JP2003128824A - スチレン系樹脂発泡体およびその製造方法 - Google Patents

スチレン系樹脂発泡体およびその製造方法

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JP2003128824A
JP2003128824A JP2001329706A JP2001329706A JP2003128824A JP 2003128824 A JP2003128824 A JP 2003128824A JP 2001329706 A JP2001329706 A JP 2001329706A JP 2001329706 A JP2001329706 A JP 2001329706A JP 2003128824 A JP2003128824 A JP 2003128824A
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Japan
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resin
styrene
foam
weight
curing agent
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Application number
JP2001329706A
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English (en)
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Toshio Miyagawa
登志夫 宮川
Masaoki Goto
正興 後藤
Toru Yoshida
融 吉田
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リサイクル性に優れた熱可塑性樹脂であるス
チレン系樹脂からなる発泡体であり、燃焼時の溶融変
形、溶融滴下の問題が飛躍的に改善され、環境適合性、
難燃性、断熱性に優れたスチレン系樹脂発泡体を得る。 【解決手段】 スチレン系樹脂(A)、フェノール系樹
脂(B)及び硬化剤(C)からなるスチレン系樹脂組成
物(D)を溶融混練し、架橋反応させた後、又は架橋反
応させつつ発泡剤を添加して発泡させることを特徴とす
るスチレン系樹脂発泡体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃焼時の溶融変形
および溶融滴下性が飛躍的に改善され、かつ、難燃性に
優れたスチレン系樹脂発泡体およびその製造方法に関す
る。更に、発泡剤として非ハロゲン系発泡剤を使用し、
難燃剤として非ハロゲン系のものを用いた場合には、環
境への適合性にも優れたものとなる。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂にフロン類などの発泡剤
を添加し、押出発泡、ビーズ法発泡等により発泡体を得
ることは既に知られている。
【0003】このようなスチレン系樹脂発泡体を例えば
建築用断熱材料として用いる場合、自己消火性などの難
燃性が要求され、たとえば、JIS A9511などに
その燃焼性レベルが規定されている。
【0004】このような難燃性の要求されるスチレン系
樹脂発泡体には一般にハロゲン系難燃剤が添加される。
【0005】しかしながら、このようにして得られたス
チレン系樹脂発泡体は自己消火性ではあるものの、燃焼
時には溶融滴下が起こって形態が保持ないため、燃焼時
に形状の保持が要望される用途への展開が制約されてい
る。
【0006】燃焼時にある程度形態が保持される樹脂発
泡体としては、熱硬化性樹脂発泡体、例えばフェノール
−ホルムアルデヒド樹脂発泡体などが挙げられる。しか
しながら、このような発泡体では、溶融滴下が起こら
ず、形態は保持されるものの、発泡体が脆い、さらには
熱硬化性樹脂であるがためにリサイクル利用することが
非常に困難であるといった環境適合性に問題があり、広
く流通していないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、建築用断
熱材料として、燃焼時に形態がある程度保持されるとと
もに、リサイクルといった環境適合性を兼ね備えた断熱
材としては未だ十分な性能をもつものは見いだされてい
ない。
【0008】このような状況の下、本発明者らは特願2
001−065432において、熱可塑性を有するフェ
ノール系樹脂を含有したスチレン系樹脂発泡体につい
て、燃焼時、形態が保持されることを見出し、その発明
につき出願した。しかしながら、未だ難燃性の点で、自
己消火性について解決すべき点が残されており、その解
決が望まれている。難燃性に関しては、難燃剤としてハ
ロゲン系難燃剤、発泡剤としてハロゲン系発泡剤を使用
すれば、自己消火性は充分満たすことはできるものの、
環境適合性の点ではより好ましい解決手段が切望されて
いる。
【0009】本発明者らは、これら事情に鑑み、スチレ
ン系樹脂をベースとし、前記特性を具備した発泡体およ
びその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【発明が解決するための手段】本発明者らは、前記課題
の解決のため、鋭意研究の結果、スチレン系樹脂にフェ
ノール系樹脂及び硬化剤を添加して製造された発泡体に
おいて、燃焼時の溶融変形、溶融滴下がなく、形状を実
質上支障のない程度に保持できると共に、自己消火性を
満たし、かつ、熱可塑性樹脂であるスチレン系樹脂を主
体とすることで、リサイクル性にもすぐれた建築用断熱
材料が得られることを見いだし、本発明に至った。特
に、難燃剤として、ハロゲン系難燃剤を使用せず、発泡
剤として非ハロゲン系の発泡剤を使用する場合には、非
常に環境適合性に優れた発泡体が提供される。
【0011】すなわち本発明は、(1)スチレン系樹脂
(A)、フェノール系樹脂(B)及び硬化剤(C)から
なるスチレン系樹脂組成物(D)を溶融混練し、発泡剤
を添加して発泡させることを特徴とするスチレン系樹脂
発泡体の製造方法に関する。さらに本発明は、(2)ス
チレン系樹脂(A)、フェノール系樹脂(B)及び硬化
剤(C)からなるスチレン系樹脂組成物(D)を溶融混
練し、スチレン系樹脂(A)の存在下に、フェノール系
樹脂(B)を硬化剤(C)で架橋反応させた後、又は架
橋反応させつつ、非ハロゲン系発泡剤を用いて発泡成形
