JP4163921B2 - サーマルヘッド及びそれを用いたサーマルプリンタ - Google Patents

サーマルヘッド及びそれを用いたサーマルプリンタ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファクシミリやビデオプリンタ等の印画デバイスとして用いられるサーマルヘッド及びそれを用いたサーマルプリンタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ファクシミリやビデオプリンタ等の印画デバイスとしてサーマルヘッドが用いられている。
【0003】
かかる従来のサーマルヘッドは、例えば図4に示す如く、アルミナセラミックス等から成る基板11の上面に、多数の発熱抵抗体13と、これら発熱抵抗体13に電気的に接続される一対の導電層14を被着させ、これらを窒化珪素(Si34)等から成る保護層15で被覆した構造を有しており、外部の搬送手段を用いて感熱紙やインクフィルム等の記録媒体を発熱抵抗体13上に搬送しながら、多数の発熱抵抗体13を画像データに基づいて個々に選択的にジュール発熱させるとともに、記録媒体を発熱抵抗体13上の保護層表面に摺接させ、発熱抵抗体13の発した熱を保護層15を介して記録媒体に伝達させることによって印画を形成するようになっている(特許文献1参照)。
【0004】
尚、前記保護層15は、発熱抵抗体13や一対の導電層14を記録媒体の摺接による磨耗から良好に保護するためのものであり、かかる保護層15の形成は、窒化珪素等の無機質材料を従来周知のスパッタリング法を採用することにより発熱抵抗体13や一対の導電層14の表面に所定厚みに被着させて形成される。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−135803号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スパッタリング法等の薄膜手法により成膜される保護層15には、“ピンホール”と呼ばれる多数の膜欠陥が形成されており、かかる膜欠陥を介して大気中の水分や記録媒体に含まれるNaイオンやKイオン、Clイオン等が導電層14に接触すると、導電層14が腐食・溶融して導電層14の配線抵抗が著しく上昇し、発熱抵抗体13を所望の温度で発熱させることが不可となる欠点を有していた。
【0007】
そこで上述の欠点を解消するため、保護層5の表面全体にアクリル系樹脂やシリコーン樹脂等からなるオーバーコート層を被着させ、かかるオーバーコート層でもって膜欠陥を塞ぐことが提案されている。
【0008】
しかしながら、保護層5の表面全体にオーバーコート層を被着させた場合、樹脂製のオーバーコート層は保護層に対する被着強度が比較的低いことから、プラテンローラを押圧して回転させた際に印加される大きな摩擦力によってオーバーコート層が下地より比較的容易に剥離し、膜欠陥を開口させてしまうこととなり、導電層の腐食を長期にわたって有効に防止するための対策にはならなかった。
【0009】
本発明は上記欠点に鑑み案出されたものであり、その目的は、導電層の腐食を長期にわたり有効に防止することが可能な高性能のサーマルヘッド、並びにサーマルプリンタを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のサーマルヘッドは、基板に多数の発熱抵抗体及びアルミニウムを主成分とする導電層を設けるとともに、前記発熱抵抗体及び前記導電層上に保護層を設けてなるサーマルヘッドにおいて、前記保護層がピンホールを有し且つSi−N系もしくはSi−O−N系の無機材料から成り、前記ピンホール内に設けられ且つ酸化アルミニウムから成る絶縁膜と、前記保護層の上面に前記絶縁膜を覆うようにして被着され且つSi−N系もしくはSi−O−N系の無機材料から成る耐摩耗層と、を更に有することを特徴とするものである。
【0011】
また本発明のサーマルヘッドは、前記絶縁層の密度に対する前記導電層を構成する金属材料の密度の割合が1.20〜1.70であることを特徴とするものである。
【0012】
そして本発明のサーマルプリンタは、上述のサーマルヘッドと、前記発熱抵抗体上に位置する前記耐摩耗層に記録媒体を摺動させるプラテンローラと、を具備することを特徴とするものである。
【0013】
