JP4156331B2 - 熱可塑性樹脂発泡体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非ハロゲン難燃剤を使用することにより環境適合性に優れ、特に非ハロゲン系発泡剤を用いた場合には、更に環境適合性により優れた熱可塑性樹脂からなる発泡体であり、難燃性に優れ、更には燃焼時の溶融変形及び溶融滴下性が飛躍的に改善された熱可塑性樹脂の発泡体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スチレン系樹脂にフロン類などの発泡剤を添加し、押出発泡、ビーズ法発泡して発泡体を得ることは既に知られており、このようなスチレン系樹脂発泡体を例えば建築用断熱材料として用いる場合、自己消火性などの難燃性が要求され、例えば、JIS規格A 9511などにその燃焼性レベルが規定されており、一般にハロゲン系難燃剤が添加されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
これとは逆に、ハロゲン系難燃剤を使用すると、ハロゲン系難燃剤が成形加工時に分解し、スチレン系樹脂の劣化を促進させることなどから、ハロゲンを含有しない難燃剤を使用することも検討されており、赤リンを0.1〜20%と液化炭化水素ガスを0.5〜10%含むポリスチレンまたはスチレン共重合体樹脂を金属管の外周に発泡倍率3〜20倍に押出被覆することを特徴とする難燃発泡樹脂被覆断熱管の製造方法等が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
一方、フロン類はオゾン層保護、地球温暖化などの観点から、可能ならば代替していくことが望まれており、本発明者らは、発泡剤にプロパン、ブタンなどの飽和炭化水素を用いた発泡体において、JIS規格A 9511で規定する高度な難燃性と押出法ポリスチレンフォーム保温板3種の如き高度な断熱性を両立できる技術を提案した(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
これらとは別に、スチレン系樹脂の難燃性を高める目的で、ハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤とともに、ポリカーボネート系樹脂やポリフェニレンエーテル系樹脂などの樹脂をブレンドした樹脂組成物は知られており、更に窒素含有化合物やシリコーン含有化合物を併用することにより、燃焼時のドリッピングが抑制されることが示されている。しかしながら、このような方法は、あくまでも非発泡体に関するものであり、発泡体における燃焼時の収縮や溶融滴下を改善する内容(燃焼時の形状保持性)に言及するものではない(例えば、特許文献4〜10参照。)。
【0006】
発泡体に関するものとして、アルケニル芳香族ポリマー、揮発性発泡剤、及びポリフェニレンエーテルと芳香族ホスフェートからなる膨張助剤を含んで成る膨張性ポリマー組成物を開示しているが、芳香族ホスフェートを可塑剤として使用しており、この方法では十分な燃焼時の形状保持性は得られない。(例えば、特許文献11参照。)
また、ポリフェニレンエーテルとアルケニル芳香族ポリマー、更に難燃剤として有機ホスフェートなどを含ませて押出機で溶融し、これに発泡剤を導入して発泡体を得ているが、燃焼時の形状保持性について言及するものではなく、実際この方法では十分な燃焼時の形状保持性は得られない。(例えば、特許文献12参照。)
【0007】
更に、ポリフェニレンオキシドを含む防炎処性処理を施したポリスチレン溶融物を発泡させた成形物品についても開示されており、難燃剤としてリン酸ハロゲン化アルキル−アリール、ポリリン酸アンモニウムを挙げているが、この方法によっても十分な燃焼時の形状保持性は得られない。(例えば、特許文献13参照。)
【0008】
スチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂ではなく、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を用いた発泡体では、燃焼時に溶融滴下が起こらず、形状がある程度保持されるものの、発泡体が脆い、さらには熱硬化性樹脂であるがためにリサイクル利用することが非常に困難であるということから環境適合性に問題があり、また、おおよそ500℃以上に数分間曝された場合には発泡体は完全にガス化し、全く形状が残らないため、形状保持性の観点でも不十分である(例えば、特許文献14及び15参照。)
【0009】
このように、発泡体において、特に建築用断熱材料としての発泡体において、燃焼時に形状がある程度保持されるとともに、JIS規格A 9511の難燃性を満足し、リサイクルといった環境適合性を兼ね備えた断熱材としては未だ十分な性能をもつものは見いだされていない。
【0010】
これに対して本発明者らは、燃焼時の形状保持性が発現する発泡体として、スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂に含リン化合物などを含有させた発泡体を提案したが、燃焼時の形状保持性を十分発現させるためには含リン化合物などの添加量が多く必要であった。(例えば、特許文献16及び17参照。)
【0011】
【特許文献1】
特開平10−237210号公報
【0012】
【特許文献2】
特開平7−330941号公報
【0013】
【特許文献3】
特開2001−121596号公報
【0014】
【特許文献4】
特開平1−239707号公報
【0015】
【特許文献5】
特開平1−302609号公報
【0016】
【特許文献6】
特開平9−132693号公報
【0017】
【特許文献7】
特開平11−1622号公報
【0018】
【特許文献8】
特開平11−323063号公報
【0019】
【特許文献9】
特開平11−343381号公報
【0020】
【特許文献10】
特開2000−239478号公報
【0021】
【特許文献11】
特開昭62−256843号公報
【0022】
【特許文献12】
特開昭64−67324号公報
【0023】
【特許文献13】
特開平7−53761号公報
【0024】
【特許文献14】
特開平11−140216号公報
【0025】
【特許文献15】
特開平11−277704号公報
【0026】
【特許文献16】
特願2001−336925号公報
【0027】
【特許文献17】
特願2002−133677号公報
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
このように、非ハロゲン難燃剤を使用し、その難燃剤等の添加量が少なくても、JIS規格A 9511で規定される高い難燃性を発現するとともに、燃焼時に収縮や溶融滴下が起こらず形状がある程度保持され、更にリサイクルも容易である熱可塑性樹脂発泡体はこれまでに見出されていない。
【0029】
【発明が解決するための手段】
本発明者らは、前記課題の解決のため鋭意研究した結果、スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂に、赤リンを含有させて製造される熱可塑性樹脂の発泡体が、JIS規格A 9511の難燃性を満足し、燃焼時に溶融滴下せず、炭化することで形状がある程度保持されると共に、あくまでも熱可塑性を示す樹脂配合物であることからリサイクル性にもすぐれた建築用断熱材料が得られることを見いだし、本発明に至った。また、赤リンに加えて、更に赤リンを除く含リン化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、多価アルコール類の群から選ばれる1種以上の化合物を含有させて製造される熱可塑性樹脂の発泡体において、より燃焼時の形状保持性が向上することを見出した。
【0030】
