JP4054602B2 - 熱可塑性樹脂発泡体およびその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂発泡体およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、環境適合性に優れた熱可塑性樹脂からなる発泡体であり、特に難燃性に優れ、更には燃焼時の溶融変形及び溶融滴下性が飛躍的に改善された熱可塑性樹脂の発泡体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スチレン系樹脂にフロン類などの発泡剤を添加し、押出発泡、ビーズ法発泡して発泡体を得ることは既に知られている。
【0003】
このようなスチレン系樹脂発泡体を例えば建築用断熱材料として用いる場合、自己消火性などの難燃性が要求され、たとえば、JIS A9511などにその燃焼性レベルが規定されている。
【0004】
このような難燃性の要求されるスチレン系樹脂発泡体には一般にハロゲン系難燃剤が添加される。
【0005】
しかしながら、このようにして得られたスチレン系樹脂発泡体は自己消火性ではあるものの、燃焼時には収縮や溶融滴下が起きるため形状が保持されず、このため燃焼時に形状の保持が要望される用途への展開が制約されている。
【0006】
一方、特開2000−95892では、スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂に発泡剤を含浸させた粒子を開示しており、また、特開平5−163401ではポリフェニレンエーテル樹脂とポリアルケニル芳香族ビニル化合物に熱分解型発泡剤を混合し、押出発泡させる樹脂発泡体の製造方法を開示している。
【0007】
また、特開平11−277704等では、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂発泡体などの熱硬化性樹脂発泡体について挙げられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した特開平5−163401、特開2000−95892等で開示された発泡体では、本発明が目的とする溶融変形や溶融滴下を改善するには全く至っていない。更に、特開平11−277704等で開示された発泡体では、燃焼時に溶融滴下が起こらず、形状がある程度保持されるものの、発泡体が脆い、さらには熱硬化性樹脂であるがためにリサイクル利用することが非常に困難であるということから環境適合性に問題があり、また、おおよそ500℃以上に数分間曝された場合には発泡体は完全にガス化し、全く形状が残らないため、形状保持性の観点でも不十分である。
【0009】
このように、建築用断熱材料として、JIS A9511の難燃性を満足し、さらに燃焼時に形状がある程度保持されるとともに、リサイクルといった環境適合性を兼ね備えた断熱材としては未だ十分な性能をもつものは見いだされていない。
【0010】
このような状況の下、本発明が解決しようとする課題は、スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂をベースとし、前記特性を具備した発泡体及びその製造方法を提供することである。
【0011】
【発明が解決するための手段】
本発明者らは、前記課題の解決のため、鋭意研究の結果、スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂に、含リン化合物、含窒素化合物、および多価アルコール類を含有させて製造される熱可塑性樹脂の発泡体が、JIS A9511の難燃性を満足し、燃焼時に溶融滴下せず、炭化することで形状がある程度保持されると共に、あくまでも熱可塑性を示す樹脂配合物であることからリサイクル性にもすぐれた建築用断熱材料が得られることを見いだし、本発明に至った。また、本発明においては、ハロゲン系難燃剤やハロゲン系発泡剤を用いない場合、非常に環境適合性に優れた発泡体が提供される。
【0012】
すなわち本発明は、
(1)スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂100重量部に対して、含リン化合物、含窒素化合物、および多価アルコール類を1〜200重量部含有することを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体に関する。
(2)含リン化合物がリン酸塩、リン酸エステル、ホスファゼン類から選ばれる1種以上の化合物であることを特徴とする(1)記載の熱可塑性樹脂発泡体に関する。
【0013】
(3)含窒素化合物がトリアジン骨格含有化合物であることを特徴とする(1)記載の熱可塑性樹脂発泡体に関する。
(4)スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂が、スチレン系樹脂95〜10重量%、ポリフェニレンエーテル系樹脂5〜90重量%の合計100重量%を含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項記載の熱可塑性樹脂発泡体に関する。
