JP2002356001A - サーマルヘッド及びそれを用いたサーマルプリンタ - Google Patents

サーマルヘッド及びそれを用いたサーマルプリンタ

Info

Publication number
JP2002356001A
JP2002356001A JP2001165758A JP2001165758A JP2002356001A JP 2002356001 A JP2002356001 A JP 2002356001A JP 2001165758 A JP2001165758 A JP 2001165758A JP 2001165758 A JP2001165758 A JP 2001165758A JP 2002356001 A JP2002356001 A JP 2002356001A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
partial glaze
glaze layer
thermal head
overcoat layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001165758A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoichi Moto
洋一 元
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP2001165758A priority Critical patent/JP2002356001A/ja
Publication of JP2002356001A publication Critical patent/JP2002356001A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electronic Switches (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】電極パターンの腐食を長期にわたり有効に防止
することができるとともに、記録媒体を常に安定的に搬
送して記録媒体に良好な印画を形成することが可能な高
性能のサーマルヘッドを提供する。 【解決手段】セラミック基板1の上面に部分グレーズ層
2を形成し、該部分グレーズ層2の頂部付近に多数の発
熱抵抗体3を、部分グレーズ層2上からセラミック基板
1の表面にかけて電極パターン4を被着させるととも
に、これらを無機質材料から成る保護膜5で被覆してな
るサーマルヘッドにおいて、前記保護膜5の表面に、部
分グレーズ層2を囲繞する樹脂製のオーバーコート層6
を被着させる。また、前記オーバーコート層6をフッ素
樹脂により形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ファクシミリやビ
デオプリンタ等の印画デバイスとして用いられるサーマ
ルヘッド及びそれを用いたサーマルプリンタに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ファクシミリやビデオプリン
タ等の印画デバイスとしてサーマルヘッドが用いられて
いる。
【0003】かかる従来のサーマルヘッドとしては、例
えば図3に示す如く、アルミナセラミックス等のセラミ
ック材料から成るセラミック基板11の上面に、ガラス
から成る部分グレーズ層12を断面円弧状に被着させる
とともに該部分グレーズ層12の頂部付近に多数の発熱
抵抗体13を、部分グレーズ層12上からセラミック基
板11上にかけて各発熱抵抗体13に電力を供給するた
めの電極パターン14を被着させ、これらを窒化珪素等
の無機質材料から成る保護膜15で被覆した構造のもの
が知られており、感熱紙等の記録媒体をプラテンローラ
17を用いて発熱抵抗体13上の保護膜表面に摺接させ
ながら、多数の発熱抵抗体13を外部からの画像データ
に基づいて個々に選択的にジュール発熱させるとともに
該発熱した熱を記録媒体に伝導させ、記録媒体に所定の
印画を形成することによってサーマルヘッドとして機能
する。
【0004】尚、前記部分グレーズ層12は、その内部
