JP2022095530A - 発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。 - Google Patents

発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。 Download PDF

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太郎 木口
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Abstract

【課題】帯電防止剤等の粉はく離を抑制しつつ、低表帯電性を有する発泡成形体を得ることに適した発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法を提供する。【解決手段】発泡剤を含有する発泡性熱可塑性樹脂粒子本体を得る工程と、発泡性熱可塑性樹脂粒子本体の表面に所定量のアルキルアミンを90%以上含む液状の帯電防止剤A塗布する第1塗布工程と、第1塗布工程後に発泡性熱可塑性樹脂粒子本体の表面に所定量のアルキルアミンを90%以上含む粉状の帯電防止剤B1又は脂肪酸グリセライドを90%以上含む粉状の帯電防止剤B2の少なくとも1種を塗布する第2塗布工程とを備える発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法に関する。
発泡性熱可塑性樹脂粒子は、比較的安価で、特殊な方法を用いずに蒸気等で発泡成形ができ、高い緩衝・断熱の効果が得られる為、社会的に有用な材料である。得られた発泡成形体は、魚箱、農産箱、食品用容器、家電製品等の緩衝材、建材用断熱材等の幅広い用途に使用されている。例えば、スチレン系樹脂粒子に発泡剤(すなわち該粒子を僅かに膨潤せしめるにとどまる易揮発性の脂肪族炭化水素、例えばブタン、ペンタン等)を含浸せしめる方法により製造された発泡性スチレン系樹脂粒子がある。
近年、家電製品や精密部品の緩衝材として使用される際に、精密部品への埃等の予防の観点から、低帯電性、すなわち低表面抵抗を有する緩衝材が要求されている。
かかる問題に対して、特許文献1では、発泡性スチレン系粒子を製造し乾燥後、炭素数が13~20のヒドロキシアルキルアミン系化合物(N-ヒドロキシエチル-N-(2-ヒドロキシテトラデシル)アミン)と混合する方法が提案されている。
また、特許文献2では、ヒドロキシアルキルアミン(N-ヒドロキシエチル-N-(2-ヒドロキシテトラデシル)アミン)と脂肪酸アマイドを被覆してなる発泡性スチレン系樹脂粒子が提案されている。
特許文献3では、N-ヒドロキシエチル-N-2-ヒドロキシアルキルアミンを含み、前記化合物が、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に対して、0.036~0.10重量%含まれていることを特徴とする発泡性樹脂粒子が提案されている。
特許文献4では、N-ヒドロキシエチル-N-2-ヒドロキシアルキルアミンを脱水後の発泡性スチレン系樹脂粒子に塗布する製造方法が提案されている。
特開平07-278340号公報 特開2005-015593号公報 特開2013-72039号公報 特開2017-114987号公報
特許文献1~4の手法においては、樹脂粒子の配管輸送、予備発泡工程等で、帯電防止剤が樹脂粒子から剥がれる問題があり、効率的に帯電防止性能を発現し難い傾向があった。
本発明は、粉体のはく離を抑制し、低帯電性を有する発泡成形体を得ることに適した発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、かかる問題に対して、発泡性熱可塑性樹脂粒子本体に対し、特定の液状の帯電防止剤を粒子表面に塗布し、次いで、特定の粉状の帯電防止剤を塗布することで、樹脂粒子本体からの粉状の帯電防止剤等のはく離を抑制することを見出した。
すなわち本発明の一実施形態は、以下の構成を含むものである。
[1]発泡剤を含有する発泡性熱可塑性樹脂粒子本体を得る工程と、
前記発泡性熱可塑性樹脂粒子本体の表面に、前記発泡性熱可塑性樹脂粒子本体100重量部に対して、アルキルアミンを90%以上含む液状の帯電防止剤Aを、0.01重量部以上3重量部以下塗布する第1塗布工程と、
前記第1塗布工程後に、前記発泡性熱可塑性樹脂粒子本体の表面に、アルキルアミンを90%以上含む粉状の帯電防止剤B1又は脂肪酸グリセライドを90%以上含む粉状の帯電防止剤B2の少なくとも1種を塗布する第2塗布工程と、
を備え、
前記第2塗布工程では、前記発泡性熱可塑性樹脂粒子本体100重量部に対する、
前記帯電防止剤B1の使用量は、0重量部以上9重量部以下であり、
前記帯電防止剤B2の使用量は、0重量部以上9重量部以下であり、
前記帯電防止剤Aに対する、前記帯電防止剤B1と前記帯電防止剤B2の合計の重量比率が1~10である、発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。
[2] 前記発泡性熱可塑性樹脂粒子本体の表面に、前記発泡性熱可塑性樹脂粒子本体
100重量部に対して、更に融着阻害剤を0.5重量部以下塗布する、[1]に記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。
[3] 前記帯電防止剤A、前記帯電防止剤B1及び前記帯電防止剤B2は、水に難溶である、[1]又は[2]に記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。
[4] 前記帯電防止剤Aのアルキルアミンが、アルキル基の炭素数が10~20である、ポリオキシエチレンアルキルアミン、又はアルキルアルカノールアマイドの、少なくとも1種を含有する、[1]~[3]のいずれか1項に記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。
[5] 前記帯電防止剤B1のアルキルアミンが、分子中に一つのアミノ基及び二つのヒドロキシル基を有するN、N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アルキルアミン(アルキル基の炭素数C=10~20)を含む、[1]~[4]のいずれか1項に記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。
