JP2020152843A - 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系予備発泡粒子および発泡成形体 - Google Patents

発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系予備発泡粒子および発泡成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】樹脂粒子の流動性を良好な状態に維持し、粉体の剥離を抑制しつつ、ブロッキングを防止し、さらに良好な融着性および表面性を有する発泡成形体を得ることに適した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供する。【解決手段】発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体100重量部の表面に、非イオン界面活性剤0.005〜0.050重量部、25℃における屈折率が1.47以上であるメチルフェニルポリシロキサン0.01〜0.10重量部、およびステアリン酸金属塩0.01〜0.15重量部が塗布されてなる。【選択図】なし

Description

本発明は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系予備発泡粒子および発泡成形体に関する。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、比較的安価であり、特殊な方法を用いなくとも水蒸気等の加熱媒体を用いて発泡成形することができ、緩衝性および断熱性に関して高い効果が得られるため、社会的に有用な材料である。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、例えば、ポリスチレン系樹脂粒子に水性懸濁液中で発泡剤(例えば、当該粒子を僅かに膨潤させるに止まる程度の易揮発性の脂肪族炭化水素(例えばブタン、ペンタン等))を含浸させる方法によって製造される。このようにして製造された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、発泡ポリスチレン系樹脂成形体を製造する原料として用いられる。
所望の形状の発泡ポリスチレン系樹脂成形体を工業的および経済的に製造する方法としては、(1) 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を、水蒸気等の加熱媒体を用いて予備発泡粒子とし、(2) 当該予備発泡粒子を、所望の形状を有する、壁面に多数の小孔が穿設された閉鎖型の金型内に充填し、(3) 当該金型の小孔から水蒸気等の加熱媒体を導入して予備発泡粒子をその軟化点以上の温度に加熱し、予備発泡粒子を互いに融着させて成形し、(4) 冷却した後、金型内から取り出す方法が一般的である。発泡ポリスチレン系樹脂成形体、その中でも型内発泡成形体は、所望の形状の成形体を作製し易い等の利点があり、軽量でありかつ断熱性に優れることから、食品容器等の包装材料(トレー)、魚函等の輸送用梱包材等として使用されている。
そして、前記予備発泡粒子を得る段階では、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を、ブロッキング抑制剤や融着促進剤、サイクル短縮剤等の、粉体状の外添剤で被覆することで、例えば、予備発泡粒子同士が結合した状態(ブロッキングという)となることを解消している。
一方、近年、市場において、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子から外添剤等の粉体が剥離することにより、予備発泡時に当該樹脂粒子の空気輸送に用いられる装置のフィルターや、成形時に金型の小孔が詰まる等の不具合が生じている。このような不具合が生じると、空気輸送時の装置の詰まりによる流動性の悪化、水蒸気等の加熱媒体の使用量の増加等の問題が生じる。
このような問題を解決する方法として、特許文献1,2には、その表面にメチルフェニルポリシロキサンや非イオン界面活性剤を塗布してなる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子が記載されている。当該発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を成形することで、粉体の剥離を抑制しつつ、ブロッキングを防止し、さらに良好な表面性を有する成形体が得られる。
また、特許文献3には、その表面に25℃での屈折率が1.45以上であるメチルフェニルシリコーンオイル、および高級脂肪酸の金属塩を被覆してなる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子が記載されている。当該発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を成形することで、成形サイクルを短縮し、かつ強度に優れ、光沢のある表面性を有する成形体が得られる。
特開2018−058957号公報 特開2018−168265号公報 特開2007−246705号公報
しかしながら、本発明者が鋭意検討した結果、前記特許文献1〜3に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、下記問題点を有していることが判明した。具体的には、特許文献1においては、メチルフェニルポリシロキサンのみを発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に塗布しているため、当該樹脂粒子の流動性が悪く、ハンドリング性に劣る傾向がある。特許文献2においては、液状の非イオン界面活性剤およびメチルフェニルポリシロキサンを発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に塗布しているため、当該樹脂粒子の流動性が悪く、ハンドリング性に劣る傾向があり、また、高級脂肪酸の金属塩と融着促進剤とを使用していないため、ブロッキングの抑制効果と成形時の融着性とを損なうおそれがある。また、特許文献3においては、粉体状の外添剤の添加量が多いため当該外添剤が脱離し易い傾向にあり、装置の詰まりによる流動性の悪化や装置の汚染を引き起こすおそれがある。
即ち、前記特許文献1〜3に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子はそれぞれ、各種物性間のバランスを欠いており、樹脂粒子の流動性を良好な状態に維持し、粉体の剥離を抑制しつつ、ブロッキングを防止し、さらに良好な融着性および表面性を有する成形体を得るという目的を十分に果たすことが難しい。
