JP4925537B2 - サーマルヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファクシミリやビデオプリンタ等の記録デバイスとして組み込まれるサーマルヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ファクシミリ等の記録デバイスとしてサーマルヘッドが幅広く用いられている。
【0003】
かかるサーマルヘッドとしては、例えば図3に示す如く、グレーズドアルミナセラミックス等から成るベースプレート11の上面に複数個の発熱抵抗体13と通電用の電極14とを所定パターンに被着させるとともに、これらをSiN(窒化珪素)等から成る保護層15で被覆した構造のものが知られており、感熱紙等の記録媒体を保護層15の表面に摺接させながら、発熱抵抗体13を外部からの画像データに基づいて個々に選択的にジュール発熱させ、これらの熱を保護層15を介して記録媒体に伝導させることによって所定の印画が形成される。
【0004】
尚、前記保護層15は、発熱抵抗体13や電極14を記録媒体の摺接による磨耗から保護するためのものであり、従来周知のスパッタリング法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法を採用し、SiN等の耐磨耗性に優れた無機質材料を発熱抵抗体13等の上面に4μm〜8μm程度被着させることにより形成されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、サーマルヘッドの保護層15をスパッタリング法やCVD法により形成した場合、保護層15中にはピンホール等の微細な膜欠陥が数多く形成される。
【0006】
このため、印画に際して大気中に含まれている水分や記録媒体に含まれているNa+,K+,Cl-等のイオンが保護層15の膜欠陥を介して発熱抵抗体13や電極14に接触すると、発熱抵抗体13等が腐食されてしまい、発熱抵抗体13等の電気抵抗値が大幅に変動するという欠点を有していた。
【0007】
また上記欠点を解消するために、保護層15の上面にエポキシ樹脂やポリイミド樹脂等から成る封止材を被着させ、この封止材でもって保護層15の膜欠陥を塞ぐことが提案されている。
【0008】
しかしながら、サーマルヘッドの保護層15上に前述の封止材を被着させた場合、封止材を形成するエポキシ樹脂やポリイミド樹脂等が比較的軟質であることから、印画に際して記録媒体が保護層15上の封止材に摺接されると、封止材が著しく磨耗して封止材の一部が短時間で保護層15上より消失してしまい、先に述べた保護膜15の膜欠陥が比較的早期に開口するという不都合があった。
【0009】
また前記封止材を形成するエポキシ樹脂やポリイミド樹脂等の線膨張係数は比較的大きく(20×10-6〜90×10-6℃-1)、SiN等から成る保護層15の線膨張係数(3×10-6℃-1)と大きく相違していること、並びに、保護層15と封止材との馴染みがあまり良好でないことから、発熱抵抗体13の発した熱等によってサーマルヘッド全体の温度が上昇すると、保護層15−封止材間に発生する大きな熱応力によって封止材が保護層15上より剥離してしまうことがあり、これによっても保護層15の膜欠陥が開口する恐れがあった。
【0010】
本発明は上記欠点に鑑み案出されたもので、その目的は、発熱抵抗体等の電気抵抗値を長期にわたって略一定に保つことができる高信頼性のサーマルヘッドを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のサーマルヘッドは、ベースプレートと、該ベースプレートの上面に被着されたTiC−Si−O系抵抗材料から成る複数個の発熱抵抗体と、該発熱抵抗体の上方に位置し、該発熱抵抗体に接続された一対の電極と、前記発熱抵抗体および前記一対の電極を被覆する保護層とを備えるサーマルヘッドであって、前記保護層は、スパッタリング法またはCVD法にて成膜されたSiO及び/又はSiNを含む無機質材料から成る第一層と、厚膜プロセスによって形成されたペルヒドロポリシラザンの焼結体から成る第二層と、SiN及び/又はSiCを含む無機質材料から成る第三層とを順次積層して形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