本発明によれば、前記保護層中の膜欠陥より露出した導電層上に、酸化アルミニウム製の絶縁膜を被着させるとともに、該絶縁膜及び保護層を耐磨耗層で被覆したことから、保護層中の膜欠陥の空隙が絶縁膜で塞がれ、更に膜欠陥の形成領域が耐磨耗層でもって良好に被覆されることとなり、大気中の水分や感熱紙等に含まれているNa+イオンやK+イオン、Cl-イオン等が保護層中の膜欠陥を介して浸入しようとしても、その浸入が上記絶縁膜や耐磨耗層でもって良好に阻止されることとなり、水分やイオンと接触して導電層が腐食・溶融するといった不都合を有効に防止して、導電層の配線抵抗を略一定に保ち、発熱抵抗体を所望する温度で発熱させることが可能となる。
【0014】
しかもこの場合、前記絶縁膜はSi-N系やSi-O-N系の無機物材料との密着性が良好な酸化アルミニウムにより形成されているため、絶縁膜と保護層、絶縁膜と耐磨耗層はそれぞれ強固に接着されることとなる。従って、記録媒体が耐磨耗層に対して繰返し強く摺接され、耐磨耗層や保護層に大きな応力が印加された場合であっても、絶縁膜を起点として耐磨耗層が剥がれたり、あるいは、絶縁膜が保護層中の膜欠陥内より剥離したりすることはほとんどなく、導電層の腐食を長期にわたり有効に防止することが可能な信頼性の高いサーマルヘッド、並びにサーマルプリンタが実現されることとなる。
【0015】
また本発明によれば、前記絶縁膜の表面を耐磨耗層で被覆したことから、絶縁膜に対して記録媒体が直接摺接して絶縁膜に過度の応力が印加されることはなく、絶縁膜にひび割れ等が発生することを有効に防止でき、これによってもサーマルヘッド、並びにサーマルプリンタの信頼性を高く維持することが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るサーマルヘッドの断面図であり、1は基板、2は部分グレーズ層、3は発熱抵抗体、4は導電層、5は保護層、6は絶縁膜、7は耐磨耗層である。
【0017】
前記基板1は、アルミナセラミックス等の電気絶縁性材料によって矩形状をなすように形成されており、その上面には部分グレーズ層2や発熱抵抗体3,一対の導電層4、保護層5、絶縁膜6、耐磨耗層7等が取着され、これらを支持する支持母材として機能する。
【0018】
前記基板1は、例えばアルミナセラミックスから成る場合、アルミナ、シリカ、マグネシア等のセラミックス原料粉末に適当な有機溶剤、溶媒を添加混合して泥漿状に成すとともにこれを従来周知のドクターブレード法等を採用することによってセラミックグリーンシートを形成し、これを所定形状に打ち抜いた上、高温で焼成することにより製作される。
【0019】
また前記基板1の上面には、ガラス製の部分グレーズ層2が基板1の長手方向に帯状に被着され、その頂部付近には多数の発熱抵抗体3が設けられる。
【0020】
前記部分グレーズ層2は、例えば曲率半径1mm〜4mmの断面円弧状をなすように形成されており、その頂部の厚みは20μm〜160μmに設定される。
【0021】
この部分グレーズ層2は、低熱伝導性(熱伝導率:0.7W/m・K〜1.0W/m・K)のガラスにより形成されているため、その内部で発熱抵抗体3の発する熱の一部を蓄積してサーマルヘッドの熱応答特性を良好に維持する作用、具体的には、発熱抵抗体3の温度を短時間で印画に必要な所定の温度まで上昇させる蓄熱層としての作用を為す。
【0022】
尚、前記部分グレーズ層2は、ガラス粉末に適当な有機溶剤を添加・混合して得た所定のガラスペーストを従来周知のスクリーン印刷等によって基板1の上面に帯状に印刷・塗布し、これを高温で焼き付けることによって形成される。
【0023】
更に前記部分グレーズ層2の頂部付近に設けられる多数の発熱抵抗体3は、例えば600dpi(dot per inch)の密度で主走査方向に直線状に配列されており、これらの発熱抵抗体3は各々がTaNやTaSiO,TiSiO等の電気抵抗材料により形成されているため、その両端に電気的に接続される一対の導電層4等を介して電源電力が印加されるとジュール発熱を起こし、記録媒体に印画を形成するのに必要な温度、例えば130℃〜350℃の温度となる。
【0024】
また前記発熱抵抗体3に接続される一対の導電層4は、発熱抵抗体3等に電力を供給する給電配線として機能するものであり、アルミニウムを主成分とする金属材料から成り、部分グレーズ層2上から基板1の表面にかけて被着・導出された上、この導出部がドライバーIC6の対応する端子等に電気的に接続される。
