JPH083612A - 清浄鋼の精錬方法 - Google Patents

清浄鋼の精錬方法

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JPH083612A
JPH083612A JP16065094A JP16065094A JPH083612A JP H083612 A JPH083612 A JP H083612A JP 16065094 A JP16065094 A JP 16065094A JP 16065094 A JP16065094 A JP 16065094A JP H083612 A JPH083612 A JP H083612A
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slag
furnace
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dephosphorization
blast furnace
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JP16065094A
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English (en)
Inventor
Masahito Tsuda
誠仁 津田
Hiroyuki Ikemiya
洋行 池宮
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
  • Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 格別に特殊な設備を要することなく製鋼工程
でのスラグ発生量を極力低減すると共に、発生するスラ
グの有効利用範囲を拡大し、これによってスラグの無為
な廃棄を極めて少なくし得る高清浄鋼の精錬方法を確立
する。 【構成】 清浄性の高い低燐鋼を製造するに当り、図1
に示すように、高炉製錬工程と転炉精錬工程との間に2
回にわたる溶銑の炉外予備脱燐工程を設けると共に、第
1回目の炉外予備脱燐工程でP濃度が0.17〜0.50%の高
含燐溶銑を予備脱燐してP含有量の高い有用スラグを生
成させてこれを排出し、この時得られる脱燐銑を第2回
目の炉外予備脱燐工程で再度脱燐して低燐銑とした後、
第2回目の炉外予備脱燐工程で発生した含燐スラグを高
炉装入原料の一部として高炉に装入することにより高炉
から出銑される溶銑中のP濃度を0.17〜0.50%に維持す
ると共に、得られた低燐銑を転炉精錬して低燐鋼とな
し、一方、この転炉精錬で発生した転炉スラグを前記第
2回目の炉外予備脱燐工程での脱燐剤として用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、製鋼工程から排出さ
れるスラグの量を減らすと共に発生するスラグの利用価
値を向上させ、これによって廃棄スラグの低減を可能と
する清浄性が高い低燐鋼の鋼精錬方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来技術とその課題】現在、わが国では鉄鋼の多くは
“銑鋼一貫製造工程”により製造されている。これは、
「高炉において鉄鉱石を炭材で還元して炭素リッチな銑
鉄を得る製銑工程(高炉製錬工程)」と「この溶銑を転
炉に装入し酸素吹錬により脱炭して鋼を得る製鋼工程」
を連結し一貫工程としたもので、製造能率や製造コスト
等の点で非常に有利であることから鉄鋼製造法の本流を
なすものとなっている。
【0003】ところで、高炉製錬で得られる銑鉄は、前
述したC(炭素)の他に、鉄鉱石に起因する不純物とし
てSi,P等を含んでおり、そのため製鋼工程ではこれら
不純物の低減が図られる。なお、これら不純物のうちの
Pに関しては、わが国で使用されている鉄鉱石はP分が
比較的少ないので溶銑中のP濃度は通常 0.1重量%程度
であるものの、製品中の許容量は多くの場合0.01%以下
であるため、P分の低減にも格別な配慮が払われてい
る。
【0004】C,Si,P等を含む溶銑は、一般には転炉
での酸素吹錬によってこれら元素の低減が図られる。た