本発明の一態様は、樹脂粒子の流動性を良好な状態に維持し、粉体の剥離を抑制しつつ、ブロッキングを防止し、さらに良好な融着性および表面性を有する発泡成形体を得ることに適した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、並びに、ポリスチレン系予備発泡粒子および発泡成形体を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、適切な量の非イオン界面活性剤を発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体の表面に塗布することで、適切な量のメチルフェニルポリシロキサンおよびステアリン酸金属塩を前記表面に効率的に塗布することができることを見出し、これにより、樹脂粒子の流動性を良好な状態に維持し、粉体の剥離を抑制しつつ、ブロッキングを防止し、さらに良好な融着性および表面性を有する発泡成形体を得ることに適した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることができることを確認して、本発明を完成させた。
即ち、本発明の一実施形態は、以下の構成を含む。
[1]発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体100重量部の表面に、非イオン界面活性剤0.005〜0.050重量部、25℃における屈折率が1.47以上であるメチルフェニルポリシロキサン0.01〜0.10重量部、およびステアリン酸金属塩0.01〜0.15重量部が塗布されてなることを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
[2]前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を60倍に発泡させたときのポリスチレン系発泡樹脂粒子の、表層部の平均弦長が93〜115μmであることを特徴とする、[1]に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
[3]前記非イオン界面活性剤のHLB値が、7〜15であることを特徴とする、[1]または[2]に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
[4]前記非イオン界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルであることを特徴とする、[1]〜[3]の何れか一項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
[5]前記ステアリン酸金属塩が、ステアリン酸亜鉛および/またはステアリン酸マグネシウムであることを特徴とする、[1]〜[4]の何れか一項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
[6][1]〜[5]の何れか一項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなることを特徴とするポリスチレン系予備発泡粒子。
[7][6]に記載のポリスチレン系予備発泡粒子を成形してなることを特徴とする発泡成形体。
本発明の一態様によれば、樹脂粒子の流動性を良好な状態に維持し、粉体の剥離を抑制しつつ、ブロッキングを防止し、さらに良好な融着性および表面性を有する発泡成形体を得ることに適した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることができる。また、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなるポリスチレン系予備発泡粒子、並びに、ポリスチレン系予備発泡粒子を成形してなる発泡成形体は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子から粉体が剥離することが抑制されるので、その生産性が向上される。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態および実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。尚、本明細書においては特記しない限り、数値範囲を表わす「A〜B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)、B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意味する。
本明細書においては、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子そのもの(それ自体)を「発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体」と称し、その表面に非イオン界面活性剤等が塗布された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を「発泡性ポリスチレン系樹脂粒子」と称し、当該発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させたときの粒子を「ポリスチレン系予備発泡粒子」と称し、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡させたときの粒子を「ポリスチレン系発泡樹脂粒子」と称する。
〔1.発泡性ポリスチレン系樹脂粒子〕
本発明の一実施の形態における発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体100重量部の表面に、非イオン界面活性剤0.005〜0.050重量部、25℃における屈折率が1.47以上であるメチルフェニルポリシロキサン0.01〜0.10重量部、およびステアリン酸金属塩0.01〜0.15重量部が塗布されてなる。
〔発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体〕
本発明における発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体を構成するスチレン系樹脂としては、単量体成分としてスチレンを60重量%以上含む重合体が好ましく、具体的には、スチレン単独重合体、スチレン−エチレン系共重合体、スチレン−ブタジエン系共重合体、スチレン−アクリロニトリル系共重合体、スチレン−アクリル酸エステル系共重合体等が挙げられる。本発明においては、スチレン系単量体およびアクリル酸エステル系単量体を共重合して得られるスチレン−アクリル酸エステル系共重合体を基材樹脂とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体がより好ましい。
