JP2002332368A - スチレン系樹脂発泡体およびその製造方法 - Google Patents

スチレン系樹脂発泡体およびその製造方法

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JP2002332368A
JP2002332368A JP2001140464A JP2001140464A JP2002332368A JP 2002332368 A JP2002332368 A JP 2002332368A JP 2001140464 A JP2001140464 A JP 2001140464A JP 2001140464 A JP2001140464 A JP 2001140464A JP 2002332368 A JP2002332368 A JP 2002332368A
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resin
styrene
foam
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JP2001140464A
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Masaoki Goto
正興 後藤
Toshio Miyagawa
登志夫 宮川
Toru Yoshida
融 吉田
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境適合性に優れた熱可塑性樹脂であるスチ
レン系樹脂からなる発泡体であり、燃焼時の溶融変形、
溶融滴下の問題が改善され、難燃性の優れたスチレン系
樹脂発泡体を得る。 【解決手段】 スチレン系樹脂100重量部に対して、
特定の無機繊維を0.1〜1000重量部含有させたこ
と、あるいは特定のスチレン系樹脂組成物100重量部
に対して、無機繊維を0.1〜1000重量部含有させ
たことを特徴とするスチレン系樹脂発泡体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環境適合性に優れ
た熱可塑性樹脂であるスチレン系樹脂からなる発泡体で
あり、特に燃焼時の溶融変形および溶融滴下性が飛躍的
に改善され、かつ、難燃性に優れたスチレン系樹脂発泡
体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂にフロン類などの発泡剤
を添加し、押出発泡、ビーズ法発泡等により発泡体を得
ることは既に知られている。
【0003】このようなスチレン系樹脂発泡体を例えば
建築用断熱材料として用いる場合、自己消火性などの難
燃性が要求され、たとえば、JIS A9511などに
その燃焼性レベルが規定されている。
【0004】このような難燃性の要求されるスチレン系
樹脂発泡体には一般にハロゲン系難燃剤が添加される。
【0005】しかしながら、このようにして得られたス
チレン系樹脂発泡体は自己消火性ではあるものの、燃焼
時には溶融滴下が起こって形態が保持されず、燃焼時に
形状が保持されることが要望される用途への展開は制約
されている。
【0006】燃焼時にある程度形態が保持される樹脂発
泡体としては、熱硬化性樹脂発泡体、例えばフェノール
−ホルムアルデヒド樹脂発泡体などが挙げられる。しか
しながら、このような発泡体では、溶融滴下が起こら
ず、形態は保持されるものの発泡体が脆い、さらには熱
硬化性樹脂であるがためにリサイクル利用することが非
常に困難であるなど環境適合性に問題があり、広く流通
していないのが現状である。
【0007】発泡体への無機繊維の添加は、特表平9−
504237等に挙げられているが、使用している無機
繊維はガラス繊維等に限定されており、特に燃焼時への
影響については触れられておらず、樹脂組成物に関して
も難燃に特徴のあるものではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように、燃焼時に
形態がある程度保持されるとともに、揮発性物質の放散
抑制、リサイクル可能といった環境適合性を兼ね備えた
建築用断熱材料として、未だ十分な性能をもつものは見
いだされていない。
【0009】このような状況の下、本発明が解決しよう
とする課題は、スチレン系樹脂をベースとし、前記特性
を具備した発泡体およびその製造方法を提供することで
ある。
【0010】
【発明が解決するための手段】本発明者らは、前記課題
の解決のため、鋭意研究の結果、スチレン系樹脂に無機
繊維を含有させた発泡体において、燃焼時に溶融滴下せ
ず、形状がある程度保持されると共に、揮発性物質の放
散が少なく、かつ、熱可塑性樹脂であることからリサイ
クル性にもすぐれた建築用断熱材料が得られることを見
いだし、本発明に至った。特に、ハロゲン系難燃剤を併
用せず、非ハロゲン系の発泡剤を使用する場合には、非
常に環境適合性に優れた発泡体が提供される。
【0011】すなわち本発明は、(1)スチレン系樹脂
100重量部に対して、金属塩繊維、セラミック繊維、
ボロン繊維、炭化珪素繊維、酸化珪素繊維、チラノ繊維
から選ばれる1種以上の無機繊維を0.1〜1000重
量部含有させたことを特徴とするスチレン系樹脂発泡体
に関する。
【0012】さらに本発明は、(2)スチレン系樹脂1
00重量部に対して、熱可塑性を有するフェノール系樹
脂、リン系化合物、トリアジン骨格含有化合物、および
多価アルコール類から選ばれる1種以上の化合物を1〜
200重量部含有したスチレン系樹脂組成物100重量
部に対し、無機繊維を0.1〜1000重量部含有させ
たことを特徴とするスチレン系樹脂発泡体に関する。
【0013】さらに本発明は、(3)前記フェノール系
樹脂を含有したスチレン系樹脂組成物中に、更にフェノ
ール系樹脂と反応可能な官能基を有する変性スチレン系
樹脂を含有することを特徴とする(2)記載のスチレン
系樹脂発泡体に関する。
【0014】さらに本発明は、(4)前記スチレン系樹
脂又は前記スチレン系樹脂組成物100重量部に対し
て、さらに難燃剤を0.1〜200重量部含有すること
を特徴とする(1)〜(3)項のいずれか1項記載のス
チレン系樹脂発泡体に関する。
【0015】さらに本発明は、(5)前記スチレン系樹
脂又は前記スチレン系樹脂組成物に非ハロゲン系発泡剤
を含有させ、発泡成形することを特徴とする(1)〜
(4)項のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体の
製造方法に関する。
【0016】さらに本発明は、(6)前記スチレン系樹
脂又は前記スチレン系樹脂組成物に非ハロゲン系発泡剤
を含有させ、押出発泡成形することを特徴とする(5)
