JP2002339023A - 有価金属の回収方法 - Google Patents

有価金属の回収方法

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JP2002339023A
JP2002339023A JP2001175347A JP2001175347A JP2002339023A JP 2002339023 A JP2002339023 A JP 2002339023A JP 2001175347 A JP2001175347 A JP 2001175347A JP 2001175347 A JP2001175347 A JP 2001175347A JP 2002339023 A JP2002339023 A JP 2002339023A
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slag
metal
recovered
carbon
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Kiyotaka Yasuda
清隆 安田
Minoru Sakai
実 酒井
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Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
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    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/84Recycling of batteries or fuel cells

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  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有価金属を含む有価物とスラグとの混合物か
ら有価物を分離回収する方法を提供する。 【解決手段】 有価金属とスラグの溶融混合物に酸化硼
素等のフラックスを添加し、有価金属とスラグを液−液
分離して有価金属を回収する。高温でしか行えなかった
有価金属とスラグの分離をフラックス添加により比較的
低温でかつ高効率で行うことが可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スラグを含む有価
金属から該有価金属を高純度で簡便かつ安価に回収する
方法、及び廃ニッケル−水素二次電池からニッケル、コ
バルト及び希土類金属等の有価金属を回収する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】廃ニッケル−水素二次電池から有価金属
であるニッケル、コバルト及び希土類金属等を回収する
方法として、廃ニッケル−水素二次電池を破砕、解砕、
篩分し、粗粒部(プラスチック、鉄、発泡ニッケル等)
と、細粒部(水酸化ニッケル、水素吸蔵合金)とに分離
し、細粒部をアルカリ金属を含んだ硫酸で溶解し、コバ
ルト含有ニッケル溶解液から不純物を除去した後、電解
処理して金属ニッケル及びニッケル−コバルト合金を回
収する方法が提案されている(特開平9−82371号公
報)。しかしこの方法は、ニッケル等の有価金属の回収
工程が極めて複雑であるという問題がある。
【0003】有価金属含有廃材からの有価金属回収で
は、単に回収効率を上げることや前述した回収工程を複
雑にしないこと以外に、回収される有価金属中の炭素含
有量を少なくすることを考慮する必要があり、これによ
り回収有価金属の用途が広くなるという利点がある。回
収後に低炭素化を行っても良いが工程の追加は時間的及
びコスト的に望ましくない。従って例えば特開2000−67
935公報では、廃ニッケル−水素二次電池を破砕、解
砕、篩分し、有価物を回収する有価物分別処理工程と、
該有価物を酸化雰囲気中で加熱する酸化処理工程と、還
元雰囲気中で加熱溶融して溶融金属とする還元−溶融工
程特許から成る廃ニッケル−水素二次電池からの有価物
の回収方法が開示され、前記酸化処理工程で含有炭素を
