JP3597109B2 - 発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法、発泡性スチレン系樹脂粒子および発泡成形体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水漏れ防止性に優れた発泡成形体を得るための発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法およびその方法により得られる発泡性スチレン系樹脂粒子ならびに発泡成形体に関し、さらに詳しくは、重合の際に、特定の重合開始剤を用いることで、水漏れ防止性に優れた発泡成形体を得ることができる発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法およびその方法により得られる発泡性スチレン系樹脂粒子ならびに発泡成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
発泡性スチレン系樹脂粒子は、スチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させることによって製造され、様々な形状を有する発泡成形体を製造する原料として用いられている。
また、発泡成形体は、通常、発泡性スチレン系樹脂粒子を予備発泡して得られる発泡粒子を型内成形することにより得られる。
したがって、発泡性スチレン系樹脂粒子としての品質の良否は、発泡成形の操作のし易さと、最終的に得られる発泡成形体の品質の良否によって決まる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
発泡成形体を例えば魚箱として使用する場合、鮮魚を氷と共に入れて輸送するため、発泡成形体における発泡粒子同士の融着率や成形体の強度等が充分であって、しかも成形体の表面や内部の粒子間の間隙が充分に少なく、かつ小さくても、鮮魚の体液・油脂分等の影響により、魚箱から水漏れを起こすことが問題となっていた。
発泡成形体からの水等の内容物の漏れを防止する技術としては、例えばショ糖エステルまたはその誘導体を被覆させた発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して得られる発泡成形体が開示され(特公昭56−34172号公報)、また含フッ素ビニル系単量体を含む共重合体を被覆させた発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して得られる発泡成形体が開示されている(特開平2−88652号公報)。
【0004】
しかしながら、これらの方法では、発泡性スチレン系樹脂粒子を予め特定の物質で被覆する工程が必要であり、製造工程が煩雑となって、製造コストも高くなるという問題があった。
本発明は、特定の物質を添加・被覆することなく、水漏れし難い発泡成形体を得るための発泡性スチレン系樹脂粒子を得ることを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するため、鋭意研究した結果、スチレン系単量体の懸濁重合またはシード重合において、特定のラジカル重合開始剤を用いて得られる発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して得られる発泡成形体が、発泡粒子同士の融着、成形体の表面や内部の粒子間の間隙等が従来の発泡成形体と同等であるにもかかわらず、水漏れし難いことを見出し、本発明を完成するに到った。
【0006】
かくして本発明によれば、懸濁安定剤およびラジカル重合開始剤の存在下に、スチレン系単量体を水性媒体中で懸濁重合し、易揮発性の有機発泡剤を懸濁重合中または懸濁重合の終了後に添加して発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法であって、懸濁重合が、前記ラジカル重合開始剤として、10時間の半減期を得るための分解温度が50〜80℃である低温型重合開始剤を用い、次いでn−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレートおよび/またはt−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカルボネートからなる高温型重合開始剤を用いて行なわれることを特徴とする、発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、懸濁安定剤およびラジカル重合開始剤の存在下に、水性媒体中に懸濁させたスチレン系樹脂粒子にスチレン系単量体を連続的あるいは断続的に添加してシード重合し、易揮発性の有機発泡剤をシード重合中またはシード重合の終了後に添加して発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法であって、シード重合が、前記ラジカル重合開始剤として、10時間の半減期を得るための分解温度が50〜80℃である低温型重合開始剤を用い、次いでn−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレートおよび/またはt−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカルボネートからなる高温型重合開始剤を用いて行なわれることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法が提供される。また、本発明によれば、上記の方法により得られる発泡性スチレン系樹脂粒子、および該樹脂粒子を発泡成形することにより得られる発泡成形体が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子を得るための懸濁重合およびシード重合で使用されるスチレン系単量体としては、スチレンの他に、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン等のスチレン誘導体が挙げられる。
スチレン系単量体には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、スチレン系単量体と共重合可能な他の単量体を用いることができる。