で発熱抵抗体13の発した熱の一部を蓄積することによ
って発熱抵抗体13の温度を短時間で所定の温度まで上
昇させる蓄熱層として機能するものであり、かかる部分
グレーズ層12の形成は、所定のガラスペーストを従来
周知のスクリーン印刷等によってセラミック基板11の
上面に帯状に塗布し、これを高温で焼き付けることによ
り行なわれていた。
【0005】また前記保護膜15は発熱抵抗体13や電
極パターン14を感熱紙等の摺接による磨耗や大気中に
含まれている水分等の接触による腐食から保護するため
のものであり、かかる保護膜15の形成は、上述の無機
質材料を従来周知のスパッタリング等によって発熱抵抗
体13等の表面に所定厚みに被着させて行なわれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のサーマルヘッドのセラミック基板11には、表
面粗さが算術平均粗さRaで0.08μm〜0.15μm
程度のものが一般的に用いられており、このようなセラ
ミック基板11上にスパッタリング等によって保護膜1
5を形成すると、保護膜15中にはピンホールやクラッ
ク等の成膜欠陥が形成される。このような成膜欠陥は、
滑らかな表面をもった部分グレーズ層12上の領域には
さほど形成されないが、表面粗度の粗いセラミック基板
11の露出領域(部分グレーズ層12の存在しない領
域)には数多く形成されており、これらの成膜欠陥を介
して大気中の水分や感熱紙等等に含まれているNa+
オン等が電極パターン14に接触すると、電極パターン
14に腐食が発生して電極パターン14の配線抵抗を著
しく上昇せしめ、発熱抵抗体13に所定の電力を供給す
ることが不可となる欠点を有していた。
【0007】そこで上述の欠点を解消するために、保護
膜15の表面全体にシリコーン樹脂等から成るオーバー
コート層を被着させ、このオーバーコート層でもって成
膜欠陥を塞ぐことが提案されている。
【0008】しかしながら、保護膜15の表面全体にオ
ーバーコート層を被着させた場合、オーバーコート層を
形成するシリコーン樹脂等は弾性変形し易いことから、
記録媒体をサーマルヘッドに押圧しつつ搬送したときに
記録媒体がオーバーコート層に引っ掛かってスティッキ
ングを起こし易く、記録媒体の搬送状態が不安定になる
という欠点があり、また、樹脂製のオーバーコート層は
保護膜に対する被着強度が比較的低いことから、プラテ
ンローラを押圧して回転させた際に印加される大きな摩
擦力によってオーバーコート層が下地より比較的容易に
剥離し、この剥離が部分グレーズ層の形成領域を超えて
広範囲に及ぶと、結局、前述の成膜欠陥を開口させてし
まうこととなり、電極パターンの腐食を長期にわたって
防止するための有効な対策には成り得なかった。
【0009】更に上述のオーバーコート層は、熱伝導率
の極めて低いポリイミド樹脂(熱伝導率:0.8W/m
・K〜2.0W/m・K)等で形成されているため、発
熱抵抗体を短時間で繰り返し発熱させて高速印画を行な
ったり、或いは、記録動作が長時間に及んだりすると、
オーバーコート層の内部に熱がこもり、これらの熱の影
響によって印画の濃度むらが形成される欠点も有してい
た。
【0010】本発明は上述の欠点に鑑み案出されたもの
で、その目的は、電極パターンの腐食を長期にわたり有
効に防止することができるとともに、記録媒体を常に安
定的に搬送して記録媒体に良好な印画を形成することが
可能な高性能のサーマルヘッド及びサーマルプリンタを
提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のサーマルヘッド
は、セラミック基板の上面に部分グレーズ層を形成し、
該部分グレーズ層の頂部付近に多数の発熱抵抗体を、部
分グレーズ層上からセラミック基板の表面にかけて電極
パターンを被着させるとともに、これらを無機質材料か
ら成る保護膜で被覆してなるサーマルヘッドにおいて、
前記保護膜の表面に、前記部分グレーズ層を囲繞する樹
脂製のオーバーコート層を被着させたことを特徴とする
ものである。
【0012】また本発明のサーマルヘッドは、前記オー
バーコート層がフッ素樹脂から成ることを特徴とするも
のである。