前記スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、並びに、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン系誘導体が挙げられる。これらスチレン系単量体は、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエステルが挙げられる。これらアクリル酸エステル系単量体は、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
尚、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体の製造方法(重合方法)は、公知の製造方法を適用することができ、特に限定されない。但し、重合方法としてシード懸濁重合法を採用する場合には、シードとなる樹脂粒子中の単量体も、単量体成分として包含される。
〔非イオン界面活性剤〕
本発明の一実施の形態における非イオン界面活性剤は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体の表面に塗布され、被覆剤として用いられる。非イオン界面活性剤は、HLB〔親水性−脂肪親和性平衡(Hydrophile-Lipophile Balance)〕値が、7〜15であることが好ましく、10〜14であることがさらに好ましい。
HLB値が7未満の非イオン界面活性剤は、油溶性の傾向が大となり、可塑効果が高くなるため、予備発泡(一次発泡)時におけるブロッキングが増加する傾向にある。HLB値が15を超える非イオン界面活性剤は、親水性の傾向が大となり、樹脂粒子本体の表面を均一に覆い難くなるため、発泡成形体の融着性が悪化する傾向にあり、発泡成形体の表面を平滑にする効果が十分ではなくなる場合がある。
HLB値が7〜15の非イオン界面活性剤としては、例えば、水溶性および水分散性のポリオキシアルキレンアルキルエーテルが挙げられ、具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル等が挙げられる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、例えば、HLB値が11.9〜11.4であるポリオキシエチレンセチルエーテル、HLB値が13.3〜14.2であるポリオキシエチレンオレイルエーテル、HLB値が10.7〜14.2であるポリオキシエチレンステアリルエーテル、HLB値が10.0〜13.3であるポリオキシエチレンラウレート、HLB値が13.8であるポリオキシエチレンパルミテート、HLB値が11.6〜13.6であるポリオキシエチレンステアレート、HLB値が10.2〜13.5であるポリオキシエチレンオレエート等が挙げられる。これら非イオン界面活性剤は、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
尚、非イオン界面活性剤のHLB値は、産業図書「界面活性剤便覧」307〜327頁に記載の方法で測定することができる。
本発明において、非イオン界面活性剤の塗布量は、発泡性スチレン系樹脂粒子本体100重量部に対して、0.005〜0.050重量部が好ましく、0.010〜0.035重量部がより好ましい。非イオン界面活性剤の塗布量が0.005重量部未満であると、発泡成形体の表面を平滑にする効果が十分ではなくなる。また、次に塗布するメチルフェニルポリシロキサンが発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体の表面に馴染まなくなり、メチルフェニルポリシロキサンの添加による流動性の改善効果が発現されなくなる。非イオン界面活性剤の塗布量が0.050重量部を超えると、予備発泡時におけるブロッキングが増加する。
本発明においては、非イオン界面活性剤を水溶液の状態または水に分散した状態で、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体に添加し、混合することによってその表面に塗布して被覆することが好ましい。添加するときに非イオン界面活性剤を水溶液の状態または水に分散した状態にすることにより、非イオン界面活性剤を発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体の表面に均一に塗布して被覆することができる。水分を含有しない液体状の非イオン界面活性剤を発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体に添加し、混合すると、塗布ムラが生じたり、また、発泡成形体の表面を平滑にする効果が低くなったりする傾向がある。尚、水は、最終製品である発泡成形体を得る過程で除去される。
非イオン界面活性剤を発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体に添加し、混合することによってその表面に塗布して被覆する方法としては、種々の方法がある。例えば、ブレンダー等の混合機器を用いて、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体と、非イオン界面活性剤の水溶液または水分散液とを十分に混合する方法が挙げられる。また、他の方法として、水性懸濁液中で発泡剤を含浸させた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体を例えば遠心脱水機等で脱水した後、ブレンダー等の混合機器を用いて、非イオン界面活性剤、若しくは、その水溶液または水分散液を発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体に添加し、混合することによってその表面に塗布して被覆する方法も有利である。この場合、非イオン界面活性剤は帯電防止効果も有しているが、必要に応じて他の帯電防止剤を混合して塗布してもよい。
非イオン界面活性剤を塗布した後は、乾燥させることが好ましい。乾燥の方法としては、例えば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体の表面に、非イオン界面活性剤と共に付着した水分を乾燥させる方法が挙げられるが、特に限定されない。例えば、溝型または円筒型の攪拌乾燥器、箱型またはバンド型の通気乾燥器、流動層乾燥器等を用いることにより、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体の表面に付着した水分が除去され、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体の表面にクラック構造が形成される。