することを特徴とするスチレン系樹脂発泡体の製造方法
に関する。
【0012】さらに本発明は、(3)スチレン系樹脂組
成物(D)がスチレン系樹脂(A)とフェノール系樹脂
(B)を溶融混練した後、硬化剤(C)を添加してなる
樹脂組成物であり、スチレン系樹脂(A)の存在下に、
分散化したフェノール系樹脂(B)を硬化剤(C)で架
橋反応させた後、又は架橋反応させつつ、非ハロゲン系
発泡剤を用いて発泡成形することを特徴とするスチレン
系樹脂発泡体の製造方法に関する。さらに本発明は、
(4)(1)〜(3)のいずれか1項記載により得られ
るスチレン系樹脂発泡体。
【0013】さらに本発明は、(5)フェノール系樹脂
(B)が未硬化のノボラック型フェノール系樹脂である
ことを特徴とする(4)のスチレン系樹脂発泡体に関す
る。さらに本発明は、(6)硬化剤(C)がヘキサメチ
レンテトラミンであることを特徴とする(4)または
(5)のスチレン系樹脂発泡体に関する。さらに本発明
は、(7)スチレン系樹脂(A)100重量部に対し
て、さらにリン系化合物、トリアジン骨格含有化合物、
及び多価アルコール類から選ばれる1種以上の化合物を
1〜200重量部を含有することを特徴とする(4)〜
(6)のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体に関
する。さらに本発明は、(8)スチレン系樹脂(A)1
00重量部に対して、さらに難燃剤0.1〜200重量
部を含有することを特徴とする(4)〜(7)のいずれ
か1項記載のスチレン系樹脂発泡体に関する。
【0014】
【発明の実施形態】本発明で用いられるスチレン系樹脂
(A)としては、スチレン単量体のみから得られるポリ
スチレンホモポリマー、スチレン単量体とスチレンと共
重合可能な単量体あるいはその誘導体から得られるラン
ダム、ブロックあるいはグラフト共重合体、後臭素化ポ
リスチレン、ゴム強化ポリスチレンなどの変性ポリスチ
レンなどが挙げられる。
【0015】スチレン単量体と共重合可能な単量体とし
ては、α−メチルスチレン、α−エチルスチレンなどの
芳香族ビニル単量体類、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリルなどのシアン化ビニル単量体類、メタクリル酸
メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メ
タクリル酸ステアリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエ
チルなどのメタクリル酸エステル類、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸
ステアリル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのア
クリル酸エステル類、メタクリル酸、アクリル酸などの
(メタ)アクリル酸類、マレイン酸、α−フェニル無水
マレイン酸、α−メチル無水マレイン酸などのα,β−
不飽和カルボン酸無水物類、フェニルマレイミド、マレ
イミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピ
ルマレイミド、ラウリルマレイミドなどのマレイミド系
単量体、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基
含有単量体類などが挙げられる。これらは単独あるいは
2種以上混合して使用することができる。
【0016】スチレン系樹脂としては、発泡体を得る際
の成形性からポリスチレンホモポリマーとスチレン/
(メタ)アクリル酸共重合体が好ましい。本発明におけ
るフェノール系樹脂(B)とは、フェノール類とアルデ
ヒド類をアルカリ性あるいは酸性触媒下で反応させて得
られるフェノール−アルデヒド樹脂である。フェノール
類としては、フェノール、カテコール、レゾルシノー
ル、キシレノール、クレゾール、エチルフェノール、プ
ロピルフェノール、アミノフェノール、ビス(ヒドロキ
シフェニル)ブタン等が挙げられ、これらの混合物であ
っても良い。アルデヒド類としては、ホルムアルデヒ
ド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等が挙げ
られ、これらの混合物であっても良い。これらフェノー
ル系樹脂(B)としてはノボラック型フェノール樹脂、
レゾール型フェノール樹脂等が挙げられ、これらを単
独、あるいは2種以上の併用で使用してもよい。また、
上記ノボラック型フェノール系樹脂としては、置換また
は非置換のフェノール類とアルデヒド類とを縮合して得
られる樹脂であって、遊離のメチロール基を有しないも
のである。例えばフェノール類(a)とアルデヒド類
(b)を配合モル比(a/b)が0.5〜1.0となるよ
うな比率で反応釜に仕込み、更に酸性触媒として塩酸、
硫酸、リン酸、パラトルエンスルホン酸、しゅう酸、酢
酸などから選ばれた1種または2種以上を添加して適当
な時間還流反応を行った後、常圧あるいは減圧下での蒸
留で水および未反応の遊離フェノールを除去することに
より、ノボラック型フェノール系樹脂が得られる。
【0017】また、上記レゾール型フェノール系樹脂と
しては、置換または非置換のフェノール類とアルデヒド
類などとを縮合して得られる樹脂であって、遊離のメチ
ロール基を3〜20重量%有するものである。レゾール
タイプのフェノールーアルデヒド樹脂は、フェノール類
(a)とアルデヒド類(b)を配合モル比(a/b)が
1.0〜2.0となるような比率で反応釜に仕込み、更に
アルカリ性触媒として水酸化カリウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属類およびアル
カリ土類金属類の水酸化物あるいは酸化物や、アンモニ
ア、トリエチルアミン等のアミン類の中から選ばれた1
種または2種以上を添加して適当な時間還流反応を行っ
た後、常圧あるいは減圧下での蒸留で水および未反応の
遊離フェノールを除去することにより、レゾール型フェ
ノール系樹脂が得られる。
【0018】本発明では、前記したフェノール系樹脂
(B)の中でも、未硬化のノボラック型フェノール系樹
脂が特に好ましい。未硬化のノボラック型フェノール系
樹脂とは、一定温度以上でそのものを加熱すると、可塑
性を有するフェノール系樹脂となる。そして、硬化剤を