酸化により除去することが試みられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この方法では、高温で
行われる酸化処理工程で確かに有価物中の炭素含有量は
低減するが、同時に有価金属であるニッケル、コバルト
及希土類金属等が酸化されるため、効率的な有価金属の
回収方法とはいい難い。このように従来の有価金属の回
収方法では、廃ニッケル−水素二次電池等の有価金属含
有廃材に含まれる炭素が回収後の有価金属中に残存し、
又この残存炭素量を低減すると、得られる有価金属が酸
化されてしまい、所望の有価金属が得られなくなるとい
う欠点がある。又このようにして得られる有価金属から
炭素が除去できても、該有価金属は廃材起因のスラグを
含んでいることが多く、このスラグは簡単な分離操作で
は除去できず、回収された有価金属の再利用の大きな障
害となっている。本発明は、このような従来技術の欠点
を解消し、有価金属をスラグから分離して再利用が行い
易い状態で回収できる方法を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明方法は、有価金属
とスラグの溶融混合物とフラックスを加熱処理し、有価
金属とスラグを液−液分離して有価金属を回収すること
を特徴とする有価金属の回収方法であり、又スラグを含
む有価金属含有廃材からスラグを含む有価物を回収する
工程と、回収した有価物を非酸化性雰囲気で加熱して炭
素を除去する脱炭素工程と、脱炭素したスラグを含む有
価物を溶融しかつフラックスを添加し、有価金属とスラ
グを液−液分離して有価金属を回収する工程を含んで成
ることを特徴とする有価金属の回収方法である。
【0006】以下本発明を詳細に説明する。本発明方法
は、有価金属とスラグの混合物から有価金属を効率良く
除去する方法(以下第1発明ということがある)、及び
このスラグ除去を有価金属含有廃材からの有価金属回収
に適用した方法(以下第2発明ということがある)であ
る。なお本発明で有価物とは回収すべき有価金属を含む
組成物を意味し、場合によっては回収された有価金属を
意味することもある。第1発明の対象となる有価金属含
有廃材としては、廃ニッケル−水素二次電池の他に廃ニ
ッケル−カドミウム電池及び廃リチウムイオン電池等が
あり、第2発明ではその対象は廃材からの有価物に限定
されず、通常の製錬工程におけるスラグを含有する金属
類等を含む。
【0007】次に本発明方法を、廃ニッケル−水素二次
電池等の電池廃材に適用した例を図面に基づいて説明す
る。図1は廃ニッケル−水素二次電池からの有価金属回
収に適用した第2発明方法の実施態様を示すフローチャ
ートである。第2発明方法の第1段階である有価物回収
工程は、従来方法と同様に行えば良く、図示の通り有価
金属含有廃材が廃ニッケル−水素二次電池の場合は、例
えば該電池を剪断破砕機を用いて破砕し、解砕機を用い
て湿式法で解砕を行い、篩等で分級する。篩の上に残っ
た非分級物を磁力選別してプラスチック、紙等の非着磁
物を除去した後、微量のプラスチック及び紙等を燃焼し
除去する。
【0008】この他に例えば電池の極板に発泡ニッケル
を使用している場合は、極板をそのまま水素還元して又
は不活性ガス雰囲気中で加熱処理して有価物を回収して
も良い。このようにして得られる有価物は、有価金属含
有廃材が廃ニッケル−水素二次電池の場合、主としてニ
ッケル等の正極主体回収物及び水素吸蔵合金等の負極主
体回収物を含み、この他に有機バインダーと所定量の炭
素が含まれる。次いでこれらの物理的に分別された有価
物を、非酸化性雰囲気中で加熱処理し、有価物中に含ま
れる炭素を酸化して少なくともその一部を除去する(脱
炭素工程)。
【0009】非酸化性雰囲気とは、加熱により、実質的
に金属や合金を酸化することなく炭素を還元等により除
去できる雰囲気を意味し、不活性ガス雰囲気、水素ガス
雰囲気、水蒸気雰囲気、不活性ガス−水蒸気雰囲気及び
不活性ガス−水蒸気−水素ガス雰囲気から選択される。
不活性ガスには、アルゴン、窒素及びヘリウム等が含ま
れ、非酸化性雰囲気としては還元雰囲気である水素ガス
雰囲気が特に好ましい。脱炭素工程における加熱条件
は、好ましくは350〜1050℃で5分〜10時間、より好ま