乾燥温度は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体の発泡温度以下の温度で行われ、生産性の都合上、35℃以上、60℃未満が好ましい。
尚、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体に塗布された非イオン界面活性剤は、実質的にその全量が発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体に付着し、被覆剤として作用する。
〔メチルフェニルポリシロキサン〕
本発明の一実施の形態におけるメチルフェニルポリシロキサンは、25℃における屈折率が1.47以上である。メチルフェニルポリシロキサンは、ブロッキング抑制剤、融着促進剤として作用する。メチルフェニルポリシロキサンの屈折率は、フェニル基の含有率に依存し、フェニル基の含有率が増加する程、大きくなる関係にある。メチルフェニルポリシロキサンの屈折率が1.47未満の場合には、フェニル基の含有率が低いためポリスチレン系樹脂との相溶性が低下する。それゆえ、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体の表面に塗布するときに均一性が低下し、成形時の融着性が悪化する。
メチルフェニルポリシロキサンの25℃における粘度は、100〜6000mm/sであることが好ましい。メチルフェニルポリシロキサンの25℃における粘度が100mm/s未満であると、当該メチルフェニルポリシロキサンの特性が十分に発揮されない傾向にある。また、メチルフェニルポリシロキサンの25℃における粘度が6000mm/sを超えると、分子量が大きいことに起因して、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体に十分に浸透せず、ハンドリング性も悪化する。
本発明の一実施の形態におけるメチルフェニルポリシロキサンは、一般式(1)で示される構造を有していることが好ましい。
Figure 2020152843
前記一般式(1)で示される構造において、「Me」はメチル基を表わし、「Ph」はフェニル基を表わす。また、繰り返し単位の「m」,「n」は、任意の自然数(1,2,3等)である。一般式(1)で示される構造を有しているメチルフェニルポリシロキサンは、ジメチル部分とジフェニル部分とがランダムに結合していてもよく、規則的に結合(配列)していてもよい。
本発明において、メチルフェニルポリシロキサンの塗布量は、発泡性スチレン系樹脂粒子本体100重量部に対して、0.01〜0.10重量部であることが好ましく、0.03〜0.08重量部であることがより好ましい。メチルフェニルポリシロキサンの塗布量が0.01重量部未満であると、成形時の融着性が悪化する。また、メチルフェニルポリシロキサンの塗布量が0.10重量部を超えると、樹脂粒子の流動性が悪化すると共に、予備発泡時におけるブロッキングが増加する。
メチルフェニルポリシロキサンを発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体に塗布する方法としては、メチルフェニルポリシロキサンと発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体とを混合する方法が好適であるものの、塗布ムラが生じないで表面に均一に塗布することができる方法であればよく、特に限定されない。
尚、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体に塗布されたメチルフェニルポリシロキサンは、実質的にその全量が発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体に付着する。
〔ステアリン酸金属塩〕
本発明の一実施の形態におけるステアリン酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。その中でも、スチレン系樹脂との親和性により優れることから、ステアリン酸亜鉛、およびステアリン酸マグネシウムがより好ましい。これらステアリン酸金属塩は、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、ステアリン酸金属塩の塗布量は、発泡性スチレン系樹脂粒子本体100重量部に対して、0.01〜0.15重量部が好ましく、0.03〜0.11重量部がより好ましい。ステアリン酸金属塩の塗布量が0.01重量部未満であると、塗布による効果が示されず、予備発泡時におけるブロッキングが増加する。ステアリン酸金属塩の塗布量が0.15重量部を超えると、発泡性スチレン系樹脂粒子本体からステアリン酸金属塩が脱離し易くなるため、装置の詰まりによる流動性の悪化や装置の汚染を引き起こす。また、成形時の融着性が悪化する。
ステアリン酸金属塩を発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体に塗布する方法としては、ステアリン酸金属塩と発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体とを混合する方法が好適であるものの、塗布ムラが生じないで表面に均一に塗布することができる方法であればよく、特に限定されない。
尚、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体に塗布されたステアリン酸金属塩は、実質的にその全量が発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体に付着する。
〔添加剤等〕
本発明の一実施の形態における発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、樹脂粒子に残留する単量体成分、または、溶剤、可塑剤、発泡剤、造核剤、難燃剤、難燃助剤等の添加剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で含有していてもよい。これら添加剤は、例えば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体の製造時、非イオン界面活性剤の塗布を行う前または塗布が終了した後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体に対して添加すればよいが、添加する時期や添加方法は、特に限定されない。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に残留する単量体成分は、発泡性スチレン系樹脂粒子本体100重量部に対して、0.3重量部未満であることが好ましい。残留する単量体成分は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡し、成形して得られる発泡成形体から揮発する傾向がある。このため、残留する単量体成分が0.3重量部以上である発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、医療分野、食品に直接、接触する食品容器等の包装材料分野、若しくは自動車分野や建築分野への使用は好ましくない。