添加し、熱硬化させた場合においては、硬化したフェノ
ール系樹脂となる。本発明で使用する未硬化のノボラッ
ク型フェノール系樹脂は、特に限定されるものでなく、
市販で入手可能である。本発明の好ましい態様において
は、未硬化のノボラック型フェノール系樹脂を用いてス
チレン系樹脂と混合し、スチレン系樹脂の存在下に、該
未硬化のノボラック型フェノール系樹脂を硬化剤で架橋
反応させて硬化させる。この硬化の際、又は硬化させた
後、発泡剤を用いて発泡させることにより、燃焼時、炭
化促進機能、燃焼時に殻を形成する機能、溶融液滴を防
止する機能など、従来のスチレン系樹脂発泡体で見られ
た燃焼時の溶融変形、溶融滴下を著しく改善した発泡体
を得ることができる。
【0019】このような特徴を満足できるノボラック型
フェノール系樹脂として、例えば、ノボラック型フェノ
ール−ホルムアルデヒド樹脂、リン酸及び/又はホウ酸
変性ノボラック型フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、
芳香族炭化水素及び/又はテルペン変性ノボラック型フ
ェノール−ホルムアルデヒド樹脂、縮合多環芳香族炭化
水素変性ノボラック型フェノール−ホルムアルデヒド樹
脂からなる群から選ばれた1種以上の未硬化なノボラッ
ク型フェノール系樹脂等が挙げられる。
【0020】また、本発明において、フェノール系樹脂
(B)は、完全硬化したもの、部分硬化したもの、未硬
化のもののいずれも用いることが出来るが、スチレン系
樹脂との分散性を良好にするためには、出来るだけスチ
レン系樹脂との混合系内で硬化させることが好ましい。
従って、未硬化のものを用いるのが最も好ましく、次い
で部分硬化したもの、次には完全硬化したものである。
完全硬化したものを用いる場合には、未硬化のものある
いは部分硬化したものと併用し、スチレン系樹脂との混
合系内で硬化剤でもって架橋反応させ硬化させるのが好
ましい。
【0021】完全及び/又は部分硬化したフェノール系
樹脂を用い、スチレン系樹脂と混合する場合において、
最終的に得られる発泡体が熱可塑性を示すように、適
宜、その量を調整して用いる必要がある。
【0022】この場合の完全及び/又は部分的に硬化し
たフェノール系樹脂の例としては、未硬化のノボラック
型フェノール系樹脂を、予めヘキサメチレンテトラミン
等の硬化剤とともに加熱して硬化させたものを用いても
良いし、未硬化なレゾール型フェノール系樹脂を熱硬化
及び/又は酸硬化させたものを用いる等が挙げられる。
【0023】本発明のフェノール系樹脂(B)の添加量
は、スチレン系樹脂100重量部に対して、1〜200
重量部であり、好ましくは2〜150重量部、さらに好
ましくは5〜120重量部である。フェノール系樹脂が
1重量部未満では十分な難燃効果が得られず、200重
量部を越えると発泡体の成形性が困難となるため好まし
くない。本発明では、スチレン系樹脂存在下、フェノー
ル系樹脂を硬化させるために、フェノール系樹脂用硬化
剤を使用する。スチレン系樹脂存在下、フェノール系樹
脂を硬化剤を用いて架橋反応させることで、得られた発
泡体の燃焼時の溶融変形、溶融滴下の問題が改善され、
難燃性、断熱性の優れたスチレン系樹脂発泡体を得るこ
とが出来る。本発明で使用する硬化剤(C)として、上
記フェノール系樹脂と架橋反応可能な化合物であれば、
特に限定されるものではなく、ヘキサメチレンテトラミ
ン等の含窒素化合物、パラホルムアルデヒド等のアルデ
ヒド類及びエポキシ樹脂等が挙げられる。本発明の硬化
剤(C)として、縮合水の発生が少ないことにより取り
扱いが容易であること及び硬化が早いこと等の点から、
ヘキサメチレンテトラミンを用いることが好ましい。
【0024】また、本発明の硬化剤(C)の添加量は、
スチレン系樹脂100重量部に対して、0.1〜30重
量部であり、好ましくは0.1〜25重量部、さらに好
ましくは0.1〜20重量部である。硬化剤が0.1重
量部未満では架橋構造が十分に得られないため、十分な
難燃効果は得られず、30重量部を越えても硬化性が限
度以上良くなることはなく、逆に分解ガス等が多くなり
成形不良の原因となるため好ましくない。次に、フェノ
ール系樹脂と硬化剤との架橋反応による硬化について述
べるが、本発明では、この反応は系内で行わせるのが最
も好ましい。上記したフェノール系樹脂と硬化剤をある
温度条件下、溶融混練することで、フェノール系樹脂が
完全及び/又は部分的に硬化したフェノール系樹脂とな
る。硬化したフェノール系樹脂の硬化度をアセトン抽出
試験法によって測定されるアセトン抽出率で示す。アセ
トン抽出試験とはフェノール系樹脂の未硬化樹脂分のフ
ェノール系樹脂含有量をソックスレー抽出器を用い、ア
セトンを溶媒として抽出する方法である。通常、未硬化
のフェノール系樹脂はアセトンに溶解するが、硬化が進
行するにつれて溶解しなくなり、完全硬化物はアセトン
に全く溶解しない。すなわち、アセトン抽出率100%
とは0%硬化したフェノール系樹脂を示し、アセトン抽
出率0%の硬化物とは100%硬化したフェノール系樹
脂を示す。フェノール系樹脂と硬化剤により熱硬化させ
る場合の温度は、目標とする硬化度に応じて設定する。
アセトン抽出率20〜90%の硬化したフェノール系樹
脂を製造する場合、硬化温度としては100〜140℃
が好ましい。またアセトン抽出率20%以下の硬化物を
製造する場合は、100〜140℃で抽出率20〜90
%まで硬化させ、その後に150〜200℃でさらに硬
化させることが好ましい。本発明の硬化したフェノール
系樹脂の硬化度は、好ましくはアセトン抽出率で90%
以下が望ましい。
【0025】本発明では、リン系化合物を用いること
で、燃焼時に炭化を促進し、溶融滴下を抑制して燃焼時
の形状保持効果を促進する。これは、スチレン系樹脂あ
るいは他の配合剤から水素原子を引き抜き、あるいは脱
水酸基あるいは脱水をする作用を示し、炭化を促進させ
ることで効果が現れているものと考える。
【0026】本発明で用いられるリン系化合物は、分子
中にリン原子を有する化合物であれば特に制限はなく、
例えば、三酸化リン、四酸化リン、五酸化リンなどのリ
ン酸化物、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、メタリン
酸、ピロリン酸、ポリリン酸などのリン酸化合物、モノ
アンモニウムホスフェート、ジアンモニウムホスフェー
ト、アンモニウムポリホスフェートなどのリン酸アンモ
