JP2002241559A - スチレン系樹脂組成物、発泡体、およびその製造方法 - Google Patents

スチレン系樹脂組成物、発泡体、およびその製造方法

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JP2002241559A
JP2002241559A JP2001044226A JP2001044226A JP2002241559A JP 2002241559 A JP2002241559 A JP 2002241559A JP 2001044226 A JP2001044226 A JP 2001044226A JP 2001044226 A JP2001044226 A JP 2001044226A JP 2002241559 A JP2002241559 A JP 2002241559A
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phosphate
styrene
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JP2001044226A
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Kazuaki Matsumoto
一昭 松本
Koji Tsuneishi
浩司 常石
Etsuo Horii
越生 堀井
Tatsushi Yoshida
龍史 吉田
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スチレン系樹脂からなる環境適合性に優れた
組成物、及びその発泡体であり、燃焼時の溶融変形、溶
融滴下の問題が改善され、難燃性、断熱性の優れたスチ
レン系樹脂発泡体を得る。 【解決手段】 スチレン系樹脂100重量部、ケイ素、
ホウ素及び酸素からなり、実質的にケイ素−酸素結合及
びホウ素−酸素結合から形成される骨格を有し、かつ、
分子内に芳香環を有する重合体からなる難燃剤0.1〜
40重量部、及び、その他の難燃剤0.1〜400重量
部、を含有するスチレン系樹脂組成物;該樹脂組成物か
ら成形される発泡体;並びに、該樹脂組成物に発泡剤を
含有させ、発泡成形する、該発泡体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環境適合性に優れ
た熱可塑性樹脂であるスチレン系樹脂からなる発泡体で
あり、特に燃焼時の溶融変形および溶融滴下性が飛躍的
に改善され、かつ、難燃性に優れたスチレン系樹脂発泡
体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂にフロン類などの発泡剤
を添加し、押出発泡、ビーズ法発泡して発泡体を得るこ
とは既に知られている。
【0003】このようなスチレン系樹脂発泡体を例えば
建築用断熱材料として用いる場合、自己消火性などの難
燃性が要求され、たとえば、JIS A9511などに
その燃焼性レベルが規定されている。このような難燃性
の要求されるスチレン系樹脂発泡体には一般にハロゲン
系難燃剤が添加される。しかしながら、このようにして
得られたスチレン系樹脂発泡体は自己消火性ではあるも
のの、燃焼時には溶融滴下が起こって形態が保持され
ず、燃焼時に形状が保持されることが要望される用途へ
の展開が制約されている。
【0004】燃焼時にある程度形態が保持される樹脂発
泡体としては、熱硬化性樹脂発泡体、例えばフェノール
−ホルムアルデヒド樹脂発泡体などが挙げられる。しか
しながら、このような発泡体では溶融滴下が起こらず、
形態は保持されるものの、発泡体が脆い、残存ホルムア
ルデヒドによる居住空間の汚染、さらには熱硬化性樹脂
であるがためにリサイクル利用することが非常に困難で
あるといった環境適合性に問題があり、広く流通してい
ないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、建築用断
熱材料として、燃焼時に形態がある程度保持されるとと
もに、揮発性物質の放散が少なく、リサイクル性に優れ
るといった環境適合性を兼ね備えた断熱材としては未だ
十分な性能をもつものは見いだされていない。
【0006】このような状況の下、本発明が解決しよう
とする課題は、スチレン系樹脂をベースとし、前記特性
を具備した発泡体およびその製造方法を提供することで
ある。
【0007】
【発明が解決するための手段】本発明者らは前記課題の
解決のため鋭意研究を行った結果、スチレン系樹脂に、
ケイ素、ホウ素及び酸素からなり、実質的にケイ素−酸
素結合及びホウ素−酸素結合から形成される骨格を有
し、かつ、分子内に芳香環を有する重合体からなる難燃
剤と、その他の難燃剤とを併用添加することにより、発
泡体の燃焼時に溶融滴下せず、炭化することで形状があ
る程度保持されると共に、揮発性物質の放散が少なく、
かつ、熱可塑性樹脂であることからリサイクル性にもす
ぐれた建築用断熱材料が得られることを見いだし、本発
明に至った。特に、ハロゲン系難燃剤を併用せず、非ハ
ロゲン系の発泡剤を使用する場合には、非常に環境適合
性に優れた発泡体が提供される。
【0008】すなわち本発明は、スチレン系樹脂100
重量部、ケイ素、ホウ素及び酸素からなり、実質的にケ
イ素−酸素結合及びホウ素−酸素結合から形成される骨
格を有し、かつ、分子内に芳香環を有する重合体からな
る難燃剤0.1〜40重量部、並びに、その他の難燃剤
0.1〜400重量部、を含有するスチレン系樹脂組成
物である。
【0009】前記ケイ素、ホウ素及び酸素からなる難燃
剤は、その骨格が実質的にSi−O−Si結合、Si−
O−B結合、及びB−O−B結合とからなり、かつ、分
子内の芳香環がケイ素原子に直接結合したものが好まし
く用いられる。
【0010】その他の難燃剤として、1)リン系化合物
0.1〜200重量部、並びに、2)トリアジン骨格含
有化合物および/または多価アルコール類を0.1〜2
00重量部からなるものが、より好ましく用いられる。
【0011】また本発明は、上記スチレン系樹脂組成物
を発泡成形してなるスチレン系樹脂発泡体でもある。上