だ、脱炭,脱珪が酸素吹錬によりそれほど問題なく進行
するのに対して、脱燐はスラグの塩基度,酸素ポテンシ
ャル,温度等に依存する複雑な反応であるため、脱燐を
円滑に進行させるには操業条件の注意深い調整が必要で
ある。特に処理温度の影響は大きく、終点温度が160
0℃を超える転炉精錬は脱燐に関しては不利である。こ
のため、転炉に投入する造滓剤(特に生石灰)の量を増
やし、高塩基度のスラグを大量に造ることによって脱燐
処理の促進を図っている。
【0005】そのため、転炉精錬において発生する転炉
スラグは年間1000万トン近くにのぼる。この膨大な
量の転炉スラグは、主として未滓化石灰に起因する水和
膨張のため路盤材等としての有効利用が困難であり、現
在のところ殆どが埋め立てに処されている。しかし、埋
め立て処理は、高炉スラグがセメント原料,路盤材等と
して有効利用されていることに比べれば極めて次元の低
い処理法と言わざるを得ない。更に、埋め立てにしても
何処にでも行うことができる処理ではなく、特に近年で
は埋め立て地の確保が困難になりつつあるという問題が
生じている。こうした状況に鑑み、埋め立て処理に代わ
る転炉スラグの有効利用の方法が広く検討されるように
なった。
【0006】そして、このような検討の中から、転炉ス
ラグ有効利用の一手段として転炉スラグを製銑材料(高
炉装入原料)に用いることの可能性が注目され出した。
ただ、転炉スラグは前述したように塩基度が高いので製
銑材料として十分な製錬能を有してはいたが、同時に次
のような問題点も併せ持つものであった。即ち、転炉ス
ラグ中には製鋼工程で移行してきたP(燐)が酸化燐の
形で存在するが、高炉炉内は還元雰囲気となっているの
で、酸化燐を含有する転炉スラグを製銑材料として使用
した場合には高炉炉内でこの酸化燐が還元されてしま
い、スラグ中のP分はほぼ完全に溶銑中へ移行する。こ
のため、製銑製鋼工程を通してP分は溶銑と転炉スラグ
の間を循環して系外へ排出されなくなり、また更に鉄鉱
石に起因する新たなP分が次々と加わることから溶銑中
のPは次第に濃化していく。その結果、遂には転炉で脱
燐できる限界を超えてしまう。
【0007】もっとも、こうした事態を避けるための手
段も検討されており、例えば特開昭55−94420号
や特公平3−66372号として提案されている方法で
は、転炉炉外において予め溶銑に脱燐処理を施すことで
溶銑中のP分をスラグ中に移行させて“脱燐スラグ”と
して系外に排出した後、この予備脱燐された溶銑(脱燐
銑)を転炉精錬に供している〔この方法を“従来法”と
呼び、 そのプロセスを図2に示す〕。つまり、このよう
に炉外で溶銑の予備脱燐処理を施しておけば転炉で発生
するスラグ(転炉スラグ)中にはPが殆ど含まれなくな
り、これを製銑材料として利用しても高炉内における溶
銑中へのPの濃化は微々たるものとなって無視できるよ
うになるわけである。
【0008】なお、図2に示したプロセスを採る上記
“従来法”では溶銑を炉外予備脱燐する際にも造滓剤が
用いられるが、この炉外予備脱燐を導入した方法は通常
の銑鋼一貫プロセス(高炉銑を予備脱燐せずに転炉吹錬
にて脱炭,脱燐を同時に行う方法)と比較して脱燐処理
温度が低い点で有利であり、そのためスラグの発生量は
通常の銑鋼一貫プロセスよりもかなり少なくて済む。具
体的には、通常の銑鋼一貫プロセスではスラグの発生量
は溶銑1トン当り70〜100kg程度であるが、従来
法、即ち炉外予備脱燐の場合には溶銑1トン当り50kg
程度でしかない。
【0009】その上、炉外予備脱燐工程を設けることに
よって次の便益がもたらされることも知られている。即
ち、高炉溶銑を転炉で酸素吹錬して脱炭と同時に脱燐を
行うこれまでの製鋼プロセスでは、転炉精錬での脱燐に
十分な注意を払わなければならないことから炉内(転炉
内)の酸化ポテンシャルを高めに設定した操業が行わ
れ、そのためメタル中のFe,Mn等も大量に酸化されがち
である。なお、これらの酸化物の大部分はスラグ中に移
行するが、一部は溶鋼中に浮遊し、鋳込んだ際に有害な
介在物の原因となる。この問題が、炉外予備脱燐工程を
設けることによって著しく改善される。なぜなら、炉外
