JP2006131702A - スチレン系樹脂発泡体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 難燃性および製造安定性に優れたスチレン系樹脂発泡体を得ること。
【解決手段】 融点が150℃以下のハロゲン化脂肪族基含有化合物を1wt%以上60wt%以下、好ましくは、10wt%以上30wt%以下含有するスチレン系樹脂マスターバッチ、スチレン系樹脂、および、発泡剤からなるスチレン系樹脂組成物を押出発泡することにより得られる難燃性および製造安定性に優れたスチレン系樹脂発泡体、及び、その製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 融点が150℃以下のハロゲン化脂肪族基含有化合物を1wt%以上60wt%以下、好ましくは、10wt%以上30wt%以下含有するスチレン系樹脂マスターバッチ、スチレン系樹脂、および、発泡剤からなるスチレン系樹脂組成物を押出発泡することにより得られる難燃性および製造安定性に優れたスチレン系樹脂発泡体、及び、その製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、難燃性及び製造安定性に優れたスチレン系樹脂発泡体に関する。
スチレン系樹脂を押出機等にて加熱溶融し、次いで発泡剤を添加し、冷却させ、これを低圧域に押出すことにより発泡体を連続的に製造する方法は既に知られている。こうして得られたスチレン系樹脂押出発泡体は、住宅の断熱材などの建築材料として使用されることが多く、その際、火災に対する安全性を確保する必要があることから、難燃性が要求される。このため、難燃剤として、有機ハロゲン系化合物、中でもヘキサブロモシクロドデカン等の臭素系難燃剤が広く用いられている。ただし、こうした難燃剤を用いた場合、ある種の難燃剤の添加量が多すぎると、発泡体の耐熱性やリサイクル性の低下が見られることがあり、また逆に、添加量を抑えると十分な難燃性が得られない等の問題が見られることがあった。また、良好な難燃性を付与することができ、かつ耐熱性やリサイクル性を低下させることの小さい難燃剤においては、その融点が低いものも多く、このような化合物をスチレン系樹脂に混合添加し、押出機に供給した場合、押出機内スクリュー供給部(スクリュー根元部)において、スチレン系樹脂よりも早く溶融してしまい、樹脂の供給変動、それに伴なう押出変動が発生し、さらに得られる発泡体においても採取時間によって難燃性等物性にばらつきが生じたり、所望の物性が得られなくなる場合があった。
一方、製造安定性向上のために、各種難燃剤を、あらかじめスチレン系樹脂と溶融混練してマスターバッチを作製し、これを難燃剤としてスチレン系樹脂に添加したものを射出成形等に用いる方法が知られており(例えば、特許文献1〜2参照)、さらには、該マスターバッチをスチレン系樹脂に添加して押出発泡させる方法も知られている(例えば、特許文献3〜6参照)。特に、特許文献5においては、臭素化イソシアヌレートや、臭素化ビスフェノールの添加方法として、これらの難燃剤を10〜70wt%含有するスチレン系樹脂マスターバッチとして添加する方法が好ましいとしている。さらに、特許文献6においては、難燃剤を70〜99.5重量%とポリスチレン等熱可塑性樹脂30〜0.5重量%からなる粒状難燃剤を提案している。しかしながら、本発明者らが、融点が150℃以下のハロゲン化脂肪族基含有化合物について検討したところ、ハロゲン化脂肪族基含有化合物を70wt%近くまで多くした場合、マスターバッチの製造安定性が不良となり、マスターバッチ化することができなかった。すなわち、従来の技術では、融点が150℃以下のハロゲン化脂肪族基含有化合物のマスターバッチ化技術の詳細が明確ではなかった。
特開昭59−138242号公報
特開昭63−183932号公報
特表2001−502372号公報
特開2003−206370号公報
特開2003−292664号公報
特開昭59−164337号公報
このような状況の下、本発明が解決しようとする課題は、難燃性および製造安定性に優れたスチレン系樹脂発泡体を提供することである。
本発明者らは、前記課題の解決のために鋭意研究の結果、融点が150℃以下のハロゲン化脂肪族基含有化合物を1wt%以上60wt%、好ましくは10wt%以上30wt%以下含有するスチレン系樹脂マスターバッチ、スチレン系樹脂、および発泡剤からなるスチレン系樹脂組成物を押出発泡することにより、難燃性および製造安定性に優れたスチレン系樹脂発泡体が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、融点が150℃以下のハロゲン化脂肪族基含有化合物を1wt%以上60wt%以下含有するスチレン系樹脂マスターバッチ、スチレン系樹脂、および発泡剤からなるスチレン系樹脂組成物を押出発泡してなることを特徴とするスチレン系樹脂発泡体に関する。
好ましい態様としては、
(1)スチレン系樹脂マスターバッチが、融点が150℃以下のハロゲン化脂肪族基含有化合物を10wt%以上30wt%以下含有すること、
(2)融点が150℃以下のハロゲン化脂肪族基含有化合物の、50ml/分窒素気流下昇温速度10℃/分の条件で測定した5%熱重量減少温度が、250℃以上であること、
(3)融点が150℃以下のハロゲン化脂肪族基含有化合物が、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)および/またはトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートであること、
(4)発泡剤として、オゾン破壊係数が0である、炭化水素およびハロゲン化炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を用いること、
(5)Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Pd、Ag、Sn、W、Os、PtまたはCeの酸化物、ハロゲン化物および燐酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属化合物を含有すること、
(6)前記金属化合物が、酸化鉄であること、
(7)発泡体を形成する気泡が、気泡径0.25mm以下の気泡および気泡径0.3〜1mmの気泡より構成されること、
を特徴とする前記記載のスチレン系樹脂発泡体に関する。
(1)スチレン系樹脂マスターバッチが、融点が150℃以下のハロゲン化脂肪族基含有化合物を10wt%以上30wt%以下含有すること、
(2)融点が150℃以下のハロゲン化脂肪族基含有化合物の、50ml/分窒素気流下昇温速度10℃/分の条件で測定した5%熱重量減少温度が、250℃以上であること、
(3)融点が150℃以下のハロゲン化脂肪族基含有化合物が、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)および/またはトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートであること、
(4)発泡剤として、オゾン破壊係数が0である、炭化水素およびハロゲン化炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を用いること、
(5)Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Pd、Ag、Sn、W、Os、PtまたはCeの酸化物、ハロゲン化物および燐酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属化合物を含有すること、
(6)前記金属化合物が、酸化鉄であること、
(7)発泡体を形成する気泡が、気泡径0.25mm以下の気泡および気泡径0.3〜1mmの気泡より構成されること、
を特徴とする前記記載のスチレン系樹脂発泡体に関する。
本発明の第2は、スチレン系樹脂が、前記記載のスチレン系樹脂発泡体を再生してなるスチレン系樹脂組成物を含有することを特徴とするスチレン系樹脂発泡体に関する。
本発明によれば、難燃性および製造安定性に優れたスチレン系樹脂発泡体が提供される。本発明のスチレン系樹脂発泡体は、その優れた難燃性の点から、種々の用途、特に建築用断熱材の用途に有用である。
本発明で用いられるスチレン系樹脂としては、特に限定はなく、例えば、スチレン単量体のみから得られるスチレンホモポリマー、スチレン単量体およびスチレンと共重合可能な単量体またはその誘導体から得られるランダム、ブロックあるいはグラフト共重合体、後臭素化ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレンなどの変性ポリスチレンなどが具体例としてあげられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
スチレンと共重合可能な単量体としては、例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレンなどのスチレン誘導体、ジビニルベンゼンなどの多官能性ビニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリロニトリルなどの(メタ)アクリル系化合物、ブダジエンなどのジエン系化合物またはその誘導体、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸無水物などがあげられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
スチレン系樹脂のうちでは、加工性の面から、スチレンホモポリマー、スチレン−アクリロニトリル共重合体、(メタ)アクリル酸共重合ポリスチレン、無水マレイン酸変性ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレンなどが好ましい。
本発明では、ハロゲン系難燃剤として、融点が150℃以下のハロゲン化脂肪族基含有化合物(以下、単に「ハロゲン化脂肪族基含有化合物」と称す場合がある)が用いられる。融点は、各種融点測定器やDTA、DTG等の熱分析装置で測定することができる。
前記ハロゲン化脂肪族基含有化合物としては、具体的には、例えば、(a)テトラブロモエタン、テトラブロモシクロオクタン、ジブロモネオペンチルグリコール、トリブロモネオペンチルアルコールなどの臭素化脂肪族化合物あるいはその誘導体、あるいは臭素化脂環式化合物あるいはその誘導体、(b)2,3−ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエーテルなどの臭素化芳香族化合物誘導体、(c)テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAビス(2−ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールSビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)などの臭素化ビスフェノール類誘導体、(d)トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどの臭素および窒素原子含有化合物、(e)塩素化パラフィンなどの塩素含有化合物、などが挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明では、良好な難燃性と耐熱性やリサイクル性とを両立させるために、上記のうち、特に、50ml/分窒素気流下昇温速度10℃/分の条件にて測定した5%熱重量減少温度が250℃以上であるハロゲン化脂肪族基含有化合物がさらに好ましく用いられる。熱重量減少温度は、一般的な熱重量測定装置、例えば、(株)島津製作所製TGA-50またはDTG−50を用いて熱重量法にて測定することが可能である。前記5%熱重量減少温度が250℃以上であるハロゲン化脂肪族基含有化合物としては、具体的には、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAビス(2−ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールSビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
このうち、特に、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)および/またはトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートが、入手が容易であることなどから、最も好ましく用いられる。
