JP7238570B2 - 溶銑脱燐方法 - Google Patents

溶銑脱燐方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7238570B2
JP7238570B2 JP2019080918A JP2019080918A JP7238570B2 JP 7238570 B2 JP7238570 B2 JP 7238570B2 JP 2019080918 A JP2019080918 A JP 2019080918A JP 2019080918 A JP2019080918 A JP 2019080918A JP 7238570 B2 JP7238570 B2 JP 7238570B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
slag
dephosphorization
hot metal
refining agent
freeboard
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019080918A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020176317A (ja
Inventor
健夫 井本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2019080918A priority Critical patent/JP7238570B2/ja
Publication of JP2020176317A publication Critical patent/JP2020176317A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7238570B2 publication Critical patent/JP7238570B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Description

本発明は、特に、操業性の良い効率的な操業溶銑脱燐方法に関する。
鉄鋼製品を製造する際に、圧延工程以降で割れ発生するなどによって歩留が低下したり、偏析や強度低下が原因で品質が劣化したりすることを回避するために、精錬工程における低燐化処理(脱燐処理)は極めて重要である。しかしながら、精錬剤である生石灰の削減に加え、近年のCaF2使用規制やスラグ排出量低減の要求が高まっており、精錬効率の向上は極めて重要な課題である。
その要求に対応するため、発熱反応を利用した低温処理は有効な手段である。この方法では滓化率の確保などの観点から、脱燐スラグ中の塩基度((CaO)/(SiO2))をおおよそ2以下とし、純酸素などの気体酸素源や鉄鉱石などの固体酸素源による酸化反応によって、溶銑中のPは下記(1)式の反応などによってスラグ中に分離除去される。
2[P]+3(CaO)+5[O]→(3CaO・P25) ・・・(1)
溶銑中の脱燐反応では、上記の気体酸素源や固体酸素源を必要とする。フラックスなどの精錬剤(精錬スラグも含む)中にはFeOなどの酸化鉄が含有されるため、(1)式の脱燐反応と並行して以下の(2)式の脱炭反応を伴う。これにより、精錬剤と溶銑との界面にて発生するCOガスのフォーミングによって滓化促進が進行する。
[C]+[O]→CO(g) ・・・(2)
適度にフォーミングが発生すれば、精錬剤中の物質移動が促進されたり、界面でのエマルジョン発生による界面積増加作用がもたらされたりするが、過度にフォーミングが発生すると、精錬剤面が上昇して容器からあふれる操業トラブルが生じてしまう。そこで、このような操業トラブルを回避するために、フリーボードの大きい転炉型精錬装置を用いたLD-ORPなどと呼ばれる溶銑脱燐技術が採用されている。ここでいうフリーボードとは、溶融金属容器において、溶融金属の静止浴面よりも上部での飛散やフォーミングによる流出を回避できる空間を形成するための耐熱壁の総称である。更に、脱燐剤を削減したりスラグ顕熱を有効利用したりすることを目的として、脱炭滓をホットリサイクルするMURC法などが広く採用されている。
近年、製品の高級化ニーズによって、鋼製品のP濃度の上限規格を厳格化したり、低P濃度製品が全製品の中で占める比率が高まったりしている。従って、脱燐処理に対する工程能力増強は重要な課題であるが、転炉のような設備費が極めて高い投資と操業に必要な固定費アップは製造コストの大幅増を招く。このため、安価で、かつ鋼種の時期的な変動に適した補助的な脱燐プロセスの効率向上は非常に重要な課題である。
また、トーピードカーを利用した溶銑脱硫法や溶銑脱燐法では、ヒートサイズとトーピードカー容量とが一致しないため、製鋼段階で求められるヒートサイズに併せた処理が実施できない。また、溶銑鍋への移し替え時に熱ロスが発生するため、熱ロスを上乗せした温度で処理を行う必要があるといった課題がある。そこで、近年では溶銑鍋を用いた予備処理を実施した後に溶銑を転炉に装入する操業形態が採用され、溶銑鍋で溶銑脱硫や溶銑脱燐を行う方法が提案されている。
特許文献1には、有効な反応促進のためにスラグメタル界面を機械的に撹拌する方法が開示されている。この方法はKR(Kanbara Reactor)法と呼ばれており、脱硫剤の酸化鉄濃度が低い還元精錬にて広く実施されている。しかし、前述のように脱燐反応を効率よく進行させるためには、前述のフォーミングによるスラグの精錬容器からあふれ出しなどの課題を解決する必要がある。
