JP2019039032A - 上底吹き転炉型精錬装置、および溶銑の精錬方法 - Google Patents

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【課題】上底吹き転炉型精錬装置を用いて溶銑の精錬を行うに際し、歩留まりを低下させることなく、中間排滓効率を高めることのできる、上底吹き転炉型精錬装置、および溶銑の精錬方法を提供する。【解決手段】上底吹き転炉型精錬装置であって、炉直立時に、設計ヒートサイズにおける溶鉄浴面位置15を基準浴面16と呼び、排滓孔兼出鋼孔2が、転炉1の炉腹部11であって転炉回転軸6よりも下方かつ基準浴面16よりも上方に配置されていることを特徴とする上底吹き転炉型精錬装置。溶銑の脱珪精錬終了後、又は脱珪脱りん精錬終了後に、溶鉄を炉内に残したまま排滓孔兼出鋼孔2から溶融スラグを排出し、次いで脱炭精錬終了後、排滓孔兼出鋼孔2から溶鋼を出鋼する。【選択図】図1

Description

本発明は、上底吹き転炉型精錬装置、およびそれを用いた溶銑の精錬方法に関する。
高炉で生産された溶銑中の炭素、珪素、りんを除去して溶鋼とするための精錬装置として、上底吹き転炉型精錬容器が広く使用されている。かつては転炉型精錬装置にて一度の吹錬で脱珪、脱りん、脱炭が行われたが、脱珪、脱りん精錬に使用する生石灰、石灰石などのフラックス原単位を抑制するために、溶銑温度が低い段階にて事前に脱珪、脱りん精錬を行う、溶銑予備処理が広く行われている。溶銑予備脱珪、脱りんを行う精錬装置としては、転炉装入前の溶銑容器、例えばトーピードカーを精錬容器として精錬を行う方法、転炉型精錬容器で溶銑予備脱珪、脱りん精錬を行い、その後出湯し、再度別の転炉型精錬容器に溶湯を装入して脱炭精錬を行う方法、同一の転炉でまず脱珪、脱りん精錬を行い、溶湯を転炉に残したままでスラグのみを排出し、その後、同一の転炉で脱炭精錬を行う方法、などが提案されている。
溶銑予備処理を転炉型精錬装置で行う場合の一例として、溶銑を転炉型精錬装置に装入し、フラックスを添加して脱珪、脱りん精錬を行った後、炉体を傾動し、溶湯を精錬容器内に残したままで炉口から溶融スラグのみを排出することで溶銑予備処理を行い、その後、炉体を垂直に戻し、フラックスを添加後、そのまま続けて脱炭吹錬を行うダブルスラグ法がある。
更に、特許文献1に記載されている方法では、上記ダブルスラグ法を用いて脱炭精錬して出鋼した後、脱炭スラグを炉内に残したまま、次チャージの処理に移行し、前チャージで炉内に残した脱炭スラグを脱珪、脱りん処理用の精錬剤として利用する方法もあり、MURC法と呼ばれる(非特許文献1参照)。この方法では精錬剤としてのフラックスの使用を更に低減できる。
上記の溶銑予備処理(ダブルスラグ法、MURC法)では、脱珪脱りん専用転炉と脱炭専用転炉を2基使用する処理方法に比べて、溶銑の移し替えが発生しないため、短い時間、少ない熱ロスで、処理できることがメリットである。
このようなダブルスラグ法、MURC法による処理方法において、転炉での脱珪、脱りん精錬と脱炭精錬との間に、溶湯を転炉内に残したまま、脱珪、脱りん精錬で生成したスラグを炉外に排出すること(以下「中間排滓」ともいう。)が必須である。中間排滓に際しては、更にフラックスの利用効率を高めるためには、脱珪、脱りん処理後に炉口から排滓する際の排出率の向上が重要である。また、炉内の溶融スラグのできるだけ多くを炉外に排出するとともに、溶湯の排出を極力少なく抑えることが必要である。さらに、中間排滓に要する時間を極力短縮することが、生産性の観点から要求される。
例えば、特許文献2に記載されている方法では、底吹き流量を適正範囲とすることにより、スラグフォーミングを促すことによりスラグの中間排滓効率を高めることができるが、更にこの排出率を飛躍的に高めることができれば、更にフラックスの利用効率が高まり、スラグの発生量も抑制できる。