前記溶剤および可塑剤の具体例としては、例えば、へキサン、ヘプタン等の炭素数6以上の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、シクロオクタン等の炭素数6以上の脂環族炭化水素;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、グリセリントリステアレート、グリセリントリカプリレート、ヤシ油、パーム油、菜種油;等が挙げられる。これら溶剤および可塑剤は、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。尚、上述した化合物が溶剤であるか、可塑剤であるかは、その量や効果によって判断される。
前記発泡剤の具体例としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素;シクロブタン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素;メチルクロライド、ジクロルジフルオロメタン、ジクロルテトラフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素;等が挙げられる。その中でも、発泡力が良好である点から、ブタンがより好ましい。これら発泡剤は、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記造核剤の具体例としては、例えば、メタクリル酸メチル系共重合体、ポリエチレンワックス、タルク、脂肪酸ビスアマイド、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。脂肪酸ビスアマイドの具体例としては、例えば、メチレンビスステアリルアマイド、エチレンビスステアリルアマイド、ヘキサメチレンビスパルミチン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイド等が挙げられる。これら造核剤は、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記難燃剤の具体例としては、例えば、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモブタン、ヘキサブロモシクロヘキサン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系化合物;テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールF、2,4,6−トリブロモフェノール等の臭素化フェノール類;テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、2,2−ビス[4’−(2”,3”−ジブロモアルコキシ)−3’,5’−ジブロモフェニル]−プロパン等の臭素化フェノール誘導体;臭素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、臭素化ランダムスチレン−ブタジエン共重合体、臭素化スチレン−ブタジエングラフト共重合体等の臭素化ブタジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体(例えば、Chemtura社製のEMERALD3000、若しくは、特表2009−516019号公報に記載されている共重合体);等が挙げられ、公知の難燃剤を使用することができる。これら難燃剤は、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記難燃助剤の具体例としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等が挙げられ、公知の難燃助剤を使用することができる。これら難燃助剤は、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
〔外添剤〕
本発明の一実施の形態における発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、さらに、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、撥水剤等の公知の外添剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で含有していてもよい。これら外添剤は、例えば、非イオン界面活性剤の塗布が終了した後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体に対して添加すればよいが、添加する時期は特に限定されない。
〔混合機器〕
本発明の一実施の形態において、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体に、非イオン界面活性剤、メチルフェニルポリシロキサン、およびステアリン酸金属塩等を添加し、混合することによってその表面に塗布するには、均一に混合することができる混合機器を用いることが好ましい。当該混合機器としては、例えば、スーパーミキサー、ナウタミキサー、ユニバーサルミキサー、プロシェアミキサー、アペックスミキサー、ヘンシェルミキサー、レーディゲーミキサー等のミキサー;リボンブレンター、タンブラ−型ブレンター等のブレンター;が挙げられる。混合機器は、混合能力;非イオン界面活性剤、メチルフェニルポリシロキサン、およびステアリン酸金属塩等の塗布量;メチルフェニルポリシロキサンの粘度;等を考慮して、混合時間等の条件を調整すればよい。
〔発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法〕