また、特許文献2には、KR法により溶銑脱燐を行う例が開示されており、酸化鉄を大量に含有した焼結鉱を精錬剤とし、脱珪後および脱燐処理後の除滓を実施した操業が記載されている。しかしながら、具体的な除滓方法は何も開示されていないことから、溶銑が流出しない程度の傾動による除滓やそれに加えたドラッガー排滓などが考えられ、これらの方法は脱燐処理中の排滓の実施には適さない。従ってこの操業形態で短時間の脱燐処理を実施する際には、脱燐処理中の活発なフォーミングが連続的に発生し、溶銑鍋上端からの大量のスラグあふれ出しを伴うことから、溶銑鍋の鉄皮や処理装置周辺のスラグ除去を頻繁に実施する必要がある。このため、極めて作業負荷の高い操業となってしまう。
一方、特許文献3には、スラグのフォーミングを安価にかつ確実に抑制する技術が開示されている。この技術では、塩基度が2~4と高い塩基度の精錬剤を用いているが、生石灰コストが高く、反応性の劣る高粘性の精錬剤を用いる上、溶銑脱燐処理としては高温の1400~1450℃における実施などの制約がある。
特許文献4には、上乗せ型のフリーボードを配置した操業方法が開示されている。しかしながら、脱燐剤として利用できる精錬剤は、インジェクション可能な配合フラックスや脱炭滓のリサイクルにおいても一旦粉砕したものなどに限定される。さらに、脱燐が不十分な場合には操業を停止してドラッガーなどによる排滓を実施した上で再度フリーボードを設置して脱燐処理を行う必要があり、このような複数回の処理によって操業時間の大幅な延長や顕熱ロスを伴うといった課題がある。
また、特許文献5には、機械撹拌方式の溶銑予備処理設備であってオーバーフロー防止のためのフリーボードを挿入した装置が開示されている。しかしながら、特許文献5に記載の方法は脱硫処理に関するものであり脱燐処理に関しては何ら記載がない。また、フリーボードには排気ダクトが設置されているものの、精錬剤を排出するための排出口が設置されていない。そのため、ドラッガーなどによる排滓が必要であり、処理に多くの手間がかかってしまう。
特開昭61-166908号公報 特公昭58-52529号公報 特開2006-241535号公報 特開平9-41015号公報 特開2003-147423号公報
以上のように従来の溶銑脱燐方法においても操業コストや手間の点で十分に改善されているとはいえず、更なる低コスト、高効率な脱燐方法が求められている。
本発明は前述の問題点を鑑み、低コストでかつ高効率な溶銑脱燐方法を提供することを目的とする。
上記の課題解決を達成するための手段である本発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1)
溶銑鍋内の溶銑にフリーボードを挿入し、前記フリーボード内に精錬剤を添加してインペラーによる機械撹拌を行いながら前記溶銑と前記精錬剤とを反応させ、前記フリーボード内において、前記精錬剤と前記溶銑との接触面よりも上部に設けられた排滓口からフォーミング状態の脱燐スラグの排滓を行い、前記脱燐スラグの排滓を行う際に、前記フリーボードをさらに下降させることを特徴とする溶銑脱燐方法。
(2)
前記脱燐スラグの排滓を行う際に、前記インペラーの回転速度向上させる手段、酸素供給速度を向上させる手段、及び副材を添加する手段のうち、少なくとも1つの手段によりフォーミングを強くして排滓を実施することを特徴とする上記(1)に記載の溶銑脱燐方法。
(3)
前記脱燐スラグを排滓した後に、精錬剤を再度添加して脱燐処理を実施することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の溶銑脱燐方法。
本発明によれば、低コストでかつ高効率な溶銑脱燐方法を提供することができる。
本発明の実施形態における脱燐処理での操業形態の例を示す図である。 フリーボードを下降して排滓を行う形態を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の一例として、フリーボード内に添加された脱燐用精錬剤と溶銑鍋内の溶銑とに対してインペラーでの撹拌によって脱燐処理を実施している様態を示した図である。
図1に示すように、溶銑鍋1に挿入された溶銑2に対して、精錬剤添加装置3から精錬剤がフリーボード4内に添加される。そして、インペラー5による機械撹拌と溶銑顕熱によって溶融滓化した脱燐スラグ6が形成され、撹拌によってメタル(溶銑)スラグ間の物質移動が促進されたり、溶銑内に懸濁した精錬剤が生成されて界面反応が拡大されたりすることによって脱燐反応が進行する。
添加する精錬剤の組成は、ソーダ灰を多く含有するものや、CaF2による滓化性の確保を重視した組成など、特に規定するものではないが、脱燐処理によって発生するスラグの副産物価値の低下を回避したり、安価に精錬剤を利用したりする側面から、一般的にCaO-SiO2-FexO系を主成分とする精錬剤を適用することが好ましい。図1に示すような溶融滓化した脱燐スラグ6を形成するためには、一般的に生石灰を30質量%以上、酸化鉄を5質量%以上(通常50質量%以下)含有する精錬剤を用いることが好ましい。
