JP2002343310A - 電気機器用ケース - Google Patents

電気機器用ケース

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電解液を含む構成要素等を内蔵した電気機器
に使用され、ケース本体と構造的に簡単な蓋材を電気的
に絶縁した状態で、密封度が高く長期信頼性があり、安
価で生産性高く製造可能な電気機器ケースの提供。 【解決手段】 電解液を含む構成要素を収納するための
電気機器用のケースであって、ケース本体1がアルミニ
ウム製等のDI缶および蓋材の間にポリイミド、ポリア
ミド、ポリエステル、ポリプロピレンのいずれか1種の
フィルムである絶縁体6をはさみ、両者を電気的に絶縁
した状態で二重巻き締め5により密封した二次蓄電池ま
たは電解コンデンサーなどのための電気機器用ケース。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電解液を含む構成
要素等を内蔵した電気機器の、密封性が確実で生産性高
い方法により、ケース本体と蓋材を封止した電気機器、
例えばラジオ、テープレコーダ、コンパクトディスク、
ミニディスク等の音響機器、セルラーフォン、ワープ
ロ、ラップトップもしくはノートブックタイプパソコ
ン、ポータブルテレビ、カメラ、8mmビデオカメラな
どのための二次蓄電池または電解コンデンサなどに使用
される電気機器用の金属ケース、好ましくはDI缶(本
発明においては「Drawing and Ironi
nng」により製造した缶を意味する。)および該金属
ケースを使用した二次蓄電池およびコンデンサに関す
る。
【0002】
【従来の技術】電気機器、電子機器の小型化、高密度
化、軽量化、携帯化に伴い、これらに使用する駆動用の
電源、あるいはメモリー保持用電源としての二次蓄電池
あるいは電解コンデンサ、電気二重層コンデンサなどの
部品も同様に小型化、軽量化が厳しく求められてきた。
これら二次蓄電池、コンデンサはさらにポータブル電気
機器以外の分野にも用いられ、たとえば電気自動車の動
力用電源としては高体積エネルギー密度、高重量エネル
ギー密度で、かつ高い安全性が求められている。これら
の製品は、上記の性能を備えた上さらに安価であって、
生産性高く、大量生産が可能なものが求められている。
【0003】例えば二次蓄電池においては、小型、高エ
ネルギー密度、繰り返し放電可能性等の要求の故に、二
次蓄電池としては電解液として有機溶媒を用いた非水電
解質二次電池が最も有望とされてきた。中でも負極活物
質としてリチウムイオンの吸蔵・放出が可能なリチウム
−アルミニウム合金や炭素材料など、現在では炭素材料
を使用した充放電のリサイクル寿命の長いリチウムイオ
ン二次電池、あるいはこれとは別にニッケル−水素二次
電池等が有望とされている。
【0004】これらの非水電解質を含む電解液を使用し
た電池等は、用いる溶媒によりリチウムイオンの挿入脱
離量、すなわち負極容量が大幅に変化することが知られ
ており、粘性の低い溶媒、例えばジメチルカーボネート
やジエチルカーボネートの混入が推奨されていることや
系内への水分の混入を極度に嫌うためケース全体を完全
に密閉構造とする必要がある。
【0005】従来、ケース本体と蓋材との封止方法とし
ては、樹脂等のパッキングを介してケース本体で蓋材を
締め付け封止するクリンプ方式と、ケース本体と蓋材を
YAGレーザーなどで溶接して封止する2つの方法が実
用化されている。前者のクリンプ方式は、コイン型電池
あるいは円筒型リチウム電池などに適用されている。こ
の方式は安価で大量生産できる利点を有するものの、樹
脂パッキングの水に対するバリア性が不十分で長期信頼
性に欠けるため、その使用は主として一次蓄電池に限ら
れている。
【0006】一方YAGレーザー等による溶接での封止
は、対象開口部の形状に縛られず、水の進入を完全に防
止でき、密閉性が高い封止ができるので長期信頼性が高
いという利点はあるが封止に使用するレーザー溶接装置
が高価であり、初期投資額が大きくなることに加え、封
止速度が遅く生産性が低いため、大量生産にはあまり有
効とはいえず、コストアップが避けられないという致命
的欠陥がある。
【0007】これとは別に、金属ケースの封止方法とし
て缶詰やジュース缶、ビール缶などにおいて使用されて
いる二重巻き締めによる封止方法がある。この方法によ
る封止は完全であり、長期信頼性がある上、安価で高速
での封止が可能であって大量生産に有利に適用可能であ
ることから、電池ケースへ採用する提案がこれまでいく
つかあった(実開昭57−190654号、特開平6−
