JP3649829B2 - 発泡性スチレン系樹脂粒子およびその製造方法 - Google Patents

発泡性スチレン系樹脂粒子およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡性スチレン系樹脂粒子およびその製造方法に関するものである。発泡性スチレン系樹脂粒子は、水蒸気や熱風などにより加熱すると、粒子内に多数の気泡が生成し、予備発泡樹脂粒子となる。この予備発泡樹脂粒子を所望の形状を有する金型内に充填し蒸気により加熱すると、予備発泡樹脂粒子が互いに融着し発泡成形体を得ることができる。
【0002】
【従来の技術】
スチレン系樹脂発泡体は、比較的安価・軽量で良好な緩衝性能、断熱性能を有するため、食品容器、緩衝材、断熱材などに利用されている。しかし、使用される用途によって要求される発泡体の特性は異なり、また、それぞれの特性のバランスも様々である。鮮魚などを入れる魚箱を例に取ると、当然ながら魚を入れ運搬する際に箱の底が抜けたり取手の部分が割れたりしないように、充分な機械的強度が必要とされる。また、成形体表面の粒子間隙が少なく表面の平滑性が高いほうが、見た目が美しく印刷の載りもよいため、表面平滑性も商品価値を決める上で重要なファクターとなる。さらに、成形直後に成形体の表面に印刷を施すばあいがあり、この時表面が柔らかいと印刷機のローラーの痕が表面に残り、成形体としての商品価値を損なう。よって、成形直後の成形体の表面の硬さ(表面硬度)も重要である。
【0003】
しかしながら、機械的強度、表面平滑性、成形直後の表面硬度のすべてを高い次元でバランスさせることは非常に困難であり、このような発泡成形体がいまだ得られていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
発泡成形体の表面平滑性を改善する方法として、特開昭63−69843号公報、特開昭63−69844号公報、特開平1−299843号公報等において、発泡性スチレン系樹脂粒子の表面近傍に存在する発泡剤を逸散させる方法が提案されている。しかし、この方法によると表面平滑性は改善されるものの機械的強度は必ずしも充分ではなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる実状に鑑み、本発明者は、機械的強度、表面平滑性、成形直後の表面硬度という相容れない3つの特性を高い次元でバランスさせるべく鋭意研究を重ねた結果、意外にも造核剤を発泡性粒子表面近傍には少なく、粒子内部には多く存在させることにより、目的を達せられることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、スチレン系樹脂100重量部に対し、易揮発性発泡剤3〜20重量部、造核剤0.001〜1重量部を含有する発泡性スチレン系樹脂粒子において、該粒子が、造核剤の全部または50重量%以上を含有する脱水乾燥したスチレン系樹脂種粒子を水性分散媒中に懸濁せしめた後、スチレン系単量体を該分散媒中に連続的もしくは断続的に添加して該種粒子に含浸させながら重合せしめ、易揮発性発泡剤を重合中または重合終了後に添加して得られる粒子であり、粒子表面近傍の造核剤の濃度が、粒子内部の造核剤の濃度より低いことおよび該種粒子の量が重合終了後の全樹脂量の5〜50重量%であることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子、ならびに
スチレン系樹脂100重量部に対し、易揮発性発泡剤3〜20重量部、造核剤0.001〜1.0重量部を含有する発泡性スチレン系樹脂粒子において、該粒子が、造核剤の50重量%以上を含有する脱水乾燥したスチレン系樹脂種粒子を水性分散媒中に懸濁せしめた後、スチレン系単量体を該分散媒中に連続的もしくは断続的に添加して該種粒子に含浸させながら重合せしめ、易揮発性発泡剤を重合中または重合終了後に添加して得られる粒子であり、前記種粒子の量が重合終了後の全樹脂量の5〜50重量%であることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子
