<第1の実施形態>
以下、本発明のサーマルヘッドの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1、2に示すように、本実施形態のサーマルヘッドX1は、放熱体1と、放熱体1上に配置されたヘッド基体3と、ヘッド基体3に接続されたフレキシブルプリント配線板5(以下、FPC5という)とを備えている。なお、図1では、FPC5の図示を省略し、FPC5が配置される領域を一点鎖線で示す。
放熱体1は、板状に形成されており、平面視で長方形状を有している。この放熱体1は、例えば、銅またはアルミニウム等の金属材料で形成されており、後述するようにヘッド基体3の発熱部9で発生した熱のうち、印画に寄与しない熱の一部を放熱する機能を有している。また、放熱体1の上面には、両面テープや接着剤等(不図示)によってヘッド基体3が接着されている。
ヘッド基体3は、平面視で長方形状の基板7と、基板7上に設けられ、基板7の長手方向に沿って配列された複数の発熱部9と、発熱部9の配列方向に沿って基板7上に並べて配置された複数の駆動IC11とを備えている。
基板7は、アルミナセラミックス等の電気絶縁性材料あるいは単結晶シリコン等の半導体材料等によって形成されている。
基板7の上面には、蓄熱層13が形成されている。この蓄熱層13は、基板7の上面全体に形成された下地部13aと、複数の発熱部9の配列方向に沿って帯状に延び、断面が略半楕円形状の隆起部13bとを有している。この隆起部13bは、印画する記録媒体を、発熱部9上に形成された後述する保護膜25に良好に押し当てるように作用する。
また、蓄熱層13は、例えば、熱伝導性の低いガラスで形成されており、発熱部9で発生する熱の一部を一時的に蓄積することで、発熱部9の温度を上昇させるのに要する時間を短くし、サーマルヘッドX1の熱応答特性を高めるように機能する。この蓄熱層13は、例えば、ガラス粉末に適当な有機溶剤を混合して得た所定のガラスペーストを従来周知のスクリーン印刷等によって基板7の上面に塗布し、これを高温で焼成することで形成される。
図2に示すように、蓄熱層13の上面には、電気抵抗体15が設けられている。この電気抵抗体15は、蓄熱層13と、後述する共通電極配線17、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21との間に介在し、図1に示すように、平面視において、これらの共通電極配線17、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21と同形状の領域(以下、介在領域という)と、共通電極配線17と個別電極配線19との間から露出した複数の領域(以下、露出領域という)とを有している。なお、図1では、この電気抵抗体15の介在領域は、共通電極配線17、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21で隠れている。
電気抵抗体15の各露出領域は、上記の発熱部9を形成している。そして、この複数の露出領域(発熱部9)が、図1に示すように、蓄熱層13の隆起部13b上に列状に配置されている。複数の発熱部9は、説明の便宜上、図1で簡略化して記載しているが、例えば、600dpi〜2400dpi(dot per inch)等の密度で配置される。
電気抵抗体15は、例えば、TaN系、TaSiO系、TaSiNO系、TiSiO系、TiSiCO系またはNbSiO系等の電気抵抗の比較的高い材料によって形成されている。そのため、後述する共通電極配線17と個別電極配線19との間に電圧が印加され、発熱部9に電流が供給されたときに、ジュール発熱によって発熱部9が発熱する。
図1、2に示すように、電気抵抗体15の上面、より詳細には、上記の介在領域の上面には、共通電極配線17、複数の個別電極配線19および複数のIC−FPC接続配線21が設けられている。これらの共通電極配線17、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21は、導電性を有する材料で形成されており、例えば、アルミニウム、金、銀および銅のうちのいずれか一種の金属またはこれらの合金によって形成されている。
共通電極配線17は、複数の発熱部9とFPC5とを接続するためのものである。図1に示すように、この共通電極配線17は、基板7の一方の長辺に沿って延びる主配線部17aと、基板7の一方および他方の短辺のそれぞれに沿って延び、一端部が主配線部17aに接続された2つの副配線部17bと、主配線部17aから各発熱部9に向かって個別に延び、先端部が各発熱部9に接続された複数のリード部17cとを有している。そして、この共通電極配線17は、副配線部17bの他端部がFPC5に接続されることにより、FPC5と各発熱部9との間を電気的に接続している。
複数の個別電極配線19は、各発熱部9と駆動IC11とを接続するためのものである。図1、2に示すように、各個別電極配線19は、一端部が発熱部9に接続され、他端部が駆動IC11の配置領域に配置されるように、各発熱部9から駆動IC11の配置領域に向かって個別に帯状に延びている。そして、各個別電極配線19の他端部が駆動IC11に接続されることにより、各発熱部9と駆動IC11との間が電気的に接続されている。より詳細には、個別電極配線19は、複数の発熱部9を複数の群に分け、各群の発熱部9を、各群に対応して設けられた駆動IC11に電気的に接続している。