203813号、特開平9−73885号)。
【0008】ここで提案されている方法は、いずれも二
重巻き締めによる封止方法のメリットである密封の完全
性、高速封止による生産性の高いことは享受している
が、単にそれだけに留まり、ケース本体と蓋材はまった
く電気的に絶縁されることがない方式を採用している。
この方式ではケース本体と蓋材は絶縁されておらず、電
極部を絶縁する必要があった。このため蓋材は、ケース
本体(電池容器)1と一体化のための巻き締め部(電池
封口部)5を有する電池蓋2と、電池蓋2と電気的に絶
縁された電極部(電極端子)3および両者を絶縁するた
めの絶縁部4の3部分から構成されることとなり、蓋材
そのものが部品点数も多く原材料の在庫管理を複雑にす
るだけでなくケースの材料として最もコストが高い部品
となり、また構造的にも複雑になり生産性を低下させコ
ストアップの原因となっていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、電解液を含
む構成要素等を内蔵した二次蓄電池または電解コンデン
サなどの電気機器に使用される、ケース本体と構造的に
簡単な蓋材を電気的に絶縁した状態で、密封度が高く長
期信頼性があり、安価で生産性高く製造可能な電気機器
ケースの開発を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は[1] 電解液
を含む構成要素を収納するための電気機器用のケースで
あって、ケース本体および蓋材の間に絶縁体をはさみ、
両者を電気的に絶縁した状態で二重巻き締めにより密封
した電気機器用ケース、[2] 電解液を含む構成要素
を収納するための電気機器用のケースであって、内外面
を樹脂コーティングしたケース本体および蓋材の間に絶
縁体をはさみ、両者を電気的に絶縁した状態で二重巻き
締めにより密封した電気機器用ケース、
【0011】[3] ケース本体がアルミニウム製DI
缶である上記[1]または[2]に記載の電気機器用ケ
ース、[4] 電気機器が二次蓄電池または電解コンデ
ンサーである上記[1]〜[3]のいずれかに記載の電
気機器用ケース、[5] ケース本体を一方の極とし、
蓋材を他方の極とした上記[1]〜[4]のいずれかに
記載の電気機器用ケース、[6] 蓋材が電気的に一体
構造とした上記[1]〜[5]のいずれかに記載の電気
機器用ケース、[7] 絶縁体がポリイミド、ポリアミ
ド、ポリエステル、ポリプロピレンのいずれか1種のフ
ィルムである上記[1]〜[6]のいずれかに記載の電
気機器用ケース、
【0012】[8] 上記[1]〜[7]のいずれかに
記載の電気機器用ケースを用いたリチウムイオン二次蓄
電池またはニッケル水素二次蓄電池、および[9] 上
記[1]〜[7]のいずれかに記載の電気機器用ケース
を用いたコンデンサ、を開発することにより上記の目的
を達成した。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明において電気機器とは、限
定するわけではないが、小型で、軽量な各種の通信機
器、音響機器、OA機器などの電気機器の各種電源に使
用される二次蓄電池、あるいはその機器を構成する電子
部品を意味するものであり、それらのケース本体と蓋材
の密閉度の高い封止を必要とする電気機器用ケース、特
に非水電解液を含む構成要素を収納した二次蓄電池用ケ
ースあるいは電解コンデンサまたは電気二重層コンデン
サなどのための電気機器用ケースに特に有効に使用でき
る。
【0014】本発明の電気機器用ケースは、通常有機溶
媒を主体とする電解液等を含む構成要素を密閉するため
ケース本体および蓋材とからなる。ケース本体は加工
性、強度等の観点からこれらのバランスがとれた純アル
ミニウム系合金あるいはA−3004などのAl−Mn
系アルミニウム合金が使用される。ケース材料の厚みは
ケースのサイズにより変わるので確定できないが、例え
ば40mmφのDI缶であるときは約0.5mm前後の
板材を用い、缶胴部を約0.3mm程度のものとして使
用することが巻き締め加工性、強度の面から見て有利で
ある。ケース本体はその表面を使用状態に応じ、コーテ
ィングまたはラミネートなど耐食性樹脂材料などにより
被覆し、電力取り出し部として加工する場所は樹脂被覆
をしないか被覆を除去する、または樹脂被覆の代わりに
耐食性金属メッキなどを必要に応じて行うが、耐食性が
必要でないときは金属本体のままでも使用することがで
きる。
【0015】本発明に使用するケース本体の形状は、ケ
ース本体と蓋材を絶縁できる形状である必要があるが、
好ましくは二重巻き締め可能な形状であれば如何なる形