予備脱燐工程を取り入れた製鋼プロセスでは転炉吹錬
(脱炭吹錬)に供される溶銑は既にP濃度が十分に低減
されており、従って転炉吹錬に際してはFe,Mn等の酸化
が抑えられる条件で操業を行うことが可能になって、酸
化物の発生を極力抑制できるからである。そこで、介在
物の少ない清浄鋼を転炉で溶製する時には、脱炭に先立
って炉外予備脱燐を施すことが広く行われている。
【0010】しかしながら、この炉外予備脱燐工程を取
り入れた製鋼プロセスも、スラグ処理の点では十分に満
足できるものではなかった。つまり、炉外予備脱燐でも
当然にスラグが発生するが、炉外予備脱燐で発生する脱
燐スラグは比較的高い濃度でPを含有しているので製銑
材料として使用することはできないという問題がある。
このため、前記“従来法”では、発生する転炉スラグに
ついては製銑材料として利用できるものの、炉外予備脱
燐で発生する脱燐スラグはやはり埋め立てによる処分に
頼らざるを得ず、埋め立て処分を必要とする脱燐スラグ
の量は予備脱燐を行わない場合と比較して30〜50%
ばかり減少する程度に過ぎない。もっとも、炉外予備脱
燐で発生する脱燐スラグは通常の銑鋼一貫プロセスで発
生する転炉スラグと比べればP分を多めに含有している
ので、これを肥料,燐酸等の原料として利用することも
考えられないではないが、このような脱燐スラグ程度の
P含有量ではコスト的に釣り合わず、現実的な方策とは
言えなかった。
【0011】一方、特公昭59−37322号公報に
は、「特殊な“純酸素底吹転炉”を用いる製鋼方法の場
合には処理溶銑のP濃度が0.26重量%までであればP濃
度の増大による生石灰使用量の増加は非常に少ない」と
の知見を基に、高炉から出銑される溶銑のP濃度が0.26
重量%を超えない範囲で“上吹転炉スラグ”を高炉装入
原料として利用し、この結果得られる高炉銑を“純酸素
底吹転炉”で処理するようにした「上吹転炉スラグの再
利用法」が提案されている。しかし、この方法は、上記
高炉銑を精錬する際、通常使用されている“酸素上吹転
炉(攪拌ガス等の底吹きを併用するものも含む)”を適
用することができずに特殊な“純酸素底吹転炉”を用い
なければならないという問題を有しており、そのため
「どの工場においても一般的に採用することができる転
炉スラグの再利用法」と言えるものではなかった。しか
も、高炉銑に求められるP濃度の許容値もそれほど高く
はないため、高炉装入原料として利用できる上吹転炉ス
ラグの量が限られる上、“純酸素底吹転炉から排出され
るスラグ”についてはやはり埋め立て地等へ廃棄する以
外の途を示すものではなかった。
【0012】このようなことから、本発明が目的とした
のは、格別に特殊な設備を要することなく製鋼工程での
スラグ発生量を極力低減すると共に、発生するスラグの
有効利用範囲を拡大し、これによってスラグの無為な廃
棄を極めて少なくし得る高清浄鋼の精錬方法を確立する
ことである。
【0013】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は上
記目的を達成すべく鋭意研究を行い、次のような知見を
得るに至った。即ち、本発明者等は、種々検討の結果、
埋め立て地等へ無為に廃棄せざるを得ないスラグの量を
低減するためには鋼の溶製プロセスで発生するスラグの
有用性が高まる方策を講じてその有効利用の途を開くと
共に、スラグの発生量自体がより少なくなるように図る
必要があると考えた。そして、まず、上記鋼の溶製プロ
セスにおいて発生する未滓化石灰を含んだスラグでは、
そのP濃度を高めて肥料又は燐酸等の含燐原料として利
用することが最も現実的であるとの結論を得た。
【0014】しかし、脱炭が主体となる転炉吹錬のみで
脱燐を行う方法では、精錬温度(Pの分配比に大きく影
響する)等の関係から生成スラグのP濃度を高めること
は製品品質(鋼の品質)に悪影響するので採用できず、
そのため、少ないスラグで高効率の脱Pができる炉外予
備脱燐工程を設けると共に、従来の認識とは逆にこの炉
外予備脱燐工程でできるだけP濃度を高いスラグを発生
させて系外へ排出させることを考えた。既述のように、
溶銑の炉外予備脱燐を実施すると転炉(脱炭)吹錬に比