本発明では、あらかじめ、ハロゲン化脂肪族基含有化合物の含有量が1wt%以上60wt%以下のスチレン系樹脂マスターバッチを作成し、該マスターバッチを添加したスチレン系樹脂を押出発泡してなることを特徴とする。含有量60wt%を越えると樹脂からのブリードアウトにより良好なマスターバッチが得られず、含有量1wt%を下回ると、発泡体に良好な難燃性を付与できるだけのマスターバッチを添加することが困難となる。さらに、マスターバッチの製造安定性と、マスターバッチ製造コスト抑制との両立を図る上で、マスターバッチ中ハロゲン化脂肪族基含有化合物の含有量は10wt%以上30wt%以下であることが望ましい。
上記のように融点が150℃以下のハロゲン化脂肪族基含有化合物をマスターバッチとして添加する事により、製造安定性を向上させることができるとともに、スチレン系樹脂中に該難燃剤をより均一分散させる事が可能となり、より高度の難燃性が得られる。
マスターバッチの製造方法としては、特に制限するものではないが、具体的には下記のような方法で製造することができる。
1)スチレン系樹脂にハロゲン化脂肪族基含有化合物の含有量が1wt%以上60wt%以下になるように配合調整し、ブレンドする。このブレンド品を、例えば、2軸押出機の様な加熱溶融混練機に供給し、加熱溶融混練後、ダイより押し出し、冷却工程をへて、ペレット状に加工して、スチレン系樹脂マスターバッチを作成する。
2)スチレン系樹脂を、例えば、2軸押出機の様な加熱溶融混練機に供給し、加熱溶融し、その途中で、ハロゲン化脂肪族基含有化合物の含有量が1wt%以上60wt%以下になるように、ハロゲン化脂肪族基含有化合物を添加し、混練後、ダイより押し出し、冷却工程をへて、ペレット性状に加工して、スチレン系樹脂マスターバッチを作成する。この際、ハロゲン化脂肪族基含有化合物は、粉体を定量輸送可能なサイドフィーダー等を用いて添加してもよく、また、加熱する等して液状とし、定量ポンプ等によって圧入添加しても良い。
3)また、数回ブレンドと押出を繰り返すことにより、マスターバッチ中のハロゲン化脂肪族基含有化合物の含有量を高めていくこともできる。例えば、スチレン系樹脂にハロゲン化脂肪族基含有化合物の含有量が20wt%になるように配合調整し、ブレンドする。このブレンド品を、例えば、2軸押出機の様な加熱溶融混練機に供給し、加熱溶融混練後、ダイより押し出し、冷却工程をへて、ペレット状に加工して、スチレン系樹脂マスターバッチを作成する。さらに、ここで得られたハロゲン化脂肪族基含有化合物20wt%含有スチレン系樹脂マスターバッチ75重量%およびハロゲン化脂肪族基含有化合物25重量%からなる混合物を、2軸押出機の様な加熱溶融混練機に供給し、加熱溶融混練後、ダイより押し出し、冷却工程をへて、ペレット状に加工することにより、ハロゲン化脂肪族基含有化合物40wt%含有スチレン系樹脂マスターバッチを作成することができる。
1)スチレン系樹脂にハロゲン化脂肪族基含有化合物の含有量が1wt%以上60wt%以下になるように配合調整し、ブレンドする。このブレンド品を、例えば、2軸押出機の様な加熱溶融混練機に供給し、加熱溶融混練後、ダイより押し出し、冷却工程をへて、ペレット状に加工して、スチレン系樹脂マスターバッチを作成する。
2)スチレン系樹脂を、例えば、2軸押出機の様な加熱溶融混練機に供給し、加熱溶融し、その途中で、ハロゲン化脂肪族基含有化合物の含有量が1wt%以上60wt%以下になるように、ハロゲン化脂肪族基含有化合物を添加し、混練後、ダイより押し出し、冷却工程をへて、ペレット性状に加工して、スチレン系樹脂マスターバッチを作成する。この際、ハロゲン化脂肪族基含有化合物は、粉体を定量輸送可能なサイドフィーダー等を用いて添加してもよく、また、加熱する等して液状とし、定量ポンプ等によって圧入添加しても良い。
3)また、数回ブレンドと押出を繰り返すことにより、マスターバッチ中のハロゲン化脂肪族基含有化合物の含有量を高めていくこともできる。例えば、スチレン系樹脂にハロゲン化脂肪族基含有化合物の含有量が20wt%になるように配合調整し、ブレンドする。このブレンド品を、例えば、2軸押出機の様な加熱溶融混練機に供給し、加熱溶融混練後、ダイより押し出し、冷却工程をへて、ペレット状に加工して、スチレン系樹脂マスターバッチを作成する。さらに、ここで得られたハロゲン化脂肪族基含有化合物20wt%含有スチレン系樹脂マスターバッチ75重量%およびハロゲン化脂肪族基含有化合物25重量%からなる混合物を、2軸押出機の様な加熱溶融混練機に供給し、加熱溶融混練後、ダイより押し出し、冷却工程をへて、ペレット状に加工することにより、ハロゲン化脂肪族基含有化合物40wt%含有スチレン系樹脂マスターバッチを作成することができる。
なお、押出機を用いた加熱溶融混練によるマスターバッチ製造条件に関しては、200℃〜240℃で行うことが好ましい。これは、溶融後のハロゲン化脂肪族基含有化合物の粘度がスチレン系樹脂に対し低い傾向にあることから、十分スチレン系樹脂が溶融する温度まで上げることが好ましく、一方、ハロゲン系難燃剤の劣化を防ぐ目的からある程度温度上昇を抑制する必要があるためである。また、マスターバッチ化に際して、安定剤、滑剤や後述する他の難燃剤等の各種添加剤を同時に添加しても良い。
本発明で用いられるハロゲン化脂肪族基含有化合物の含有量は、JISA 9511に規定される難燃性が得られるように、発泡剤添加量、発泡体密度、他の添加剤の種類あるいは添加量などにあわせて適宜調整されるものであるが、概ねスチレン形樹脂組成物を構成するスチレン系樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上20重量部以下が好ましく、より好ましくは0.5重量部以上15重量部以下、さらに好ましくは1重量部以上10重量部以下である。ハロゲン化脂肪族基含有化合物の含有量が0.1重量部未満、もしくは20重量部を超えた場合、本発明の目的とする難燃性などの発泡体としての良好な諸特性が得られがたい傾向がある。
また、本発明では、上記のハロゲン化脂肪族基含有化合物以外のハロゲン系難燃剤も、本発明の効果を損なわない範囲で併用することができる。この場合、上記マスターバッチにハロゲン化脂肪族基含有化合物と共に混合混練してもよく、また、別途押出発泡時に添加して用いても良い。
本発明で用いられる発泡剤は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜調整されるが、環境適合性の観点から、オゾン破壊係数が0である、炭化水素およびハロゲン化炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、単に「オゾン破壊係数が0である化合物」ともいう)、および、必要に応じて、これら以外の他の発泡剤(以下、「他の発泡剤」ともいう)を使用することが好ましい。なお、オゾン破壊係数とは、トリクロロモノフルオロメタン(CFC−11:CCl3F)の単位重量当たりのオゾン破壊量を1とした場合の相対値を意味し、オゾン破壊係数が0とは、実質的にオゾン破壊作用がないかあるいはオゾン破壊作用があったとしてもオゾン破壊係数は0.01以下であることを意味する。
本発明で用いられる炭化水素であってオゾン破壊係数が0である化合物としては、例えば、炭素数3〜5の飽和炭化水素が挙げられ、具体的には、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、c−ペンタンなどが挙げられる。炭素数3〜5の飽和炭化水素のうちでは、発泡性の点から、プロパン、n−ブタン、i−ブタンあるいはこれらの混合物が好ましい。また、発泡体の断熱性能の点から、n−ブタン、i−ブタンあるいはこれらの混合物が好ましく、特に好ましくはi−ブタンである。
本発明で用いられるハロゲン化炭化水素であってオゾン破壊係数が0である化合物としては、オゾン破壊係数が0のハイドロフルオロカーボンが挙げられ、具体的には、例えば、トリフルオロメタン(HFC−23:CHF3)、ジフルオロメタン(HFC−32:CH2F2)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(HFC−125:CHF2CF3)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a:CH2FCF3)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a:CH3CF3)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a:CH3CHF2)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea:CF3CHFCF3)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa:CF3CH2CF3)、1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245ca:CH2FCF2CHF2)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb:CF3CF2CH3)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa:CF3CH2CHF2)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc:CF3CH2CF2CH3)などが挙げられる。これらのうちでは、発泡成形性の観点から、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a:CH2FCF3)がより好ましい。
オゾン破壊係数が0である化合物は、単独で使用してもよく、または2種以上を混合して使用してもよい。
本発明では、オゾン破壊係数が0である化合物以外の、他の発泡剤を併用することにより、スチレン系樹脂発泡体製造時の可塑化効果や発泡助剤効果が得られ、押出圧力を低減し、安定的にスチレン系樹脂発泡体の製造が可能となる場合がある。ただし、目的とする発泡倍率、難燃性等の発泡体の諸特性いかんによっては、その使用量などが制限されうる。
他の発泡剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどのエーテル類、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルi−ブチルケトン、メチルn−アミルケトン、メチルn−ヘキシルケトン、エチルn−プロピルケトン、エチルn−ブチルケトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステルなどのカルボン酸エステル類、塩化メチル、塩化エチルなどのハロゲン化アルキルなどの有機発泡剤、例えば窒素、水、二酸化炭素などの無機発泡剤、例えばアゾ化合物、テトラゾールなどの化学発泡剤などが挙げられる。これら他の発泡剤は単独で使用してもよく、または2種以上混合して使用してもよい。
他の発泡剤のうちでは、発泡性、発泡体成形性などの点から、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、塩化メチル、塩化エチルなどが好ましく、発泡剤の燃焼性、発泡体の難燃性あるいは後述する断熱性等の点から水および二酸化炭素が好ましい。他の発泡剤では、環境適合性の優れたジメチルエーテル、水および二酸化炭素が特に好ましい。
本発明においては、発泡剤として、必要に応じて、少量であれば、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボンなどのオゾン破壊係数が0ではない発泡剤をさらに用いても良い。
本発明のスチレン系樹脂発泡体の製造時に、スチレン系樹脂中に添加または注入される発泡剤の量としては、発泡倍率の設定値などに応じて適宜かわるものではあるが、通常、発泡剤の合計量をスチレン系樹脂100重量部とした場合、1重量部以上20重量部以下とするのが好ましい。発泡剤の添加量が1重量部未満では、発泡倍率が低く、スチレン系樹脂発泡体としての軽量、断熱性などの特性が発揮されにくい場合があり、一方、20重量部を超えると、過剰な発泡剤量のため、スチレン系樹脂発泡体中にボイドなどの不良を生じたり、発泡剤の種類によっては難燃性が低下する場合がある。
添加される発泡剤において、オゾン破壊係数が0である化合物の混合下限量は、発泡剤全量100重量%に対して、好ましくは10重量%以上であり、より好ましくは20重量%以上である。すなわち、他の発泡剤の混合上限量は、発泡剤全量100重量%に対して、好ましくは90重量%以下であり、より好ましくは80重量%以下である。オゾン破壊係数が0である化合物の量が10重量%未満では、得られる発泡体の断熱性が劣る場合がある。他の発泡剤の量が90重量%を超える場合、例えば、押出発泡体を得るに当たって、スチレン系樹脂との相溶性が高い場合は、可塑性が高すぎ、押出機内のスチレン系樹脂と発泡剤との混練状態が不均一となり、押出機の圧力制御が難しくなったり、スチレン系樹脂との相溶性が低い場合は、発泡体に気孔などが生じて良好な発泡体が得られなかったり、押出機の圧力制御が難しくなったりすると共に、易燃性の発泡剤によっては発泡体の難燃性の低下を招くなどの傾向がある。
