JP4522183B2 - サーマルヘッド及びそれを用いたサーマルプリンタ - Google Patents

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Description

本発明は、発熱抵抗体の発する熱を利用して印画等の動作を行うサーマルヘッド及びそれを用いたサーマルプリンタに関するものである。
従来より、ファクシミリやビデオプリンタ等の印画デバイスとしてサーマルヘッドが用いられている。
かかる従来のサーマルヘッドは、例えば図6に示す如く、アルミナセラミックス等から成る基板21の上面に、複数の発熱抵抗体23を配列するとともに、各発熱抵抗体23の両端にアルミニウムから成る一対の電極配線24を接続し、これらを窒化珪素(Si)等から成る保護層25で被覆した構造を有しており、外部の搬送手段を用いて感熱紙やインクフィルム等の記録媒体を発熱抵抗体23上に搬送しながら、複数の発熱抵抗体23を画像データに基づいて個々に選択的にジュール発熱させるとともに、記録媒体を発熱抵抗体23上の保護層表面に摺接させ、発熱抵抗体23の発した熱を保護層25を介して記録媒体に伝達させることによって印画を形成するようになっている。
尚、保護層25は、発熱抵抗体23や一対の電極配線24を記録媒体の摺接による磨耗から良好に保護するためのものであり、窒化珪素等の無機質材料を従来周知のスパッタリング法を採用することにより発熱抵抗体23や一対の電極配線24の表面に所定厚みに被着させて形成される。
ところで、スパッタリング法等の薄膜手法により成膜される保護層25には、“ピンホール”と呼ばれる膜欠陥が形成されているため、かかる膜欠陥内に大気中の水分や記録媒体に含まれるNaイオンやKイオン、Clイオン等が入り込み、発熱抵抗体23や電極配線24に接触すると、発熱抵抗体23や電極配線24が腐食・溶融してこれらの配線抵抗が著しく上昇し、発熱抵抗体23を所望の温度で発熱させることが困難となる課題があった。
そこで上記課題を解決すべく、下記の特許文献1に記載されているように、電極配線の表面を、アルミニウムを陽極酸化してなる陽極酸化層で被覆することが提案されている。
特開平2−38062号公報
しかしながら、特許文献1に示されたサーマルヘッドにおいては、発熱抵抗体の表面には陽極酸化層が形成されていないため、上述の“ピンホール”が発熱抵抗体の真上に存在した場合、大気中の水分や記録媒体に含まれるイオン等の影響で発熱抵抗体が腐食する課題は依然として未解決のままである。
また特許文献1に示されたサーマルヘッドにおいては、電極配線の表面にのみ陽極酸化層が形成されていることから、発熱抵抗体と電極配線との境界面における段差部を陽極酸化層で封止することができない。また段差部は保護層で良好に被覆することは一般的に困難である。それ故、上記段差部から水分やイオンが侵入し、発熱抵抗体や電極配線が腐食するという課題が存在していた。
本発明は上記課題に鑑み案出されたものであり、その目的は、発熱抵抗体及び電極配線の腐食を良好に防止することが可能な高性能のサーマルヘッド、並びにサーマルプリンタを提供することにある。
本発明のサーマルヘッドは、抵抗体層から成る発熱抵抗体と、該発熱抵抗体の両端に電気的に接続され、金属層から成る一対の電極配線と、前記抵抗体層及び前記金属層の表面が酸化されて形成された絶縁層と、前記発熱抵抗体及び前記電極配線を被覆する保護層とを備え、前記電極配線を構成する前記金属層は、前記発熱抵抗体を構成する前記抵抗体層上に配されており、前記絶縁層の厚みは、前記電極配線の上面よりも前記電極配線の端面で小さいことを特徴とする。
また本発明の上述のサーマルヘッドにおいて、前記絶縁層の厚みは前記発熱抵抗体の上面よりも前記電極配線の上面で大きくなっていてもよい
