JP2002344034A - 熱電素子の製造方法 - Google Patents
熱電素子の製造方法Info
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Abstract
つきの小さい熱電素子を作製する方法を実現する。 【解決手段】Bi、Sb、Te、Seのうち少なくとも
2種を含む原料粉末又は成形体を焼成して、性能指数が
3.0×10-3/K以上の焼結体を作製する熱電素子の
製造方法において、前記原料粉末及び/又は前記成形体
をTe粉末が配設された水素気流中で熱処理し、しかる
後に焼成することを特徴とする。
Description
法、特に熱電特性に優れ、且つ特性の安定した熱電素子
の製造方法に関する。
子は、熱電モジュールとしてレーザーダイオードの温度
制御、恒温槽あるいは冷蔵庫における冷却に多用されて
いる。この室温付近で使用される冷却用熱電モジュール
には、冷却特性が優れるという観点からBi2Te3(テ
ルル化ビスマス)からなる熱電素子が一般的に用いられ
ている。
して用いる必要があり、p型にはBi2Te3とSb2T
e3(テルル化アンチモン)との固溶体が、n型にはB
i2Te3とBi2Se3(セレン化ビスマス)との固溶体
が特に優れた性能を示すことから、このA2B3型結晶
(AはBi及び/又はSb、BはTe及び/又はSe)
が冷却用熱電モジュール用熱電素子として広く用いられ
ている。
電素子の形状は、数mm角と小さいため、加工時等の応
力に対する強度を保たせるためにホットプレス等により
作製されている。しかし、ホットプレスによって作製し
た焼結体中に原料粉末中に含まれる酸素が残留し、上記
A2B3型結晶からなる熱電素子の電気特性を劣化させて
しまうという問題があった。
らなる群より選択される少なくとも2種類以上の元素を
含有した熱電変換材料を成形し、しかる後に仮焼して得
られた仮焼体を焼成前に水素を含む還元雰囲気で熱処理
して不純物酸素を除去することによって、熱電特性を改
善することが特開平9−18060号公報に記載されて
いる。
9−18060号公報号公報の方法では、熱電素子の熱
電特性の最大値は改善できるものの十分ではなく、ま
た、作製したロット間において、或いは同一ロットでも
試料間において熱電特性の最大値と最小値の相違が大き
く、ばらつくという問題があった。
特性のばらつきの小さい熱電素子を作製する方法を実現
することを目的とする。
及び/又は前記成形体をTe粉末が配設された水素気流
中で熱処理した後に焼成することで、高い性能指数を実
現し、特性のばらつきを抑えることができるという知見
に基づくものである。
i、Sb、Te、Seのうち少なくとも2種を含む原料
粉末又は成形体を焼成して、性能指数が3.0×10-3
/K以上の焼結体を作製する熱電素子の製造方法におい
て、前記原料粉末及び/又は前記成形体をTe粉末が配
設された水素気流中で熱処理し、しかる後に焼成するこ
とを特徴とするものである。この熱処理により、原料粉
末中のTeの揮発が抑制され、調合時の組成からのずれ
を防止できるため、性能指数を高めるとともに、特性の
ばらつきを抑制することができる。
記原料粉末の累積重量比50%における平均粒子径(D
50)が0.5〜10μm、累積重量比90%における
粒子径(D90)が0.7〜20μm、粒子径比D90
/D50が1.2〜4.0になるように粉砕することが
好ましい。これにより、原料粉末を均一、且つ微細にで
きるため、焼結性を高め、より低い温度において焼成し
やすくなるとともに、得られた焼結体中の結晶粒径の平
均長軸径を10μm以下と小さくできるため、性能指数
をさらに高めることができる。
を用いて粉砕することが好ましい。これにより、原料粉
末に混入する不純物を抑制し、より高い性能指数を実現
し、特性のばらつきを更に低く抑えられる。
法、ホットプレス法、ガス圧焼結法、熱間等方加圧焼結
法のうち少なくとも1種を用いて焼成することが好まし
い。これらの焼結方法によれば、短時間で焼成できるた
めに粒子の粒成長を抑え、粒子の均一化が図れるため、
熱電特性を改善できる。
Bi、Sb、Te、Seのうち少なくとも2種を含む原
料を用いることが重要であり、例えば、上記の金属を用
いても良いが、A2B3型金属間化合物を用いることが好
ましい。ここで、AがBi及び/又はSb、BがTe及
び/又はSe型からなる半導体結晶であって、特に組成
比B/Aが1.4〜1.6であることが、室温における
熱電特性を高めるために好ましい。
るBi2Te3、Sb2Te3、Bi2Se3の少なくとも1
種であることが好ましく、固溶体としてBi2Te3とB
i2Se3の固溶体であるBi2Te3-xSex(x=0.
