JP2002338725A - 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子及びこれを用いた発泡成形体 - Google Patents
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子及びこれを用いた発泡成形体Info
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Abstract
成形して得られる発泡成形体に収容された内容物の成形
体外壁もしくは成形体内部への浸透を抑制する。 【解決手段】 3.0〜5.5重量%の易揮発性発泡剤
を含有する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、該
易揮発性発泡剤の30〜60重量%がイソペンタンであ
り、かつ、該樹脂粒子100重量部に対して0.2〜
0.5重量部のステアリン酸亜鉛で被覆されていること
を特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いる。
Description
ン系樹脂粒子に関するものである。更に詳しくは、予備
発泡し、成形して得られる発泡成形体とした場合に、該
発泡成形体内に収容した内容物が外部へ浸透する性質を
顕著に抑制することを可能とする発泡性ポリスチレン系
樹脂粒子に関するものである。
から造られた発泡成形体は、経済性、軽量性、断熱性、
強度、衛生性に優れ、食品容器、緩衝材、断熱材等に利
用されている。本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子
は、例えば、即席麺、フライドチキン、カレー、コーヒ
ーなどの食品容器や、界面活性剤水溶液の容器、エアコ
ンに用いられるドレンパン等の発泡成形材料として好適
である。
や熱風等により加熱すると、粒子内に多数の気泡が生成
し、予備発泡粒子となる。この予備発泡樹脂粒子を所望
の形状を有する金型内に充填し蒸気により加熱すると、
上記予備発泡粒子が互いに融着し発泡成形体を得ること
ができる。
た発泡体は粒子同士が融着して金型通りの形状を形作っ
ているが、粒子同士が完全に一体化しているわけではな
いため、粒子融着面に微細な毛細管が存在している。よ
って、例えば成形体を容器として使用する場合、収容さ
れる内容物の種類によっては、内容物の成分が成形体の
外壁あるいは成形体の内部に浸透してくる恐れがある。
合衆国特許4840759号公報では発泡剤にイソペン
タンを用いる方法が提案されている。しかし、この方法
が目的とするコーヒーを内容物とする場合は実質的な浸
透を防止することが可能であるが、界面活性剤溶液のよ
うな浸透力の強い内容物の浸透を防止することは困難で
あった。尚、界面活性剤溶液での浸透を防止することが
可能であれば、内容物として油分を含む広範囲の内容物
について、浸透が防止できることが知られており、浸透
性を計る1つのテスト法として用いられている。
特開平03−72535号公報、特開平03−1909
41号公報、特開平11−322995号公報では、界
面活性剤溶液を含む浸透力の強い内容物の浸透を防止す
る方法として、フッ素系高分子で発泡性ポリスチレン系
樹脂粒子表面を被覆する方法が提案されている。この方
法を用いれば、界面活性剤溶液の浸透を抑制することが
可能であるが、フッ素系高分子が非常に高価であるため
コスト的に不利となり、成形時に融着を阻害する傾向を
有するため、成形条件を慎重に管理しなければ得られた
成形体の機械的強度が低くなる場合が生じるという問題
があった。
究した結果、本発明者らは、易揮発性発泡剤中にイソペ
ンタンを30〜60重量%含有する易揮発性発泡剤を使
用して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造し、更にそ
の粒子表面をステアリン酸亜鉛0.2〜0.5部で被覆
した上で発泡成形させることにより、得られた発泡成形
体は界面活性剤溶液の浸透を実質的に防止できることを
見い出し、本発明を完成した。
5重量%の易揮発性発泡剤を含有する発泡性ポリスチレ
ン系樹脂粒子であって、該易揮発性発泡剤の30〜60
重量%がイソペンタンであり、かつ、該樹脂粒子100
重量部に対して0.2〜0.5重量部のステアリン酸亜
鉛で被覆されていることを特徴とする発泡性ポリスチレ
ン系樹脂粒子(請求項1)、請求項1に記載の発泡性ポ
リスチレン系樹脂粒子を予備発泡して得られる予備発泡
粒子(請求項2)、請求項2に記載の予備発泡粒子を発
泡成形して得られる発泡成形体(請求項3)、発泡成形
体が食品容器である請求項3に記載の発泡成形体(請求
項4)が提供される。
詳細に説明する。
粒子は、一般に知られている発泡性ポリスチレン系樹脂
の粒状物で、スチレンを主成分とするものであり、スチ
レンの単独重合体でも、α−メチルスチレン、パラメチ
ルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレンなど
のスチレン系誘導体、メチルアクリレート、ブチルアク
リレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレー
ト、セチルメタクリレートなどのアクリル酸およびメタ
クリル酸のエステル、あるいはアクリロニトリル、ジメ
チルフマレート、エチルフマレートなどの各種単量体と
の共重合体でもよい。また、ジビニルベンゼン、アルキ
レングリコールジメタクリレートなどの2官能性単量体
を併用してもよい。
特に限定するものではないが、薄肉の食品容器などに用
いる場合は0.2〜0.6mmのものを用いるのが好まし
い。重量平均分子量は一般に発泡ポリスチレンとして使
用可能な15万〜40万、好ましくは25万〜35万の
ものを使用することができる。
粒子は、通常の懸濁重合法、もしくは水性懸濁液中に分
散したスチレン系樹脂種粒子にスチレン系単量体を添加
して該種粒子に含浸させながら重合せしめるいわゆる懸
濁シード重合法によって製造されたものを使用すること
ができる。懸濁シード重合法に用いる樹脂種粒子は、
(1)通常の懸濁重合法、(2)重合性単量体を規則的
な振動下にノズルを通すことにより液滴群として水性媒
体中に分散させ、合着および付加的な分散を生じせしめ
ることなく重合させる方法、などによって得ることがで
きる。
発性発泡剤量の30〜60重量%、好ましくは35〜5
5重量%、特に好ましくは35〜50重量%含む易揮発
性発泡剤を用いる。イソペンタンが30重量%を下回る
と、界面活性剤溶液など浸透力の強い内容物の浸透を十
分に防止できないため好ましくなく、60重量%を超え
ると、成形体の粒子間隙が多くなり表面美麗性を損なう
ため好ましくない。
泡剤としては、プロパン、ノルマルブタン、イソブタ
ン、ノルマルペンタン、ノルマルヘキサンなどの脂肪族
炭化水素、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキ
サンなどの脂環式炭化水素、ジフルオロエタン、テトラ
フルオロエタンなどのオゾン破壊係数がゼロであるフッ
化炭化水素などが挙げられるが、ノルマルペンタンとイ
ソペンタンを併用するのが好ましく、更にブタンを併用
してもよい。
量は、全易揮発性発泡剤量の70〜40重量%となる。
本発明における易揮発性発泡剤の使用量は、3.0〜
5.5重量%である。好ましくは3.3〜5.0重量
%、特に好ましくは3.5〜4.5重量%である。3.
0重量%より少ないと、成形時の融着率が低下する傾向
を有するため好ましくなく、5.5重量%を越えると、
成形体の粒子間隙が多くなり表面美麗性を損なう傾向を
有するため好ましくない。これらの発泡剤は発泡性ポリ
スチレン系樹脂粒子の重合工程中に添加してもよいし、
重合工程終了後に添加してもよい。
樹脂粒子の予備発泡時間を短縮するために、可塑剤とし
て流動パラフィンを用いてもよい。特に食品容器として
用いる場合、流動パラフィンは食品添加物として登録さ
れているため、安心して使用できる。使用量は0.05
〜1.0重量部であるのが好ましく、0.05重量部未
満では予備発泡時間の短縮がほとんどみられず、1.0
重量部を超えると成形して得られる発泡成形体の表面に
べとつきが生じるため好ましくない。
止、金型からの離型促進、食品容器等における内容物の
浸透防止を目的として、ステアリン酸亜鉛を0.2〜
0.5重量部の範囲で用いることを要件とする。従来技
術において、ステアリン酸亜鉛を予備発泡時の集塊化防
止剤として使用するのは公知であるが、その使用料はせ
いぜい0.2重量部未満であった。ステアリン酸亜鉛の
使用量が0.2重量部を下回ると界面活性剤溶液の浸透
を十分抑制できなくなる傾向を有し、0.5重量部を超
えると成形時の融着が不十分となる傾向となる。ステア
リン酸亜鉛を発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とともにヘ
ンシェルミキサーなどの混合機内で一定時間混合するこ
とにより、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子表面にステア
リン酸亜鉛を被覆または付着させることができる。な
お、本発明では、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子表面に
ステアリン酸亜鉛が被覆または付着等により、何らかの
形で存在する状態を被覆と表現している。
の使用も可能であり、例えば、ステアリン酸アミドなど
の高級脂肪酸アミド、硬化ひまし油、硬化大豆油等の高
級脂肪酸グリセライドなどが挙げられる。
るグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、脂肪酸モノグリセライドなどの1種また
は2種以上の併用も可能である。