また本発明の上述のサーマルヘッドにおいて、前記絶縁層は、前記抵抗体層及び前記金属層を、その表面より内側に向かって酸化することで形成されていてもよい
更に本発明の上述のサーマルヘッドにおいて、前記金属層がアルミニウムにより形成されており、前記抵抗体層及び前記金属層の酸化が陽極酸化法により行われていてもよい
また本発明の上述のサーマルヘッドにおいて、前記発熱抵抗体を構成する前記抵抗体層上に形成される前記絶縁層中の酸素含有と前記発熱抵抗体中の酸素含有との差が20原子%以内であるように構成されていてもよい
更に本発明の上述のサーマルヘッドにおいて、前記発熱抵抗体の組成がTaSiO(1.3≦x≦1.7、1.2≦y≦1.95)であってもよい
また更に本発明の上述のサーマルヘッドにおいて、前記絶縁層の組成がTaSiO(0.9≦a≦1.2、5.7≦b≦6.2)であってもよい。
そして本発明のサーマルプリンタは、上述のサーマルヘッドと、該サーマルヘッド上に記録媒体を搬送する搬送手段とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、抵抗体層及び金属層に、その一部が酸化されて形成された絶縁層を形成したことから、発熱抵抗体、電極配線のみならず、これらの境界面における段差部をも絶縁層で良好に覆うことができる。従って、抵抗体層や金属層上の保護層に形成された“ピンホール”内に大気中の水分や記録媒体に含まれるイオン等が侵入しても、これらの水分やイオンによって発熱抵抗体や電極配線が腐食することが良好に防止され、発熱抵抗体を所望の温度で発熱させることが可能な高性能のサーマルヘッド、並びにサーマルプリンタを実現できる。
しかも、前記電極配線がアルミニウムにより形成されている場合、前記電極配線表面に位置する絶縁層はSi-N系やSi-O-N系の無機物材料との密着性が良好な酸化アルミニウムにより形成されることとなるため、保護層をSi-N系やSi-O-N系の無機物材料で形成しておけば、絶縁層と保護層の密着性を高くすることができるという利点がある。
また本発明によれば、前記絶縁層の厚みを前記発熱抵抗体の上面よりも前記電極配線の上面で大きくすることにより、前記保護層中に“ピンホール”が発生しやすい前記電極配線上で絶縁層の封止性をより一層高めることができる。
更に本発明によれば、前記絶縁層の厚みを、前記電極配線の上面よりも前記保護層中の“ピンホール”が発生しにくい前記電極配線の端面で小さくすることにより、電極配線の上面側の封止性を良好に維持しつつ、金属層中における電流の通過領域の体積をより多く確保することができ、絶縁層の形成によって電極配線の配線抵抗が過度に大きくなることが抑制される。
また更に本発明によれば、抵抗体層の一部を酸化して形成された絶縁層中の酸素含有と抵抗体層からなる発熱抵抗体中の酸素含有との差が20原子%以内であることから、発熱抵抗体の組成比と絶縁層内のSi、Oの組成比とが極端に変化しないため、同一性材料同士による結合力の増加によって、絶縁層の下地に対する密着力を高くすることができる。
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るサーマルヘッドの断面図、図2は図1のサーマルヘッドの平面図(グレーズ層、保護層、絶縁層不図示)であり、1は基板、2はグレーズ層、3は発熱抵抗体、4は電極配線、5は保護層、6は絶縁層である。
基板1は、アルミナセラミックス等の電気絶縁性材料や単結晶シリコン等の半導体材料など、種々の材料によって矩形状をなすように形成されており、その上面にはグレーズ層2や発熱抵抗体3,電極配線4、保護層5、絶縁層6等が設けられ、これらを支持する支持母材として機能する。
このような基板1は、例えばアルミナセラミックスから成る場合、アルミナ、シリカ、マグネシア等のセラミックス原料粉末に適当な有機溶剤、溶媒を添加混合して泥漿状に成すとともにこれを従来周知のドクターブレード法等を採用することによってセラミックグリーンシートを形成し、これを所定形状に打ち抜いた上、高温で焼成することにより製作される。