添加される発泡剤において、オゾン破壊係数が0である化合物の混合上限量は、安定的な発泡体の製造、外観など良好な品質の発泡体を得る観点から、発泡剤全量100重量%に対して、好ましくは90重量%以下であり、より好ましくは80重量%以下である。すなわち、他の発泡剤の混合下限量は、発泡剤全量100重量%に対して、好ましくは10重量%以上であり、より好ましくは20重量%以上である。
本発明において、他の発泡剤として水を用いる場合には、加工性や、後述する気泡径0.25mm以下の気泡(以下、小気泡とも言う)および気泡径0.3〜1mmの気泡(以下、大気泡とも言う)の生成の面から、水の混合量は、発泡剤全量100重量%に対して、好ましくは1重量%以上80重量%以下、より好ましくは2重量%以上70重量%以下、特に好ましくは3重量%以上60重量%以下である。
本発明において、他の発泡剤として、水と、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルおよびメチルエチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種のエーテルなどの水以外の他の発泡剤を併用する場合には、加工性や、小気泡および大気泡の生成の面から、水と水以外の他の発泡剤の混合量は、発泡剤全量100重量%に対して、好ましくは水1重量%以上75重量%以下および水以外の他の発泡剤5重量%以上79重量%以下、より好ましくは水2重量%以上70重量%以下および水以外の他の発泡剤10重量%以上78重量%以下、特に好ましくは水3重量%以上65重量%以下および水以外の他の発泡剤15重量%以上77重量%以下である。
本発明において、発泡剤を添加または注入する際の圧力は、特に制限するものではなく、反応釜や押出機などの内圧力よりも高い圧力であればよい。
本発明により得られたスチレン系樹脂発泡体には、特に限定するものではないが、発泡剤が残存含有される場合が多く、好ましくは、オゾン破壊係数が0である化合物が残存含有される。ただし、得られたスチレン系樹脂発泡体中における、発泡剤の残存含有量は、発泡剤の種類および使用量、発泡剤のスチレン系樹脂発泡体中における透過性、スチレン系樹脂発泡体の倍率あるいは密度、要求される断熱性能などによっても異なる。特に、発泡剤のスチレン系樹脂発泡体中における透過性によっては、経時的に残存量が減量し、発泡体気泡中の気体は空気などに置換されていく場合もある。
押出法ポリスチレンフォーム保温板2種あるいは3種の如き、高度な断熱性能を要求する場合には、発泡体中における、オゾン破壊係数が0である化合物の残存含有量は、一般にスチレン系樹脂発泡体100重量部に対して、1重量部以上10重量部以下であることが好ましい。特に、押出法ポリスチレンフォーム保温板3種の如きより高い断熱性能が要求される場合には、さらに好ましくは、炭化水素であってオゾン破壊係数が0である1種以上の化合物では2重量部以上10重量部以下であり、具体的には、プロパンでは、2重量部以上9重量部以下がさらに好ましく、3重量部以上8重量部以下が特に好ましく、n−ブタンまたはi−ブタンでは、1.5重量部以上9重量部以下がさらに好ましく、特に好ましくは2重量部以上8重量部以下、n−ペンタン、i−ペンタン、c−ペンタンでは、2重量部以上9重量部以下が好ましく、ハロゲン化炭化水素であってオゾン破壊係数が0である1種以上の化合物では2重量部以上10重量部以下であり、具体的には1,1,1,2−テトラフルオロエタンなどのハイドロフルオロカーボンでは2重量部以上10重量部以下であることが好ましい。
また、JISA 9511で規定される押出法ポリスチレンフォーム保温板2種、更には3種といった高度の断熱性能が要求される場合には、得られたスチレン樹脂発泡体中における残存発泡剤の組成は、残存する発泡剤全量に対して、オゾン破壊係数が0である化合物が、好ましくは1重量%以上100重量%以下、より好ましくは5重量%以上100重量%以下、さらに好ましくは10重量%以上100重量%以下、特に好ましくは20重量%以上100重量%以下であり、他方、他の発泡剤が好ましくは0重量%以上99重量%以下、より好ましくは0重量%以上95重量%以下、さらに好ましくは0重量%以上90重量%以下、特に好ましくは0重量%以上80重量%以下である。スチレン系樹脂発泡体中に残存する発泡剤におけるオゾン破壊係数が0である化合物の量が1重量%未満ではJISA 9511で規定される押出法ポリスチレンフォーム保温板2種、更には3種といった高度の断熱性能が得られにくい傾向がある。
本発明では、優れた難燃化効果を得る目的で、難燃助剤としてAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Pd、Ag、Sn、W、Os、PtまたはCeの酸化物、ハロゲン化物および燐酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属化合物(以下、単に「金属化合物」と称す場合がある)を用いることができる。
本発明のAl、Ti、V、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Pd、Ag、Sn、W、Os、PtまたはCeの酸化物、ハロゲン化物および燐酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物としては、難燃助剤効果に優れ、さらに化合物自体の取り扱い性が良好である点から、Al、Mn、Fe、Ni、Cu、ZrまたはMoの酸化物、ハロゲン化物および燐酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が好ましく、入手が容易で、特に難燃助剤効果が高い点から、さらに好ましくは酸化鉄である。
本発明で用いられる前記金属化合物の含有量は、JISA 9511に規定される難燃性が得られ、かつ製造安定性を損なわないように、使用する金属化合物の種類、発泡剤添加量、発泡体密度、ハロゲン系難燃剤および他の添加剤などの種類あるいは添加量などにあわせて適宜調整されるものであるが、概ねスチレン系樹脂100重量部に対して、0.0001重量部以上1重量部以下が好ましく、0.0005重量部以上0.02重量部以下がより好ましく、0.001重量部以上0.01重量部以下がさらに好ましい。金属化合物の含有量が0.0001重量部未満では、より優れた難燃性などのスチレン系樹脂発泡体としての良好な諸特性が得られがたい傾向があり、一方、1重量部を超えると、耐熱性、難燃性および発泡体製造時の成形性、表面性などをかえって損なう場合がある。
本発明では、ハロゲン化脂肪族基含有化合物および金属化合物に、更に、燐酸金属塩以外の含燐化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、含硫黄化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物を併用することができる。
燐酸金属塩以外の含燐化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、含硫黄化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物の併用により、特に、プロパン、n−ブタン、i−ブタンなどの炭素数が3〜5である飽和炭化水素等の可燃性であるオゾン破壊係数が0である化合物を発泡剤に用い、押出法ポリスチレンフォーム保温板2種あるいは3種に該当する高い断熱性能を発揮させる場合でも、ハロゲン化脂肪族基含有化合物および金属化合物を多量に添加することなく、JISA 9511に規定される高度の難燃性を達成することができる。
本発明で使用される燐酸金属塩以外の含燐化合物とは、燐原子を含有する化合物であって、ハロゲン化脂肪族基含有化合物や金属化合物の効果を阻害しない化合物であれば、特に制限はない。例えば、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、ホスファイト、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸またはこれの誘導体、メラミン塩、アンモニウム塩、および、ホスファゼンまたはその誘導体、ホスホニトリルまたはその誘導体等が挙げられ、具体的には、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートなどの脂肪族炭化水素モノリン酸エステル、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェートなどの芳香族炭化水素モノリン酸エステル、レゾルシノール・ジフェニルホスフェート、レゾルシノール・ジキシレニルホスフェート、レゾルシノール・ジクレジルホスフェート、ビスフェノールA・ジフェニルホスフェート、ビスフェノールA・ジキシレニルホスフェート、ビスフェノールA・ジクレジルホスフェート、ハイドロキノン・ジフェニルホスフェート、ハイドロキノン・ジキシレニルホスフェート、ハイドロキノン・ジクレジルホスフェート、レゾルシノール・ポリフェニルホスフェート、レゾルシノール・ポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェートビスフェノールA・ポリクレジルホスフェート、ハイドロキノンポリ(2,6−キシリル)ホスフェートなどの縮合リン酸エステル、リン酸メラミン、亜リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、リン酸アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、リン酸アンモニウムアミド、リン酸アミド、二亜リン酸ピペラジン、亜リン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン、亜リン酸グアナゾール、ホスファゼン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラン、ポリリン酸メレム、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アミド、ポリホスファゼン、ホスホニトリル等の含燐含窒素系化合物等が挙げられる。更には、前述のトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス(ブロモフェニル)ホスフェートなどの臭素化ホスフェート系化合物を燐酸金属塩以外の含燐化合物として使用しても良い。燐酸金属塩以外の含燐化合物は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明における燐酸金属塩以外の含燐化合物の添加量は、JISA 9511に規定される難燃性が得られ、かつ製造安定性を損なわないように、ハロゲン化脂肪族基含有化合物、金属化合物、および発泡剤の種類およびその含有量、得られる発泡体の密度等によって適宜調整されるが、概ね、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上10重量部以下が好ましく、0.3重量部以上9重量部以下がより好ましく、0.5重量部以上8重量部以下がさらに好ましい。燐酸金属塩以外の含燐化合物の添加量が0.1重量部未満では、難燃性の相乗効果が得られない場合があり、10重量部を越えると、発泡体製造の際の成形性などを損なう場合がある。