【0013】更に本発明のサーマルヘッドは、前記オー
バーコート層の内周部が部分グレーズ層の外周部を被覆
していることを特徴とするものである。
【0014】また更に本発明のサーマルヘッドは、前記
部分グレーズ層の頂部の厚みが20μm〜140μm、前
記オーバーコート層の厚みが2μm〜10μmに設定さ
れ、前記部分グレーズ層をオーバーコート層の内側より
山状に突出させたことを特徴とするものである。
【0015】更にまた本発明のサーマルヘッドは、前記
セラミック基板の表面粗さが算術平均粗さRaで0.0
8μm〜0.15μm、前記部分グレーズ層の表面粗さが
算術平均粗さRaで0.06μm以下に設定されている
ことを特徴とするものである。
【0016】そして本発明のサーマルプリンタは、上述
のサーマルヘッドと、前記部分グレーズ層に対して記録
媒体を押圧しつつ搬送するプラテンローラとを備え、該
プラテンローラが前記オーバーコート層の内側でのみ部
分グレーズ層に対して押圧させることを特徴とするもの
である。
【0017】本発明によれば、セラミック基板の上面に
部分グレーズ層を形成し、該部分グレーズ層の頂部付近
に多数の発熱抵抗体を、部分グレーズ層上からセラミッ
ク基板の表面にかけて電極パターンを被着させるととも
に、これらを無機質材料から成る保護膜で被覆してなる
サーマルヘッドにおいて、前記保護膜の表面に、前記部
分グレーズ層を囲繞する樹脂製のオーバーコート層を被
着させたことから、保護膜をスパッタリング等の薄膜形
成技術によって形成した際、部分グレーズ層の存在しな
い領域で保護膜中にピンホール等の成膜欠陥が数多く形
成されても、これらの成膜欠陥をオーバーコート層でも
って良好に塞ぎ、大気中の水分や感熱紙等等に含まれて
いるNa+イオン等がセラミック基板上面の電極パター
ンに接触してこれらを腐食するといった不都合が有効に
防止される。従って、電極パターンの配線抵抗を長期に
わたって略一定に保つことができ、サーマルヘッドの信
頼性を向上させることが可能となる。
【0018】また本発明によれば、前記オーバーコート
層は部分グレーズ層を囲繞するようにして形成されてお
り、プラテンローラの押圧領域を避けるように配されて
いるため、記録動作時、記録媒体は部分グレーズ層上の
保護膜表面にのみ強く摺接されるようになっており、サ
ーマルヘッドに対する記録媒体の摺接を滑らかにするこ
とで、記録媒体を常に安定して搬送することができると
ともに、プラテンローラの押圧・回転に伴う大きな摩擦
力に起因したオーバーコート層の剥離を確実に防止し、
オーバーコート層を保護膜表面の所定領域に長期にわた
って良好に被着させておくことができる。この場合、上
述のオーバーコート層は発熱抵抗体上に存在していない
ため、オーバーコート層の内部にこもった熱が印画品質
に悪影響を及ぼすことはなく、濃度むらの少ない鮮明な
印画を得ることもできる。
【0019】更に本発明によれば、前記オーバーコート
層をフッ素樹脂で形成することにより、オーバーコート
層の撥水性が飛躍的に高められるため、大気中の水分等
がオーバーコート層を透過しようとするのが有効に防止
され、オーバーコート層の封止性を向上させることがで
きる上に、オーバーコート層の絶縁抵抗が高くなること
から、記録媒体の表面に帯電した静電気をオーバーコー
ト層全体に拡散させることができ、これによって保護膜
の静電破壊を有効に防止することもできる。
【0020】また更に本発明によれば、上述したオーバ
ーコート層の内周部で部分グレーズ層の外周部を被覆し
ておくことにより、部分グレーズ層の外周部に沿って形
成され易い保護膜中の大きなクラックをオーバーコート
層でもって確実に塞ぐことができ、大気中の水分等との
接触に起因した電極パターンの腐食をより確実に防止す
ることができる。
【0021】更にまた本発明によれば、前記部分グレー
ズ層の頂部の厚みを20μm〜140μmに、前記オーバ
ーコート層の厚みを2μm〜10μmに設定し、前記部分
グレーズ層をオーバーコート層の内側より山状に突出さ
せておくことにより、記録動作に際してプラテンローラ
が部分グレーズ層の周囲に被着させたオーバーコート層
と接触するのを確実に防止することができる利点もあ