(5)スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂に、非ハロゲン系発泡剤を用いて発泡成形することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項記載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法に関する。
【0014】
【0015】
【発明の属する技術分野】
本発明は、環境適合性に優れた熱可塑性樹脂からなる発泡体であり、難燃性に優れ、更には燃焼時の溶融変形及び溶融滴下性が飛躍的に改善された熱可塑性樹脂発泡体及びその製造方法に関する。
【0016】
【発明の実施形態】
本発明で用いられるスチレン系樹脂は、特に限定されるものではなく、スチレン単量体のみから得られるスチレンホモポリマー、スチレン単量体とスチレンと共重合可能な単量体あるいはその誘導体から得られるランダム、ブロックあるいはグラフト共重合体、後臭素化ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレンなどの変性ポリスチレンなどが挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
【0017】
スチレンと共重合可能な単量体あるいはその誘導体としては、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、α−エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル単量体類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル単量体類、フェニルマレイミド、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ラウリルマレイミドなどのマレイミド系単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのメタクリル酸エステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのアクリル酸エステル類、メタクリル酸、アクリル酸などの(メタ)アクリル酸類、無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、α−メチル無水マレイン酸、無水イタコン酸などのα,β−不飽和カルボン酸無水物類、ブダジエンなどのジエン系化合物あるいはその誘導体、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基(エポキシ基)含有単量体類、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンなどのオキサゾリン基含有単量体類等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
【0018】
スチレン系樹脂では、加工性の面からスチレンホモポリマー、スチレンアクリロニトリル共重合体、(メタ)アクリル酸共重合ポリスチレン、無水マレイン酸変性ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレンなどが好ましい。
【0019】
本発明で用いられるポリフェニレンエーテル系樹脂は、下記一般式1で表される重合体であって、一般式1で示される重合体の一種以上が組み合わされた共重合体であっても良い。
【0020】
【化1】
Figure 0004054602
(式中、R1、R2、R3、R4、はそれぞれ独立して水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基、フェニル基、ハロゲン原子を表し、mは重合度を表す整数である。)
【0021】
これらポリフェニレンエーテル系樹脂の具体例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジメトキシ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジクロロメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジブロモメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジトリル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジベンジル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,5−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。これらの中でも、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが好ましい。
【0022】