記難燃性樹脂組成物に発泡剤を含有させた後、発泡成形
することにより、スチレン系樹脂発泡体を製造すること
ができる。以下に本発明を詳述する。
【0012】本発明で用いられるスチレン系樹脂として
は、スチレン単量体のみから得られるポリスチレンホモ
ポリマー、スチレン単量体とスチレンと共重合可能な単
量体あるいはその誘導体から得られるランダム、ブロッ
クあるいはグラフト共重合体、後臭素化ポリスチレン、
ゴム強化ポリスチレンなどの変性ポリスチレンなどが挙
げられる。
【0013】スチレン単量体と共重合可能な単量体とし
ては、α−メチルスチレン、α−エチルスチレンなどの
芳香族ビニル単量体類、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリルなどのシアン化ビニル単量体類、メタクリル酸
メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メ
タクリル酸ステアリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエ
チルなどのメタクリル酸エステル類、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸
ステアリル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのア
クリル酸エステル類、メタクリル酸、アクリル酸などの
(メタ)アクリル酸類、マレイン酸、α−フェニル無水
マレイン酸、α−メチル無水マレイン酸などのα,β−
不飽和カルボン酸無水物類、N−フェニルマレイミド、
マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プ
ロピルマレイミド、ラウリルマレイミドなどのマレイミ
ド系単量体、グリシジルメタクリレートなどのグリシジ
ル基含有単量体類などが挙げられる。これらは単独ある
いは2種以上混合して使用することができる。
【0014】スチレン系樹脂としては、発泡体を得る際
の成形性からポリスチレンホモポリマーが好ましい。
【0015】本発明ではまた、必須の成分としてケイ
素、ホウ素及び酸素からなり、実質的にケイ素−酸素結
合及びホウ素−酸素結合から形成される骨格を有し、か
つ、分子内に芳香環を有する重合体(以下「難燃剤重合
体」ともいう)が添加される。すなわち、上記難燃剤重
合体の骨格を形成する結合のうち、80%以上、好まし
くは90%以上を、ケイ素−酸素結合及びホウ素−酸素
結合が占めるが、これら以外に、ケイ素−ケイ素結合、
ホウ素−ホウ素結合、酸素−酸素結合、ケイ素と2価の
有機基との結合、ホウ素と2価の有機基との結合、など
が含まれていても良い。なお本明細書では、骨格という
場合、ケイ素またはホウ素と1価の有機基との結合は、
骨格を形成する結合から除外して考える。
【0016】好ましくは、上記難燃剤重合体は、ケイ素
原子又はホウ素原子が酸素原子を介して他のケイ素原子
やホウ素原子と結合してなる骨格を有する。この場合、
難燃剤重合体の骨格はSi−O−B結合、Si−O−S
i結合、及びB−O−B結合からなる。すなわち、上記
難燃剤重合体の骨格は、Si−O−B結合のみから形成
されるものでも良いし、実質的にSi−O−B結合から
形成され、わずかにSi−O−Si結合及び/又はB−
O−B結合を含むものでも良い。またSi−O−B結
合、Si−O−Si結合、及びB−O−B結合をランダ
ムに含むような骨格でも良い。さらに、実質的にSi−
O−Si結合及びB−O−B結合からなり、わずかにS
i−O−B結合を含むような骨格でも良い。この場合、
上記難燃剤重合体は、ほぼケイ素のみからなる部分と、
ほぼホウ素のみからなる部分とが分子中で分割されたよ
うな骨格を持つ。上記難燃剤重合体の骨格は、線状骨格
であっても良いし、三次元架橋構造であっても良いが、
難燃性の観点から、三次元架橋構造が好ましい。
【0017】本発明における難燃剤重合体は、分子内に
有機基を有する。ここで有機基とは、炭素原子と、水素
原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、など
のいずれかとから構成される1価以上の置換基をいう。
典型的には炭化水素基であり、炭素数1〜20が好まし
い。
【0018】本発明の難燃剤重合体は、有機基の中で
も、特に、芳香環を有するものである。この芳香環は、
1価、2価、3価などであってよいが、合成の容易さか
ら、1価のものが好ましい。また、分子内の芳香環はど
のような形式で結合されていても良く、ケイ素原子及び
/又はホウ素原子に直接結合してもよいし、メチレン基
やエチレン基などの2価の有機基を介してケイ素原子及
び/又はホウ素原子に結合してもよい(すなわち芳香環
は、ベンジル基やフェニルエチル基などのアラルキル基
として含まれるものでもよい)。難燃性がより向上する
ため、分子内の芳香環はケイ素原子に直接結合したもの
が好ましい。分子内に芳香環を導入する方法には特に限
定は無い。
【0019】ここで芳香環とは芳香族に属する環の総称
を指し、特に限定されるものではない。好ましい芳香環
としては、フェニル基、クレジル基、キシレニル基、ナ
フチル基、アントラセニル基が挙げられる。より好まし
くは炭素数6〜20の1価のベンゼン又は縮合ベンゼン
系芳香族基であり、さらに好ましくは炭素数6〜10の
ものである。また、酸素、窒素、その他の元素で置換さ
れた芳香環であってもよい。
【0020】また本発明の難燃剤重合体は、上記芳香環
を含まない有機基を更に有してもよい。上記芳香環を含
まない有機基は、1価、2価、3価などであってよい
が、合成の容易さから、1価のものが好ましい。芳香環
を含まない有機基としては1価の直鎖又は環状のアルキ
ル基が挙げられ、なかでも炭素数1〜12のものが好適
である。より優れた難燃性を得るためには、アルキル基
の炭素数が少ないもの、具体的には炭素数1〜4のもの
が好ましい。特に好ましいアルキル基はメチル基であ
る。
【0021】全有機基中に占める、芳香環を有する有機
基の比率には特に限定は無いが、より優れた難燃性を得