本発明で使用される含窒素化合物とは、窒素原子を含有する化合物であって、ハロゲン化脂肪族基含有化合物および、金属化合物の効果を阻害しない化合物であれば、特に制限はない。例えば、トリアジン骨格含有化合物、シアヌル酸あるいはイソシアヌル酸およびその誘導体、グアニジン化合物、アゾ化合物、テトラゾール化合物等が挙げられ、具体的にはは、メラミン、メラム、メレム、メロン、メチロールメラミンなどのトリアジン骨格含有化合物あるいはその誘導体、シアヌル酸、メチルシアヌレート、ジエチルシアヌレート、トリメチルシアヌレート、トリエチルシアヌレート、イソシアヌル酸、メチルイソシアヌレート、N,N‘−ジエチルイソシアヌレート、トリスメチルイソシアヌレート、トリスエチルイソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートなどのシアヌル酸、イソシアヌル酸あるいはその誘導体、メラミンなどのトリアジン骨格含有化合物とシアヌル酸あるいはイソシアヌル酸およびその誘導体からなる塩、例えばメラミンシアヌレート等が挙げられる。更には、前述の、ヒドラゾジカルボンアミド、アゾジカルボンアミド、アゾイソブチロニトリルなどアゾ化合物、テトラゾールグアニジン塩、テトラゾールピペラジン塩、テトラゾールアンモニウム塩等のテトラゾールアミン塩類、また、テトラゾールナトリウム塩、テトラゾールマンガン塩、例えば5,5−ビステトラゾール2グアニジン塩、5,5−ビステトラゾール2アンモニウム塩、5,5−ビステトラゾール2アミノグアニジン塩、5,5−ビステトラゾールピペラジン塩等のテトラゾール金属塩類などのテトラゾール化合物など、飽和炭化水素以外の発泡剤として用いられる発泡剤を含窒素化合物として使用しても良い。更には、前述の、エチレンビステトラブロモフタルイミド、エチレンビスジブロモノルボルナンジカルボキシイミド、2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどの臭素および窒素原子含有化合物を含窒素化合物として使用しても良い。含窒素化合物は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明における含窒素化合物の添加量は、JISA 9511に規定される難燃性が得られ、かつ製造安定性を損なわないように、ハロゲン化脂肪族基含有化合物、金属化合物、および発泡剤の種類およびその含有量、得られる発泡体の密度等によって適宜調整されるが、概ね、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上10重量部以下が好ましく、0.3重量部以上9重量部以下がより好ましく、0.5重量部以上8重量部以下がさらに好ましい。含窒素化合物の添加量が0.1重量部未満では、難燃性の相乗効果が得られない場合があり、10重量部を越えると、発泡体製造の際の成形性などを損なう場合がある。
本発明で使用される含ホウ素化合物とは、ホウ素原子を含有する化合物であって、ハロゲン化脂肪族基含有化合物および、金属化合物の効果を阻害しない化合物であれば、特に制限はない。例えば、ホウ酸、硼砂、ホウ酸金属塩、酸化ホウ素、リン酸ホウ素、ボロシリケート類等が挙げられ、具体的には、ホウ酸、硼砂、ホウ酸亜鉛、ホウ酸バリウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸ストロンチウム、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸スズなどのホウ酸金属塩、およびこれらの化合物の水和物など誘導体、二酸化二ホウ素、三酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等の酸化ホウ素が挙げられる。含ホウ素化合物は単独または2種以上を混合して使用できる。
本発明における含ホウ素化合物の添加量は、JISA 9511に規定される難燃性が得られ、かつ製造安定性を損なわないように、ハロゲン化脂肪族基含有化合物、金属化合物、および発泡剤の種類およびその含有量、得られる発泡体の密度等によって適宜調整されるが、概ね、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上10重量部以下が好ましく、0.3重量部以上9重量部以下が、より好ましくは0.5重量部以上8重量部以下がさらに好ましい。含ホウ素化合物の添加量が0.1重量部未満では、難燃性の相乗効果が得られない場合があり、10重量部を越えると、発泡体製造の際の成形性などを損なう場合がある。
本発明で使用される含硫黄化合物とは、硫黄原子を含有する化合物であって、ハロゲン化脂肪族基含有化合物および、金属化合物の効果を阻害しない化合物であれば、特に制限はない。その具体例としては、例えば、硫酸アンモニウム、硫酸メラミン、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸鉄などの硫酸塩系化合物、スルファミン酸、スルファミン酸アンモニウム、スルファミン酸グアニジンなどのスルファミン酸系化合物、ベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、p−ビニルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、p−オクチルベンゼンスルホン酸、o−オクチルベンゼンスルホン酸、p−ドデシルベンゼンスルホン酸、m−ドデシルベンゼンスルホン酸、o−ドデシルベンゼンスルホン酸などのアルキルベンゼンスルホン酸、フルオロベンゼンスルホン酸、クロルベンゼンスルホン酸、ブロムベンゼンスルホン酸、ヨードベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、フェノールジスルホン酸、スルファニル酸(アミノベンゼンスルホン酸)、ナフタレンスルホン酸、2−ナフトール−1−スルホン酸、2−メチルナフタレン−1−スルホン酸あるいはこれらの芳香族スルホン酸のリチウム、ナトリウム、カリウムなどの周期律表1A族金属との塩、マグネシウム、カルシウム、バリウムなどの周期律表2A族金属との塩、亜鉛、鉄、銅などの金属との塩などの金属塩などのスルホン酸系化合物等が挙げられる。含硫黄化合物は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明における含硫黄化合物の添加量は、JISA 9511に規定される難燃性が得られ、かつ製造安定性を損なわないように、ハロゲン化脂肪族基含有化合物、金属化合物、および発泡剤の種類およびその含有量、得られる発泡体の密度等によって適宜調整されるが、概ね、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上10重量部以下が好ましく、0.3重量部以上9重量部以下がより好ましく、0.5重量部以上8重量部以下がさらに好ましい。含硫黄化合物の添加量が0.1重量部未満では、難燃性の相乗効果が得られない場合があり、10重量部を越えると、発泡体製造の際の成形性などを損なう場合がある。
本発明における燐酸金属塩以外の含燐化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物または含硫黄化合物は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明においては、燐酸金属塩以外の含燐化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物または含硫黄化合物は、例えば、各種熱硬化性樹脂、各種熱可塑性樹脂、シランカップリング剤、チタン系化合物、無機化合物などから選ばれる1種または2種以上の化合物等の表面処理剤で表面被覆処理をしたものも好適に使用し得る。
すなわち、燐酸金属塩以外の含燐化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物または含硫黄化合物では、高い断熱性などを得るために、押出発泡体製造時に他の発泡助剤として水を用いた場合、スチレン系樹脂発泡体中に前記小気泡および大気泡を発生させる効果を阻害しない化合物が好ましく、例えば、室温付近の温度域(10〜30℃前後)において水に難溶あるいは水への溶解度が10重量%以下の化合物が好ましい。これらの水への溶解度が10重量%より高い場合、前記の小気泡と大気泡とを発生させる効果を阻害する傾向にある。これらの水への溶解度が10重量%より高い場合、または、小気泡および大気泡とを発生させる効果を阻害する傾向にある場合には、表面被覆処理を施すことで改善できる場合があり、表面被覆処理された化合物を用いることが好ましい。
本発明のスチレン系樹脂発泡体の気泡構造は、特に限定するものではない。気泡構造としては、気泡径が0.01〜1mm程度の気泡から構成されるが、気泡のほとんどがほぼ気泡径の似通った気泡から構成される構造、気泡の気泡径が大きく分けて2種あるいは3種以上に分類されて構成される構造などが挙げられる。特に、気泡のほとんどがほぼセル径の似通った気泡から構成される場合において、押出法ポリスチレンフォーム保温板2種あるいは3種に該当する高い断熱性能を発揮させるためには、平均セル径によっては低熱伝導率の発泡剤を比較的多く残存含有させることが望まれる。一方、気泡のセル径が大きく分けて2種あるいは3種以上に分類されて構成される場合、特に、発泡体の発泡セル構造として気泡径が概ね0.25mm以下の比較的気泡径の小さい気泡(小気泡)および、気泡径が概ね0.3mmから1mm程度の比較的気泡径の大きな気泡(大気泡)が海島状に混在してなる特徴的な気泡構造では、比較的少量のオゾン破壊係数が0である化合物を残存含有しても高い断熱性が実現される。特に、可燃性のオゾン破壊係数が0である1種以上の化合物を用いる場合には、後者の気泡構造とすることが好ましい。このような気泡構造は、例えば、押出発泡時に、他の発泡剤として水を用いることによって形成させることができる。
本発明においては、他の発泡剤として水を用いる場合、この水を吸水できる吸水性物質を同時に併用することが好ましい。吸水性物質の具体例としては、例えば、スメクタイト、膨潤性フッ素雲母などの吸水性または水膨潤性の層状珪酸塩類あるいはこれらの有機化処理品、吸水性高分子、日本アエロジル(株)製AEROSILなどのシラノール基を有する無水シリカなどがあげられる。これらの吸水性物質の1種または2種以上を添加することにより、スチレン系樹脂発泡体中に、後述する小気泡および大気泡の発生する作用をさらに向上させることができ、得られる発泡体の成形性、生産性および断熱性能がさらに向上する。
ここで使用する吸水性物質は、スチレン系樹脂に対して相溶性のない水を吸水してゲルを形成し、ゲルの状態でスチレン系樹脂中に均一に分散させることができると考えられることから使用される。
本発明で用いられる吸水性物質の含有量は、水の添加量などによって、適宜調整されるものであるが、スチレン系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.2重量部以上10重量部以下、さらに好ましくは0.3重量部以上8重量部以下、特に好ましくは0.5重量部以上7重量部以下である。吸水性物質の含有量が0.2重量部未満では吸水性物質による水の吸着量が不足し、押出機内で水の分散不良による気孔が発生し成形体不良になる場合があり、一方、10重量部を超える場合には、押出機内で吸水性物質の分散不良が発生し、気泡むらができ、発泡体の断熱性能の悪化とバラツキを生ずる場合がある。
本発明で用いられる層状珪酸塩とは、主として酸化ケイ素の四面体シートと、主として金属水酸化物の八面体シートから成り、該四面体シートと八面体シートが単位層を形成し、単位層単独、層間に陽イオンなどを介して複数個層状に積層して一次粒子を形成、あるいは、一次粒子の凝集体の粒子を形成(二次粒子)し存在しうるものである。層状珪酸塩の例としては、例えば、スメクタイト族粘土および膨潤性雲母などが挙げられる。
前記のスメクタイト族粘土は下記一般式(1)
X0.2〜0.6Y2〜3Z4O10(OH)2・nH2O・・・・・・一般式(1)
(ただし、XはK、Na、1/2Ca、及び1/2Mgから成る群より選ばれる1種以上であり、YはMg、Fe、Mn、Ni、Zn、Li、Al、及びCrから成る群より選ばれる1種以上であり、ZはSi、及びAlから成る群より選ばれる1種以上である。尚、H2Oは層間イオンと結合している水分子を表すが、nは層間イオンおよび相対湿度に応じて著しく変動する)で表される、天然または合成されたものである。
X0.2〜0.6Y2〜3Z4O10(OH)2・nH2O・・・・・・一般式(1)
(ただし、XはK、Na、1/2Ca、及び1/2Mgから成る群より選ばれる1種以上であり、YはMg、Fe、Mn、Ni、Zn、Li、Al、及びCrから成る群より選ばれる1種以上であり、ZはSi、及びAlから成る群より選ばれる1種以上である。尚、H2Oは層間イオンと結合している水分子を表すが、nは層間イオンおよび相対湿度に応じて著しく変動する)で表される、天然または合成されたものである。
該スメクタイト族粘土の具体例としては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト及びベントナイト等、またはこれらの置換体、誘導体、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
また、前記の膨潤性雲母は下記一般式(2)
X0.5〜1.0Y2〜3(Z4O10)(F、OH)2 ・・・・・・一般式(2)
(ただし、XはLi、Na、K、Rb、Ca、Ba、及びSrから成る群より選ばれる1種以上であり、YはMg、Fe、Ni、Mn、Al、及びLiから成る群より選ばれる1種以上であり、ZはSi、Ge、Al、Fe、及びBから成る群より選ばれる1種以上である。)で表される、天然または合成されたものである。