ニウム塩、メラミンモノホスフェート、メラミンジホス
フェート、メラミンポリホスフェートなどのリン酸メラ
ミン塩、リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カ
リウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムなどの
リン酸金属塩などのリン酸塩類、トリメチルホスフェー
ト、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェー
ト、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブ
トキシエチルホスフェート、モノイソデシルホスフェー
ト、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェー
ト、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェ
ートなどの脂肪族系リン酸エステル類、トリフェニルホ
スフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニ
ルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホス
フェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、
トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフ
ェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニ
ル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロ
ピルフェニル)フェニルホスフェート、ジフェニル−2
−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル
−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェートなどの
芳香族系リン酸エステル類、下記の一般式1で表される
リン酸エステル基を2以上有するリン酸エステル類、
【0027】
【化1】 (式中、R1はレゾルシノール、ハイドロキノン、ビス
フェノールA等の残基、R2はフェニル基、トリル基、
キシリル基などであり、同一でも異なっていてもよい、
nは1以上の整数である) 一般式1で表されるリン酸エステル類としては、レゾル
シノール・ビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシ
ノール・ビス(ジキシレニルホスフェート)、レゾルシ
ノール・ビス(ジクレジルホスフェート)、ハイドロキ
ノン・ビス(ジフェニルホスフェート)、ハイドロキノ
ン・ビス(ジキシレニルホスフェート)、ハイドロキノ
ン・ビス(ジクレジルホスフェート)、ビスフェノール
A・ビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノール
A・ビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノー
ルA・ビス(ジクレジルホスフェート)などの芳香族系
ジ(リン酸エステル)類(前記一般式1において、n=
1のもの)、ポリ(レゾルシノール・フェニルホスフェ
ート)、ポリ(レゾルシノール・クレジルホスフェー
ト)、ポリ(レゾルシノール・キシレニルホスフェー
ト)、ポリ(ハイドロキノン・フェニルホスフェー
ト)、ポリ(ハイドロキノン・クレジルホスフェー
ト)、ポリ(ハイドロキノン・キシレニルホスフェー
ト)、ポリ(ビスフェノールA・フェニルホスフェー
ト)、ポリ(ビスフェノールA・クレジルホスフェー
ト)、ポリ(ビスフェノールA・キシレニルホスフェー
ト)などの芳香族系ポリ(リン酸エステル)類(前記一
般式1においてnが2以上のもの)などのリン酸エステ
ル類、ホスファゼン、ポリホスファゼンなどのホスファ
ゼン類、リン酸アミン類、リン酸アミド類などが挙げら
れる。
【0028】該リン系化合物が粒子状、粉体状、板状、
針状などの固体形状であった場合には、メラミン樹脂、
フェノール樹脂、グアナミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレ
タン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、シランカップリ
ング剤などから選ばれる1種以上の化合物などの表面被
覆あるいは表面処理できる化合物により表面処理された
ものであってもよい。
【0029】該リン系化合物では、燃焼時の形状保持の
観点から、アンモニウムホスフェート、アンモニウムポ
リホスフェート、メラミンホスフェート、メラミンポリ
ホスフェートなどのリン酸塩、トリフェニルホスフェー
ト、前記一般式1で表される芳香族ジ(リン酸エステ
ル)類または芳香族ポリ(リン酸エステル)類などのリ
ン酸エステル類、ホスファゼン、ポリホスファゼンなど
のホスファゼン類が好ましい。さらに、リン酸塩類では
表面処理されたリン酸塩類がより好ましい。本発明で用
いられるトリアジン骨格含有化合物とは、炭素原子と窒
素原子からなるトリアジン構造を有する化合物であり、
燃焼時にガスを発生することから発泡断熱層の形成及び
酸素遮断効果から、燃焼を抑制し、形状保持性を向上さ
せていると考えられる。本発明で用いられるトリアジン
骨格含有化合物は、具体的にはメラミン、メチロールメ
ラミン類などのメラミン誘導体、シアヌル酸、メチルシ
アヌレート、ジエチルシアヌレート、トリメチルシアヌ
レート、トリエチルシアヌレート、イソシアヌル酸、メ
チルイソシアヌレート、N,N’−ジエチルイソシアヌ
レート、トリスメチルイソシアヌレート、トリスエチル
イソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソ
シアヌレート、1,3,5−トリス(2−カルボキシエ
チル)イソシアヌレート、トリス(2,3−エポキシプ
ロピル)イソシアヌレートなどのシアヌル酸、イソシア
ヌル酸またはその誘導体、メラミンシアヌレートなどの
メラミン(誘導体)と(イソ)シアヌル酸(誘導体)と
の塩などが挙げられる。
【0030】トリアジン骨格含有化合物では、燃焼時の
形状保持の観点から、メラミン、シアヌル酸、イソシア