しくは400〜750℃で30分〜5時間である。加熱温度が35
0℃未満であると有価物中に含まれる金属化合物例えば
水酸化ニッケルの縮合脱水分解が起こらず、かつ反応速
度も遅く回収率が低くなる。又加熱温度が1050℃を超え
ても処理効率が著しく向上する訳ではなく、金属回収の
エネルギー効率が低下する。
【0010】不活性ガス雰囲気下での加熱処理により、
回収された有価物中に含まれる酸素、水素及び水蒸気が
還元的又は酸化的に少なくとも一部の炭素の除去に寄与
すると同時に、劣化金属酸化物の一部が金属に還元され
る。水素ガス雰囲気では有価物中の少なくとも一部の炭
素が水素により還元されて低級炭化水素等に転化され有
価物から除去される。更に水蒸気雰囲気では、有価物中
の少なくとも一部の炭素が水蒸気による変性を受け、又
は水蒸気で還元されて有価物中から除去される。これに
よりミッシュメタル(Mm)等の酸化され易い金属を実
質的に酸化させることなく、該廃材中に含まれる少なく
とも一部の炭素を除去できる。
【0011】このように脱炭素工程を行うことにより、
実質的に酸化反応を伴わず、比較的低温で有価物中の炭
素を1000ppm(0.1重量%)以下、条件に依っては100ppm
(0.01重量%)以下に低減することができる。実際の操
業では通常廃材からのスラグが回収有価金属中に含ま
れ、有価金属とスラグの混合物として得られる。次いで
脱炭素工程における加熱に引き続いて又は一旦加熱を停
止した後に、回収した有価金属の加熱を行って溶融金属
とする(溶融工程)。溶融工程における加熱雰囲気と有
価金属の酸化を抑制するために、アルゴン中等の不活性
ガス雰囲気が好ましい。この溶融工程は必須工程ではな
く、脱炭素工程に続いて後述のスラグ除去を行っても良
い。
【0012】本願の第1発明では、このようにして得ら
れた有価金属とスラグの混合物に、又本願の第2発明で
は、このようにして得られた又は別に得られた有価金属
とスラグの混合物にフラックスを添加する。なお第2発
明では、溶融後にフラックスを添加する態様に限定され
ず、フラックスを有価金属とスラグの混合物に添加し、
その後に溶融しても良い。フラックスは溶融有価金属を
溶融スラグから分離する機能を有し、好ましくは前記有
価金属の融点近傍で融解する金属化合物、通常は金属酸
化物から選択され、例えば酸化硼素(B23)、酸化硼
素+酸化カルシウム(CaO)、酸化硼素+酸化マグネ
シウム(MgO)あるいは酸化硼素+酸化リチウム(L
iO)が使用できる。フラックスの使用量は、有価物と
スラグの総量に対して、5〜100重量%、好ましくは10
〜50重量%とする。加熱溶融状態を維持すると、有価金
属とスラグの混合物が、比重の大きい溶融金属と比重の
小さい溶融スラグに液−液分離し、比較的容易に高純度
の有価金属を回収できる。
【0013】例えばミッシュメタル酸化物(MmOx)
を含む有価物からスラグを分離回収する場合、ミッシュ
メタル酸化物の融点、例えば酸化ランタンの融点が2310
℃であり通常はこの温度まで加熱しないと有価金属の分
離は不可能であるが、酸化硼素を添加してミッシュメタ
ルをMmOx−B23に変換することで、その融点を13
00℃近傍まで低下させ、この温度近辺まで加熱すること
で液−液分離が可能になる。そして酸化硼素をフラック
スとして用いてミッシュメタルを含む有価物から有価金
属の回収を行う場合には、ミッシュメタルは前述の通り
MmOx−B23に変換されてスラグ中に取り込まれて
有価金属として回収できず、ミッシュメタル以外の金属
が有価金属として回収される。有価金属の回収という観
点からは酸化硼素を単独で使用することが望ましいが、
該酸化硼素の活量が比較的大きく、条件に依ってはMm
+B23→MmOx+Bの反応が起こり、この遊離した
硼素(B)が回収有価金属中に不純物として混入するこ
とがある。このような場合に、使用するフラックスを酸
化硼素+酸化カルシウムとして酸化硼素の活量を小さく
すると、硼素の遊離が抑制され、有価金属中への硼素の
混入を防止できる。
【0014】以上述べたように、第1発明では廃ニッケ
ル−水素二次電池等の廃材を使用して、有価物回収工程
−脱炭素工程−溶融工程−有価金属回収工程を経て、前