本発明で用いられる含リン化合物は、分子中にリン原子を有する化合物であれば特に制限はなく、例えば、三酸化リン、四酸化リン、五酸化リンなどのリン酸化物、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸などのリン酸化合物、モノアンモニウムホスフェート、ジアンモニウムホスフェート、ポリリン酸アンモニウム(アンモニウムポリホスフェート)などのリン酸アンモニウム塩、メラミンモノホスフェート、メラミンジホスフェート、メラミンポリホスフェートなどのリン酸メラミン塩、リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムなどのリン酸金属塩などのリン酸塩類、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートなどの脂肪族系リン酸エステル類、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェートなどの芳香族系リン酸エステル類、下記の一般式2で表されるリン酸エステル基を2つ以上有するリン酸エステル類、
【0023】
【化2】
Figure 0004054602
(式中、R5はレゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA等の残基、R6はフェニル基、トリル基、キシリル基などであり、同一でも異なっていてもよい、nは1以上の整数である)、
トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどのハロゲン含有リン酸エステル類、ホスファゼン、ポリホスファゼンなどのホスファゼン類、リン酸アミン類、リン酸アミド類、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−[スチレン−α−メチルスチレン共重合体]9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレンなどの下記一般式3で示される基を含む環状リン化合物などが挙げられる。
【0024】
【化3】
Figure 0004054602
【0025】
一般式2で表されるリン酸エステル類としては、レゾルシノール・ビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノール・ビス(ジキシレニルホスフェート)、レゾルシノール・ビス(ジクレジルホスフェート)、ハイドロキノン・ビス(ジフェニルホスフェート)、ハイドロキノン・ビス(ジキシレニルホスフェート)、ハイドロキノン・ビス(ジクレジルホスフェート)、ビスフェノールA・ビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールA・ビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールA・ビス(ジクレジルホスフェート)などの芳香族系ジ(リン酸エステル)類(前記一般式2において、n=1のもの)、ポリ(レゾルシノール・フェニルホスフェート)、ポリ(レゾルシノール・クレジルホスフェート)、ポリ(レゾルシノール・キシレニルホスフェート)、ポリ(ハイドロキノン・フェニルホスフェート)、ポリ(ハイドロキノン・クレジルホスフェート)、ポリ(ハイドロキノン・キシレニルホスフェート)、ポリ(ビスフェノールA・フェニルホスフェート)、ポリ(ビスフェノールA・クレジルホスフェート)、ポリ(ビスフェノールA・キシレニルホスフェート)などの芳香族系ポリ(リン酸エステル)類(前記一般式2においてnが2以上のもの)などのリン酸エステル類などが挙げられる。
【0026】
含リン化合物が粒子状、粉体状、板状、針状などの固体形状であった場合にはメラミン樹脂、フェノール樹脂、グアナミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、シランカップリング剤などから選ばれる1種以上の化合物など表面被覆あるいは表面処理できる化合物で表面処理されたものであってもよい。
【0027】
含リン系化合物では、難燃性や燃焼時の形状保持の観点から、アンモニウムホスフェート、ポリリン酸アンモニウム(アンモニウムポリホスフェート)、メラミンホスフェート、メラミンポリホスフェートなどのリン酸塩、トリフェニルホスフェート、前記一般式2で表される芳香族ジ(リン酸エステル)類又は芳香族ポリ(リン酸エステル)類などのリン酸エステル類、ホスファゼン、ポリホスファゼンなどのホスファゼン類がより好ましい。
【0028】
含リン化合物は単独または2種以上を混合して使用できる。また、アンモニウムホスフェート、ポリリン酸アンモニウム(アンモニウムポリホスフェート)、メラミンホスフェート、メラミンポリホスフェート、ホスファゼン類、リン酸アミン類、リン酸アミド類などの窒素を含む化合物は、後述する含窒素化合物としても用いることができ好ましい。
【0029】
本発明で使用される含窒素化合物とは、窒素原子を含有する化合物であれば特に制限はない。その具体例としては、メラミン、メラム、メレム、メロン、メチロールメラミン、シアヌル酸、メチルシアヌレート、ジエチルシアヌレート、トリメチルシアヌレート、トリエチルシアヌレート、イソシアヌル酸、メチルイソシアヌレート、N,N‘−ジエチルイソシアヌレート、トリスメチルイソシアヌレート、トリスエチルイソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートなどのシアヌル酸、イソシアヌル酸あるいはその誘導体、メラミンシアヌレートなどのトリアジン骨格含有化合物とシアヌル酸あるいはイソシアヌル酸およびその誘導体からなる塩、といったトリアジン骨格含有化合物などが挙げられる。