また基板1の上面には、ガラス製のグレーズ層2が基板1の長手方向に帯状に被着され、その頂部付近には複数の発熱抵抗体3が設けられる。
グレーズ層2は、例えば曲率半径1mm〜4mmの断面円弧状をなす帯状の突出部2aと、該突出部2aの下地となる層状の基層部2bとで形成されている。
このグレーズ層2は、低熱伝導性(熱伝導率:0.7W/m・K〜1.0W/m・K)のガラスにより形成されているため、その内部で発熱抵抗体3の発する熱の一部を蓄積してサーマルヘッドの熱応答特性を良好に維持する作用、具体的には、発熱抵抗体3の温度を短時間で印画に必要な所定の温度まで上昇させる蓄熱層としての作用を為す。
尚、グレーズ層2は、ガラス粉末に適当な有機溶剤を添加・混合して得た所定のガラスペーストを従来周知のスクリーン印刷等によって基板1の上面に帯状に印刷・塗布し、これを高温で焼き付けることによって形成される。
更にグレーズ層2の頂部付近に設けられる複数の発熱抵抗体3は、例えば600dpi(dot per inch)の密度で主走査方向に直線状に配列されており、これらの発熱抵抗体3は各々がTaNやTaSiO,TiSiO等の電気抵抗材料により形成された抵抗体層から成っている。例えば抵抗体層がTaSiO系からなっている場合、発熱抵抗体3の組成はTaSiO(1.3≦x≦1.7、1.2≦y≦1.95)とすることが好ましい。
この発熱抵抗体3は、その両端に電気的に接続される電極配線4等を介して電源電力が印加されるとジュール発熱を起こし、記録媒体に印画を形成するのに必要な温度、例えば130℃〜350℃の温度となる。
また発熱抵抗体3に接続される電極配線4は、発熱抵抗体3等に電力を供給する給電配線として機能するものであり、アルミニウムや銅等の金属材料により形成された金属層から成っている。
この電極配線4は、発熱抵抗体3の一端側に共通に接続される帯状の共通電極配線4aと、発熱抵抗体3の他端側に個別に接続される個別電極配線4bとで構成されており、共通電極配線4aをプラス電位(例えば20V〜24V)に保持された外部電源の+端子に、個別電極配線4bを図示しないドライバーICを介して接地電位(例えば0V〜1V)に保持された外部電源の−端子にそれぞれ接続させている。そしてドライバーIC内のスイッチング素子がオン状態のとき、電極配線4を介して発熱抵抗体3に電力が供給され、発熱抵抗体3が所定の温度で発熱する。
このような発熱抵抗体3や電極配線4は、従来周知の薄膜形成技術、例えばTaN等の電気抵抗材料からなる抵抗体層とアルミニウムを主成分とする金属材料からなる金属層とをグレーズ層2上に従来周知のスパッタリング等によって順次積層するとともに、これらの積層体を従来周知のフォトリソグラフィー技術やエッチング技術等を採用し所定パターンに加工することによって形成される。
また上述した発熱抵抗体3や電極配線4の表面には絶縁層6が形成され、更にその上には保護層5が被着されている。
絶縁層6は、保護層に接する発熱抵抗体3や電極配線4を被覆することで、発熱抵抗体3や電極配線4が大気中の水分や記録媒体に含まれるイオンによって腐食するのを防止するためのものであり、発熱抵抗体3や電極配線4を構成する抵抗体層や金属層を酸化してできる酸化物により主に形成されている。例えば、電極配線4がアルミニウムから成る
場合、絶縁層6は主に酸化アルミニウムにより形成されることとなる。
この絶縁層6は、抵抗体層や金属層の表面よりも上側のみならず、抵抗体層や金属層の表面よりも内側の領域にも形成されるため、保護層5で良好に被覆することが困難な発熱抵抗体3と電極配線4との境界部に位置する段差部を絶縁層6で良好に覆うことができる。