[6] 前記帯電防止剤B2の脂肪族グリセリドが、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、及び脂肪酸トリグリセリドよりなる群から選択される少なくとも1種を含有する、[1]~[5]のいずれか1項に記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。
本発明によれば、発泡剤を含有する発泡性熱可塑性樹脂粒子本体に、液状の帯電防止剤を塗布し、次いで、粉状の帯電防止剤を添付することにより、予備発泡工程や成形工程での、帯電防止剤等の粉はく離による装置の汚染を抑制し、低表面抵抗を有する発泡成形体の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態または実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態または実施例についても、本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意図する。
本明細書においては、発泡性熱可塑性樹脂粒子そのもの(それ自体)を「発泡性熱可塑性樹脂粒子本体」と称し、発泡性熱可塑性樹脂粒子本体の表面に、外添剤(帯電防止剤、融着阻害剤)等が塗布されたものを「発泡性熱可塑性樹脂粒子」と称し、発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡(一次発泡)させてなる粒子を「予備発泡粒子」と称する。
・ 発泡性熱可塑性樹脂粒子〕
〔本発明の一実施形態の概要〕
発泡性熱可塑性樹脂粒子本体に帯電防止剤を添付した発泡性熱可塑性樹脂粒子を用いて、低表面抵抗を有する発泡成形体を製造する方法が知られている。帯電防止剤の働きは、樹脂粒子自体の表面に存在する帯電防止剤が空気中の水分を吸着することによって、帯電防止能を発揮している。
特許文献1~4には、帯電防止剤(N-ヒドロキシエチル-N-(2-ヒドロキシアルキル)アミン)等を、発泡性スチレン系樹脂粒子自体に添付する方法が提案されているが、発泡性チレン系樹脂粒子が、予備発泡工程、成形工程等の配管内を移動中に、帯電防止剤が剥がれ(粉はく離)、均一に塗布し効率的に帯電防止性能を発現し難い傾向があり、更に、発泡性チレン系樹脂粒子から剥離した粉が配管内等に付着し装置を汚染するという課題がある。
本発明の一実施形態では、上述した技術課題を解決するものである。すなわち、発泡性熱可塑性樹脂粒子本体に添付した帯電防止剤が剥がれがたく、更に、低表面抵抗を有する発泡成形体を得ることに適した発泡性熱可塑性樹脂粒子を提供できる。更に、本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子は、上述した技術課題だけでなく、樹脂粒子の流動性を良好な状態に維持しつつ、更に、良好な融着性を有する発泡成形体を得ることに適した発泡性樹脂粒子を提供できる。すなわち、本発明では、樹脂粒子の流動性を良好な状態に維持し、粉体のはく離を抑制し、さらに、良好な融着性及び低帯電性を有する発泡成形体を得ることに適した発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法を提供できる。
〔発泡性熱可塑性樹脂粒子本体〕
発泡性熱可塑性樹脂粒子本体は、基材樹脂及び発泡剤、必要に応じて添加剤を含む発泡性樹脂からなる粒子である。
(基材樹脂)
本明細書における基材樹脂とは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリテトラフルオエチレン、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂があげられる。
これらの熱可塑性樹脂は、適宜添加剤とのブレンドで、押出機による溶融混錬により、樹脂粒子として得られる。又、耐圧容器を用い、添加剤を溶解した単量体を、水系懸濁重合法やシード重合法で重合した樹脂粒子でも構わない。
単量体を重合法で製造するスチレン系樹脂としては、スチレンの単独重合体、スチレン単量体と、スチレン単量体以外の単量体との共重合体であってもよい。スチレン単量体以外の単量体としては、エチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、スチレン系誘導体、アクリル酸エステル等が挙げられる。上記スチレン系誘導体としては、α-メチルスチレン、パラメチルスチレン、t-ブチルスチレンおよびクロルスチレン等が挙げられる。上記アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエステルが挙げられる。これらのスチレン単量体以外の単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
又、上記の発泡性スチレン系樹脂粒子本体に、非イオン界面活性剤を塗布後、乾燥することにより、樹脂粒子表面にクラック構造を形成した発泡性スチレン系樹脂粒子本体を用いても構わない。クラック構造を形成することによって、第1塗布工程にて塗布する液状の帯電防止剤Aの添付力が増大する傾向がある。非イオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンパルミテート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンオレエート等が挙げられる。これら非イオン界面活性剤は、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(発泡剤)
発泡剤を樹脂粒子に含浸する方法は、押出機で溶融混錬した樹脂中に発泡剤を圧入する方法(クエンチ法)や、押出機で得られた樹脂粒子を、耐圧容器内で樹脂融点より低い温度で、発泡剤を含浸する方法(ミニペレ後含浸法)等の、公知の方法が知られている。一方、重合法で製造する場合は、耐圧容器内で、重合後の樹脂粒子に発泡剤を含浸する等の、公知の方法が知られている。