【0030】
更には、ヒドラゾジカルボンアミド、アゾジカルボンアミド、アゾイソブチロニトリルなどアゾ化合物、テトラゾールグアニジン塩、テトラゾールピペラジン塩、テトラゾールアンモニウム塩等のテトラゾールアミン塩類、また、テトラゾールナトリウム塩、テトラゾールマンガン塩、例えば5,5−ビステトラゾール2グアニジン塩、5,5−ビステトラゾール2アンモニウム塩、5,5−ビステトラゾール2アミノグアニジン塩、5,5−ビステトラゾールピペラジン塩等のテトラゾール金属塩類などのテトラゾール化合物など、後述する発泡剤としても用いることのできる化合物を含窒素化合物として使用しても良い。
【0031】
また、エチレンビステトラブロモフタルイミド、エチレンビスジブロモノルボルナンジカルボキシイミド、2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどのハロゲンおよび窒素原子含有化合物を含窒素化合物として使用しても良い。含窒素化合物は単独または2種以上を混合して使用できる。
【0032】
含窒素化合物としてシアヌル酸、イソシアヌル酸あるいはその誘導体を用いる場合には、化合物自体が難燃性であると共に、270℃〜400℃で分解あるいは溶融する化合物が好ましい。また、テトラゾール化合物を用いる場合には、熱分解温度が250℃以上である化合物が好ましい。
【0033】
以上のような含窒素化合物の中でも、難燃性や燃焼時の形状保持の観点から、メラミン、メラム、メレム、メロン、メチロールメラミン、シアヌル酸、メチルシアヌレート、ジエチルシアヌレート、トリメチルシアヌレート、トリエチルシアヌレート、イソシアヌル酸、メチルイソシアヌレート、N,N‘−ジエチルイソシアヌレート、トリスメチルイソシアヌレート、トリスエチルイソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートなどのシアヌル酸、イソシアヌル酸あるいはその誘導体、メラミンシアヌレートなどのトリアジン骨格含有化合物とシアヌル酸あるいはイソシアヌル酸およびその誘導体からなる塩、といったトリアジン骨格含有化合物が特に好ましい。
【0034】
また、含リン化合物として前述したアンモニウムホスフェート、ポリリン酸アンモニウム(アンモニウムポリホスフェート)、メラミンホスフェート、メラミンポリホスフェート、ホスファゼン類などは窒素を含むことから含窒素化合物としても用いることができ、1化合物で含リン化合物および含窒素化合物の両方の効果を発現させることができ好ましい。
【0035】
本発明においては、前述の含リン化合物、含窒素化合物、および多価アルコール類のほかに必要に応じ更に含ホウ素化合物を含有させてもよい。本発明で使用される含ホウ素化合物とは、ホウ素原子を含有する化合物であれば特に制限はなく、具体例としては、ホウ酸、硼砂、ホウ酸亜鉛、(メタ)ホウ酸バリウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸ストロンチウム、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸スズなどのホウ酸金属塩、およびこれらの化合物の水和物などの誘導体、ホウ酸アンモニウムなどのホウ酸アンモニウム塩、リン酸ホウ素、二酸化二ホウ素、三酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等の酸化ホウ素が挙げられる。含ホウ素化合物は単独または2種以上を混合して使用できる。
【0036】
含ホウ素化合物の中でも、難燃性や燃焼時の形状保持の観点から、ホウ酸亜鉛、酸化ホウ素が好ましい。また、リン酸ホウ素などは含リン化合物でもあり、ホウ酸アンモニウムなどは含窒素化合物でもあり、1化合物で含ホウ素化合物と含リン化合物、あるいは1化合物で含ホウ素化合物と含窒素化合物の両方の効果を発現させることができ好ましい。
【0037】
本発明で用いられる多価アルコール類は、1分子中に2個以上の水酸基を含有する化合物であって、燃焼時に炭化することにより形状保持性を向上させているものと考えられる。
【0038】
その具体例としては、モノペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなどのペンタエリスリトール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体などのグリコール類、グリセリン、レゾルシノール、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。多価アルコール類は単独または2種以上を混合して使用できる。
【0039】
多価アルコール類では、燃焼時の形状保持の観点から、モノペンタエリスリトールが好ましい。
【0040】
本発明においては、スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂100重量部に対して、含リン化合物、含窒素化合物、および多価アルコール類が1〜200重量部含有される。1重量部未満では難燃性、燃焼時の形状保持性が十分ではなく、200重量部を越えると成形加工性が悪くなる。難燃性、燃焼時の形状保持性、成形加工性の観点から、好ましくは5〜100重量部であり、特に好ましくは10〜70重量部である。