なお、本実施形態では、上記のように共通電極配線17のリード部17cと個別電極配線19とが発熱部9に接続されており、このリード部17cと個別電極配線19とが対向して配置されている。本実施形態では、このようにして、発熱部9(電気抵抗体15)に接続される電極配線が対になって形成されている。つまり、本実施形態では、リード部17cと個別電極配線19とによって、本発明における電極配線を構成している。
複数のIC−FPC接続配線21は、駆動IC11とFPC5とを接続するためのものである。図1、2に示すように、各IC−FPC接続配線21は、一端部が駆動IC11の配置領域に配置され、他端部が、基板7の他方の長辺の近傍に配置されるように、帯状に延びている。そして、この複数のIC−FPC接続配線21は、一端部が駆動IC11に接続されるとともに、他端部がFPC5に接続されることにより、駆動IC11とFPC5との間を電気的に接続している。
より詳細には、各駆動IC11に接続された複数のIC−FPC接続配線21は、異なる機能を有する複数の配線で構成されている。具体的には、この複数のIC−FPC接続配線21は、例えば、駆動IC11を動作させるための電源電流を供給するためのIC電源配線(不図示)と、駆動IC11およびこの駆動IC11に接続された個別電極配線1
9を例えば0V〜1Vのグランド電位に保持するためのグランド電極配線(不図示)と、後述する駆動IC11内のスイッチング素子のオン・オフ状態を制御するように駆動IC11を動作させるための電気信号を供給するためのIC制御配線(不図示)とで構成されている。
駆動IC11は、図1、2に示すように、複数の発熱部9の各群に対応して配置されているとともに、個別電極配線19の他端部と、IC−FPC接続配線21の一端部とに接続されている。この駆動IC11は、各発熱部9の通電状態を制御するためのものであり、内部に複数のスイッチング素子を有しており、各スイッチング素子がオン状態のときに通電状態となり、各スイッチング素子がオフ状態のときに不通電状態となる公知のものを用いることができる。
各駆動IC11は、各駆動IC11に接続された各個別電極配線19に対応するように、内部に複数のスイッチング素子(不図示)が設けられている。そして、図2に示すように、各駆動IC11は、各スイッチング素子(不図示)に接続された一方の接続端子11a(以下、第1接続端子11aという)が個別電極配線19に接続されており、この各スイッチング素子に接続されている他方の接続端子11b(以下、第2接続端子11b)がIC−FPC接続配線21の上記のグランド電極配線に接続されている。これにより、駆動IC11の各スイッチング素子がオン状態のときに、各スイッチング素子に接続された個別電極配線19とIC−FPC接続配線21のグランド電極配線とが電気的に接続される。
上記の電気抵抗体15、共通電極配線17、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21は、例えば、各々を構成する材料層を蓄熱層13上に、例えばスパッタリング法等の従来周知の薄膜形成技術によって順次積層した後、この積層体を従来周知のフォトエッチング等を用いて所定のパターンに加工することにより形成される。なお、共通電極配線17、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21は、同じ工程によって同時に形成することができる。
図1、2に示すように、基板7の上面に形成された蓄熱層13上には、発熱部9、共通電極配線17の一部および個別電極配線19の一部を被覆する保護膜25が形成されている。なお、図1では、説明の便宜上、保護膜25の形成領域を一点鎖線で示し、これらの図示を省略している。図示例では、この保護膜25は、蓄熱層13の上面の左側の領域を覆うように設けられている。より具体的には、発熱部9、共通電極配線17の主配線部17a、副配線部17bの一部の領域、リード部17c、および個別電極配線19の一部の領域上に、保護膜25が形成されている。
保護膜25は、発熱部9、共通電極配線17および個別電極配線19の被覆した領域を、大気中に含まれている水分等の付着による腐食あるいは、印画する記録媒体との接触による摩耗から保護するためのものである。この保護膜25は、図3に示すように、発熱部9、共通電極配線17および個別電極配線19上に形成された第1の層25Aと、第1の層25A上に形成された第2の層25Bとを備えている。そして、第2の層25Bは、第1の層25A上に設けられた密着層25B1と、密着層25B1上に設けられた緻密層25B2とを有している。
第1の層25Aは、窒化珪素(以下、SiNと称する場合がある)、または炭窒化珪素(以下、SiCNと称する場合がある)を含み、電気絶縁性を有する電気絶縁層である。なお、SiNの比抵抗は、1×1010〜1×1014Ω・cm、SiCNの比抵抗は、1×109〜1×1012Ω・cmである。第1の層25Aの厚さは、例えば、0.05μm〜0.5μmとされている。なお、第1の層25Aを形成するSiNおよびSiCN