る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を添付図面に基づい
て詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係るサ
ーマルヘッドの斜視図、図2は図1のサーマルヘッドを
用いて印画を行なう場合のサーマルヘッドとプラテンロ
ーラとの位置関係を示す断面図であり、1はセラミック
基板、2は部分グレーズ層、3は発熱抵抗体、4は電極
パターン、5は保護膜、6はオーバーコート層、7はプ
ラテンローラである。
【0023】前記セラミック基板1は、アルミナセラミ
ックス等のセラミック材料によって長方形状をなすよう
に形成されており、その上面には部分グレーズ層2や電
極パターン4,保護膜5等が被着され、これらを支持す
る支持母材として機能する。
【0024】前記セラミック基板1は、例えばアルミナ
セラミックスから成る場合、アルミナ、シリカ、マグネ
シア等のセラミックス原料粉末に適当な有機溶剤、溶媒
を添加混合して泥漿状に成すとともにこれを従来周知の
ドクターブレード法等を採用することによってセラミッ
クグリーンシートを形成し、これを所定形状に打ち抜い
た上、高温で焼成することにより製作される。尚、この
ようにして得られるセラミック基板1の表面粗さは算術
平均粗さRaで0.08μm〜0.15μmとなる。
【0025】また前記セラミック基板1の上面には、ガ
ラス製の部分グレーズ層2が帯状に被着されている。
【0026】前記部分グレーズ層2は、例えば曲率半径
1mm〜4mmの断面円弧状をなすように形成されてお
り、その頂部の厚みは20μm〜140μmに設定され、
表面粗さは算術平均粗さRaで0.06μm以下の極め
て平滑な面になしてある。
【0027】この部分グレーズ層2は、低熱伝導性(熱
伝導率:0.7W/m・K〜1.0W/m・K)のガラ
スにより形成されているため、その内部で発熱抵抗体3
の発する熱の一部を蓄積してサーマルヘッドの熱応答特
性を良好に維持する作用、具体的には、発熱抵抗体3の
温度を短時間で印画に必要な所定の温度まで上昇させる
作用を為し、また外形が断面円弧状を成すように形成さ
れているため、その頂部付近に配される発熱抵抗体3を
上方(プラテンローラ7側)へ突出させて記録媒体に対
する印圧を高く維持する作用も為す。
【0028】尚、前記部分グレーズ層2は、ガラス粉末
に適当な有機溶剤を添加・混合して得た所定のガラスペ
ーストを従来周知のスクリーン印刷等によってセラミッ
ク基板1の上面に帯状に印刷・塗布し、これを高温で焼
き付けることによって形成される。
【0029】更に前記部分グレーズ層2の頂部付近に
は、その長手方向にわたり多数の発熱抵抗体3が被着・
配列され、該各発熱抵抗体3には電極パターン4が電気
的に接続されている。
【0030】前記発熱抵抗体3は、例えば600dpi
(dot per inch)の密度で部分グレーズ層2上に直線状
に配列されており、該各発熱抵抗体3はTaNやTaS
iO,TiSiO等の電気抵抗材料により形成されてい
るため、電極パターン4を介して電源電力が印加される
とジュール発熱を起こし、記録媒体に印画を形成するの
に必要な温度、例えば130℃〜350℃の温度とな
る。尚、図1では、サーマルヘッドの構成を簡略化して
示すために、発熱抵抗体3を6個だけ用いてサーマルヘ
ッドを構成したものを図示している。
【0031】一方、前記発熱抵抗体3に接続されている
電極パターン4は、発熱抵抗体3に電源電力を供給する
ための給電配線として機能するものであり、アルミニウ
ムや銅等の金属材料から成り、部分グレーズ層2上から
セラミック基板1の表面にかけて被着・導出されてい
る。
【0032】このような発熱抵抗体3や電極パターン4
は、従来周知の薄膜形成技術、例えばTaN等の電気抵
抗材料とアルミニウム等の金属材料とを部分グレーズ層
2を被着させたセラミック基板1の上面に従来周知のス
パッタリング等によって順次被着させ、これらのスパッ
タ膜を従来周知のフォトリソグラフィー技術やエッチン
グ技術等を採用し所定パターンに加工することによって
形成される。