本発明の一実施の形態における発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法としては、例えば、混合機器に、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体と、非イオン界面活性剤の水溶液または水分散液と(並びに必要に応じて添加剤および外添剤と)を投入し、混合することによって当該樹脂粒子の表面に非イオン界面活性剤を塗布して被覆した後、メチルフェニルポリシロキサン(並びに必要に応じて添加剤および外添剤)を投入し、混合することによってさらに前記表面にメチルフェニルポリシロキサンを塗布し、さらに、ステアリン酸金属塩(並びに必要に応じて添加剤および外添剤)を投入し、混合することによって前記表面にメチルフェニルポリシロキサンを塗布する方法が挙げられる。但し、本発明の一実施の形態における発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体の表面に、非イオン界面活性剤、メチルフェニルポリシロキサン、およびステアリン酸金属塩を、それぞれ上述した量で塗布することができる方法であればよく、特に限定されない。
非イオン界面活性剤を水溶液の状態または水に分散した状態で、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体の表面に塗布した場合には、人為的に乾燥させる乾燥工程を行わなくても(放置することによって自然に)、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体の表面に付着した水分が除去され、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体の表面にクラック構造が形成される。一方、乾燥工程を行うことにより、乾燥時間を短縮することができるので、生産性を向上させることができ、所望するクラック構造を形成することができる。
本発明の一実施の形態においては、適切な量の非イオン界面活性剤を発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体の表面に塗布することで、適切な量のメチルフェニルポリシロキサンおよびステアリン酸金属塩を前記表面に効率的に塗布することができる。これにより、樹脂粒子の流動性を良好な状態に維持し、粉体の剥離を抑制しつつ、ブロッキングを防止し、さらに良好な融着性および表面性を有する発泡成形体を得ることに適した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることができる。
〔平均弦長〕
本発明の一実施の形態における発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を60倍(嵩倍率)に発泡させたときのポリスチレン系発泡樹脂粒子の、表層部の平均弦長は、93〜115μmであることが好ましく、95〜110μmであることがより好ましい。これにより、ブロッキングの抑制効果が得られる。平均弦長が93μm未満であると、予備発泡(一次発泡)時におけるブロッキングが増加する傾向にある。平均弦長が115μmを超えると、成形時の成形巾が狭くなり、得られる発泡成形体の表面性および強度が悪化する傾向にある。
ポリスチレン系発泡樹脂粒子の表層部の平均弦長は、上述した造核剤の添加量を調節することによって制御することができる。例えば、造核剤の添加量を多くすると平均弦長は小さくなり、造核剤の添加量を少なくすると平均弦長は大きくなる。
尚、ポリスチレン系発泡樹脂粒子の表層部の平均弦長の測定方法は、実施例の欄にて詳述する。
〔2.ポリスチレン系予備発泡粒子〕
本発明の一実施の形態におけるポリスチレン系予備発泡粒子は、上述した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡(一次発泡)させることによって得られる。
予備発泡させる方法としては、例えば、円筒形の予備発泡装置を使用し、水蒸気等の加熱媒体を用いて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱して発泡させる等の、通常の方法を採用することができる。予備発泡に使用する装置、および予備発泡の条件は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体の組成や、所望する予備発泡倍率等に応じて適宜、設定すればよく、特に限定されない。
〔3.発泡成形体〕
本発明の一実施の形態における発泡成形体は、上述したポリスチレン系予備発泡粒子を加熱発泡(二次発泡)させることによって得られる。
ポリスチレン系予備発泡粒子を加熱発泡させる方法としては、例えば、金型内に当該予備発泡粒子を充填し、水蒸気等の加熱媒体を吹き込んで加熱する型内発泡成形法等の、通常の方法を採用することができる。加熱発泡に使用する装置、および加熱発泡の条件は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体の組成や、所望する発泡倍率等に応じて適宜、設定すればよく、特に限定されない。発泡成形体、特に型内発泡成形体は、所望の形状の成形体を作製し易い等の利点から、例えば、食品容器等の包装材料(トレー)、魚函等の輸送用梱包材等として好適である。
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例における、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系予備発泡粒子、および発泡成形体の、各種測定方法並びに評価方法は、以下の通りである。また、「部」および「%」は、特に断りのない限り、重量基準である。
<ポリスチレン系発泡樹脂粒子の、表層部の平均弦長の測定>
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を60倍(嵩倍率)に発泡させたポリスチレン系発泡樹脂粒子の中から、任意に5個の発泡樹脂粒子を選択する。この5個の発泡樹脂粒子をそれぞれ、剃刀刃を用いて、当該発泡樹脂粒子の中心付近を通る平面で二等分する。そして、二等分した発泡樹脂粒子の一方の切断面を、走査型電子顕微鏡(JEOL製、JSM−6060LV)を用いて25〜1000倍(好ましくは30倍)に拡大して撮影し、画像を作成した。
前記走査型電子顕微鏡の観察条件は、以下の通り;
加圧電圧:18kV
作動距離:18mm
真空度:SEI
スポットサイズ:35。
次に、前記画像(発泡樹脂粒子の切断面の画像)上に、発泡樹脂粒子の半径の90%に相当する長さを半径とする円を、その中心が発泡樹脂粒子の中心に一致するようにして描いた。そして、この円の外側に存在する気泡を、ポリスチレン系発泡樹脂粒子の表層部の気泡であると定義した。
次に、前記画像上における、前記円の外側の任意の部分に、長さ60mmの直線を引き、この直線上に位置する気泡の個数を数え、下記算出式
弦長[μm]=(60×1000/画像の倍率)/気泡の個数
に基づいて気泡の弦長を算出した。
但し、直線の長さが60mmに満たない場合(発泡樹脂粒子の切断面の画像に長さ60mmの直線を引くことができない場合)は、長さが20mmの直線または長さが30mmの直線を引き、この直線上に位置する気泡の個数を数え、長さが60mmの直線上に位置する気泡の個数に換算した。