記廃材中のミッシュメタル以外の金属を回収できる。第
2発明では、金属とスラグの混合物を使用して、有価金
属回収工程でミッシュメタルを除く金属とスラグ同時に
分離して有価金属を回収できる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明に係わる有価金属の回収方
法の実施例を記載するが、本発明は該実施態様に限定さ
れるものではない。
【0016】
【実施例】次に本発明方法を実施例に基づきより具体的
に説明する。 (有価物回収工程)廃ニッケル−水素電池を剪断破砕機
(ドイツのAlpine A.G.製のRotoplex Cutting Mil
l)を用いて、乾式の破砕を行った。次いで解砕機(Att
riction Machine)を用いて、湿式法で解砕を行い、水
洗によりプラスチック、紙などを除去し、その後篩(28
メッシュ)で分級した。この分級物は負極の水素吸蔵合
金が濃縮した負極主体の回収物であった。篩上の非分級
物を2000〜3000ガウスで磁力選別して負極Fe基板を除
去した。Fe基板が除去された正極主体の混合物を振動
ミル(川崎重工業株式会社製「T−100型」を用いて粉砕
し、篩(24メッシュ)で分級することにより、基板の発
泡Niと正極活物質の水酸化ニッケルを主体とした正極
主体とした正極主体回収物を得た。
【0017】一方解砕機で湿式解砕及び分級により得ら
れた28メッシュ篩下の分級物にも、電池の活物質である
ニッケル−水素及び水酸化ニッケル等の有価物が濃縮さ
れていた。このようにして得られた有価物を負極主体回
収物及び正極主体回収物に大別し、更に両者を混合して
正負極混合物を調製した。
【0018】(脱炭素工程)次いでこのようにして得ら
れた負極主体回収物(実施例1〜13)、正極主体回収物
(実施例14〜26)及び正負極混合物(実施例27〜32)の
それぞれについて脱炭素工程及び溶融工程を行い、得ら
れた有価金属中の炭素量及び酸素量を測定した。なおこ
れらの実施例では、溶融金属中に5〜25重量%程度のス
ラグが含まれるが、スラグを除去した測定値を記載し
た。
【0019】実施例1 有価物回収工程で得られた負極主体回収物(炭素含有
量:1.27重量%及び酸素含有量6.5重量%)3gを雰囲
気中にアルゴンガスを200cc/分で流しながら400℃で1
時間脱炭素処理を行った(脱炭素工程)。得られた溶融
金属中の炭素含有量及び酸素含有量はそれぞれ0.93重量
%及び6.5重量%に減少した。この結果を表1に示し
た。
【0020】実施例2〜7 実施例1と同じ組成の負極主体回収物を、表1に示す温
度及び加熱時間で、かつ雰囲気ガスを流しながら脱炭素
処理を行い、更に実施例1と同様の条件で加熱溶融を行
った。処理により得られた溶融金属中の炭素含有量及び
酸素含有量を表1に示した。なお水素ガス雰囲気での試
験の場合は、脱炭素工程における所定の反応時間終了
後、気流ガスをアルゴンガスに置換した後、冷却した。
又表中のAr(H2O)は水蒸気で飽和したアルゴンガスを示
す。
【0021】実施例8〜13 実施例1と同じ組成の負極主体回収物を、表1に示す温
度及び加熱時間で、かつ雰囲気ガスを流し更に前記負極
主体回収物を回転(攪拌)させながら脱炭素処理を行
い、次いで実施例1と同様の条件で加熱溶融を行った。
処理により得られた溶融金属中の炭素含有量及び酸素含
有量を表1に示した。
【0022】実施例1〜13の考察 実施例1〜13の実験結果から、脱炭素工程を行うことに
より、全ての実施例で炭素含有量及び酸素含有量が減少
したことが分かる。これは有価金属中の炭素の一部が除
去されたこと及び廃ニッケル−水素二次電池中の酸化さ
れたニッケル、コバルト、マンガンなどの酸素が還元さ
れ、又正極の水酸化ニッケルも脱水分解して酸化ニッケ
ルとなった後、更に水素によって金属まで還元されたこ
とを示している。炭素の減少量は他の条件が同じであれ
ば温度上昇に伴って増加し(実施例4と5は除く)、又
雰囲気が不活性ガス雰囲気から水素ガス雰囲気又は水蒸
気雰囲気に変化すると、炭素の減少量が増加した。回転
させずに脱炭素工程を行った場合、炭素は0.04重量%ま
で減少した。又水素ガス雰囲気中で回転させながら1000
℃で処理を行うことにより、炭素を0.01重量%まで減少