は、非化学量論的組成を有するものも含む。なお、SiNあるいはSiCNは、Si、N、C以外の元素を含んでいてもよく、例えば、Al、Y等を含んでいていてもよい。
この第1の層25Aは、図3に示すように共通電極配線17および個別電極配線19の双方に接触しているが、上記のように電気絶縁性を有していることにより、共通電極配線17と個別電極配線19との間の短絡を防止しつつ、発熱部9、共通電極配線17および個別電極配線19を被覆して保護している。また、この第1の層25AはSiNまたはSiCNを含んでおり、この第1の層25Aを構成する元素には酸素が含まれていないため、この第1の層25Aによって発熱部9、共通電極配線17、および個別電極配線19の酸化が誘起されることがないようになっている。
また、このSiNまたはSiCNを含む第1の層25Aは、発熱部9、共通電極配線17および個別電極配線19と、第1の層25A上に形成される後述の酸化珪素(以下、SiOと称する場合がある)を含む第2の層25Bとの間に介在している。そのため、第2の層25Bを形成するSiOに含まれる酸素が、発熱部9、共通電極配線17および個別電極配線19に拡散するのを、この第1の層25Aによって抑制することができ、発熱部9、共通電極配線17および個別電極配線19の酸化を抑制することができる。
第2の層25Bは、SiOとSiNとを含んで形成されており、第1の層25A上に形成された密着層25B1と、この密着層25B1上に形成された緻密層25B2とによって形成されている。
密着層25B1は、SiOを主成分としており、SiOの含有率が90%以上である。また、密着層25B1はSiNを含有しており、SiNの含有率は1〜3%である。緻密層25B2は、SiOを主成分としており、SiOの含有率が85%以上である。また、緻密層25B2はSiNを含有しており、SiNの含有率は5〜9%である。そのため、緻密層25B2に含有される窒素の含有率が、密着層25B1に含有される窒素の含有率よりも多い構成となっている。なお、窒素の含有率とは、各層における窒素元素の含有率を示す。
このように、緻密層25B2に含有されるSiNの含有率が、密着層25B1に含有されるSiNの含有率よりも多い構成となっている。そして、窒素原子はSiOの短距離秩序の結晶格子間に入り込むように機能する。これにより、サーマルヘッドX1の発熱時における熱によるSiOの移動による軟化を低減することができる。
また、SiOと反応した窒素原子はSiNとして緻密層25B2に含まれることとなる。ここで、緻密層25B2は、後述する記録媒体が保護膜25に押し当てられることにより生じる機械的な応力が生じている。緻密層25B2は、SiNを含むことからこの機械的な応力により生じるSiOの移動による緻密層25B2の軟化も低減することができる。そのため、緻密層25B2の機械的強度を向上させることができる。
なお、第2の層25の密着層25B1および緻密層25B2に含まれる窒素の含有率は、例えば、X線光電子分光分析装置を用いて測定することができる。X線光電子分光分析装置により、試料表面にArイオンを照射することで、密着層25B1および緻密層25B2におけるSi、N、Oの原子量(mol%)を求めることができる。
また、この密着層25B1は、後述するように、ノンバイアススパッタリング法により形成されている。密着層25B1の厚さは、例えば、0.5μm〜2.5μmとされている。緻密層25B2は、後述するように、バイアススパッタリング法により形成されている。緻密層25B2の厚さは、例えば、0.5μm〜3μmとされている。なお、封止層
25Bを形成するSiOは、非化学量論的組成を有するものも含む。そして、SiNのスパッタリングターゲットのRF投入電流を、密着層25B1よりも緻密層25B2を大きくすることで、緻密層25B2の窒素の含有率を密着層25B1の窒素の含有率よりも多くすることができる。
なお、本発明におけるノンバイアススパッタリング法とは、スパッタリングを行う際に、成膜する基板側にバイアス電圧を印加する公知のバイアススパッタリング法に対し、成膜する基板側にバイアス電圧を印加しない公知のスパッタリング法のことをいう。
このように、密着層25B1がノンバイアススパッタリング法によって形成され、緻密層25B2がバイアススパッタリング法によって形成されていることにより、密着層25B1の残留応力が、緻密層25B2の残留応力よりも小さくなっている。また、緻密層25B2を形成するSiOおよびSiNが、密着層25B1を形成するSiOおよびSiNよりも緻密になっている。
緻密層25B2は、バイアススパッタリング法により形成されていることにより、ノンバイアススパッタリング法により形成される密着層25B1に生じる残留応力の2〜5倍の残留応力が生じることとなり、緻密層25B2を密着層25B1よりも緻密にすることができる。