るためには有機基の10mol%以上が芳香環を有する
有機基であることが好ましく、有機基の30mol%以
上が芳香環を有する有機基であることがより好ましく、
有機基の50mol%以上が芳香環を有する有機基であ
ることがさらに好ましい。
【0022】本発明の難燃剤重合体は公知の方法で製造
することができ、たとえば特開昭53−50299号公
報、特開昭54−83100号公報、特開昭57−23
629号公報、特開昭58−201821号公報、等に
記された方法で製造することが可能である。
【0023】具体的には、例えばホウ酸、酸化ホウ素、
ホウ酸金属塩、ハロゲン化ホウ素、ホウ酸エステルなど
から選ばれる1種以上のホウ素化合物と、SiR
(4−n (式中、Rは1価の有機基を表す。nは1、
2、3のいずれかである。Xはハロゲン、水酸基、及び
水酸基の脱水縮合物(例えばアルコキシ基など)から選
ばれる1種以上であり、複数のR、複数のXはそれぞれ
同一でも互いに異なっていてもよい。)で示される1種
以上のケイ素化合物とを、溶媒の存在下あるいは非存在
下にて、必要により加熱しながら混合することにより合
成することが可能である。このときSiR
(4−n)で示される化合物のうちRとして芳香環を有
する化合物を一部又は全部用いることにより、骨格中に
芳香環を有する難燃剤重合体を得ることができる。
【0024】本発明の難燃剤重合体に含まれるケイ素原
子:ホウ素原子比率は特に限定されないが、ケイ素原
子:ホウ素原子比率がモル比で100:1〜1:4が好
ましく、70:1〜1:3がさらに好ましく、50:1
〜1:2が最も好ましい。ケイ素原子:ホウ素原子比率
が100:1よりもケイ素原子比率が高くなると、得ら
れる難燃性が十分でないことがある。ケイ素原子:ホウ
素原子比率が1:4よりもホウ素原子比率が高くなる
と、得られる重合体が加水分解されやすくなるなど不安
定となる傾向がある。なお、この比率は出発原料の種
類、反応条件、仕込み比、等により任意に変更すること
が可能である。
【0025】本発明の難燃剤重合体は、樹脂との親和性
を高めたり、各種特性を付与するために、本発明の趣旨
を損なわない範囲で各種化合物を共重合させたり、各種
官能基にて変成させることができる。各種化合物を共重
合させる方法には特に限定はなく、グラフト共重合体、
ブロック共重合体、ランダム共重合体、末端のみ置換さ
れた共重合体、等が挙げられる。各種官能基にて変成さ
せる方法にも特に限定はなく、官能基含有化合物を共重
合する方法、難燃剤を合成した後に各種化学反応により
変成させる方法、等が挙げられる。また共重合させる化
合物は本発明の趣旨を損なわない範囲で特に限定は無
い。共重合させる化合物の例として、エポキシ基含有化
合物、ビニル基含有化合物、水酸基含有化合物、カルボ
ニル基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、アルコ
キシル基含有化合物、フェニル基含有化合物、アミノ基
含有化合物、アミド基含有化合物、イミド基含有化合
物、メルカプト基含有化合物、ニトリル基含有化合物、
エーテル基含有化合物、エステル基含有化合物、各種高
分子化合物、等が挙げられる。特に添加される樹脂と親
和性の高い置換基を有する化合物または高分子を共重合
させることにより、得られた難燃性樹脂組成物の各種特
性を維持させることが可能となる。
【0026】本発明の難燃剤重合体の重量平均分子量は
特に限定されないが、800以上1000万以下が好ま
しく、1000以上100万以下がさらに好ましく、1
200以上20万以下が最も好ましい。重量平均分子量
が800未満の場合得られる難燃性が十分でないことが
あり、重量平均分子量が1000万を超えると得られる
難燃性樹脂組成物の成形加工性が低下する傾向がある。
【0027】本発明の難燃剤重合体を使用する場合の形
状としては特に限定されず、オイル状、ガム状、ワニス
状、粉体状、ペレット状など任意の形状であってよい。
本発明の難燃剤を使用する場合には、1種類のみを単独
で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用しても
よい。2種以上の組み合わせとしては特に限定されず、
重合成分やモル比が異なるもの、分子量が異なるもの等
を任意に組み合わせて使用することができる。また、本
発明の難燃剤には、本発明の趣旨を損なわない範囲でそ
の他の添加物を配合することを排除するものではない。
【0028】本発明においては、上記の難燃剤重合体を
添加することにより、樹脂組成物の耐熱性が向上し樹脂
の分解が抑えられるので、高難燃性を得るのに好まし
い。難燃剤重合体は、その添加量が少なすぎると難燃性
に対する添加効果が得られず、多すぎると原材料費が増
大するだけで難燃性の向上はあまり望めない。本発明に
おける難燃剤重合体の添加量は、スチレン系樹脂100
重量部に対して0.1〜40重量部の範囲内とされる。
【0029】さらに、上記の難燃剤重合体以外のケイ素
化合物を添加してもよい。ケイ素化合物として特にシリ
コーン化合物を添加することにより、難燃性をさらに向
上させることができる。シリコーン化合物としては特に
限定されないが、シリコーンオイル、シリコーンガム、
シリコーンパウダーやシリコーン変性樹脂を好ましく用
いることができ、数種を併用してもよい。このようなシ
リコーン化合物の添加量は、少なすぎると添加効果が得
られず、あまり多くしても原材料費が増大するだけで難
燃性の向上はあまり望めない。これらのシリコーン化合
物は、これを添加することにより耐熱性が向上し、樹脂
の分解が抑えられるので、高難燃性を達成するのに有用
である。シリコーン化合物以外のケイ素化合物として、
ポリシラン化合物、シリカ粉末、ケイ酸塩化合物、等を
用いることも可能である。
【0030】本発明においては、上記の難燃剤重合体を
用いることにより、ハロゲン系難燃剤を使用しないでも
難燃性の向上が果たせるため、環境適合性に優れた発泡
体が得られるが、得られる発泡体の難燃性をさらに向上
させ、実用的な用途に適用させるためには、上記難燃剤
重合体と共に、他の難燃剤が併用して用いられる。併用
して用いられる難燃剤には特に制限はない。