【0033】また前記発熱抵抗体3や電極パターン4等
を被着させたセラミック基板1や部分グレーズ層2の上
面には更に保護膜5が被着され、この保護膜5によって
発熱抵抗体3や電極パターン4等を被覆している。
【0034】前記保護膜5は、窒化珪素(Si34)や
サイアロン(Si-Al-O-N)等の耐磨耗性に優れた
無機質材料から成り、発熱抵抗体3や電極パターン4を
感熱紙等の摺接による磨耗や大気中に含まれている水分
等の接触による腐食から保護する作用を為す。
【0035】このような保護膜5は、従来周知の薄膜形
成技術、例えばスパッタリングを採用し、上述の無機質
材料を発熱抵抗体3や電極パターン4等の上面に2μm
〜20μmの厚みに被着させることにより形成される。
この場合、表面が平滑な部分グレーズ層2上の領域では
ピンホールやクラック等といった成膜欠陥の少ない良好
なスパッタ膜が得られるものの、部分グレーズ層2の存
在しない領域ではその下地となるセラミック基板1の表
面粗度の影響を受けて数多くの成膜欠陥が形成される。
特に、部分グレーズ層2の外周部ではセラミック基板表
面との間に大きな段差が出来ているため、この外周部に
沿って大きなクラックが形成され易くなっている。
【0036】そして、このような保護膜5の上面には、
先に述べた部分グレーズ層2を囲繞するようにしてオー
バーコート層6が被着される。
【0037】前記オーバーコート層6は、例えばフッ素
樹脂やエポキシ樹脂,フェノール樹脂,メラミン樹脂,
シリコン樹脂等の樹脂材料によって2μm〜10μmの厚
みに形成され、その中央には、発熱抵抗体3を設けた部
分グレーズ層2の上部領域が山状に突出される帯状の開
口を有している。
【0038】このため、部分グレーズ層2の存在しない
領域で保護膜5中に数多く形成されているピンホール等
の成膜欠陥はその開口部がオーバーコート層6でもって
良好に塞がれ、大気中の水分や感熱紙等等に含まれてい
るNa+イオン等がセラミック基板上面の電極パターン
4に接触してこれらを腐食するといった不都合が有効に
防止されるようになる。従って、電極パターン4の配線
抵抗を長期にわたって略一定に保つことができ、サーマ
ルヘッドの信頼性を向上させることが可能となる。
【0039】また前記オーバーコート層6は発熱抵抗体
3上に存在していないため、オーバーコート層6の内部
にこもった熱が印画品質に悪影響を及ぼすことはなく、
濃度むらの少ない鮮明な印画を得ることもできる。
【0040】更にこの場合、オーバーコート層6をフッ
素樹脂により形成すれば、オーバーコート層6の撥水性
が飛躍的に高められるため、大気中の水分等がオーバー
コート層6を透過しようとするのが有効に防止され、オ
ーバーコート層6の封止性を向上させることができる上
に、オーバーコート層6の絶縁抵抗が1010Ω・cm〜
1015Ω・cmの高い値になるため、記録媒体の表面に
帯電した静電気をオーバーコート層全体に拡散させるこ
とができ、これによって保護膜5の静電破壊を有効に防
止することもできる。従って、オーバーコート層6はフ
ッ素樹脂により形成することが好ましい。
【0041】また前記オーバーコート層6の内周部を部
分グレーズ層2の外周部上に幅2μm〜10μmほど重
ね、この領域をオーバーコート層6で被覆しておくよう
にすれば、部分グレーズ層2の外周部に沿って形成され
る保護膜5中の大きなクラックをオーバーコート層6で
もって確実に塞ぐことができ、大気中の水分等との接触
に起因した電極パターン4の腐食をより確実に防止する
こともできる。従って、オーバーコート層6の内周部で
部分グレーズ層2の外周部を被覆しておくことが好まし
い。
【0042】尚、このようなオーバーコート層6は、例
えば液状に成したフッ素樹脂の前駆体をディスペンサー
等を用いて保護膜5の上面に部分グレーズ層2を囲繞す
るように塗布し、しかる後、これを100℃〜200℃
の温度で加熱・重合させることによって被着・形成され
る。
【0043】そして、上述の構成をもったサーマルヘッ
ドが組み込まれるサーマルプリンタには、サーマルヘッ
ドの部分グレーズ層2上に直径6mm〜30mm程度の
プラテンローラ7が回転可能に支持され、このプラテン