精錬炉で溶融金属を精錬するに際し、精錬炉に排滓孔、出滓孔を設ける発明が開示されている。
特許文献3には、酸素上吹きと攪拌ガス底吹きが可能な精錬炉を用い、金属酸化物の溶融還元を行う方法が開示されている。冶金炉の一方の炉腹に溶銑排出口、他方の腹部に排滓口が設けられている。精錬炉を傾動しての操業は予定されておらず、排滓口は、スラグの湯面コントロールを可能にするために設けられている。
特許文献4には、炉体下部側壁に出滓孔を、炉体底部に出鋼孔を有し、炉体を傾動させることなく連続的に溶鋼、溶滓を排出可能となした、連続的に精錬を行う転炉型冶金炉が開示されている。精錬を続行しつつ出鋼孔および出滓孔より出鋼と出滓を行っている。
特許文献5には、含鉄冷材を溶解して溶鋼を製造するに際し、一炉で溶解と脱炭・脱硫等の精錬を行う方法が開示されている。炉内の溶融スラグを排滓する第3工程では、炉体を傾転して炉口から溶融スラグをスラグ受けに流出させる方法とともに、炉腹上部に排滓孔を設けて排滓してもよい旨が記載されている。
特開平5−247511号公報 特開平7−18319号公報 特開平1−127613号公報 特開平3−115516号公報 特開平11−181513号公報
第5版鉄鋼便覧 第1巻 製銑・製鋼 第266頁 日本鉄鋼協会発行 第5版鉄鋼便覧 第1巻 製銑・製鋼 第277頁 日本鉄鋼協会発行
溶銑の転炉精錬において、転炉炉内に溶湯を残したままで中間排滓を行うに際し、従来のように転炉の炉口から排滓を行うのでは、排滓時における転炉内の溶湯表面積が、炉直立時に比較して大面積となる。溶融スラグは炉内の溶湯表面に溶融スラグ層を形成しており、溶湯面積が大きくなるほど、スラグ層の厚さが薄くなる。また、スラグは多少なりともフォーミングしているため、スラグ層の下部では密度が高く、上部では密度が低い特性を有している。中間排滓中のスラグ排出速度を大きくしようと傾動角度を大きくすると、スラグ層の厚さが薄いため、炉口からは溶融スラグに混じって溶鉄が流出することとなり、精錬の歩留まり悪化の原因となる。溶鉄流出を防止するために転炉の傾動角度を小さくすると、スラグ排出速度が遅くなり、生産性を低下させることとなる。
本発明は、上底吹き転炉型精錬装置を用いて溶銑の精錬を行うに際し、歩留まりを低下させることなく、中間排滓効率を高めることのできる、上底吹き転炉型精錬装置、および溶銑の精錬方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)上底吹き転炉型精錬装置であって、炉直立時に、設計ヒートサイズにおける溶鉄浴面位置を基準浴面と呼び、排滓孔兼出鋼孔が、転炉の炉腹部であって該排滓孔兼出鋼孔の上端が転炉回転軸よりも下方、かつ、該排滓孔兼出鋼孔の下端が前記基準浴面よりも上方に配置されていることを特徴とする上底吹き転炉型精錬装置。
(2)前記排滓孔兼出鋼孔は、下記式を満たす位置に設けられていることを特徴とする上記(1)に記載の上底吹き転炉型精錬装置。
0.05<HH/DI<0.24
ここで、炉直立時において、HHは前記排滓孔兼出鋼孔の下端と前記基準浴面の差(m)、DIは転炉直胴部の内径を意味する。
(3)前記排滓孔兼出鋼孔は、当該排滓孔兼出鋼孔を開閉する蓋を有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の上底吹き転炉型精錬装置。
(4)上記(1)から(3)までのいずれかひとつの上底吹き転炉型精錬装置を用いた溶銑の精錬方法であって、溶銑の脱珪精錬終了後、又は脱珪脱りん精錬終了後に、溶鉄を炉内に残したまま前記排滓孔兼出鋼孔から溶融スラグを排出し、次いで脱炭精錬終了後、前記排滓孔兼出鋼孔から溶鋼を出鋼することを特徴とする溶銑の精錬方法。