そして、各画像に関して、前記円の外側の任意の部分に上述した直線を引いて弦長を算出する操作を3回繰り返し、さらに、5個の発泡樹脂粒子に関して同様の操作を行い、合計15の弦長を算出し、その平均値を、ポリスチレン系発泡樹脂粒子の、表層部の平均弦長(t)[μm]とした。
<外添剤の剥離率の測定>
装置 :電動篩 DY−50
網 :SUS網(目開き:355μm、42メッシュ、φ750mm)
樹脂量:1kg
篩時間:2分間
樹脂(発泡性ポリスチレン系樹脂粒子)1kgを秤量し、電動篩の網上に広げて2分間、篩い分けを行った。その後、網を通過した粉体を回収し(但し、樹脂が混じっている場合は当該樹脂を除去し)、その重量を計量して剥離量とした。そして、下記算出式
剥離率[重量%]=剥離量[g]/発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に添加した外添剤の全量[g]×100
に基づいて外添剤の剥離率を算出し、剥離率が5.00重量%以下である発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を合格と評価した。
<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の流動性の評価>
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の流動性を、安息角やスパチュラ角測定機等の評価装置を利用して、下記5段階で評価した。数値の大きい方が流動性に優れた状態であり、「4」以上を合格と判定した。
前記安息角の測定方法は、以下の方法で測定した。先ず、一面が堰になっている箱を用意し、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を箱に、擦切り一杯になるように投入した。投入後、前記堰を取り外して、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を自然にこぼれさせた。そして、箱に残った発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の角度を測定し、その角度を安息角(度)とした。
5:安息角が25度以下で、流動性が非常に良く、樹脂粒子がよく転がる状態
4:安息角が25度を超え、30度以下で、流動性が良く、樹脂粒子が転がるものの、一部が評価装置の上に残る状態
3:安息角が30度を超え、35度以下で、流動性は良いものの、樹脂粒子を転がすためにバイブレーターが必要な状態
2:安息角が35度を超え、50度以下で、流動性が悪く、樹脂粒子が転がらないため、ブリッジが形成される状態
1:安息角が50度を超え、流動性が非常に悪く、樹脂粒子が転がらない状態。
<ブロッキング率の測定>
攪拌機を備えた加圧式予備発泡機(大開工業(株)製、CH−100)に、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を投入し、加熱媒体として水蒸気を用い、吹き込み蒸気圧を0.1MPaとして加熱することによって予備発泡(一次発泡)させ、嵩倍率(見掛け倍率)が70倍のポリスチレン系予備発泡粒子を得た。そして、予備発泡機からポリスチレン系予備発泡粒子を取り出すときに、当該予備発泡粒子を目開きが1cmの網に通過させ、網を通過しなかった予備発泡粒子を回収し、その重量を計量してブロッキング量とした。そして、下記算出式
ブロッキング率[重量%]=ブロッキング量[g]/ポリスチレン系予備発泡粒子の全量[g]×100
に基づいてブロッキング率を算出し、ブロッキング率が2.0重量%以下であるポリスチレン系予備発泡粒子を合格と評価した。
<発泡成形体の評価>
縦450mm×横300mm×深さ25mmの大きさの金型内に、ポリスチレン系予備発泡粒子を充填し、成形機((株)ダイセン製、KR−57)を使用して、加熱媒体として水蒸気を用い、吹き込み蒸気圧を0.06MPa(実施例2のみ0.09MPa)とした成型条件にて型内発泡成形を行い、板状の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体を室温で24時間乾燥させた後、融着率および表面性の評価を行った。
(1)融着率の評価
得られた発泡成形体を破断してその破断面を観察し、発泡粒子界面ではなく発泡粒子が破断している割合を求めた。そして、融着率が80%以上である場合を合格と評価した。
(2)表面性の評価
得られた発泡成形体の表面の状態を目視で観察して、下記5段階で評価した。数値の大きい方が発泡粒子同士の隙間が少ない、表面が美麗な状態であり、「4」以上を合格と判定した。
5:隙間が見当たらない
4:部分的に隙間があるものの、殆ど分からない
3:所々に隙間があるものの、全体としては許容することができる
2:隙間が目立つ
1:隙間が多い。
<使用した非イオン界面活性剤>
P208:ポリオキシエチレンセチルエーテル、HLB値:11.9(製品名:ノニオンP−208、日油(株)製)
E205:ポリオキシエチレンオレイルエーテル、HLB値:9.0(製品名:ノニオンE−205、日油(株)製)
P213:ポリオキシエチレンセチルエーテル、HLB値:14.1(製品名:ノニオンP−213、日油(株)製)
E202:ポリオキシエチレンオレイルエーテル、HLB値:4.9(製品名:ノニオンE−202、日油(株)製)
E230:ポリオキシエチレンオレイルエーテル、HLB値:16.6(製品名:ノニオンE−230、日油(株)製)
NK−60:ポリオキシエチレンアルキルエーテル、HLB値:12.0(製品名:ノニオンNK−60、日油(株)製)。
<使用したメチルフェニルポリシロキサン>
KF−50:メチルフェニルポリシロキサン、粘度(25℃):1000mm/s、屈折率(25℃):1.427(信越化学工業(株)製)
KF−54:メチルフェニルポリシロキサン、粘度(25℃):400mm/s、屈折率(25℃):1.505(信越化学工業(株)製)
KF−53:メチルフェニルポリシロキサン、粘度(25℃):300mm/s、屈折率(25℃):1.485(信越化学工業(株)製)。
<使用したステアリン酸金属塩>
StZn:ステアリン酸亜鉛(ジンクステアレートGF−200、日油(株)製)
StMg:ステアリン酸マグネシウム(マグネシウムステアレート、日油(株)製)。
〔実施例1〕
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子(製品名:カネパールTG、(株)カネカ製)を、本発明における発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体(基材樹脂)として用いた。当該発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、スチレンとアクリル酸ブチルとを重量比95:5で共重合してなるスチレン−アクリル酸ブチル共重合体である。