また、溶銑中のSiが酸化鉄と反応してSiO2が生成され、さらに増滓剤、精錬剤として用いる脱炭滓にもSiO2が含有されている。溶融滓化状態の脱燐スラグ6において、SiO2が10質量%程度以上で、かつ塩基度((CaO)/(SiO2)が0.5未満の場合には、前述の(1)式などで示される脱燐反応を促進するための(CaO)活量値が不十分となる可能性がある。また、塩基度が2.0を超える場合は滓化不良によって脱燐反応が不良となったり排滓口7からの排滓が困難となったりする可能性がある。したがって、溶融滓化した脱燐スラグ6では塩基度は0.5~2.0の範囲が好ましく、この範囲が一般的な操業範囲である。
このような精錬剤を選択することで、脱燐処理に有利な低温域においても滓化性の確保が容易になる。また、前述のようにトーピードカーから溶銑鍋へ溶銑を装入する際の温度低下分の温度確保なども不要となる。さらに、後述するように排滓口から排滓を実施できるため、ドラッガーによる排滓時の温度低下も発生しない。このため、溶銑温度が1200~1350℃程度において脱燐処理を実施することができる。
また、図1に示す例では、精錬剤や、精錬剤の一部である固体酸素源の酸化鉄分は上方の精錬剤添加装置から添加するものとしているが、特許文献3に示されるようにインジェクションランスから精錬剤を添加してもよい。また、酸素源として純酸素などの気体酸素源を上吹きランスや浸漬ランスなどによって上方もしくは溶銑中から添加する方法を用いてもよい。
本実施形態においては、脱燐処理で溶銑中の炭素と精錬剤中の酸化鉄などから供給される酸素とがスラグメタル界面において前述の(2)式に示される反応が起き、この脱炭反応に伴ってCOガスが生成される。図1に示すように、界面で生成したCO気泡8が脱燐スラグ6中を連続して通過することによって脱燐スラグ6のフォーミングが発生し、脱燐スラグ6中の物質移動を促進して反応性が向上する。
本発明では、フリーボードを設けることによって溶銑鍋の高さに限定されず、フォーミングを促進させても操業異常を招くことがない。従って、一定以上の反応を終えて十分に燐を吸収した精錬剤は脱燐スラグとして、図1に示すように、溶銑湯面高さよりも上部のフリーボード4に設けられた排滓口7より排出されて、スラグパン9に排出される。ここで、脱燐処理中はインペラー5によって湯面付近が攪拌され、さらにはフォーミングが発生していることから、溶銑湯面高さはフリーボード外の溶銑湯面レベルで規定するものとする。
また、脱燐処理をより効率良く行うために、以下の方法により、処理時間を短縮したり精錬剤の使用量を削減したりすることができる。具体的には脱燐処理末期に以下の制御によって脱燐スラグの排滓を促進させてもよい。
第1の方法として、インペラーの回転速度を適切な速度に制御して気液界面反応を促進してCO発生速度を上昇させ、脱燐スラグの排滓をより促進させることができる。第2の方法としては、前述の気体酸素をさらに供給したり鉄鉱石などの酸化源をさらに添加したりすることによってCO発生速度を上昇させ、脱燐スラグの排滓をより促進させることができる。また、第3の方法として、珪砂やアルミナなどの粘性を高める副材をさらに添加することによってCO発生速度を上昇させ、脱燐スラグの排滓をより促進させることができる。なお、第1~第3の方法の中の1種類またはこれらの組み合わせで行ってもよい。
特に、排滓率を向上させると、後工程の転炉や電気炉などの精錬炉における復燐を抑制する作用が顕著であることから、図2に示すように排滓時にフリーボード4を下降させて、排滓口7をより溶銑湯面高さに近づけてもよい。これにより、より効率良く排滓を行うことができる。フリーボードの上昇および下降を行う駆動方式は、減圧真空槽を有する真空脱ガス処理のためのRH法や、大気圧で浸漬管を挿入してスラグを排除した上で真空槽内に合金添加を実施するCAS法(Composition Adjustment by Sealed Argon bubbling)などにて実施される浸漬槽の駆動形式にて広く利用されている。このため、このような駆動方式は当業者によって任意に選択できる。
更に、スラグの排滓を実施した後に、更に脱燐剤(精錬剤)を添加してインペラーによる撹拌を行い、脱燐処理を繰り返し実施してもよい。回分処理によって精錬剤を削減したり、より燐濃度の低い厳格な鋼種を溶製したり、後工程の精錬の負荷を軽減したりする際に有効である。また、本実施形態の操業方法では、容器の移し替えを行って別ステーションで処理を行ったりドラッガーによる排滓のためのフリーボードの上昇を伴う作業負荷の高い操業を行ったりするものではないため、短時間のうちに効率よく実施できる。
次に、本発明の実施例について説明する。ここで記載した条件は、本発明の実施効果を確認するために行った例であり、本発明は、この記載に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、適宜採用し得るものである。
本発明の実施作用を検証するために、350tのKR型精錬ステーションに、図1に示すような、溶銑鍋と、フリーボードに内径2.7m外形3.0mの排滓口(幅600mm高さ400mm)を有し、該排滓口からスラグ樋を経由してスラグパンへ排滓できるような装置とを試験的に作成し、実施効果の検証実験を行った。
基本条件としては、排滓口の下端を溶銑湯面から1.8mの高さとして脱燐処理を実施できるようにフリーボードを配置した。また、実施例5のフリーボードを下降する試験時では、排滓口の下端が溶銑湯面高さから0.3mの位置に下降できるようにした。