発泡剤としては、プロパン、ブタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素;シクロブタン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素;メチルクロライド、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素;等が挙げられる。その中でも、発泡力が良好である点から、ブタンがより好ましい。これら発泡剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
発泡性熱可塑性樹脂粒子本体における発泡剤の含有量は、最終製品である発泡成形体の所望する倍率で適時選定されるが、発泡性熱可塑性樹脂粒子本体100重量部に対し、3.0重量部以上であることが好ましく、3.5重量部以上であることがより好ましく、また、7.0重量部以下であることが好ましく、5.0重量部以下であることがより好ましい。発泡剤の含有量が上記範囲であれば、予備発泡工程において加熱時間が長くなることを防ぎ、ブロッキングを抑制すると共に、発泡成形体の製造にかかる時間を短縮し、成形工程の成形サイクルを短くすることができる。
(添加剤)
基材樹脂に適宜添加する添加剤としては、溶剤、可塑剤、造核剤、難燃剤、難燃助剤等が挙げられる。
溶剤および可塑剤の具体例としては、へキサン、ヘプタン等の炭素数6以上の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、シクロオクタン等の炭素数6以上の脂環族炭化水素、ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、グリセリントリステアレート、グリセリントリカプリレート、ヤシ油、パーム油、菜種油;等が挙げられる。
造核剤の具体例としては、メタクリル酸メチル系共重合体、ポリエチレンワックス、タルク、脂肪酸ビスアマイド、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。脂肪酸ビスアマイドの具体例としては、例えば、メチレンビスステアリルアマイド、エチレンビスステアリルアマイド、ヘキサメチレンビスパルミチン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイド等が挙げられる。
難燃剤としては、公知の難燃剤を使用することができる。具体例としては、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモブタン、ヘキサブロモシクロヘキサン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系化合物;テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールF、2,4,6-トリブロモフェノール等の臭素化フェノール類;テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA-ジグリシジルエーテル、2,2-ビス[4’-(2”,3”-ジブロモアルコキシ)-3’,5’-ジブロモフェニル]-プロパン等の臭素化フェノール誘導体;臭素化スチレン-ブタジエンブロック共重合体、臭素化ランダムスチレン-ブタジエン共重合体、臭素化スチレン-ブタジエングラフト共重合体等の臭素化ブタジエン-ビニル芳香族炭化水素共重合体(例えば、Chemtura社製のEMERALD3000、若しくは、特表2009-516019号公報に記載されている共重合体);等が挙げられる。
難燃助剤としては、公知の難燃助剤を使用することができる。具体例としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン等が挙げられる。
これら添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
〔発泡性熱可塑性樹脂粒子本体の体積平均粒子径〕
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子本体の体積平均粒子径は、発泡性熱可塑性樹脂粒子本体の平均粒子径ともいえる。本発泡性熱可塑性樹脂粒子の体積平均粒子径は、発泡成形体の用途等に応じて適宜に設定することができるが、成形性の観点から、0.5mm以上であることが好ましく、0.6mm以上であることがより好ましく、2.0mm以下であることが好ましく、1.2mm以下であることがより好ましい。なお、本願明細書において、発泡性熱可塑性樹脂粒子本体の体積平均粒子径は、画像処理方式マイクロトラックJPAを使用して測定される値である。
〔発泡性熱可塑性樹脂粒子〕
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子は、本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法により得られたものである。より詳しくは、本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子は、上述したような種々の方法により得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子本体の表面に、アルキルアミンを90%以上含む液状の帯電防止剤Aを所定量塗布し、その後、アルキルアミンを90%以上含む粉状の帯電防止剤B1又は脂肪酸グリセライドを90%以上含む粉状の帯電防止剤B2を所定量塗布して得られたものである。
〔発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法〕
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法は、発泡剤を含有する発泡性熱可塑性樹脂粒子本体を得る工程と、発泡性熱可塑性樹脂粒子本体の表面に、発泡性熱可塑性樹脂粒子本体100重量部に対して、アルキルアミンを90%以上含む液状の帯電防止剤Aを、0.01重量部以上3重量部以下塗布する第1塗布工程と、
前記第1塗布工程後に、前記発泡性熱可塑性樹脂粒子本体の表面に、前記発泡性熱可塑性樹脂粒子本体100重量部に対して、アルキルアミンを90%以上含む粉状の帯電防止剤B1又は脂肪酸グリセライドを90%以上含む粉状の帯電防止剤B2の少なくとも1種を塗布する第2塗布工程と、を備え、
前記第2塗布工程では、前記発泡性熱可塑性樹脂粒子本体100重量部に対する、