【0025】
このような発熱抵抗体3や一対の導電層4は、従来周知の薄膜形成技術、例えばTaN等の電気抵抗材料とアルミニウムを主成分とする金属材料とを部分グレーズ層2を被着させた基板1の上面に従来周知のスパッタリング等によって順次被着させ、これらのスパッタ膜を従来周知のフォトリソグラフィー技術やエッチング技術等を採用し所定パターンに加工することによって形成される。
【0026】
また上述した多数の発熱抵抗体3や一対の導電層4の表面には保護層5が被着され、このような保護層5によって多数の発熱抵抗体3や多数の一対の導電層4が共通に被覆されている。
【0027】
前記保護層5は、窒化珪素(Si34)やサイアロン(Si-Al-O-N)等のSi-N系もしくはSi-O-N系の無機物材料から成り、発熱抵抗体3や一対の導電層4を大気中に含まれている水分等の接触による腐食から保護する作用を為す。
【0028】
かかる保護層5は、従来周知の薄膜形成技術、例えばスパッタリングを採用し、上述の無機質材料を発熱抵抗体3や一対の導電層4等の上面に0.1μm〜5μmの厚みに被着させることにより形成され、このように形成された保護層5には10個/cm2〜50個/cm2の割合で“ピンホール”と呼ばれる膜欠陥が形成される。
【0029】
そして、上述した保護層5中に形成された膜欠陥の内部で、且つ該膜欠陥内より露出した導電層上には絶縁膜6が被着され、更に、該絶縁膜6及び保護層5上には耐磨耗層7が被着されている。
【0030】
前記絶縁膜6は、前記導電層4を酸化して形成された酸化アルミニウムからなり、その抵抗率が1×1014Ω・cm〜1.2×1014Ω・cmに、その密度(d2)に対する導電層4を構成する金属材料の密度(d1)の割合(d1/d2)が1.20〜1.70にそれぞれ設定されており、保護層5中に形成された膜欠陥を塞いで大気中の水分や記録媒体の表面に付着したイオンが膜欠陥を介して導電層内に浸入するのを防止する作用を為す。
【0031】
一方、前記耐磨耗層7は、窒化珪素(Si34)や窒化珪素に炭素を含有させた混合材材料、サイアロン(Si-Al-O-N)等のようなSi-N系、もしくはSi-O-N系の無機質材料(ビッカース硬度Hvが1500〜4000)により形成されており、これらの無機質材料は耐磨耗性に優れていることから、前記絶縁膜6や保護層5上を被覆することにより、絶縁膜6に対して感熱紙等の記録媒体が直接摺接するのを防止する作用を為している。
【0032】
このように、前記保護層5中の膜欠陥より露出した導電層4上に、導電層4を酸化して形成された酸化アルミニウムから成る絶縁膜6を形成するとともに、該絶縁膜6及び保護層5上を耐磨耗層7で被覆したことから、保護層5中の膜欠陥の空隙が絶縁膜6で塞がれ、更に膜欠陥の形成領域が耐磨耗層7でもって良好に被覆されることとなり、大気中の水分や感熱紙等に含まれているNa+イオンやK+イオン、Cl-イオン等が保護層5中の膜欠陥を介して浸入しようとしても、その浸入が上記絶縁膜6や耐磨耗層7でもって良好に阻止されることとなり、水分やイオンと接触して導電層4が腐食・溶融するといった不都合を有効に防止して、導電層4の配線抵抗を略一定に保ち、発熱抵抗体3を所望する温度で発熱させることが可能となる。
【0033】
しかもこの場合、前記絶縁膜6はSi-N系やSi-O-N系の無機物材料との密着性が良好な酸化アルミニウムにより形成されているため、絶縁膜6と保護層5、絶縁膜6と耐磨耗層7とが強固に接着されることとなる。従って、記録媒体が耐磨耗層7上に対して繰返し強く摺接され、耐磨耗層7や保護層5に大きな応力が印加された場合であっても、絶縁膜6を起点として耐磨耗層7が剥がれたり、あるいは、絶縁膜6が保護層5中の膜欠陥内より剥離したりすることはほとんどなく、導電層4の腐食を長期にわたり有効に防止することが可能な信頼性の高いサーマルヘッド、並びにサーマルプリンタが実現されることとなる。
【0034】
更に、前記絶縁膜6の表面を耐磨耗層7で被覆したことから、絶縁膜6に対して記録媒体が直接摺接して絶縁膜6に過度の応力が印加されることはなく、それ故、絶縁膜6にひび割れ等が発生することを有効に防止し、これによってもサーマルヘッド並びにサーマルプリンタの信頼性を高く維持することができる。