X0.5〜1.0Y2〜3(Z4O10)(F、OH)2 ・・・・・・一般式(2)
(ただし、XはLi、Na、K、Rb、Ca、Ba、及びSrから成る群より選ばれる1種以上であり、YはMg、Fe、Ni、Mn、Al、及びLiから成る群より選ばれる1種以上であり、ZはSi、Ge、Al、Fe、及びBから成る群より選ばれる1種以上である。)で表される、天然または合成されたものである。
これらは、水、水と任意の割合で相溶する極性のある有機化合物、及び水と該極性のある有機化合物の混合溶媒中で膨潤する性質を有する物であり、例えば、リチウム型テニオライト、ナトリウム型テニオライト、リチウム型四ケイ素雲母、及びナトリウム型四ケイ素雲母等、またはこれらの置換体、誘導体、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
上記の膨潤性雲母の中にはバーミキュライト類と似通った構造を有するものもあり、この様なバーミキュライト類相当品等も使用し得る。該バーミキュライト類相当品には3八面体型と2八面体型があり、下記一般式(3)
(Mg,Fe,Al)2〜3(Si4-xAlx)O10(OH)2・(M+,M2+ 1/2)x・nH2O・・・・・・一般式(3)
(ただし、MはNa及びMg等のアルカリまたはアルカリ土類金属の交換性陽イオン、x=0.6〜0.9、n=3.5〜5である)で表されるものが挙げられる。
(Mg,Fe,Al)2〜3(Si4-xAlx)O10(OH)2・(M+,M2+ 1/2)x・nH2O・・・・・・一般式(3)
(ただし、MはNa及びMg等のアルカリまたはアルカリ土類金属の交換性陽イオン、x=0.6〜0.9、n=3.5〜5である)で表されるものが挙げられる。
膨潤性層状珪酸塩は単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。これらのうちでは、得られる発泡体中の分散性の点などから、スメクタイト族粘土および膨潤性雲母が好ましく、さらに好ましくは、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、合成スメクタイトおよび膨潤性フッ素雲母などの層間にナトリウムイオンを有する膨潤性雲母が好ましい。
ベントナイトの代表例としては、天然ベントナイト、精製ベントナイトなどが挙げられる。また、有機化ベントナイトなども使用できる。本発明におけるスメクタイトには、アニオン系ポリマー変性モンモリロナイト、シラン処理モンモリロナイト、高極性有機溶剤複合モンモリロナイトなどのモンモリロナイト変性処理生成物もその範疇に含まれる。
本発明におけるベントナイトなどのスメクタイトの含有量は、水の添加量などによって適宜調整されるものであるが、スチレン系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.2重量部以上10重量部以下、さらに好ましくは0.3重量部以上8重量部以下、特に好ましくは0.5重量部以上7重量部以下、最も好ましくは1重量部以上5重量部以下である。スメクタイトの含有量が0.2重量部未満では水の圧入量に対してスメクタイトによる水の吸着量が不足し、押出機内で水の分散不良による気孔が発生し成形体不良になる傾向がある。一方、10重量部を超える場合には、スチレン系樹脂中に存在する無機物粉体の量が過剰になるため、スチレン系樹脂中への均一分散が困難になり、気泡むらが発生する傾向にあり、さらには、独立気泡を保持することが困難となる傾向にある。したがって、発泡体の断熱性能の悪化とバラツキを生じ易くなる傾向がある。
本発明における水/スメクタイト(ベントナイト)の混合比率は、重量比で、好ましくは0.02以上20以下、さらに好ましくは0.1以上10以下、特に好ましくは0.15以上5以下、最も好ましくは0.25以上2以下の範囲が理想的である。
本発明で得られるスチレン系樹脂発泡体における平均気泡径は、0.05mm以上1mm以下が好ましく、さらに好ましくは0.06mm以上0.6mm以下、特に好ましくは0.08mm以上0.4mm以下である。
また、他の発泡剤として水を用いた場合、スチレン系樹脂発泡体中に、気泡径が主として0.25mm以下の比較的気泡径の小さい気泡(小気泡)および、気泡径が主として0.3〜1mm程度の比較的気泡径の大きな気泡(大気泡)が海島状に混在してなる特徴的な気泡構造を有する発泡体が得られる。得られるスチレン系樹脂発泡体の断熱性能が向上することから、他の発泡剤として水を用いることが好ましい。他の発泡剤として水を用いる場合、オゾン破壊係数が0である化合物のみと組み合わせて用いても良いが、オゾン破壊係数が0である化合物、および、たとえば、ジメチルエーテル、二酸化炭素などの水以外の他の発泡剤と組み合わせて3成分またはそれ以上の成分からなる発泡剤とすることにより、発泡体の発泡性、成形性がより一層向上するので好ましい。
さらに、気泡径0.25mm以下の小気泡および気泡径0.3〜1mmの大気泡が混在してなる特定の気泡構造の発泡体においては、発泡体断面積あたりに占める小気泡の面積の割合(単位断面積あたりの占有面積率)(以下、小気泡面積率という)は、5%以上95%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以上90%以下、特に好ましくは20%以上80%以下、最も好ましくは25%以上70%以下である。
本発明においては、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、種々の難燃助剤、シリカ、タルク、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、炭酸カルシウムなどの無機化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの加工助剤、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、窒素系安定剤、イオウ系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定剤、前記以外の難燃剤、帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤を含有させることができる。
難燃助剤としては、JISA 9511に規定される難燃性が得られ、かつ製造安定性を損なわないように、ハロゲン化脂肪族基含有化合物および、金属化合物の効果を阻害しない物質で有れば、特に制限はないが、熱により分解してラジカルを発生させるジフェニルアルカン等の難燃助剤が好ましい。
また、押出発泡体製造時により安定的に押出発泡するためには、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスフェート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレイトなどのヒンダードフェノール系抗酸化剤、トリフェニルフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビスステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイトなどのリン系安定剤、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンなどのアミン系安定剤、3,3−チオビスプロピオン酸ジオデシルエステル、3,3’−チオビスプロピオン酸ジオクタデシルエステルなどの硫黄系安定剤を添加するのが好ましい。
本発明のスチレン系樹脂発泡体は、スチレン系樹脂およびハロゲン化脂肪族基含有化合物のスチレン系樹脂マスターバッチ、さらに必要に応じて、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Pd、Ag、Sn、W、Os、PtまたはCeの酸化物、ハロゲン化物および燐酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属化合物、燐酸金属塩以外の含燐化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、含硫黄化合物、または他の添加剤を押出機等の加熱溶融手段に供給し、任意の段階で高圧条件下で、発泡剤をスチレン系樹脂に添加し、流動ゲルとなし、押出発泡に適する温度に冷却し、ダイを通して該流動ゲルを低圧領域に押出発泡して、発泡体を形成することにより製造される。
スチレン系樹脂およびハロゲン化脂肪族基含有化合物のスチレン系樹脂マスターバッチと、発泡剤などの添加剤を加熱溶融する際の、添加手順としては、例えば、
(1)スチレン系樹脂およびハロゲン化脂肪族基含有化合物のスチレン系樹脂マスターバッチに、さらに必要に応じて、金属化合物、燐酸金属塩以外の含燐化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、含硫黄化合物、または他の添加剤を混合した後、加熱溶融する、
(2)スチレン系樹脂およびハロゲン化脂肪族基含有化合物のスチレン系樹脂マスターバッチに、さらに必要に応じて、金属化合物、燐酸金属塩以外の含燐化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、含硫黄化合物、または他の添加剤から選ばれる1種以上の添加剤を混合した後、加熱溶融し、これに残りの添加剤をそのままあるいは必要により液体化あるいは溶融させて添加し加熱混合する、
(3)予めスチレン系樹脂およびハロゲン化脂肪族基含有化合物のスチレン系樹脂マスターバッチに、さらに必要に応じて、金属化合物、燐酸金属塩以外の含燐化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、含硫黄化合物、または他の添加剤をから選ばれる1種以上の添加剤を混合した後、加熱溶融した組成物を準備し、次いで、該組成物と残りの添加剤、必要に応じて、スチレン系樹脂を改めて混合し、押出機に供給して加熱溶融する、
などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(1)スチレン系樹脂およびハロゲン化脂肪族基含有化合物のスチレン系樹脂マスターバッチに、さらに必要に応じて、金属化合物、燐酸金属塩以外の含燐化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、含硫黄化合物、または他の添加剤を混合した後、加熱溶融する、
(2)スチレン系樹脂およびハロゲン化脂肪族基含有化合物のスチレン系樹脂マスターバッチに、さらに必要に応じて、金属化合物、燐酸金属塩以外の含燐化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、含硫黄化合物、または他の添加剤から選ばれる1種以上の添加剤を混合した後、加熱溶融し、これに残りの添加剤をそのままあるいは必要により液体化あるいは溶融させて添加し加熱混合する、
(3)予めスチレン系樹脂およびハロゲン化脂肪族基含有化合物のスチレン系樹脂マスターバッチに、さらに必要に応じて、金属化合物、燐酸金属塩以外の含燐化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、含硫黄化合物、または他の添加剤をから選ばれる1種以上の添加剤を混合した後、加熱溶融した組成物を準備し、次いで、該組成物と残りの添加剤、必要に応じて、スチレン系樹脂を改めて混合し、押出機に供給して加熱溶融する、
などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明において、スチレン系樹脂と発泡剤などの添加剤を加熱溶融混練する際の加熱温度、溶融混練時間および溶融混練手段については特に制限するものではない。
該加熱温度は、使用するスチレン系樹脂が溶融する温度以上であればよいが、難燃剤などの影響による樹脂の分子劣化ができる限り抑制される温度、例えば、150〜260℃程度が好ましい。
該溶融混練時間は、単位時間あたりの押出量、溶融混練手段などによって異なるので一概には決定することができないが、スチレン系樹脂と発泡剤が均一に分散混合するのに要する時間が適宜選ばれる。
また、溶融混練手段としては、例えばスクリュー型の押出機などが挙げられるが、通常の押出発泡に用いられているものであれば特に限定はない。ただし、樹脂の分子劣化をできる限り抑えるため、スクリュー形状については、低剪断タイプのスクリューを用いる方が好ましい。
また、発泡成形方法も特に制限されないが、例えば、スリットダイより圧力開放して得られた発泡体をスリットダイと密着または接して設置した成形金型および成形ロールなどを用いて、断面積の大きい板状発泡体を成形する一般的な方法を用いることができる。
