JP2007262181A - スチレン系樹脂押出発泡体及びその製造方法 - Google Patents

スチレン系樹脂押出発泡体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】少ない量のハロゲン系難燃剤の添加により所望の難燃性を有するスチレン系樹脂押出発泡体を得る手段を提供する。環境適合性に優れたスチレン系樹脂押出発泡体を得る手段を提供する。
【解決手段】本スチレン系樹脂押出発泡体は、スチレン系樹脂に、ハロゲン系難燃剤、非ハロゲン系発泡剤、及びゼオライトが添加され、該スチレン系樹脂を押出発泡して得られるスチレン系樹脂押出発泡体であって、上記ゼオライトが、少なくとも鉄分を含有するものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、高い難燃性を有するスチレン系樹脂押出発泡体に関し、特にハロゲン系難燃剤の難燃効果が向上されるスチレン系樹脂押出発泡体及びその製造方法に関する。
スチレン系樹脂押出発泡体は、良好な施工性や断熱特性から、例えば構造物の断熱材として用いられている。スチレン系樹脂押出発泡体は、通常、スチレン系樹脂を押出機において加熱溶融してゲル状とし、次いで発泡剤を添加して混練し、ゲル状のスチレン系樹脂を発泡に適した温度に冷却してから、ダイを通じて低圧領域に圧力開放することにより発泡させるとともに、板状に成形することにより得られる。
スチレン系樹脂に添加される難燃剤として、ヘキサブロモシクロドデカンなどのハロゲン系難燃剤が用いられている。一方、発泡剤として、飽和炭化水素やハロゲン化炭化水素、フロン類などが知られている(特許文献1,2参照)。特に、塩化メチルや塩化エチルのようなハロゲン化炭化水素は、スチレン系樹脂に対して易透過性であり、その他の発泡剤とともに広く採用されている。特に、炭化水素などの可燃性ガスが発泡剤として用いられた場合には、可燃性ガスが押出発泡体に残存されて該押出発泡体の燃焼が促進されるので、より多くの難燃剤が必要とされる傾向にある。
しかし、有機ハロゲン系難燃剤を樹脂原料に多量に添加すると、押出発泡体の機械的性質が低下したり、押出機の金属部分を腐食させたりするという問題がある。また、押出発泡体の耐熱性が低下したり、成形や燃焼の際に有害物質が発生したりするという問題もある。これに対し、さまざまな添加剤をハロゲン系難燃剤と併用して、ハロゲン系難燃剤の添加量を少なくする試みがなされているが、十分な性能を発揮するものは未だ得られていない(特許文献3〜特許文献5)。さらに、酸化鉄等の金属酸化物の存在により、含臭素難燃剤を含む難燃性熱可塑性樹脂組成物の成形不良が生じるとの知見がある(特許文献6,7)。
ところで、地球環境において、オゾン層の破壊や化学物質による大気或いは水質への影響などが問題視されている。例えば、フロン類はオゾン層を破壊する原因物質とされている。また、塩化メチルや塩化エチルは、PRTR法における第1種指定物質として使用に際して届出が義務づけられ、排出量が管理されている。したがって、スチレン系樹脂押出発泡体の製造に用いられる発泡剤においても、地球環境に悪影響を与えないものが採用されることが望まれる。このような観点から、発泡剤として水を用いることが提案されているが、水はスチレン系樹脂と相溶性が殆ど無いので、多量に添加することができない。水の添加量が多くなれば、水が樹脂中に均一に分散されず、押出発泡が安定しない或いは押出発泡体にボイドが生じるという問題がある。
特開昭52−17574号公報 特開平1−174540号公報 特開昭60−86143号公報 特開昭62−199654号公報 特開平3−265641号公報 特開2001−11322号公報 特開2001−11323号公報
このような背景のもとにおいて、本発明は、少ない量のハロゲン系難燃剤の添加により所望の難燃性を有するスチレン系樹脂押出発泡体を得る手段を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、環境適合性に優れたスチレン系樹脂押出発泡体を得る手段を提供することにある。
本発明者らは、前述された課題を解決するために鋭意研究した結果、スチレン系樹脂に対して、ハロゲン系難燃剤と、鉄分を含有するゼオライトとを添加することにより、少量のハロゲン系難燃剤により優れた難燃効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1) 本発明は、スチレン系樹脂に、ハロゲン系難燃剤、非ハロゲン系発泡剤、及びゼオライトが添加され、該スチレン系樹脂が押出発泡されて得られるスチレン系樹脂押出発泡体であって、上記ゼオライトが、少なくとも鉄分を含有するものである。
(2) 上記ゼオライトとして、天然ゼオライト又は人工ゼオライトが考えられる。
(3) 上記ゼオライトの鉄元素含有率が、0.2〜20%であることが好ましい。
(4) 上記スチレン系樹脂100重量部に対して、上記ハロゲン系難燃剤が0.1〜20重量部、上記ゼオライトが0.01〜9重量部添加されることが好ましい。
(5) 本発明は、スチレン系樹脂に、ハロゲン系難燃剤、非ハロゲン系発泡剤、ゼオライト、及び酸化鉄が添加され、該スチレン系樹脂が押出発泡されて得られるスチレン系樹脂押出発泡体であって、上記酸化鉄が、上記ゼオライトの添加部数に対して1〜20%添加されてなるものである。
(6) 上記スチレン系樹脂押出発泡体に含有される亜鉛元素含有率が0.03重量%未満であることが好ましい。
(7) 上記ハロゲン系難燃剤として、ヘキサブロモシクロドデカン又はテトラブロモシクロオクタンのいずれか一方又は双方が考えられる。
(8) 上記非ハロゲン系発泡剤として、a)ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテルから選ばれる化合物と、b)水と、必要に応じて、c)炭素数が3〜5である1種以上の飽和炭化水素と、d)二酸化炭素と、を含有してなるものが考えられる。
(9) 炭素数が3〜5である1種以上の上記飽和炭化水素として、プロパン、n−ブタン、i−ブタンよりなる群から選ばれるものが考えられる。
(10) 上記発泡剤としての水が、上記酸化鉄を含むことが考えられる。
(11) 上記スチレン系樹脂押出発泡体の発泡体密度を20〜40kg/mとする場合に、本発明が有用である。
(12) 本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法は、スチレン系樹脂に対して、ハロゲン系難燃剤、非ハロゲン系発泡剤、及び少なくとも鉄分を含有するゼオライトを添加し、該スチレン系樹脂をダイを通じて高圧領域から低圧領域に押出発泡することにより、発泡体密度が20〜40kg/mであるスチレン系樹脂押出発泡体を得るものである。
(13) 本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法は、スチレン系樹脂に対して、ハロゲン系難燃剤、非ハロゲン系発泡剤、ゼオライト、及び該ゼオライトに対して1〜20%の酸化鉄を添加し、該スチレン系樹脂をダイを通じて高圧領域から低圧領域に押出発泡することにより、発泡体密度が20〜40kg/mであるスチレン系樹脂押出発泡体を得るものである。