そのような他の単量体としては、例えばメタクリル酸メチル、アクリル酸nブチル等の(メタ)アクリル酸アルキル、アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジエチルフマレート、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0009】
本発明で使用される懸濁安定剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子化合物や、難水溶性リン酸塩のような難水溶性無機塩が挙げられるが、中でも難水溶性リン酸塩が好ましい。
難水溶性リン酸塩としては、例えばリン酸3カルシウム、リン酸マグネシウム、ピロリン酸マグネシウム等が挙げられる。
懸濁安定剤の使用量は、懸濁重合に用いられるスチレン系単量体、またはシード重合に用いられるスチレン系単量体とスチレン系樹脂粒子の合計量に対して、0.1重量%以上であるのが好ましい。懸濁安定剤は、1重量%を超えて使用しても、その増加に見合う効果の向上が見られないので、通常1重量%以下とするのが好ましい。
【0010】
本発明の方法においては、懸濁安定剤と共に安定助剤として界面活性剤を用いることもできる。
特に、懸濁安定剤として難水溶性リン酸塩を用いる場合は、陰イオン系の界面活性剤が好適に用いられる。陰イオン系の界面活性剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウムのようなアルキル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなアルキルベンゼンスルホン酸塩、オレイン酸ナトリウムのような高級脂肪酸塩、β−テトラヒドロキシナフタリンスルホン酸塩などが挙げられる。
本発明における懸濁重合およびシード重合は、比較的低温度(80〜100℃)下で行なわれ、次いで比較的高温度(105〜140℃)下で行なわれる。
【0011】
比較的低温度下での重合は、上記温度の範囲内で一定温度または昇温もしくは降温させながら行なうことができる。
比較的低温度下での重合には、ラジカル重合開始剤として、10時間半減期を得るための分解温度(以下、「分解温度」という)が50〜80℃である低温型重合開始剤が用いられ、具体的には例えばベンゾイルパーオキサイド(分解温度:74℃)、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(分解温度:72℃)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(分解温度:77℃)、ラウロイルパーオキサイド(分解温度:62℃)、ステアロイルパーオキサイド(分解温度:62℃)等の有機過酸化物やアゾビスイソブチロニトリル(分解温度:63℃)等のアゾ化合物等が挙げられる。
低温型重合開始剤の添加量は、目的とする発泡性スチレン系樹脂粒子の分子量に応じて適宜決められるものであり、特に限定されないが、通常、単量体の全量に対して0.1〜0.4重量%程度が好ましい。
【0012】
比較的高温度下での重合は、上記温度の範囲内で一定温度または昇温もしくは降温させながら行なうことができる。
比較的高温度下での重合には、ラジカル重合開始剤として、n−ブチル−4、4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレートおよび/またはt−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカルボネートからなる高温型重合開始剤が用いられる。高温型重合開始剤の添加量は、単量体の全量に対して0.01〜0.5重量%程度が好ましく、0.05〜0.2重量%程度がさらに好ましい。高温型重合開始剤の添加量が0.01重量%未満では、得られる発泡成形体の水漏れ防止性が十分発揮されないので好ましくない。またその添加量が0.5重量%を超えると、水漏れ防止効果は十分に発揮されるが、添加量の増大に伴った水漏れ防止効果の向上が見られないばかりか、コストの増加を招き、また得られる発泡性スチレン系樹脂粒子の分子量の低下に伴う強度等の物性低下を招くので好ましくない。
【0013】
なお、比較的低温度下での重合と比較的高温度下での重合は、連続的に行なわれてもよい。
本発明のシード重合で用いられるスチレン系樹脂粒子としては、前記のようなスチレン系単量体を重合して得られる樹脂粒子を用いるのが好ましく、前記のようなスチレン系単量体を懸濁重合して得られる樹脂粒子を用いるのがさらに好ましい。
本発明のシード重合において、得られるスチレン系樹脂粒子の粒子径を揃えるには、シードとなるスチレン系樹脂粒子の粒子径を予め揃えておくことが望ましい。
本発明の方法で得られるスチレン系樹脂粒子の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法による測定値で200000〜350000に調節するのが好ましい。Mwが200000未満では得られる発泡成形体の機械的強度等の物性が低下し、また成形加工時に成形体の表面が溶融するなどの問題を招き易い。
【0014】
また、Mwが350000を超えると、発泡成形体における樹脂粒子の融着度合が低下し、これを良好に維持するためには成形時のスチーム加熱を通常より強めなければならず、コストアップ等の問題を招くので好ましくない。
本発明の方法では、スチレン系樹脂粒子に易揮発性有機発泡剤を含浸することにより発泡性スチレン系樹脂粒子が得られる。
易揮発性有機発泡剤の含浸は、通常、耐圧容器中で行なわれる上記の懸濁重合またはシード重合の重合途中、あるいは重合終了後に、易揮発性有機発泡剤を圧入し、加熱することによって行なわれる。また、重合終了後に得られたスチレン系樹脂粒子を水性媒体から分離し、改めて含浸することも可能である。
【0015】
本発明で使用される易揮発性有機発泡剤としては、特に限定されないが、沸点が100℃以下である脂肪族炭化水素または環状脂肪族炭化水素、あるいはそれらのハロゲン化物等を用いるのが好ましい。
脂肪族炭化水素としては、例えばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、石油エーテル等が挙げられる。
環状脂肪族炭化水素としては、例えばシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
また、これら炭化水素のハロゲン化物としては、例えば塩化メチル、ジクロロジフルオロメタン等が挙げられる。