本発明の上底吹き転炉型精錬装置、および溶銑の精錬方法により、上底吹き転炉型精錬装置を用いて溶銑の精錬を行うに際し、歩留まりを低下させることなく、中間排滓効率を高めることができる。
本発明の上底吹き転炉型精錬装置を示す図であり、(A)は正面図、(B)はB−B矢視断面図である。 水モデル実験において、排滓孔兼出鋼孔の配置位置についてのHH/DIと、粒子排出効率、流出水量の関係を示す図である。
転炉を傾動して炉口からフォーミングスラグを排出する場合、炉を垂直に立てている場合に比べて、浴の表面積はおよそ2倍に拡がり、溶銑層の上に形成される溶融スラグ層の厚さは半分程度になる。溶融スラグ層の厚さが厚いほど、スラグは排出しやすいが、炉口から排滓する場合にはどうしてもスラグ層の厚さが炉直立時よりも薄くなってしまう。その上、相対的に密度の低いスラグ層の上部から排滓することになるため、排滓率を効率良く高めることは容易では無い。転炉の炉高を低くすれば、傾動時の浴表面積増加を小さく抑えられ、中間排滓率を高められると考えられるが、炉高が低いと必然的に炉容積が小さくなり、吹錬時に炉口からスピッティングやスロッピングの飛散、噴き出しが多くなるため、適当ではない。
これに対し、炉を垂直に立てたまま、あるいは、垂直から傾動した場合でも小さい傾動角において溶融スラグを排出することができれば、炉を大きく傾動して炉口から排滓する場合と比べて、排滓時におけるスラグ層の厚さをおよそ2倍程度に増すことが可能になる。その上、相対的に密度の高いスラグ層の下部から排滓することも可能になるので、排滓率を高めるためには有利である。そこで、炉腹下部に排滓孔を設けることが有効であると着想した。
炉腹部に排滓専用の排滓孔を設けた場合、排滓時の炉内溶融スラグは液相中に固相が共存する条件で操業することが多いため、溶銑、溶鋼と異なり、見掛けの粘度が高く、排滓孔はスラグが冷えて詰まってしまう危険がある。そのため、排滓孔が詰まっても開孔する手段が必要となる。本発明では、詰まった排滓孔を開孔する手段として、排滓孔を出鋼孔として使用することを着想した。すなわち、排滓孔兼出鋼孔を炉腹下部に設置することが有効であると考え至った。
図1(A)に示すように、転炉1の炉腹部11両側には、転炉1を転炉回転軸6まわりに回転させる回転軸が設けられ、トラニオン4と呼ばれている。近年の大型転炉では、転炉鉄皮に直接トラニオンが接合されるのではなく、転炉鉄皮を取り囲むトラニオンリング5が設けられ、トラニオンリング5の両側部にトラニオン4が接続されている。トラニオンリングを炉体支持構造として、転炉本体はトラニオンリングに支持された構造となる。
排滓孔兼出鋼孔2を炉腹部11に設ける場合、転炉炉腹部11の外周には上記のようにトラニオンリング5があるため、それを避けた場所とする必要がある。トラニオンリング5は転炉回転軸6(トラニオン4)と同じ高さ位置にあり、一般的に転炉の出鋼孔はトラニオンリングより上に設置されている。この通常の出鋼孔は高さ方向で炉口3に近く、この出鋼孔から溶融スラグを排滓しても、排滓時のスラグ層厚さは炉口排滓と比べて大差がない。したがって、炉を垂直に立てたまま、あるいは、垂直から傾動した場合でも小さい傾動角において、スラグを中間排出するためには、図1に示すように、排滓孔兼出鋼孔2の上端はトラニオンリング5の下端よりも下方、即ち転炉回転軸6よりも下方にあり、その排滓孔兼出鋼孔2の下端は炉直立時の溶銑浴面位置(溶鉄浴面位置15)よりも上方にあることが必要である。
転炉水モデル装置を用いた水モデル実験によって、転炉の炉腹部に設置した孔の排滓性について評価を行った。直径420mmの円筒型容器を転炉容器として用い、そこに溶銑を模擬する水20リットルを入れ、その上にはフォーミングスラグを模擬する比重0.1の発泡スチロール粒子を見掛け体積で10リットルを投入した。水の浴深は約144mm、その上に浮いた発泡スチロールの深さは約72mmであった。