一方、非イオン界面活性剤としてのポリオキシエチレンセチルエーテル(P208)0.02重量部を水に溶解し、3重量%水溶液を調製した。そして、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して、前記水溶液を添加して攪拌し、樹脂粒子本体の表面に均一に塗布した。
その後、気流乾燥器を使用して、塗布後の樹脂粒子本体の水分を乾燥させ、次いで、箱型通気乾燥器((株)田中化学機械製造所製)を使用して、50℃で20分間加熱した。これにより、ポリオキシエチレンセチルエーテルが表面に均一に塗布された樹脂粒子を得た。
次いで、得られた樹脂粒子100重量部をスーパーミキサー((株)カワタ製、SMV−20)に投入した後、メチルフェニルポリシロキサン(KF−54)0.06重量部を60秒間かけて投入し、60秒間、攪拌した。その後、ステアリン酸金属塩としてのステアリン酸亜鉛0.08重量部を投入し、さらに60秒間、攪拌することにより、本発明における発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を、攪拌機を備えた加圧式予備発泡機(大開工業(株)製、CH−100)に投入し、加熱媒体として水蒸気を用い、吹き込み蒸気圧を0.1MPaとして加熱することによって予備発泡(一次発泡)させ、嵩倍率(見掛け倍率)が70倍のポリスチレン系予備発泡粒子を得た。その後、当該予備発泡粒子を室温で24時間放置して、養生乾燥を行った。
養生乾燥後のポリスチレン系予備発泡粒子を、縦450mm×横300mm×深さ25mmの大きさの金型内に充填し、成形機((株)ダイセン製、KR−57)を使用して、加熱媒体として水蒸気を用い、吹き込み蒸気圧を0.06MPaとした成型条件にて型内発泡成形を行い、板状の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の融着率および表面性の評価を行った。結果を、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の組成や他の評価と共に、表1に示す。
〔実施例2〕
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子(製品名:カネパールNSG、(株)カネカ製)を、本発明における発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体(基材樹脂)として用いた。当該発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、スチレンの単独重合体である。
そして、型内発泡成形時における吹き込み蒸気圧を0.09MPaとした以外は、実施例1の方法と同様の方法で、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系予備発泡粒子および発泡成形体を得た。結果を、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の組成や他の評価と共に、表1に示す。
〔実施例3〜17,比較例1〜6〕
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の組成、即ち、非イオン界面活性剤、メチルフェニルポリシロキサン、およびステアリン酸金属塩の種類、量を変更した以外は、実施例1の方法と同様の方法で、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系予備発泡粒子および発泡成形体を得た。結果を、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の組成や他の評価と共に、表1または表2に示す。尚、比較例5,6では、メチルフェニルポリシロキサンを2種類用いた。
Figure 2020152843
Figure 2020152843
Figure 2020152843
表1および表2に示した結果から、適切な量の非イオン界面活性剤を発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体の表面に塗布することで、適切な量のメチルフェニルポリシロキサンおよびステアリン酸金属塩を前記表面に効率的に塗布することができ、これにより、樹脂粒子の流動性を良好な状態に維持し、粉体の剥離を抑制しつつ、ブロッキングを防止し、さらに良好な融着性および表面性を有する発泡成形体を得ることに適した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることができることが分かる。

Claims (7)

  1. 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体100重量部の表面に、非イオン界面活性剤0.005〜0.050重量部、25℃における屈折率が1.47以上であるメチルフェニルポリシロキサン0.01〜0.10重量部、およびステアリン酸金属塩0.01〜0.15重量部が塗布されてなることを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  2. 前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を60倍に発泡させたときのポリスチレン系発泡樹脂粒子の、表層部の平均弦長が93〜115μmであることを特徴とする、請求項1に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  3. 前記非イオン界面活性剤のHLB値が、7〜15であることを特徴とする、請求項1または2に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  4. 前記非イオン界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルであることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  5. 前記ステアリン酸金属塩が、ステアリン酸亜鉛および/またはステアリン酸マグネシウムであることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなることを特徴とするポリスチレン系予備発泡粒子。
  7. 請求項6に記載のポリスチレン系予備発泡粒子を成形してなることを特徴とする発泡成形体。
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