を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、水性分散媒中にスチレン系樹脂種粒子を懸濁せしめた後、スチレン系単量体を該分散媒中に連続的もしくは断続的に添加して該種粒子に含浸させながら重合せしめ、易揮発性発泡剤を重合中に添加するか、あるいは重合終了後に添加して発泡性スチレン系樹脂粒子を得る方法(シード重合法ともいう)において、該スチレン系単量体を添加する前の段階で、最終的に得られるスチレン系樹脂粒子100重量部に対し造核剤0.001〜1重量部の全部または50重量%以上を該種粒子中に存在させること、スチレン系樹脂粒子表面近傍の造核剤の濃度が、粒子内部の造核剤の濃度より低いこと、該種粒子の量が重合終了後の全樹脂量の5〜50重量%であること、易揮発性発泡剤をスチレン系樹脂100重量部に対して3〜20重量部含有させることおよび水性分散媒中に懸濁せしめる種粒子が脱水乾燥したものであることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法、ならびに
水性分散媒中にスチレン系樹脂種粒子を懸濁せしめた後、スチレン系単量体を該分散媒中に連続的もしくは断続的に添加して該種粒子に含浸させながら重合せしめ、易揮発性発泡剤を重合中または重合終了後に添加して発泡性スチレン系樹脂粒子を得る方法において、該スチレン系単量体を添加する前の段階で、最終的に得られるスチレン系樹脂粒子100重量部中の造核剤0.001〜1重量部の50重量%以上を該種粒子中に存在させること、該種粒子の量が重合終了後の全樹脂量の5〜50重量%であること、易揮発性発泡剤をスチレン系樹脂100重量部に対して3〜20重量部含有させることおよび水性分散媒中に懸濁せしめる種粒子が脱水乾燥したものであることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法
を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明におけるスチレン系樹脂種粒子は、一般に知られているスチレン系樹脂の粒状物であり、このような粒子としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレンなどのスチレン系誘導体、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、セチルメタクリレートなどのアクリル酸およびメタクリル酸のエステル、あるいはアクリロニトリル、ジメチルフマレート、エチルフマレートなどの各種単量体の単独重合粒子、または混合による共重合体粒子などが挙げられる。また、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレートなどの2官能性単量体を併用してもよい。
【0009】
このような樹脂種粒子は、(1)通常の懸濁重合法、(2)重合性単量体を規則的な振動下にノズルを通すことにより液滴群として水性媒体中に分散させ、合着および付加的な分散を生じせしめることなく重合させる方法などによって得られる。均一な粒子径のものが必要な場合は(2)の方法を用いるのが好ましいが、(1)の懸濁重合法で得られた樹脂粒子を分級してもよい。
【0010】
これらの粒子の使用量としては、重合終了後の全樹脂量の5〜50重量%であるのが好ましい。使用量が少すぎる場合は、添加した単量体が粒子に含浸されないまま粉末状の単独の重合体となる割合が増すので好ましくなく、また、使用量が多すぎると種粒子に対する成長粒子の粒子径の比率が小さくなり、経済的に不利になる。
【0011】
本発明において用いられるスチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレンなどのスチレン系誘導体、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、セチルメタクリレートなどのアクリル酸およびメタクリル酸のエステル、あるいはアクリロニトリル、ジメチルフマレート、エチルフマレートなどの各種単量体が挙げられ、これらの単量体を単独もしくは2種以上を混合して用いることができる。また、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレートなどの2官能性単量体を併用してもよい。
【0012】
本発明における上記単量体の重合開始剤としては、一般に熱可塑性重合体の製造に用いられるラジカル発生型重合開始剤を用いることができ、代表的なものとしては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、t−ブチルパーピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどの有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物が挙げられる。これらの重合開始剤は単独もしくは2種以上を混合して用いることができる。
【0013】
