールとの縮重合体が挙げられ、この中でもポリエチレンテレフタレートサクシネートが特に好ましい。
【0012】
またアセチルセルロース系生分解性樹脂としては、アセチルセルロース、アセチルブチルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース等が挙げられるが、光沢、透明性、引っ張り強さ、硬度等の物理的特性と生分解性が良好である点でアセチルセルロースが特に好ましい。
【0013】
化学変性澱粉系生分解性樹脂としては、例えば高置換度エステル化澱粉、エステル化ビニルエステルグラフト重合澱粉、エステル化ポリエステルグラフト重合澱粉等の澱粉エステル、エーテル化ビニルエステルグラフト重合澱粉、エーテル化ポリエステルグラフト重合澱粉等の澱粉エーテル、ポリエステルグラフト重合澱粉等が挙げられるが、これらの中でもエステル化ビニルエステルグラフト澱粉、エステル化ポリエステルグラフト重合澱粉が好ましい。これらエステル化ビニルエステルグラフト澱粉、エステル化ポリエステルグラフト重合澱粉に用いられるエステル化試薬としては、アシル基の炭素数2〜18のビニルエステル、又は酸無水物、酸塩化物が好ましく、グラフト試薬としては、アシル基の炭素数2〜18のビニルエステル、環員数2〜12のラクトンが好ましい。これら化学変性澱粉系生分解性樹脂は2種以上を併用することができる。
【0014】
ポリエステルポリカーボネート系生分解性樹脂としては1,3‐ブタンジオール等のグリコールと、コハク酸等の二塩基酸と、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート等の炭酸エステルとの共重合体や、環状のエチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、2,2−ジメチルトリメチレンカーボネートとε−カプロラクトン、ピバロラクトンとの開環共重合体等が挙げられる。ポリエステルポリカーボネート系生分解性樹脂は、2種以上を併用することができる。
【0015】
本発明において上記生分解性樹脂は同一種類の生分解性樹脂から選択した1種又は2種以上を用いるのみならず、異なる種類の生分解性樹脂から選択した2種以上の樹脂を適宜混合して用いることもできる。
【0016】
本発明において上記生分解性樹脂のなかでも、樹脂の耐熱性、耐水性、耐溶剤性、光沢等の点でポリ乳酸樹脂及び/又は乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体が好ましい。乳酸と共重合する他のヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシバレリン酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシヘプタン酸、2−ヒドロキシオクタン酸、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ−2−エチル酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチルバレリン酸、2−ヒドロキシ−2−エチルバレリン酸、2−ヒドロキシ−2−プロピルバレリン酸、2−ヒドロキシ−2−ブチルバレリン酸、2−ヒドロキシ−2−メチルカプロン酸、2−ヒドロキシ−2−エチルカプロン酸、2−ヒドロキシ−2−プロピルカプロン酸、2−ヒドロキシ−2−ブチルカプロン酸、2−ヒドロキシ−2−ペンチルカプロン酸、2−ヒドロキシ−2−メチルヘプタン酸、2−ヒドロキシ−2−エチルヘプタン酸、2−ヒドロキシ−2−プロピルヘプタン酸、2−ヒドロキシ−2−ブチルヘプタン酸、2−ヒドロキシ−2−メチルオクタン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、4−ヒドロキシ酪酸、5−ヒドロキシバレリン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、7−ヒドロキシヘプタン酸等が挙げられる。上記乳酸及びヒドロキシカルボン酸は、D体、L体、D/L体などの形をとる場合があるが、本発明においてその形態に何ら制限は無い。
【0017】
本発明の生分解性樹脂水系分散体は、上記分子構造中にエステル結合を含む生分解性樹脂とオキサゾリン化合物とが水系分散媒に分散しているものであり、生分解性樹脂とオキザリン化合物が共に水系分散媒中に存在した本発明の生分解性樹脂水系分散体は、生分解性樹脂を水系分散媒に分散させた後、オキザリン化合物を添加する方法により得ることができる。本発明の生分解性樹脂水系分散体中には、生分解性樹脂とオキザリン化合物とが実質的に未反応状態で存在しているが、仮にオキザリン化合物の一部が生分解性樹脂と反応しても、大部分のオキザリン化合物が生分解性樹脂と未反応な状態で分散体中に存在していれば良い。本発明において生分解性樹脂とオキサゾリン化合物との割合は、生分解性樹脂99.9〜70重量%、オキザリン化合物0.1〜30重量%であることが好ましい。オキザリン化合物が0.1重量%未満では加水分解抑制効果や樹脂物性の改善効果を十分に得られない虞れがあり、30重量%を超えると樹脂の皮膜形成性が低下すると共に膜成形後の皮膜が脆くなり耐水性が低下する等の虞れがある。また水系分散体中における生分解性樹脂の割合は、20%〜60重量%が好ましく、生分解性樹脂の割合が20重量%以下であると成膜時の乾燥に要するエネルギーが多く不利であり、80重量%以上であると粒子が合一、凝集する虞れがある。
【0018】