05〜0.25)、又はBi 2Te3とSb2Te3の固溶
体であるBixSb2-xTe3(x=0.1〜0.6)等
を例示できる。
るために、不純物をドーパントとして添加することがで
きる。例えば、原料粉末にI、Cl及びBr等のハロゲ
ン元素を含む化合物を含有せしめることにより、n型半
導体を製造することができる。例えば、AgI、CuB
r、SbI3、SbCl3、SbBr3、HgBr2等を加
えることにより、金属間化合物半導体中のキャリア濃度
を調整することができ、その結果、熱電特性を高めるこ
とが可能となる。
ャリア濃度調整のためにTeを添加することができ、n
型半導体と同様に、熱電特性を高めることができる。
られる原料粉末は、累積重量比50%における平均粒子
径(D50)が0.5〜10μmであることが好まし
い。これは、0.5μm未満ではコストが高くなり易
く、また、10μmを超えると熱伝導率が高くなって性
能指数が低下する傾向があるためである。
(D90)が0.7〜20μm、粒子径比D90/D5
0が1.2〜4.0であることが好ましい。このように
粒子径を制御することにより、性能指数を最適化するこ
とができる。
レーザー回折法等によって測定するときに求められる値
であり、結晶粒子のうちその粒子径が小さいものから積
算して重量比50%のときの平均粒子径をD50、90
%のときの平均粒子径をD90としている。
得るためには、粒子径の大きい市販粉末を分級しても良
いが、市販粉末を所望の組成に調合し、有機溶媒を加
え、窒化珪素製ボール等の高硬度、高靭性のセラミック
粉砕用ボールを用いて粉砕させることで、本発明で使用
する粉末を容易に得られる。
回転ボールミルで窒化珪素製ボールを使用することが好
ましい。粉砕に用いる容器としては、ポリエチレン製等
の樹脂ポット又は樹脂の内張りを有するセラミックポッ
ト等を用い、ボールとして窒化珪素製ボールを使用する
ことで粉砕時に混入する不純物量を500ppm以下、
特に100ppm以下、更には50ppm以下にまで削
減することも可能で、不純物混入による特性低下を防
ぎ、更に優れた熱電特性の実現が容易になる。
ル、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキ
サン等で良いが、これらの中でも、粉砕効率及びコスト
の面で、イソプロパノールが好適である。
成形体を作製する。成形は、金型プレス法、冷間静水圧
プレス(CIP法)、ドクターブレード法、カレンダー
ロール法、圧延法、押し出し成形法、鋳込み成形法、射
出成形法等の周知の成形方法を用いることができる。こ
れらの中で、特に金型プレス法、CIP法が簡便性と量
産性の点で好ましい。なお、成形時に高磁場を印加して
結晶配向させることも有効である。
を焼成に先立って水素気流中で熱処理することが重要で
ある。この熱処理は、例えば原料粉末を匣鉢に入れ、そ
の匣鉢の周囲にTe粉末を配設し、水素気流中で加熱す
る。このような熱処理は、水素ガスにより粉末表面の不
純物酸素を除去する効果があり、焼成によって得られた
焼結体中に比抵抗の高い酸化物を減少することができる
ため、焼結体の比抵抗を低くし、性能特性を高めること
ができる。
に配設することで、原料中のTeの分解を抑制して原料
のBi/Te組成比が変化せずに維持され、その結果、
特性ばらつきを低減することができる。なお、Te粉末
は、単独でも、他の原料組成中の金属粉末との混合でも
かまわない。例えば、成形体を熱処理する場合、成形体
と同一の組成から成る粉末の中に成形体を埋めて加熱し
てもよい。
しく、特に375〜425℃、更には390〜410℃
であると粉末の表面エネルギーが大きい微粉末が焼結
し、特に微粉末を多く含む粉末の場合、D90/D50
比を小さくすることができ、より安定した熱電素子を得
ることができる。
料粉末の表面に存在する酸素を十分に除去するため、熱
処理は1時間以上行うことが好ましい。
ればこの焼結は、前記原料粉末を、パルス通電焼結法
(PECS)、ホットプレス(HP)、ガス圧焼結(G
PS)、熱間等方加圧焼結(HIP)のうち少なくとも
1種を用いて焼成することが好ましい。これらの焼成が
短時間で終了するため、焼結中の粒成長を抑え、微細で
均一な結晶組織を実現してより熱電特性を改善するため
であり、特にPECS、HPがより簡便に、より緻密な
焼結体を得る点で好ましく、更にはPECSで行うと焼
結時間が昇温を含め30分以内で完了するため組織制御
が容易で、より優れた特性が得られる点でPECSが好
ましい。
度低い温度範囲、特に(T−120℃)〜(T−20
℃)の温度範囲が好ましい。例えばBi2Te3であれば
400〜500℃程度、Bi0.5Sb1.5Te3であれば
400〜480℃程度が望ましい。
径10μm以下の微細な結晶を有する焼結体からなり、