転炉容器の炉腹部に、直径20mmの円柱状の排滓孔兼出鋼孔を設けた。孔の下端が浴面上0〜160mmの範囲となるように種々の位置に孔を設置し、発泡スチロールの排滓性能を評価した。
容器を少しずつ傾動し、発泡スチロールを排出していき、発泡スチロールとともに水が流れ始めたところで終了し、排出された粒子の乾燥重量を測定した。排滓孔兼出鋼孔を孔の下端が浴面上0mmに設置した場合の排出粒子重量を基準として「粒子排出効率」とし、その他の条件を評価した。
その結果、排滓孔兼出鋼孔の下端位置が浴面上0mmのところで最も排出粒子重量が多く、排滓孔兼出鋼孔が浴面から離れた位置に設置するほど排出粒子重量が低下した。これは、孔の位置が高くなって浴面から離れるにつれ、粒子を排出させるために浴をより大きく傾けるために、浴の表面積が少しずつ増えることで粒子排出効率が低下することに起因すると考えられる。また、浴を大きく傾けることで浴に浮いていた粒子が壁に付着してしまうことも粒子排出効率が低下する原因と考えられる。
粒子排出時の転炉容器の最終の傾きは、水の浴面が排滓孔兼出鋼孔に差し掛かる角度であり、ここでは「水流出角度」と名付ける。水流出角度が大きいほど排出効率が悪化する。水流出角度は、排滓孔兼出鋼孔と浴面との高さの差が大きいほど、また直胴部の内径が小さくなるほど、大きな角度となる。そこで、水流出角度に相当する指標として、HH/DIを用いて整理した。ここで、HHは、炉直立時に、転炉内壁にある出鋼孔兼排滓孔の下端と、設計ヒートサイズにおける溶銑浴面の高さの差(m)、DIは転炉直胴部の内径(m)である。
H/DIを横軸に、前記粒子排出効率を縦軸として、図2に白丸でプロットした。図2から明らかなように、HH/DIが0.24を超えると排滓性が大きく低下する傾向にあり、HH/DIが0.24以下となるよう、排滓孔兼出鋼孔を設置することが望ましい。
また、上記の条件で排滓孔兼出鋼孔を設けた上で、転炉容器を直立し、発泡スチロールを入れずに上吹きランスを用いて圧縮空気を水浴に吹きつけることで、排滓孔兼出鋼孔からこぼれ出る水の量を測定した。排滓孔兼出鋼孔を孔の下端が浴面上0mmに設置した場合(HH/DI=0)の水量を基準として「流出水量(%)」とし、その他の条件の結果を比較した。
H/DIを横軸に、流出水量(%)を縦軸として、同じ図2に黒四角としてプロットした。図2から明らかなように、同じくHH/DIで評価すると、HH/DIが0.05以上では、こぼれ出る水量が大幅に低減された。排滓孔兼出鋼孔が溶銑浴面に近い場合、浴の揺動によって排滓孔兼出鋼孔が水に浸されてしまうためと考えられる。したがって、排滓孔兼出鋼孔の位置はHH/DIが0.05より大きい条件を満たすことが望ましい。
以上より、排滓孔兼出鋼孔2は、炉直立時に、転炉の炉腹部であってその排滓孔兼出鋼孔の上端が転炉回転軸よりも下方かつ、その排滓孔兼出鋼孔の下端が設計ヒートサイズにおける溶鉄浴面位置(基準浴面16)よりも上方に配置されていることが必要であり、また、
0.05<HH/DI<0.24
の条件を満たすことが望ましい。
本発明の排滓孔兼出鋼孔は、排滓のための排滓孔と出鋼のための出鋼孔を兼ねている。通常の転炉において、出鋼孔は、炉裏側、即ち溶銑を装入する側(炉前側)の反対側に設けられている。本発明の排滓孔兼出鋼孔も、炉裏側に設けることとすると好ましい。脱珪・脱りん精錬が完了して、溶湯を炉内に残したまま溶融スラグを中間排滓するに際しては、転炉を炉裏側に傾動し、溶融スラグ層が排滓孔兼出鋼孔の高さとなる位置で傾動を停止する。排滓孔兼出鋼孔の下方にはスラグ台車を配置する。これにより、炉内に溶湯を残したまま、高い効率で溶融スラグを中間排滓することができる。中間排滓後の脱炭精錬が完了した後、転炉を炉裏側に傾動し、溶鉄層が排滓孔兼出鋼孔の高さとなる位置で傾動を停止する。排滓孔兼出鋼孔の下方には取鍋を載置した取鍋台車を配置する。これにより、排滓孔兼出鋼孔を通して出鋼が行われる。