させることができた。
【0023】脱炭素工程の反応の律速段階は分子間衝突
であり、処理対象の負極主体回収物を回転又は攪拌する
ことにより、炭素減少が促進されることが分かった。又
実施例4及び5の脱炭素工程を水蒸気雰囲気で行った場
合の炭素含有量は0.04〜0.05重量%まで減少した。炭素
減少の観点からは十分な結果であり、危険な水素ガスの
代わりに水蒸気を使用しても所望の炭素減少が得られ
た。しかし実施例4及び5を含め回転を行わない実施例
(実施例1〜7)では、酸素含有量が約4重量%までし
か減少せず、特に前記実施例4及び5では酸素含有量は
原料と同じ6重量%台で、酸素減少が不十分であった。
【0024】
【表1】
【0025】実施例14 有価物回収工程で得られた正極主体回収物(炭素含有
量:0.54重量%及び酸素含有量22.5重量%)3gを雰囲
気中にアルゴンガスを200cc/分で流しながら400℃で1
時間脱炭素処理を行い(脱炭素工程)、更にアルゴン雰
囲気中、1400℃で1時間加熱溶融して溶媒金属として回
収した。得られた溶融金属中の炭素含有量及び酸素含有
量はそれぞれ0.22重量%及び18.0重量%に減少した。こ
の結果を表2に示した。
【0026】実施例15〜20 実施例14と同じ組成の正極主体回収物を、表2に示す温
度及び加熱時間で、かつ雰囲気ガスを流しながら脱炭素
処理を行い、更に実施例14と同様の条件で加熱溶融を行
った。処理により得られた溶融金属中の炭素含有量及び
酸素含有量を表2に示した。なお水素ガス雰囲気での試
験の場合は、脱炭素工程における所定の反応時間終了
後、気流ガスをアルゴンガスに置換した後、冷却した。
【0027】実施例21〜26 実施例14と同じ組成の負極主体回収物を、表2に示す温
度及び加熱時間で、かつ雰囲気ガスを流し更に前記負極
主体回収物を回転(攪拌)させながら脱炭素処理を行
い、次いで実施例14と同様の条件で加熱溶融を行った。
処理により得られた溶融金属中の炭素含有量及び酸素含
有量を表2に示した。
【0028】実施例14〜26の考察 実施例14〜26の実験結果から、実施例1〜13の実験結果
と同様に、脱炭素工程を行うことにより、全ての実施例
で炭素含有量及び酸素含有量が減少したことが分かる。
これは有価金属中の炭素の一部が除去されたこと及び廃
ニッケル−水素二次電池中の酸化されたニッケル、コバ
ルト、マンガンなどの酸素が還元され、又正極の水酸化
ニッケルも脱水分解して酸化ニッケルとなった後、更に
水素によって金属まで還元されたことを示している。炭
素の減少量は他の条件が同じであれば温度上昇に伴って
増加し(実施例25と26は除く)、又雰囲気が不活性ガス
雰囲気から水素ガス雰囲気又は水蒸気雰囲気に変化する
と、炭素の減少量が増加した。
【0029】負極主体回収物の場合と異なり、回転させ
ずに脱炭素工程を行っても、炭素量は0.01重量%まで
減少した。これは当初の炭素含有量が小さいからである
と考えられる。回転による脱炭素効果は一定せず、顕著
な効果は現れなかった。水素ガス雰囲気での脱炭素工程
により0.01〜0.02重量%のオーダーまで炭素含有量を減
少させることができた。酸素含有量は同じ条件下では温
度上昇(実施例17及び18を除く)に伴って増加し、実施
例26では0.63重量%まで減少した。
【0030】
【表2】
【0031】実施例27 有価物回収工程で得られた負極主体回収物と正極主体回
収物の混合物(炭素含有量:0.91重量%及び酸素含有量
16.2重量%)3gを雰囲気中にアルゴンガスを200cc/
分で流しながら300℃で1時間脱炭素処理を行い(脱炭素
工程)、更にアルゴン雰囲気中、1400℃で1時間加熱溶
融して溶媒金属として回収した。得られた溶融金属中の
炭素含有量及び酸素含有量はそれぞれ0.88重量%及び1
1.2重量%に減少した。この結果を表3に示した。
【0032】実施例28〜32 実施例27と同じ組成の混合物を、表3に示す温度及び加
熱時間で、かつ雰囲気ガスとして水素を200cc/分で流
しながら脱炭素処理を行い、気流ガスをアルゴンガスに
置換した後、冷却した。更に実施例1と同様の条件で加
熱溶融を行った。処理により得られた溶融金属中の炭素
含有量及び酸素含有量を表3に示した。