絶縁層6の厚みは、発熱抵抗体3の表面で抵抗体層の厚みの10%〜90%に、より好ましくは15%〜50%、更に好ましくは20%〜30%に設定され、電極配線4の表面で金属層の厚みの5%〜50%に、より好ましくは10%〜40%に、更に好ましくは15%〜30%に設定される。その理由は、発熱抵抗体3の表面で絶縁層6の厚みが大きすぎると、抵抗値が上昇しすぎるという問題があり、発熱抵抗体3の表面で絶縁層6の厚みが小さいと、高温多湿化の環境下でサーマルヘッドを使用する場合、絶縁層6の封止性が不足するおそれがあるからである。また電極配線4の表面で絶縁層6の厚みが大きすぎると、電極配線4の配線抵抗が大きく成り、サーマルヘッドの消費電力が大きくなるという問題があり、電極配線4の表面で絶縁層6の厚みが小さいと、高温多湿化の環境下でサーマルヘッドを使用する場合、絶縁層6の封止性が不足するおそれがあるからである。
また図3に示すように、絶縁層6の厚みを発熱抵抗体3の上面よりも電極配線4の上面で大きくすれば、保護層6中に“ピンホール”が発生しやすい電極配線4上で絶縁層の封止性をより一層高めることができる。なお、保護層6中の“ピンホール”が電極配線4の上面で発生しやすいのは、電極配線4の形成時、その表面に“ヒロック”と呼ばれる突起が形成され、かかる突起によって保護層6に“ピンホール”が形成されるためであると考えられる。
更に絶縁層6の厚みを、電極配線4の上面よりも保護層6中に“ピンホール”が発生しにくい電極配線4の端面で小さくすれば、電極配線4の上面側の封止性を良好に維持しつつ、金属層中における電流の通過領域の体積をより多く確保することができ、絶縁層6の形成によって電極配線4の配線抵抗が過度に大きくなることを抑制できる。
また更に電極配線4の表面に形成される絶縁層6の厚みは、共通電極配線4aよりも個別電極配線4bの方で小さくすることが好ましい。その理由は、電極配線4の線幅は共通電極配線4aよりも個別電極配線4bの方が小さいため、配線抵抗は個別電極配線4bの方で大きいところ、絶縁層6の厚みが個別電極配線4bの方が大きくなると、元々大きな個別電極配線4bの配線抵抗が更に大きくなり、電圧降下がより大きくなってしまうからである。
更にまた抵抗体層上に形成される絶縁層6の酸素含有率と発熱抵抗体3の酸素含有率との差は20原子%以内に設定することが好ましく、この場合、絶縁層6と発熱抵抗体3との内部応力の差や線膨張係数の差を小さく抑え、絶縁層6の下地に対する密着力を高くすることができる。なお、絶縁層6の組成は、発熱抵抗体3の組成がTaSiO(1.3≦x≦1.7、1.2≦y≦1.95)である場合、TaSiO(0.9≦a≦1.2、5.7≦b≦6.2)であることが好ましい。
絶縁層6は、例えば従来周知の陽極酸化法や高温酸化法により形成される。具体的には、陽極酸化法の場合、例えば図4に示すような陽極酸化装置を用いて形成され、発熱抵抗体3及び電極配線4が形成された基板1を、酒石酸アンモニウム、プロピレングリコール等を0.5質量%〜5質量%含む電解液で満たされた処理槽7中に浸漬させるとともに、該処理槽7内の電極板8を陰極に、基板1の電極配線4を陽極にそれぞれ接続し、しかる後、電極板8−電極配線4間に外部電源9を用いて30V〜150Vの正の電圧を10分間〜60分間印加することによって、発熱抵抗体3を構成する抵抗体層、並びに電極配線4を構成する金属層の表面を、これらの層の内側に向かって酸化することにより絶縁層6が形成される。