本発明では、中間排滓時に排滓孔兼出鋼孔を用いてスラグを排出した際、排滓孔兼出鋼孔中にスラグが固着して残留したとしても、その後に同じ排滓孔兼出鋼孔を用いて溶鋼を出鋼するため、排滓孔兼出鋼孔中に残留した固着スラグを排出することができるので、詰まりの発生を防止することができる。
本発明の排滓孔兼出鋼孔2は、図1に示すように、開閉可能な蓋7を設けることとすると好ましい。これにより、吹錬中、スラグがフォーミングし、フォーミングレベルが本発明の排滓孔兼出鋼孔2より上方になる場合、排滓孔兼出鋼孔2からスラグが排出されることを防止できる。スラグの精錬能がまだ十分に発揮されないタイミングでは、排滓孔兼出鋼孔2を蓋7によって閉じてスラグの流出を防止すると好ましい。開閉可能な蓋としては、転炉を直立して精錬するに際してスラグの流出が防止できればどのような蓋でもよい。非特許文献2に記載されたスラグストッパー(ニューマチックスラグストッパー)を好適に用いることができる。当該スラグストッパーは、スイングアームの先端にノズルが設けられ、シリンダーの動作によってスイングアームを旋回させ、排滓孔兼出鋼孔をノズルで閉鎖する。
また、吹錬中、スラグがフォーミングし、フォーミングレベルが本発明の排滓孔兼出鋼孔より上方になる場合に、スラグを排滓孔兼出鋼孔から排出しながら吹錬することも可能である。上記蓋を設けず、転炉直立時において、排滓孔兼出鋼孔が炉外側で下がる傾きを設けておけば、吹錬中に排滓孔兼出鋼孔に流入したスラグを炉外側に排出することができる。
スラグの精錬能がまだ十分に発揮されずに排滓孔兼出鋼孔からスラグが排出されることを防ぐためには、排滓孔兼出鋼孔に上記蓋を設けると良い。この場合は、転炉直立時において、排滓孔兼出鋼孔が水平、又は炉内側で下がる傾きを設けておくとよい。これにより、出滓孔兼出鋼孔の蓋を閉として吹錬を行ったときでも、排滓孔兼出鋼孔中に流入したスラグが留まることなく、炉内側に排出することができる。
2.5t/heatの上底吹き転炉において、溶銑2.0tを装入し、脱りん吹錬を行った後、中間排滓を行い、さらにその後、脱炭吹錬を行い、本発明の効果を確認した。転炉内の浴形状は内径1000mmの円柱形状であり、浴深は370mmとなった。
転炉の炉腹部に、表1に示す、排滓孔兼出鋼孔、出鋼専用孔、排滓専用孔から選択した機能を有する種々の転炉を準備した。排滓専用孔と出鋼専用孔の両方を有する水準では、転炉回転軸をはさんで炉裏側の下方に排滓専用孔を、炉前側の上方に出鋼専用孔を設けた。排滓専用孔、排滓孔兼出鋼孔の設置位置(HH/DI)は表1に示すとおりである。排滓専用孔、排滓孔兼出鋼孔はいずれも、それぞれを開閉することのできる蓋を設けている。出鋼専用孔は、炉直立時において転炉回転軸よりも上方に設けた。
炉内に装入する溶銑の成分は、[C]=4.3質量%、[Si]=0.40質量%、[Mn]=0.30質量%、[P]=0.10質量%、[S]=0.01質量%である。底吹き羽口からは、溶銑の攪拌のためにArガスを0.8Nm3/minで吹きこんだ。
1チャージ目の脱りん吹錬では、吹錬前に生石灰を24kg添加し、酸素ガスを6.0Nm3/minで4min間上吹きした。
その後、中間排滓に移り、転炉を傾動して転炉毎の排滓手段を通して溶融スラグを排出し、溶融スラグが少なくなって溶銑がそれぞれの排滓手段から出始めたところで、中間排滓を終了した。
次に、生石灰20kgを添加し、酸素ガスを8.0Nm3/minで6min間上吹きして、脱炭吹錬を実施した後、出鋼専用孔、または排滓孔兼出鋼孔から出鋼した。脱炭スラグはそのまま炉内に残して、2チャージ目として再度新しい溶銑を装入し、今度は新たなフラックスを添加せずに前チャージの脱炭スラグをフラックスとして用いて脱りん吹錬を実施した。2チャージ目の脱りん吹錬後は、1チャージ目と同様に中間排滓を行った後、生石灰20kgを添加して脱炭吹錬を実施した。脱炭精錬後、排滓孔兼出鋼孔又は出鋼専用孔から溶鋼を出鋼した。