また本発明のサーマルヘッドは、前記保護層の第一層及び第三層がスパッタリング法またはCVD法にて成膜された薄膜から成ることを特徴とするものである。
【0013】
更に本発明のサーマルヘッドは、前記発熱抵抗体を形成するTiC-Si-O系抵抗材料の組成比率が(TiC)xSiOy(3.4≦x≦29.0、1.8≦y≦2.2)であり、且つ前記発熱抵抗体及び前記保護層の各層に含まれているSiの含有率が3原子%〜44原子%に設定されていることを特徴とするものである。
【0014】
また更に本発明のサーマルヘッドは、前記保護層の第三層を形成する無機質材料の比抵抗が1×107Ω・cm〜1×1011Ω・cmに設定されていることを特徴とするものである。
【0015】
本発明のサーマルヘッドによれば、保護層を構成する3つの層のうち、最下層となる第一層の膜欠陥はペルヒドロポリシラザンの焼結体から成る第二層によって封止されることから、発熱抵抗体等を大気中に含まれている水分や記録媒体に含まれているイオン等の接触による腐食から良好に保護することができ、しかもこの第二層上には硬質のSiNやSiC等から成る第三層が最上層として設けられており、保護層全体の磨耗も有効に抑えられるため、第二層の一部が早期に消失することはなく、発熱抵抗体等を第二層によって大気より確実に遮断し続けることで、発熱抵抗体等の電気抵抗値を長期にわたり略一定に保つことが可能となる。
【0016】
また本発明のサーマルヘッドによれば、発熱抵抗体を形成するTiC-Si-O系抵抗材料の組成比率を(TiC)xSiOy(3.4≦x≦29.0、1.8≦y≦2.2)とし、発熱抵抗体及び前記保護層の各層に含まれているSiの含有率を3原子%〜44原子%に設定することにより、発熱抵抗体−保護層間、及び、保護層の各層間で馴染みを良好として、発熱抵抗体及び保護層各層の線膨張係数を比較的近い値に調整することができるため、印画に際して発熱抵抗体の発する熱等によってサーマルヘッドの温度が上昇しても、これらの各層間に大きな熱応力が発生するのを有効に防止することができ、保護層の各層を下地に対して強固に被着させておくことが可能となる。これにより、サーマルヘッドの信頼性が向上される。
【0017】
更に本発明のサーマルヘッドによれば、前記保護層の最上層となる第三層の比抵抗を1×107Ω・cm〜1×1011Ω・cmに設定して適度な導電性を付与しておけば、保護層の表面に記録媒体を摺接させて印画を行う際に、記録媒体の表面に帯電した静電気の一部がサーマルヘッドに印加されても、これらの電荷は保護層上で一箇所に留まることはなく、保護層全体にわたって良好に拡散されるため、保護層に局部的な大電圧が印加されて保護層が静電破壊されるのを有効に防止することができ、これによってもサーマルヘッドの信頼性を向上させることが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るサーマルヘッドの斜視図、図2は図1のサーマルヘッドの断面図であり、1はベースプレート、3は発熱抵抗体、4は電極、5は保護層である。
【0019】
前記ベースプレート1は、矩形状をなすように外形加工されたグレーズドアルミナセラミックスや表面を酸化膜で被覆した単結晶シリコン、多結晶シリコン等から成り、その上面には、複数個の発熱抵抗体3や通電用の電極4,保護層5等が被着され、これらを支持する支持母材として機能する。
【0020】
前記ベースプレート1は、グレーズドアルミナセラミックスから成る場合、まずアルミナ、シリカ、マグネシア等のセラミックス原料粉末に適当な有機溶剤を添加・混合する等してセラミックグリーンシートを形成するとともに、該シートを所定形状に打ち抜いて高温で焼結させることによってアルミナ基板を形成し、得られたアルミナ基板の上面に従来周知のスクリーン印刷等によってガラスペーストを印刷・塗布し、これを高温で焼き付けグレーズ層を形成することによって製作される。
【0021】