ヌル酸、メラミンシアヌレートなどが好ましい。本発明
で用いられる多価アルコール類は、1分子中に2個以上
の水酸基を含有する化合物であって、燃焼時に炭化する
ことにより形状保持性を向上させているものと考えられ
る。その具体例としては、モノペンタエリスリトール、
ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールな
どのペンタエリスリトール類、エチレングリコール、ジ
エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレン
グリコールとプロピレングリコールとの共重合体などの
グリコール類、グリセリン、レゾルシノール、トリメチ
ロールプロパンなどが挙げられる。
【0031】多価アルコール類では、燃焼時の形状保持
の観点から、モノペンタエリスリトールが好ましい。
【0032】本発明において前記スチレン系樹脂100
重量部に対して、リン系化合物、トリアジン骨格含有化
合物、及び多価アルコール類から選ばれる1種以上の化
合物を1〜200重量部含有させると良い。好ましくは
5〜150重量部、更に好ましくは10〜120重量部
である。リン系化合物、トリアジン骨格含有化合物、及
び多価アルコール類から選ばれる1種以上の化合物が1
重量部未満では形状保持効果が低下する傾向にあり、2
00重量部を越えると発泡体の成形性が困難となる。本
発明では、燃焼時の形状保持性をより高めるためにリン
系化合物、トリアジン骨格含有化合物及び多価アルコー
ル類の全てを含有することがより好ましい。
【0033】本発明においては、上記の化合物でハロゲ
ン系難燃剤を使用しないでも難燃性の向上が果たせるた
め、特に環境適合性に優れた発泡体が得られるが、得ら
れる発泡体の難燃性をさらに向上させる目的の場合に
は、次に記述する難燃剤を加えることができる。
【0034】本発明で用いられる難燃剤に特に制限はな
く、例えば、ヘキサブロモシクロドデカンなどの脂肪族
あるいは脂環族炭化水素の臭素化物、ヘキサブロモベン
ゼン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、デカブロ
モジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテ
ル、2,3−ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエ
ーテルなどの芳香族化合物の臭素化物、テトラブロモビ
スフェノールA、テトラブロモビスフェノールAビス
(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモ
ビスフェノールA(2−ブロモエチルエーテル)、テト
ラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、テト
ラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとトリ
ブロモフェノール付加物などの臭素化ビスフェノール類
およびその誘導体、テトラブロモビスフェノールAポリ
カーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノール
Aジグリシジルエーテルとブロモ化ビスフェノール付加
物エポキシオリゴマーなどの臭素化ビスフェノール類誘
導体オリゴマー、テトラブロモフタレーロジオール、テ
トラブロモフタレートエステル、テトラブロモフタレー
トジソジウム、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリ
レート)、ペンタブロモフェノール、ブロモフェノキシ
エタノール、臭素化フェノール(ノボラック型)、ジブ
ロモクレジルグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリア
ジン、ビニルブロマイド、トリブロモフェノール、ジブ
ロモフェノール、ジブロモメタクレゾール、ジブロモネ
オペンチルグリコール、エチレンビステトラブロモフタ
ルイミド、エチレンビスジブロモノルボルナンジカルボ
キシイミド、ビス(2,4,6ートリブロモフェノキ
シ)エタン、臭素化アクリル系樹脂などの臭素系芳香族
化合物、塩素化パラフィン、塩素化ナフタレン、パーク
ロロペンタデカン、テトラクロロ無水フタル酸、塩素化
芳香族化合物、塩素化脂環状化合物、などのハロゲン系
難燃剤が挙げられる。
【0035】さらには、本発明で用いられるリン系化合
物およびトリアジン骨格含有化合物以外のリン系難燃
剤、窒素含有化合物、さらには水酸化アルミニウム、水
酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、四酸化アンチモ
ン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、硼
酸、硼酸亜鉛、硼酸バリウム、酸化硼素などの無機化合
物、などの非ハロゲン系難燃剤が挙げられる。
【0036】難燃剤の添加量は、例えばJIS A95
11に規定される難燃性を得られるよう、発泡剤添加量
などにあわせて適宜調整されるが、スチレン系樹脂10
0重量部に対して、0.1〜200重量部であり、好ま
しくは、1〜150重量部、さらに好ましくは、1〜1
00重量部である。
【0037】本発明において用いられる発泡剤に特に制
限はないが、例えば、プロパン、n−ブタン、i−ブタ
ン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタンなどに
例示される飽和炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチル
エーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテ
ル、n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フ
ラン、フルフラール、2−メチルフラン、テトラヒドロ
フラン、テトラヒドロピランなどに例示されるエーテル
類、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケ
トン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケ
トン、メチルi−ブチルケトン、メチルn−アミルケト