本発明の発泡体の厚さは特に制限されず、用途に応じて適宜選択される。例えば、建材などの用途に使用される断熱材の場合、好ましい断熱性、曲げ強度および圧縮強度を付与せしめるためには、シートのような薄いものよりも、通常の板状物のように厚さのあるものが好ましく、通常10〜150mm、好ましくは20〜100mmである。
本発明の発泡体の密度については、軽量でかつ優れた断熱性および曲げ強度、圧縮強度を付与せしめるためには15〜50kg/m3であることが好ましく、20〜45kg/m3であることがさらに好ましい。
本願発明の、融点が150℃以下のハロゲン化脂肪族基含有化合物を含有するスチレン系樹脂発泡体であって、あらかじめ、ハロゲン化脂肪族基含有化合物の含有量が1wt%以上60wt%以下のスチレン系樹脂マスターバッチを作成し、該マスターバッチを添加したスチレン系樹脂を押出発泡してなることを特徴とするスチレン系樹脂発泡体は、発泡体となしたものを再生し、再度成形に用いることができる。例えば、本発明のスチレン系樹脂発泡体を、粉砕し、押出機にて溶融ペレット化して再生したスチレン系樹脂組成物を、スチレン系樹脂の一部として、成形に用いていないいわゆる新しいスチレン系樹脂と配合し押出発泡させることが可能である。再生したスチレン系樹脂組成物の使用上限量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜調整されるが、例えば、新しいスチレン系樹脂100重量部に対して200重量部、好ましくは150重量部が例示できる。
次に本発明の熱可塑性樹脂押出発泡体を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに制限されるものではない。なお、特に断らない限り「部」は重量部を、「%」は重量%を表す。(ただし小気泡面積率(%)は面積の割合である。)
実施例および比較例では、以下の原材料を用いた。
A:スチレン系樹脂
A−1:ポリスチレン(PSジャパン(株)製、G9401)
b:ハロゲン化脂肪族基含有化合物のスチレン系樹脂マスターバッチ
b−1:テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)(B−1)(帝人化成(株)製、ファイヤガード3100、融点:90〜105℃、5%重量減少温度:300℃) 20wt%含有スチレン系樹脂マスターバッチ
b−2:トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート(B−2)(日本化成(株)製、TAIC−6B、融点:105℃、5%重量減少温度:285℃) 20wt%含有スチレン系樹脂マスターバッチ
b−3:テトラブロモシクロオクタン(B−3)(アルベマール製、SAYTEX BC−48、融点:103℃、5%重量減少温度:167℃) 20wt%含有スチレン系樹脂マスターバッチ
B:ハロゲン系難燃剤(B−1〜3はハロゲン化脂肪族基含有化合物)
B−1:テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)
B−2:トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート
B−3:テトラブロモシクロオクタン
B−4:デカブロムジフェニルオキサイド(東ソー(株)製、フレームカット110R、融点:307℃、5%重量減少温度:320℃)
C:Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Pd、Ag、Sn、W、Os、PtまたはCeの酸化物、ハロゲン化物および燐酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属化合物
C−1:酸化鉄(Fe2O3、和光純薬工業(株)製試薬)
D:燐酸金属塩以外の含燐化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物または含硫黄化合物
D−1:トリフェニルホスフェート(大八化学工業(株)製、TPP)
D−2:イソシアヌル酸(四国化成(株)製、ICA−P)
D−3:酸化ホウ素(和光純薬工業(株)製試薬)
D−4:p−トルエンスルホン酸一水和物(和光純薬工業(株)製試薬)
E:発泡剤;炭化水素およびハロゲン化炭化水素の群から選ばれ、かつ、オゾン破壊係数が0の1種以上の化合物
E−1:プロパン(イワタニ(株)製、無臭プロパン)
E−2:イソブタン(三井化学(株)製、イソブタン)
E−3:HFC−134a(ダイキン工業(株)製、HFC−134a)
F:その他の発泡剤
F−1:ジメチルエーテル(三井化学(株)製、ジメチルエーテル)
F−2:水
G:その他の添加剤
G−1:タルク(林化成(株)製、タルカンパウダー)
G−2:ステアリン酸バリウム(堺化学工業(株)製、ステアリン酸バリウム)
G−3:ベントナイト(豊順鉱業(株)製、ベンゲル23)
G−4:AEROSIL(日本アエロジル(株)製、AEROSIL)
G−5:安定剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製IRGANOX B911(ヒンダードフェノール系抗酸化剤IRGANOX1076:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとリン系安定剤IRGAFOS168:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトの1:1の混合物)。
実施例および比較例では、以下の原材料を用いた。
A:スチレン系樹脂
A−1:ポリスチレン(PSジャパン(株)製、G9401)
b:ハロゲン化脂肪族基含有化合物のスチレン系樹脂マスターバッチ
b−1:テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)(B−1)(帝人化成(株)製、ファイヤガード3100、融点:90〜105℃、5%重量減少温度:300℃) 20wt%含有スチレン系樹脂マスターバッチ
b−2:トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート(B−2)(日本化成(株)製、TAIC−6B、融点:105℃、5%重量減少温度:285℃) 20wt%含有スチレン系樹脂マスターバッチ
b−3:テトラブロモシクロオクタン(B−3)(アルベマール製、SAYTEX BC−48、融点:103℃、5%重量減少温度:167℃) 20wt%含有スチレン系樹脂マスターバッチ
B:ハロゲン系難燃剤(B−1〜3はハロゲン化脂肪族基含有化合物)
B−1:テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)
B−2:トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート
B−3:テトラブロモシクロオクタン
B−4:デカブロムジフェニルオキサイド(東ソー(株)製、フレームカット110R、融点:307℃、5%重量減少温度:320℃)
C:Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Pd、Ag、Sn、W、Os、PtまたはCeの酸化物、ハロゲン化物および燐酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属化合物
C−1:酸化鉄(Fe2O3、和光純薬工業(株)製試薬)
D:燐酸金属塩以外の含燐化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物または含硫黄化合物
D−1:トリフェニルホスフェート(大八化学工業(株)製、TPP)
D−2:イソシアヌル酸(四国化成(株)製、ICA−P)
D−3:酸化ホウ素(和光純薬工業(株)製試薬)
D−4:p−トルエンスルホン酸一水和物(和光純薬工業(株)製試薬)
E:発泡剤;炭化水素およびハロゲン化炭化水素の群から選ばれ、かつ、オゾン破壊係数が0の1種以上の化合物
E−1:プロパン(イワタニ(株)製、無臭プロパン)
E−2:イソブタン(三井化学(株)製、イソブタン)
E−3:HFC−134a(ダイキン工業(株)製、HFC−134a)
F:その他の発泡剤
F−1:ジメチルエーテル(三井化学(株)製、ジメチルエーテル)
F−2:水
G:その他の添加剤
G−1:タルク(林化成(株)製、タルカンパウダー)
G−2:ステアリン酸バリウム(堺化学工業(株)製、ステアリン酸バリウム)
G−3:ベントナイト(豊順鉱業(株)製、ベンゲル23)
G−4:AEROSIL(日本アエロジル(株)製、AEROSIL)
G−5:安定剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製IRGANOX B911(ヒンダードフェノール系抗酸化剤IRGANOX1076:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとリン系安定剤IRGAFOS168:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトの1:1の混合物)。
得られた発泡体に対する評価・測定方法は、以下のとおりである。
(1)ハロゲン系難燃剤の5%熱重量減少温度
DTG−50((株)島津製作所製)を用いて、次の手順により測定した。
a)ハロゲン系難燃剤を3.5±0.5mg採取する。
b)アルミニウム製セルに入れ、窒素気流下(50ml/分)、昇温速度10℃/分の条件にて室温から500℃まで昇温し、加熱による重量減少の測定を行う。
c)初期重量に対し5%減少した際の温度を5%熱重量減少温度とする。
(2)燃焼性
押出発泡体の燃焼性をJISA 9511に準じて厚さ10mm、長さ200mm、幅25mmの試験片を用い、以下の基準で評価した。測定は製造後、前記寸法に切削した後、7日経過した発泡体について行った。
(a)燃焼時間
◎:消炎時間が5本すべて3秒以内となる
○:消炎時間が5本のうち、少なくとも1本が3秒を越えるが、残りの3本以上は3秒以内となる
△:消炎時間が5本のうち、少なくとも3本が3秒を越えるが、残りの1本以上は3秒以内となる
×:消炎時間が5本すべて3秒を超える
(b)燃焼距離
◎:5本全てで限界線以内で停止する
○:5本のうち、少なくとも1本は減少が限界線を越えるが、残りの3本以上は限界線以内で燃焼が停止する
△:5本のうち、少なくとも3本は燃焼が限界線を越えるが、残りの1本以上は限界線以内で燃焼が停止する
×:5本全てで燃焼が限界線を越える
(c)燃焼状況
◎:発泡剤の燃焼が全く見られない
○:発泡剤の燃焼が若干見られる
△:発泡剤の燃焼が見られるが、全焼には至らない
×:発泡剤の燃焼も見られ、全焼する
(3)熱伝導率
押出発泡体の熱伝導率をJISA 9511に準じて測定した。測定には英弘精機製HC−074を用い、押出発泡体から約300mm×100mm×25mmの直方体試験片を3個切り出し、これを並べて300mm×300mm×25mmの形としてHC−074にセットし測定した。測定は製造後、表面から10mmの部分を削除した後、90日経過した発泡体について行った。
(4)小気泡面積率
押出発泡体について、厚さ方向断面での気泡径0.25mm以下である気泡の発泡体断面積あたりの占有面積比を以下のようにして求めた。
ここで、気泡径0.25mm以下である気泡とは、円相当直径が0.25mm以下の気泡とする。
a)走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製、品番:S−450)にて30倍に拡大して発泡体の縦断面を写真撮影する。
b)撮影した写真の上にOHPシートを置き、その上に厚さ方向の径が7.5mmよりも大きい気泡(実寸法が0.25mmより大きい気泡に相当する)に対応する部分を黒インキで塗りつぶして写しとる(一次処理)。
c)画像処理装置((株)ピアス製、品番:PIAS−II)に一次処理画像を取り込み、濃色部分と淡色部分を、即ち黒インキで塗られた部分か否かを識別する。
d)濃色部分のうち、直径7.5mm以下の円の面積に相当する部分、即ち、厚さ方向の径は長いが、面積的には直径7.5mm以下の円の面積にしかならない部分を淡色化して、濃色部分の補正を行う。
e)画像解析計算機能中の「FRACTAREA(面積率)」を用い、画像全体に占める気泡径7.5mm以下(濃淡で分割した淡色部分)の面積比を次式により求める。
小気泡占有面積比(%)=(1−濃色部分の面積/画像全体の面積)×100。
(5)発泡体を構成するスチレン系樹脂の比粘度ηsp
次の手順により、比粘度ηspを求めた。
(a)発泡体サンプル約1gを共栓付の試験管に入れ、約30mlのメチルエチルケトンを加えて溶解させる。溶解し難いサンプルの場合は、60℃以下の加熱により充分に溶解させる。