前記帯電防止剤B1の使用量は、0重量部以上(0重量部を含む)9重量部以下であり、
前記帯電防止剤B2の使用量は、0重量部以上(0重量部を含む)9重量部以下であり、
前記帯電防止剤Aに対する、前記帯電防止剤B1と前記帯電防止剤B2の合計の重量比率が1~10である、製造方法である。
(発泡性熱可塑性樹脂粒子本体を得る工程)
発泡性熱可塑性樹脂粒子本体を得る工程は、発泡剤を含有する発泡性熱可塑性樹脂粒子本体を得るための工程である。上記〔発泡性熱可塑性樹脂粒子本体〕にて述べた通り、発泡性熱可塑性樹脂粒子本体を得る工程は特に限定されず、クエンチ法に採用される工程、ミニペレ後含浸法に採用される工程及び重合法に採用される工程等の公知の工程が含まれる。
(第1塗布工程)
第1塗布工程は、発泡性熱可塑性樹脂粒子本体の表面に、アルキルアミンを90%以上含む帯電防止剤Aを所定量塗布する工程である。
帯電防止剤Aは、常温(25℃)で液状の帯電防止剤である。帯電防止剤Aは、水に難溶であることが好ましい。帯電防止剤Aのアルキルアミンは、アルキル基の炭素数が10~20、更に好ましくは、炭素数10~16である、ポリオキシエチレンアルキルアミン、或いは、アルキルアルカノールアマイドの、少なくとも1種を含有することが更に好ましい。
ポリオキシエチレンアルキルアミンの具体例として、ポリオキシエチレン-ドデシルアミン、ポリオキシエチレン-テトラデシルアミン、ポリオキシエチレン-ヘキサデシルアミン、ポリオキシエチレン-オクタデシルアミン、ポリオキシエチレン-ラウリルアミン、ポリオキシエチレン-アルキル(ヤシ)アミン、ポリオキシエチレン-牛脂アルキルアミン、ポリオキシエチレン-ステアリルアミン、ポリオキシエチレン-オレイルアミン、ポリオキシエチレン-アルキルプロピレンジミン等が挙げられる。
アルキルアルカノールアマイドの具体例として、カプリン酸ジエタノールアミド、ラウリル酸ジエタノールアミド、ミスチリン酸ジエタノールアミド、ペンタデシル酸ジエタノールアミド、パルミチン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、牛脂脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリル酸モノエタノールアミド、ラウリル酸イソプロパノールアミド、ポリオキシエチレン-脂肪酸モノエタノールアミド等が挙げられる。
帯電防止剤Aの塗布量は、発泡性熱可塑性樹脂粒子本体100重量部に対して、0.01重量部以上であり、0.1重量以上であることがより好ましく、また、3重量部以下であり、2重量部以下であることがより好ましい。帯電防止剤Aの塗布量が上記範囲であれば、低帯電性を有する発泡性熱可塑性樹脂粒子を得ることができる。帯電防止剤Aの塗布量が、発泡性熱可塑性樹脂粒子本体100重量部に対して、0.01重量部未満であると、低帯電性を得ることができず、3重量部を超えると、帯電防止剤Aが樹脂粒子と均一混合ができなくなる。
常温(25℃)で液体である帯電防止剤Aは、樹脂粒子本体表面に塗布され、第2塗布工程で塗布される帯電防止剤B1、B2を、樹脂粒子本体に添着し、剥がれを防止することができる。また、帯電防止剤Aが水に難溶である場合には、予備発泡工程、成形工程で、使用される加熱水蒸気による帯電防止剤Aの溶解等が生じにくいため、樹脂粒子本体から帯電防止剤B1或いは、B2が剥がれることを防止することができる。
一方で、帯電防止剤が液体の脂肪酸エステルの場合、ポリスチレ樹脂粒子本体の表面を侵食し、得られた発泡粒子表面にミクロな穴が発生し、所望する発泡倍率が得られなくなる傾向がある。
(第2塗布工程)
第2塗布工程は、前記第1塗布工程後に実施する工程であって、発泡性熱可塑性樹脂粒子本体の表面に、アルキルアミンを90%以上含む粉状の帯電防止剤B1、或いは、脂肪酸グリセライドを90%以上含む粉状の帯電防止剤B2の少なくともいずれか1種、を塗布する工程である。
帯電防止剤B1のアルキルアミンは、分子中に一つのアミノ基及び二つのヒドロキシル基を有するN、N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アルキルアミン(アルキル基の炭素数C=10~20)を含むことが好ましい。
具体的な帯電防止剤B1としては、N-ヒドロキシエチル-N-(2-ヒドロキシアルキル)アミン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)ドデシルアミン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)テトラデシルアミン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)ヘキサデシルアミン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)オクタデシルアミン、N-ヒドロキシエチル-N-(2-ヒドロキシテトラデシル)アミン、N-ヒドロキシエチル-N-(2-ヒドロキシヘキサデシル)アミン、N-ヒドロキシエチル-N-(2-ヒドロキシオクタデシル)アミン、N-ヒドロキシプロピル-N-(2-ヒドロキシテトラデシル)アミン、N-ヒドロキシブチル-N-(2-ヒドロキシテトラデシル)アミン、N-ヒドロキシペンチル-N-(2-ヒドロキシテトラデシル)アミン、N-ヒドロキシペンチル-N-(2-ヒドロキシヘキサデシル)アミン、N-ヒドロキシペンチル-N-(2-ヒドロキシオクタデシル)アミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ドデシルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)テトラデシルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ヘキサデシルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)オクタデシルアミン等の1アミノ2ヒドロキシ化合物が挙げられ、単独で用いても良いし、2種以上を混合しても良い。