べて低い温度の処理であるので少ないスラグで高効率の
脱Pができ、高いP濃度のスラグを比較的容易に形成す
ることができるが、この場合、炉外予備脱燐に供する高
炉銑のP濃度がある値を上回る高い範囲であると、予備
脱燐で発生する脱燐スラグのP濃度も著しく高くなっ
て、肥料や燐酸等の製造原料として利用できるほどの含
燐原料となることも分かった。
【0015】ただ、こうして得られた溶銑は“脱燐銑”
とはいうものの通常の炉外予備脱燐で得られる脱燐銑よ
りもP濃度が高いことは言うまでもない。従って、更に
脱燐を行わなければ製品の要求レベルを満足できない。
そこで、低燐鋼を得るためには更なる脱燐処理を要する
が、後続の転炉精錬時に併せて脱燐しようとすると先に
も述べたように製品の清浄度が低下するという問題が出
てくる。しかし、この問題は予備脱燐銑に再度の炉外脱
燐処理を施すことにより解決され、その後に脱炭を主体
とする転炉精錬を行った場合には非常に清浄度の高い低
燐鋼を得ることができた。
【0016】しかも、この第2回目の炉外脱燐処理後の
溶銑はP含有量が極めて僅かとなっているため、これに
続く転炉精錬で発生するスラグ(転炉スラグ)中にも酸
化燐は殆ど含まれない。従って、この転炉スラグを第2
回目の炉外脱燐処理時の脱燐剤として使用することがで
き、転炉スラグを廃棄する必要がなくなる。
【0017】その上、第2回目の予備脱燐で発生するス
ラグを“前記炉外予備脱燐工程へ銑鉄を供給する高炉”
の装入原料の一部として循環させると、高炉銑のP濃度
を高い範囲に保つことが可能になり、該高炉から出銑さ
れる高炉銑は“前記第1回目の炉外予備脱燐にて高P脱
燐スラグを発生させるための溶銑”として好都合となる
上、第2回目の炉外脱燐で発生するスラグを廃棄する必
要もなくなる。
【0018】従って、これまでの考え方とは逆に、製鋼
工程に供する溶銑のP濃度を高めた上でまず第1回目の
炉外予備脱燐を施して高P脱燐スラグを発生させた後、
得られた一次脱燐銑に更に第2回目の炉外予備脱燐を施
して続く転炉吹錬で高清浄低燐鋼の製造が可能な程度に
まで溶銑のP濃度を低減させ、次に処理後の二次脱燐銑
を転炉吹錬して脱炭と仕上げ脱燐を行い、この時発生し
た転炉スラグを第2回目炉外予備脱燐の脱燐剤に用いる
と共に、第2回目炉外予備脱燐で発生した含燐スラグを
高炉装入原料の一部として“前記第1回目の炉外予備脱
燐工程へ溶銑を供給する高炉”に装入するという製銑製
鋼操業サイクルを採ることによって、鋼の溶製プロセス
で発生するスラグの量を著しく低減できる上に、鋼の溶
製プロセスから系外へ排出されるスラグもP濃度が著し
く高いものとなって肥料又は燐酸等の含燐原料として有
効利用することが可能になる。
【0019】本発明は、上記知見事項等に基づいて完成
されたものであり、「清浄性の高い低燐鋼を製造するに
当り、 高炉製錬工程と転炉精錬工程との間に2回にわた
る溶銑の炉外予備脱燐工程を設けると共に、 第1回目の
炉外予備脱燐工程でP含有量が0.17〜0.50重量%の高含
燐溶銑を予備脱燐してP含有量の高い有用スラグを生成
させてこれを排出し、 この時得られる脱燐銑を第2回目
の炉外予備脱燐工程で再度脱燐して低燐銑とした後、 第
2回目の炉外予備脱燐工程で発生した含燐スラグを高炉
装入原料の一部として高炉に装入することにより高炉か
ら出銑される溶銑中のP含有量を0.17〜0.50重量%に維
持すると共に、 得られた低燐銑を転炉精錬して低燐鋼と
なし、 一方、 この転炉精錬で発生した転炉スラグ(低燐
スラグ)を前記第2回目の炉外予備脱燐工程での脱燐剤
として使用することにより、 清浄鋼を精錬する工程での
スラグの系外排出を実質的に第1回目の溶銑炉外予備脱
燐時のみに止めると共にその排出量を少なくし、 かつこ
の系外排出スラグの高いP濃度に基づく有効利用性の確
保によって廃棄スラグの低減を可能とした点」に大きな
特徴を有している。
【0020】
【作用】上述の如く、“通常の銑鋼一貫プロセス”や前
記“従来法(従来の炉外予備脱燐導入法)”では溶銑中
のP濃度が増加すると脱燐の負荷が増すので転炉精錬に
供する溶銑のP濃度を高めないことに努力が払われてお
り、“従来法”ではこの転炉精錬に供する溶銑のP濃度