ン、メチルn−ヘキシルケトン、エチルn−プロピルケ
トン、エチルn−ブチルケトンに例示されるケトン類、
メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プ
ロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアル
コール、t−ブチルアルコールに例示されるアルコール
類、蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プ
ロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエス
テル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチ
ルエステルに例示されるカルボン酸エステル類、アゾジ
カルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,
N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トル
エンスルホニルヒドラジン、p,p’−オキシビス(ベ
ンゼンスルホヒドラジド)、塩化メチル、塩化エチルな
どに例示される有機発泡剤、トリクロロフルオロメタン
(R11)、ジクロロジフルオロメタン(R12)、ク
ロロジフルオロメタン(R22)、テトラクロロジフル
オロエタン(R112)、ジクロロフルオロエタン(R
141b)、クロロジフルオロエタン(R142b)、
ジフルオロエタン(R152a)、HFC−245f
a、HFC−236ea、HFC−245ca、HCF
C−225caなどに例示されるフロン系発泡剤、水、
二酸化炭素、窒素、空気などに例示される無機発泡剤な
どが挙げられる。これらは単独又は2種以上混合して使
用することができる。
【0038】これらの中でも、次に記す非ハロゲン系発
泡剤を使用することにより、本発明の発泡体の環境適合
性を更に向上させることができるため望ましい。すなわ
ち、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタ
ン、i−ペンタン、ネオペンタンなどに例示される飽和
炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチ
ルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチル
エーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラ
ール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラ
ヒドロピランなどに例示されるエーテル類、 N,N’
−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジ
メチルN,N’−ジニトロソテレフタールアミド、アゾ
ジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジドアゾ
ジカルボンアミド、 p−トルエンスルホニルヒドラジ
ン、アゾビスホルムアミド、ジエチルアゾジカルボキシ
レート、アゾビスイソブチロニトリル 、p−トルエン
スルホニルヒドラジン、p,p’−オキシビス(ベンゼ
ンスルホヒドラジド)、3,3’−ジスルホヒドラジド
ジフェニルスルフォンなどの有機化学発泡剤、水、二酸
化炭素、窒素、空気、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭
酸アルミニウム、炭酸亜鉛、炭酸アンモニウム、炭酸水
素ナトリウム、炭酸水素カリウム、その他の炭酸塩、そ
の他の炭酸水素塩、などに例示される無機発泡剤などの
非ハロゲン系発泡剤が環境適合性の観点で好ましい。
【0039】本発明のスチレン系樹脂発泡体の製造時
に、スチレン系樹脂中に添加される発泡剤の量として
は、発泡倍率の設定値などに応じて適宜変えればよい。
通常、発泡倍率20〜40倍程度であれば発泡剤の合計
量を該スチレン系樹脂100重量部に対して2〜20重
量部とするのが好ましい。発泡倍率が極小さくて良い場
合は、発泡剤の添加量が2重量部未満でも充分である。
逆に発泡倍率が100倍といった大きな場合は、20重
量部を越えて添加する場合もあるが、この場合、過剰な
発泡剤量のため発泡体中にボイドなどの不良を生じるこ
とに注意しなければならない。ただし、発泡剤として飽
和炭化水素化合物を用いた場合には、10重量部を越え
ると発泡体の燃焼時に発泡剤自体が燃焼し、難燃性が低
下する場合がある。
【0040】また本発明においては、必要に応じて本発
明の効果を阻害しない範囲でシリカ、タルク、ケイ酸カ
ルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイ
カ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機
化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネ
シウム、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン、オレ
フィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの加
工助剤、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、ベンゾ
トリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定
剤、帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤を含有
させることができるが、これらに限定されるものではな
い。
【0041】本発明のスチレン系樹脂発泡体の製造は、
特に限定されるものではないが、例えば、押出機を用い
て、スチレン系樹脂(A)、フェノール系樹脂(B)、
硬化剤(C)、リン系化合物、トリアジン骨格含有化合
物、多価アルコール類、難燃剤等を前述したように適宜
添加してなるスチレン系樹脂組成物(D)を加熱溶融さ
せ、この加熱条件下での架橋反応により硬化させ、例え
ば、ペレット状のスチレン系樹脂組成物(D)を得る。
この硬化後のスチレン系樹脂組成物(D)を、押出機中