このように、本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体及びその製造方法によれば、スチレン系樹脂に、ハロゲン系難燃剤、非ハロゲン系発泡剤、及び少なくとも鉄分を含有するゼオライトが添加され、該スチレン系樹脂が押出発泡されて得られるものなので、少量のハロゲン系難燃剤により優れた難燃効果を得ることができる。
また、本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体及びその製造方法によれば、スチレン系樹脂に、ハロゲン系難燃剤、非ハロゲン系発泡剤、ゼオライト、及び該ゼオライトの添加部数に対して1〜20%の酸化鉄が添加され、該スチレン系樹脂が押出発泡されて得られるものなので、少量のハロゲン系難燃剤により優れた難燃効果を得ることができる。
本発明で用いられるスチレン系樹脂は、特に限定されるものではなく、スチレン単量体のみから得られるスチレンホモポリマー、スチレン単量体とスチレンと共重合可能な単量体又はその誘導体とから得られるランダム共重合体、ブロック共重合体又はグラフト共重合体、臭素化ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレンなどの変性ポリスチレンなどが用いられる。これらは、単独で又は2種以上が混合されて使用される。
スチレンと共重合可能な単量体としては、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレンなどのスチレン誘導体、ジビニルベンゼンなどの多官能性ビニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリロニトリルなどの(メタ)アクリル系化合物、ブタジエンなどのジエン系化合物又はその誘導体、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸無水物などが挙げられる。これらは、単独で又は2種以上が混合されて使用される。
スチレン系樹脂の中では、加工性の面からスチレンホモポリマーが好ましい。
本発明で用いられるスチレン系樹脂は、リサイクルポリスチレン系樹脂とバージンポリスチレン系樹脂との混合物であってもよい。リサイクルポリスチレン系樹脂とバージンポリスチレン系樹脂との混合比は、リサイクルポリスチレン系樹脂を5〜100重量%、バージンポリスチレン系樹脂を95〜0重量%とすることが好ましく、より好ましくは、リサイクルポリスチレン系樹脂を40〜100重量%、バージンポリスチレン系樹脂を60〜0重量%とすることである。リサイクルポリスチレン系樹脂とバージンポリスチレン系樹脂との混合比が上記範囲を超えてリサイクルポリスチレン系樹脂が多くなると、樹脂原料の物性(相対粘度など)が低くなり、所望の成形性や物性(燃焼性、発泡体密度など)を有する押出発泡体が得られない傾向にある。一方、混合比が上記範囲を超えてバージンポリスチレン系樹脂が多くなると、樹脂原料や押出発泡体の物性は良好となるものの、リサイクルポリスチレン系樹脂の使用量が少なくなるので、ポリスチレン系樹脂のリサイクルに寄与することができない。
リサイクルポリスチレン系樹脂は、スチレン系樹脂の成形品として使用された後の一般廃棄物から得られる。成形品の一般廃棄物として、例えば、トレー、緩衝材、箱などが挙げられる。また、リサイクルポリスチレン系樹脂は、例えばスチレン系樹脂の押出発泡体を加工する際に発生した端材などの余材からも得られる。一般廃棄物から得られるリサイクルポリスチレン系樹脂は、既に使用されているために樹脂に劣化が生じたり、回収・分別の際に他種の樹脂成形品が混入したりするおそれがあり、通常、原料としての物性が低いが、供給量が多く安価である。押出発泡体の余材から得られるリサイクルポリスチレン系樹脂は、加工に供されているものの未使用であり、他種の樹脂成形品が混入するおそれも低いので、通常、原料としての物性が高く安定しているが、供給量が少なく高価である。また、一般廃棄物から得られたリサイクルポリスチレン系樹脂においては、使用済みの廃棄物を分別して粗粉砕した後、加熱等により減容してペレット化したものと、分別された廃棄物を溶剤で溶解してゲル状にしてから回収・再生し、ペレット化したものとがある。通常、前者は低品質であるが、供給量が多く安価であり、後者は、高品質であるが、供給量が少なく高価である。一方、バージンポリスチレン系樹脂は、成形品の原料として初めて使用されるものである。
本発明で用いられるハロゲン系難燃剤は、ハロゲン原子を有する化合物であればよい。このようなハロゲン系難燃剤として、例えば、臭素系難燃剤として、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモシクロオクタン、ジブロモネオペンチルグリコール、トリブロモネオペンチルアルコール、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、テトラブロモエタンなどの脂肪族あるいは脂環式炭化水素の臭素化物、ヘキサブロモベンゼン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、デカブロモジフェニルエタン、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、2,3−ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエーテルなどの芳香族化合物の臭素化物、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA(2−ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAビス(アリルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとトリブロモフェノールとの付加物などの臭素化ビスフェノール類及びその誘導体、テトラブロモビスフェノールAポリカーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとブロモ化ビスフェノールとの付加物のエポキシオリゴマーなどの臭素化ビスフェノール類誘導体オリゴマー、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ビス(2,4,6ートリブロモフェノキシ)エタンなどの臭素系芳香族化合物、臭素化アクリル系樹脂、エチレンビスジブロモノルボルナンジカルボキシイミドなどが挙げられる。
このようなハロゲン系難燃剤の中でも、ハロゲン系難燃剤のみの昇温速度10℃/分における窒素下5%重量減少温度(℃)が、240〜290℃を満たすハロゲン系難燃剤であることが好ましく、より好ましくは、5%重量減少温度が250〜280℃である。なお、5%重量減少温度は、例えば株式会社島津製作所製TGA−50やDTG−50などの一般的な熱重量測定装置を用いて、熱重量法などにより測定できる。より具体的には、株式会社島津製作所製DTG−50を用い、窒素気流50mL/分、昇温速度10℃/分、試料約3.5mg、対照Alとして、窒素下の5%重量減少温度を測定すればよい。このようなハロゲン系難燃剤の中でも、ヘキサブロモシクロドデカン、及びテトラブロモシクロオクタンがより好ましい。