【0041】
本発明においては、含リン化合物、含窒素化合物、および多価アルコール類が含有されていることが必要であるが、特には含リン化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、多価アルコール類すべてが含有されることが最も好ましい。
【0042】
本発明におけるスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂の混合割合は、難燃性、燃焼時の溶融滴下防止、形状保持性の点、及び成形加工性の点からスチレン系樹脂95〜10重量%、ポリフェニレンエーテル系樹脂5〜90重量%の合計100重量%であることが好ましい。より好ましくは、スチレン系樹脂70〜40重量%、ポリフェニレンエーテル系樹脂30〜60重量%の合計100重量%、最も好ましくはスチレン系樹脂65〜45重量%、ポリフェニレンエーテル系樹脂35〜55重量%の合計100重量%である。
【0043】
本発明においては、ハロゲン系難燃剤を使用しなくても難燃性の向上が果たせるため、特に環境適合性に優れた発泡体が得られるが、得られる発泡体の難燃性をさらに向上させる目的の場合には、次に記述する難燃剤を加えることができる。
【0044】
すなわち、ハロゲン系難燃剤として、例えば、テトラブロモエタン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ジブロモエチルジブロモシクロヘキサン、ジブロモジメチルヘキサン、ジブロモネオペンチルグリコール、トリブロモネオペンチルアルコールなどのハロゲン化脂肪族化合物あるいはその誘導体、あるいはハロゲン化脂環族化合物あるいはその誘導体、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、2,3−ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエーテル、ビス(2,4,6ートリブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモ無水フタル酸、オクタブロモトリメチルフェニルインダン、ペンタブロモベンジルアクリレート、トリブロモフェニルアリルエーテルなどのハロゲン化芳香族化合物あるいはその誘導体、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA(2−ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAジアリルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとトリブロモフェノール付加物、テトラブロモビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールSビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールS(2−ブロモエチルエーテル)などのハロゲン化ビスフェノール類およびその誘導体、テトラブロモビスフェノールAポリカーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとブロモ化ビスフェノール付加物エポキシオリゴマーなどのハロゲン化ビスフェノール類誘導体オリゴマー、ペンタブロモベンジルアクリレートポリマーなどのハロゲン化アクリル樹脂、エチレンビステトラブロモフタルイミド、エチレンビスジブロモノルボルナンジカルボキシイミド、2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどのハロゲンおよび窒素原子含有化合物、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス(ブロモフェニル)ホスフェートなどのハロゲンおよびリン原子含有化合物、塩素化パラフィン、塩素化ナフタレン、パークロロペンタデカン、塩素化芳香族化合物、塩素化脂環状化合物、臭化アンモニウムなどの臭素化無機化合物などが挙げられる。これら化合物は単独または2種以上を混合して使用できる。さらには、本発明のスチレン系樹脂の1種である臭素化ポリスチレン樹脂も難燃剤として用いることが出来る。
【0045】
また、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、などの無機系難燃剤が挙げられる。
【0046】
本発明において用いられる発泡剤に特に制限はなく、一般的に知られている物理発泡剤、化学発泡剤を用いることができる。
【0047】