第2の層25Bの密着層25B1および緻密層25B2のそれぞれの残留応力は、例えば次のように測定することができる。図4に示すように、短冊型の基板の片面にスパッタリングにより、それぞれの薄膜を製膜して変形した基板の断面を円弧とみなし、変位δを測定することにより、それぞれの残留応力を測定することができる。
具体的には、基板のヤング率をE、基板のポアソン比をν、基板の長さをL、基板の厚みをd、基板の変位をδとした時に、残留応力σ(N/mm)は、E×b2×(3×(1−ν)×L2×d)−1×δの計算式により求めることができる。また、残留応力は、X線回折法や、ニュートン環法により求めることができる。
上記の第1の層25A、密着層25B1、および緻密層25B2を有する保護膜25は、例えば、次のようにして形成することができる。
まず、発熱部9、共通電極配線17および個別電極配線19上に、公知のノンバイアススパッタリング法により第1の層25Aを形成する。具体的には、SiNをスパッタリングターゲットとして、基板7側にバイアス電圧を印加せずにスパッタリングを行い、SiNを含む第1の層25Aを形成する。
次に、第1の層25A上に、第2の層25Bを構成する密着層25B1と緻密層25B2とを、公知のノンバイアススパッタリング法とバイアススパッタリング法とにより順次形成する。具体的には、まず、SiOおよびSiNをスパッタリングターゲットとして、基板7側にバイアス電圧を印加せずにスパッタリングを行い、SiOおよびSiNを含む密着層25B1を形成する。続いて、同じくSiOおよびSiNをスパッタリングターゲットとして、基板7側にバイアス電圧を印加しつつスパッタリングを行い、SiOおよびSiNを含む緻密層25B2を形成する。この時、SiNのスパッタリングターゲットのRF投入電流を密着層25B1を形成する際のRF投入電流よりも大きくすることが重要である。
以上のようにして、第1の層25A、密着層25B1、および緻密層25B2を有する保護膜25を形成することができる。なお、各層を形成する際に行うスパッタリングは、
例えば、公知の高周波スパッタリング法等を適宜用いることができる。
図1、2に示すように、基板7の上面に形成された蓄熱層13上には、共通電極配線17、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21を部分的に被覆する被覆層27が設けられている。なお、図1では、説明の便宜上、被覆層27の形成領域を一点鎖線で示し、これらの図示を省略している。図示例では、この被覆層27は、蓄熱層13の上面の保護膜25よりも右側の領域を部分的に覆うように設けられている。被覆層27は、共通電極配線17、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21の被覆した領域を、大気との接触による酸化や、大気中に含まれている水分等の付着による腐食から保護するためのものである。なお、被覆層27は、共通電極配線17および個別電極配線19の保護をより確実にするため、図2に示すように保護膜25の端部に重なるようにして形成されている。被覆層27は、例えば、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等の樹脂材料で形成することができる。また、この被覆層27は、例えば、スクリーン印刷法等の厚膜成形技術を用いて形成することができる。
なお、図1、2に示すように、後述するFPC5を接続する共通電極配線17の副配線部17bおよびIC−FPC接続配線21の端部は、被覆層27から露出しており、後述するようにFPC5が接続されるようになっている。
また、被覆層27には、駆動IC11を接続する個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21の端部を露出させるための開口部(不図示)が形成されており、この開口部を介してこれらの配線が駆動IC11に接続されている。また、駆動IC11は、個別電極配線19およびIC−FPC接続配線21に接続された状態で、駆動IC11自体の保護、および駆動IC11とこれらの配線との接続部の保護のため、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の樹脂からなる被覆部材29によって被覆されることで封止されている。
FPC5は、図1、2に示すように、基板7の長手方向に沿って延びており、上記のように共通電極配線17の副配線部17bおよび各IC−FPC接続配線21に接続されている。このFPC5は、絶縁性の樹脂層の内部に複数のプリント配線が配線された周知のものであり、各プリント配線がコネクタ31を介して図示しない外部の電源装置および制御装置等に電気的に接続されるようになっている。このようなプリント配線は、一般に、例えば、銅箔等の金属箔、薄膜成形技術によって形成された導電性薄膜、または厚膜印刷技術によって形成された導電性厚膜によって形成されている。また、金属箔や導電性薄膜等によって形成されるプリント配線は、例えば、これらをフォトエッチング等により部分的にエッチングすることによってパターニングされている。