低減策として溶銑の炉外予備脱燐を位置付けているのに
対し、“本発明法”の思想はこれらとは逆で、炉外予備
脱燐の対象になる溶銑としてP濃度の高いものを使用す
るだけでなく、溶銑の炉外予備脱燐(特に第1回目の炉
外脱燐)の位置付けはむしろ溶銑P濃度を高位に保つた
めのものであり、これによってP濃度の高い脱燐スラグ
を生成させようとしている。なお、図1は、上記本発明
法に係る高清浄低燐鋼の精錬プロセス例を示したもので
ある。
【0021】このように、本発明はP濃度の高い溶銑を
炉外予備脱燐し、P濃度の高い脱燐スラグを生成させる
ことを1つの特徴点としているが、このため脱燐スラグ
には肥料又は燐酸等の含燐原料として有効利用できる途
が開かれる。なお、本発明で言う「P含有量の高い有用
スラグ」とは、例えばP含有量が5重量%以上(通常は
15重量%近い高濃度となる)と高くて肥料又は燐酸等
の含燐原料として有効利用できるスラグを意味してい
る。
【0022】ところで、一般に製銑製鋼プロセスにおい
てP濃度の低い低燐鋼を安定して製造するためには、鉄
鉱石中の不純物としてメタル中にPが持ち込まれるのと
同一速度でPを排出することが必要であるが、鉄鉱石か
ら持ち込まれるPを鋼の溶製プロセスにおいてスラグと
して排出する際の「スラグ中のP濃度とスラグ量との関
係」を前記“通常の銑鋼一貫プロセス", "従来法”及び
“本発明法”間で比較すると、図3の通りとなる。この
図3からも確認できるように、同じP濃度の鋼を製造す
る場合には“通常の銑鋼一貫プロセス" や "従来法”で
はP濃度の低いスラグが多量に排出されるのに対して、
“本発明法”ではP濃度の高いスラグを少量だけ造れば
良く、スラグの排出量を大幅に減少させることができ
る。
【0023】ここで、溶銑の炉外予備脱燐時にP濃度の
高い脱燐スラグを生成させるのに最も効果的かつ実際的
な手段は、処理溶銑としてP濃度の高いものを用いるこ
とである。即ち、スラグの脱燐能は次式(P分配比に係
る式)で表される。 この式からも、一定の脱燐能を有するスラグに含有され
るPの濃度を増加させるにはそのスラグと共存するメタ
ル中に含まれるPの濃度を増加させる必要があり、P濃
度の高い脱燐スラグを生成させようとすると炉外予備脱
燐に供する溶銑のP濃度を高めねばならないことが分か
る。
【0024】本発明法において炉外予備脱燐に適用する
溶銑のP濃度は、具体的には0.17〜0.50重量%の範囲と
するのが良い。なぜなら、この範囲よりP濃度が低いと
P分配比の関係からスラグ中のP濃度が十分に高くなら
ず、脱燐スラグ発生量の低減効果が低いばかりか、脱燐
スラグを有効利用する途も開かれない。一方、上記範囲
よりも溶銑P濃度が高い場合には、第1回目の溶銑炉外
予備脱燐によっても溶銑P濃度が所望値まで低下せず、
続く第2回目の炉外予備脱燐時に多量の造滓剤(媒溶
剤)を必要としたり、溶銑の予備処理後もなおP濃度が
高いためにその後に転炉精錬を行っても必要な低燐鋼レ
ベルまで脱燐ができなくなる。
【0025】こうして第1回目の溶銑炉外予備脱燐を行
って得られた溶銑は、既に述べたように脱燐銑とはいう
ものの通常の炉外予備脱燐で得られる脱燐銑よりもP濃
度が高いので、製品の要求レベルを満足する清浄度の高
い低燐鋼を得るためには脱燐銑に再度の(第2回目の)
炉外予備脱燐処理を施す。
【0026】なお、炉外脱燐は一般的に用いられる取
鍋,ト−ピ−ドあるいは予備脱燐の容器として好適であ
ることが既に知られている転炉等を使って実施すれば良
いが、何れにしても転炉(脱炭)精錬に比べて低い温度
の処理であるため少ないスラグで高効率の脱燐が可能
で、この点と第1回目の炉外予備脱燐でP濃度の高い脱
燐スラグを生成させ排出することが本発明をして系外へ
持ち出す脱燐スラグの発生量を少なくすることにもつな
がっている。
【0027】さて、本発明において第1回目の炉外予備
脱燐に処する溶銑のP濃度を0.17〜0.50重量%とするた
めには、“高炉から出銑される溶銑”のP濃度を増加さ
せ、これを0.17〜0.50重量%と通常の溶銑の場合よりも
高く調整することが必要である。そのため、本発明で
は、第2回目の炉外予備脱燐処理を行った際に発生する