【0033】実施例27〜32の考察 実施例27〜32の実験結果から、脱炭素工程を行うことに
より、全ての実施例で炭素含有量及び酸素含有量が減少
したことが分かる。特に水素ガス雰囲気下(実施例32)
で炭素量が0.01重量%まで、酸素量が1.1重量%まで減
少した。これは有価金属中の炭素の一部が除去されたこ
と及び廃ニッケル−水素二次電池中の酸化されたニッケ
ル、コバルト、マンガンなどの酸素が還元され、又正極
の水酸化ニッケルも脱水分解して酸化ニッケルとなった
後、更に水素によって金属まで還元されたことを示して
いる。前記炭素除去は、加熱脱水分解によって発生する
水蒸気が有効に作用していると推測される。更にこれら
の結果から、電池廃材からの有価金属の回収では手間を
掛けて正極主体回収物と負極主体回収物に分離せずに、
それらの混合物を脱炭素工程で処理しても有価物中の炭
素量を大きく減少させられることがわかった。
【0034】
【表3】
【0035】(有価金属回収工程)次いでこのようにし
て得られた有価物(組成は、ニッケル+コバルトが約60
重量%、ミッシュメタルが約33重量%及びマンガン+ア
ルミニウムが約7重量%)とスラグの混合物、又は市販
金属から調製した同じ組成の有価物とスラグの混合物を
使用して該混合物中のニッケル及びコバルトの回収を行
った。
【0036】実施例33 実施例1で得られた有価物とスラグの混合物10gに酸化
硼素5gを添加し、アルゴン雰囲気に維持された反応容
器中で1300℃に加熱し30分間反応させた。これにより、
容器内に、溶融スラグの上層と溶融金属の下層の2層が
現れ、デカンテーションで上層と下層に分離した。得ら
れた有価金属は6.1gであり、上層として透明スラグが
1.0g、その他スラグが0.3g得られた。なお有価金属は
可能な限り回収するよう努めたが、スラグは本来不要で
あり、分析用として回収したもので、かなりの量のスラ
グを回収しなかった。本実施例の実験条件及び回収金属
及び回収スラグ量を表4に纏めた。次に回収した有価金
属の組成を分析したところ、ニッケル+コバルト+マン
ガンの総量が97重量%(総量中の個別の組成は、ニッケ
ル86重量%、コバルト8.4重量%、マンガン5.4重量
%)、硼素3重量%、未同定炭素又は炭素化合物0.57重
量%、及び未同定酸素化合物0.02重量%であった。この
分析結果を表5に纏めた。なお表4及び5で、「−」の
表示はスラグの回収及び分析を行わなかったことを示
す。
【0037】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】実施例34〜44 表4で示した条件で実施例33と同様にして有価物とスラ
グの混合物から有価金属を回収した。その結果を表4及
び5に示した。
【0040】比較例1及び2 表4で示した条件で、フラックスを使用せずに実施例33
と同様にして有価物とスラグの混合物から有価金属を回
収した。その結果を表4及び5に示した。
【0041】実施例33〜44及び比較例1及び2の考察 前述した通り、廃材から得られる有価物中の金属組成
は、ニッケル+コバルトが約60重量%、ミッシュメタル
が約33重量%及びマンガン+アルミニウムが約7重量%
であり、ミッシュメタルが回収できないことを考慮する
と理論回収量は60〜65重量%程度である。実施例33で明
らかなように、回収スラグ中には殆どのミッシュメタル
が混入する以外は、ニッケル等の他の金属は混入せず、
溶融有価金属としてその殆どが回収される。その回収量
は負極10g当たり5.6〜6.7gで、ほぼ理論量に等しく、
フラックス添加による有価金属回収工程を経ることによ
り、ほぼ定量的に有価金属が回収できた。
【0042】実施例45〜52及び比較例3 表6に示した実験条件で、実施例33と同様にして有価物
とスラグの混合物に酸化硼素を添加し(又は添加せ
ず)、アルゴン雰囲気に維持された反応容器中で加熱し
反応させたところ、表6に示す収量で有価金属、透明ス
ラグ及びその他スラグが得られた。更に得られた有価金
属、透明スラグ及びその他スラグをICP分析して、表
7に示す結果が得られた。
【0043】
【表6】
【0044】
【表7】
【0045】実施例53〜63及び比較例4及び5 表8に示した実験条件で、実施例33と同様にして有価物
