JP2002339014A - 極低硫鋼の製造方法 - Google Patents
極低硫鋼の製造方法Info
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Abstract
技術やフラックスインジエクション及びRH技術を用い
ることなく、炭素鋼の[S]≦0.0020質量%の極
低硫鋼を製造する。 【解決手段】転炉で脱炭精錬した溶鋼を、VOD処理用
の取鍋に受鋼し、溶鋼中の[S]に応じて脱硫に必要な
組成、スラグ量を満たすようCaO及びAl2O3を投入
し真空中にて底吹き不活性ガス吹き込みによりスラグ−
メタルの撹拌を実施して脱硫を行う。Al2O3源の一部
もしくは全量に代え金属Alを溶鋼中に投入し、送酸に
より燃焼させ、溶鋼の昇熱に利用してもよい。
Description
る真空下で溶鋼とスラグを強撹拌可能な精錬設備を用い
て炭素鋼の極低硫鋼を製造する技術に関する。
率:[S]≦0.0020質量%)を製造する技術とし
ては、ソーダ灰もしくはMg系脱硫剤、石灰系脱硫剤等
を用いて、強力な脱硫を行った脱硫溶銑を対象とし、こ
れを転炉で脱炭精錬した後、二次精錬過程において、 1.電気エネルギーによる昇熱とスラグ精錬を行うLF
(レードル・ファーネス)設備を用いる技術 2.フラックスインジエクション設備を用いる技術 3.RH法での脱硫剤を吹き付ける技術 等が挙げられる。
では、電気を用いたアーク加熱を行うので電力原単位が
高くなるという問題点があると共に、撹拌はポーラスプ
ラグを通してのArバブリングに依存しており、減圧処
理を行わないので、RH脱ガス等の他の二次精錬処理と
組み合わせる必要があり、ハンドリングが複雑になると
いう問題点がある。また、アーク加熱時にスラグによる
取鍋耐火物が溶損する問題もあった。一方、従来のフラ
ックスインジエクション及びRHでの脱硫剤吹き付けで
は、溶鋼とスラグの撹拌力が弱い上に溶鋼の加熱設備が
ないために、短時間で処理を完了する必要から、スラグ
の滓化を促進する必要がある。そのためには今後厳しく
規制されるフッ素(CaF2;ホタル石)を混合した脱
硫剤を使用しなければならず、スラグの処理方法が未解
決という問題点があった。
程で、かつ、フッ素を使用することなく、炭素鋼の極低
硫鋼([S]≦0.0020質量%)を安定的に溶製す
る技術を提供することを目的とする。
を解決するために、ステンレス鋼の精錬に一般的に用い
られているVODの如き真空精錬設備の強力なスラグ−
メタル間の撹拌能力に注目した。すなわちステンレス鋼
の精錬においては、Crの酸化とCの酸化という競合反
応を、優先脱炭側に制御するために、不活性ガスによる
希釈脱炭もしくは真空中での送酸脱炭を行うと共に、酸
化反応によって生成し、スラグ中にとり込まれたCr酸
化物をスラグ−メタル間の撹拌を強力に行うことによっ
て再度、溶鋼側に還元移行させる操業が行われている。
使用されていた、上述の真空精錬設備を炭素鋼の極低硫
鋼の精錬に利用することに想到し、特にフッ素を使用せ
ずに[S]含有量が20ppm以下の極低硫鋼を製造す
る方法を完成させた。
溶鋼を、取鍋に受鋼し、その溶鋼中の[S]に応じて脱
硫に必要な組成及びスラグ量を満たす量のCaO及びA
l2O3を投入し、真空中にて該取鍋の底から溶鋼中に不
活性ガスを吹き込み、スラグ−メタルの撹拌を行って、
[S]≦0.0020質量%まで脱硫することを特徴と
する極低硫鋼の製造方法を提供するものである。
代えてこれに対応する量(すなわち燃焼して生成するA
l2O3量が前記のAl2O3源の一部もしくは全量と等し
くなる量)の金属Alを溶鋼中に投入し、送酸により燃
焼させ、溶鋼の昇熱に利用するようにすると溶鋼の温度
保持を適切に達成することができ好ましい。
して[(%CaO)/(%SiO2)]/(%Al
2O3)という指標を用いてその指標の範囲を0.15〜
0.3とし、(%CaO)/(%Al2O3)≧1.0と
し、かつ、(%Al2O3)≧20%となるよう調整し、
スラグ量に関してはCaOとAl2O3合計で、脱硫処理