ローラ7によって記録媒体をサーマルヘッドの部分グレ
ーズ層2に押圧しつつ記録媒体を発熱抵抗体3の配列方
向と直交する方向に搬送しながら、サーマルヘッドの発
熱抵抗体3を外部からの画像データに基づいて選択的に
発熱させ、これらの熱を記録媒体に伝導させて印画を形
成することによって一連の記録動作が行なわれる。
【0044】このとき、プラテンローラ7はオーバーコ
ート層6の内側でのみ部分グレーズ層2に対して押圧さ
れ、記録媒体がオーバーコート層6に強く摺接されるこ
とはないことから、サーマルヘッドに対する記録媒体の
摺接は滑らかであり、記録媒体を常に安定して搬送する
ことができるとともに、プラテンローラ7の押圧・回転
に伴う大きな摩擦力に起因したオーバーコート層6の剥
離を確実に防止し、オーバーコート層6を保護膜表面の
所定領域に長期にわたって良好に被着させておくことが
できる。
【0045】またこの場合、プラテンローラ7が押圧さ
れる部分グレーズ層2の上部領域はオーバーコート層6
の内側で山状に突出させてあるため、部分グレーズ層2
の周囲に薄く被着させたオーバーコート層6に対してプ
ラテンローラ7が接触することは殆どなく、これによっ
てもオーバーコート層6の剥離が有効に防止される。
【0046】尚、本発明は上述の形態に限定されるもの
ではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々
の変更、改良等が可能である。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、セラミック基板の上面
に部分グレーズ層を形成し、該部分グレーズ層の頂部付
近に多数の発熱抵抗体を、部分グレーズ層上からセラミ
ック基板の表面にかけて電極パターンを被着させるとと
もに、これらを無機質材料から成る保護膜で被覆してな
るサーマルヘッドにおいて、前記保護膜の表面に、前記
部分グレーズ層を囲繞する樹脂製のオーバーコート層を
被着させたことから、保護膜をスパッタリング等の薄膜
形成技術によって形成した際、部分グレーズ層の存在し
ない領域で保護膜中にピンホール等の成膜欠陥が数多く
形成されても、これらの成膜欠陥をオーバーコート層で
もって良好に塞ぎ、大気中の水分や感熱紙等等に含まれ
ているNa+イオン等がセラミック基板上面の電極パタ
ーンに接触してこれらを腐食するといった不都合が有効
に防止される。従って、電極パターンの配線抵抗を長期
にわたって略一定に保つことができ、サーマルヘッドの
信頼性を向上させることが可能となる。
【0048】また本発明によれば、前記オーバーコート
層は部分グレーズ層を囲繞するようにして形成されてお
り、プラテンローラの押圧領域を避けるように配されて
いるため、記録動作時、記録媒体は部分グレーズ層上の
保護膜表面にのみ強く摺接されるようになっており、サ
ーマルヘッドに対する記録媒体の摺接を滑らかにするこ
とで、記録媒体を常に安定して搬送することができると
ともに、プラテンローラの押圧・回転に伴う大きな摩擦
力に起因したオーバーコート層の剥離を確実に防止し、
オーバーコート層を保護膜表面の所定領域に長期にわた
って良好に被着させておくことができる。この場合、上
述のオーバーコート層は発熱抵抗体上に存在していない
ため、オーバーコート層の内部にこもった熱が印画品質
に悪影響を及ぼすことはなく、濃度むらの少ない鮮明な
印画を得ることもできる。
【0049】更に本発明によれば、前記オーバーコート
層をフッ素樹脂で形成することにより、オーバーコート
層の撥水性が飛躍的に高められるため、大気中の水分等
がオーバーコート層を透過しようとするのが有効に防止
され、オーバーコート層の封止性を向上させることがで
きる上に、オーバーコート層の絶縁抵抗が高くなること
から、記録媒体の表面に帯電した静電気をオーバーコー
ト層全体に拡散させることができ、これによって保護膜
の静電破壊を有効に防止することもできる。
【0050】また更に本発明によれば、上述したオーバ
ーコート層の内周部で部分グレーズ層の外周部を被覆し
ておくことにより、部分グレーズ層の外周部に沿って形
成され易い保護膜中の大きなクラックをオーバーコート