記載のスチレン系樹脂発泡体の製造方法に関する。
【0017】
【発明の実施形態】本発明で言うところのスチレン系樹
脂とは、スチレン単量体のみから得られるポリスチレン
ホモポリマー、スチレン単量体とスチレンと共重合可能
な単量体あるいはその誘導体から得られるランダム、ブ
ロックあるいはグラフト共重合体、後臭素化ポリスチレ
ン、ゴム強化ポリスチレンなどの変性ポリスチレンなど
を指す。
【0018】一方、本発明で言うところのスチレン系樹
脂組成物とは、上記スチレン系樹脂に対して、フェノー
ル系樹脂、リン系化合物、トリアジン骨格含有化合物、
および多価アルコール類から選ばれる1種以上の化合物
を含有せしめたもの、あるいは更にフェノール系樹脂と
反応可能な官能基を有する変性スチレン系樹脂を含有せ
しめたものを指す。
【0019】上記スチレン系樹脂において、スチレン単
量体と共重合可能な単量体としては、α−メチルスチレ
ン、α−エチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体類、
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化
ビニル単量体類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エ
チル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ステアリル、
メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのメタクリル酸
エステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ア
クリル酸ブチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2
−ヒドロキシエチルなどのアクリル酸エステル類、メタ
クリル酸、アクリル酸などの(メタ)アクリル酸類、マ
レイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、α−メチル無
水マレイン酸などのα,β−不飽和カルボン酸無水物
類、フェニルマレイミド、マレイミド、メチルマレイミ
ド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ラウリル
マレイミドなどのマレイミド系単量体、グリシジルメタ
クリレートなどのグリシジル基含有単量体類などが挙げ
られる。これらは単独あるいは2種以上混合して使用す
ることができる。
【0020】スチレン系樹脂としては、発泡体を得る際
の成形性から、通常、ポリスチレンホモポリマーが好ま
しい。
【0021】本発明では、無機繊維を用いることで、燃
焼時の溶融滴下を抑制して燃焼時に形態がある程度保持
される効果を有する。これは、樹脂発泡体中で配向した
り絡み合ったりしている不燃かつ耐熱温度の高い無機繊
維が、樹脂発泡体燃焼時にもその構造を維持しようとす
るため、効果が現れているものと考える。
【0022】本発明における無機繊維とは、無機化合物
からなる天然あるいは人工の繊維である。本発明におい
て、無機繊維を用いることにより、樹脂燃焼温度におい
て構造維持機能を発現し、樹脂溶融時の垂れを防止する
ため、従来のスチレン系樹脂発泡体で見られた燃焼時の
溶融変形、溶融滴下を著しく改善した発泡体を得ること
ができる。該無機繊維としては、特に限定するものでは
ないが、例えば、金属繊維、鉱物繊維、炭素繊維、金属
塩繊維等の他、様々な無機化合物の繊維が挙げられる。
【0023】金属繊維とは、各種金属からなる繊維であ
り、金糸、銀糸、ステンレス繊維、銅線、タングステン
線、モリブデン線、チタン線、ベリリウム線、アルミニ
ウム線、マンガン線などが挙げられる。鉱物繊維とは、
無機系の天然繊維で石綿などが挙げられる。炭素繊維と
しては、ポリアクリロニトリル繊維やピッチ繊維を焼成
してなる人工のものや、グラファイト繊維等の天然のも
のが挙げられる。
【0024】金属塩繊維とは、ケイ酸塩、硫酸塩、炭酸
塩、ホウ酸塩、リン酸塩、酸化物、硫化物、ハロゲン化
物などの化学組成をもつ金属塩からなる繊維であり、具
体的には、アルミナ繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、酸
化亜鉛繊維、チタン酸カリウム繊維、二ホウ化チタン繊
維、チタン酸カルシウム繊維、メタケイ酸カルシウム繊
維、硫酸カルシウム繊維、リン酸カルシウムナトリウム
繊維、酸化ベリリウム繊維、硫酸マグネシウム繊維、ホ
ウ酸マグネシウム繊維、酸化マグネシウム繊維、酸化ジ
ルコニウム繊維などが挙げられる。
【0025】その他の無機化合物繊維としては、ガラス
繊維、岩石繊維、セラミック繊維、ボロン繊維、炭化珪
素繊維、酸化珪素繊維、チラノ繊維などが挙げられる。
【0026】これらの繊維は単独で使用しても混合物で
あっても良い。また、使用する繊維の形状としては、ミ
クロ構造においては非晶質繊維状、結晶質繊維状、ウィ
スカー状等が挙げられ、マクロ構造においては粉状、綿
状、針状、チョップドストランド状、毛玉状、糸状等が
挙げられるが、とくに限定するものではない。また、目
的に応じて表面などに各種処理を施していてもかまわな
い。
【0027】本発明の無機繊維の含有量は、スチレン系
樹脂100重量部に対して、0.1〜1000重量部で
あり、好ましくは1〜500重量部、さらに好ましくは
5〜200重量部である。無機繊維が0.1重量部未満
では十分な難燃効果が得られず、1000重量部を越え
ると発泡体の成形性が困難となるため好ましくない。
【0028】また、上記無機繊維は、発泡体を建築断熱
材料として使用する場合、断熱性能および環境適合性に
対して影響の少ない、金属塩繊維、セラミック繊維、ボ
ロン繊維、炭化珪素繊維、酸化珪素繊維、チラノ繊維か
ら選ばれる1種以上の繊維であることが好ましい。
【0029】本発明におけるフェノール系樹脂とは、フ
ェノール類とアルデヒド類をアルカリ性あるいは酸性触
媒下で反応させて得られるフェノール−アルデヒド樹脂
である。フェノール類としては、フェノール、カテコー
ル、レゾルシノール、キシレノール、クレゾール、エチ
ルフェノール、プロピルフェノール、アミノフェノー
ル、ビス(ヒドロキシフェニル)ブタン等が挙げられ、
これらの混合物であっても良い。アルデヒド類として
は、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセト
アルデヒド等が挙げられ、これらの混合物であっても良
い。
【0030】本発明における熱可塑性を有するフェノー
ル系樹脂とは、一定温度以上で加熱すると、可塑性を有