本発明において用いる水性分散媒としては、たとえば水などがあげられる。
【0014】
本発明において用いる分散剤は、一般によく知られた例えばポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドなどの水溶性高分子や、第三燐酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、燐酸マグネシウム、ピロリン酸マグネシウムなどの水に難溶な無機物質などが挙げられる。水に難溶な無機物質を用いる場合は、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダなどのアニオン界面活性剤を併用すると分散安定効果は増大する。また、水溶性高分子と水に難溶性の無機物質の併用も効果的である。
【0015】
本発明において用いる易揮発性発泡剤としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素、ジフルオロエタン、テトラフルオロエタンなどのオゾン破壊係数がゼロであるフッ化炭化水素および二酸化炭素などが挙げられる。これらは、単独もしくは2種以上を併せて用いることができ、重合工程中に添加してもよいし、重合工程終了後に添加してもよい。
【0016】
本発明においては、スチレン系樹脂マトリックス中で微分散可能な造核剤を用いる。例えば、メタクリル酸エステル重合体、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体などのメタクリル酸エステル系重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水添物、アクリロニトリル−スチレン共重合体などのスチレン系共重合体、ポリエチレンワックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体ワックスなどのオレフィン系ワックス、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンモノ12−ヒドロキシステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリントリ12−ヒドロキシステアレート、グリセリントリステアレート、グリセリントリパルミテート、グリセリントリラウレート、グリセリントリベヘネート、ペンタエリトールテトラステアレートなどの脂肪酸エステル、ヒマシ硬化油、大豆硬化油、ナタネ硬化油などの硬化植物油、脂肪酸アミド、脂肪酸ジカルボン酸ジアミド、芳香族ビスアミド、芳香族ジカルボン酸ジアミドなどのアミド類、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、乳酸などの高級脂肪酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどの界面活性剤から選ばれた1種もしくは2種以上の混合物が挙げられる。
【0017】
これらの造核剤は、スチレン系樹脂100重量部に対して0.001〜1.0重量部使用される。使用量が0.001重量部未満では、発泡して得られるセルが不均一で、かつ、粗大になってしまい、その結果成形直後の成形体の表面硬度が低くなってしまうし、1.0重量部をこえると発泡して得られるセルが微細になり過ぎ、成形体表面の平滑性が損なわれるだけでなく、経済的にも不利になってしまう。
【0018】
本発明においては、粒子表面近傍の造核剤の濃度が、粒子内部の造核剤の濃度より低いこと、好ましくは表面近傍の造核剤の濃度が粒子内部の造核剤の濃度の90%以下であること、さらに好ましくは80%以下であることが重要である。また、表面近傍には造核剤がなくてもよい。ここでいう粒子表面近傍とは、粒子表面から粒子半径の10%までの深さの部分を示し、残りの部分は内部という。粒子表層近傍の造核剤の濃度が、粒子内部の造核剤の濃度と同じかもしくは高くなると、機械的強度と成形体表面の平滑性が悪化する。
【0019】
また、粒子表面近傍と内部において、用いる造核剤の種類が異なってもよい。
【0020】