脱燐スラグを高炉装入原料の一部として高炉に装入す
る。ここでの高炉装入原料とは、直接高炉に装入する原
料だけでなく、焼結鉱やペレットの形にしてから装入す
る原料をも含むものであり、後者の場合には、上記脱燐
スラグは焼結鉱やペレットの原料として用いられる。こ
れは、第2回目の炉外脱燐処理で発生する脱燐スラグが
未滓化の生石灰を多く含んでいるので高炉装入原料の一
部として高炉に装入すれば製銑原料の原単位減につなが
るばかりか、第1回目の炉外予備脱燐にて発生するスラ
グに比べれば低レベルではあるが溶銑からのPを吸収し
ているので、高炉へ装入すると酸化物の形態で転炉スラ
グ中含まれいたPは炉内の還元雰囲気のために還元され
て溶銑中へ移行し“比較的P含有量の低い鉄鉱石を使用
するわが国の高炉製錬”においても高炉内溶銑のP濃度
を高めて0.17〜0.50重量%のレベルを維持するのに役立
ち、前記第1回目の炉外予備脱燐にP濃度の高い溶銑を
安定供給することを可能にする。
【0028】第2回目の炉外予備脱燐処理で得られた二
次脱燐銑に対しては、脱炭並びに仕上げ脱燐のため転炉
精錬が施され、清浄度の高い低燐鋼とされる。この転炉
精錬で発生する転炉スラグには酸化燐は殆ど含まれない
ので、これを第2回目の炉外予備脱燐処理時の脱燐剤と
して使用することができ、転炉スラグを系外へ廃棄する
必要はない。
【0029】このように、炉外予備脱燐後の転炉精錬で
発生した転炉スラグは第2回目の炉外予備脱燐処理時の
脱燐剤として利用され、また第2回目の炉外予備脱燐処
理で発生する脱燐スラグは高炉装入原料として利用され
るので、これらの工程で使用する造滓剤(媒溶剤)の原
単位増(即ち転炉精錬で使用する造滓剤の原単位増)に
よるコストアップは、高炉製錬における“バ−ジンの製
銑原料の原単位減によるコストダウン”と相殺されるの
で問題とはならない。
【0030】なお、具体的には、本発明法によると系外
に排出されるスラグの量(第1回目の炉外予備脱燐処理
時に発生するスラグの量)を容易に溶鋼トン当り20kg
以下とすることができ、従来法の 1/3 1/5に減少す
る。しかも、この系外に排出されるスラグも、含有され
る酸化燐濃度が15重量%近い高濃度となるので燐酸肥
料や工業用燐酸の原料として有効に利用することが可能
である。
【0031】続いて、実施例により本発明の効果を更に
具体的に説明する。
【実施例】まず、比較のため、図2に示す溶銑の炉外予
備脱燐を取り入れた銑鋼一貫プロセスで鋼を溶製した。
この際、高炉から出銑時の溶銑中P濃度は0.10重量%で
あったが、この溶銑を出銑樋で予備脱燐したところ溶銑
中のP濃度は0.02重量%まで低下し、発生したスラグ量
は溶銑1トン当り50kgであった。続いてこの脱燐銑を
上底吹転炉で脱炭製錬した結果、得られた製品溶鋼のP
濃度は 0.008重量%で、発生した転炉スラグ量は40kg
であった。この転炉スラグを製銑原料として高炉に装入
したところ、高炉から出銑される溶銑中のP濃度は0.13
重量%まで上昇したにすぎなかった。
【0032】一方、本発明法を実際の製銑製鋼プロセス
に適用し、以下の結果を得た。即ち、初めに図2で示す
プロセスを採る銑鋼一貫工場において発生した脱燐スラ
グ,転炉スラグを製銑原料として全量連続的に高炉に装
入した。このため、出銑された溶銑中のP濃度は当初の
約0.10重量%から次第に濃化して行き、0.20重量%に到
達した。そこで、予備脱燐容器として上底吹転炉を適用
し、上記高炉から供給されたP濃度が0.20重量%の溶銑
に造滓剤(媒溶剤)を1トン当り15kg添加して酸素吹
精するという第1回目の炉外予備脱燐処理を行った。こ
の結果、溶銑中のP濃度は0.10重量%にまで低下し、脱
燐スラグ中のP濃度は 7.3重量%に達した。この脱燐ス
ラグは系外に排出した。
【0033】次いで、こうして得られた一次脱燐銑を別
の上底吹転炉に装入し、後工程の転炉吹錬で発生した転
炉スラグと造滓剤(媒溶剤)を脱燐剤として添加し酸素
吹精する第2回目の炉外予備脱燐処理を行った。その結
果、溶銑中のP濃度は0.02重量%にまで低下し、発生し
た脱燐スラグ中のP濃度は 1.2重量%であった。この含
Pスラグは製銑原料として高炉に装入した。