塩素系難燃剤として、塩素化パラフィン、塩素化ナフタレン、パークロロペンタデカンなどの塩素化脂肪族化合物、塩素化芳香族化合物、塩素化脂環式化合物などが挙げられる。なかでも、難燃性の点から臭素系難燃剤が好ましく、特にスチレン系樹脂との相溶性などの点からヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモシクロオクタンが好ましい。これらは、いずれか単独で又は双方が混合されて使用される。
ハロゲン系難燃剤の添加量は、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、より好ましくは、0.5〜6.0重量部である。ハロゲン系難燃剤の含有量が上記範囲であれば、難燃性が良好となり、また、押出発泡体のガラス転移温度の低下が抑制されて耐熱性が維持される。
本発明においては、ハロゲン系難燃剤に、さらにリン酸エステル系化合物や窒素含有化合物などの難燃剤を共存させてもよい。リン酸エステル系化合物の具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェートなどのトリアルキルホスフェート(アルキル基としてはの炭素数1〜12のものが好ましい)、トリブトキシエチルホスフェートなどのトリアルコキシアルキルホスフェート(アルコキシアルキル基としては炭素数2〜12のものが好ましい)、ジアルキルホスフェート(アルキル基としては炭素数1〜12のものが好ましい)、モノイソデシルホスフェートなどのモノアルキルホスフェート(アルキル基としては炭素数1〜12のものが好ましい)、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートなどの脂肪族系リン酸エステル類、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシリルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシリルジフェニルホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェートなどのトリアリールホスフェート(アルール基はアルキル基、フェニル基などで置換されていてもよい)、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジフェニル(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、ジフェニル(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスフェートなどのジアリールアルキルホスフェート(アリール基、アルキル基は置換されていてもよい)などの芳香族系リン酸エステル類などが挙げられる。リン酸エステル系化合物の含有量は、ハロゲン系難燃剤及び/又は窒素含有化合物との難燃相乗効果を得る点で、スチレン系樹脂100重量部に対し0.1〜5.0重量部が好ましい。
窒素含有化合物の具体例としては、シアヌル酸、メチルシアヌレートなどのモノアルキルシアヌレート、ジエチルシアヌレートなどのジアルキルシアヌレート、トリメチルシアヌレート、トリエチルシアヌレートなどのトリアルキルシアヌレート、フェニルシアヌレート、ジフェニルシアヌレート、トリフェニルシアヌレート、ジメチルフェニルシアヌレートなどのジアルキルフェニルシアヌレート、イソシアヌル酸、メチルイソシアヌレートなどのモノアルキルイソシアヌレート、ジエチルイソシアヌレートなどのジアルキルイソシアヌレート、トリメチルイソシアヌレート、トリエチルイソシアヌレートなどのトリアルキルイソシアヌレート、フェニルイソシアヌレート、ジフェニルイソシアヌレート、トリフェニルイソシアヌレート、ジメチルフェニルイソシアヌレートなどのジアルキルフェニルイソシアヌレート、モノ(2−アミノエチル)イソシアヌレートなどのモノ(アミノアルキル)イソシアヌレート、ジ(2−アミノエチル)イソシアヌレートなどのジ(アミノアルキル)イソシアヌレート、トリ(2−アミノエチル)イソシアヌレートなどのトリ(アミノアルキル)イソシアヌレート、トリ(ヒドロキシメチル)イソシアヌレート、トリ(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリ(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートなどのトリ(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレート、ジ(ヒドロキシメチル)イソシアヌレートなどのジ(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートなどのビス(カルボキシアルキル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートなどの1,3,5−トリス(カルボキシアルキル)イソシアヌレート、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートなどが挙げられる。窒素含有化合物の含有量は、ハロゲン系難燃剤及び/又はリン酸エステル系化合物との難燃相乗効果を得る点で、スチレン系樹脂100重量部に対し0.1〜5.0重量部が好ましい。
本発明で用いられる非ハロゲン系発泡剤は特に制限されないが、具体的には、a)ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテルから選ばれる化合物と、b)水と、必要に応じて、c)炭素数が3〜5である1種以上の飽和炭化水素と、d)二酸化炭素と、を含有するものが考えられる。
本発明において発泡剤として用いられるジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエーテルよりなる群から選ばれる化合物は、これらの単独又は2種以上の混合物を任意に使用することが可能であるが、環境面からジメチルエーテルが単独で用いられることが好ましい。
ジメチルエーテルの添加量は、スチレン系樹脂100重量部に対して1〜5重量部とするのが好ましく、より好ましくは2〜4重量部である。ジメチルエーテルの添加量が上記範囲とすることにより、押出発泡における発泡剤によるスチレン系樹脂への可塑化作用が効果的に発揮されて、安定的に押出発泡体を成形することができる。また、過剰なジメチルエーテルによる徐放が抑制される。
本発明において発泡剤として用いられる水は、スチレン系樹脂100重量部に対して0.5〜5重量部とすることが好ましく、より好ましくは、1〜3重量部である。水の添加量を上記範囲とすることにより、相対的に他の発泡剤の使用量を減らすことができ、可燃ガスの量を減らしたり、環境性に優れた押出発泡体とすることができる。また、スチレン系樹脂との相溶性を維持して、押出発泡の際に水又は蒸気が噴出することなく良好な成形性を維持し、また、ボイドなどの成形不良が生じることがない。
発泡剤には、必要に応じて、炭素数が3〜5である1種以上の飽和炭化水素と、二酸化炭素とが混同されてもよい。炭素数が3〜5である1種以上の上記飽和炭化水素として、プロパン、n(ノルマル)−ブタン、i(イソ)−ブタンが挙げられる。発泡性と押出発泡体の断熱性能の点から、特に、n−ブタン、i−ブタン、n−ブタンとi−ブタンとの混合物が好ましい。また、飽和炭化水素に代えて、二酸化炭素が発泡剤に加えられることにより、可燃ガスが減量され、環境性に優れた押出発泡体とすることができるので好ましい。もちろん、飽和炭化水素と二酸化炭素との双方が発泡剤として混合されてもよい。