より詳細には、図1、2に示すように、FPC5は、絶縁性の樹脂層5aの内部に形成された各プリント配線5bがヘッド基体3側の端部で露出し、導電性接合材料、例えば、半田材料、または電気絶縁性の樹脂中に導電性粒子が混入された異方性導電材料(ACF)等からなる接合材32(図2参照)によって、共通電極配線17の副配線部17bの端部および各IC−FPC接続配線21の端部に接続されている。
そして、FPC5の各プリント配線5bがコネクタ31を介して図示しない外部の電源装置および制御装置等に電気的に接続されると、共通電極配線17は、例えば0V〜24Vの正電位に保持された電源装置のプラス側端子に電気的に接続され、個別電極配線19は、駆動IC11およびIC−FPC接続配線21のグランド電極配線を介して、例えば0V〜1Vのグランド電位に保持された電源装置のマイナス側端子に電気的に接続されるようになっている。そのため、駆動IC11のスイッチング素子がオン状態のとき、発熱部9に電流が供給され、発熱部9が発熱するようになっている。
また、同様に、FPC5の各プリント配線5bがコネクタ31を介して図示しない外部の電源装置および制御装置等に電気的に接続されると、IC−FPC接続配線21の上記のIC電源配線は、共通電極配線17と同様、正電位に保持された電源装置のプラス側端子に電気的に接続されるようになっている。これにより、駆動IC11が接続されたIC−FPC接続配線21のIC電源配線とグランド電極配線との電位差によって、駆動IC11に駆動IC11を動作させるための電源電流が供給される。また、IC−FPC接続配線21の上記のIC制御配線は、駆動IC11の制御を行う外部の制御装置に電気的に接続される。これにより、制御装置から送信された電気信号が駆動IC11に供給されるようになっている。この電気信号によって、駆動IC11内の各スイッチング素子のオン・オフ状態を制御するように駆動IC11を動作させることで、各発熱部9を選択的に発熱させることができる。
FPC5と放熱体1との間には、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂またはガラスエポキシ樹脂等の樹脂からなる補強板33が設けられている。この補強板33は、FPC5の下面に両面テープや接着剤等(不図示)によって接着されることにより、FPC5を補強するように作用している。また、この補強板33が放熱体1の上面に両面テープや接着剤等(不図示)によって接着されることにより、FPC5が放熱体1上に固定されている。
次に、本発明のサーマルプリンタの一実施形態について、図5を参照しつつ説明する。図5は、本実施形態のサーマルプリンタZの概略構成図である。
図5に示すように、本実施形態のサーマルプリンタZは、上述のサーマルヘッドX1、搬送機構40、プラテンローラ50、電源装置60および制御装置70を備えている。サーマルヘッドX1は、サーマルプリンタZの筐体(不図示)に設けられた取付部材80の取付面80aに取り付けられている。なお、このサーマルヘッドX1は、発熱部9の配列方向が、後述する記録媒体Pの搬送方向Sに直交する方向(主走査方向)(図5の紙面に直交する方向)に沿うようにして、取付部材80に取り付けられている。
搬送機構40は、感熱紙、インクが転写される受像紙等の記録媒体Pを図5の矢印S方向に搬送して、サーマルヘッドX1の複数の発熱部9上(より詳細には、保護膜25上)に搬送するためのものであり、搬送ローラ43,45,47,49を有している。搬送ローラ43,45,47,49は、例えば、ステンレス等の金属からなる円柱状の軸体43a,45a,47a,49aを、ブタジエンゴム等からなる弾性部材43b,45b,47b,49bにより被覆して構成することができる。なお、図示しないが、記録媒体Pがインクが転写される受像紙等の場合は、記録媒体PとサーマルヘッドX1の発熱部9との間に、記録媒体Pとともにインクフィルムを搬送するようになっている。
プラテンローラ50は、記録媒体PをサーマルヘッドX1の発熱部9上に押圧するためのものであり、記録媒体Pの搬送方向Sに直交する方向に沿って延びるように配置され、記録媒体Pを発熱部9上に押圧した状態で回転可能となるように両端部が支持されている。プラテンローラ50は、例えば、ステンレス等の金属からなる円柱状の軸体50aを、ブタジエンゴム等からなる弾性部材50bにより被覆して構成することができる。
電源装置60は、上記のようにサーマルヘッドX1の発熱部9を発熱させるための電流および駆動IC11を動作させるための電流を供給するためのものである。制御装置70は、上記のようにサーマルヘッドX1の発熱部9を選択的に発熱させるために、駆動IC11の動作を制御する制御信号を駆動IC11に供給するためのものである。
本実施形態のサーマルプリンタZは、図5に示すように、プラテンローラ50によって記録媒体をサーマルヘッドX1の発熱部9上に押圧しつつ、搬送機構40によって記録媒
体Pを発熱部9上に搬送しながら、電源装置60および制御装置70によって発熱部9を選択的に発熱させることで、記録媒体Pに所定の印画を行うことができる。なお、記録媒体Pが受像紙等の場合は、記録媒体Pとともに搬送されるインクフィルム(不図示)のインクを記録媒体Pに熱転写することによって、記録媒体Pへの印画を行うことができる。