【0034】次に、得られた二次脱燐銑を更に別の上底
吹転炉に装入し、造滓剤(媒溶剤)を7kg添加して酸素
吹精を行い脱炭と仕上げ脱燐を行った。この結果、非常
に清浄度の高い溶鋼が得られ、また該溶鋼のP濃度は
0.007重量%にまで低減されていることが分かった。
【0035】このように、上記本発明法の実施試験によ
って、高P濃度の溶銑を2回にわたって炉外予備脱燐す
ると共に、転炉スラグを2回目の炉外脱燐時の脱燐剤と
して利用し、かつ2回目の炉外脱燐で発生した脱燐スラ
グを製銑原料として高炉に装入するという本発明プロセ
スにより、高炉から出銑される溶銑中のP濃度は0.18〜
0.23重量%に、またこれを予備脱燐し転炉精錬して得ら
れる溶鋼中のP濃度は0.01重量%以下に安定して維持さ
れ、清浄度の高い低燐鋼の安価でかつ安定な溶製を行え
ることを確認できた。
【0036】また、この際に系外へ排出される脱燐スラ
グは溶鋼1トン当り15〜20kgの範囲に収まってい
た。これは、前記“従来法”の 1/2 1/3であり、この
プロセスによるスラグ減量効果が現れているものと言え
る。また、系外へ排出される前記脱燐スラグ中のP濃度
は 7.0〜 7.5重量%の範囲にあり、この脱燐スラグを燐
鉱石の代替品として燐酸プラントで使用した結果、脱燐
スラグは特に問題なく燐鉱石の代わりに利用できること
が確認された。
【0037】
【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、製鋼プロセスから排出されるスラグの量を大幅に低
減できる上に該排出スラグを燐酸,肥料等の原料として
有効利用することも可能にする高清浄鋼の一貫製造法
を、特殊な設備や格別なコスト増を伴うことなく提供す
ることができ、製銑製鋼工程の系外に排出される“廃棄
処分が必要なスラグ”の量を激減させることが可能にな
るなど、産業上極めて有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高清浄鋼を溶製する製銑製鋼プロ
セスの概要説明図である。
【図2】従来法に係る製銑製鋼プロセスの概要を示す説
明図である。
【図3】鉄鉱石から持ち込まれるPをスラグとして排出
する際の「スラグ中のP濃度とスラグ量との関係」を通
常の銑鋼一貫プロセス,従来法及び本発明法とで比較し
たグラフである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高炉製錬工程と転炉精錬工程との間に2
    回にわたる溶銑の炉外予備脱燐工程を設けると共に、第
    1回目の炉外予備脱燐工程でP含有量が0.17〜0.50重量
    %の高含燐溶銑を予備脱燐しP含有量の高い有用スラグ
    を生成させてこれを排出し、この時得られる脱燐銑を第
    2回目の炉外予備脱燐工程で再度脱燐して低燐銑とした
    後、第2回目の炉外予備脱燐工程で発生した含燐スラグ
    を高炉装入原料の一部として高炉に装入することにより
    高炉から出銑される溶銑中のP含有量を0.17〜0.50重量
    %に維持すると共に、得られた低燐銑を転炉精錬して低
    燐鋼となし、一方、この転炉精錬で発生した転炉スラグ
    を前記第2回目の炉外予備脱燐工程での脱燐剤として使
    用することを特徴とする清浄鋼の精錬方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007231398A (ja) * 2006-03-03 2007-09-13 Jfe Steel Kk 溶鋼の精錬方法
JP2017088919A (ja) * 2015-11-04 2017-05-25 新日鐵住金株式会社 コールドリサイクル方法
CN107299193A (zh) * 2017-06-21 2017-10-27 湖北高新智控机械有限公司 基于复合喷吹法的钢水炉外脱磷处理系统及其方法
JP2020176317A (ja) * 2019-04-22 2020-10-29 日本製鉄株式会社 溶銑脱燐方法

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