発泡剤の使用量としては、発泡倍率の設定値などに応じて適宜変更されるものではあるが、発泡体密度20〜40kg/m3の軽量発泡体を得ようとした場合、発泡剤の合計量をスチレン系樹脂100重量部に対して5〜15重量部とすることが好ましく、より好ましくは6〜12重量部である。発泡剤の添加量が5重量部未満であれば発泡倍率が低く、押出発泡体としての軽量、断熱などの特性が発揮されにくい場合がある。一方、発泡剤の添加量が15重量部を超えると、過剰な発泡剤量のため押出発泡体中にボイドなどの成形不良が生じる傾向にある。
また、本発明において、上記各発泡剤以外に、次に挙げられる発泡剤が使用されてもよい。そのような発泡剤として、例えば、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルi−ブチルケトン、メチルn−アミルケトン、メチルn−ヘキシルケトン、エチルn−プロピルケトン、エチルn−ブチルケトンなどのケトン類、蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステルなどのカルボン酸エステル類、窒素などの無機発泡剤、アゾ化合物などの化学発泡剤などが挙げられる。これらの発泡剤は、押出発泡体の製造や外観、物性を損なわない程度に適宜添加される。
本発明に用いられるゼオライトは、少なくとも鉄分を含有するものであり、具体的には、天然ゼオライト、人工ゼオライトなどが挙げられる。ゼオライトとは、独特な3次元的骨格構造を持ち、オングストローム単位の細孔を多数有する結晶性アルミノ珪酸塩の総称である。ゼオライトは、一般に、(a)分子相互の極性の差を利用した吸着分離が可能である、(b)大きさ、形がわずかに異なる分子の分離が可能、(c)イオン交換によって細孔の径の微調整が可能である、(d)陽イオン交換容量が大きくFeイオンへの交換も可能である、(e)細孔の容積が大きいので吸着量が大きいという特徴を有する。
天然ゼオライトは、主にモルデナイト沸石及び/又はクリノプチロライト沸石からなる鉱物として採掘されたものである。人工ゼオライトは、石炭灰のフライアッシュを原料とし、工業的に利用可能な粉体に乾燥、粉砕、粒度処理がされたものである。天然ゼオライト及び人工ゼオライトともに、陽イオン交換容量が大きく、交換される陽イオンは、Naイオン、Kイオン、Caイオンが一般的であるが、Feイオンへの交換も可能である。天然ゼオライト及び人工ゼオライトともに一般に市販されている。
ゼオライトの平均粒子径は特に限定されないが、15μm以下の微細なものが好ましく、より好ましくは13μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。この範囲内のゼオライトが用いられることにより、スチレン系樹脂への分散が良好になり、異物発生の無い押出発泡体が得られる傾向にある。また、発泡剤としての水のスチレン系樹脂への分散が良好になり、ボイドやセル(気泡)むらの発生が減少する傾向にある。
天然ゼオライト、人工ゼオライトに例示される鉄を含有するゼオライトにおいて、鉄元素含有率は0.2〜20%が好ましく、より好ましくは0.5〜11%、さらに好ましくは0.5〜6%である。ゼオライトに含まれる鉄分は、イオン交換によりFeイオンを含有させたものであってもよい。ゼオライトの鉄元素含有率を上記範囲とすることにより、押出発泡体に対する難燃効果が効果的に発揮される。また、ハロゲン系難燃剤が押出系内(加熱、溶融、混練)で分解することが抑制されて、難燃効果が効果的に発揮される。さらには、押出系内におけるスチレン系樹脂の劣化が防止され、押出発泡体の燃焼性が良好になる。
本発明において、鉄分を含まない合成ゼオライトと酸化鉄とを併用することとしてもよい。本発明に用いられる酸化鉄は、鉄と酸素を含む無機化合物であり、例えば、FeO(酸化第一鉄)、Fe(酸化第二鉄)、Fe(四三酸化鉄)、FeOOH(オキシ水酸化第二鉄)、Fe(OH)(水酸化第一鉄)、Fe(OH)(水酸化第二鉄)、鉄錆(赤錆、黄錆、黒錆など)、FeSO(硫酸第一鉄)、Fe(SO(酸化第二鉄)、Fe(NO(硝酸第一鉄)、Fe(NO(硝酸第二鉄)、Fe(PO(リン酸第一鉄)、FePO(リン酸第二鉄)、FeTiO(チタン酸鉄)、FeMoO(モリブデン酸鉄)、FeWO(タングステン酸鉄)などが挙げられる。これら酸化鉄の中には、結晶構造としてα型、β型、γ型、非結晶型など種々の型をとるものがあるが、これらの型は特に限定されない。また、これら酸化鉄は水和物であってもよい。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用される。
酸化鉄の添加量は、スチレン系樹脂へのゼオライトの添加部数に対して1〜20%であることが好ましく、より好ましくは3〜15%である。酸化鉄の添加量を上記範囲とすることにより、押出発泡体に対する難燃効果が効果的に発揮される。また、ハロゲン系難燃剤が押出系内で分解されることが防止されて、難燃効果が効果的に発揮される。さらには、押出系内におけるスチレン系樹脂の劣化が防止され、押出発泡体の燃焼性が良好となる。
本発明に用いられるゼオライトは、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.01〜9重量部添加されることが好ましく、より好ましくは0.03〜2重量部である。ゼオライトの添加量を上記範囲とすることにより、発泡剤として水を用いた場合にスチレン系樹脂への分散性が良くなり、ボイドや、押出発泡の際に水又は蒸気が噴出するなどの成形不良が生じない。また、ゼオライトに付随する含有鉄又は酸化鉄の量が抑制され、ハロゲン系難燃剤の分解を付勢で難燃効果が維持される。また、押出系内におけるスチレン系樹脂の劣化が防止され、押出発泡体の燃焼性が良好となる。さらには、ゼオライトによる押出発泡成形用の金型のコーティングの摩耗が抑えられ、該金型のメンテナンス期間を延ばして、製造のロングラン性が向上される。
本発明において、さらに、スチレン系樹脂組成物に難燃助剤が添加されることが好ましく、難燃助剤として、結晶水解離温度(結晶水を解離する温度)が200℃以下の金属塩水和物又は金属塩が挙げられるが、亜鉛化合物以外のものとすることが好ましい。亜鉛化合物は、ゼオライトに含有される鉄や酸化鉄に比べて、ハロゲン系難燃剤を熱分解させる作用が高いので、ハロゲン系難燃剤の熱分解が開始される温度が顕著に低くなると想定され、押出系内でハロゲン系難燃剤の熱分解が促進される結果、有効な難燃材量が減少して難燃効果が低下すると考えられる。また、押出系内においてスチレン系樹脂の劣化も生ずると想定され、スチレン系樹脂が燃えやすくなる結果、燃焼性が悪化すると考えられる。
亜鉛化合物としては、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、パルチミン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、炭酸亜鉛などが挙げられる。したがって、難燃助剤としては、亜鉛化合物以外の物質が好ましく、例えば、硫酸マグネシウム水和物、硫酸ナトリウム水和物、硫酸カルシウム水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸鉄水和物、リン酸ナトリウム水和物、リン酸マグネシウム水和物、炭酸ナトリウム水和物、炭酸マグネシウム水和物、ホウ酸、メタホウ酸ナトリウム水和物が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上が混合されて使用される。