3.0×10-3/K以上、特に4×10-3/K以上、さ
らには4.5×10-3/K以上、より好適には5×10
-3/K以上、更に好適には5.5×10-3/K以上の優
れた熱電特性を示す。
数をS、抵抗率をρ、熱伝導率をkとしたとき、Z=S
2/ρkで定義されるもので、熱電素子を冷却素子ある
いは発電素子として用いる場合の効率を示すものであ
る。
は、熱電モジュールに使用することにより、冷却特性の
高い冷却部品を実現でき、レーザーダイオード冷却用等
として使用できる。
b2Te3粉末及びドーパントとしてSbI3粉末を準備
した。n型素子原料としてBi2Te3粉末100重量部
に対してSbI3粉末0.1重量部の割合で調合した。
また、p型素子原料としてBi2Te3粉末20モル%、
SbTe3粉末80モル%の割合で調合した。
トに入れ、イソプロパノールと窒化珪素ボールを加え
て、振動ミルにより20時間粉砕した。得られたスラリ
ーを取り出し、乾燥後、40メッシュにて篩通しし、焼
結前粉末を得た。なお、原料粉末同士はモル比で調合
し、ドーパントは原料粉末全体と重量比で添加した。得
られた粉末の粒度分布はレーザー回折法で求め、D5
0、D90およびD90/D50を求めた。
後、カーボン型に充填し、ホットプレス法(HP)は温
度450℃、加圧圧力50MPaで、パルス通電焼結法
(PECS)は温度420℃、加圧圧力50MPaで焼
成した。また、上記粉末をプレス圧150MPaで直径
20mm、厚み15mmに成形し、成形体を表1に示す
条件で熱処理した後、試料No.21は、温度500
℃、圧力0.9MPaのAr雰囲気でガス圧焼結法(G
PS)により、試料No.22は、温度500℃、圧力
100MPaで熱間等方加圧焼結法(HIP)により焼
成した。
な方向に対して熱伝導率、ゼーベック係数及び抵抗率を
測定するために、それぞれ測定試料を作製した。熱伝導
率測定には、直径10mm、厚み1mmの円板試料を、
ゼーベック係数、抵抗率測定には縦4mm、横4mm、
長さ15mmの角柱試料を作製した。
ゼーベック係数、比抵抗は真空理工社製熱電能評価装置
により、それぞれ20℃の条件下で測定した。
k(Sはゼーベック係数、ρは抵抗率、kは熱伝導率で
ある)より算出した。また、ばらつきは、最大値と最小
値の差を平均値で割った値をパーセントで表した。結果
を表1に示す。
o.1〜12及び14〜20は、いずれも、性能指数の
平均値が4.13×10-3/K以上、そのばらつきが4
0%以下であった。
発明の範囲外の試料No.13は、性能指数の平均値が
1.18×10-3/K、そのばらつきが70%であっ
た。
外の試料No.21は、性能指数の平均値が2.76×
10-3/K、そのばらつきが75%であった。
焼成する前にTe粉末が配設された水素気流中で熱処理
することによって、原料粉末の表面に存在する酸素を効
率よく除去でき、その結果、性能指数を改善するととも
に、酸素含有量のばらつきによって生じていた特性ばら
つきを低減することができた。
Claims (4)
- 【請求項1】Bi、Sb、Te、Seのうち少なくとも
2種を含む原料粉末又は成形体を焼成して、性能指数が
3.0×10-3/K以上の焼結体を作製する熱電素子の
製造方法において、前記原料粉末及び/又は前記成形体
をTe粉末が配設された水素気流中で熱処理し、しかる
後に焼成することを特徴とする熱電素子の製造方法。 - 【請求項2】前記成形体を作製する前に、予め前記原料
粉末の累積重量比50%における平均粒子径(D50)
が0.5〜10μm、累積重量比90%における粒子径
(D90)が0.7〜20μm、粒子径比D90/D5
0が1.2〜4.0になるように粉砕することを特徴と
する請求項1記載の熱電素子の製造方法。 - 【請求項3】前記原料粉末を、窒化珪素製ボールを用い
て粉砕することを特徴とする請求項2記載の熱電素子の
製造方法。 - 【請求項4】前記原料粉末を、パルス通電焼結法、ホッ
トプレス法、ガス圧焼結法、熱間等方加圧焼結法のうち
少なくとも1種を用いて焼成することを特徴とする請求
項1乃至3のうちいずれかに記載の熱電素子の製造方
法。
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JP2001149147A JP4601206B2 (ja) | 2001-05-18 | 2001-05-18 | 熱電素子の製造方法 |
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-
2001
- 2001-05-18 JP JP2001149147A patent/JP4601206B2/ja not_active Expired - Fee Related
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