【0031】他の難燃剤のうち、ハロゲン系難燃剤とし
ては例えば、ヘキサブロモシクロドデカンなどの脂肪族
あるいは脂環族炭化水素の臭素化物、ヘキサブロモベン
ゼン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、デカブロ
モジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテ
ル、2,3−ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエ
ーテルなどの芳香族化合物の臭素化物、テトラブロモビ
スフェノールA、テトラブロモビスフェノールAビス
(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモ
ビスフェノールA(2−ブロモエチルエーテル)、テト
ラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、テト
ラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとトリ
ブロモフェノール付加物などの臭素化ビスフェノール類
およびその誘導体、テトラブロモビスフェノールAポリ
カーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノール
Aジグリシジルエーテルとブロモ化ビスフェノール付加
物エポキシオリゴマーなどの臭素化ビスフェノール類誘
導体オリゴマー、テトラブロモフタレーロジオール、テ
トラブロモフタレートエステル、テトラブロモフタレー
トジソジウム、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリ
レート)、ペンタブロモフェノール、ブロモフェノキシ
エタノール、臭素化フェノール(ノボラック型)、ジブ
ロモクレジルグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリア
ジン、ビニルブロマイド、トリブロモフェノール、ジブ
ロモフェノール、ジブロモメタクレゾール、ジブロモネ
オペンチルグリコール、エチレンビステトラブロモフタ
ルイミド、エチレンビスジブロモノルボルナンジカルボ
キシイミド、ビス(2,4,6ートリブロモフェノキ
シ)エタン、臭素化アクリル系樹脂などの臭素系芳香族
化合物、塩素化パラフィン、塩素化ナフタレン、パーク
ロロペンタデカン、テトラクロロ無水フタル酸、塩素化
芳香族化合物、塩素化脂環状化合物、などのハロゲン系
難燃剤が挙げられる。
【0032】ハロゲン系難燃剤以外にも、リン系難燃
剤、窒素含有化合物、さらには水酸化アルミニウム、水
酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、四酸化アンチモ
ン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、硼
酸、硼酸亜鉛、硼酸バリウム、酸化硼素などの無機化合
物、などの非ハロゲン系難燃剤が挙げられる。
【0033】難燃剤の添加量は、例えばJIS A95
11に規定される難燃性を得られるよう、発泡剤添加量
などにあわせて適宜調整されるが、スチレン系樹脂10
0重量部に対して、0.1〜400重量部であり、好ま
しくは、1〜150重量部、さらに好ましくは、2〜1
00重量部である。
【0034】また、その他の難燃剤として、1)リン系
化合物と2)トリアジン骨格含有化合物および/または
多価アルコール類を用いることで、燃焼時に炭化を促進
し、溶融滴下を抑制して燃焼時に形態がある程度保持さ
れた発泡体を得ることができる。これは、スチレン系樹
脂あるいは他の配合剤から水素原子を引き抜き、あるい
は脱水酸基あるいは脱水をする作用を示し、炭化を促進
させることで効果が現れているものと考える。さらに、
これらの難燃剤を前記難燃剤重合体と併用して用いるこ
とにより、ハロゲン系難燃剤を併用することなく高度な
難燃性を発揮することができるため、非常に環境適合性
に優れた発泡体が提供される。
【0035】その他の難燃剤のうち、好ましい組み合わ
せのひとつとして用いられるリン系化合物は、分子中に
リン原子を有する化合物であれば特に制限はなく、例え
ば、三酸化リン、四酸化リン、五酸化リンなどのリン酸
化物、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、メタリン酸、ピ
ロリン酸、ポリリン酸などのリン酸化合物、モノアンモ
ニウムホスフェート、ジアンモニウムホスフェート、ア
ンモニウムポリホスフェートなどのリン酸アンモニウム
塩、メラミンモノホスフェート、メラミンジホスフェー
ト、メラミンポリホスフェートなどのリン酸メラミン
塩、リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウ
ム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムなどのリン
酸金属塩などのリン酸塩類、トリメチルホスフェート、
トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、ト
リ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシ
エチルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2
−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2
−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートな
どの脂肪族系リン酸エステル類、トリフェニルホスフェ
ート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホス
フェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェー
ト、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナ
フチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェー
ト、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル
(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピ
ルフェニル)フェニルホスフェート、ジフェニル−2−
アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−
2−メタクリロイルオキシエチルホスフェートなどの芳
香族系リン酸エステル類、下記の一般式(1)で表され
る、リン酸エステル基を2以上有するリン酸エステル
類、
【0036】
【化1】
【0037】(式中、Rはレゾルシノール、ハイドロ
キノン、ビスフェノールA、ビフェニル、等の残基、R
はフェニル基、クレジル基、キシレニル基などであ
り、同一でも異なっていてもよい、nは1以上の整数で
ある)
【0038】一般式(1)で表されるリン酸エステル類
としては、レゾルシノール・ビス(ジフェニルホスフェ
ート)、レゾルシノール・ビス(ジキシレニルホスフェ
ート)、レゾルシノール・ビス(ジクレジルホスフェー
ト)、ハイドロキノン・ビス(ジフェニルホスフェー
ト)、ハイドロキノン・ビス(ジキシレニルホスフェー
ト)、ハイドロキノン・ビス(ジクレジルホスフェー
ト)、ビスフェノールA・ビス(ジフェニルホスフェー
ト)、ビスフェノールA・ビス(ジキシレニルホスフェ
ート)、ビスフェノールA・ビス(ジクレジルホスフェ
ート)などの芳香族系ジ(リン酸エステル)類(前記一
般式(1)において、n=1のもの)、ポリ(レゾルシ
ノール・フェニルホスフェート)、ポリ(レゾルシノー
ル・クレジルホスフェート)、ポリ(レゾルシノール・
キシレニルホスフェート)、ポリ(ハイドロキノン・フ
ェニルホスフェート)、ポリ(ハイドロキノン・クレジ
ルホスフェート)、ポリ(ハイドロキノン・キシレニル
ホスフェート)、ポリ(ビスフェノールA・フェニルホ
スフェート)、ポリ(ビスフェノールA・クレジルホス
フェート)、ポリ(ビスフェノールA・キシレニルホス
フェート)などの芳香族系ポリ(リン酸エステル)類
(前記一般式(1)においてnが2以上のもの)などの
リン酸エステル類、ホスファゼン、ポリホスファゼンな
どのホスファゼン類、リン酸アミン類、リン酸アミド類
などが挙げられる。
【0039】該リン系化合物が粒子状、粉体状、板状、
針状などの固体形状であった場合にはメラミン樹脂、フ
ェノール樹脂、グアナミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタ
ン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、シランカップリン
グ剤などから選ばれる1種以上の化合物など表面被覆あ
るいは表面処理できる化合物で表面処理されたものであ
ってもよい。
【0040】該リン系化合物では、燃焼時の形状保持の
観点から、アンモニウムホスフェート、アンモニウムポ
リホスフェート、メラミンホスフェート、メラミンポリ
ホスフェートなどのリン酸塩、トリフェニルホスフェー
ト、前記一般式(1)で表される芳香族ジ(リン酸エス
テル)類または芳香族ポリ(リン酸エステル)類などの
リン酸エステル類、ホスファゼン、ポリホスファゼンな
どのホスファゼン類が好ましい。さらに、リン酸塩類で
は表面処理されたリン酸塩類がより好ましい。
【0041】該リン系化合物の含有量は、スチレン系樹
脂100重量部に対して、0.1〜200重量部であ
り、好ましくは1〜150重量部、さらに好ましくは2
〜100重量部である。リン系化合物が0.1重量部未
満では自己消火性改善効果が小さく、200重量部を越
えると発泡体の成形性が困難となる傾向がある。
【0042】その他の難燃剤のうち、好ましい組み合わ
せのもうひとつとして用いられるトリアジン骨格含有化
合物および/または多価アルコール類は、燃焼時の炭化
を促進し、形状保持性をより高めるために、併用され
る。
【0043】本発明で用いられるトリアジン骨格含有化
合物とは、炭素原子と窒素原子からなるトリアジン構造
を有する化合物であり、具体的にはメラミン、メチロー
ルメラミン類などのメラミン誘導体、シアヌル酸、メチ
ルシアヌレート、ジエチルシアヌレート、トリメチルシ
アヌレート、トリエチルシアヌレート、イソシアヌル
酸、メチルイソシアヌレート、N,N′−ジエチルイソ
シアヌレート、トリスメチルイソシアヌレート、トリス
エチルイソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチ
ル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(2−カル
ボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2,3−エ
ポキシプロピル)イソシアヌレートなどのシアヌル酸、
イソシアヌル酸またはその誘導体、メラミンシアヌレー
トなどのメラミン(誘導体)と(イソ)シアヌル酸(誘
導体)との塩などが挙げられる。
【0044】トリアジン骨格含有化合物では、燃焼時の
形状保持の観点から、メラミン、シアヌル酸、イソシア
ヌル酸、メラミンシアヌレートなどが好ましい。
【0045】本発明で用いられる多価アルコール類は、
1分子中に2個以上の水酸基を含有する化合物であっ
て、その具体例としては、モノペンタエリスリトール、
ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールな
どのペンタエリスリトール類、エチレングリコール、ジ
エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレン
グリコールとプロピレングリコールとの共重合体などの
グリコール類、グリセリン、レゾルシノール、トリメチ
ロールプロパンなどが挙げられる。
【0046】多価アルコール類では、燃焼時の形状保持
の観点から、モノペンタエリスリトールが好ましい。