上記金属塩水和物は、結晶水解離温度が200℃以下であるものが好ましく、より好ましくは、100〜200℃で結晶水を大量に解離するものである。
押出安定性、安全性、有害性などの観点から、上記金属塩水和物のうち硫酸マグネシウム水和物が特に好ましい。押出安定性については、金属塩水和物からの室温〜60℃程度における水の解離が多いと、押出系内が不安定になる傾向が見られるが、硫酸マグネシウム水和物は、室温〜60℃程度での水の解離が非常に少ないので、押出系が安定しやすい傾向にある。また、硫酸マグネシウム水和物は安全性が高く、有害性も殆ど無いので、取扱が容易という利点がある。
上記金属塩水和物は、200℃以下の温度において水を放出する際に、多くの熱を吸収することから、スチレン系樹脂押出発泡体に一定量以上存在させることにより、可燃性の発泡剤が燃焼を開始した場合に、その燃焼熱が吸収される。これにより、発泡剤の燃焼が持続しなくなるので、スチレン系樹脂押出発泡体に難燃性が付与されると考えられる。一方、金属塩水和物の結晶水解離温度が200℃を超える場合には、発泡剤が燃焼した際に燃焼熱を吸収するタイミングが遅くなるので、難燃性が発揮し難くなる。
上記金属塩水和物は、スチレン系樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部とすることが好ましい。金属塩水和物を上記範囲とすることにより、押出発泡体中に含有される水分量が保持されて、発泡剤の燃焼熱に対して十分な吸熱量が得られ、難燃効果が発揮される。また、押出発泡における成形性が良好に維持され、生産性、独立気泡率、発泡密度が良好になる。
上記金属塩水和物の水和物量(水和物中の水の総分子量)は特に限定されず、無水物であってもよい。しかしながら、金属塩の無水物を使用する場合には、発泡剤として水を使用するか、発泡後の押出発泡体を蒸気養生するなど、難燃効果を付与するに必要な水分を押出発泡体に保持させる必要がある。押出発泡体に存在させる水分量は、スチレン系樹脂押出発泡体100重量%に対して0.05〜1.5重量%とすることが好ましい。
本発明においては、必要に応じて安定剤が用いられてもよい。本発明に使用される安定剤としては、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定剤などが挙げられる。
本発明においては、必要に応じて本発明の効果を阻害しない範囲内で、シリカ、タルク、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、炭酸カルシウムなどの無機化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの加工助剤、帯電防止剤、着色剤、エポキシ化合物、スメクタイト、膨潤性フッ素雲母などの吸水性又は水膨潤性の層状ケイ酸塩類又はこれらの有機化処理品、吸水性高分子、無水シリカ、ゼオライトなどの吸水性物質などの添加物が用いられてもよい。上記安定剤や添加剤も、亜鉛化合物以外のものとすることが好ましい。
本発明において、押出発泡体に含有される亜鉛元素含有率の含有量は0.025%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.020%以下、さらに好ましくは0.010%以下である。亜鉛元素含有率の含有量を上記範囲とすることにより、ハロゲン系難燃剤の熱分解が防止されて難燃効果が効果的に発揮される。また、押出系内におけるスチレン系樹脂の劣化が防止され、押出発泡体の燃焼性が良好となる。亜鉛元素含有率は、難燃助剤やその他の添加剤に限定されず、ゼオライトやスチレン系樹脂にも若干含有されるが、これらを含めて、押出発泡体に含有される亜鉛元素含有率の含有量が上記範囲を満たせばよい。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法は、スチレン系樹脂を押出機などの加熱溶融手段に供給するとともに、ハロゲン系難燃剤、ゼオライト、及び非ハロゲン系発泡剤を該加熱溶融手段に供給して高温高圧下で加熱溶融することによりスチレン系樹脂組成物とし、冷却機等により押出発泡に適した樹脂温度までスチレン系樹脂組成物を冷却し、高圧領域からスリットダイなどのダイを通して低圧領域に押出発泡して押出発泡体を得るものである。
スチレン系樹脂にハロゲン系難燃剤、ゼオライト、及び非ハロゲン系発泡剤などの添加剤を添加する手順として、例えば、スチレン系樹脂に対してハロゲン系難燃剤及びゼオライトを添加して混合した後、押出機に供給して加熱溶融し、さらに非ハロゲン系発泡剤を添加して混合する手順が挙げられる。また、スチレン系樹脂に合成ゼオライト及び酸化鉄を添加する場合には、酸化鉄を発泡剤としての水に含有させてもよい。なお、ハロゲン系難燃剤、ゼオライト、非ハロゲン系発泡剤、及び酸化鉄を添加するタイミングは前述された例に限定されず、また、スチレン系樹脂を加熱溶融する際の加熱温度や混練時間も特に限定されない。
スチレン系樹脂の加熱温度は、使用されるスチレン系樹脂が溶融する温度以上であればよいが、難燃剤などの影響による樹脂の分子劣化ができる限り抑制される温度、例えば150〜220℃程度が好ましい。また加熱溶融手段及び混練手段としては、例えばスクリュー型の押出機などが挙げられるが、通常の押出発泡に用いられているものであれば特に制限されない。ただし、樹脂の分子劣化をできる限り抑えるためには、押出機のスクリュー形状を低剪断タイプのものとすることが好ましい。
発泡成形方法は、例えば、押出成形用に使用される開口部が直線のスリット形状を有するスリットダイを通じて、高圧領域から低圧領域へ圧力開放して得られた押出発泡体を、スリットダイと密着または接して設置された成形金型、及び該成形金型の下流側に隣接して設置された成形ロールなどを用いて、断面積の大きい板状発泡体を成形する方法が用いられる。成形金型の流動面形状調整及び金型温度調整によって、所望の発泡体の断面形状、発泡体表面性、発泡体品質が得られる。
本発明による得られるスチレン系樹脂押出発泡体の厚さは特に制限されず、用途に応じて適宜選択される。例えば、建材などの用途に使用される断熱材の場合、好ましい断熱性、曲げ強度及び圧縮強度を付与せしめるためには、シートのような薄いものよりも板のように厚さのあるものが好ましく、通常、その厚みは20〜150mmであり、好ましくは20〜120mmである。
本発明による得られるスチレン系樹脂押出発泡体の発泡体密度は、軽量でかつ優れた断熱性及び曲げ強度、圧縮強度を付与せしめるために、20〜40kg/mであることが好ましく、25〜35kg/mであるのがさらに好ましい。発泡体密度を上記範囲とすることにより、圧縮強度などの機械的特性が良好となり、また、断熱性が維持され、押出発泡体が軽量となる。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明が以下の実施例に限定されないことは勿論である。また、以下の実施例においては、特に断られない限り、「%」は「重量%」を表す。
以下に示す実施例1から実施例11、並びに比較例1から比較例5で得られたスチレン系樹脂押出発泡体の特性として、発泡体密度、燃焼性(燃焼時間、燃焼距離)、酸素指数を下記の方法に従って調べた。