で加熱溶融させ、更に発泡剤を注入して低圧域に押出し
押出発泡する方法、スチレン系樹脂(A)、フェノール
系樹脂(B)、硬化剤(C)、リン系化合物、トリアジ
ン骨格含有化合物、多価アルコール類、難燃剤等の組み
合わせからなるスチレン系樹脂組成物(D)と、発泡剤
等を同時に押出機中で加熱溶融混練し、架橋反応による
硬化と共に、低圧域に押出しする事により押出発泡する
方法等が挙げられる。
【0042】又は、予め発泡剤を含有したスチレン系樹
脂(A)、フェノール系樹脂(B)、硬化剤(C)、リ
ン系化合物、トリアジン骨格含有化合物、多価アルコー
ル類、難燃剤等からなるスチレン系樹脂組成物(D)を
プレス機を用いて加熱溶融し成形体とした後、再び加熱
して発泡させる方法を用いてもよい。更に、予め発泡剤
を含有したスチレン系樹脂(A)、フェノール系樹脂
(B)、硬化剤(C)、リン系化合物、トリアジン骨格
含有化合物、多価アルコール類、難燃剤等からなるスチ
レン系樹脂組成物(D)の粒状物を型内に充填し加熱し
て発泡させる方法なども用いられる。それらの内でも押
出発泡法は、良好な発泡体を得るためには特に好ましい
発泡方法である。
【0043】尚、上記スチレン系樹脂発泡体の製造時
に、スチレン系樹脂(A)、フェノール系樹脂(B)、
更にはリン系化合物、トリアジン骨格含有化合物、多価
アルコール類、難燃剤等を混練機で、予め十分加熱混練
し、スチレン系樹脂(A)にフェノール系樹脂(B)
を、又はフェノール系樹脂(B)にスチレン系樹脂
(A)を微分散化した後、更に硬化剤(C)を添加した
スチレン系樹脂組成物(D)を得ることがより好まし
い。これはスチレン系樹脂中にフェノール系樹脂をより
均一に微分散化できるため、よりミクロに分散したフェ
ノール系樹脂が硬化剤と反応して、架橋構造が付与され
る。こうして得られたフェノール系樹脂はスチレン系樹
脂との絡み合いが良好なため、燃焼時の溶融変形、溶融
滴下の問題が飛躍的に改善され、かつ、均一な発泡体を
得ることができる。上記混練機として、二軸ロール、コ
ニーダ、二軸押出機等を単独で、或いは組み合わせて使
用しても良い。更には、2軸押出機、単軸押出機等でペ
レット状に造粒しても良いし、回転羽根を有したヘンシ
ェルミキサー等の高速回転ミキサーで造粒しても良い。
【0044】
【実施例】次に本発明のスチレン系樹脂発泡体について
実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はか
かる実施例のみに制限されるものではない。なお、特に
断らない限り「部」は重量部を、「%」は重量%を表
す。以下に示す実施例、比較例の方法で得られた発泡体
の特性として、発泡体密度、自己消火性、燃焼時の溶融
変形、溶融滴下状況(形状保持性)、環境適合性を下記
の方法に従って評価した。
【0045】(1)発泡体密度(kg/m3):発泡体密度
は、次の式:発泡体密度(g/cm3)=発泡体重量(g)/
発泡体体積(cm3)に基づいて求め、単位を(kg/m3)に
換算して示した。 (2)自己消火性:製造後14日経過した発泡体を用
い、JIS A9511に規定の燃焼性評価における測
定方法Aに準じて燃焼性試験を行い、下記の基準に従い
判定した。 ○:炎を離した後、5秒以内に消炎した △:炎を離した後、燃焼時間は5秒を越えたが自己消火
性を示した ×:炎を離した後、自己消火せず試験片全体が燃焼して
しまった (3)燃焼時の溶融変形、溶融滴下状況(形状保持
性):2)と同様にして燃焼性試験を行い、消炎後の状
態を目視にて観察し下記の基準に従い判定した。 ○:溶融滴下せず、炭化あるいは発泡炭状になり、形状
をほぼ維持あるいは変形するものの収縮は見られない △:溶融滴下せず、炭化あるいは発泡炭状になるが、収
縮が見られた ×:溶融滴下して試験片が残存しなかった (4)環境適合性:下記の基準に従い判定した。 ○:ハロゲン系難燃剤及びハロゲン系発泡剤を使用して
いない。 △:ハロゲン系難燃剤もしくはハロゲン系発泡剤のどち
らか一方を使用している。 ×:ハロゲン系難燃剤及びハロゲン系発泡剤のどちらも
使用している。
【0046】実施例1 ポリスチレン樹脂(新日鐵化学(株)製、商品名:エス
チレンG−17、メルトインデックス(MI):3.
1)100重量部に対して、未硬化のフェノール系樹脂
としてノボラック型フェノール−ホルムアルデヒド樹脂
(昭和高分子(株)製;商品名「BPR−572A」)
(以下、未硬化ノボラック型)30重量部、リン系化合
物として表面処理されたポリリン酸アンモニウム(チッ
ソ(株)製;商品名「テラージュC60」)(以下、A
PP)10重量部、トリアジン骨格含有化合物としてメ
ラミンシアヌレート(日産化学工業(株)製;商品名
「MC440」)(以下、MC)10重量部、多価アル
コール類としてモノペンタエリスリトール(和光純薬工
業(株):試薬)(以下、PE)10重量部をドライブ
レンドした後、30mmφ同方向回転ニ軸押出機(L/
D=30)を用いて溶融混練し、ペレット状の樹脂組成
物(a)を得た。得られた樹脂組成物(a)につき、更
に、ポリスチレン樹脂100重量部に対して、硬化剤と
してヘキサメチレンテトラミン2重量部(和光純薬工業
(株):試薬)、タルク0.3重量部、ステアリン酸バ
リウム0.2重量部を添加し、ドライブレンドした後、
再度、上記同様のニ軸押出機を用いて溶融混練し、ペレ
ット状の樹脂組成物(b)を得た。
【0047】得られた樹脂組成物(b)を口径65mm
と口径90mmのものを縦に連結した押出機へ約40k
g/hrの割合で供給した。前記口径65mmの押出機
に供給し、200℃に加熱して溶融混練し、これに連結
された口径90mmの押出機で樹脂温度を120℃に冷
却し、口径90mmの押出機の先端に設けた厚さ方向2
mm、幅方向50mmの長方形断面吐出口のあるダイス
より大気中へ押し出し、直方体状の押出発泡体を得た。
このとき発泡剤として、イソブタンを該スチレン樹脂1
00重量部に対して3部、ジメチルエーテルを3部から
なる発泡剤を、それぞれ別のラインから、前記口径65
mmの押出機の先端付近(口径90mmの押出機の先端
ダイスと反対側の端部側に接続される側の端部)から前
記樹脂中に圧入した。得られた発泡体の特性を表1に示
す。下記、比較例1〜5と比較し、形状保持性が向上し
た発泡体が得られた。
【0048】実施例2〜12 表1に示すポリスチレン系樹脂、フェノール系樹脂、硬
化剤、リン系化合物、トリアジン骨格含有化合物、多価