【0047】トリアジン骨格含有化合物の含有量、また
は多価アルコール類の含有量、さらにはトリアジン骨格
含有化合物および多価アルコール類の混合含有量は、ス
チレン系樹脂100重量部に対して、0.1〜200重
量部であり、好ましくは1〜150重量部、さらに好ま
しくは2〜100重量部である。含有量が0.1重量部
未満では自己消火性改善効果が小さく、200重量部を
越えると発泡体の成形性が困難となる傾向がある。
【0048】本発明では、燃焼時の形状保持性をより高
めるためにトリアジン骨格含有化合物および多価アルコ
ール類の両化合物を含有することがより好ましい。トリ
アジン骨格含有化合物と多価アルコール類の含有比率と
しては重量比(トリアジン骨格含有化合物/多価アルコ
ール類)で5/95〜95/5であり、好ましくは10
/90〜90/10である。
【0049】本発明において用いられる発泡剤に特に制
限はないが、例えば、プロパン、n−ブタン、i−ブタ
ン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタンなどに
例示される飽和炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチル
エーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテ
ル、n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フ
ラン、フルフラール、2−メチルフラン、テトラヒドロ
フラン、テトラヒドロピランなどに例示されるエーテル
類、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケ
トン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケ
トン、メチルi−ブチルケトン、メチルn−アミルケト
ン、メチルn−ヘキシルケトン、エチルn−プロピルケ
トン、エチルn−ブチルケトンに例示されるケトン類、
メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プ
ロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアル
コール、t−ブチルアルコールに例示されるアルコール
類、蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プ
ロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエス
テル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチ
ルエステルに例示されるカルボン酸エステル類、アゾジ
カルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,
N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トル
エンスルホニルヒドラジン、p,p′−オキシビス(ベ
ンゼンスルホヒドラジド)、塩化メチル、塩化エチルな
どに例示される有機発泡剤、トリクロロフルオロメタン
(R11)、ジクロロジフルオロメタン(R12)、ク
ロロジフルオロメタン(R22)、テトラクロロジフル
オロエタン(R112)、ジクロロフルオロエタン(R
141b)、クロロジフルオロエタン(R142b)、
ジフルオロエタン(R152a)、HFC−245f
a、HFC−236ea、HFC−245ca、HCF
C−225caなどに例示されるフロン系発泡剤、水、
二酸化炭素、窒素、空気などに例示される無機発泡剤な
どが挙げられる。これらは単独又は2種以上混合して使
用することができる。
【0050】これらの中でも、次に記す非ハロゲン系発
泡剤を使用することにより、本発明の発泡体の環境適合
性を更に向上させることができるため望ましい。すなわ
ち、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタ
ン、i−ペンタン、ネオペンタンなどに例示される飽和
炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチ
ルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチル
エーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラ
ール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラ
ヒドロピランなどに例示されるエーテル類、 N,N′
−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N′−ジ
メチルN,N′−ジニトロソテレフタールアミド、アゾ
ジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジドアゾ
ジカルボンアミド、 p−トルエンスルホニルヒドラジ
ン、アゾビスホルムアミド、ジエチルアゾジカルボキシ
レート、アゾビスイソブチロニトリル 、p−トルエン
スルホニルヒドラジン、p,p′−オキシビス(ベンゼ
ンスルホヒドラジド)、3,3′−ジスルホヒドラジド
ジフェニルスルフォンなどの有機化学発泡剤、水、二酸
化炭素、窒素、空気、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭
酸アルミニウム、炭酸亜鉛、炭酸アンモニウム、炭酸水
素ナトリウム、炭酸水素カリウム、その他の炭酸塩、そ
の他の炭酸水素塩、などに例示される無機発泡剤などの
非ハロゲン系発泡剤が環境適合性の観点で好ましい。
【0051】本発明のスチレン系樹脂発泡体の製造時
に、スチレン系樹脂中に添加または添加される発泡剤の
量としては、発泡倍率の設定値などに応じて適宜変えれ
ばよい。通常、発泡倍率20〜40倍程度であれば発泡
剤の合計量を該スチレン系樹脂100重量部に対して2