本発明の方法では、上記の発泡剤による発泡成形性を補完するために、発泡助剤を用いてもよい。
【0016】
発泡助剤としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素や、フタル酸エステル、アジピン酸エステル等の可塑剤などが挙げられる。
得られた発泡性スチレン系樹脂粒子は、水性媒体から分離、洗浄された後、乾燥される。
また、本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子は、その用途に応じて所望の粒子径に篩い分けられる。
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子は、予備発泡によって発泡粒子とされ、得られた発泡粒子を成形して成形体とされる。
予備発泡に先立って、本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子は、従来使用されている被覆剤によって被覆されてもよい。
【0017】
被覆剤としては、特に限定されないが、例えば、予備発泡における発泡粒子の集塊化防止のためのステアリン酸亜鉛等の金属石鹸や脂肪酸アミド類、発泡粒子の静電気防止のためのポリエチレングリコール等の多価アルコールやステアリン酸モノグリセリド等の多価アルコールの部分エステル等が挙げられる。
被覆剤を発泡粒子に被覆する方法としては、例えば、タンブラーミキサー、リボンブレンダー、レーディゲミキサー、スーパーミキサー等の混合機を使用することで行なわれる。
予備発泡は、発泡性スチレン系樹脂粒子をスチームや熱風等で加熱して行なわれ、例えば、攪拌装置を有する発泡機を用いてスチームによって加熱し、所定の密度の発泡粒子とされる。
得られた発泡粒子は、成形に適した状態となるまで放置された後、金型内に充填され、再び加熱されてさらに発泡される。これにより、粒子が互いに融着して金型の型嵩形状に忠実な発泡成形体となり、加熱後、成形体が膨張、変形しない状態にまで冷却されて取り出される。
【0018】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
撹拌装置を有する内容積5リットルのステンレス製オートクレーブに、イオン交換水2kgを投入し、攪拌下にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1gを加えて溶解し、さらにリン酸3カルシウム[太平化学(株)製]6gを加えて分散させて水性懸濁媒体とした。次いで、スチレン2kgにベンゾイルパーオキサイド(分解温度:74℃)5gおよびn−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート2gを溶解したスチレン単量体混合物を前記の水性媒体中に投入し、撹拌下で分散させて懸濁液とした。この懸濁液を200rpm撹拌下で加熱し、30分かけて90℃まで昇温し、90℃で5時間保持して、第1段階の重合を行った。
次いで、リン酸3カルシウム2gを追加投入し、さらにシクロヘキサン30gおよびn−ブタン180gを窒素圧を利用して圧入し、30分かけて120℃まで昇温し、120℃で3時間保持して、第2段階の重合および発泡剤の含浸を行った。次いで、冷却して懸濁液を取り出し、樹脂粒子を分離、洗浄、乾燥して発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。
得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して得られた発泡成形体の融着率、表面粒子間隙、水漏れ防止性をそれぞれ評価した。その結果を表1に示す。
【0019】
[実施例2]
n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート2gに代えて、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカルボネート2gを用いた以外は、実施例1と同様にして、発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。
得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して得られた発泡成形体の融着率、表面粒子間隙、水漏れ防止性をそれぞれ評価した。その結果を表1に示す。
[実施例3]
n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート2gに代えて、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート1gおよびt−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカルボネート1gを用いた以外は、実施例1と同様にして、発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。
得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して得られた発泡成形体の融着率、表面粒子間隙、水漏れ防止性をそれぞれ評価した。その結果を表1に示す。
【0020】
[実施例4]
n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレートの添加量を6gに変えた以外は、実施例1と同様にして発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。
得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して得られた発泡成形体の融着率、表面粒子間隙、水漏れ防止性をそれぞれ評価した。その結果を表1に示す。
[実施例5]
n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレートの添加量を1gに変えた以外は、実施例1と同様にして発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。
得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して得られた発泡成形体の融着率、表面粒子間隙、水漏れ防止性をそれぞれ評価した。その結果を表1に示す。
【0021】