上記オキサゾリン化合物としては、1個以上のオキサゾリン基を有するオキサゾリン誘導体を指し、1分子中に2個以上のオキサゾリン基を有する化合物であっても、1分子中に1個以上のオキサゾリン基を有するモノマー由来の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、5−メチル−2−ビニル−2−オキサゾリン、4,4−ジメチル−2−ビニル−2−オキサゾリン、4,4−ジメチル−2−ビニル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、4,4,6−トリメチル−2−ビニル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、4,4−ジメチル−2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、4−アクリロイル−オキシメチル−2,4−ジメチル−2−オキサゾリン、4−メタクリロイル−オキシメチル−2,4−ジメチル−2−オキサゾリン、4−メタクリロイル−オキシメチル−2−フェニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−(4−ビニルフェニル)−4,4−ジメチル−2−オキサゾリン、4−エチル−4−ヒドロキシメチル−2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、4−エチル−4−カルボエトキシメチル−2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、ビニルオキサゾリン類をモノマー由来とした共重合体、ビニルオキサゾリン類とスチレン、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル等の共重合可能な任意のモノマーとの共重合体等が挙げられる。特に2−オキサゾリン誘導体が反応性に富み工業的にも実用化されており好適である。本発明に用いられるオキサゾリン誘導体としては市販品である日本触媒化学工業株式会社製のエポクロスK−1000、K−1020E、K−1030E、K−2000、K−2020E、K−2030E、WS−500、WS−700、RPS−1005等が好ましい。
【0019】
生分解性樹脂を水系媒体に分散させるには、例えば攪拌装置を有する密閉槽内に、生分解性樹脂と分散剤水溶液を同時に仕込み、加熱攪拌しながら加圧して生分解性樹脂を分散させる加圧分散法、常圧または加圧下に保持されている熱分散剤水溶液中に生分解性樹脂を添加攪拌して分散させる直接分散法、生分解性樹脂の有機溶媒溶液を分散剤水溶液中に添加攪拌して分散させた後、有機溶媒を留去する方法、生分解性樹脂を加熱溶融させ、これに分散剤水溶液を添加攪拌して生分解性樹脂を水に分散させる転相法、押出し成型機中で加熱された樹脂中に分散剤水溶液を圧入して分散体を得る押出し分散法等を採用することができる。これら以外の方法でも、生分解性樹脂の水系分散体を得ることができる方法であれば適宜採用することができるが、生分解性樹脂の幅広い種類に適応が可能な点で、上記した生分解性樹脂の有機溶媒溶液を分散剤水溶液中に添加攪拌して分散させた後、有機溶媒を留去する方法が好ましい。また水系分散体を調製するに際し、必要により高圧ホモゲナイザー等の分散装置を併用しても良い。生分解性樹脂を水に分散させる際の熱による生分解性樹脂の分解を防止する目的で、予め生分解性樹脂中にオキザリン化合物を含有させておいても良い。
【0020】
水系分散媒としては、水の他に必要に応じエタノール、イソプロピルアルコール等のアルコールやエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール及びエチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のグリコールエーテル等の水溶性溶媒と水との混合溶媒等も用いることが出来る。
【0021】
生分解性樹脂を水系媒体に分散させる際に用いる分散剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、高分子界面活性剤、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子を用いることができるが、高分子界面活性剤である(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルやその中和物等のモノマー、或いはこれらモノマーの4級塩の少なくとも一種とを主成分とする平均分子量30万以上のカチオン性高分子化合物、または(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸やその中和物とを主成分とする平均分子量30万以上のアニオン性高分子化合物の何れかを用いると分散体の粒子径が十分に小さくなり好ましく、上記平均分子量30万以上のカチオン性高分子や平均分子量30万以上のアニオン系高分子化合物と、鹸化度70〜90%、平均分子量5〜30万のポリビニルアルコールとを混合して用いると、分散体の経時分散安定性が更に向上し好ましい。
【0022】