本実施形態のサーマルヘッドX1によれば、発熱部9、共通電極配線17および個別電極配線19上にSiNまたはSiCNを含む第1の層25Aが形成されている。SiNまたはSiCNは電気絶縁性を有しているため、この第1の層25Aによって、形成された共通電極配線17と個別電極配線19との間の短絡を抑制しつつ、発熱部9、共通電極配線17および個別電極配線19を被覆して保護することができる。また、この第1の層25Aは、このようにSiNまたはSiCNで形成されており、この第1の層25A自体には酸素が含まれていない。そのため、発熱部9、共通電極配線17および個別電極配線19の酸化が、この第1の層25Aによって誘起されることがないようになっている。
さらに、本実施形態のサーマルヘッドX1によれば、第1の層25Aが、発熱部9、共通電極配線17および個別電極配線19と第2の層25Bとの間に介在している。これにより、第2の層25Bを形成するSiOに含まれる酸素が、発熱部9、共通電極配線17および個別電極配線19に拡散するのを、この第1の層25Aによって抑制することができ、発熱部9、共通電極配線17および個別電極配線19の酸化を抑制することができる。そのため、発熱部9、共通電極配線17および個別電極配線19の電気抵抗が、酸化に起因して変化するのを抑制することができ、発熱部9の発熱温度が所定の温度からずれることを抑制することができる。
ここで、第2の層25Bを形成する密着層25B1および緻密層25B2には、発熱部9により生じた発熱による熱応力と、記録媒体が保護膜25に押し当てられることにより生じる機械的な応力が生じている。発熱部9により生じた熱応力に比べて、記録媒体が保護膜25に押し当てられることにより生じる機械的な応力の影響は大きく、密着層25B1に比べて緻密層25B2に大きな応力が生じることとなる。
これに対して、本実施形態のサーマルヘッドX1は、第2の層25Bが、SiOとSiNとを含んでおり、緻密層25B2に含有された窒素の含有率が、密着層25B1の窒素の含有率よりも多いことから、窒素原子がSiOの短距離秩序の結晶格子間に入り込むこととなる。これにより、サーマルヘッドX1の発熱時における熱によるSiOの移動による軟化を低減することができ、緻密層25B2の機械的強度を向上させることができる。
また、本実施形態のサーマルヘッドX1によれば、SiOおよびSiNを含む第2の層25Bが、ノンバイアススパッタリング法により第1の層25A上に形成された密着層25B1と、バイアススパッタリング法によりこの密着層25B1上に形成された緻密層25B2とによって形成されている。そのため、第2の層25Bが第1の層25A上から剥離するのを抑制することができるとともに、この第2の層25Bによる封止性を向上させることができる。
つまり、本実施形態のサーマルヘッドX1では、密着層25B1がノンバイアススパッタリング法によって形成され、緻密層25B2がバイアススパッタリング法によって形成されていることにより、密着層25B1の残留応力が、緻密層25B2の残留応力よりも小さくなっている。そのため、例えば、第1の層25A上に直接、バイアススパッタリング法によって緻密層25B2を形成した場合(言い換えると、例えば、第1の層25A上の密着層25B1がバイアススパッタリング法によって形成されている場合)に比べて、第1の層25A上からの第2の層25Bの剥離を抑制することができる。
また、上記のように密着層25B1がノンバイアススパッタリング法によって形成され、緻密層25B2がバイアススパッタリング法によって形成されていることにより、緻密層25B2を形成するSiOが、密着層25B1を形成するSiOよりも緻密になっている。そのため、例えば、密着層25B1上に緻密層25B2を形成しない場合(言い換えると、例えば、密着層25B1上の緻密層25B2がノンバイアススパッタリング法によって形成されている場合)に比べて、第2の層25Bによる封止性を向上させることができる。これにより、大気中に含まれている水分等が第2の層25B内に侵入するのを抑制することができ、発熱部9、共通電極配線17および個別電極配線19にこの水分等が付着することに起因する腐食の発生を抑制することができる。
よって、本実施形態のサーマルヘッドX1によれば、上記のように形成された保護膜25によって、発熱部9、共通電極配線17および個別電極配線19の酸化を抑制し、発熱部9の発熱温度が所定の温度からずれることを抑制するとともに、第2の層25Bの剥離、ならびに発熱部9、共通電極配線17および個別電極配線19の腐食を抑制することができるという優れた効果を奏する。
なお、上記で比較のため例示した場合のように、第1の層上に直接、バイアススパッタリング法により薄膜層を形成した場合は、第1の層の表面が削られる。これにより、特に、第1の層では、共通電極配線17および個別電極配線の端部を覆う領域(以下、配線端部被覆領域という)の厚さが薄くなり易い。また、第1の層上の密着層およびこの密着層上の緻密層の双方をバイアススパッタリング法により形成した場合は、密着層および緻密層における配線端部被覆領域の厚さが薄くなり易い。