物理発泡剤としては、例えば、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタンなどに例示される飽和炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどに例示されるエーテル類、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルi−ブチルケトン、メチルn−アミルケトン、メチルn−ヘキシルケトン、エチルn−プロピルケトン、エチルn−ブチルケトンに例示されるケトン類、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールに例示されるアルコール類、蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステルに例示されるカルボン酸エステル類、塩化メチル、塩化エチルなどに例示される塩素化炭化水素類、トリクロロフルオロメタン(R11)、ジクロロジフルオロメタン(R12)、クロロジフルオロメタン(R22)、テトラクロロジフルオロエタン(R112)、ジクロロフルオロエタン(R141b)、クロロジフルオロエタン(R142b)、ジフルオロエタン(R152a)、HFC−245fa、HFC−236ea、HFC−245ca、HCFC−225caなどに例示されるフロン類、水、二酸化炭素、窒素、空気などに例示される無機ガス類などが挙げられる。
【0048】
また、化学発泡剤としては、例えば、ヒドラゾジカルボンアミド、アゾジカルボンアミド、アゾイソブチロニトリルなどアゾ化合物、テトラゾールグアニジン塩、テトラゾールピペラジン塩、テトラゾールアンモニウム塩等のテトラゾールアミン塩類、また、テトラゾールナトリウム塩、テトラゾールマンガン塩、例えば5,5−ビステトラゾール2グアニジン塩、5,5−ビステトラゾール2アンモニウム塩、5,5−ビステトラゾール2アミノグアニジン塩、5,5−ビステトラゾールピペラジン塩等のテトラゾール金属塩類などのテトラゾール化合物など、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トルエンスルホニルヒドラジン、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸アルミニウム、炭酸亜鉛、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、その他の炭酸塩、その他の炭酸水素塩などが挙げられる。これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0049】
これらの中でも、取り扱いの点からは化学発泡剤よりも物理発泡剤を用いることが好ましく、更に環境適合性の点をを考慮すると、次に記す非ハロゲン系の物理発泡剤がより好ましい。
【0050】
すなわち、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタンなどに例示される飽和炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどに例示されるエーテル類、水、二酸化炭素、窒素、空気などに例示される無機ガスなどの非ハロゲン系物理発泡剤が環境適合性、取り扱いの観点で好ましい。
【0051】
本発明の熱可塑性樹脂発泡体の製造時に用いられる発泡剤の量としては、発泡倍率の設定値などに応じて適宜変えればよい。通常、発泡倍率20〜40倍程度であれば発泡剤の合計量をスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂100重量部に対して2〜20重量部とするのが好ましい。発泡倍率が極小さくて良い場合は、発泡剤の添加量が2重量部未満でも充分である。逆に発泡倍率が100倍といった大きな場合は、20重量部を越えて添加する場合もあるが、この場合、過剰な発泡剤量のため発泡体中にボイドなどの不良を生じることに注意しなければならない。ただし、発泡剤として飽和炭化水素化合物を用いた場合には、10重量部を越えると発泡体の燃焼時に発泡剤自体が燃焼し、難燃性が低下する場合がある。
【0052】
また本発明においては、必要に応じて本発明の効果を阻害しない範囲でシリカ、タルク、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの加工助剤、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定剤、帯電防止剤、顔料などの着色剤などを含有させることができるが、これらに限定されるものではない。
【0053】
特に、より安定的に押出発泡するためには、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスフェート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレイトなどのヒンダードフェノール系抗酸化剤、トリフェニルフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビスステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4−ジイルビスホスホナイトなどのリン系安定剤、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンなどのアミン系安定剤、3,3−チオビスプロピオン酸ジオデシルエステル、3,3−チオビスプロピオン酸ジオクタデシルエステルなどのイオウ系安定剤を添加するのが好ましい。
【0054】
本発明の熱可塑性樹脂発泡体を製造する方法に特に制限はないが、次のような方法が挙げられる。