帯電防止剤B2の脂肪族グリセリドは、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、及び脂肪酸トリグリセリドよりなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、特に好ましくは、ステアリン酸モノグリセリド、ラウリン酸モノグリセリド、リノール酸モノグリセリド等の、脂肪酸モノグリセリドである。脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸トリグリセリドは、予備発泡粒子同士の融着促進効果が大きく、ブロッキングしやすい傾向である。
帯電防止剤B1及び帯電防止剤B2の塗布量は、それぞれ、発泡性熱可塑性樹脂粒子本体100重量部に対して、0重量部以上(0重量部を含む)9重量部以下であり、1重量部以上であることが好ましく、5重量部以下がより好ましい。本発明においては、帯電防止剤B1或いはB2のどちらかが塗布されなければならず、帯電防止剤B1とB2の双方が無添加の場合、樹脂の流動性が悪化し、予備発泡時のブロッキング量が高くなる傾向にある。帯電防止剤B1と帯電防止剤B2の塗布量が9重量部を超えると、粉体である帯電防止剤B1及び帯電防止剤B2が樹脂粒子本体から、はく離しやすくなる。
帯電防止剤Aに対する、前記帯電防止剤B1と前記帯電防止剤B2の合計の重量比率は1~10である。該重量比率が1未満であれば、樹脂粒子の流動性が悪くなり、重量比率が10を超えると、帯電防止剤が発泡性熱可塑性樹脂粒子本体から剥がれ、装置を汚染する。帯電防止剤Aに対する、前記帯電防止剤B1と前記帯電防止剤B2の合計の重量比率は、2~9であることが好ましく、3~8であることがより好ましい。
帯電防止剤B1及び帯電防止剤B2は、常温(25℃)で粉体である。帯電防止剤B1及び帯電防止剤B2は、水に難溶であることが好ましい。帯電防止剤B1及び帯電防止剤及びB2が常温で粉体であることで、第1塗布工程で塗布された液状の帯電防止剤Aを媒体して、樹脂粒子本体に添着することができる。また、帯電防止剤B1及び帯電防止剤B2が水に難溶である場合には、予備発泡工程、成形工程で、使用される加熱水蒸気による、溶解、剥がれを防止することができる。
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法の第1塗布工程及び/又は第2塗布工程において、求められる性能に応じて更なる添付剤が発泡性熱可塑性樹脂粒子本体の表面に塗布されてもよい。さらに、発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法は、第1塗布工程及び第2塗布工程以外にも、求められる性能に応じて更なる塗布工程を備えていてもよい。なお、添付剤が常温で粉状である場合は、第1塗布工程の後に塗布されることが好ましく、帯電防止剤B1及び帯電防止剤B2と一緒に第2塗布工程で塗布されてもよい。
添付剤としては、融着阻害剤、融着促進剤等が挙げられる。
融着阻害剤としては、常温(25℃)で粉状の、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸金属塩、基材樹脂より融点の高いポリエチレン等の高分子、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、タルク、雲母(マイカ)、ケイ酸マグネシウム、カオリン等のシリカ(二酸化ケイ素)、ケイ酸塩、アルミナ、珪藻土、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、長石アパタイト、硫酸バリウム等の無機物が挙げられる。これらの融着阻害剤は単独で用いても良いし、2種以上を混合しても良い。
融着阻害剤は発泡性熱可塑性樹脂粒子本体に塗布されなくてもよいが、融着阻害剤の塗布量は、発泡性熱可塑性樹脂粒子本体100重量部に対して、0重量以上であることが好ましく、0.1重量部以上がより好ましく、0.5重量以下が好ましく、0.4重量部以下がより好ましい。融着阻害剤の添加量が上記範囲であれば、予備発泡時のブロッキングを抑制し、容易に割れない実用強度のある発泡成形体が得られる。
融着促進剤としては、例えば、ラウリン酸トリグリセライド、ステアリン酸トリグリセライド、リノール酸トリグリセライド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセライドなどの脂肪酸トリグリセライド;ラウリン酸ジグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、リノール酸ジグリセライドなどの脂肪酸ジグリセライド;ラウリン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、リノール酸モノグリセライドなどの脂肪酸モノグリセライド;ヒマシ硬化油(ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド)などの植物油などが挙げられる。これら脂肪酸グリセリドは単独で用いても良いし、2種以上を混合しても良い。融着促進剤の塗布量は、発泡性熱可塑性樹脂粒子本体100重量部に対して、0重量以上であることが好ましく、0.1重量部以上がより好ましく、0.5重量以下が好ましく、0.4重量部以下がより好ましい。融着促進剤の添加量が上記範囲であれば、予備発泡時にブロッキングを抑制し、予発粒子の表面膜の破泡を防止する。
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法において、帯電防止剤A、及び、帯電防止剤B1又は帯電防止剤B2、必要に応じてその他添付剤を発泡性熱可塑性樹脂粒子本体表面に塗布する方法としては、種々の公知の方法を用いることができ、例えば、混合機器を用いる方法が挙げられる。
第1塗布工程、及び第2塗布工程で混合機器を用いる場合、用いる混合機器としては、発泡性熱可塑性樹脂粒子本体、帯電防止剤A、帯電防止剤B1及び/又は帯電防止剤B2、を均一に混合し得る混合機器を用いることが好ましい。このような混合機器としては、例えば、スーパーミキサー、ナウタミキサー、ユニバーサルミキサー、プロシェアミキサー、アペックスミキサー、ヘンシェルミキサー、レーディゲーミキサー等のミキサー;リボンブレンター、タンブラー型ブレンター等のブレンター;が挙げられる。混合機器は、添加物の塗布量等を考慮して、適宜に選択され得る。
上記各工程における混合時間としては、特に限定されず、混合機器の混合能力で、適宜に調整することができる。