これに対し、本実施形態のサーマルヘッドX1では、第1の層25A上の密着層25B1をノンバイアススパッタリング法によって形成しているため、第1の層25Aの表面が削られることがなく、第1の層25Aにおける配線端部被覆領域の厚さが薄くなり難い。また、密着層25B1における配線端部被覆領域も薄くなり難い。そのため、第1の層25Aおよび密着層25B1における配線端部被覆領域の厚さを厚くすることができ、絶縁層25Aおよび密着層25B1による封止性を向上させることができる。
なお、第1の実施形態に係るサーマルヘッドX1は、密着層25B1をノンバイアススパッタリング法により形成し、緻密層25B2をバイアススパッタリング法により形成した例を示したが、密着層25B1および緻密層25B2をノンバイアススパッタリング法により形成してもよい。
また、SiOおよびSiNと称しているが、化学式を例示すると、SiOはSiO2、SiNはSi3N4を例示することができる。
<第2の実施形態>
図6を用いて、本発明の第2の実施形態に係るサーマルヘッドX2について説明する。
サーマルヘッドX2は、第2の層25B上に、第3の層25Cが設けられている点でサーマルヘッドX1と異なる。
第3の層は、保護膜25の最上層に位置しており、SiC、SiN、SiCN、または五酸化タンタル(以下、Ta2O5と称する場合がある)で形成されている。第3の層25CがSiCで形成された場合について説明すると、SiCはビッカース硬さで、1800Hv〜2200Hv程度の硬度を有している。そのため、第3の層25CをこのSiCで形成することにより、第3の層25Cを耐摩耗層とすることができる。また、SiCは、比抵抗が1×108Ω・cmであり、導電性を有しているため、第3の層25CをこのSiCで形成することにより、第3の層25Cに発生する静電気を放電することができ、
第3の層25Cの静電気破壊を抑制することができる。この第3の層25Cは、後述するようにノンバイアススパッタリング法によって形成されている。第3の層25Cの厚さは、例えば、1μm〜6μmとされている。なお、第3の層25Cを形成するSiCは、化学式ではSi3C4と表すことができ、非化学量論的組成を有するものも含む。また、炭素が多く含有されているSiC(以下、C−SiCと称する場合がある)により第3の層25Cを形成してもよい。その場合においても、導電性をさらに向上させることができ、第3の層25Cに発生する静電気をさらに放電することができる。
第2の実施形態に係るサーマルヘッドX2は、第1の層25AがSiCNを含んでなり、第2の層25Bが密着層25B1および緻密層25B2を有しており、密着層25B1および緻密層25B2がSiOおよびSiNを含んでなり、第3の層25CがSiCを含んで構成されている。
上述したSiCNは、比抵抗が、1×109〜1×1012Ω・cmであり、絶縁性を有している。また、熱伝導率が0.05〜0.15W/m・Kと高く、それにより、発熱部で発熱した熱を効率よく伝熱することができる。また、SiCNは、熱膨張係数が、サーマルヘッドX2の印字する温度域において、10.0×10−6/℃であり、第2の層25Bを形成するSiO2のサーマルヘッドX2の印字する温度域における熱膨張係数8.0×10−6/℃に近づけることができる。そのため、第1の層25Aと第2の層25Bとの密着性を高めることができ、剥離の生じにくい保護膜25とすることができる。
第2の層25Bは、密着層25B1および緻密層25B2により形成されているが、密着層25B1の窒素の含有率が緻密層25B2の含有率よりも少ないため、SiNの含有率が、緻密層25B2のSiNの含有率よりも少ないこととなる。そのため、密着層25B1の熱膨張係数を緻密層25B2の熱膨張係数よりも大きくすることができ、第1の層25Aと第2の層25bとの密着性をさらに向上させることができる。
第2の実施形態に係るサーマルヘッドX2の保護膜25は、例えば、次のようにして形成することができる。
まず、発熱部9、共通電極配線17および個別電極配線19上に、ノンバイアススパッタリング法により第1の層25Aを形成する。具体的には、SiCNをスパッタリングのターゲットとして、Arガスを用いてノンバイアススパッタリング法によりSiCNの第1の層25Aを形成する。
また、Ar+N2のガスを用いてノンバイアススパッタリング法により第1の層25Aを形成してもよい。具体的には、SiCをスパッタリングのターゲットとして、Arに対してNのモル比が10〜80モル%となるようにN2ガスを混入させて、ノンバイアススパッタリング法によりSiCNの第1の層25Aを形成してもよい。
次に、第1の層25A上に、第2の層25Bをノンバイアススパッタリング法により形成する。具体的には、SiOおよびSiNをスパッタリングのターゲットとして、Arガスを用いてノンバイアススパッタリング法により密着層25B1を形成する。
その後、基板7にバイアス電圧を印加して、バイアススパッタリング法により緻密層25B2を形成する。それにより、密着層25B1および緻密層25B2を備えた第2の層25Bを形成することができる。