本発明の生分解性樹脂の水系分散体中には、必要に応じて可塑剤を添加することができるが、これらは予め生分解性樹脂中に添加されていても良い。可塑剤としては、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸誘導体、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジプロピオネート等のエーテルエステル誘導体、グリセリントリアセテート、グリセリントリプロピオネート、グリセリントリブチレート等のグリセリン誘導体、エチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等のフタル酸誘導体、アジピン酸と1,4−ブタンジオールとの縮合体等のアジピン酸誘導体、セバシン酸と1,4−ブタンジオールとの縮合体等のセバシン酸誘導体、コハク酸と1,4−ブタンジオールとの縮合体等のコハク酸誘導体、ポリカプロラクトン、ポリプロピオラクトン等のポリヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。これらのうちアジピン酸誘導体、フタル酸誘導体を用いたものが、造膜性向上効果が高い点で特に好ましい。可塑剤の使用量は生分解性樹脂100重量部あたり5から40重量部が好ましい。5重量部未満となると可塑化効果が発揮できなくなる虞れがあり、40重量部を超えると可塑剤のブリードアウトが発生する虞れがある。
【0023】
本発明の生分解性樹脂水系分散体には、必要に応じて上記成分以外に更に、増粘剤、表面平滑剤、離型剤、撥水剤(疎水性向上剤)、防錆剤、流動性調製剤等を含有せしめることができ、これらは、予め生分解性樹脂中に添加されていても良い。増粘剤としては、ポリエチレングリコール等のポリアルコキシド系高分子、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、カチオン化澱粉、エーテル化澱粉等の澱粉誘導体、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム等の植物ガム、カゼイン、キトサン、キチン等の動物性高分子等が挙げられる。一方、表面平滑性、離型性、撥水性等を改善するために、天然ワックス、合成ワックス等のワックス類を含有させることができる。天然ワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ固体ろう等の植物系天然ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系天然ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系天然ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムワックス等の石油系天然ワックス等が挙げられる。また合成ワックスとしては、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素類、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等の変性ワックス、硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体等の水素化ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド等が挙げられる。
【0024】
上記可塑剤、界面活性剤、増粘剤、表面平滑剤、離型剤、撥水剤(疎水性向上剤)、防錆剤、流動性調製剤等の成分を配合する場合、これらの成分は生分解性樹脂を分散させる前に予め水に添加しておいても、生分解性樹脂と一緒に水に添加しても、更には生分解性樹脂を水に分散させた後に添加しても良く、生分解性樹脂中に予め添加されていても良い。
【0025】
本発明の生分解性樹脂の水系分散体は、紙、パルプ、動植物繊維の不織布、織布、編布、皮革製品等の動植物素材からなる製品に複合化することで、これらの製品の撥水・撥油性、耐水性、気密性、表面光沢等を向上させることができる。複合化方法としては、本発明の水系分散体を、動植物素材からなるシート状物、板状物、不織布、織布、編布、成形品等の製品の表面に塗布したり噴霧したり、これらの製品に含浸させた後、加熱ロール、プレス、金型等によって加熱、加圧処理する方法等が挙げられる。また、これらの製品の製造原料として用いる動植物素材の粉末、粒状体、スラリー、ペースト等に添加して複合化したり、他の天然素材、例えば粘土、砂等の無機系鉱物質等の粉末、粒状体相互を結合するためのバインダーとして用いて粉末、粒状体等と複合化しても良い。例えば、シート基材が紙の場合、生分解性樹脂水系分散体をパルプスラリー中に添加して抄紙することにより、パルプと生分解性樹脂とを複合化させることができる。
【0026】
本発明の生分解性樹脂の水系分散体を、動植物素材からなる製品の耐水性、耐溶剤性等を高めるために用いる場合、離型性・疎水性向上剤として天然ワックス及び/又は合成ワックスを含有していることが好ましい。天然ワックス及び/又は合成ワックスを含有する場合、製品の撥水・撥油性、耐水性、耐油性、気密性等のより向上を図ることができるとともに、加工時の熱処理工程における加熱ロール、プレス、金型等からの離型性が向上するため好ましい。
【0027】
本発明の生分解性樹脂の水系分散体によって、紙、不織布、織布、編布、合成樹脂のシート、フィルム等のシート基を処理するには、シート基材を水系分散体中に浸漬してシート基材に含浸させたり、水系分散体をシート基材に塗布したり、噴霧する等の方法が挙げられる。またシート基材の製造工程において、シート基材製造原料中に添加することにより、シート基材と複合化することもできる。例えば、シート基材が紙の場合、生分解性樹脂水系分散体をパルプスラリー中に添加して抄紙する等の方法が挙げられる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0029】
実施例1