(1)スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂、含リン化合物、含窒素化合物、および多価アルコール類を加熱溶融させた後、発泡剤を注入して押出発泡する方法、(2)スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂、含リン化合物、含窒素化合物、および多価アルコール類と、発泡剤を同時に加熱溶融混練して押出発泡する方法、(3)予め発泡剤を含有したスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂、含リン化合物、含窒素化合物、および多価アルコール類からなる組成物をプレス機を用いて加熱溶融し成形体とした後、再び加熱して発泡させる方法、(4)予め発泡剤を含有したスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂、含リン化合物、含窒素化合物、および多価アルコール類からなる粒状組成物を型内に充填し加熱して発泡させる方法などが挙げられる。
【0055】
このような製造方法の中でも、発泡剤として非ハロゲン系発泡剤を用い、スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂に含リン化合物、含窒素化合物、および多価アルコール類を含有させた熱可塑性樹脂発泡体を押出発泡して得る製造方法が、環境適合性の観点から好ましい。
【0056】
また、少なくともスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂をあらかじめ押出機で溶融混練した後、発泡剤を用いて発泡体を得る方法が、均質な発泡体を得られる点から好ましい。更には、スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂と、含リン化合物、含窒素化合物、および多価アルコール類をあらかじめ押出機で溶融混練した後、発泡剤を用いて発泡体を得る方法がより好ましい。
【0057】
【実施例】
次に本発明の熱可塑性樹脂発泡体について実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに制限されるものではない。なお、特に断らない限り「部」は重量部を、「%」は重量%を表す。
【0058】
以下に示す実施例、比較例の方法で得られた発泡体の特性として、発泡体密度、自己消火性、燃焼時の溶融変形、溶融滴下状況(形状保持性)を下記の方法に従って評価した。
(1)発泡体密度(kg/m3):発泡体密度は、次の式:発泡体密度(g/cm3)=発泡体重量(g)/発泡体体積(cm3)に基づいて求め、単位を(kg/m3)に換算して示した。
【0059】
(2)自己消火性:製造後14日経過した発泡体を用い、JIS A9511に規定の燃焼性評価における測定方法Aに準じて燃焼性試験を行い、下記の基準に従い判定した。
○:炎を離した後、5秒以内に消炎した
△:炎を離した後、燃焼時間は5秒を越えたが自己消火性を示した
×:炎を離した後、自己消火せず試験片全体が燃焼してしまった
【0060】
(3)形状保持性(燃焼時の溶融滴下状況、溶融変形状況):(2)と同様にして燃焼性試験を行い、燃焼中の溶融滴下状況あるいは消炎後の状態を目視にて観察し下記の基準に従い判定した。
○:溶融滴下せず、炭化あるいは発泡炭状になり、形状をほぼ維持あるいは変形するものの収縮はほとんど見られない
△:溶融滴下せず、炭化あるいは発泡炭状になるが、やや収縮が見られた
×:溶融滴下して試験片が残存しなかった、あるいは溶融滴下して大きく収縮した
【0061】
実験例1〜20
スチレン系樹脂としてポリスチレン(A&Mスチレン(株)製、G9401)と、ポリフェニレンエーテル系樹脂含有樹脂としてポリスチレン30%とポリフェニレンエーテル70%とからなる市販のポリフェニレンエーテル系樹脂含有樹脂(日本ジーイープラスチック(株)製、商品名ノリルEFN4230)を表1記載の部数で混合し、結果として同表記載のポリスチレントータル量およびポリフェニレンエーテルトータル量とした。この混合樹脂100部に対して、含リン化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、多価アルコール類を表1に記載する部数で混合し、更にタルク0.3部、ステアリン酸バリウム0.2部を添加した後、44mmφ同方向回転ニ軸押出機を用いて260℃で溶融混練しペレット状の樹脂組成物を得た。
【0062】
得られたペレット状の樹脂組成物を口径65mmと口径90mmのものを縦に連結した押出機へ約40kg/hrの割合で供給した。前記口径65mmの押出機に供給し、250℃に加熱して溶融混練し、これに連結された口径90mmの押出機で樹脂温度を150℃に冷却し、口径90mmの押出機の先端に設けた厚さ方向2mm、幅方向50mmの長方形断面吐出口のあるダイスより大気中へ押し出し、直方体状の押出発泡体を得た。このときペレット状の樹脂組成物100部に対して、発泡剤としてイソブタン、ジメチルエーテル、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(表1中HCFC142b)を表1記載の部数で圧入した。このとき発泡剤はそれぞれ別のラインから、前記口径65mmの押出機の先端付近(口径90mmの押出機の先端ダイスと反対側の端部側に接続される側の端部)から前記樹脂中に圧入した。得られた発泡体の特性を表1に示す。本発明の実施例である実験例10〜14および18〜20は、下記、比較例1〜4と比較し、形状保持性が向上した発泡体が得られた。尚、表1において実験例1〜20のうち実験例10〜14と18〜20が本発明の実施例であり、実験例1〜9と15〜17は参考例である。