【0035】
また更に、前記絶縁膜6の密度(d2)に対する導電層4の密度(d1)の割合(d1/d2)を1.20〜1.70に設定したことから、絶縁膜6を構成する酸化アルミニウムが非常に緻密な状態となり、膜欠陥の封止性を更に向上させることができる。
【0036】
ここで、前記絶縁膜6の密度(d2)に対する導電層4の密度(d1)の割合(d1/d2)が1.20よりも小さいと、絶縁膜6が比較的粗い膜となってしまい、一方、上記割合(d1/d2)が1.70よりも大きいと、絶縁膜6の内部応力が大きくなって保護層5や耐磨耗層7との密着性を非常に高いレベルで維持することが難しくなる傾向にある。従って、前記絶縁膜6の密度(d2)に対する導電層4の密度(d1)の割合(d1/d2)を1.20〜1.70に設定しておくことが好ましい。
【0037】
尚、前記絶縁膜6は、例えば従来周知の陽極酸化法や高温酸化法により膜欠陥の内部に0.05μm〜0.9μmの厚みに形成される。具体的には、陽極酸化法により絶縁膜6を形成する場合、例えば図2に示すような陽極酸化装置を用いて形成され、保護層5が形成されたヘッド基板1を、硼酸アンモニウム、燐酸アンモニウム等を5質量%〜25質量%含む電解液で満たされた処理槽12中に浸漬させるとともに、該処理槽12内の電極板8を陰極に、ヘッド基板1の導電層4を陽極にそれぞれ接続し、しかる後、電極板8−導電層4間に外部電源9を用いて2.5V〜30Vの正の電圧を0.5分間〜30分間印加し、電解液中の負イオンOH-を導電層4の所定領域に付着させ、酸化アルミニウムを膜欠陥の内部に堆積させることにより絶縁膜6が形成される。このように形成された絶縁膜6は、アルミニウムから成る導電層4の一部を陽極酸化することにより形成されるため、保護層5内に存在する膜欠陥の開口面積が1200μm2以下と非常に小さい場合であっても、膜欠陥を絶縁膜6でもって良好に塞ぐことができる上に、絶縁膜6を素早く形成することができ、サーマルヘッド並びにサーマルプリンタの信頼性や生産性を向上させることが可能となる。
【0038】
また前記耐磨耗層7は、先に述べた無機質材料を従来周知の薄膜手法、具体的にはスパッタリング法等を採用し、保護層5や絶縁膜6の上面に4μm〜20μmの厚みに堆積させることによって形成される。
【0039】
そして、上述のようなサーマルヘッドが組み込まれるサーマルプリンタには、図3に示す如く、記録媒体をサーマルヘッドTの発熱抵抗体3上に搬送する搬送手段として、プラテンローラ10や搬送ローラ11a,11b,11c,11d等が配設される。
【0040】
前記プラテンローラ10は、SUS等の金属から成る軸芯の外周にブタジエンゴム等を3mm〜15mm程度の厚みに巻きつけた円柱状の部材であり、サーマルヘッドTの発熱抵抗体3上に回転可能に支持され、記録媒体を発熱抵抗体3上の保護層表面に押圧しつつ記録媒体を発熱抵抗体3の配列と直交する方向(図中の矢印方向)に搬送する。
【0041】
また前記搬送ローラ11a,11b,11c,11dは、その外周部が金属やゴム等によって形成されており、サーマルヘッドTに対し記録媒体の搬送方向上流側と下流側に分かれて配設され、これらの搬送ローラ11a,11b,11c,11dと前述のプラテンローラ10とで記録媒体の走行を支持している。
【0042】
そして、これと同時に多数の発熱抵抗体3を図示しないドライバーICの駆動に伴い選択的にジュール発熱させ、これらの熱を保護層5を介し記録媒体に伝達させることによって所定の印画が形成される。
【0043】
尚、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
【0044】
例えば上述の実施形態において、前記絶縁膜6を保護層5中に設けられる膜欠陥の内部全域に形成し、絶縁膜6の上面と保護層5の上面とを略同一平面に成しておけば、耐磨耗層7の下地がフラットな状態となり、耐磨耗層7の絶縁膜6や保護層5に対する密着性が更に向上し、耐磨耗層7を下地に対してより強固に接着させておくことができる上に、良好な膜質の耐磨耗層7を形成することもできる。
【0045】
しかもこの場合、耐磨耗層7の下地がフラットな状態であることから、それに応じて耐磨耗層7の表面も滑らかとなり、記録媒体が耐磨耗層7に対して強く摺接したとしても、記録媒体が耐磨耗層7の表面で引っ掛かってスティッキングを起こしたり、あるいは、記録媒体の表面が傷ついたりすることを有効に防止できるという利点もある。