また絶縁層6の厚みを発熱抵抗体3の上面よりも電極配線4の上面で大きく、あるいは、絶縁層6の厚みを、電極配線4の上面よりも電極配線4の端面で小さくするには、例えば陽極酸化を2回処理することが考えられる。具体的には、まず、発熱抵抗体および電極配線を形成する際に基板1上に積層される抵抗体層及び金属層から成る積層体に対して比較的高い印加電圧で陽極酸化を施す。このとき、上記積層体に関して、金属層の上面は露出しているものの抵抗体層の上面は露出していないため、陽極酸化による絶縁層は金属層の上面に形成され、抵抗体層の上面には基本的に形成されない。次に、発熱抵抗体の形成箇所に対応する金属層をエッチング等の方法により除去し、抵抗体層及び金属層の端面を露出させる。そして、露出させた抵抗体層及び金属層に対して、1回目の陽極酸化よりも低い印加電圧で2回目の陽極酸化を施し、抵抗体層の上面や金属層の端面に絶縁層を形成する。このように陽極酸化を施せば、1回目よりも2回目の陽極酸化の方が陽極酸化時の印加電圧が小さいため、絶縁層6の厚みは電極配線4の上面よりも発熱抵抗体3の上面や電極配線4の端面で小さくなる。
また絶縁層6の厚みを共通電極配線4aよりも個別電極配線4bで小さくするには、陽極酸化法により絶縁層6を形成する際、共通電極配線4aを陽極に接続するようにすれば良い。絶縁層6の厚みを共通電極配線4a、個別電極配線4bの双方で略等しくするには、共通電極配線4aを陽極に接続した状態で陽極酸化した後、個別電極配線4bを陽極に接続して再び陽極酸化を行えば良い。
また抵抗体層上の絶縁層6の酸素含有率は、絶縁層6を陽極酸化法により形成する場合、電解液中のOHの濃度、電圧印加時間、印加電圧値を可変させることによって調整される。具体的には、電解液中のOHの濃度が大きくなるほど、電圧印加時間が長くなるほど、印加電圧値が大きくなるほど、絶縁層6の酸素含有率は大きくなる。一方、電解液中の酸素OHの濃度が小さくなるほど、電圧印加時間が短くなるほど、印加電圧値が低くなるほど、絶縁層6の酸素含有率は小さくなる。したがって、発熱抵抗体3と絶縁層6との酸素含有率の差を20原子%以内とするためには、上述の傾向を踏まえ、電解液中のOHの濃度、電圧印加時間、印加電圧値を適宜調整する。
一方、保護層5は、窒化珪素(Si)やサイアロン(Si-Al-O-N)等のSi-N系もしくはSi-O-N系の無機物材料により発熱抵抗体3や電極配線4を共通に被覆しており、絶縁層6と共に発熱抵抗体3や電極配線4を大気中に含まれている水分等の接触による腐食から保護する作用を為す。
かかる保護層5は、従来周知の薄膜形成技術、例えばスパッタリングを採用し、上述の無機質材料を発熱抵抗体3や電極配線4等の上面に0.1μm〜5μmの厚みに被着させることにより形成され、このように形成された保護層5には例えば10個/cm〜50個/cmの割合で“ピンホール”と呼ばれる膜欠陥が形成され、かかる“ピンホール”の内部に大気中の水分や記録媒体に含まれるイオンが侵入する場合がある。
ところが、本発明においては、先に述べたように、保護層5に接する発熱抵抗体3や電極配線4の表面を、抵抗体層や金属層を酸化してなる絶縁層6で被覆したことから、発熱抵抗体3、電極配線4のみならず、これらの境界面における段差部も絶縁層6で良好に覆うことができる。従って、保護層5に形成された“ピンホール”内に大気中の水分や記録媒体に含まれるイオン等が侵入しても、これらの水分やイオンによって発熱抵抗体3や電極配線4が腐食することが良好に防止され、発熱抵抗体3を所望の温度で発熱させることが可能な高性能のサーマルヘッドを実現できる。
また、絶縁層6をSi-N系やSi-O-N系の無機物材料との密着性が良好な酸化アルミニウムにより形成しておけば、保護層5をSi-N系やSi-O-N系の無機物材料で形成する場合、絶縁層6と保護層5の密着性を高くすることができるという利点がある。
そして、上述のようなサーマルヘッドが組み込まれるサーマルプリンタには、図5に示す如く、記録媒体をサーマルヘッドTの発熱抵抗体3上に搬送する搬送手段として、プラテンローラ10や搬送ローラ11等が配設される。
プラテンローラ10は、SUS等の金属から成る軸芯の外周にブタジエンゴム等を3mm〜15mm程度の厚みに巻きつけた円柱状の部材であり、サーマルヘッドTの発熱抵抗体3上に回転可能に支持され、記録媒体を発熱抵抗体3上の保護層表面に押圧しつつ記録媒体を発熱抵抗体3の配列と直交する方向(図中の矢印方向)に搬送する。