ポリ乳酸樹脂(残存ラクチド量300ppm)40重量部、ポリビニルアルコール(鹸化度:81.0%、平均分子量22万)0.6重量部、アクリルアミド/メタクリル酸(重量比で83:17)共重合体(平均分子量2000万)0.4重量部、脱イオン水40重量部、酢酸エチル60重量部をホモミキサーを装着したオートクレーブ中に仕込み、100℃に加熱して10,000r.p.m.で3分間撹拌した後、40℃まで急冷した。その後、減圧下に酢酸エチルを除去した後、オキサゾリン化合物としてエポクロスWS−700(株式会社日本触媒製:オキサゾリン基含有水溶性ポリマー:オキサゾリン当量 220g/eq.)を、ポリ乳酸樹脂に対しオキザゾリン純分が0.5重量%含有されるように添加して生分解性樹脂水系分散体とした。得られた生分解性樹脂の水系分散体を25℃で保持した場合、40℃で保持した場合の酸価の変化を、水系分散体製造直後、1週間後、1ヶ月後、6ヶ月後について測定した結果を表1に示す。尚、生分解性樹脂が加水分解すると、分解生成物により酸価が高くなるため、酸価の上昇が少ないものほど加水分解の割合が少ないことを示す。
【0030】
【表1】
Figure 2004323804
【0031】
実施例2
実施例1と同様のオキサゾリン化合物を、ポリ乳酸樹脂に対しオキサゾリン純分としての割合が1.0重量%含有されるように添加した他は、実施例1と同様にして生分解性樹脂の水系分散体を調整した。得られた水系分散体を25℃で保持した場合と、40℃で保持した場合の酸価の変化を実施例1と同様に測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0032】
実施例3
オキサゾリン化合物であるエポクロスRPS−1005(株式会社日本触媒製:スチレン・2−イソプロペニル−2−オキサゾリン共重合体:オキサゾリン当量 3300g/eq.)を、オキザゾリン純分が0.5重量%となるように溶融混練したポリ乳酸樹脂(残存ラクチド量300ppm)を実施例1と同様にして水に分散させた後、エポクロスWS−700をポリ乳酸樹脂に対してオキサゾリン純分が0.5重量%となるように添加して生分解性水系分散体とした(オキサゾリン化合物の総添加量は樹脂重量(固形分)に対し、オキサゾリン純分として1.0重量%)。得られた水系分散体を25℃で保持した場合と、40℃で保持した場合の酸価の変化を実施例1と同様に測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0033】
比較例1
オキザリン化合物を添加しなかった他は実施例1と同様にして生分解性樹脂水系分散体を得た。得られた水系分散体を25℃で保持した場合と、40℃で保持した場合の酸価の変化を実施例1と同様に測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0034】
実施例4
実施例1で得た生分解性樹脂水系分散体を、坪量50g/mの再生紙に20g/m塗布し、150℃で1分間熱プレスした後、抄紙方向の湿潤紙強度を測定した。次いで、この再生紙を40℃の蒸留水中に浸漬し、浸漬1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後の湿潤紙強度を測定した。表2に結果を示す。尚、湿潤紙強度の測定は、JIS P8113に準拠して行った。
【0035】
比較例2
比較例1と同様にして調製した水系分散体を、実施例4と同様にして塗布した再生紙の湿潤紙強度を同様にして測定した。結果を表2にあわせて示す。
【0036】
【表2】
Figure 2004323804
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の生分解性樹脂の水系分散体は、エステル結合を含む生分解性樹脂とオキサゾリン化合物とが水系媒体に分散されていることにより、保存中の生分解性樹脂の加水分解が起こりにくく、水系分散体の経時安定性に優れる他、造膜時の架橋効果により、優れた皮膜樹脂物性を発現する等の効果を奏する。

Claims (1)

  1. 分子構造中にエステル結合を含む生分解性樹脂と、オキサゾリン化合物とが水系溶媒に分散していることを特徴とする生分解性樹脂水系分散体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007246615A (ja) * 2006-03-14 2007-09-27 Kohjin Co Ltd ポリエステル加水分解抑制剤及びそれを含有するポリエステル樹脂組成物
US8137818B2 (en) 2008-07-28 2012-03-20 Tate & Lyle Ingredients Americas Llc Poly(lactic acid)-containing compositions for use in imparting oil, grease, or water resistance to paper
US10087326B2 (en) 2016-02-29 2018-10-02 Michelman, Inc. Aqueous-based hydrolytically stable dispersion of a biodegradable polymer
WO2022071219A1 (ja) * 2020-09-30 2022-04-07 東洋紡株式会社 グラフト変性生分解性ポリエステル樹脂水系分散体
JP7311209B1 (ja) * 2021-09-22 2023-07-19 中京油脂株式会社 水分散体

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