するフェノール系樹脂を言う。本発明で使用する熱可塑
性を有するフェノール系樹脂は、特に限定されるもので
なく、市販で入手可能である。本発明において、熱可塑
性を有するフェノール系樹脂を用いることにより、燃焼
性の点では、炭化促進機能、燃焼時に殻を形成する機
能、溶融液滴を防止する機能など、従来のスチレン系樹
脂発泡体で見られた燃焼時の溶融変形、溶融滴下を著し
く改善した発泡体を得ることができる。また、熱可塑性
を有するため、ベースとなるスチレン系樹脂と分子レベ
ルで混合分散が可能となり、難燃性の付与と同時に均一
な発泡体を得ることができる。
【0031】このような特徴を満足できる熱可塑性を有
するフェノール系樹脂として、例えば、ノボラック型フ
ェノール−ホルムアルデヒド樹脂、リン酸及び/又はホ
ウ酸変性ノボラック型フェノール−ホルムアルデヒド樹
脂、芳香族炭化水素及び/又はテルペン変性ノボラック
型フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、縮合多環芳香族
炭化水素変性ノボラック型フェノール−ホルムアルデヒ
ド樹脂からなる群から選ばれた1種以上のフェノール系
樹脂であることを特徴とする。
【0032】なお、上記したごとき本発明で使用する熱
可塑性を有するフェノール系樹脂以外、つまり熱可塑性
を有さないフェノール系樹脂について次に記すことによ
り、本発明で使用する熱可塑性を有するフェノール系樹
脂との差異を明らかにする。
【0033】熱可塑性を有さないフェノール系樹脂とし
ては、フェノール−アルデヒド樹脂を必要に応じて架橋
剤、触媒等とともに熱硬化等させた硬化済みのフェノー
ル樹脂が挙げられる。硬化済みのフェノール樹脂として
は、レゾールタイプのフェノール−アルデヒド樹脂を熱
硬化及び/又は酸硬化させても良いし、熱可塑性のノボ
ラックタイプのフェノール−アルデヒド樹脂をヘキサメ
チレンテトラミン等の架橋剤とともに加熱して硬化させ
るものがある。
【0034】また、上記ノボラックタイプフェノール−
アルデヒド樹脂としては、置換または非置換のフェノー
ル類とアルデヒド類とを縮合して得られる比較的低分子
量のポリマーであって、遊離のメチロール基を有しない
ものである。例えばフェノール類(A)とアルデヒド類
(B)を配合モル比(A/B)が0.5〜1.0となるよ
うな比率で反応釜に仕込み、更に酸性触媒として塩酸、
硫酸、リン酸、パラトルエンスルホン酸、しゅう酸、酢
酸などから選ばれた1種または2種以上を添加して適当
な時間還流反応を行った後、常圧あるいは減圧下での蒸
留で水および未反応の遊離フェノールを除去することに
より、熱可塑性を有するフェノール系樹脂であるノボラ
ックタイプフェノール−アルデヒド樹脂が得られる。
【0035】なお、こうして得られたノボラックタイプ
フェノール−アルデヒド樹脂は、ヘキサミン等の架橋剤
とともに加熱した場合には、本発明で使用する熱可塑性
を有するフェノール系樹脂とは異なる、熱可塑性を有さ
ない硬化済みのフェノール樹脂が得られる。
【0036】また、上記レゾールタイプのフェノールー
アルデヒド樹脂としては、置換または非置換のフェノー
ル類とアルデヒド類などとを縮合して得られる比較的低
分子量のポリマーであって、遊離のメチロール基を3〜
20重量%有するものである。レゾールタイプのフェノ
ールーアルデヒド樹脂は、フェノール類(A)とアルデ
ヒド類(B)を配合モル比(A/B)が1.0〜2.0と
なるような比率で反応釜に仕込み、更にアルカリ性触媒
として水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カル
シウムなどのアルカリ金属類およびアルカリ土類金属類
の水酸化物あるいは酸化物や、アンモニア、トリエチル
アミン等のアミン類の中から選ばれた1種または2種以
上を添加して適当な時間還流反応を行った後、常圧ある
いは減圧下での蒸留で水および未反応の遊離フェノール
を除去することにより、熱可塑性を有するフェノール系
樹脂であるレゾールタイプフェノール−アルデヒド樹脂
が得られる。
【0037】なお、こうして得られた熱可塑性を有する
レゾールタイプフェノール−アルデヒド樹脂を、熱硬化
及び/又は酸硬化した場合には、本発明で使用する熱可
塑性を有するフェノール系樹脂とは異なる、熱可塑性を
有さない硬化済みのフェノール樹脂が得られる。
【0038】本発明の熱可塑性を有するフェノール系樹
脂の含有量は、スチレン系樹脂100重量部に対して、
1〜200重量部であり、好ましくは2〜150重量
部、さらに好ましくは5〜120重量部である。熱可塑
性を有するフェノール系樹脂が1重量部未満では十分な
難燃効果が得られず、200重量部を越えると発泡体の
成形性が困難となるため好ましくない。
【0039】本発明では、リン系化合物を用いること
で、燃焼時に炭化を促進し、溶融滴下を抑制して燃焼時
の形状保持効果を促進する。これは、スチレン系樹脂あ
るいは他の配合剤から水素原子を引き抜き、あるいは脱
水酸基あるいは脱水をする作用を示し、炭化を促進させ
ることで効果が現れているものと考える。
【0040】本発明で用いられるリン系化合物は、分子
中にリン原子を有する化合物であれば特に制限はなく、
例えば、三酸化リン、四酸化リン、五酸化リンなどのリ
ン酸化物、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、メタリン
酸、ピロリン酸、ポリリン酸などのリン酸化合物、モノ
アンモニウムホスフェート、ジアンモニウムホスフェー
ト、アンモニウムポリホスフェートなどのリン酸アンモ
ニウム塩、メラミンモノホスフェート、メラミンジホス
フェート、メラミンポリホスフェートなどのリン酸メラ
ミン塩、リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カ
リウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムなどの
リン酸金属塩などのリン酸塩類、トリメチルホスフェー
ト、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェー
ト、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブ
トキシエチルホスフェート、モノイソデシルホスフェー
ト、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェー
ト、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェ
ートなどの脂肪族系リン酸エステル類、トリフェニルホ
スフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニ
ルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホス
フェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、
トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフ
ェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニ
ル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロ
ピルフェニル)フェニルホスフェート、ジフェニル−2
−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル
−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェートなどの
芳香族系リン酸エステル類、下記の一般式1で表される
リン酸エステル基を2以上有するリン酸エステル類、
【0041】
【化1】 (式中、R1はレゾルシノール、ハイドロキノン、ビス
フェノールA等の残基、R2はフェニル基、トリル基、
キシリル基などであり、同一でも異なっていてもよい、
nは1以上の整数である)、ホスファゼン、ポリホスフ
ァゼンなどのホスファゼン類、リン酸アミン類、リン酸
アミド類などが挙げられる。
【0042】一般式1で表されるリン酸エステル類とし
ては、レゾルシノール・ビス(ジフェニルホスフェー
ト)、レゾルシノール・ビス(ジキシレニルホスフェー
ト)、レゾルシノール・ビス(ジクレジルホスフェー
ト)、ハイドロキノン・ビス(ジフェニルホスフェー
ト)、ハイドロキノン・ビス(ジキシレニルホスフェー
ト)、ハイドロキノン・ビス(ジクレジルホスフェー
ト)、ビスフェノールA・ビス(ジフェニルホスフェー
ト)、ビスフェノールA・ビス(ジキシレニルホスフェ
ート)、ビスフェノールA・ビス(ジクレジルホスフェ
ート)などの芳香族系ジ(リン酸エステル)類(前記一
般式1において、n=1のもの)、ポリ(レゾルシノー
ル・フェニルホスフェート)、ポリ(レゾルシノール・
クレジルホスフェート)、ポリ(レゾルシノール・キシ
レニルホスフェート)、ポリ(ハイドロキノン・フェニ
ルホスフェート)、ポリ(ハイドロキノン・クレジルホ
スフェート)、ポリ(ハイドロキノン・キシレニルホス
フェート)、ポリ(ビスフェノールA・フェニルホスフ
ェート)、ポリ(ビスフェノールA・クレジルホスフェ
ート)、ポリ(ビスフェノールA・キシレニルホスフェ
ート)などの芳香族系ポリ(リン酸エステル)類(前記
一般式1においてnが2以上のもの)などのリン酸エス
テル類、などが挙げられる。
【0043】該リン系化合物が粒子状、粉体状、板状、
針状などの固体形状であった場合にはメラミン樹脂、フ
ェノール樹脂、グアナミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタ
ン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、シランカップリン
グ剤などから選ばれる1種以上の化合物など表面被覆あ
るいは表面処理できる化合物で表面処理されたものであ
ってもよい。
【0044】該リン系化合物では、燃焼時の形状保持の
観点から、アンモニウムホスフェート、アンモニウムポ
リホスフェート、メラミンホスフェート、メラミンポリ
ホスフェートなどのリン酸塩、トリフェニルホスフェー
ト、前記一般式1で表される芳香族ジ(リン酸エステ
ル)類または芳香族ポリ(リン酸エステル)類などのリ
ン酸エステル類、ホスファゼン、ポリホスファゼンなど
のホスファゼン類が好ましい。さらに、リン酸塩類では
表面処理されたリン酸塩類がより好ましい。
【0045】本発明で用いられるトリアジン骨格含有化
合物とは、炭素原子と窒素原子からなるトリアジン構造
を有する化合物であり、燃焼時にガスを発生することか
ら酸素を遮断するといったことにより燃焼を抑制し、形
状保持性を向上させていると考えられる。
【0046】本発明で用いられるトリアジン骨格含有化
合物は、具体的にはメラミン、メチロールメラミン類な
どのメラミン誘導体、シアヌル酸、メチルシアヌレー
ト、ジエチルシアヌレート、トリメチルシアヌレート、
トリエチルシアヌレート、イソシアヌル酸、メチルイソ
シアヌレート、N,N’−ジエチルイソシアヌレート、
トリスメチルイソシアヌレート、トリスエチルイソシア
ヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレ
ート、1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イ
ソシアヌレート、トリス(2,3−エポキシプロピル)
イソシアヌレートなどのシアヌル酸、イソシアヌル酸ま
たはその誘導体、メラミンシアヌレートなどのメラミン
(誘導体)と(イソ)シアヌル酸(誘導体)との塩など
が挙げられる。
【0047】トリアジン骨格含有化合物では、燃焼時の
形状保持の観点から、メラミン、シアヌル酸、イソシア
ヌル酸、メラミンシアヌレートなどが好ましい。
【0048】本発明で用いられる多価アルコール類は、
1分子中に2個以上の水酸基を含有する化合物であっ
て、燃焼時に炭化することにより形状保持性を向上させ
ているものと考えられる。
【0049】その具体例としては、モノペンタエリスリ
トール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリ
トールなどのペンタエリスリトール類、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、
エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合
体などのグリコール類、グリセリン、レゾルシノール、
トリメチロールプロパンなどが挙げられる。
【0050】多価アルコール類では、燃焼時の形状保持
の観点から、モノペンタエリスリトールが好ましい。
【0051】本発明において前記スチレン系樹脂100
重量部に対して、リン系化合物、トリアジン骨格含有化
合物、および多価アルコール類から選ばれる1種または
2種以上の化合物を1〜200重量部含有させると良
い。好ましくは5〜150重量部、さらに好ましくは1
0〜120重量部である。リン系化合物、トリアジン骨
格含有化合物、および多価アルコール類から選ばれる1
種または2種以上の化合物が1重量部未満では形状保持