また搬送ローラ11は、その外周部が金属やゴム等によって形成されており、サーマルヘッドTに対し記録媒体の搬送方向上流側と下流側に分かれて配設され、これらの搬送ローラ11と前述のプラテンローラ10とで記録媒体の走行を支持している。
そして、これと同時に複数の発熱抵抗体3を図示しないドライバーICの駆動に伴い選択的にジュール発熱させ、これらの熱を保護層5を介し記録媒体に伝達させることによって所定の印画が形成される。
尚、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
本発明の一実施形態に係るサーマルヘッドの断面図である。 図1のサーマルヘッドの平面図(グレーズ層、保護層、絶縁層不図示)である。 本発明の他の実施形態に係るサーマルヘッドの断面図である。 絶縁層を形成する際に用いる陽極酸化装置の構成を示す図である。 図1のサーマルヘッドを用いたサーマルプリンタの構成を示す図である。 従来のサーマルヘッドの断面図である。
符号の説明
1・・・基板
2・・・グレーズ層
3・・・発熱抵抗体
4・・・電極配線
4a・・・共通電極配線
4b・・・個別電極配線
5・・・保護層
6・・・絶縁層
7・・・処理槽
8・・・電極板
9・・・外部電源
10・・・プラテンローラ
11・・・搬送ローラ

Claims (8)

  1. 抵抗体層から成る発熱抵抗体と、
    該発熱抵抗体の両端に電気的に接続され、金属層から成る一対の電極配線と、
    前記抵抗体層及び前記金属層の表面が酸化されて形成された絶縁層と、
    前記発熱抵抗体及び前記電極配線を被覆する保護層
    備え
    前記電極配線を構成する前記金属層は、前記発熱抵抗体を構成する前記抵抗体層上に配されており、
    前記絶縁層の厚みは、前記電極配線の上面よりも前記電極配線の端面で小さいことを特徴とするサーマルヘッド。
  2. 前記絶縁層の厚みは前記発熱抵抗体の上面よりも前記電極配線の上面で大きいことを特徴とする請求項1に記載のサーマルヘッド。
  3. 前記絶縁層は、前記抵抗体層及び前記金属層を、その表面より内側に向かって酸化することで形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のサーマルヘッド。
  4. 前記金属層がアルミニウムにより形成されており、前記抵抗体層及び前記金属層の酸化が陽極酸化法により行われていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のサーマルヘッド。
  5. 前記発熱抵抗体を構成する前記抵抗体層上に形成される前記絶縁層中の酸素含有と前記発熱抵抗体中の酸素含有との差が20原子%以内であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のサーマルヘッド。
  6. 前記発熱抵抗体の組成がTaSiO(1.3≦x≦1.7、1.2≦y≦1.95)であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のサーマルヘッド。
  7. 前記絶縁層の組成がTaSiO(0.9≦a≦1.2、5.7≦b≦6.2)であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のサーマルヘッド。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載のサーマルヘッドと、該サーマルヘッド上に記録媒体
    を搬送する搬送手段とを備えたことを特徴とするサーマルプリンタ。
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