造核剤の濃度測定の手段としては、次のようにして行う。300〜600番のサンドペーパーを厚さ5mm前後の板に張り付けたものを2枚用意し、その1枚をサンドペーパー面が上になるようにして台の上に置き、その上に予め粒子半径xμmと造核剤濃度A(重量%)が既知の樹脂粒子を約1グラム乗せる。もう1枚の板をサンドペーパーの面が下になるように樹脂粒子の上に載せ、その上から軽く手で加重し円を描くように動かすと粒子表面が削られていく。粒子半径の約10%が削られたところで樹脂粒子を取り出し、その造核剤濃度を測定することで粒子内部の造核剤濃度B(重量%)がわかり、粒子表面近傍に存在する造核剤の濃度C(重量%)は次式によって導くことができる。また、造核剤の濃度の測定は、たとえばメタクリル酸エステル重合体を用いたばあいは赤外分光光度計を用いてエステルのC=0吸収帯(1750〜1735cm-1)の吸光度よりポリマー中の濃度を測定した。
【0021】
【数1】
Figure 0003649829
【0022】
本発明においては、造核剤の全部もしくは一部、好ましくは造核剤の50重量%以上、さらに好ましくは造核剤の実質的に全量をスチレン系樹脂種粒子中に存在させる。その方法としては、(1)種粒子を製造する際にあらかじめ使用する単量体中に造核剤の全部または一部を溶解もしくは分散しておく方法、(2)造核剤を含む種粒子を水性分散媒中に分散させた後、スチレン系単量体を添加する前の段階で、造核剤を単独で、または少量の溶剤もしくはスチレン系単量体中に溶解または分散させた形で該水性分散媒中に添加して該種粒子中に含浸させる方法が挙げられる。また、これらの造核剤の残部は、添加するスチレン系単量体中に溶解または分散して使用してもよい。
【0023】
また、本発明においては、上記した原料物質以外に、可塑剤、溶剤、難燃剤などの発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造に一般的に使用されている物質を本発明の効果を損なわない範囲で併用することができる。
【0024】
【実施例】
次に、本発明を実施例、比較例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0025】
実施例1〜4および比較例1〜2
下部に導入口を有する平板の攪拌翼付き5リットル反応器に、第三リン酸カルシウム微粉末が3000ppm、ポリビニルアルコール(ゴーセノールPH−20:日本合成化学工業(株)製)が50ppm、ドデシルベンゼンスルフォン酸ソーダが50ppmとなるように調合した水性分散媒3リットルを投入し攪拌を開始した。
【0026】
次に、スチレン単量体700gにベンゾイルパーオキサイド2.1gおよび造核剤として表1または2に示す量のメチルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合体(鐘淵化学工業(株)製カネエースPA−20)を溶解し、これを第1図に示す如き0.2mmφのノズル5個を有する液滴生成装置に0.8リットル/hrの速度で供給し、500Hzの機械的振動を与えて液敵群8を水性分散媒中7に生成させ、これを液滴導入管5を通して上記5リットル反応器中に浮力を利用して導入した。500gの液滴を導入したら液滴の生成を止め、反応器中の分散液を90℃に昇温して3時間重合させた。さらに分散液を110℃に昇温して1時間保持して重合を完結させた。反応器中のスラリーを冷却し、脱水乾燥して重合体粒子群を得た。得られた粒子群を種粒子と称する。
【0027】
続いて攪拌機を具備した5リットル反応器に、純水1.8リットル、第三リン酸カルシウム7.2g、ドデシルベンゼンスルフォン酸ソーダ1重量%水溶液21cc、塩化ナトリウム1.8g、種粒子180gを入れ、攪拌下に反応器中の分散液を90℃に昇温した。次いで、ジオクチルフタレート18g、ベンゾイルパーオキサイド4.9g、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン1.8gをスチレン単量体1620gに溶解した溶液を7時間かけて反応器中に仕込みながら重合した。単量体溶液の仕込みが終了した後、直ちに発泡剤としてブタン144g、シクロヘキサン1.8gを添加し、120℃に昇温して3時間、後重合および発泡剤の含浸を行った。冷却後、得られた発泡性樹脂粒子を取り出し脱水・乾燥した。この粒子中の造核剤濃度は表1および2のようであった。
【0028】
さらに、得られた発泡性樹脂粒子をバッチ式予備発泡機で蒸気により加熱を行い、見掛け体積で約60倍の予備発泡粒子を得た。該予備発泡粒子を大気中で24時間養生乾燥した後、Fu−300自動成形機(東洋機械金属(株)製)を用いて外寸で縦30×横40×高さ20cm(厚さ25mm)の箱型の成形体を得た。得られた成形体の曲げ強度(kgf/cm2)、表面平滑性、表面硬度(kgf/cm2)を以下の方法で評価した。結果を表1および2に示す。
【0029】
評価方法
1.曲げ強度
成形体の底面を取り出し、JIS A9511に準拠した方法で曲げ強度を測定した。
【0030】