(1)発泡体密度(kg/m
発泡体密度は、次の式に基づいて求め、単位をkg/mに換算して示した。
発泡体密度(g/cm)=発泡体重量(g)/発泡体体積(cm
本測定では、発泡体(厚さ:20〜40mm、幅:約150mm)の幅方向中心部の位置において、製品厚み×幅100mm×長さ300mmのサンプルサイズでサンプリングを行い、各サンプルについて測定した発泡体密度を3点の平均値として算出した。
(2)燃焼性
製造後4日間経過した押出発泡体について日本工業規格(JIS A 9511)に準じて測定した。測定サンプルとして、厚さ25mm×長さ200mm×幅10mmの試験片(n=5)を用い、以下の基準により判定した。
(燃焼時間)
◎ :5本すべての試験片の消炎時間が3秒以内である。
○ :5本の試験片のうち少なくとも1本の試験片の消炎時間が3秒を超えるが、残りの3本以上の試験片の消炎時間が3秒以内である。
△ :5本の試験片のうち少なくとも3本の試験片の消炎時間が3秒を超えるが、残りの1本以上の試験片の消炎時間が3秒以内である。
× :5本すべての試験片の消炎時間が3秒を超える。
(燃焼距離)
◎ :5本すべての試験片において、燃焼限界線以内で燃焼が停止する。
○ :5本の試験片のうち少なくとも1本の試験片は燃焼限界線を超えて燃焼するが、残りの3本以上の試験片は燃焼限界支持線以内で燃焼が停止する。
△ :5本の試験片のうち少なくとも3本の試験片は燃焼限界線を超えて燃焼するが、残りの1本以上の試験片は燃焼限界支持線以内で燃焼が停止する。
× :5本すべての試験片において、燃焼限界線を超えて燃焼する。
(3)酸素指数
製造後1日間経過した押出発泡体について、日本工業規格(JIS K7201:1999)に準じて、寸法10mm×10mm×150mmの測定サンプルをカットした後、23℃、相対湿度50%で4日間状態調節し、日本工業規格(JIS K7201−2)に記載されている手順Aに従って酸素指数を測定した。ただし、手順Aのうち上端点火の接炎時間のみを3秒間を1回の接炎とした。
(4)鉄元素含有量、亜鉛元素含有量の定量
被定量物の粉体試料約0.05gをPTFE分解容器に精秤し、硫酸1.5mLを加えてマイクロウェーブ分解装置(マイルストーンゼネラル株式会社、MLS−1200MEGA)を用いて予備分解を行った。試料を冷却した後、硝酸3mLを加えてさらに分解した。この分解液を50mL定容し、誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS法)装置(横河アナリティカルシステム株式会社、HP−4500)を用いて鉄元素又は亜鉛元素を定量分析した。なお、定量分析はクールプラズマ条件下で行い、Coを内部標準物資に用いて絶対検量線法で測定した。
(実施例1)
スチレン系樹脂として、バージンポリスチレン系樹脂(PSジャパン株式会社、G9401)100重量部に対して、難燃剤として、ヘキサブロモシクロドデカン(以下、HBCDと略称される。)(アルベマール浅野株式会社、HP900G)2.5重量部、鉄元素含有率1.5%の天然ゼオライト(日東粉化工業株式会社、SP#2300飯坂品)0.5重量部、滑剤としてステアリン酸カルシウム(堺化学工業株式会社、SC−100)0.25重量部、造核剤として、タルク(林化成株式会社、タルカンPK)0.1重量部をドライブレンドしてスチレン系樹脂組成物とし、このスチレン系樹脂組成物をタンデム型押出機へ供給した。
第1押出機に供給したスチレン系樹脂組成物を、約200℃に加熱して溶融混練し、発泡剤として、スチレン系樹脂100重量部に対して、i−ブタン(三井化学株式会社、高純度イソブタン)1重量部、n−ブタン(イワタニガス株式会社、ノルマルブタン)2.3重量部、ジメチルエーテル(住友精化株式会社、ジメチルエーテル)3重量部、水1重量部を第1押出機の先端付近でスチレン系樹脂組成物中に圧入した。その後、第1押出機に直列状に順次連結された第2押出機及び冷却機にスチレン系樹脂組成物を混練しながら移行させて冷却することにより樹脂温度(実温度)を約110〜140℃とし、冷却機の先端に設けたスリットダイより大気中へ押出発泡させた後、スリットダイに密着させて設置した成形金型とその下流側に設置した成形ロールにより、断面形状が厚さ40mm×幅150mmの板状の押出発泡体を得た。
表1に示されるように、押出発泡体の発泡体密度が28kg/mであり、所望の軽量な押出発泡体が得られた。燃焼性は、燃焼時間が「○」、燃焼距離が「○」であり、良好な結果が得られた。酸素指数は29%であり、非燃焼性が確認された。
(実施例2)
天然ゼオライトを、スチレン系樹脂100重量部に対して0.03重量部添加すること以外は、上記実施例1と同様にして、スチレン系樹脂の押出発泡体を得た。
表1に示されるように、押出発泡体の発泡体密度が27kg/mであり、所望の軽量な押出発泡体が得られた。燃焼性は、燃焼時間が「◎」、燃焼距離が「◎」であり、非常に良好な結果が得られた。酸素指数は30%であり、非燃焼性が確認された。このことから、スチレン系樹脂100重量部、HBCD2.5重量部に対して、天然ゼオライトが0.03重量部添加されれば、十分な難燃効果が得られることがわかる。
(実施例3)
天然ゼオライトに代えて鉄元素含有率4.9%の人工ゼオライト(オーミケンシ株式会社、fゼオライトCa)を、スチレン系樹脂100重量部に対して1重量部添加すること以外は、上記実施例1と同様にして、スチレン系樹脂の押出発泡体を得た。
表1に示されるように、押出発泡体の発泡体密度が29kg/mであり、所望の軽量な押出発泡体が得られた。燃焼性は、燃焼時間が「○」、燃焼距離が「○」であり、良好な結果が得られた。酸素指数は28%であり、非燃焼性が確認された。このことから、人工ゼオライトにより、天然ゼオライトと同様の難燃効果が得られることがわかる。
(実施例4)
天然ゼオライトに代えて鉄元素含有率6.7%の人工ゼオライト(前田建設工業株式会社、fゼオライトFe−typeA)を、スチレン系樹脂100重量部に対して0.2重量部添加すること以外は、上記実施例1と同様にして、スチレン系樹脂の押出発泡体を得た。
表1に示されるように、押出発泡体の発泡体密度が28kg/mであり、所望の軽量な押出発泡体が得られた。燃焼性は、燃焼時間が「◎」、燃焼距離が「◎」であり、非常に良好な結果が得られた。酸素指数は28%であり、非燃焼性が確認された。このことから、人工ゼオライトの鉄元素含有率が増加することにより、燃焼性が向上されることがわかる。
(実施例5)
天然ゼオライトに代えて鉄元素含有率0%の合成ゼオライト(日本化学工業株式会社、ゼオスターNA−100P)を、スチレン系樹脂100重量部に対して0.2重量部添加し、さらに酸化鉄(和光純薬工業株式会社、Fe)を0.02重量部添加すること以外は、上記実施例1と同様にして、スチレン系樹脂の押出発泡体を得た。
表1に示されるように、押出発泡体の発泡体密度が27kg/mであり、所望の軽量な押出発泡体が得られた。燃焼性は、燃焼時間が「○」、燃焼距離が「○」であり、良好な結果が得られた。酸素指数は29%であり、非燃焼性が確認された。このことから、鉄分を含まない合成ゼオライトと酸化鉄とが添加されることにより、天然ゼオライトと同様の難燃効果が得られることがわかる。
(実施例6)