前の溶鋼中[S](質量%)×600kg/tを確保す
るようにすれば好適な精錬を行うことができる。
撹拌を、溶鋼に与える撹拌動力密度を100(W/t)
以上として行うことが好ましい。真空下でのガス吹込み
による溶鋼の撹拌の際の撹拌動力密度は真空度を考慮し
た下記の森・佐野の式で表される攪拌動力密度εで評価
する。
て説明する。図1は、MgOを10質量%含有する条件
下でのスラグの組成範囲を示すCaO−SiO2−Al2
O3擬三元組成図である。ここでMgOを10質量%含
有する条件としたのは、MgOは耐火物保護の観点か
ら、スラグ中に10%前後含有させるためである。図1
中に示されている組成範囲1は、 [(%CaO)/(%SiO2)]/(%Al2O3)=
0.15〜0.3 (%CaO)/(%Al2O3)≧1.0 (%Al2O3)≧20% を充足する範囲である。この範囲が適切である理由を以
下に説明する。
O2)]/(%Al2O3)と言う指標を横軸とし、S分
配比を縦軸にとってその関係を示す曲線2を描いたグラ
フである。この指標範囲を0.15〜0.3の適正範囲
3とすることによって、フッ素なしでの最大のS分配比
を得ることができることを示している。0.15〜0.
3の範囲外ではS分配比が小さくなり、LFやRH処理
並かそれ以下のS分配比しか得られないのでこの範囲に
限定した。
脱硫率との関係を示すグラフである。脱硫率の分布4が
高い領域が適正範囲5である。(%CaO)/(%Al
2O3)≧1.0とすることによって、LFやRH処理で
の脱硫率(通常50〜60%程度)よりも高い脱硫率が
得られる。またAl2O3はスラグを反応性の高い液相状
態に保つために必要であって、Al2O3を20質量%以
上確保することによって、蛍石なしでスラグの液相率が
確保可能となった。従って、Al2O3を20質量%以上
の範囲に限定した。
率およびS分配比を有するスラグを用いて溶鋼中[S]
を0.0020質量%以下とするために必要なスラグ量
について種々の条件での実験データによって検討した。
その結果、VODにおける脱硫処理前の溶鋼中の[S]
濃度に対して、スラグ全体の原単位ではなく、スラグに
含まれるCaOとAl2O3の合計量を所定量以上確保す
ることが必要であることを見出した。この関係を図4に
示す。処理後[S]が0.0020質量%以下を達成で
きた領域と達成できなかった領域の境界はほぼ直線で表
わすことができ、(CaO+Al2O3)原単位=600
[S](但し、[S]は脱硫処理前の溶鋼中[S]濃
度:質量%)となる。
O3の合計量を脱硫処理前溶鋼中[S](質量%)×6
00kg/t以上とする。
関係を示した。図5は横軸に攪拌動力密度ε(W/t)
をとり、縦軸にSの分配比((S)/[S])をとって
示したものである。図5中、番号7はLF処理、番号8
はVODにおいて底吹きガス撹拌を行った処理を示して
いる。これらは領域10内に分布している。攪拌動力ε
が100以上のとき、S配分比が200以上になること
が示されている。なお、比較のためにパウダーインジェ
クション11、12の結果も併せて示している。図5よ
り、底吹きガス撹拌によるVOD設備において、ε≧1
00(w/t)とすることによって、図中に矢印で示す
ように、S分配比200以上を確保できることが明らか
である。本発明方法を用い、攪拌動力εを100W/t
以上とすることによって、[S]≦9ppmの極低硫鋼
を安定して溶製することができる。
i、1.5%Mn鋼を溶製する際に本発明を適用した。
先ず溶銑予備処理によってPを0.058質量%、Sを
0.0050質量%に低減した溶銑を転炉で脱炭し、得
られた溶鋼(160t)を取鍋に受鋼し、VOD設備に
おいて、昇熱、スラグ生成、脱硫処理を行った。VOD
での昇熱はAlを3.8kg/t及びCaO(生石灰)
13kg/tを溶鋼の浴面上に投入し、真空中で送酸昇
熱を施すことによって行った。この間に投入したAlが
酸化して生成したAl2O3と、投入したCaOと、転炉
からの出鋼の際に取鍋内に流出した転炉滓が溶融してス
ラグが生成した。その後0.0013MPa(10to