〔2.予備発泡粒子〕
本発明の一実施形態に係る予備発泡粒子は、上述した発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡(一次発泡)させることによって得られる。
予備発泡させる方法としては、例えば、円筒形の予備発泡装置を使用し、水蒸気等の加熱媒体を用いて発泡性熱可塑性樹脂粒子を加熱して発泡させる等の、通常の方法を採用することができる。
予備発泡装置、および予備発泡工程の条件は、発泡性熱可塑性樹脂粒子本体の基材樹脂種類、所望する予備発泡倍率等に応じて適宜に設定すればよく、特に限定されない。
〔3.発泡成形体〕
本発明の一実施形態に係る発泡成形体は、上述した予備発泡粒子を加熱発泡(二次発泡)させて、成形することによって得られる。
予備発泡粒子を加熱発泡させて、成形する方法としては、例えば、金型内に予備発泡粒子を充填し、水蒸気等の加熱媒体を吹き込んで加熱する型内発泡成形法等の、通常の方法を採用することができる。
具体的な型内発泡成形方法としては、閉鎖し得るが密閉し得ない金型内に、予備発泡粒子を充填し、加熱媒体により予備発泡粒子を加熱および融着することで型内発泡成形体とする方法が挙げられる。
加熱発泡に使用する装置、および加熱発泡の条件は、発泡性熱可塑性樹脂粒子本体の組成、所望する発泡倍率等に応じて適宜に設定すればよく、特に限定されない。
上記発泡成形体、特に型内発泡成形体は、所望の形状の成形体を作製し易い等の利点から、例えば、食品容器等の包装材料(トレー)、魚函等の輸送用梱包材、特に、低帯電性能を必要とする家電製品や精密部品の緩衝材等には好適である。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に断りのない限り、重量基準である。
実施例および比較例における、発泡性熱可塑性樹脂粒子、および発泡成形体の、各種測定方法並びに評価方法は、以下の通りである。
<発泡性熱可塑性樹脂粒子の流動性の評価>
発泡性熱可塑性樹脂粒子の流動性は、安息角測定機の評価装置を利用して、下記5段階で評価した。数値の大きい方が流動性に優れた状態であり、「3」以上を合格と判定した。
前記安息角の測定方法は、以下の方法で測定した。先ず、一面が堰になっている箱を用意し、発泡性熱可塑性樹脂粒子を箱に、擦切り一杯になるように投入した。投入後、前記堰を取り外して、発泡性熱可塑性樹脂粒子を自然にこぼれさせた。そして、箱に残った発泡性熱可塑性樹脂粒子の角度を測定し、その角度を安息角(度)とした。
4:安息角が40度以下で、流動性が非常に良く、樹脂粒子がよく転がる状態
3:安息角が40度を超え、50度以下で、流動性が良く、樹脂粒子が転がるものの、一部が評価装置の上に残る状態
2:安息角が50度を超え、60度以下で、流動性は良いものの、樹脂粒子を転がすためにバイブレーターが必要な状態
1:安息角が60度を超え、流動性が非常に悪く、樹脂粒子が転がらない状態。
<発泡性熱可塑性樹脂粒子の粉はく離評価>
発泡性熱可塑性樹脂粒子1kgを秤量し、電動篩(DY-50)に取り付けた網(目開き:355μm、42メッシュ、φ750mm)で、2分間篩い分けを行った。その後、網を通過した粉体を回収し(但し、樹脂が混じっている場合は当該樹脂を除去)、その重量を計量して剥離量とした。そして、下記算出式 (剥離率[重量%])=(剥離量[g])/(発泡性熱可塑性樹脂粒子に添加した外添剤の全量[g])×100 に基づいて外添剤の剥離率を算出し、剥離率が5.00重量%以下である発泡性熱可塑性樹脂粒子を合格と評価した
<ブロッキング率の測定>
攪拌機を備えた加圧式予備発泡機(大開工業(株)製、CH-100)に、発泡性熱可塑性樹脂粒子を投入し、加熱媒体として水蒸気を用い、吹き込み蒸気圧を0.1MPaとして加熱することによって予備発泡(一次発泡)させ、嵩倍率(見掛け倍率)が35倍の予備発泡粒子を得た。そして、予備発泡機から予備発泡粒子を取り出すときに、当該予備発泡粒子を目開きが1cmの網に通過させ、網を通過しなかった予備発泡粒子を回収し、その重量を計量してブロッキング量とした。そして、下記算出式に基づいてブロッキング率を算出し、ブロッキング率が2.0重量%以下である予備発泡粒子を合格と評価した。
ブロッキング率[重量%]=ブロッキング量[g]/予備発泡粒子の全量[g]×100
<発泡成形体の評価>
(1)融着率の評価
得られた発泡成形体を破断してその破断面を観察し、発泡粒子界面ではなく発泡粒子が破断している割合(融着率)を求めた。融着率が60%以上である場合を合格と評価した。
(2)表面固有抵抗値
発泡成形体を100mm×100mm×10mm(t)の大きさのサンプルに切り出し、表面スキン層のある切断していない面で表面固有抵抗値を測定した。まず、サンプルを、恒温恒湿室(温度23℃、相対湿度50%)内で24時間置いた。次に、恒温恒湿室内に設置していた、サンプルチャンバー1270A型 RESISTANCE CHAMBER(株式会社 エーデイーシー製)で、デジタル超抵抗測定器(8340A型 ULTRA HIGH RESISTANCE METER(株式会社 エーデイーシー製)を用いて、該サンプルの表面スキン層のある面における表面固有抵抗値を測定した(測定条件:30秒除電した後、1000Vで30秒荷電し、測定した。)。
以下に、実施例において使用した外添剤を記載する。
<常温で液状の帯電防止剤>
(アルキルアミンを90%以上含む帯電防止剤A)
・A(1);ポリオキシエチレンアルキルアミン:アルキル基の炭素数C=12、(株)タナカ化学研究所製、KN2009A
・A(2);アルキルアルカノールアマイド:アルキル基の炭素数C=12、(株)タナカ化学研究所製 KN2009B
(アルキルアミンを90%以上含まない帯電防止剤;脂肪酸グリセライド)
・C(1);ポリオキシプロピレンソルビット:日本油脂(株)製、HS-1600D
・C(2);ジグリセリンラウレート:理研ビタミン(株)製、L-51-D
<常温で粉状の帯電防止剤>
(アルキルアミンを90%以上含む帯電防止剤B1)
・B1;N.N-ビス(2-ヒドロキシルエチル)アルキルアミン:アルキル基の炭素数C=14、(株)タナカ化学研究所製、アンチスタ80FS
(脂肪酸グリセライドを90%以上含む帯電防止剤B2)
・B2;ステアリン酸モノグリセリド:理研ビタミン(株)製、S-100
<常温で粉状の融着阻害剤>