アルコール類の種類および量、さらには、その他難燃剤
としてヘキサブロモシクロドデカン(以下、HBCD)
を添加した樹脂組成物(a)、および、樹脂組成物
(a)に硬化剤を添加した樹脂組成物(b)、更に、発
泡剤種および注入量を変更した以外は、実施例1と同様
にして発泡体を得た。得られた発泡体の特性を表1に示
す。前記実施例1と本実施例11を比較して判るように
自己消火性が向上するとともに下記、比較例1〜5と比
較し、自己消火性を有しかつ形状保持性が向上した発泡
体が得られた。ただし、用いた化合物は下記の通りであ
る。
【0049】・熱硬化済みのレゾール型フェノール−ホ
ルムアルデヒド樹脂(ユニチカ(株)製、商品名「ユニ
ベックスC」、以下、硬化レゾール型) ・エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、商品名
「エピコート 180S65」) ・トリフェニルホスフェート;大八化学工業(株)製、
商品名「TPP」(以下、TPP) ・メラミン;和光純薬工業(株)製試薬 ・1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン;ダイキン工
業(株)製(以下、HCFC142b)
【0050】実施例13〜15 表1に示すポリスチレン系樹脂、フェノール系樹脂、硬
化剤、リン系化合物、トリアジン骨格含有化合物、多価
アルコール類の種類および量、さらには、その他難燃剤
としてヘキサブロモシクロドデカン(以下、HBCD)
を全て一括に添加し、ドライブレンドした後、ニ軸押出
機を用いて溶融混練した樹脂組成物を作製したこと以外
は、実施例1と同様にして発泡体を得た。得られた発泡
体の特性を表1に示す。比較例1〜5と比較し、自己消
火性を有しかつ形状保持性が向上した発泡体が得られ
た。ただし、用いた化合物は下記の通りである。 ・ 縮合多環芳香族炭化水素変性ノボラック型フェノー
ル−ホルムアルデヒド樹脂(鹿島石油(株)製、商品名
「FRI−5167」)(以下、未硬化縮合多環変性
型)
【0051】比較例1〜5 表1に示した樹脂組成物において、表中の化合物を全て
一括に添加し、ドライブレンドした後、ニ軸押出機を用
いて溶融混練した樹脂組成物を作製したこと、および、
発泡剤種を変更した以外は、実施例1と同様にして発泡
体を得た。得られた発泡体の特性を表1に示す。実施例
1〜15と比較例1〜5とを比較すると、実施例におい
て、自己消火性を有し、かつ、形状保持性が向上した発
泡体が得られた。更に、実施例1〜8、10、12〜1
4においては、自己消火性、形状保持性に加え、環境適
合性にも優れた発泡体が得られた。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、環境適合性、難燃性、
断熱性に優れ、燃焼時の溶融変形、溶融滴下の問題が飛
躍的に改善されたスチレン系樹脂発泡体が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 105:04 B29K 105:04 105:24 105:24 C08L 25:04 C08L 25:04 61:10 61:10 Fターム(参考) 4F074 AA32 AA61 AC31 AD02 AD04 AD13 AD16 AG10 AG20 BA38 BA75 CC06X CC06Y DA02 DA18 DA32 4F207 AA13 AA37 AB02 AB03 AB05 AE02 AE10 AG20 AH48 KA01 KA11

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系樹脂(A)、フェノール系樹
    脂(B)及び硬化剤(C)からなるスチレン系樹脂組成
    物(D)を溶融混練し、発泡剤を添加して発泡させるこ
    とを特徴とするスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
  2. 【請求項2】 スチレン系樹脂(A)、フェノール系樹
    脂(B)及び硬化剤(C)からなるスチレン系樹脂組成
    物(D)を溶融混練し、スチレン系樹脂(A)の存在下
    に、フェノール系樹脂(B)を硬化剤(C)で架橋反応
    させた後、又は架橋反応させつつ、非ハロゲン系発泡剤
    を用いて発泡成形することを特徴とするスチレン系樹脂
    発泡体の製造方法。
  3. 【請求項3】 スチレン系樹脂組成物(D)がスチレン
    系樹脂(A)とフェノール系樹脂(B)を溶融混練した
    後、硬化剤(C)を添加してなる樹脂組成物であり、ス
    チレン系樹脂(A)の存在下に、分散化したフェノール
    系樹脂(B)を硬化剤(C)で架橋反応させた後、又は
    架橋反応させつつ、非ハロゲン系発泡剤を用いて発泡成
    形することを特徴とするスチレン系樹脂発泡体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 フェノール系樹脂(B)が未硬化のノボ
    ラック型フェノール系樹脂であることを特徴とする請求
    項1〜3項のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 硬化剤(C)がヘキサメチレンテトラミ
    ンであることを特徴とする請求項1〜4項のいずれか1
    項記載のスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
  6. 【請求項6】 スチレン系樹脂(A)100重量部に対
    して、さらにリン系化合物、トリアジン骨格含有化合
    物、及び多価アルコール類から選ばれる1種以上の化合
    物を1〜200重量部を含有することを特徴とする請求
    項1〜5項のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 スチレン系樹脂(A)100重量部に対
    して、さらに難燃剤0.1〜200重量部を含有するこ
    とを特徴とする請求項1〜6項のいずれか1項記載のス
    チレン系樹脂発泡体の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7項のいずれか1項記載によ
    り得られるスチレン系樹脂発泡体。
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