層でもって確実に塞ぐことができ、大気中の水分等との
接触に起因した電極パターンの腐食をより確実に防止す
ることができる。
【0051】更にまた本発明によれば、前記部分グレー
ズ層の頂部の厚みを20μm〜140μmに、前記オーバ
ーコート層の厚みを2μm〜10μmに設定し、前記部分
グレーズ層をオーバーコート層の内側より山状に突出さ
せておくことにより、記録動作に際してプラテンローラ
が部分グレーズ層の周囲に被着させたオーバーコート層
と接触するのを確実に防止することができる利点もあ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るサーマルヘッドの斜
視図である。
【図2】図1のサーマルヘッドを用いて印画を行なう場
合のサーマルヘッドとプラテンローラとの位置関係を示
す断面図である。
【図3】従来のサーマルヘッドの断面図である。
【符号の説明】
1・・・セラミック基板、2・・・部分グレーズ層、3
・・・発熱抵抗体、4・・・電極パターン、5・・・保
護膜、6・・・オーバーコート層、7・・・プラテンロ
ーラ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミック基板の上面に部分グレーズ層を
    形成し、該部分グレーズ層の頂部付近に多数の発熱抵抗
    体を、部分グレーズ層上からセラミック基板の表面にか
    けて電極パターンを被着させるとともに、これらを無機
    質材料から成る保護膜で被覆してなるサーマルヘッドに
    おいて、 前記保護膜の表面に、前記部分グレーズ層を囲繞するよ
    うにして樹脂製のオーバーコート層を被着させたことを
    特徴とするサーマルヘッド。
  2. 【請求項2】前記オーバーコート層がフッ素樹脂から成
    ることを特徴とする請求項1に記載のサーマルヘッド。
  3. 【請求項3】前記オーバーコート層の内周部が部分グレ
    ーズ層の外周部を被覆していることを特徴とする請求項
    1に記載のサーマルヘッド。
  4. 【請求項4】前記部分グレーズ層の頂部の厚みが20μ
    m〜140μm、前記オーバーコート層の厚みが2μm〜
    10μmに設定され、前記部分グレーズ層をオーバーコ
    ート層の内側より山状に突出させたことを特徴とする請
    求項1に記載のサーマルヘッド。
  5. 【請求項5】前記セラミック基板の表面粗さが算術平均
    粗さRaで0.08μm〜0.15μm、前記部分グレー
    ズ層の表面粗さが算術平均粗さRaで0.06μm以下
    に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のサ
    ーマルヘッド。
  6. 【請求項6】請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の
    サーマルヘッドと、前記部分グレーズ層に対して記録媒
    体を押圧しつつ搬送するプラテンローラとを備え、該プ
    ラテンローラが前記オーバーコート層の内側でのみ部分
    グレーズ層に対して押圧されることを特徴とするサーマ
    ルプリンタ。
JP2001165758A 2001-05-31 2001-05-31 サーマルヘッド及びそれを用いたサーマルプリンタ Pending JP2002356001A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001165758A JP2002356001A (ja) 2001-05-31 2001-05-31 サーマルヘッド及びそれを用いたサーマルプリンタ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001165758A JP2002356001A (ja) 2001-05-31 2001-05-31 サーマルヘッド及びそれを用いたサーマルプリンタ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002356001A true JP2002356001A (ja) 2002-12-10