・ステアリン酸マグネシウム:日本油脂(株)製
・ステアリン酸亜鉛:日本油脂(株)製
・水酸化マグネシウム: 広瀬化学(株)製
・タルク: 林化成(株)製 PK-S
<常温で粉状の融着促進剤>
・ひまし硬化油:日本油脂(株)製、カスターワックス
〔実施例1〕
(発泡性熱可塑性樹脂粒子本体(1)の製造)
撹拌機付属の1500Lの耐圧容器に、純水100重量部、リン酸三カルシウム0.2重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.01重量部、および、開始剤として過酸化ベンゾイル(日油(株)製)0.25重量部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート(日油(株)製)0.29重量部、および、造核剤としてポリエチレンワックス(850-80M、東洋アドレ(株)製)0.2重量部を投入した。次いで、250回転/分で撹拌しながら、スチレン単量体95重量部、アクリル酸ブチル5重量部を投入後、98℃まで昇温し、4時間重合反応を行った。4時間重合反応を行った後の樹脂粒子の重合転化率は92%であった。次いで、発泡剤としてブタン(ノルマル/イソ=50/50)6.0重量部を耐圧容器中に圧入し、120℃まで昇温させた。次いで、120℃にて3時間保持した後、室温まで冷却して、耐圧容器から重合スラリーを取り出した。取り出した重合スラリーを洗浄、脱水し、気流乾燥器を使用して乾燥させて、発泡性熱可塑性樹脂粒子本体(1)を得た。
なお、重合転化率は、以下の方法で測定した。
(重合転化率の測定)
重合容器からスチレン系樹脂粒子を採取し、ろ紙で、樹脂粒子表面の水分を拭き取ったスチレン系樹脂粒子を塩化メチレン(内部標準シクロペンタノール)に溶解し、(株)島津製作所製ガスクロマトグラフィーGC-2014(キャピラリーカラム:GLサイエンス製Rtx-1、カラム温度条件:50→80℃(3℃/min)後、80→180℃昇温(10℃/min)、キャリアガス:ヘリウム)を用いて、スチレン系樹脂粒子中に含まれる残存スチレン量(ppm)を定量した。重合転化率は、残存スチレン量から算出した。
(発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造)
上記で得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子本体(1)100重量部をスーパーミキサー((株)カワタ製、SMV-20)に投入し、帯電防止剤A(1)1.5重量部を60秒間かけて投入し、60秒間撹拌し、第1塗布工程を終了した。次いで、帯電防止剤B1を5重量部投入し、さらに60秒間撹拌し、第2塗布工程を終了し、発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
(予備発泡粒子の製造)
上記で得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子を、撹拌機を備えた加圧式予備発泡機(大開工業(株)製、CH-100)に投入した。加熱媒体として水蒸気(吹き込み蒸気圧60kPa)を用い、予備発泡機内の発泡性熱可塑性樹脂粒子を加熱することによって予備発泡(一次発泡)させ、嵩倍率(見掛け倍率)が35倍の予備発泡粒子を得た。次いで、得られた予備発泡粒子を室温で24時間放置して、養生乾燥を行った。
(発泡成形体の製造)
養生乾燥後の予備発泡粒子を、縦450mm×横300mm×厚さ20mmの大きさの金型内に充填した。次いで、成形機((株)ダイセン製、KR-57)を使用して、加熱媒体として水蒸気(吹き込み蒸気圧80kPa)を用い、金型内の予備発泡粒子を10秒間加熱した。次いで、2秒間水冷し、真空放冷し、金型内に設けた面圧計(発泡成形体の圧力)が40kPaに到達した時点で、金型を開けて発泡成形体を取り出した。
上記で得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子の樹脂流動性、及び粉はく離評価を実施し、かつ、発泡成形体の融着率、及び表面抵抗値の評価試験を行った。評価結果を表1に示す。
〔実施例2~11、比較例1~7〕
実施例1で製造した発泡性熱可塑性樹脂粒子本体(1)を用い、帯電防止剤A、帯電防止剤B1、帯電防止剤B2、帯電防止剤C及び、融着阻害剤の種類および量を変更した以外は、実施例1の方法と同様の方法を用いて、発泡性熱可塑性樹脂粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。評価結果を表1又は表2(実施例)、表3(比較例)に示す。
〔実施例12〕
実施例1で製造した発泡性熱可塑性樹脂粒子本体(1)に、帯電防止剤A、帯電防止剤B1、帯電防止剤B2、融着阻害剤、融着促進剤を変更した以外は、実施例1の方法と同様の方法を用いて、発泡性熱可塑性樹脂粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。評価結果を表2(実施例)に示す。
〔実施例13〕
実施例1で製造した発泡性熱可塑性樹脂粒子本体(1)100重量部に、非イオン界面活性剤ポリオキシエチレン-モノオレート(O-3、日本油脂(株)製)0.02重量部を塗布して、乾燥させ、樹脂粒子本体の表面にクラックを形成した発泡性熱可塑性樹脂粒子本体を得た。以下、クラックを形成した発泡性熱可塑性樹脂粒子本体を発泡性熱可塑性樹脂粒子本体(2)と称する。発泡性熱可塑性樹脂粒子本体(2)を使用し、かつ、帯電防止剤A、帯電防止剤B1、帯電防止剤B2、融着阻害剤、融着促進剤を変更した以外は、実施例1の方法と同様の方法を用いて、発泡性熱可塑性樹脂粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。評価結果を表2(実施例)に示す。
〔実施例14〕