尚、上述したグレーズドアルミナセラミックス基板のグレーズ層は、印画に際して後述する発熱抵抗体3の発する熱の一部を蓄積し、発熱抵抗体3の温度を短時間で印画に必要な所定の温度まで上昇させるための蓄熱層として機能するものである。
【0022】
また前記ベースプレート1の上面に設けられる複数個の発熱抵抗体3は、例えば600dpi(dot per inch)の密度で主走査方向(ベースプレート1の長手方向)に直線状に配列されている。
【0023】
前記発熱抵抗体3は、その各々がTiC-Si-O系抵抗材料によって例えば0.01μm〜0.2μmの厚みに形成されており、電極4等を介して電源電力が供給されるとジュール発熱を起こし、印画に必要な所定の温度となる。
【0024】
このような発熱抵抗体3を形成するTiC-Si-O系抵抗材料としては、組成比率が(TiC)xSiOy(3.4≦x≦29.0、1.8≦y≦2.2)で表されるものが好適に用いられ、発熱抵抗体3中に含まれているSiの含有率は3原子%〜44原子%に設定される。
【0025】
かかる組成比率を有したTiC−Si−O系抵抗材料は、単位時間当たりの発熱量を印画に適した大きさに調整することが容易で、しかも耐パルス性に優れており、特に階調表現が必要な写真印画等の用途に適した発熱抵抗体3が得られる。
【0026】
また前記発熱抵抗体3の両端には、アルミニウム等の金属材料から成る一対の電極4が接続されている。
【0027】
前記一対の電極4は、発熱抵抗体3の一端側で全ての発熱抵抗体3と共通接続されるとともに、他端側で各発熱抵抗体3と個別に接続されており、図示しないドライバーICのオン・オフに基づいて発熱抵抗体3に電源電力を印加する。
【0028】
尚、前記発熱抵抗体3や一対の電極4は、従来周知の薄膜手法、具体的には、ベースプレート1の上面全体に、上述したTiC-Si-O系抵抗材料とアルミニウム等の金属材料とをスパッタリング法等によって順次、被着させ、これを従来周知のフォトリソグラフィー及びエッチング技術を採用し、所定パターンに加工することにより形成される。
【0029】
そして上述した発熱抵抗体3や一対の電極4上には保護層5が例えば3μm〜15μmの厚みに被着され、かかる保護層5でもって発熱抵抗体3や電極4が共通に被覆されている。
【0030】
この保護層5は、記録媒体の摺接による磨耗、並びに、大気中に含まれている水分、記録媒体に含まれているイオン(Na+,K+,Cl-等)の接触による腐食から発熱抵抗体3や電極4を保護するためのものであり、発熱抵抗体3側より、第一層6、第ニ層7及び第三層8の3層を順次積層した3層構造を有し、これらの各層に含まれるSiの含有率は、先に述べた発熱抵抗体3と同様に、3原子%〜44原子%に設定される。
【0031】
尚、ここで、保護層5の各層に含まれるSiの含有率を発熱抵抗体3と同じ3原子%〜44原子%に設定するのは、発熱抵抗体3−保護層5間、及び、保護層5の各層間で馴染みを良好になすとともに、これらの層3,6,7,8の線膨張係数を比較的近い値に設定するためであり、これによって、印画に際し発熱抵抗体3の発する熱等によってサーマルヘッドの温度が上昇しても、各層間に大きな熱応力が発生するのを有効に防止し、保護層5の各層を下地に対して強固に被着させておくことができる。
【0032】
以下、保護層5を構成する第一層6〜第三層8の各層について個別に説明する。
保護層5の最下層として設けられる第一層6は、SiO(酸化珪素)及び/又はSiN(窒化珪素)を含む無機質材料により例えば0.1μm〜2.0μmの厚みに形成される。
【0033】
この第一層6は、その上に配される第二層7を熱処理のプロセスを経て形成する際に、後述するペルヒドロポリシラザン溶液中の有機溶剤が発熱抵抗体3や電極4等と接触してこれらを酸化しようとするのを有効に防止するためのものであり、これによってサーマルヘッドの製造プロセスにおける発熱抵抗体3の抵抗値変動が極めて有効に抑えられる。
【0034】
尚、前記第一層6は、従来周知の薄膜手法、具体的にはスパッタリング法やCVD法等を採用し、SiOやSiN、或いは、これらの混合材料(SiON)を所定厚みに堆積させることによって形成され、このようにして得られた第一層6にはピンホール等の微細な膜欠陥が数多く形成されることとなる。