〜20重量部とするのが好ましい。発泡倍率が極小さく
て良い場合は、発泡剤の添加量が2重量部未満でも充分
である。逆に発泡倍率が100倍といった大きな場合
は、20重量部を越えて添加する場合もあるが、この場
合、過剰な発泡剤量のため発泡体中にボイドなどの不良
を生じることに注意しなければならない。ただし、発泡
剤として飽和炭化水素化合物を用いた場合には、10重
量部を越えると発泡体の燃焼時に発泡剤自体が燃焼し、
難燃性が低下する場合がある。
【0052】また本発明においては、必要に応じて本発
明の効果を阻害しない範囲でシリカ、タルク、ケイ酸カ
ルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイ
カ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機
化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネ
シウム、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン、オレ
フィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの加
工助剤、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、ベンゾ
トリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定
剤、帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤を含有
させることができる。
【0053】本発明のスチレン系樹脂発泡体の製造は、
押出機を用いて、スチレン系樹脂、難燃剤重合体、その
他難燃剤、を加熱溶融させた後、発泡剤を注入して押出
発泡する方法、スチレン系樹脂、難燃剤重合体、その他
難燃剤、発泡剤を同時に加熱溶融混練して押出発泡する
方法、予め発泡剤を含有したスチレン系樹脂、難燃剤重
合体、その他難燃剤、からなる組成物をプレス機を用い
て加熱溶融し成形体とした後、再び加熱して発泡させる
方法、予め発泡剤を含有したスチレン系樹脂、難燃剤重
合体、その他難燃剤、からなる組成物を粒状に加工し、
これを型内に充填後加熱して発泡させる方法、などが挙
げられる。発泡成形する際の、温度等の条件は、スチレ
ン系樹脂を用いた一般的な発泡体を製造する場合に通常
適用されるものと同様の条件であってよい。
【0054】
【実施例】次に本発明のスチレン系樹脂発泡体について
実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はか
かる実施例のみに制限されるものではない。なお、特に
断らない限り「部」は重量部を、「%」は重量%を表
す。
【0055】製造例1 樹脂添加用難燃剤(S−1)の
製造 ホウ酸(100g、1.62mol)を含むピリジン溶
液(1L)に、氷冷下、フェニルトリクロロシラン(3
42.7g、1.62mol)を滴下し、滴下終了後5
時間加熱し、環流下反応を行った。その後、トリメチル
クロロシラン(176g、1.62mol)を加えてさ
らに3時間環流して反応を終了した。反応混合物は2N
−塩酸で中和し、ジエチルエーテル(500mL)で抽
出した。得られた溶液は無水硫酸ナトリウムで乾燥し、
真空下溶剤を留去することにより目的の化合物を得た。
分子量はGPC分析の結果、数平均分子量2500、重
量平均分子量3000(ポリスチレン換算、UV検出
器、トルエン溶媒)であった。得られた化合物は、IR
分析の結果1360cm−1付近にB−O結合由来のピ
ークを示し、1430cm-1付近にSi−Ph結合由来
のピークを示した。NMRによる分析の結果、ケイ素原
子全数中、Me3 −Si−O1/2結合が17モル%、
Ph−Si−O3/2結合が83モル%であった。
【0056】製造例2 樹脂添加用難燃剤(S−2)の
製造 フェニルトリメトキシシラン(307.8g、1.55
mol)、ジフェニルジメトキシシラン(379.4
g、1.55mol)、ホウ酸(160g、2.59m
ol)、を窒素気流下150℃にて3時間加熱攪拌し、
メタノールを留去した。メタノールが発生しなくなった
後300℃まで昇温し、1時間さらに攪拌後、冷却する
ことにより目的の化合物を得た。分子量はGPC分析の
結果、数平均分子量1700、重量平均分子量1800
(ポリスチレン換算、UV検出器、トルエン溶媒)であ
った。得られた化合物は、IR分析の結果1360cm
-1付近にB−O結合由来のピークを示し、1430cm
-1付近にSi−Ph結合由来のピークを示した。NMR
による分析の結果、ケイ素原子全数中、Ph−Si−O
3/2結合が50モル%、Ph−Si−O結合が50
モル%、であった。
【0057】以下に示す実施例、比較例の方法で得られ
た発泡体の特性として、自己消火性、燃焼時の溶融変形
・溶融滴下状況(形状保持性)を下記の方法に従って評
価した。 (1)自己消火性:製造後14日経過した発泡体を用
い、JIS A9511に規定の燃焼性評価における測
定方法Aに準じて燃焼性試験を行い、下記の基準に従い
判定した。 ○:炎を離した後、5秒以内に消炎した △:炎を離した後、燃焼時間は5秒を越えたが自己消火
性を示した ×:炎を離した後、自己消火せず試験片全体が燃焼して
しまった
【0058】(2)燃焼時の溶融変形、溶融滴下状況
(形状保持性):上記(1)と同様に燃焼性試験を行
い、消炎後の状態を目視にて観察し下記の基準に従い判
定した。 ○:溶融滴下せず、炭化あるいは発泡炭状になり、形状
をほぼ維持あるいは変形するものの収縮は見られない △:溶融滴下せず、炭化あるいは発泡炭状になるが、収
縮が見られた ×:溶融滴下して試験片が残存しなかった
【0059】実施例1 ポリスチレン樹脂(新日鐵化学(株)製、商品名:エス
チレンG−17、メルトインデックス(MI)=3)1
00重量部に対して、難燃剤重合体として、製造例1に
て製造されたS−1を8重量部、リン系化合物として表
面処理されたポリリン酸アンモニウム(チッソ(株)
製;商品名「テラージュC60」)(以下、APPと略