粒子の予備発泡方法は、従来公知の方法を用いることが
できる。例えば、回転攪拌式予備発泡装置で、水蒸気を
用いて加熱することにより、予備発泡粒を得ることがで
きる。また、得られた予備発泡粒子を所望の形状の金型
内に充填し、水蒸気等を用いて加熱することにより発泡
成形体とすることができる。
ら成形された発泡成形体は、即席麺、カレールウ、シチ
ュー、マヨネーズ、マーガリン、ドーナツ、ハンバーガ
ー、フライドチキン、コーヒー等の食品容器や、界面活
性剤水溶液の容器、エアコンに用いられるドレンパン等
の発泡成形材料として使用される。
本発明はこれらにより限定されるものではない。
機を具備した5リットル反応器に、純水1.5リット
ル、第三リン酸カルシウム9.7g、アルファオレフィ
ンスルフォン酸ソーダ1重量%水溶液15cc、塩化ナ
トリウム1.7g、粒子径が0.2〜0.3mmのスチ
レン系樹脂種粒子427gを入れ、攪拌下に反応器中の
分散液を90℃に昇温した。次いで、ベンゾイルパーオ
キサイド3.6g、1,1−ビス−t−ブチルパーオキ
シ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン3.0gを
スチレン単量体1280gに溶解した溶液を5時間かけ
て反応器中に仕込みながら重合した。単量体溶液の仕込
みが終了した後、直ちに120℃に昇温して3時間後重
合を行った。その後所望の易揮発性発泡剤を系内に仕込
み更に3時間120℃で保持した後、冷却した。懸濁液
を取り出し脱水・乾燥したところ、粒子径が0.3〜
0.5mm、重量平均分子量が30万の発泡性ポリスチ
レン系樹脂粒子が得られた。
に記した製造法により、表1に示す易揮発性発泡剤を含
有させて得られた発泡性ポリスチレン樹脂粒子1000
g(100重量部)をヘンシェルミキサーに入れ、攪拌
しながら表1に示す重量部数のポリエチレングリコール
(分子量400)、シリコンオイル、ステアリン酸亜鉛
を順次加え、被覆された発泡性スチレン系樹脂粒子を得
た。
約95℃の水蒸気中で嵩密度が98g/Lになるまで約
6分間発泡し、予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡
粒子を室温で約20時間養生乾燥した後、内容積500
ml、肉厚2mmのカップ状金型内に充填し、2.4k
gf/cm2の水蒸気で5秒加熱し、冷却後金型よりカ
ップ状発泡成形体を得た。
行った。 (1)融着率:カップ状成形体の側壁を手で割り、破断
面に存在する全ての粒子の内、発泡粒子そのものが破断
している粒子の割合を百分率で表した。 (2)表面粒子間隙:粒子間隙がほとんどないものを
◎、印刷しても色飛びがほとんどなく、実用上問題のな
いものを○、印刷すると色飛びが認められ使用不可能な
ものを×とした。 (3)界面活性剤溶液浸透試験:花王社製スコアロール
コンク700を0.1重量%含む界面活性剤水溶液約4
00gをカップ状成形体に入れ、カップ外壁面に界面活
性剤水溶液が浸透し、水滴が現れ始める時間を測定し
た。30分以上が合格である。カップ状発泡成形体の評
価結果を表2に示す。
は、イソペンタンを30〜60重量%含む易揮発性発泡
剤を3.0〜5.5重量%含有し、かつ、ステアリン酸
亜鉛0.2〜0.5重量部で被覆されており、これを予
備発泡・成形すると融着に優れ、工業的に不必要なコス
ト高を防止できた良好な成形体が得られるとともに、特
に成形体に収容された内容物の成形体の外壁もしくは成
形体の内部への浸透性を極めて抑制することができた発
泡成形体を得ることができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 3.0〜5.5重量%の易揮発性発泡剤
を含有する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子であって、該
易揮発性発泡剤の30〜60重量%がイソペンタンであ
り、かつ、該樹脂粒子100重量部に対して0.2〜
0.5重量部のステアリン酸亜鉛で被覆されていること
を特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。 - 【請求項2】 請求項1に記載の発泡性ポリスチレン系
樹脂粒子を予備発泡して得られる予備発泡粒子。 - 【請求項3】 請求項2に記載の予備発泡粒子を発泡成
形して得られる発泡成形体。 - 【請求項4】 発泡成形体が食品容器である請求項3に
記載の発泡成形体。
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- 2001-05-17 JP JP2001148113A patent/JP4622155B2/ja not_active Expired - Fee Related
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