状であってもよい。二重巻き締めする際には板厚の制御
が重要であり、生産性が高く、かつ缶胴の厚みのバラツ
キを小さく押さえることができるDI缶が有利である。
板厚としては内容積や樹脂コートとの関係で決まるため
一概に確定することはできない。
【0016】本発明の重要な特徴の一つに蓋材の構造が
ある。従来の巻き締めタイプのケースにおける蓋材は、
ケース材中最も高価格のものである。すなわち、従来の
蓋材は図2に示すようにケース本体1と電気的に絶縁さ
れていないため、蓋材2がその狭い空間に、ケース本体
1との巻き締めのための金属で構成された巻き締め部5
を含む電池蓋2,電極部を電気的に絶縁するための合成
樹脂樹脂などからなる絶縁部4および金属製の電極部3
の3部分から構成することが必要となり、部品数も多く
必要となり、電池上面の狭い面積内で構造的にも複雑と
なることが避けられなかった。
【0017】しかし本発明においては、図1(a)およ
び(b)に示すように、ケース本体1と蓋材の間の巻き
締め部5に絶縁体6を挟んで両者を確実に絶縁している
ため、ケース本体1と蓋材は電気的に完全に絶縁されて
いる。このため蓋材に絶縁部は不要となり、電池蓋2,
電極端子3を一体に形成でき、構造的にも単純であって
良く、電気的に一体構造とすることができる。すなわち
単に板材を必要な形状にプレス加工しただけでよく、こ
のことはコスト面では大きな利点を与えるだけでなく、
封止部の強度的も大きく改善できる。なお形状的に従来
の電池のように電極部3を突出させる場合には、その突
出部内側に集電体を固定する様にしても良い。本発明の
蓋材の両面は電極部を除き、通常エポキシ樹脂などの樹
脂をコーティングして絶縁および耐食性を付与する。材
質としては加工性、剛性、コストなどを勘案してA−5
182などのAl−Mg系合金が有利に使用される。材
料の厚さは通常のDI缶の場合と同じであって良い。
【0018】ケース本体と電池蓋2の間に挟んで両者を
電気的に絶縁する絶縁体6は、二重巻き締めした場合に
その両者の間にあって電気的に絶縁可能なものであれば
理論的にはすべて使用可能であるが、二重巻き締めの加
工中に破れたり、電解液などに腐食されたりしないこと
が必要であるため、入手の容易性、その安定性、強度が
必要となる。これらのバランスを考慮すると、ポリアミ
ド、ポリイミド、ポリエステル、ポリプロピレンなどの
強度の大きい延伸フィルム、特に弾力性があり、伸びの
大きい二軸延伸ポリアミドフィルムが最も好適である。
これらの絶縁体フィルムは、ケース本体と蓋材の接触部
を完全に被覆するだけでなく、絶縁の安全性を確保する
ため接触部より若干外側まで覆う広さのものを使用する
ことが好ましい。この絶縁体フィルムを使用するとき
は、従来の二重巻き締めで使用されていた密封用のエラ
ストマー系のパッキングは使用してもかまわないが原則
的には不要となる。厚さとしてはサイズにより変わる
が、通常0.025〜0.3mm、好ましくは0.05
〜0.1mm程度で十分である。この範囲より薄い場合
には巻き締め時に破れ絶縁ができなっくなったり、また
厚いときには巻き締めが不十分となり液漏れが生ずる危
険がある。
【0019】本発明のケース本体と蓋材の密閉法は、電
解液を含む構成要素をケース本体に収納した後、絶縁体
をケース本体と蓋材の間を完全に電気的に絶縁被覆して
密閉する以外は従来の二重巻き締め法と同一である。従
って、二重巻き締め法によるこの密封は完全であるばか
りでなく生産性が高くコストが安い特徴があり、更に本
発明方法を採用したと言っても新たな設備投資の必要は
なく、従来の二重巻き締め方法に使用してきた装置類を
若干の手直しをするだけでそのまま使用できる利点があ
る。
【0020】本発明によれば封止が完全であるばかりで
なく、ケース本体と蓋材をそれぞれ異なる電極として使
用可能となるため、蓋材としては、従来蓋材の狭い空間
に設けられていた電極と巻き締め部の間に設けられてい
た絶縁部を設ける必要がなくなり、蓋材の製造、管理が
容易となる上、狭い蓋材面を短絡の危険がなく有利に使
用できることとなる。
【0021】
【実施例】電池ケース本体1および電池蓋2は表1に示
す材料を用い、電池蓋2は従来の電池の形状に合わせて
プレスにより成形した。巻き締め部5の板厚はケース本
体1の胴体部が0.3mm、電池蓋2が0.2mmとし
た。集電体は一つは缶底部に、他は電池蓋2の電極部
(電極端子)3の凹部に嵌合させ、また絶縁体6として
厚さ0.07mmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレー
トフィルム6を用い、DI缶内部には5mm、巻き締め
部外部も5mmはみ出すように挟み込んだ。巻き締め部
のサイズは巻き締め高さ2.8mm、巻き締め幅1.5
mmである。
【0022】
【表1】
【0023】電池のサイズは、直径40mmφ、高さ
(H)を125mmとした。正極にはリチウムコバルト
複合酸化物(LixCoO2 )電極を、負極には黒鉛
電極を使用した。この正極と負極とセパレータとを渦巻
状に巻回してなる電極を電池ケースに収納した。電解液
には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートと
を1:1の体積比で混合した溶媒に、六フッ化燐酸リチ
ウムを1モル/リットル溶解させたものを用いた。正極
板,負極板,電解液を電池ケースに挿入した後、ケース
本体と蓋材の巻き締め部を巻き締めし、封止密閉して電
池とし、500個製造した。
【0024】上記で製造した電池を100個ずつに分
け、それぞれを40℃の恒温槽(30日間)、トラック
の荷台(東京、大阪を3往復)、乗用車の運転席(30
日間通勤に使用)、屋根の上(9月〜10月の1月
間)、−25℃の冷凍庫(1日)と40℃の恒温槽(1
日)を5往復を行った。いずれの場合においても液漏れ
は1個も認められなかった。
【0025】
【発明の効果】本発明の電気機器用ケースは、従来蓋材
が巻き締め部、絶縁部、電極部の3部分の構成であった
のを、蓋材とケース本体の間に絶縁体を挟み込み、両者
を電気的に絶縁させることにより蓋材を一体に成形する
ことが可能ととしたものであって、この結果ケース全体
のコストの大きな部分を占めていた蓋材のコストを大幅
に削減できるとともに、従来問題のあった封止部の加工
コストが安く、生産性高くかつ長期信頼性があり、封止
速度が速く生産性が高い封止ができる電気機器用ケース
が提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の電池ケースの断面図。 (b)巻き締め部の拡大断面図。
【図2】(a)従来の電池ケースの断面図 (b)蓋材における絶縁体周辺(図2(a)のa−a)
の断面図。 (c)巻き締め部(図2の(a)のb−b)の拡大断面
図。
【符号の説明】
1 ケース本体(電池容器) 2 電池蓋 3 電極端子 4 絶縁部 5 電池封口部 6 絶縁体フィルム

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解液を含む構成要素を収納するための
    電気機器用のケースであって、ケース本体および蓋材の
    間に絶縁体をはさみ、両者を電気的に絶縁した状態で二
    重巻き締めにより密封した電気機器用ケース。
  2. 【請求項2】 電解液を含む構成要素を収納するための
    電気機器用のケースであって、内外面を樹脂コーティン
    グしたケース本体および蓋材の間に絶縁体をはさみ、両
    者を電気的に絶縁した状態で二重巻き締めにより密封し
    た電気機器用ケース。
  3. 【請求項3】 ケース本体がアルミニウム製DI缶であ
    る請求項1または2に記載の電気機器用ケース。
  4. 【請求項4】 電気機器が二次蓄電池または電解コンデ
    ンサーである請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気
    機器用ケース。
  5. 【請求項5】 ケース本体を一方の極とし、蓋材を他方
    の極とした請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気機
    器用ケース。
  6. 【請求項6】 蓋材が電気的に一体構造とした請求項1
    〜5のいずれか1項に記載の電気機器用ケース。
  7. 【請求項7】 絶縁体がポリイミド、ポリアミド、ポリ
    エステル、ポリプロピレンのいずれか1種のフィルムで
    ある請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気機器用ケ
    ース。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電
    気機器用ケースを用いたリチウムイオン二次蓄電池また
    はニッケル水素二次蓄電池。
  9. 【請求項9】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電
    気機器用ケースを用いたコンデンサ。
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