(b)試験管に栓をし、6時間以上静置することにより不溶物(固形物、ゲル)を沈殿させる。
(c)静置後、試験管中の上澄液を静かに容量100ml以上のビーカーに移す。
(d)マグネチックスターラーを使用して、ビーカー内を攪拌しながらエタノールを数mlずつ加え、樹脂が析出するのを確認する。さらに数mlずつエタノールを加え、析出した樹脂が再溶解しなくなり始めたら、数滴ずつゆっくりとエタノールを加え、ほぼ全量の樹脂分を析出せる。
(e)析出した樹脂分を攪拌棒などで混ぜながら塊にさせ、ビーカーの底に沈ませる。ビーカーの底に樹脂分を押しつけるようにしながら軽く洗浄する。
(f)洗浄後、ビーカー内の上澄液を捨て、樹脂分をアルミホイルのうえにあけ、伸ばして薄い板状にする。
(g)アルミホイルごと70℃のオーブンに入れ、12時間以上放置して、溶剤を完全に揮散させる。
(h)乾燥させた樹脂分250mg(精秤)をサンプルとして、共栓付の試験管に入れ、25ml(ホールピペットによる精秤)のトルエンを加え溶解させる。溶解し難い場合は、60℃以下の加熱により充分に溶解させる。
(i)試料10ml(ホールピペットによる精秤)を用い、オストワルド粘度管(水30℃/50S型)にて30℃においてトルエン(特級)に対する相対粘度を測定する。
比粘度は以下の式にて算出する。
比粘度(ηsp)={(試料の通過時間)/(トルエンの通過時間)}−1
(6)耐熱性
直方体状に切り出した発泡体を恒温恒湿室(気温25℃および湿度50%)にて2週間養生した後、80℃のオーブンで24時間加熱し、その前後の体積変化を求めた。耐熱性は以下の式を用いた基準で評価した。
体積変化率=[(オーブン加熱後のサンプル体積÷オーブン加熱前のサンプル体積)−1]×100 (%)
○:体積変化率が15%以下である。
△:体積変化率が15〜30%である。
×:体積変化率が30%以上である。
(7)発泡体の密度
押出発泡体を約200mm×100mm×25mmの直方体に切り出した後、この重量を測るとともに、ノギスで縦、横および高さの寸法を測定し、発泡体密度を、式:
発泡体密度(g/cm3)=発泡体重量(g)/発泡体体積(cm3)
に基づいて求め、単位を(kg/m3)に換算して示した。
(8)リサイクル性
押出発泡体を粉砕機で粉砕した後、二軸押出機(日本製鋼(株)製TEX44)を用い、シリンダー温度設定230℃にて加熱溶融し、ペレット化した。
(1)ハロゲン系難燃剤の5%熱重量減少温度
DTG−50((株)島津製作所製)を用いて、次の手順により測定した。
a)ハロゲン系難燃剤を3.5±0.5mg採取する。
b)アルミニウム製セルに入れ、窒素気流下(50ml/分)、昇温速度10℃/分の条件にて室温から500℃まで昇温し、加熱による重量減少の測定を行う。
c)初期重量に対し5%減少した際の温度を5%熱重量減少温度とする。
(2)燃焼性
押出発泡体の燃焼性をJISA 9511に準じて厚さ10mm、長さ200mm、幅25mmの試験片を用い、以下の基準で評価した。測定は製造後、前記寸法に切削した後、7日経過した発泡体について行った。
(a)燃焼時間
◎:消炎時間が5本すべて3秒以内となる
○:消炎時間が5本のうち、少なくとも1本が3秒を越えるが、残りの3本以上は3秒以内となる
△:消炎時間が5本のうち、少なくとも3本が3秒を越えるが、残りの1本以上は3秒以内となる
×:消炎時間が5本すべて3秒を超える
(b)燃焼距離
◎:5本全てで限界線以内で停止する
○:5本のうち、少なくとも1本は減少が限界線を越えるが、残りの3本以上は限界線以内で燃焼が停止する
△:5本のうち、少なくとも3本は燃焼が限界線を越えるが、残りの1本以上は限界線以内で燃焼が停止する
×:5本全てで燃焼が限界線を越える
(c)燃焼状況
◎:発泡剤の燃焼が全く見られない
○:発泡剤の燃焼が若干見られる
△:発泡剤の燃焼が見られるが、全焼には至らない
×:発泡剤の燃焼も見られ、全焼する
(3)熱伝導率
押出発泡体の熱伝導率をJISA 9511に準じて測定した。測定には英弘精機製HC−074を用い、押出発泡体から約300mm×100mm×25mmの直方体試験片を3個切り出し、これを並べて300mm×300mm×25mmの形としてHC−074にセットし測定した。測定は製造後、表面から10mmの部分を削除した後、90日経過した発泡体について行った。
(4)小気泡面積率
押出発泡体について、厚さ方向断面での気泡径0.25mm以下である気泡の発泡体断面積あたりの占有面積比を以下のようにして求めた。
ここで、気泡径0.25mm以下である気泡とは、円相当直径が0.25mm以下の気泡とする。
a)走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製、品番:S−450)にて30倍に拡大して発泡体の縦断面を写真撮影する。
b)撮影した写真の上にOHPシートを置き、その上に厚さ方向の径が7.5mmよりも大きい気泡(実寸法が0.25mmより大きい気泡に相当する)に対応する部分を黒インキで塗りつぶして写しとる(一次処理)。
c)画像処理装置((株)ピアス製、品番:PIAS−II)に一次処理画像を取り込み、濃色部分と淡色部分を、即ち黒インキで塗られた部分か否かを識別する。
d)濃色部分のうち、直径7.5mm以下の円の面積に相当する部分、即ち、厚さ方向の径は長いが、面積的には直径7.5mm以下の円の面積にしかならない部分を淡色化して、濃色部分の補正を行う。
e)画像解析計算機能中の「FRACTAREA(面積率)」を用い、画像全体に占める気泡径7.5mm以下(濃淡で分割した淡色部分)の面積比を次式により求める。
小気泡占有面積比(%)=(1−濃色部分の面積/画像全体の面積)×100。
(5)発泡体を構成するスチレン系樹脂の比粘度ηsp
次の手順により、比粘度ηspを求めた。
(a)発泡体サンプル約1gを共栓付の試験管に入れ、約30mlのメチルエチルケトンを加えて溶解させる。溶解し難いサンプルの場合は、60℃以下の加熱により充分に溶解させる。
(b)試験管に栓をし、6時間以上静置することにより不溶物(固形物、ゲル)を沈殿させる。
(c)静置後、試験管中の上澄液を静かに容量100ml以上のビーカーに移す。
(d)マグネチックスターラーを使用して、ビーカー内を攪拌しながらエタノールを数mlずつ加え、樹脂が析出するのを確認する。さらに数mlずつエタノールを加え、析出した樹脂が再溶解しなくなり始めたら、数滴ずつゆっくりとエタノールを加え、ほぼ全量の樹脂分を析出せる。
(e)析出した樹脂分を攪拌棒などで混ぜながら塊にさせ、ビーカーの底に沈ませる。ビーカーの底に樹脂分を押しつけるようにしながら軽く洗浄する。
(f)洗浄後、ビーカー内の上澄液を捨て、樹脂分をアルミホイルのうえにあけ、伸ばして薄い板状にする。
(g)アルミホイルごと70℃のオーブンに入れ、12時間以上放置して、溶剤を完全に揮散させる。
(h)乾燥させた樹脂分250mg(精秤)をサンプルとして、共栓付の試験管に入れ、25ml(ホールピペットによる精秤)のトルエンを加え溶解させる。溶解し難い場合は、60℃以下の加熱により充分に溶解させる。
(i)試料10ml(ホールピペットによる精秤)を用い、オストワルド粘度管(水30℃/50S型)にて30℃においてトルエン(特級)に対する相対粘度を測定する。
比粘度は以下の式にて算出する。
比粘度(ηsp)={(試料の通過時間)/(トルエンの通過時間)}−1
(6)耐熱性
直方体状に切り出した発泡体を恒温恒湿室(気温25℃および湿度50%)にて2週間養生した後、80℃のオーブンで24時間加熱し、その前後の体積変化を求めた。耐熱性は以下の式を用いた基準で評価した。
体積変化率=[(オーブン加熱後のサンプル体積÷オーブン加熱前のサンプル体積)−1]×100 (%)
○:体積変化率が15%以下である。
△:体積変化率が15〜30%である。
×:体積変化率が30%以上である。
(7)発泡体の密度
押出発泡体を約200mm×100mm×25mmの直方体に切り出した後、この重量を測るとともに、ノギスで縦、横および高さの寸法を測定し、発泡体密度を、式:
発泡体密度(g/cm3)=発泡体重量(g)/発泡体体積(cm3)
に基づいて求め、単位を(kg/m3)に換算して示した。
(8)リサイクル性
押出発泡体を粉砕機で粉砕した後、二軸押出機(日本製鋼(株)製TEX44)を用い、シリンダー温度設定230℃にて加熱溶融し、ペレット化した。
リサイクル性は、以下の式を用い基準で評価した。
比粘度(ηsp)保持率=(粉砕後加熱溶融しペレット化したもののスチレン系樹脂の比粘度(ηsp)÷もともと使用したスチレン系樹脂の比粘度(ηsp))×100 (%)
○:比粘度(ηsp)保持率が75%以上である。
△:比粘度(ηsp)保持率が60〜75%である。
×:比粘度(ηsp)保持率が60%未満である。
比粘度(ηsp)保持率=(粉砕後加熱溶融しペレット化したもののスチレン系樹脂の比粘度(ηsp)÷もともと使用したスチレン系樹脂の比粘度(ηsp))×100 (%)
○:比粘度(ηsp)保持率が75%以上である。
△:比粘度(ηsp)保持率が60〜75%である。
×:比粘度(ηsp)保持率が60%未満である。
(製造安定性)
以下に説明する各実施例における製造条件において、下記のようにその製造安定性を評価した。
以下に説明する各実施例における製造条件において、下記のようにその製造安定性を評価した。
(吐出変動)=((1分間あたりの吐出量)×60)/(1時間当たりの吐出量)×100 (%)
○:吐出変動の最大値が5%以下。
△:吐出変動の最大値が10%以下。
×:吐出変動の最大値が10%を越え、安定して製品が得られない。
(参考例1) テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)(B−1)20wt%含有スチレン系樹脂マスターバッチ(b−1)の製造
スチレン系樹脂(A−1)80部、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)(B−1)20部からなる混合物をドライブレンドし、得られた混合物を口径45mmの2軸押出機に40kg/hrの割合で供給した。混合物を同押出機を用いて、230℃に加熱して混練し、先端に設けた12穴ダイスからストランドを引き、水冷後ストランドカッターを用いてペレット化し、マスターバッチ(b−1)を得た。
(参考例2) トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート(B−2)20wt%含有スチレン系樹脂マスターバッチ(b−2)の製造
スチレン系樹脂(A−1)80部、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート(B−2)20部からなる混合物をドライブレンドし、得られた混合物を口径45mmの2軸押出機に40kg/hrの割合で供給した。混合物を同押出機を用いて、230℃に加熱して混練し、先端に設けた12穴ダイスからストランドを引き、水冷後ストランドカッターを用いてペレット化し、マスターバッチ(b−2)を得た。
(参考例3) テトラブロモシクロオクタン(B−3)20wt%含有スチレン系樹脂マスターバッチ(b−3)の製造
スチレン系樹脂(A−1)80部、テトラブロモシクロオクタン(B−2)20部からなる混合物をドライブレンドし、得られた混合物を口径45mmの2軸押出機に40kg/hrの割合で供給した。混合物を同押出機を用いて、230℃に加熱して混練し、先端に設けた12穴ダイスからストランドを引き、水冷後ストランドカッターを用いてペレット化し、マスターバッチ(b−3)を得た。
(実施例1)
スチレン系樹脂(A−1)80部に対して、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)(B−1)20wt%含有スチレン系樹脂マスターバッチ(b−1)25部((B−1)5部相当)、金属化合物として酸化鉄0.01部、さらにタルク(G−1)0.5部、ステアリン酸バリウム(G−2)0.25部とからなる混合物をドライブレンドし、得られた混合物を口径65mmと口径90mmのものを縦に連結した押出機へ約70kg/hrの割合で供給した。前記口径65mmの押出機に供給した混合物を、200℃に加熱して混練し、これに連結された口径90mmの押出機で樹脂温度を120℃に冷却して、口径90mmの押出機の先端に設けた厚さ方向2mm、幅方向50mmの長方形断面の口金より大気中へ押し出し、直方体状の押出発泡体を得た。得られた発泡体の密度は30kg/m3であった。
○:吐出変動の最大値が5%以下。
△:吐出変動の最大値が10%以下。
×:吐出変動の最大値が10%を越え、安定して製品が得られない。
(参考例1) テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)(B−1)20wt%含有スチレン系樹脂マスターバッチ(b−1)の製造