撹拌機付属の1500Lの耐圧容器に、純水100重量部、リン酸三カルシウム0.2重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.01重量部、および、開始剤として過酸化ベンゾイル0.15重量部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート0.25重量部、および、難燃剤としてテトラブロモビスフェノールーA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル(SR-130、第一工業製薬(株)製)2.0重量部、難燃助剤ジクミルパーオキサイド(パークミルD、日本油脂(株)製)1.2部、連鎖移動剤α-メチルスチレンダイマー(MSD、日本油脂(株)製)0.8部を投入した。次いで、250回転/分で撹拌しながら、スチレン単量体71重量部、アクリロニトリル24重量部、αメチルスチレン5重量部を投入後、90℃まで昇温し、5時間重合反応を行った。5時間重合反応を行った後の樹脂粒子の重合転化率は91%であった。次いで、発泡剤としてノルマルブタン5.0重量部を耐圧容器中に圧入し、115℃まで昇温させた。次いで、115℃にて3時間保持した後、室温まで冷却して、耐圧容器から重合スラリーを取り出した。取り出した重合スラリーを洗浄、脱水し、気流乾燥器を使用して乾燥させて、発泡性熱可塑性樹脂粒子本体(3)を得た。
発泡性熱可塑性樹脂粒子本体(3)を使用し、かつ、帯電防止剤A、帯電防止剤B1、帯電防止剤B2、融着阻害剤、融着促進剤を変更した以外は、実施例1の方法と同様の方法を用いて、発泡性熱可塑性樹脂粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。評価結果を表2(実施例)に示す。
〔比較例8,9〕
実施例1で製造した発泡性可塑性樹脂粒子本体(1)100重量部をスーパーミキサー((株)カワタ製、SMV-20)に投入し、帯電防止剤B1、帯電防止剤B2、融着阻害剤、融着促進剤(ひまし油:日本油脂社製)を所定量添加し、120秒間撹拌し、発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。実施例1の方法と同様の方法を用いて、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。評価結果を表2に示す。
Figure 2022095530000001
Figure 2022095530000002
Figure 2022095530000003
表1及び表2に示されるとおり、実施例1~14の発泡性熱可塑性樹脂粒子は、良好な流動性を示し、かつ、粉はく離の抑制された優れものであった。また、当該発泡性熱可塑性樹脂粒子から得られる発泡成形体は、良好な融着性および表面抵抗値を有するものであった。
これに対し、液状の帯電防止剤のみを塗布した比較例1~3は、樹脂の流動性が悪く、液状の帯電防止剤として脂肪酸グリセリドを用いた比較例4~7は、樹脂の流動性が悪く、かつ表面抵抗も高いものであった。又、すべての外添剤が粉体である比較例8,9は、樹脂の流動性は優れるものの、粉はく離が多く、表面抵抗値が高くなった。
これらの結果から、発泡性熱可塑性樹脂粒子本体の表面に、第1塗布工程で、アルキルアミンを90%以上含む液状の帯電防止剤を塗布し、次いで、第2塗布工程で、アルキルアミンを90%以上含む粉状の帯電防止剤、又は脂肪酸グリセライドを90%以上含む粉状の帯電防止剤の少なくとも1種を塗布することにより、流動性を良好な状態に維持し、かつ粉はく離が抑制された発泡性熱可塑性樹脂粒子を得ることができ、該発泡性熱可塑性樹脂粒子を用いることで、適度な融着性及び低表面抵抗を有する発泡成形体が得られることがわかる。また、第2塗布工程で、発泡性熱可塑性樹脂粒子本体の表面に、融着阻害剤を更に塗布することで、流動性が更に良好となり、かつ粉はく離が抑制された発泡性熱可塑性樹脂粒子を得ることができる。

Claims (6)

  1. 発泡剤を含有する発泡性熱可塑性樹脂粒子本体を得る工程と、
    前記発泡性熱可塑性樹脂粒子本体の表面に、前記発泡性熱可塑性樹脂粒子本体100重量部に対して、アルキルアミンを90%以上含む液状の帯電防止剤Aを、0.01重量部以上3重量部以下塗布する第1塗布工程と、
    前記第1塗布工程後に、前記発泡性熱可塑性樹脂粒子本体の表面に、アルキルアミンを90%以上含む粉状の帯電防止剤B1又は脂肪酸グリセライドを90%以上含む粉状の帯電防止剤B2の少なくとも1種を塗布する第2塗布工程と、
    を備え、
    前記第2塗布工程では、前記発泡性熱可塑性樹脂粒子本体100重量部に対する、
    前記帯電防止剤B1の使用量は、0重量部以上9重量部以下であり、
    前記帯電防止剤B2の使用量は、0重量部以上9重量部以下であり、
    前記帯電防止剤Aに対する、前記帯電防止剤B1と前記帯電防止剤B2の合計の重量比率が1~10である、発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。
  2. 前記発泡性熱可塑性樹脂粒子本体の表面に、前記発泡性熱可塑性樹脂粒子本体100重量部に対して、更に融着阻害剤を0.5重量部以下塗布する、請求項1に記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。
  3. 前記帯電防止剤A、前記帯電防止剤B1及び前記帯電防止剤B2は、水に難溶である、請求項1又は2に記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。
  4. 前記帯電防止剤Aのアルキルアミンが、アルキル基の炭素数が10~20である、ポリオキシエチレンアルキルアミン、又はアルキルアルカノールアマイドの、少なくとも1種を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。
  5. 前記帯電防止剤B1のアルキルアミンが、分子中に一つのアミノ基及び二つのヒドロキシル基を有するN、N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アルキルアミン(アルキル基の炭素数C=10~20)を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。
  6. 前記帯電防止剤B2の脂肪族グリセリドが、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、及び脂肪酸トリグリセリドよりなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。


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