実験に用いた溶銑は、C:4.1質量%、Si:0.3質量%、P:0.12質量%、Mn:0.3質量%未満、S:0.01質量%未満を含有する高炉溶銑とし、脱燐剤には、生石灰(主成分はCaO)とミルスケール(基本組成はヘマタイト)との混合物を使用した。このとき、溶銑中Siが全量ミルスケールと反応してSiO2になることを前提として、以下の表1に示す設定塩基度となるように精錬剤の量を設定して添加した。また、脱珪や脱炭によって還元されるミルスケール分を予め推定した上で、インペラーによる攪拌(基本条件:回転速度は30rpm)を行い、脱燐処理(基本条件:処理時間は12分/ch、精錬剤の設定値:40kg/t)を実施した。
このようにして実施した結果、操業後の実際の塩基度及びスラグ量は、設定値の10%以内の誤差であった。このことは、添加材と溶銑成分、処理後の残留スラグと溶銑成分のマスバランスにて確認できた。また、目標とする脱燐処理後の溶銑中P濃度は0.04質量%未満とし、脱燐処理前後で溶銑温度の差が100℃以下であれば、熱ロスが小さいものとして評価した。
Figure 0007238570000001
実施例1は基本条件で脱燐処理を行った例であり、脱燐処理末期の10分経過後ぐらいより、フォーミングの高さが排滓口に到達し、脱燐スラグが排滓口に到達して処理終了後まで排滓を継続しながら機械撹拌処理を実施した。その結果、本実験条件にての操業支障はなく、処理後の溶銑中P濃度も目標の0.04質量%を下回る合格水準であった。
実施例2は、脱燐処理末期である10~12分経過後の期間において、排滓を促進する目的でインペラーの回転速度を30rpmから40rpmに変更し、それ以外は基本条件で脱燐処理を行った例である。インペラーの回転速度を上昇させたことにより脱炭によるCO発生が増加し、脱炭速度(排ガス分析値より推定)は、排ガス分析値より推定したところ、実施例1の約1.3倍であった。その結果、排滓量は実施例1よりも多く、脱燐処理末期での復燐作用の防止効果が認められ、溶銑中P濃度は0.024質量%と目標を大幅に下回る良好な結果であった。
実施例3は、脱燐処理開始後9分でミルスケールを大量に添加し、それ以外は基本条件で脱燐処理を行った例である。酸素ポテンシャルを高めて脱炭を促進させたため、ミルスケール添加後1分程度で脱炭速度は実施例2と同等の約1.3倍になった。その結果、実施例2と同様に溶銑中P濃度は0.026質量%と優れた脱燐作用が認められた。
実施例4は、脱燐処理開始後9分で珪砂を添加し、それ以外は基本条件で脱燐処理を行った例である。この例では、珪砂を添加したことにより塩基度が下がり、脱燐スラグの粘性が上昇したことによってフォーミングの高さが上昇したことが確認された。フォーミングの高さが上昇したことにより排滓効率の向上効果が得られ、溶銑中P濃度も0.025質量%と優れた脱燐特性が確認できた。
実施例5は、脱燐処理開始後10分に到達した時点でフリーボードを下降させて溶銑湯面より0.3mの高さでまで排滓口を低下させ、それ以外は基本条件で脱燐処理を行った例である。排滓が十分であったため、溶銑中P濃度は0.016質量%と極低P溶銑の製造が可能であることを確認できた。
実施例6は、実施例1と同じ脱燐処理を行った後、同様の条件で脱燐剤を再度添加してインペラーの撹拌による脱燐処理を実施した例である。容器の移し替えを行ったりドラッガーを使用したりするといった操業を不要とした条件下において、2回分の処理時間延長とそれに必要な熱裕度(初期温度1341℃)にて、溶銑中P濃度は0.015質量%とさらに低いP濃度の極低燐溶銑を製造できることが確認できた。
一方で、比較例1はフリーボードを用いずにインペラーの攪拌を用いて試験を実施した例である。脱燐処理開始後2分程度の滓化完了前に、脱燐スラグがフォーミングにより溶銑鍋からあふれ出し、操業中止となった。
比較例2は、フリーボードを用いずに、精錬剤の添加量を基本条件の半分にして脱燐処理を実施し、ドラッガーで排滓処理を実施した後に残りの精錬剤を添加してインペラーによる機械撹拌で脱燐処理を実施した例である。実施例1と同等のP濃度に低減できたが、ドラッガーで排滓を行ったため作業負荷が増大し、また、処理時間が排滓時間なども含めて45分を要した。その結果、実施例1~6に比べて熱ロスが大きく、極めて効率の悪い操業結果であった。
比較例3は、溶銑中にフリーボードを2m浸漬させ、インペラーの代わりに4孔の浸漬ランスを用いて窒素バブリング(3000Nl/min)によってスラグメタル界面の撹拌を実施した例である。ガス撹拌では脱炭で発生する小さなCO気泡がバブリングガスの通過によって合体拡大し、脱燐に適度な滓化条件と排滓に適切なフォーミング高さとを形成させることが困難であった。このため、目標のP濃度とするためには、大量の精錬剤を添加する必要があり、結果として基本条件の2倍以上の90kg/tを添加した。脱燐処理後の溶銑中P濃度は0.037質量%であったが、精錬剤の添加量が多すぎたため、温度低下が著しかった。この条件では処理前の溶銑温度を1425℃程度の高温条件にする必要があるため、極めて効率の悪い方法であることが確認できた。
本発明によれば、従来よりも簡易に溶銑脱燐を実施することができる。大幅な設備の増強を不要にし、メンテナンスコストを軽減でき、低コストの操業プロセスを提供することができ、その工業的利用価値は極めて高いものである。
1 溶銑鍋
2 溶銑
3 精錬剤添加装置
4 フリーボード
5 インペラー
6 脱燐スラグ
7 排滓口
8 CO気泡
9 スラグパン