効果が低下する傾向にあり、200重量部を越えると発
泡体の成形性が困難となる。
【0052】本発明では、燃焼時の形状保持性をより高
めるためにリン系化合物、トリアジン骨格含有化合物お
よび多価アルコール類の全てを含有することがより好ま
しい。
【0053】本発明において、スチレン系樹脂組成物中
にフェノール系樹脂を含有する場合、燃焼時の溶融変形
防止、溶融滴下防止性をより安定して発現させるため
に、フェノール系樹脂と反応可能な官能基を有する変性
スチレン系樹脂(a)(以下、変性スチレン系樹脂
(a)と略す)をスチレン系樹脂組成物中に含有せしめ
てもよい。
【0054】変性スチレン系樹脂(a)とは、スチレン
系樹脂を変性しフェノール系樹脂と反応可能な官能基を
持たせたスチレン系樹脂、あるいはスチレンおよびスチ
レンと共重合可能であってフェノール系樹脂と反応可能
な官能基を有する単量体あるいはその誘導体、更に場合
によってはその他スチレンと共重合可能な単量体あるい
はその誘導体から得られる共重合体のことをいう。
【0055】変性スチレン系樹脂(a)におけるフェノ
ール系樹脂と反応可能な官能基としては、エポキシ基、
カルボキシル基およびその誘導体、オキサゾリン基、イ
ソシアネート基、水酸基等を例示できる。また、カルボ
キシル基の誘導体としては、酸無水物、エステル基、ア
ミド基、アシル基等を例示できる。
【0056】これらの中でも、フェノール系樹脂との反
応性の点で、エポキシ基、カルボキシル基およびその誘
導体が好ましい。
【0057】スチレン系樹脂を変性しフェノール系樹脂
と反応可能な官能基を持たせたスチレン系樹脂として
は、ポリスチレンにクロロメチル基、カルボキシル基、
水酸基、メチロール基等を導入したスチレン系樹脂が挙
げられるが、これらに限定されるものではない。このよ
うなフェノール系樹脂と反応可能な官能基を持たせたス
チレン系樹脂のその他の例としては、(株)講談社発
行、機能性高分子シリーズ、「反応性高分子」(著者:
岩倉義男、栗田恵輔)に記載のものの中等から適宜選択
できる。
【0058】次に、スチレンおよびスチレンと共重合可
能であってフェノール系樹脂と反応可能な官能基を有す
る単量体あるいはその誘導体、更に場合によってはその
他スチレンと共重合可能な単量体あるいはその誘導体か
ら得られる共重合体としては、ランダム、ブロックある
いはグラフト共重合体などが挙げられる。
【0059】スチレンと共重合可能であってフェノール
系樹脂と反応可能な官能基を有する単量体としては、メ
タクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸
ブチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸2−ヒ
ドロキシエチルなどのメタクリル酸エステル類、アクリ
ル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、ア
クリル酸ステアリル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル
などのアクリル酸エステル類、メタクリル酸、アクリル
酸などの(メタ)アクリル酸類、マレイン酸、α−フェ
ニル無水マレイン酸、α−メチル無水マレイン酸などの
α,β−不飽和カルボン酸無水物類、グリシジルメタク
リレートなどのグリシジル基(エポキシ基)含有単量体
類、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンなどのオキ
サゾリン基含有単量体類などが挙げられる。これらは単
独あるいは2種以上混合して使用することができる。
【0060】その他スチレンと共重合可能な単量体とし
ては、α−メチルスチレン、α−エチルスチレンなどの
芳香族ビニル単量体類、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリルなどのシアン化ビニル単量体類、フェニルマレ
イミド、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイ
ミド、プロピルマレイミド、ラウリルマレイミドなどの
マレイミド系単量体等などが挙げられる。これらは単独
あるいは2種以上混合して使用することができる。
【0061】フェノール系樹脂との良好な反応を示す点
から、より好ましい変性スチレン系樹脂(a)として
は、スチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、ス
チレン/アクリロニトリル/グリシジルメタクリレート
共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、ス
チレン/アクリロニトリル/(メタ)アクリル酸共重合
体、スチレン/アクリロニトリル/2−イソプロペニル
−2−オキサゾリン共重合体、エチレン/グリシジルメ
タクリレート共重合体とポリスチレンのグラフトコポリ
マー、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体と
スチレン/アクリロニトリル共重合体のグラフトコポリ
マー、エチレン/エチルアクリレート/無水マレイン酸
共重合体とポリスチレンのグラフトコポリマー、エチレ
ン/エチルアクリレート/無水マレイン酸共重合体とス
チレン/アクリロニトリル共重合体のグラフトコポリマ
ー、ポリp−ビニルフェノールのホモポリマー、p−ビ
ニルフェノール−スチレン共重合体などが挙げられる。
【0062】これらの中でも、より均一な発泡体が得ら
れ、高度の溶融変形防止、溶融滴下防止性が得られる点
から、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体と
ポリスチレンのグラフトコポリマーが更に好ましい。
【0063】これら変性スチレン系樹脂(a)は、この
まま用いてもよいが、他の配合成分と混合する前にフェ
ノール系樹脂と反応させることにより、フェノール−ス
チレン共重合体として用いてもよい。
【0064】本発明のスチレン系樹脂組成物中の変性ス
チレン系樹脂含有量は、特に限定するものではないが、
好ましくは、フェノール系樹脂の含有量(X重量部)と
変性スチレン系樹脂中のフェノール系樹脂と反応可能な
官能基の量(Y重量部)の比(X/Y)が0.001〜
1000、さらに好ましくは0.005〜0.5および
2〜200である。上記範囲を超えると燃焼時の溶融変
形防止、溶融滴下防止性の安定発現が困難となるため好
ましくない。
【0065】本発明においては、ハロゲン系難燃剤を使
用しないでも難燃性の向上が果たせるため、特に環境適
合性に優れた発泡体が得られるが、得られる発泡体の難