スチレン系樹脂100重量部に対して、HBCDを1.5重量部、天然ゼオライトを0.2重量部添加し、発泡剤として、i−ブタンを0.5重量部、n−ブタンを1.2重量部、ジメチルエーテルを3重量部、水を1重量部、二酸化炭素(大平産業株式会社)を2重量部添加すること以外は、上記実施例1と同様にして、スチレン系樹脂の押出発泡体を得た。
表1に示されるように、押出発泡体の発泡体密度が25kg/mであり、所望の軽量な押出発泡体が得られた。燃焼性は、燃焼時間が「◎」、燃焼距離が「◎」であり、非常に良好な結果が得られた。酸素指数は30%であり、非燃焼性が確認された。このことから、天然ゼオライトの存在により、HBCDを1.5重量部まで減量しても良好な難燃効果が得られることがわかる。
(実施例7)
スチレン系樹脂100重量部に対して、HBCDを1.5重量部、天然ゼオライトを0.2重量部添加し、発泡剤として、i−ブタンを0.5重量部、n−ブタンを1.2重量部、ジメチルエーテルを3重量部、水を1重量部、二酸化炭素を3重量部添加すること以外は、上記実施例1と同様にして、スチレン系樹脂の押出発泡体を得た。
表1に示されるように、押出発泡体の発泡体密度が28kg/mであり、所望の軽量な押出発泡体が得られた。燃焼性は、燃焼時間が「◎」、燃焼距離が「◎」であり、非常に良好な結果が得られた。酸素指数は30%であり、非燃焼性が確認された。このことから、発泡剤中の二酸化炭素の含有比率に拘わらず、天然ゼオライトの存在により、HBCDを1.5重量部まで減量しても良好な難燃効果が得られることがわかる。
(実施例8)
スチレン系樹脂として、バージンポリスチレン系樹脂20重量部に対して、リサイクルポリスチレン系樹脂((有)ムトー化成、SOP)80重量部をドライブレンドした。このスチレン系樹脂100重量部に対して、HBCDを4.5重量部、天然ゼオライトを0.2重量部添加すること以外は、上記実施例1と同様にして、スチレン系樹脂の押出発泡体を得た。
表1に示されるように、押出発泡体の発泡体密度が26kg/mであり、所望の軽量な押出発泡体が得られた。燃焼性は、燃焼時間が「○」、燃焼距離が「○」であり、良好な結果が得られた。酸素指数は29%であり、非燃焼性が確認された。スチレン系樹脂としてリサイクルポリスチレン系樹脂を混合しても、実施例1と同様の良好な難燃性が確認された。一方、HBCDを4.5重量部に増量してもさらなる難燃効果が見られないことから、天然ゼオライトの存在により、少量のHBCDにより十分な難燃効果が得られることがわかる。
(実施例9)
スチレン系樹脂として、バージンポリスチレン系樹脂20重量部に対して、リサイクルポリスチレン系樹脂80重量部をドライブレンドした。このスチレン系樹脂100重量部に対して、HBCDを4.5重量部、天然ゼオライトを2重量部添加すること以外は、上記実施例1と同様にして、スチレン系樹脂の押出発泡体を得た。
表1に示されるように、押出発泡体の発泡体密度が27kg/mであり、所望の軽量な押出発泡体が得られた。燃焼性は、燃焼時間が「◎」、燃焼距離が「○」であり、良好な結果が得られた。酸素指数は28%であり、非燃焼性が確認された。スチレン系樹脂としてリサイクルポリスチレン系樹脂を混合しても、実施例1と同様の良好な難燃性が確認された。また、HBCD4.5重量部に対して、天然ゼオライトを2重量部に増量しても実施例8と同様の難燃効果が見られることから、天然ゼオライトを2重量部まで増量しても十分な難燃効果が得られることがわかる。
(実施例10)
スチレン系樹脂として、バージンポリスチレン系樹脂20重量部に対して、リサイクルポリスチレン系樹脂80重量部をドライブレンドした。このスチレン系樹脂100重量部に対して、天然ゼオライトを0.2重量部添加し、発泡剤として、i−ブタンを0.5重量部、n−ブタンを1.2重量部、ジメチルエーテルを3重量部、水を1重量部、二酸化炭素を2重量部添加すること以外は、上記実施例1と同様にして、スチレン系樹脂の押出発泡体を得た。
表1に示されるように、押出発泡体の発泡体密度が25kg/mであり、所望の軽量な押出発泡体が得られた。燃焼性は、燃焼時間が「◎」、燃焼距離が「◎」であり、非常に良好な結果が得られた。酸素指数は28%であり、非燃焼性が確認された。スチレン系樹脂としてリサイクルポリスチレン系樹脂を混合しても、実施例1と同様の良好な難燃性が確認された。また、発泡剤の組成に拘わらず、天然ゼオライトの存在により、少量のHBCDにより良好な難燃効果が得られることがわかる。
(実施例11)
スチレン系樹脂として、バージンポリスチレン系樹脂20重量部に対して、リサイクルポリスチレン系樹脂80重量部をドライブレンドした。このスチレン系樹脂100重量部に対して、天然ゼオライトを0.03重量部添加し、発泡剤として、i−ブタンを2重量部、n−ブタンを0重量部、ジメチルエーテルを3重量部、水を1重量部、二酸化炭素を3重量部添加すること以外は、上記実施例1と同様にして、スチレン系樹脂の押出発泡体を得た。
表1に示されるように、押出発泡体の発泡体密度が27kg/mであり、所望の軽量な押出発泡体が得られた。燃焼性は、燃焼時間が「◎」、燃焼距離が「○」であり、良好な結果が得られた。酸素指数は27%であり、非燃焼性が確認された。スチレン系樹脂としてリサイクルポリスチレン系樹脂を混合しても、実施例1と同様の良好な難燃性が確認された。また、発泡剤の組成に拘わらず、スチレン系樹脂100重量部、HBCD2.5重量部に対して、天然ゼオライトが0.03重量部添加されることにより、良好な難燃効果が得られることがわかる。
(実施例12)
スチレン系樹脂100重量部に対して、HBCDを1.0重量部、天然ゼオライトを0.2重量部添加し、発泡剤として、ジメチルエーテルを3重量部、水を1重量部、二酸化炭素を3重量部添加すること以外は、上記実施例1と同様にして、スチレン系樹脂の押出発泡体を得た。
表1に示されるように、押出発泡体の発泡体密度が29kg/mであり、所望の軽量な押出発泡体が得られた。燃焼性は、燃焼時間が「◎」、燃焼距離が「◎」であり、非常に良好な結果が得られた。酸素指数は30%であり、非燃焼性が確認された。このことから、天然ゼオライトの存在により、HBCDを1.0重量部まで減量しても良好な難燃効果が得られることがわかる。
(実施例13)
スチレン系樹脂として、バージンポリスチレン系樹脂20重量部に対して、リサイクルポリスチレン系樹脂80重量部をドライブレンドした。このスチレン系樹脂100重量部に対して、発泡剤として、ジメチルエーテルを3重量部、水を1重量部、二酸化炭素を3重量部添加すること以外は、上記実施例1と同様にして、スチレン系樹脂の押出発泡体を得た。
表1に示されるように、押出発泡体の発泡体密度が29kg/mであり、所望の軽量な押出発泡体が得られた。燃焼性は、燃焼時間が「◎」、燃焼距離が「◎」であり、非常に良好な結果が得られた。酸素指数は28%であり、非燃焼性が確認された。スチレン系樹脂としてリサイクルポリスチレン系樹脂を混合しても、実施例1と同様の良好な難燃性が確認された。また、発泡剤の組成に拘わらず、スチレン系樹脂100重量部、HBCD1.5重量部に対して、天然ゼオライトが0.2重量部添加されることにより、良好な難燃効果が得られることがわかる。
(比較例1)
天然ゼオライトに代えて、スチレン系樹脂100重量部に対して、鉄分を含まない合成ゼオライトを0.5重量部添加すること以外は、上記実施例1と同様にして、スチレン系樹脂の押出発泡体を得た。