Claims (3)

  1. 溶銑鍋内の溶銑にフリーボードを挿入し、前記フリーボード内に精錬剤を添加してインペラーによる機械撹拌を行いながら前記溶銑と前記精錬剤とを反応させ、前記フリーボード内において、前記精錬剤と前記溶銑との接触面よりも上部に設けられた排滓口からフォーミング状態の脱燐スラグの排滓を行い、前記脱燐スラグの排滓を行う際に、前記フリーボードをさらに下降させることを特徴とする溶銑脱燐方法。
  2. 前記脱燐スラグの排滓を行う際に、前記インペラーの回転速度向上させる手段、酸素供給速度を向上させる手段、及び副材を添加する手段のうち、少なくとも1つの手段によりフォーミングを強くして排滓を実施することを特徴とする請求項1に記載の溶銑脱燐方法。
  3. 前記脱燐スラグを排滓した後に、精錬剤を再度添加して脱燐処理を実施することを特徴とする請求項1又は2に記載の溶銑脱燐方法。
JP2019080918A 2019-04-22 2019-04-22 溶銑脱燐方法 Active JP7238570B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019080918A JP7238570B2 (ja) 2019-04-22 2019-04-22 溶銑脱燐方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019080918A JP7238570B2 (ja) 2019-04-22 2019-04-22 溶銑脱燐方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020176317A JP2020176317A (ja) 2020-10-29
JP7238570B2 true JP7238570B2 (ja) 2023-03-14