[実施例6]
n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレートの添加量を0.06gに変えた以外は、実施例1と同様にして発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。
得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して得られた発泡成形体の融着率、表面粒子間隙、水漏れ防止性をそれぞれ評価した。その結果を表1に示す。
[実施例7]
n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレートの添加量を0.02gに変えた以外は、実施例1と同様にして発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。
得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して得られた発泡成形体の融着率、表面粒子間隙、水漏れ防止性をそれぞれ評価した。その結果を表1に示す。
【0022】
[実施例8]
n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレートの添加量を0.016gに変えた以外は、実施例1と同様にして発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。
得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して得られた発泡成形体の融着率、表面粒子間隙、水漏れ防止性をそれぞれ評価した。その結果を表1に示す。
[比較例1]
n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート2gに代えてt−ブチルパーオキシベンゾエート2gを用いた以外は、実施例1と同様にして発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。
得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して得られた発泡成形体の融着率、表面粒子間隙、水漏れ防止性をそれぞれ評価した。その結果を表1に示す。
【0023】
[比較例2]
n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート2gに代えて1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン2gを用いた以外は、実施例1と同様にして発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。
得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して得られた発泡成形体の融着率、表面粒子間隙、水漏れ防止性をそれぞれ評価した。その結果を表1に示す。
[比較例3]
n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート2gに代えてt−ブチルパーオキシイソプロピルカルボネート2gを用いた以外は、実施例1と同様にして発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。
得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して得られた発泡成形体の融着率、表面粒子間隙、水漏れ防止性をそれぞれ評価した。その結果を表1に示す。
【0024】
[参考例1]
比較例1で得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を、ショ糖エステル[第一工業製薬(株)製、商品名:DKエステルF−50]0.05重量%で被覆した。
得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して得られた発泡成形体の融着率、表面粒子間隙、水漏れ防止性をそれぞれ評価した。その結果を表1に示す。
[実施例9]
撹拌装置を有する内容積5リットルのステンレス製オートクレーブに、粒子径0.47〜0.58mmのスチレン系樹脂粒子500g、イオン交換水2kgを投入し、攪拌下にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1gを加えて溶解し、さらにリン酸3カルシウム[太平化学(株)製]6gを加えて分散させて水性懸濁媒体とした。これを200rpmで撹拌しながら30分かけて85℃まで昇温した。昇温後、温度を85℃に保持し、スチレン100gにベンゾイルパーオキサイド(分解温度:74℃)6gおよびn−ブチル−4,4ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート2gを溶解したスチレン単量体混合物を10分間かけて滴下、投入した。この滴下、投入の終了から10分間経過した後に、スチレン1.4kgを4時間かけて一定速度で連続的に滴下、投入して、第1段階の重合を行った。スチレンの滴下、投入の終了から30分経過した後に、リン酸3カルシウム2gを追加投入し、さらにシクロヘキサン30gおよびn−ブタン180gを窒素圧を利用して圧入して、30分かけて120℃まで昇温し、120℃で3時間保持して、第2段階の重合および発泡剤の含浸を行った。次いで、冷却して懸濁液を取り出し、樹脂粒子を分離、洗浄、乾燥して発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。
【0025】
得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して得られた発泡成形体の融着率、表面粒子間隙、水漏れ防止性をそれぞれ評価した。その結果を表2に示す。得られた発泡性スチレン系樹脂粒子は、粒子径が0.7〜1mmに揃ったものであった。また、滴下、投入されたスチレン単量体は、ほぼ全量がスチレン系樹脂粒子に吸収されて重合した。
【0026】
[比較例4]
n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート2gに代えてt−ブチルパーオキシベンゾエート2gを用いた以外は、実施例9と同様にして発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。