スチレン系樹脂(A−1)80部、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)(B−1)20部からなる混合物をドライブレンドし、得られた混合物を口径45mmの2軸押出機に40kg/hrの割合で供給した。混合物を同押出機を用いて、230℃に加熱して混練し、先端に設けた12穴ダイスからストランドを引き、水冷後ストランドカッターを用いてペレット化し、マスターバッチ(b−1)を得た。
(参考例2) トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート(B−2)20wt%含有スチレン系樹脂マスターバッチ(b−2)の製造
スチレン系樹脂(A−1)80部、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート(B−2)20部からなる混合物をドライブレンドし、得られた混合物を口径45mmの2軸押出機に40kg/hrの割合で供給した。混合物を同押出機を用いて、230℃に加熱して混練し、先端に設けた12穴ダイスからストランドを引き、水冷後ストランドカッターを用いてペレット化し、マスターバッチ(b−2)を得た。
(参考例3) テトラブロモシクロオクタン(B−3)20wt%含有スチレン系樹脂マスターバッチ(b−3)の製造
スチレン系樹脂(A−1)80部、テトラブロモシクロオクタン(B−2)20部からなる混合物をドライブレンドし、得られた混合物を口径45mmの2軸押出機に40kg/hrの割合で供給した。混合物を同押出機を用いて、230℃に加熱して混練し、先端に設けた12穴ダイスからストランドを引き、水冷後ストランドカッターを用いてペレット化し、マスターバッチ(b−3)を得た。
(実施例1)
スチレン系樹脂(A−1)80部に対して、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)(B−1)20wt%含有スチレン系樹脂マスターバッチ(b−1)25部((B−1)5部相当)、金属化合物として酸化鉄0.01部、さらにタルク(G−1)0.5部、ステアリン酸バリウム(G−2)0.25部とからなる混合物をドライブレンドし、得られた混合物を口径65mmと口径90mmのものを縦に連結した押出機へ約70kg/hrの割合で供給した。前記口径65mmの押出機に供給した混合物を、200℃に加熱して混練し、これに連結された口径90mmの押出機で樹脂温度を120℃に冷却して、口径90mmの押出機の先端に設けた厚さ方向2mm、幅方向50mmの長方形断面の口金より大気中へ押し出し、直方体状の押出発泡体を得た。得られた発泡体の密度は30kg/m3であった。
この際、発泡剤として、プロパン(E−1)50%およびジメチルエーテル(F―1)50%からなる発泡剤をスチレン系樹脂100部に対して8部となるように、前記口径65mmの押出機の先端付近(口径90mmの押出機の口金と反対側の端部側に接続される側の端部)から前記樹脂中に圧入した。
得られた押出発泡体の特性を表1に示す。
(実施例2〜4)
ハロゲン化脂肪族基含有化合物のスチレン系樹脂マスターバッチ(b)、金属化合物(C)、発泡剤(E)および他の発泡剤(F)の種類および添加量を表1に示す値とした以外は、実施例1と同様にして発泡体を得た。
得られた押出発泡体の特性を表1に示す。
(比較例1)
スチレン系樹脂(A−1)100部に対して、ハロゲン系難燃剤としてデカブロムジフェニルオキサイド(B−4)を粉体で5部添加し、発泡剤(E)および他の発泡剤(F)の種類および添加量を表1に示す値とした以外は、実施例1と同様にして発泡体を得た。
得られた押出発泡体の特性を表1に示す。
(実施例2〜4)
ハロゲン化脂肪族基含有化合物のスチレン系樹脂マスターバッチ(b)、金属化合物(C)、発泡剤(E)および他の発泡剤(F)の種類および添加量を表1に示す値とした以外は、実施例1と同様にして発泡体を得た。
得られた押出発泡体の特性を表1に示す。
(比較例1)
スチレン系樹脂(A−1)100部に対して、ハロゲン系難燃剤としてデカブロムジフェニルオキサイド(B−4)を粉体で5部添加し、発泡剤(E)および他の発泡剤(F)の種類および添加量を表1に示す値とした以外は、実施例1と同様にして発泡体を得た。
(実施例6)
スチレン系樹脂(A−1)80部に対して、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)(B−1)20wt%含有スチレン系樹脂マスターバッチ(b−1)25部((B−1)5部相当金属化合物として酸化鉄0.01部、さらにタルク(G−1)0.5部、ステアリン酸バリウム(G−2)0.25部とからなる混合物をドライブレンドし、得られた混合物を口径65mmと口径90mmのものを縦に連結した押出機へ約70kg/hrの割合で供給した。前記口径65mmの押出機に供給した混合物を、200℃に加熱して混練し、これに連結された口径90mmの押出機で樹脂温度を120℃に冷却して、口径90mmの押出機の先端に設けた厚さ方向2mm、幅方向50mmの長方形断面の口金より大気中へ押し出し、直方体状の押出発泡体を得た。得られた発泡体の密度は31kg/m3であった。
この際、発泡剤として、イソブタン(E−2)67%およびジメチルエーテル(F―1)33%からなる発泡剤をスチレン系樹脂100部に対して6部となるように、前記口径65mmの押出機の先端付近(口径90mmの押出機の口金と反対側の端部側に接続される側の端部)から前記樹脂中に圧入した。
得られた押出発泡体の特性を表2に示す。
(実施例7〜12)
ハロゲン化脂肪族基含有化合物のスチレン系樹脂マスターバッチ(b)、金属化合物(C)、含燐化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、含硫黄化合物(E)、発泡剤(F)、および他の発泡剤(G)の種類および添加量を表2に示す値とした以外は、実施例5と同様にして発泡体を得た。得られた押出発泡体の特性を表2に示す。
(比較例2)
スチレン系樹脂(A−1)100部に対して、ハロゲン系難燃剤としてデカブロムジフェニルオキサイド(B−3)を粉体で5部添加し、含燐化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、含硫黄化合物(D)、発泡剤(E)、および他の発泡剤(F)の種類および添加量を表2に示す値とした以外は、実施例6と同様にして発泡体を得た。得られた押出発泡体の特性を表2に示す。
(実施例7〜12)
ハロゲン化脂肪族基含有化合物のスチレン系樹脂マスターバッチ(b)、金属化合物(C)、含燐化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、含硫黄化合物(E)、発泡剤(F)、および他の発泡剤(G)の種類および添加量を表2に示す値とした以外は、実施例5と同様にして発泡体を得た。得られた押出発泡体の特性を表2に示す。
(比較例2)
スチレン系樹脂(A−1)100部に対して、ハロゲン系難燃剤としてデカブロムジフェニルオキサイド(B−3)を粉体で5部添加し、含燐化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、含硫黄化合物(D)、発泡剤(E)、および他の発泡剤(F)の種類および添加量を表2に示す値とした以外は、実施例6と同様にして発泡体を得た。得られた押出発泡体の特性を表2に示す。
(実施例13)
スチレン系樹脂(A−1)80部に対して、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)(B−1)20wt%含有スチレン系樹脂マスターバッチ(b−1)25部((B−1)5部相当)、金属化合物として酸化鉄0.01部、含燐化合物としてトリフェニルホスフェート(D−1)1部、含窒素化合物としてイソシアヌル酸(D−2)2部、その他の添加剤として、タルク(G−1)0.2部、ステアリン酸バリウム(G−2)0.25部、ベントナイト(G−3)1部、AEROSIL(G−4)0.01部とからなる混合物をドライブレンドし、得られた混合物を口径65mmと口径90mmのものを縦に連結した押出機へ約70kg/hrの割合で供給した。前記口径65mmの押出機に供給した混合物を、200℃に加熱して混練し、これに連結された口径90mmの押出機で樹脂温度を120℃に冷却して、口径90mmの押出機の先端に設けた厚さ方向2mm、幅方向50mmの長方形断面の口金より大気中へ押し出し、直方体状の押出発泡体を得た。
この際、発泡剤として、イソブタン(E−2)59%、ジメチルエーテル(F―1)29%および水(F−2)12%からなる発泡剤をスチレン系樹脂100部に対して6.8部となるように、前記口径65mmの押出機の先端付近(口径90mmの押出機の口金と反対側の端部側に接続される側の端部)から前記樹脂中に圧入した。
得られた押出発泡体の特性を表3に示す。
(実施例14〜17)
ハロゲン化脂肪族基含有化合物のスチレン系樹脂マスターバッチ(b)、含燐化合物、含窒素化合物(D)、発泡剤(E)、および他の発泡剤(F)の種類および添加量を表3に示す値とした以外は、実施例13と同様にして発泡体を得た。
得られた押出発泡体の特性を表3に示す。
(比較例3)
スチレン系樹脂(A−1)100部に対して、ハロゲン系難燃剤としてデカブロムジフェニルオキサイド(B−3)を粉体で5部添加し、含燐化合物、含窒素化合物(D)、発泡剤(E)、および他の発泡剤(F)の種類および添加量を表3に示す値とした以外は、実施例13と同様にして発泡体を得た。得られた押出発泡体の特性を表3に示す。
(実施例14〜17)
ハロゲン化脂肪族基含有化合物のスチレン系樹脂マスターバッチ(b)、含燐化合物、含窒素化合物(D)、発泡剤(E)、および他の発泡剤(F)の種類および添加量を表3に示す値とした以外は、実施例13と同様にして発泡体を得た。
得られた押出発泡体の特性を表3に示す。
(比較例3)
スチレン系樹脂(A−1)100部に対して、ハロゲン系難燃剤としてデカブロムジフェニルオキサイド(B−3)を粉体で5部添加し、含燐化合物、含窒素化合物(D)、発泡剤(E)、および他の発泡剤(F)の種類および添加量を表3に示す値とした以外は、実施例13と同様にして発泡体を得た。得られた押出発泡体の特性を表3に示す。
Claims (9)
- 融点が150℃以下のハロゲン化脂肪族基含有化合物を1wt%以上60wt%以下含有するスチレン系樹脂マスターバッチ、スチレン系樹脂、および発泡剤からなるスチレン系樹脂組成物を押出発泡してなることを特徴とするスチレン系樹脂発泡体。
- スチレン系樹脂マスターバッチが、融点が150℃以下のハロゲン化脂肪族基含有化合物を10wt%以上30wt%以下含有することを特徴とする請求項1記載のスチレン系樹脂発泡体。
- 融点が150℃以下のハロゲン化脂肪族基含有化合物の、50ml/分窒素気流下昇温速度10℃/分の条件で測定した5%熱重量減少温度が、250℃以上であることを特徴とする請求項1または2記載のスチレン系樹脂発泡体。
- 融点が150℃以下のハロゲン化脂肪族基含有化合物が、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)および/またはトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートであることを特徴とする請求項1〜3何れか一項に記載のスチレン系樹脂発泡体。
- 発泡剤として、オゾン破壊係数が0である、炭化水素およびハロゲン化炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を用いることを特徴とする請求項1〜4何れか一項に記載のスチレン系樹脂発泡体。
- Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Pd、Ag、Sn、W、Os、PtまたはCeの酸化物、ハロゲン化物および燐酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属化合物を含有することを特徴とする請求項1〜5何れか一項に記載のスチレン系樹脂発泡体。
- 前記金属化合物が、酸化鉄であることを特徴とする請求項6記載のスチレン系樹脂発泡体。
- 発泡体を形成する気泡が、気泡径0.25mm以下の気泡および気泡径0.3〜1mmの気泡より構成されることを特徴とする請求項1〜7何れか一項に記載のスチレン系樹脂発泡体。
- スチレン系樹脂が、請求項1〜8何れか一項に記載のスチレン系樹脂発泡体を再生してなるスチレン系樹脂組成物を含有することを特徴とするスチレン系樹脂発泡体。
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