燃性をさらに向上させる目的の場合には、次に記述する
難燃剤を加えることができる。
【0066】本発明で用いられる難燃剤に特に制限はな
く、例えば、ヘキサブロモシクロドデカンなどの脂肪族
あるいは脂環族炭化水素の臭素化物、ヘキサブロモベン
ゼン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、デカブロ
モジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテ
ル、2,3−ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエ
ーテルなどの芳香族化合物の臭素化物、テトラブロモビ
スフェノールA、テトラブロモビスフェノールAビス
(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモ
ビスフェノールA(2−ブロモエチルエーテル)、テト
ラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、テト
ラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとトリ
ブロモフェノール付加物などの臭素化ビスフェノール類
およびその誘導体、テトラブロモビスフェノールAポリ
カーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノール
Aジグリシジルエーテルとブロモ化ビスフェノール付加
物エポキシオリゴマーなどの臭素化ビスフェノール類誘
導体オリゴマー、テトラブロモフタレーロジオール、テ
トラブロモフタレートエステル、テトラブロモフタレー
トジソジウム、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリ
レート)、ペンタブロモフェノール、ブロモフェノキシ
エタノール、臭素化フェノール(ノボラック型)、ジブ
ロモクレジルグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリア
ジン、ビニルブロマイド、トリブロモフェノール、ジブ
ロモフェノール、ジブロモメタクレゾール、ジブロモネ
オペンチルグリコール、エチレンビステトラブロモフタ
ルイミド、エチレンビスジブロモノルボルナンジカルボ
キシイミド、ビス(2,4,6ートリブロモフェノキ
シ)エタン、臭素化アクリル系樹脂などの臭素系芳香族
化合物、塩素化パラフィン、塩素化ナフタレン、パーク
ロロペンタデカン、テトラクロロ無水フタル酸、塩素化
芳香族化合物、塩素化脂環状化合物、などのハロゲン系
難燃剤が挙げられる。
【0067】さらには、本発明で用いられるリン系化合
物およびトリアジン骨格含有化合物以外のリン系難燃
剤、窒素含有化合物、さらには水酸化アルミニウム、水
酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、四酸化アンチモ
ン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、硼
酸、硼酸亜鉛、硼酸バリウム、酸化硼素などの無機化合
物、などの非ハロゲン系難燃剤が挙げられる。
【0068】難燃剤の添加量は、例えばJIS A95
11に規定される難燃性を得られるよう、発泡剤添加量
などにあわせて適宜調整されるが、スチレン系樹脂また
はスチレン系樹脂組成物100重量部に対して、0.1
〜200重量部であり、好ましくは、1〜150重量
部、さらに好ましくは、1〜100重量部である。
【0069】本発明において用いられる発泡剤に特に制
限はないが、例えば、プロパン、n−ブタン、i−ブタ
ン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタンなどに
例示される飽和炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチル
エーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテ
ル、n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フ
ラン、フルフラール、2−メチルフラン、テトラヒドロ
フラン、テトラヒドロピランなどに例示されるエーテル
類、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケ
トン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケ
トン、メチルi−ブチルケトン、メチルn−アミルケト
ン、メチルn−ヘキシルケトン、エチルn−プロピルケ
トン、エチルn−ブチルケトンに例示されるケトン類、
メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プ
ロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアル
コール、t−ブチルアルコールに例示されるアルコール
類、蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プ
ロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエス
テル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチ
ルエステルに例示されるカルボン酸エステル類、アゾジ
カルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,
N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トル
エンスルホニルヒドラジン、p,p’−オキシビス(ベ
ンゼンスルホヒドラジド)、塩化メチル、塩化エチルな
どに例示される有機発泡剤、トリクロロフルオロメタン
(R11)、ジクロロジフルオロメタン(R12)、ク
ロロジフルオロメタン(R22)、テトラクロロジフル
オロエタン(R112)、ジクロロフルオロエタン(R
141b)、クロロジフルオロエタン(R142b)、
ジフルオロエタン(R152a)、HFC−245f
a、HFC−236ea、HFC−245ca、HCF
C−225caなどに例示されるフロン系発泡剤、水、
二酸化炭素、窒素、空気などに例示される無機発泡剤な
どが挙げられる。これらは単独又は2種以上混合して使
用することができる。
【0070】これらの中でも、次に記す非ハロゲン系発
泡剤を使用することにより、本発明の発泡体の環境適合
性を更に向上させることができるため望ましい。すなわ