rr)の真空度の下で取鍋の底に設けられたポーラスプ
ラグからArを0.6m3(標準状態)/minを吹き
込みつつスラグと溶鋼を撹拌した。温度推移、成分推移
を表1に、スラグ組成を表2に示した。また図4中にこ
の実施例におけるスラグのCaO+Al2O3合計の原単
位のプロット8を示した。
070質量%であり、処理後[S]濃度を0.0020
質量%以下とするに必要とされるスラグのCaO+Al
2O3の合計量は0.007×600=4.2kg/t以
上であるところ、転炉からの出鋼時の流出スラグに含ま
れるAl2O3とCaOと、VODで投入されたAlおよ
びCaOによるAl2O3とCaOにより、VODでのス
ラグのCaO+Al2O3合計量は24.1kg/tであ
った。結果を表1、表2に示した。
[S]は0.0001質量%(1ppm)スラグと溶鋼
間のS分配比((S)/[S])=230を達成でき
た。
i、1.4%Mn鋼を溶製する際に本発明を適用した。
溶銑予備処理して脱Pを行い、転炉で脱炭した。その後
VOD処理用の取鍋に受鋼し、成分調整及び脱硫処理を
行った。この間の成分、温度の推移を表3に示す。溶鋼
重量160tに対して、VOD底吹きガス0.01m3
(標準状態)/sを吹き込み、吹き込み深さ1.5m、
雰囲気圧力4000Pa、溶鋼温度1923(K)で撹
拌動力密度ε=150を確保し脱硫処理を行った。脱硫
処理後のスラグ組成を表4に示す。その結果、S分配比
500を確保することができ、溶鋼中の[S]は8pp
mを達成することができた。
0.0020質量%)の溶製にあたり、二次精錬過程で
VODを使用することにより、 (1)溶鋼脱硫能力が高く、溶銑段階での脱硫負荷を軽
減することができる。
単位がかからず、またハンドリングも簡素である。
拌できるため、フッ素(CaF2;ホタル石)を含む脱
硫剤を必要としない。 というすぐれた効果を得ることができる。
の脱硫を行うことなく安定的に[S]≦9ppmの極低
硫鋼を溶製することが可能で、生産性が増大する。また
蛍石(フッ素源)を使用せずに極低硫鋼を溶製すること
が可能なため、スラグ処理が容易に行える、等の効果が
ある。
分配比との関係を示すグラフである。
示すグラフである。
スラグ中CaO+Al2O3量との関係を示すグラフであ
る。
である。
Claims (4)
- 【請求項1】 転炉で脱炭精錬した溶鋼を、取鍋に受鋼
し、その溶鋼中の[S]に応じて脱硫に必要な組成及び
スラグ量を満たす量のCaO及びAl2O3を投入し、真
空中にて該取鍋の底から溶鋼中に不活性ガスを吹き込
み、スラグ−メタルの撹拌を行って、[S]≦0.00
20質量%まで脱硫することを特徴とする極低硫鋼の製
造方法。 - 【請求項2】 前記Al2O3の一部もしくは全量に代え
てこれに対応する量の金属Alを溶鋼中に投入し、送酸
により燃焼させ、溶鋼の昇熱に利用することを特徴とす
る請求項1記載の極低硫鋼の製造方法。 - 【請求項3】 スラグ組成が、質量%比にて [(%CaO)/(%SiO2)]/(%Al2O3)=
0.15〜0.3 (%CaO)/(%Al2O3)≧1.0 (%Al2O3)≧20% となるよう調整し、スラグの、CaOとAl2O3の合計
量を、脱硫処理前溶鋼中[S](質量%)×600kg
/t以上とすることを特徴とする請求項1又は2記載の
極低硫鋼の製造方法。 - 【請求項4】 スラグ−メタルの撹拌を、溶鋼に与える
撹拌動力密度を100(W/t)以上として行うことを
特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の極低硫鋼の
製造方法。
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- 2002-01-31 JP JP2002024090A patent/JP3918568B2/ja not_active Expired - Fee Related
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