【0035】
また保護層5の中間層として設けられる第二層7は、SiO、SiN、SiON等の無機質材料によって0.03μm〜0.15μmの厚みに形成され、化1に示すペルヒドロポリシラザンを焼結させてなる焼結体により形成される。
【0036】
【化1】
【0037】
このペルヒドロポリシラザンは、例えば150℃〜220℃の温度で重合を起こすセラミック前駆体ポリマーであり、ペルヒドロポリシラザンをキシレンやシクロヘキセン等の有機溶剤に溶かして作製したペルヒドロポリシラザン溶液(粘度:0.5cps〜1.0cps)を従来周知のディッピング法、スピンコート法、バーコーター法等の厚膜手法によって第一層6の上面に薄く塗布し、これをまず150℃〜220℃の温度領域で約1時間、次に400℃〜500℃の温度で約1時間、熱処理し、ペルヒドロポリシラザンをセラミック化することにより第二層7が形成される。
【0038】
このとき、ペルヒドロポリシラザンの熱処理を窒素雰囲気中で行うと、SiNを主成分とするセラミック焼結体が、また高湿度雰囲気(湿度50%以上)で行うと、SiOを主成分とするセラミック焼結体が形成されることとなる。
【0039】
以上のような厚膜プロセスによって形成される第二層7には、ピンホール等の膜欠陥が殆ど存在しないことから、第一層6の膜欠陥を第二層7で良好に塞ぐことができる。従って、発熱抵抗体3や電極4を保護層5で良好に封止し、発熱抵抗体3や電極4を大気中に含まれている水分や記録媒体に含まれているイオン等の接触による腐食から良好に保護することが可能となる。
【0040】
そして保護層5の最上層として設けられる第三層8は、SiN及び/又はSiC(炭化珪素)を含む硬質の無機質材料により2.0μm〜5.0μmの厚みに形成される。
【0041】
前記第三層8を形成するSiNやSiCは、ビッカース硬度Hvが1500〜4000の硬質材料であり、耐磨耗性に優れているため、印画に際して記録媒体の摺接による磨耗量を小さく抑えることができ、印画動作の繰り返しによって第二層7が早期に露出するのを有効に防止することができる。従って、発熱抵抗体3や電極4を第二層7によって大気より確実に遮断し続けることができ、発熱抵抗体3や電極4の電気抵抗値を長期にわたり略一定に保つことが可能となる。
【0042】
またこの場合、第三層8を形成する無機質材料にカーボン(C)やTiC,HfC,VC等を所定量添加して、その比抵抗を1×107Ω・cm〜1×1011Ω・cmに設定しておけば、第三層8には適度な導電性が付与されることとなるため、保護層5の表面に記録媒体を摺接させて印画を行う際に、記録媒体の表面に帯電した静電気の一部がサーマルヘッドに印加されても、これらの電荷は保護層5上で一箇所に留まることはなく、保護層5全体にわたって良好に拡散されるため、保護層5に局部的な大電圧が印加されて保護層5が静電破壊されるのを有効に防止することができ、これによってもサーマルヘッドの信頼性を向上させることが可能となる。従って第三層8の比抵抗は1×107Ω・cm〜1×1011Ω・cmに設定しておくことが好ましい。
【0043】
尚、前記第三層8は、先に述べた第一層6と同様の形成法により形成される。例えば、SiCやSiN、或いは、これらの混合材料(SiCN)を、従来周知の薄膜手法、具体的にはスパッタリング法やCVD法等を採用し、第二層7の上面に所定厚みに堆積させることによって第三層8が形成される。
【0044】
かくして上述したサーマルヘッドは、感熱紙等の記録媒体を保護層5の表面、具体的には第三層8の表面に摺接させながら、外部からの画像データに基づいて複数個の発熱抵抗体3に選択的に電力を印加し、発熱抵抗体3を個々に選択的にジュール発熱させるとともに、該発熱した熱を保護層15を介して記録媒体に伝導させ、印画を形成することによってサーマルヘッドとして機能する。
【0045】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
【0046】
例えば上述の実施形態においては、電極4をアルミニウムにより形成するようにしたが、これに代えて、電極4をAl-Si、Al-Si-Cu等のSiを含む導電材料により形成するようにしても良く、この場合、電極4−保護層5間の密着性も向上される利点がある。