ち、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタ
ン、i−ペンタン、ネオペンタンなどに例示される飽和
炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチ
ルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチル
エーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラ
ール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラ
ヒドロピランなどに例示されるエーテル類、 N,N’
−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジ
メチルN,N’−ジニトロソテレフタールアミド、アゾ
ジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジドアゾ
ジカルボンアミド、 p−トルエンスルホニルヒドラジ
ン、アゾビスホルムアミド、ジエチルアゾジカルボキシ
レート、アゾビスイソブチロニトリル 、p−トルエン
スルホニルヒドラジン、p,p’−オキシビス(ベンゼ
ンスルホヒドラジド)、3,3’−ジスルホヒドラジド
ジフェニルスルフォンなどの有機化学発泡剤、水、二酸
化炭素、窒素、空気、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭
酸アルミニウム、炭酸亜鉛、炭酸アンモニウム、炭酸水
素ナトリウム、炭酸水素カリウム、その他の炭酸塩、そ
の他の炭酸水素塩、などに例示される無機発泡剤などの
非ハロゲン系発泡剤が環境適合性の観点で好ましい。
【0071】本発明のスチレン系樹脂発泡体の製造時
に、スチレン系樹脂またはスチレン系樹脂組成物中に添
加または後添加される発泡剤の量としては、発泡倍率の
設定値などに応じて適宜変えればよい。通常、発泡倍率
20〜40倍程度であれば発泡剤の合計量を該スチレン
系樹脂またはスチレン系樹脂組成物100重量部に対し
て2〜20重量部とするのが好ましい。発泡倍率が極小
さくて良い場合は、発泡剤の添加量が2重量部未満でも
充分である。逆に発泡倍率が100倍といった大きな場
合は、20重量部を越えて添加する場合もあるが、この
場合、過剰な発泡剤量のため発泡体中にボイドなどの不
良を生じることに注意しなければならない。ただし、発
泡剤として飽和炭化水素化合物を用いた場合には、10
重量部を越えると発泡体の燃焼時に発泡剤自体が燃焼
し、難燃性が低下する場合がある。
【0072】また本発明においては、必要に応じて本発
明の効果を阻害しない範囲でシリカ、タルク、ケイ酸カ
ルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイ
カ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機
化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネ
シウム、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン、オレ
フィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの加
工助剤、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、ベンゾ
トリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定
剤、帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤を含有
させることができる。
【0073】本発明のスチレン系樹脂発泡体の製造は、
特に製造法に限定されるものではない。例えば、押出発
泡法においては、押出機を用いて、スチレン系樹脂、ま
たはスチレン系樹脂組成物に無機繊維等を加え加熱溶融
させた後、発泡剤を注入して押出発泡する方法、スチレ
ン系樹脂、またはスチレン系樹脂組成物と無機繊維等
と、発泡剤を同時に加熱溶融混練して押出発泡方法など
が挙げられる。
【0074】又は、予め発泡剤を含有したスチレン系樹
脂、またはスチレン系樹脂組成物と無機繊維等からなる
組成物をプレス機を用いて加熱溶融し成形体とした後、
再び加熱して発泡させる方法を用いてもよい。更に、予
め発泡剤を含有したスチレン系樹脂、またはスチレン系
樹脂組成物と無機繊維等からなる組成物から得た粒状物
を型内に充填し加熱して発泡させる方法なども用いられ
る。それらの内でも押出発泡法は、良好な発泡体を得る
ためには、特に好ましい。
【0075】
【実施例】次に本発明のスチレン系樹脂発泡体について
実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はか
かる実施例のみに制限されるものではない。なお、特に
断らない限り「部」は重量部を、「%」は重量%を表
す。以下に示す実施例、比較例の方法で得られた発泡体
の特性として、発泡体密度、自己消火性、燃焼時の溶融
変形、溶融滴下状況(形状保持性)を下記の方法に従っ
て評価した。 (1)発泡体密度(kg/m3):発泡体密度は、次の式:
発泡体密度(g/cm3)=発泡体重量(g)/発泡体体積(c
m3)に基づいて求め、単位を(kg/m3)に換算して示し
た。 (2)自己消火性:製造後14日経過した発泡体を用
い、JIS A9511に規定の燃焼性評価における測
定方法Aに準じて燃焼性試験を行い、下記の基準に従い
判定した。 ○:炎を離した後、5秒以内に消炎した △:炎を離した後、燃焼時間は5秒を越えたが自己消火
性を示した ×:炎を離した後、自己消火せず試験片全体が燃焼して
しまった (3)燃焼時の溶融変形、溶融滴下状況(形状保持
性):2)と同様にして燃焼性試験を行い、消炎後の状
態を目視にて観察し下記の基準に従い判定した。 ○:溶融滴下せず、形状をほぼ維持、あるいは変形する
ものの収縮は見られない △:溶融滴下しないが、収縮が見られた ×:溶融滴下して試験片が残存しなかった 実施例1 ポリスチレン系樹脂(ポリスチレンホモポリマー:新日
鐵化学(株)製、商品名;エスチレンG−17、メルト
インデックス(MI):3.1)100重量部に対し
て、熱可塑性を有するフェノール系樹脂としてノボラッ
ク型フェノール−ホルムアルデヒド樹脂(昭和高分子
(株)製;商品名「BPR−572A」)30重量部、
リン系化合物として表面処理されたポリリン酸アンモニ