【0046】
また上述の実施形態において、前記耐磨耗層7の比抵抗を1×107Ω・cm〜1×1011Ω・cmに設定しておけば、耐磨耗層に適度な導電性が付与されることとなるため、耐磨耗層の表面に記録媒体を摺接させて印画を行う際に、記録媒体の表面に帯電した静電気の一部がサーマルヘッドに印加されても、これらの電荷は耐磨耗層上の一部に留まることなく耐磨耗層全体にわたって良好に拡散されることとなり、耐磨耗層に局部的な大電圧が印加された場合であっても、耐磨耗層が静電破壊することを有効に防止でき、これによってもサーマルヘッド並びにサーマルプリンタの信頼性を向上させることが可能となる。尚、耐磨耗層の比抵抗を上記数値範囲内に設定するには、耐磨耗層内に添加する炭素の量を調整すればよい。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、前記保護層中の膜欠陥より露出した導電層上に、酸化アルミニウム製の絶縁膜を被着させるとともに、該絶縁膜及び保護層を耐磨耗層で被覆したことから、保護層中の膜欠陥の空隙が絶縁膜で塞がれ、更に膜欠陥の形成領域が耐磨耗層でもって良好に被覆されることとなり、大気中の水分や感熱紙等に含まれているNa+イオンやK+イオン、Cl-イオン等が保護層中の膜欠陥を介して浸入しようとしても、その浸入が上記絶縁膜や耐磨耗層でもって良好に阻止されることとなり、水分やイオンと接触して導電層が腐食・溶融するといった不都合を有効に防止して、導電層の配線抵抗を略一定に保ち、発熱抵抗体を所望する温度で発熱させることが可能となる。
【0048】
しかもこの場合、前記絶縁膜はSi-N系やSi-O-N系の無機物材料との密着性が良好な酸化アルミニウムにより形成されているため、記録媒体が耐磨耗層に対して繰返し強く摺接され、耐磨耗層や保護層に大きな応力が印加された場合であっても、絶縁膜を起点として耐磨耗層が剥がれたり、あるいは、絶縁膜が保護層中の膜欠陥内より剥離したりすることはほとんどなく、導電層の腐食を長期にわたり有効に防止することが可能な信頼性の高いサーマルヘッド、並びにサーマルプリンタが実現されることとなる。
【0049】
また本発明によれば、前記絶縁膜の表面を耐磨耗層で被覆したことから、絶縁膜に対して記録媒体が直接摺接して絶縁膜に過度の応力が印加されることはなく、絶縁膜にひび割れ等が発生することを有効に防止でき、これによってもサーマルヘッド、並びにサーマルプリンタの信頼性を高く維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1のサーマルヘッドの断面図である。
【図2】絶縁膜を形成する際に用いる陽極酸化装置の構成を示す図である。
【図3】図1のサーマルヘッドを用いたサーマルプリンタの構成を示す図である。
【図4】従来のサーマルヘッドの断面図である。
【符号の説明】
1・・・基板
2・・・部分グレーズ層
3・・・発熱抵抗体
4・・・一対の導電層
5・・・保護層
6・・・絶縁膜
7・・・耐磨耗層
8・・・電極板
9・・・外部電源
10・・・プラテンローラ
11a,11b,11c,11d・・・搬送ローラ
12・・・処理槽

Claims (3)

  1. 基板に多数の発熱抵抗体及びアルミニウムを主成分とする導電層を設けるとともに、前記発熱抵抗体及び前記導電層上に保護層を設けてなるサーマルヘッドにおいて、
    前記保護層は、ピンホールを有し且つSi−N系もしくはSi−O−N系の無機材料から成り、
    前記ピンホール内に設けられ且つ酸化アルミニウムから成る絶縁膜と、前記保護層の上面に前記絶縁膜を覆うようにして被着され且つSi−N系もしくはSi−O−N系の無機材料から成る耐摩耗層と、を更に有することを特徴とする、サーマルヘッド。
  2. 前記絶縁層の密度に対する前記導電層を構成する金属材料の密度の割合は、1.20〜1.70であることを特徴とする、請求項1に記載のサーマルヘッド。
  3. 請求項1または請求項2に記載のサーマルヘッドと、前記発熱抵抗体上に位置する前記耐摩耗層に記録媒体を摺動させるプラテンローラと、を具備することを特徴とするサーマルプリンタ。
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