す)10重量部、トリアジン骨格含有化合物としてメラ
ミンシアヌレート(日産化学工業(株)製、商品名「M
C440」)(以下、MCと略す)10重量部、多価ア
ルコール類としてモノペンタエリスリトール(和光純薬
工業(株):試薬:以下、PEと略す)10重量部、タ
ルク0.3重量部、ステアリン酸バリウム0.2重量部
をドライブレンドした後、30mmφ同方向回転二軸押
出機(L/D=30)を用いて溶融混練し樹脂組成物を
得た。
【0060】得られた樹脂組成物を口径65mmと口径
90mmのものを縦に連結した押出機へ約40kg/h
rの割合で供給した。前記口径65mmの押出機に供給
し、200℃に加熱して溶融混練し、これに連結された
口径90mmの押出機で樹脂温度を120℃に冷却し、
口径90mmの押出機の先端に設けた厚さ方向2mm、
幅方向50mmの長方形断面吐出口のあるダイスより大
気中へ押し出し、直方体状の押出発泡体を得た。このと
き発泡剤として、イソブタンを該スチレン樹脂100重
量部に対して3部、ジメチルエーテルを3部からなる発
泡剤を、それぞれ別のラインから、前記口径65mmの
押出機の先端付近(口径90mmの押出機の先端ダイス
と反対側の端部側に接続される側の端部)から前記樹脂
中に圧入した。得られた発泡体の特性を表1に示す。下
記、比較例1〜3と比較し、自己消火性を有しかつ形状
保持性が向上した発泡体が得られた。
【0061】実施例2〜6 表1に示すリン系化合物、トリアジン骨格含有化合物、
多価アルコール類の種類および量の樹脂組成物、およ
び、発泡剤種および注入量に変更した以外は、実施例1
と同様にして発泡体を得た。得られた発泡体の特性を表
1に示す。下記、比較例1〜3と比較し、自己消火性を
有しかつ形状保持性が向上した発泡体が得られた。
【0062】ただし、用いた化合物は下記の通りであ
る。 リン系化合物 ・トリフェニルホスフェート;大八化学工業(株)製、
商品名「TPP」(以下、TPPと略す) ・メラミン;和光純薬工業(株)製試薬 ・1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン;ダイキン工
業(株)製(以下、HCFC142bと略す) ・ヘキサブロモシクロドデカン(以下、HBCDと略
す)
【0063】比較例1〜3 表1に示した樹脂組成物とした以外は実施例1と同様に
して発泡体を得た。得られた発泡体の特性を表1に示
す。実施例1〜6と比較して、形状保持性が劣る。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、環境適合性に優れた熱
可塑性樹脂であるスチレン系樹脂からなる発泡体であ
り、燃焼時の溶融変形、溶融滴下の問題が飛躍的に改善
され、難燃性、断熱性の優れたスチレン系樹脂発泡体が
得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 85:04) C08L 85:04) Fターム(参考) 4F074 AA32 AA94 AD04 AD13 AD16 AG10 BA31 BA32 BA33 BA34 BA35 BA36 BA37 BA38 BA39 BA67 BA72 BA75 CA22 CC04X CC05X CC22X DA08 DA18 DA32 DA50 4J002 BB243 BC031 BC041 BG073 BP011 CD123 CG033 CP192 CQ022 EB026 EB046 EB076 EB126 EB136 EC046 ED076 EH146 EJ056 EL026 EL136 ER006 EU186 FD133 FD136 GL01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系樹脂100重量部、ケイ素、
    ホウ素及び酸素からなり、実質的にケイ素−酸素結合及
    びホウ素−酸素結合から形成される骨格を有し、かつ、
    分子内に芳香環を有する重合体からなる難燃剤0.1〜
    40重量部、並びに、その他の難燃剤0.1〜400重
    量部、を含有することを特徴とするスチレン系樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 前記ケイ素、ホウ素及び酸素からなる重
    合体の骨格が、実質的にSi−O−Si結合、Si−O
    −B結合、及びB−O−B結合からなり、かつ、分子内
    の芳香環がケイ素原子に直接結合したものであることを
    特徴とする、請求項1記載のスチレン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 その他の難燃剤として、1)リン系化合
    物0.1〜200重量部、並びに、2)トリアジン骨格
    含有化合物および/または多価アルコール類を0.1〜
    200重量部含有することを特徴とする、請求項1また
    は請求項2記載のスチレン系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3項のいずれか1項に記載の
    スチレン系樹脂組成物を発泡成形してなるスチレン系樹
    脂発泡体。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のス
    チレン系樹脂組成物に発泡剤を含有させ、発泡成形する
    ことを特徴とする、スチレン系樹脂発泡体の製造方法。
  6. 【請求項6】 発泡剤が非ハロゲン系発泡剤である請求
    項5記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102675765A (zh) * 2012-05-22 2012-09-19 苏州新区华士达工程塑胶有限公司 一种改性聚苯乙烯的配方
CN110305365A (zh) * 2019-06-19 2019-10-08 四川汇森科技有限责任公司 一种环氧玻璃纤维湿法缠绕无卤阻燃剂及环氧玻璃纤维预浸料

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