得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して得られた発泡成形体の融着率、表面粒子間隙、水漏れ防止性をそれぞれ評価した。その結果を表2に示す。表1および表2に示されるように、本発明の方法により得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して得られた発泡成形体は、融着率や表面の間隙状態は比較例のものと同等であるが、水漏れ防止性においては比較例のものよりも優れ、参考例1のものと同等であることが分かる。
したがって、本発明の方法により得られる発泡性スチレン系樹脂粒子には特定物質を添加したり、被覆したりしなくても、水漏れ防止性の優れた発泡成形体を得ることができる。
【0027】
[発泡成形体の製造]
実施例1〜8、比較例1〜3ならびに参考例1で得られた発泡性スチレン系樹脂粒子は、0.7〜1.0mmの粒子径に予め篩い揃え、実施例9および比較例4は粒子径を調整せずにそのまま用いた。
各実施例、比較例および参考例で得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を、該発泡性樹脂粒子に対して、0.1重量%のステアリン酸亜鉛および0.08重量%のステアリン酸モノグリセリドで被覆した後、撹拌装置を備えた内容積25リットルの発泡機を用いて、圧力0.05MPaのスチームにて嵩密度60cm3/gに予備発泡した。
得られた予備発泡粒子は、23℃で大気圧下に24時間放置した後、成形された。得られた発泡成形体の形状は、底面とこの底面外周から立ち上がる側壁を有し、上面が開口した平面が四角形状の箱状容器であり、底面が300mm×400mm、側壁高さが100mm、底面部および側壁部の成形体厚みが20mmであった。
成形条件は、ACE−3SP型成形機[積水工機製作所(株)製]を用い、スチーム圧0.08MPaで加熱30秒の後、成形体を型から取り出しても変形しなくなるまで冷却することにより行われた。
【0028】
[評価方法]
[融着率評価]
発泡成形体を引き裂いたときの破断面において、発泡粒子間の融着面で離れたものではなく、発泡粒子の内部で引き裂かれたものの全体に対する割合を百分率で表した。
[表面粒子間隙]
各発泡成形体表面の同一部分において、50×70mmの長方形の範囲内にある粒子間隙数を目視で数えた。
[水漏れ防止性評価]
得られた発泡成形体の凹部に、ノニオン界面活性剤[花王(株)製、商品名:エマルゲン810]の0.1重量%水溶液100重量部に着色剤[関東化学(株)製、商品名:エリオクロムブラックT]0.005重量部を添加した漏れ試験液を入れ、23℃で大気圧下に1時間放置して、成形体外面への漏出状況を着色の度合いとして、目視にて以下の基準で評価した。
◎: 外面に着色がなく、漏れが認められない
◯: 外面の粒子境界面が僅かに着色するが、表面濡れは実質的に見られない
△: 外面に濡れが認められる
×: 外面の濡れが著しく、外周面へ液が漏出する
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【発明の効果】
本発明の方法により得られる発泡性スチレン系樹脂粒子は、特定の物質を添加したり、被覆したりしないでも、水漏れ防止性に優れた発泡成形体を与えることができる。
また、本発明の方法によれば、特定の物質を添加したり、被覆したりする工程を省略できるので、製造工程の煩雑さや、コスト高を招くことなく、しかも得られる発泡成形体は優れた水漏れ防止性を有する。
Claims (4)
- 懸濁安定剤およびラジカル重合開始剤の存在下に、スチレン系単量体を水性媒体中で懸濁重合し、易揮発性有機発泡剤を懸濁重合中または懸濁重合の終了後に添加して発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法であって、懸濁重合が、前記ラジカル重合開始剤として、10時間の半減期を得るための分解温度が50〜80℃である低温型重合開始剤を用い、次いでn−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレートおよび/またはt−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカルボネートの高温型重合開始剤を用いて行なわれることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
- 懸濁安定剤およびラジカル重合開始剤の存在下に、水性媒体中に懸濁させたスチレン系樹脂粒子にスチレン系単量体を添加してシード重合し、易揮発性有機発泡剤をシード重合中またはシード重合の終了後に添加して発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法であって、シード重合が、前記ラジカル重合開始剤として、10時間の半減期を得るための分解温度が50〜80℃である低温型重合開始剤を用い、次いでn−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレートおよび/またはt−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカルボネートの高温型重合開始剤を用いて行なわれることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
- 請求項1または2に記載の方法で得られる発泡性スチレン系樹脂粒子。
- 請求項3に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形してなる発泡成形体。
Priority Applications (1)
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JP2000115505A JP3597109B2 (ja) | 2000-04-17 | 2000-04-17 | 発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法、発泡性スチレン系樹脂粒子および発泡成形体 |
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