2.表面平滑性
成形体表面の粒子間隙の量を目視で評価した。粒子間隙が全くないものをA、わずかしかないものをB、多いものをC、粒子間隙が全く埋まっていないものをDとした。
【0031】
3.成形直後の表面硬度
成形後30分たった成形体の表面に硬度計(アスカー TYPECS(高分子計器))を押し当て、そのときの最高値を読み取った。これを4カ所について行い、その平均値を表面硬度とした。
【0032】
実施例5〜8および比較例3〜4
造核剤にメチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(鐘淵化学工業(株)製 カネエースB−56)を表1および2に示す量で用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた粒子中の造核剤濃度及び得られた成形体の曲げ強度、表面平滑性、表面硬度を表1および2に示す。
【0033】
実施例9〜11
造核剤にハイインパクトポリスチレン(旭化成工業(株)製 EXG−11)を表1および2に示す量で用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた粒子中の造核剤濃度及び得られた成形体の曲げ強度、表面平滑性、表面硬度を表1および2に示す。
【0034】
実施例12〜15
造核剤にペンタエリトールテトラステアレート(理研ビタミン(株)製 EW−400)を表1に示す量で用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた粒子中の造核剤濃度および得られた成形体の曲げ強度、表面平滑性、表面硬度を表1に示す。
【0037】
実施例16
実施例1と同様にして種粒子を得た後、攪拌機を具備した5リットル反応器に、純水1.8リットル、第三リン酸カルシウム7.2g、ドデシルベンゼンスルフォン酸ソーダ1重量%水溶液21cc、塩化ナトリウム1.8g、種粒子180gを入れ、撹拌下に反応器中の分散液を90℃に昇温した。次いで、ジオクチルフタレート18g、ベンゾイルパーオキサイド4.9g、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン1.8g、造核剤としてメチルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合体(鐘淵化学工業(株)製カネエースPA−20)0.09gをスチレン単量体1620gに溶解した溶液を7時間かけて反応器中に仕込みながら重合した。単量体溶液の仕込みが終了した後、直ちに発泡剤としてブタン144g、シクロヘキサン1.8gを添加し、120℃に昇温して3時間、後重合及び発泡剤の含浸を行った。冷却後、得られた発泡性樹脂粒子を取り出し脱水・乾燥した。この粒子中の造核剤濃度は表1のようであった。
【0038】
さらに、得られた発泡性樹脂粒子をバッチ式予備発泡機で蒸気により加熱を行い、見掛け体積で約60倍の予備発泡粒子を得た。該予備発泡粒子を大気中で24時間養生乾燥した後、Fu−300自動成形機(東洋機械金属(株)製)を用いて外寸で縦30×横40×高さ20cm(厚さ25mm)の箱型の成形体を得た。得られた成形体の曲げ強度、表面平滑性、表面硬度を表1に示す。
【0039】
比較例5〜8
攪拌機付き5Lオートクレーブに水1800gを入れ、次に分散剤として第三リン酸カルシウム10.8g、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム0.054gを添加し、攪拌により均一に分散させ、これに重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド5.4g、t−ブチルパーオキシベンゾエート3.6g、造核剤として表2に示すものをスチレン単量体1800gに溶解し、この単量体溶液をオートクレーブ内に導入した。窒素置換した後90℃で7時間保持し、次いで発泡剤としてブタン135gを圧入して105℃に昇温して3時間保持した。冷却後、得られた発泡性樹脂粒子を取り出し脱水・乾燥した。この粒子中の造核剤濃度は表2のようであった。
【0040】
さらに、得られた発泡性樹脂粒子を実施例1と同様にして予備発泡・成形した。得られた成形体の曲げ強度、表面平滑性、表面硬度を表2に示す。
【0041】
【表1】
Figure 0003649829
【0042】
【表2】
Figure 0003649829