Family

ID=72937444

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019080918A Active JP7238570B2 (ja) 2019-04-22 2019-04-22 溶銑脱燐方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7238570B2 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003147423A (ja) 2001-11-14 2003-05-21 Kawasaki Steel Corp 容器内溶湯の精錬方法および装置
JP2019039032A (ja) 2017-08-23 2019-03-14 新日鐵住金株式会社 上底吹き転炉型精錬装置、および溶銑の精錬方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04350109A (ja) * 1991-05-28 1992-12-04 Nippon Steel Corp 排滓法
JPH083612A (ja) * 1994-06-20 1996-01-09 Sumitomo Metal Ind Ltd 清浄鋼の精錬方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003147423A (ja) 2001-11-14 2003-05-21 Kawasaki Steel Corp 容器内溶湯の精錬方法および装置
JP2019039032A (ja) 2017-08-23 2019-03-14 新日鐵住金株式会社 上底吹き転炉型精錬装置、および溶銑の精錬方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020176317A (ja) 2020-10-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6743915B2 (ja) 溶鋼の脱硫処理方法及び脱硫剤
JP2013234379A (ja) 極低燐極低硫鋼の溶製方法
JP5910579B2 (ja) 極低窒素純鉄の溶製方法
JP2015042777A (ja) 高窒素鋼の溶製方法
JP5983492B2 (ja) 溶銑の予備処理方法
JP7238570B2 (ja) 溶銑脱燐方法
JP5200380B2 (ja) 溶鋼の脱硫方法
JP6024192B2 (ja) 脱硫処理後の溶銑の復硫防止方法
JP2002339014A (ja) 極低硫鋼の製造方法
JP4687103B2 (ja) 低炭素アルミキルド鋼の溶製方法
JPWO2018123991A1 (ja) 溶銑の予備処理方法と極低燐鋼の製造方法
JP2015042780A (ja) 転炉における溶銑の脱燐処理方法
JP2007254844A (ja) 溶鋼の脱硫方法
JP2006283164A (ja) 含クロム溶銑の脱硫処理方法
JP2018100427A (ja) 低硫鋼の製造方法
JPH09235611A (ja) 清浄性の高い極低硫純鉄の製造方法
JP6658049B2 (ja) 溶銑の脱珪処理方法
JPH0987732A (ja) 溶鋼の精錬方法
JP7480751B2 (ja) 溶鋼の脱窒方法および鋼の製造方法
JP7302749B2 (ja) 溶鉄の脱りん方法
WO2024106086A1 (ja) 鋼の溶製方法
JP2005200762A (ja) 溶銑の脱硫方法
JP2007009237A (ja) 低燐溶銑の製造方法
JP2004307940A (ja) アルミナを用いたトーピードカーによる溶銑の脱燐方法
JPH11140530A (ja) 極低窒素ステンレス鋼の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211206

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221206

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230117

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230131

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230213

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7238570

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151