【0047】
【発明の効果】
本発明のサーマルヘッドによれば、保護層を構成する3つの層のうち、最下層となる第一層の膜欠陥はペルヒドロポリシラザンの焼結体から成る第二層によって封止されることから、発熱抵抗体等を大気中に含まれている水分や記録媒体に含まれているイオン等の接触による腐食から良好に保護することができ、しかもこの第二層上には硬質のSiNやSiC等から成る第三層が最上層として設けられており、保護層全体の磨耗も有効に抑えられるため、第二層の一部が早期に消失することはなく、発熱抵抗体等を第二層によって大気より確実に遮断し続けることで、発熱抵抗体等の電気抵抗値を長期にわたり略一定に保つことが可能となる。
【0048】
また本発明のサーマルヘッドによれば、発熱抵抗体を形成するTiC-Si-O系抵抗材料の組成比率を(TiC)xSiOy(3.4≦x≦29.0、1.8≦y≦2.2)とし、発熱抵抗体及び前記保護層の各層に含まれているSiの含有率を3原子%〜44原子%に設定することにより、発熱抵抗体−保護層間、及び、保護層の各層間で馴染みを良好として、発熱抵抗体及び保護層各層の線膨張係数を比較的近い値に調整することができるため、印画に際して発熱抵抗体の発する熱等によってサーマルヘッドの温度が上昇しても、これらの各層間に大きな熱応力が発生するのを有効に防止することができ、保護層の各層を下地に対して強固に被着させておくことが可能となる。これにより、サーマルヘッドの信頼性が向上される。
【0049】
更に本発明のサーマルヘッドによれば、前記保護層の最上層となる第三層の比抵抗を1×107Ω・cm〜1×1011Ω・cmに設定して適度な導電性を付与しておけば、保護層の表面に記録媒体を摺接させて印画を行う際に、記録媒体の表面に帯電した静電気の一部がサーマルヘッドに印加されても、これらの電荷は保護層上で一箇所に留まることはなく、保護層全体にわたって良好に拡散されるため、保護層に局部的な大電圧が印加されて保護層が静電破壊されるのを有効に防止することができ、これによってもサーマルヘッドの信頼性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るサーマルヘッドの斜視図である。
【図2】図1のサーマルヘッドの断面図である。
【図3】従来のサーマルヘッドの断面図である。
【符号の説明】
1・・・ベースプレート、3・・・発熱抵抗体、4・・・通電用の電極、5・・・保護層、6・・・第一層、7・・・第二層、8・・・第三層
Claims (4)
- ベースプレートと、
該ベースプレートの上面に被着されたTiC−Si−O系抵抗材料から成る複数個の発熱抵抗体と、
該発熱抵抗体の上方に位置し、該発熱抵抗体に接続された一対の電極と、
前記発熱抵抗体および前記一対の電極を被覆する保護層と
を備えるサーマルヘッドであって、
前記保護層は、スパッタリング法またはCVD法にて成膜されたSiO及び/又はSiNを含む無機質材料から成る第一層と、厚膜プロセスによって形成されたペルヒドロポリシラザンの焼結体から成る第二層と、SiN及び/又はSiCを含む無機質材料から成る第三層とを順次積層して形成されていることを特徴とするサーマルヘッド。 - 前記保護層の第一層及び第三層がスパッタリング法またはCVD法にて成膜された薄膜から成ることを特徴とする請求項1に記載のサーマルヘッド。
- 前記発熱抵抗体を形成するTiC−Si−O系抵抗材料の組成比率が(TiC)xSiOy(3.4≦x≦29.0、1.8≦y≦2.2)であり、且つ前記発熱抵抗体及び前記保護層の各層に含まれているSiの含有率が3原子%〜44原子%に設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサーマルヘッド。
- 前記保護層の第三層を形成する無機質材料の比抵抗が1×107Ω・cm〜1×1011Ω・cmに設定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のサーマルヘッド。
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