Figure 2019039032
比較例1では、中間排滓は炉口からスラグを排出した。比較例2では、出鋼専用孔と、開閉する蓋付きの排滓専用孔とを別々に設け、精錬時には排滓専用孔の蓋を閉じて精錬を行い、中間排滓では蓋を開放して排滓専用孔からスラグを排出した。比較例1、比較例2ともに、脱炭精錬後は出鋼専用孔から溶鋼を出鋼した。
また、実施例1〜4では、開閉する蓋付きの排滓孔兼出鋼孔を設け、精錬時には排滓孔兼出鋼孔の蓋を閉じて精錬を行い、中間排滓では蓋を開放して排滓孔兼出鋼孔からスラグを排出した。脱炭精錬後は排滓孔兼出鋼孔から溶鋼を出鋼した。
各比較例と実施例では、上述したように、2チャージずつ脱珪脱りん精錬、脱炭精錬を行った際、中間排滓率は排出したスラグ重量から算出し、また、脱炭精錬後、炉内の溶鋼に所定量の銅を添加して、所定時間経過後、サンプリングし、組成分析した結果から鉄分歩留りを求め、評価した。1チャージ目、2チャージ目それぞれの中間排滓率、鉄分歩留りを表1に示す。
比較例1では、炉口からスラグを排出して中間排滓を行ったため、炉体を大きく傾動したことで、炉壁にスラグが付着し、また、浴の表面積が増大したことにより、中間排滓率は1チャージ目も2チャージ目も50%に満たなかった。
比較例2では、排滓専用孔を転炉回転軸と溶銑浴面の間に設置し、HH/DIも0.15としたため、1チャージ目の中間排滓率は82%と非常に高くなった。しかし、出鋼は出鋼専用孔で行ったため、2チャージ目は排滓専用孔がスラグで詰まったため、排滓専用孔からの中間排滓ができず、そのまま脱炭吹錬に移行せざるを得なかった。
実施例1〜4では、転炉回転軸と溶銑浴面の間に設置した排滓孔兼出鋼孔から中間排滓したため、総じて中間排滓率は高く、特に、HH/DIが0.24より小さい実施例2〜4では中間排滓率は80%以上の結果が得られた。但し、実施例4は排滓孔兼出鋼孔のHH/DIが0.05以下であったため、排滓孔兼出鋼孔の開閉蓋の隙間から地金が流出し、歩留りが悪化した。
1 転炉
2 排滓孔兼出鋼孔
3 炉口
4 トラニオン
5 トラニオンリング
6 転炉回転軸
7 蓋
8 開閉機構
11 炉腹部
12 直胴部
15 溶鉄浴面位置
16 基準浴面
17 溶鉄

Claims (4)

  1. 上底吹き転炉型精錬装置であって、炉直立時に、設計ヒートサイズにおける溶鉄浴面位置を基準浴面と呼び、排滓孔兼出鋼孔が、転炉の炉腹部であって該排滓孔兼出鋼孔の上端が転炉回転軸よりも下方、かつ、該排滓孔兼出鋼孔の下端が前記基準浴面よりも上方に配置されていることを特徴とする上底吹き転炉型精錬装置。
  2. 前記排滓孔兼出鋼孔は、下記式を満たす位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の上底吹き転炉型精錬装置。
    0.05<HH/DI<0.24
    ここで、炉直立時において、HHは前記排滓孔兼出鋼孔の下端と前記基準浴面の差(m)、DIは転炉直胴部の内径を意味する。
  3. 前記排滓孔兼出鋼孔は、当該排滓孔兼出鋼孔を開閉する蓋を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の上底吹き転炉型精錬装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項の上底吹き転炉型精錬装置を用いた溶銑の精錬方法であって、溶銑の脱珪精錬終了後、又は脱珪脱りん精錬終了後に、溶鉄を炉内に残したまま前記排滓孔兼出鋼孔から溶融スラグを排出し、次いで脱炭精錬終了後、前記排滓孔兼出鋼孔から溶鋼を出鋼することを特徴とする溶銑の精錬方法。
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