また、スパッタリングターゲットとしてSiOを用いて、Ar+N2のガスを用いてノンバイアススパッタリング法により密着層25B1を形成し、バイアススパッタリング法
により緻密層25B2を形成して、第2の層25Bを形成してもよい。具体的には、SiOをスパッタリングのターゲットとして、Arに対してNのモル比が10〜80モル%となるようにN2ガスを混入させて形成すればよい。
次に、第2の層25B上に第3の層25Cをノンバイアススパッタリング法により形成する。具体的には、SiCをスパッタリングのターゲットとして、Arガスを用いてノンバイアススパッタリング法によりSiCの第3の層25Cを形成する。
なお、第1の層25AをC−SiCNにより形成する場合には、C−SiCNをスパッタリングのターゲットとして、Arガスを用いてノンバイアススパッタリングを行ないC−SiCNの第1の層25Aを形成することができる。また、スパッタリングのターゲットをC−SiCを用いて、Ar+N2のガスを用いてノンバイアススパッタリング法によりC−SiCNの第1の層25Aを形成してもよい。
同様に、第3の層25CをC−SiCにより形成する場合には、スパッタリングのターゲットをC−SiCを用いて、Arガスを用いてノンバイアススパッタリング法により、C−SiCの第1の層25Aを形成することができる。
以上のようにして、第1の層25A、第2の層25Bおよび第3の層25Cを有する保護膜25を形成することができる。
なお、保護膜25を形成する際に、保護膜25を構成する各層をそれぞれスパッタリング法により形成する場合がある。その際に、スパッタリングのターゲットをSiCとして、Ar+N2のガスを用いて第1の層25Aおよび第2の層25Bを形成することで、第3の層25Cを形成するためのスパッタリングのターゲットのSiCと兼用することができる。
それにより、例えば、2つのスパッタリングのターゲットを1つのバッチの内部に収納し、使用することができる構成のスパッタリング装置を用いて保護膜25を形成する場合、スパッタリングのターゲットをSiCおよびSiOとすることで、第1の層25A、第2の層25Bおよび第3の層25Cを形成することができ、バッチを変更することなく保護膜25を形成することができる。そのため、生産性を向上させることができる。また、1つのバッチで保護膜25を生成することができ、バッチの入れ替えを行なう必要がないため、保護膜25に不純物が含まれることを抑えることができる。なお、本実施形態においては、保護膜25を発熱部9、共通電極配線17および個別電極配線19上に設けた例を示したが、保護膜25は少なくとも発熱部9上に設けられていればよい。それにより、サーマルヘッドX2の熱応答性を向上させることができる。
以上、本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
上記実施形態のサーマルヘッドX2では、第3の層25CがSiCによって形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、SiNまたはTa2O5等によって形成されていてもよい。なお、この第3の層25Cを形成するSiNまたはTa2O5は、非化学量論的組成を有するものも含む。このようにSiNによって第3の層25Cを形成する場合は、例えば、SiNをスパッタリングターゲットとしてスパッタリング法により形成すればよい。また、Ta2O5によって第3の層25Cを形成する場合は、例えば、Ta2O5をスパッタリングターゲットとしてスパッタリング法により形成すればよい。
また、図1〜図3に示すサーマルヘッドX1では、蓄熱層13に隆起部13bが形成さ
れ、この隆起部13b上に電気抵抗体15が形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、蓄熱層13に隆起部13bを形成せず、電気抵抗体15の発熱部9を、蓄熱層13の下地部13b上に配置してもよい。または、蓄熱層13を形成せず、基板7上に電気抵抗体15を配置してもよい。
また、図1〜図3に示すサーマルヘッドX1では、電気抵抗体15上に共通電極配線17および個別電極配線19が形成されているが、共通電極配線17および個別電極配線19の双方が発熱部9(電気抵抗体)に接続されている限り、これに限定されるものではない。例えば、蓄熱層13上に共通電極配線17および個別電極配線19を形成し、この共通電極配線17および個別電極配線19が形成された蓄熱層13上に電気抵抗体15を形成してもよい。この場合、共通電極配線17と個別電極配線19との間に位置する電気抵抗体15の領域によって発熱部9が形成される。なお、この電気抵抗体15の領域が、本発明における電気抵抗体15に相当する。または、図7に示すサーマルヘッドX3のように、蓄熱層13上に共通電極配線17および個別電極配線19を形成し、この共通電極配線17と個別電極配線19との間の領域のみに電気抵抗体15を形成してもよい。
なお、高周波スパッタリング法により第2の層を作製する方法を示したが、これに限定されるものではない。例えば、イオンビームスパッタリング法を用いて作製することができる。また、スパッタリング法以外の方法としては、CVD(化学気相成長法)を用いて作製してもよい。