ウム(チッソ(株)製;商品名「テラージュC60」)
(以下、APP)10重量部、トリアジン骨格含有化合
物としてメラミンシアヌレート(日産化学工業(株)
製;商品名「MC440」)(以下、MC)10重量
部、多価アルコール類としてモノペンタエリスリトール
(和光純薬工業(株):試薬)(以下、PE)10重量
部、タルク0.3重量部、ステアリン酸バリウム0.2
重量部をドライブレンドした後、30mmφ同方向回転
ニ軸押出機(L/D=30)を用いて、無機繊維として
セラミックファイバー(イビデン(株)製、商品名:イ
ビウールスーパーバルクCP−BS−50(綿状))を
ポリスチレン樹脂100重量部に対して30重量部相当
サイドフィードしつつ溶融混練し、樹脂組成物を得た。
【0076】得られた樹脂組成物を、口径65mmと口
径90mmのものを縦に連結した押出機へ、約40kg
/hrの割合で供給した。前記口径65mmの押出機に
供給し、200℃に加熱して溶融混練し、これに連結さ
れた口径90mmの押出機で樹脂温度を120℃に冷却
し、口径90mmの押出機の先端に設けた厚さ方向2m
m、幅方向50mmの長方形断面吐出口のあるダイスよ
り大気中へ押し出し、直方体状の押出発泡体を得た。こ
のとき発泡剤として、イソブタンを該スチレン樹脂10
0重量部に対して3部、ジメチルエーテルを3部からな
る発泡剤を、それぞれ別のラインから、前記口径65m
mの押出機の先端付近(口径90mmの押出機の先端ダ
イスと反対側の端部側に接続される側の端部)から前記
樹脂中に圧入した。得られた発泡体の特性を表1に示
す。下記、比較例1〜3と比較し、形状保持性が向上し
た発泡体が得られた。 実施例1〜9 表1に示すポリスチレン系樹脂、無機繊維、フェノール
系樹脂、リン系化合物、トリアジン骨格含有化合物、多
価アルコール類の種類および量、さらには、他の難燃剤
としてヘキサブロモシクロドデカン(以下、HBCD)
を添加した樹脂組成物、および、発泡剤種および注入量
に変更した以外は、実施例1と同様にして発泡体を得
た。得られた発泡体の特性を表1に示す。比較例1〜3
と比較し、自己消火性を有しかつ形状保持性が向上した
発泡体が得られた。
【0077】ただし、用いた化合物は下記の通りであ
る。 ・酸化亜鉛ウィスカー:松下アムテック(株)製 ・変性スチレン系樹脂:日本油脂(株)製;商品名「モ
ディパーA4100」 比較例1〜3 表1に示した樹脂組成物とした以外は実施例1と同様に
して発泡体を得た。得られた発泡体の特性を表1に示
す。実施例1〜8と比較して、形状保持性が劣る。
【0078】
【表1】
【0079】
【発明の効果】本発明によれば、環境適合性に優れた熱
可塑性樹脂であるスチレン系樹脂からなる発泡体であ
り、燃焼時の溶融変形、溶融滴下の問題が飛躍的に改善
され、難燃性の優れたスチレン系樹脂発泡体が得られ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/3492 C08K 5/3492 5/49 5/49 7/04 7/04 C08L 25/04 C08L 25/04 61/06 61/06 // B29K 25:00 B29K 25:00 61:04 61:04 105:04 105:04 105:12 105:12 (72)発明者 吉田 融 大阪府摂津市三島2−13−13−301 Fターム(参考) 4F074 AA32 AA59 AC16 AC31 AD13 AE04 AG10 BA38 BA75 CA22 DA18 DA37 DA50 DA58 4F207 AA13 AA37 AB02 AB16 AB25 AG20 KA01 KA11 4J002 BC03W CC03X DE136 DE186 DH027 DH037 DJ006 DJ016 DK006 EA019 EB048 EC047 EC057 ED029 EJ058 EU187 EW047 FA046 FD138 FD329 GL00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系樹脂100重量部に対して、
    金属塩繊維、セラミック繊維、ボロン繊維、炭化珪素繊
    維、酸化珪素繊維、およびチラノ繊維から選ばれる1種
    以上の無機繊維を0.1〜1000重量部含有させたこ
    とを特徴とするスチレン系樹脂発泡体。
  2. 【請求項2】 スチレン系樹脂100重量部に対して、
    熱可塑性を有するフェノール系樹脂、リン系化合物、ト
    リアジン骨格含有化合物、および多価アルコール類から
    選ばれる1種以上の化合物を1〜200重量部含有した
    スチレン系樹脂組成物100重量部に対し、無機繊維を
    0.1〜1000重量部含有させたことを特徴とするス
    チレン系樹脂発泡体。
  3. 【請求項3】 前記、フェノール系樹脂を含有したスチ
    レン系樹脂組成物中に、更にフェノール系樹脂と反応可
    能な官能基を有する変性スチレン系樹脂を含有すること
    を特徴とする請求項2項記載のスチレン系樹脂発泡体。
  4. 【請求項4】 前記スチレン系樹脂又は前記スチレン系
    樹脂組成物100重量部に対して、さらに難燃剤を0.
    1〜200重量部含有することを特徴とする請求項1〜
    3項のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体。
  5. 【請求項5】 前記スチレン系樹脂又は前記スチレン系
    樹脂組成物に非ハロゲン系発泡剤を含有させ、発泡成形
    することを特徴とする請求項1〜4項のいずれか1項記
    載のスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記スチレン系樹脂又は前記スチレン系
    樹脂組成物に非ハロゲン系発泡剤を含有させ、押出発泡
    成形することを特徴とする請求項5記載のスチレン系樹
    脂発泡体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010528167A (ja) * 2007-05-30 2010-08-19 イネオス ノヴァ アンテルナシオナル ソシエテ アノニム 難燃性ポリスチレン
KR101757956B1 (ko) * 2010-04-21 2017-07-14 신브라 테크놀로지 비.브이. 입상, 팽창성 폴리머, 그 제조방법 및 그의 용도
JP7335117B2 (ja) 2019-09-03 2023-08-29 株式会社日本製鋼所 樹脂押し出し機およびフィラー供給装置

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