【0063】
【表1】
Figure 0004054602
【0064】
比較例1〜4
表1に示した比率で樹脂、含リン化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、多価アルコール類を用いた以外は実験例1〜20と同様にして発泡体を得た。(ただし、比較例1〜3においては表1記載の比率で樹脂、含リン化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、または多価アルコール類を混合し、更にタルク0.3部、ステアリン酸バリウム0.2部を添加した後、44mmφ同方向回転ニ軸押出機を用いて200℃で溶融混練しペレット状の樹脂組成物を得た。その後、前記口径65mmの押出機に供給し、200℃に加熱して溶融混練し、これに連結された口径90mmの押出機で樹脂温度を120℃に冷却し、口径90mmの押出機の先端に設けた厚さ方向2mm、幅方向50mmの長方形断面吐出口のあるダイスより大気中へ押し出し、直方体状の押出発泡体を得た。)得られた発泡体の特性を表1に示す。本発明の実施例である実験例10〜14および18〜20と比較して、形状保持性が劣る。
【0065】
なお、用いた化合物は下記の通りである。
●スチレン系樹脂
ポリスチレン(A&Mスチレン(株)製、G9401)
●ポリフェニレンエーテル系樹脂含有樹脂
・ポリスチレン−ポリフェニレンエーテル樹脂(日本ジーイープラスチック(株)製、商品名ノリルEFN4230、ポリスチレン30%−ポリフェニレンエーテル70%)
●含リン化合物
・ポリリン酸アンモニウム(チッソ(株)製、商品名テラージュC−60、表1中APPと記載)
トリフェニルホスフェート(大八化学工業(株)製、商品名「TPP」、表1中TPPと記載)
・リン酸メラミン((株)三和ケミカル製、商品名「MPP−A])
・ホスファゼン(大塚化学(株)製、商品名「SP−134」)
【0066】
●含窒素化合物
・メラミンシアヌレート(日産化学工業(株)製、商品名「MC440」、表1中MCと記載)
・メラミン(和光純薬工業(株)製試薬)
●含ホウ素化合物
・酸化ホウ素(ユー エス ボラックス製 ボリックオキサイド)
・ホウ酸亜鉛(ユー エス ボラックス製 ファイアーブレイクZB)
【0067】
●多価アルコール類
・ペンタエリスリトール(和光純薬工業(株)製試薬、表1中PEと記載)
●ハロゲン難燃剤
・ヘキサブロモシクロドデカン(アルベマールコーポレーション製、商品名「SAYTEX HBCD−LM」、表1中HBCDと記載)
●発泡剤
・イソブタン(三井化学(株)製)
・ジメチルエーテル(三井化学(株)製)
・1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(ダイキン工業(株)製、表1中HCFC142bと記載)
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、燃焼時の溶融変形、溶融滴下の問題が飛躍的に改善され、難燃性、燃焼時の形状保持性、断熱性優れた熱可塑性樹脂発泡体が得られる。更に、非ハロゲン系の発泡剤を用い、非ハロゲン系の難燃性を使用することで環境適合性の特に優れた熱可塑性樹脂発泡体を得ることが可能である。

Claims (5)

  1. スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂100重量部に対して、含リン化合物、含窒素化合物、および多価アルコール類を1〜200重量部含有することを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体。
  2. 含リン化合物がリン酸塩、リン酸エステル、ホスファゼン類から選ばれる1種以上の化合物であることを特徴とする請求項1項記載の熱可塑性樹脂発泡体。
  3. 含窒素化合物がトリアジン骨格含有化合物であることを特徴とする請求項1項記載の熱可塑性樹脂発泡体。
  4. スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂が、スチレン系樹脂95〜10重量%、ポリフェニレンエーテル系樹脂5〜90重量%の合計100重量%を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の熱可塑性樹脂発泡体。
  5. スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂に、非ハロゲン系発泡剤を用いて発泡成形することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
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