表1に示されるように、押出発泡体の発泡体密度が28kg/mであり、所望の軽量な押出発泡体が得られた。燃焼性は、燃焼時間が「×」、燃焼距離が「×」であり、不良であった。酸素指数は27%であり、非燃焼性が確認された。このことから、鉄分を含まない合成ゼオライトのみ、つまり酸化鉄が存在しない環境下では、少量のHBCDによる難燃効果が得られないことがわかる。
(比較例2)
スチレン系樹脂100重量部に対して、天然ゼオライトを1重量部添加し、ステアリン酸カルシウムに代えてステアリン酸亜鉛0.3重量部を添加すること以外は、上記実施例1と同様にして、スチレン系樹脂の押出発泡体を得た。
表1に示されるように、押出発泡体の発泡体密度が27kg/mであり、所望の軽量な押出発泡体が得られた。燃焼性は、燃焼時間が「×」、燃焼距離が「×」であり、不良であった。酸素指数は26%であり、非燃焼性が確認された。このことから、天然ゼオライトによる難燃性の向上が、ステアリン酸亜鉛により阻害されることがわかる。
(比較例3)
スチレン系樹脂として、バージンポリスチレン系樹脂20重量部に対して、リサイクルポリスチレン系樹脂80重量部をドライブレンドした。このスチレン系樹脂100重量部に対して、天然ゼオライトに代えて人工ゼオライト10重量部を添加すること以外は、上記実施例1と同様にして、スチレン系樹脂の押出発泡体を得た。
表1に示されるように、押出発泡体の発泡体密度が28kg/mであり、所望の軽量な押出発泡体が得られた。燃焼性は、燃焼時間が「×」、燃焼距離が「×」であり、不良であった。酸素指数は26%であり、非燃焼性が確認された。このことから、人工ゼオライトの添加量が10重量部に至ると、難燃性を向上させる効果が見られないことがわかる。
(比較例4)
スチレン系樹脂として、バージンポリスチレン系樹脂20重量部に対して、リサイクルポリスチレン系樹脂80重量部をドライブレンドした。このスチレン系樹脂100重量部に対して、天然ゼオライトに代えて合成ゼオライト1重量部を添加すること以外は、上記実施例1と同様にして、スチレン系樹脂の押出発泡体を得た。
表1に示されるように、押出発泡体の発泡体密度が26kg/mであり、所望の軽量な押出発泡体が得られた。燃焼性は、燃焼時間が「×」、燃焼距離が「×」であり、不良であった。酸素指数は23%であり、一応の非燃焼性が見られるが各実施例と比べると低い値であった。このことから、鉄分を含まない合成ゼオライトが1重量部まで増量されても、難燃性を向上させる効果が得られないことがわかる。
(比較例5)
スチレン系樹脂として、バージンポリスチレン系樹脂20重量部に対して、リサイクルポリスチレン系樹脂80重量部をドライブレンドした。このスチレン系樹脂100重量部に対して、天然ゼオライトに代えて合成ゼオライト0.5重量部を添加すること以外は、上記実施例1と同様にして、スチレン系樹脂の押出発泡体を得た。
表1に示されるように、押出発泡体の発泡体密度が27kg/mであり、所望の軽量な押出発泡体が得られた。燃焼性は、燃焼時間が「×」、燃焼距離が「×」であり、不良であった。酸素指数は25%であり、非燃焼性が確認された。このことから、鉄分を含まない合成ゼオライトでは、発泡剤の組成に拘わらず、難燃性を向上させる効果が得られないことがわかる。
Figure 2007262181

Claims (13)

  1. スチレン系樹脂に、ハロゲン系難燃剤、非ハロゲン系発泡剤、及びゼオライトが添加され、該スチレン系樹脂が押出発泡されて得られるスチレン系樹脂押出発泡体であって、
    上記ゼオライトが、少なくとも鉄分を含有するものであるスチレン系樹脂押出発泡体。
  2. 上記ゼオライトが、天然ゼオライト又は人工ゼオライトである請求項1に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  3. 上記ゼオライトの鉄元素含有率が、0.2〜20%である請求項1又は2に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  4. 上記スチレン系樹脂100重量部に対して、上記ハロゲン系難燃剤が0.1〜20重量部、上記ゼオライトが0.01〜9重量部添加されてなる請求項1から3のいずれかに記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  5. スチレン系樹脂に、ハロゲン系難燃剤、非ハロゲン系発泡剤、ゼオライト、及び酸化鉄が添加され、該スチレン系樹脂が押出発泡されて得られるスチレン系樹脂押出発泡体であって、
    上記酸化鉄が、上記ゼオライトの添加部数に対して1〜20%添加されてなるスチレン系樹脂押出発泡体。
  6. 上記スチレン系樹脂押出発泡体に含有される亜鉛元素含有率が0.03重量%未満である請求項1から5のいずれかに記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  7. 上記ハロゲン系難燃剤が、ヘキサブロモシクロドデカン又はテトラブロモシクロオクタンのいずれか一方又は双方である請求項1から6のいずれかに記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  8. 上記非ハロゲン系発泡剤は、a)ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテルから選ばれる化合物と、b)水と、必要に応じて、c)炭素数が3〜5である1種以上の飽和炭化水素と、d)二酸化炭素と、を含有してなるものである請求項1から7のいずれかに記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  9. 炭素数が3〜5である1種以上の上記飽和炭化水素が、プロパン、n−ブタン、i−ブタンよりなる群から選ばれるものである請求項8に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  10. 上記発泡剤としての水が、上記酸化鉄を含んでなるものである請求項8又は9に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  11. 上記スチレン系樹脂押出発泡体の発泡体密度が20〜40kg/mである請求項1から10のいずれかに記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  12. スチレン系樹脂に対して、ハロゲン系難燃剤、非ハロゲン系発泡剤、及び少なくとも鉄分を含有するゼオライトを添加し、該スチレン系樹脂をダイを通じて高圧領域から低圧領域に押出発泡することにより、発泡体密度が20〜40kg/mであるスチレン系樹脂押出発泡体を得るスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
  13. スチレン系樹脂に対して、ハロゲン系難燃剤、非ハロゲン系発泡剤、ゼオライト、及び該ゼオライトに対して1〜20%の酸化鉄を添加し、該スチレン系樹脂をダイを通じて高圧領域から低圧領域に押出発泡することにより、発泡体密度が20〜40kg/mであるスチレン系樹脂押出発泡体を得るスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。

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