Family

ID=19008390

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001165758A Pending JP2002356001A (ja) 2001-05-31 2001-05-31 サーマルヘッド及びそれを用いたサーマルプリンタ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002356001A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009107121A (ja) * 2007-10-26 2009-05-21 Tdk Corp サーマルヘッド、サーマルヘッドの製造方法及び印画装置
WO2010013500A1 (ja) * 2008-07-29 2010-02-04 京セラ株式会社 記録ヘッドおよびこれを備える記録装置
JP2011131463A (ja) * 2009-12-24 2011-07-07 Kyocera Corp ヘッド基体および記録ヘッドならびに記録装置
JPWO2021200869A1 (ja) * 2020-03-31 2021-10-07

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60178068A (ja) * 1984-02-24 1985-09-12 Nec Corp サ−マルヘツド
JPS6176378A (ja) * 1984-09-25 1986-04-18 Nec Corp サ−マルヘツド
JPS62103159A (ja) * 1985-10-30 1987-05-13 Nec Corp サ−マルヘツドの製造方法
JPS62108069A (ja) * 1985-11-06 1987-05-19 Alps Electric Co Ltd サ−マルヘツド
JPH0471254A (ja) * 1990-07-12 1992-03-05 Aoi Denshi Kk 混成集積回路装置
JPH11179948A (ja) * 1997-12-24 1999-07-06 Kyocera Corp サーマルヘッド

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60178068A (ja) * 1984-02-24 1985-09-12 Nec Corp サ−マルヘツド
JPS6176378A (ja) * 1984-09-25 1986-04-18 Nec Corp サ−マルヘツド
JPS62103159A (ja) * 1985-10-30 1987-05-13 Nec Corp サ−マルヘツドの製造方法
JPS62108069A (ja) * 1985-11-06 1987-05-19 Alps Electric Co Ltd サ−マルヘツド
JPH0471254A (ja) * 1990-07-12 1992-03-05 Aoi Denshi Kk 混成集積回路装置
JPH11179948A (ja) * 1997-12-24 1999-07-06 Kyocera Corp サーマルヘッド

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009107121A (ja) * 2007-10-26 2009-05-21 Tdk Corp サーマルヘッド、サーマルヘッドの製造方法及び印画装置
WO2010013500A1 (ja) * 2008-07-29 2010-02-04 京セラ株式会社 記録ヘッドおよびこれを備える記録装置
JP2011131463A (ja) * 2009-12-24 2011-07-07 Kyocera Corp ヘッド基体および記録ヘッドならびに記録装置
JPWO2021200869A1 (ja) * 2020-03-31 2021-10-07
WO2021200869A1 (ja) * 2020-03-31 2021-10-07 京セラ株式会社 サーマルヘッドおよびサーマルプリンタ
CN115362066A (zh) * 2020-03-31 2022-11-18 京瓷株式会社 热敏头以及热敏打印机

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2002356001A (ja) サーマルヘッド及びそれを用いたサーマルプリンタ
JP3451008B2 (ja) サーマルヘッド
JP4163921B2 (ja) サーマルヘッド及びそれを用いたサーマルプリンタ
JPH11277781A (ja) サーマルヘッド
JP4721570B2 (ja) サーマルヘッド及びそれを用いたサーマルプリンタ
JP4284079B2 (ja) サーマルプリンタ
JP2003072125A (ja) サーマルヘッド及びそれを用いたサーマルプリンタ
JP2004230582A (ja) サーマルヘッド及びそれを用いたサーマルプリンタ、並びにサーマルヘッドの製造方法
JP2004195947A (ja) サーマルヘッド及びそれを用いたサーマルプリンタ
JPH11157111A (ja) サーマルヘッド
JP4051262B2 (ja) サーマルヘッド及びそれを用いたサーマルプリンタ
JP4766726B2 (ja) サーマルヘッドの製造方法
JP4283943B2 (ja) サーマルヘッド
JP2592160Y2 (ja) サーマルヘッド
JP2000246929A (ja) サーマルヘッドの製造方法
JP2000246934A (ja) サーマルヘッド
JP2004291513A (ja) サーマルヘッドの製造方法
JPH07186422A (ja) サーマルプリンタ
JP2003103820A (ja) サーマルヘッド
JP2003063052A (ja) サーマルヘッド
JP2001143851A (ja) 加熱体
JP2004175049A (ja) サーマルヘッド及びそれを用いたサーマルプリンタ、並びに、サーマルヘッドの製造方法
JP2006035723A (ja) サーマルヘッド及びそれを用いたサーマルプリンタ
JPH05338235A (ja) サーマルヘッド
JP2003103818A (ja) サーマルヘッド

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080121

A977 Report on retrieval

Effective date: 20100820

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20100824

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101025

A02 Decision of refusal

Effective date: 20110308

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02