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、機械的強度、表面平滑性および成形直後の表面硬度をバランスよく向上させた発泡成形体を提供しうる発泡性スチレン系樹脂粒子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例および比較例で用いた液滴生成装置の概要図である。
【符号の説明】
1 ノズルボックス
2 ノズル板
3 加振機振動部
4 スチレン系単量体導入部
5 液滴導入管
6 ダイヤフラム
7 水性分散媒
8 スチレン系単量体液滴群
9 加振機支持枠

Claims (7)

  1. スチレン系樹脂100重量部に対し、易揮発性発泡剤3〜20重量部、造核剤0.001〜1.0重量部を含有する発泡性スチレン系樹脂粒子において、該粒子が、造核剤の全部または50重量%以上を含有する脱水乾燥したスチレン系樹脂種粒子を水性分散媒中に懸濁せしめた後、スチレン系単量体を該分散媒中に連続的もしくは断続的に添加して該種粒子に含浸させながら重合せしめ、易揮発性発泡剤を重合中または重合終了後に添加して得られる粒子であり、粒子表面近傍の造核剤の濃度が、粒子内部の造核剤の濃度より低いことおよび該種粒子の量が重合終了後の全樹脂量の5〜50重量%であることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子。
  2. スチレン系樹脂100重量部に対し、易揮発性発泡剤3〜20重量部、造核剤0.001〜1.0重量部を含有する発泡性スチレン系樹脂粒子において、該粒子が、造核剤の50重量%以上を含有する脱水乾燥したスチレン系樹脂種粒子を水性分散媒中に懸濁せしめた後、スチレン系単量体を該分散媒中に連続的もしくは断続的に添加して該種粒子に含浸させながら重合せしめ、易揮発性発泡剤を重合中または重合終了後に添加して得られる粒子であり、前記種粒子の量が重合終了後の全樹脂量の5〜50重量%であることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子。
  3. 造核剤がメタクリル酸エステル系重合体、スチレン系共重合体、オレフィン系ワックス、脂肪酸エステル、硬化植物油、脂肪酸アミド、脂肪族ジカルボン酸ジアミド、芳香族ビスアミド、芳香族ジカルボン酸ジアミド、高級脂肪酸、脂肪酸金属塩、ノニオン界面活性剤から選ばれる請求項1または2記載の樹脂粒子。
  4. 水性分散媒中にスチレン系樹脂種粒子を懸濁せしめた後、スチレン系単量体を該分散媒中に連続的もしくは断続的に添加して該種粒子に含浸させながら重合せしめ、易揮発性発泡剤を重合中または重合終了後に添加して発泡性スチレン系樹脂粒子を得る方法において、該スチレン系単量体を添加する前の段階で、最終的に得られるスチレン系樹脂粒子100重量部中の造核剤0.001〜1重量部の全部または50重量%以上を該種粒子中に存在させること、スチレン系樹脂粒子表面近傍の造核剤の濃度が、粒子内部の造核剤の濃度より低いこと、該種粒子の量が重合終了後の全樹脂量の5〜50重量%であること、易揮発性発泡剤をスチレン系樹脂100重量部に対して3〜20重量部含有させることおよび水性分散媒中に懸濁せしめる種粒子が脱水乾燥したものであることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  5. 造核剤の実質的に全量を粒子中に存在させる請求項4記載の製造方法。
  6. 水性分散媒中にスチレン系樹脂種粒子を懸濁せしめた後、スチレン系単量体を該分散媒中に連続的もしくは断続的に添加して該種粒子に含浸させながら重合せしめ、易揮発性発泡剤を重合中または重合終了後に添加して発泡性スチレン系樹脂粒子を得る方法において、該スチレン系単量体を添加する前の段階で、最終的に得られるスチレン系樹脂粒子100重量部中の造核剤0.001〜1重量部の50重量%以上を該種粒子中に存在させること、該種粒子の量が重合終了後の全樹脂量の5〜50重量%であること、易揮発性発泡剤をスチレン系樹脂100重量部に対して3〜20重量部含有させることおよび水性分散媒中に懸濁せしめる種粒子が脱水乾燥したものであることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  7. 造核剤がメタクリル酸エステル系重合体、スチレン系共重合体、オレフィン系ワックス、脂肪酸エステル、硬化植物油、脂肪酸アミド、脂肪族ジカルボン酸ジアミド、芳香族ビスアミド、芳香族ジカルボン酸ジアミド、高級脂肪酸、脂肪酸金属塩、ノニオン界面活性剤から選ばれる請求項4または記載の製造方法。
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