とスラグの混合物に酸化硼素を添加し(又は添加せず
に)、アルゴン雰囲気に維持された反応容器中で加熱し
反応させたところ、表8に示す収量で有価金属、透明ス
ラグ及びその他スラグが得られた。
【0046】
【表8】
【0047】
【発明の効果】本発明は、有価金属とスラグの溶融混合
物とフラックスを加熱処理し、有価金属とスラグを液−
液分離して有価金属を回収することを特徴とする有価金
属の回収方法(請求項1)である。有価金属とスラグの
溶融混合物は従来の手法では分離することが困難で、特
に有価金属の融点が高い場合にはその融点まで混合物を
加熱することにより分離の可能性が生じる。
【0048】本発明により、酸化硼素(請求項2)や酸
化硼素+酸化カルシウム(請求項3)のようなフラック
スを添加しかつ加熱すると、比重の大きい溶融金属と比
重の小さい溶融スラグに液−液分離し、比較的容易に高
純度の有価金属をスラグから分離回収できる。これは添
加したフラックスにより有価金属又は有価金属中に含ま
れることが多いミッシュメタルの融解がより低温で起こ
り易くなるからであると推測できる。前述の酸化硼素は
好ましいフラックスであるが、硼素の遊離を誘起し遊離
した硼素は回収有価金属中に不純物として混入すること
がある。これを防止するためには、酸化硼素に酸化カル
シウムを添加すると、酸化硼素の活量が小さくなり、硼
素の遊離、従って硼素の回収有価金属への混入が抑制で
きる。
【0049】又本発明方法は、スラグを含む有価金属含
有廃材からスラグを含む有価物を回収する工程と、回収
した有価物を非酸化性雰囲気で加熱して炭素を除去する
脱炭素工程と、脱炭素したスラグを含む有価物を溶融し
かつフラックスを添加し、有価金属とスラグを液−液分
離して有価金属を回収する工程を含んで成ることを特徴
とする有価金属の回収方法(請求項4)であり、該方法
は比較的高濃度の炭素を含有する廃ニッケル−水素二次
電池等に好ましく適用できる。この方法では、スラグを
含む原料廃材を第2工程の脱炭素工程で処理すると、有
価金属を酸化することなく、炭素量を低減できる。この
ようにして得られた有価金属を含む有価物はスラグとの
混合物として存在することが多く、該混合物中の有価金
属をスラグから分離回収するために、前述した請求項1
で述べた方法が使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を廃ニッケル−水素二次電池からの
有価金属回収に適用した実施態様を示すフローチャー
ト。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22B 7/04 H01M 6/52 H01M 6/52 C22B 23/06 // C22B 23/06 B09B 5/00 ZABA Fターム(参考) 4D004 AA23 CA04 CA07 CA09 CA10 CA24 CB13 4K001 AA07 AA19 BA12 BA22 CA01 CA03 CA04 CA06 DA01 DA10 KA07 KA13 5H025 AA08 BB00 BB01 BB18 CC01 MM10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有価金属とスラグの溶融混合物とフラッ
    クスを加熱処理し、有価金属とスラグを液−液分離して
    有価金属を回収することを特徴とする有価金属の回収方
    法。
  2. 【請求項2】 フラックスが酸化硼素である請求項1に
    記載の有価金属の回収方法。
  3. 【請求項3】 フラックスが酸化硼素−酸化カルシウム
    である請求項1に記載の有価金属の回収方法。
  4. 【請求項4】 スラグを含む有価金属含有廃材からスラ
    グを含む有価物を回収する工程と、回収した有価物を非
    酸化性雰囲気で加熱して炭素を除去する脱炭素工程と、
    脱炭素したスラグを含む有価物にフラックスを添加し、
    有価金属とスラグを液−液分離して有価金属を回収する
    工程を含んで成ることを特徴とする有価金属の回収方
    法。
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