また、本発明においては、熱硬化性樹脂、金属水酸化物および金属よりなる群から選ばれた1種以上の物質により被覆処理された赤リンを用い、更にハロゲン系難燃剤やハロゲン系発泡剤を用いない場合、非常に作業環境性、製品安全性、環境適合性に優れた発泡体が提供される。
【0031】
すなわち本発明は、
(1)スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂100重量部に対して、赤リンを0.1〜20重量部含有することを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体に関する。
【0032】
(2)更に、赤リンを除く含リン化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、多価アルコール類の群から選ばれる1種以上の非ハロゲン化合物を、スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.1〜200重量部含有することを特徴とする(1)記載の熱可塑性樹脂発泡体に関する。
【0033】
(3)赤リンが、熱硬化性樹脂、金属塩および金属よりなる群から選ばれた1種以上の物質により被覆処理された赤リンであることを特徴とする(1)又は(2)記載のスチレン系樹脂発泡体に関する。
【0034】
(4)含窒素化合物がトリアジン骨格含有化合物であることを特徴とす(2)又は(3)記載の熱可塑性樹脂発泡体に関する。
【0035】
(5)スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂が、スチレン系樹脂99〜10重量%、ポリフェニレンエーテル系樹脂1〜90重量%の合計100重量%を含むことを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項記載の熱可塑性樹脂発泡体に関する。
【0036】
(6)非ハロゲン系発泡剤の一部または全部として、炭素数が3〜5である飽和炭化水素、及びエーテル、から選ばれる1種以上の発泡剤を含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体。
【0037】
(7)JIS規格A 9511の燃焼性の規格に適合することを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体。
【0038】
(8)スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂100重量部に対して、赤リンを0.1〜20重量部含有する混合物に、非ハロゲン系発泡剤を用いて発泡成形することを特徴とする(1)に記載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法に関する。
【0039】
【発明の実施形態】
本発明で用いられるスチレン系樹脂は、特に限定されるものではなく、スチレン単量体のみから得られるスチレンホモポリマー、スチレン単量体とスチレンと共重合可能な単量体あるいはその誘導体から得られるランダム、ブロックあるいはグラフト共重合体、後臭素化ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレンなどの変性ポリスチレンなどが挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
【0040】
スチレンと共重合可能な単量体あるいはその誘導体としては、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、α−エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル単量体類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル単量体類、フェニルマレイミド、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ラウリルマレイミドなどのマレイミド系単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのメタクリル酸エステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのアクリル酸エステル類、メタクリル酸、アクリル酸などの(メタ)アクリル酸類、無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、α−メチル無水マレイン酸、無水イタコン酸などのα,β−不飽和カルボン酸無水物類、ブダジエンなどのジエン系化合物あるいはその誘導体、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基(エポキシ基)含有単量体類、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンなどのオキサゾリン基含有単量体類等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
【0041】
スチレン系樹脂では、加工性の面からスチレンホモポリマー、スチレンアクリロニトリル共重合体、(メタ)アクリル酸共重合ポリスチレン、無水マレイン酸変性ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレンなどが好ましい。
【0042】
本発明で用いられるポリフェニレンエーテル系樹脂は、下記一般式1で表される重合体であって、一般式1で示される重合体の一種以上が組み合わされた共重合体であっても良い。
【0043】
【化1】
(式中、R1、R2、R3、R4、はそれぞれ独立して水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基、フェニル基、ハロゲン原子を表し、nは重合度を表す整数である。)
【0044】
これらポリフェニレンエーテル系樹脂の具体例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジメトキシ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジクロロメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジブロモメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジトリル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジベンジル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,5−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。これらの中でも、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが好ましい。
【0045】
本発明で非ハロゲン難燃剤として用いられる赤リンは、一般に入手可能な赤リンで良く、特に制限はなく、通常の方法で製造された直後のもの、経時変化により黒リンを一部含んだものなどがる。
【0046】
赤リンを取り扱う際の作業環境性や安全性、製品発泡体の製品安全性からは、安定化赤リンを使用することが好ましい。
【0047】
ここで、安定化赤リンとは、赤リンを被膜により被覆したり、あるいは他の物質により希釈したりして、取扱性、安全性に優れるという特徴を有する赤リンのことである。
【0048】
このような安定化赤リンの代表例としては、例えば熱硬化性樹脂被膜、金属塩被膜および金属メッキなどの方法により形成された金属被膜から選ばれた1種以上の被膜により被覆された赤リンが挙げられる。
【0049】
前記被膜を形成する熱硬化性樹脂、金属塩、金属としては、赤リンを被覆できるものであればとくに制限はない。
【0050】
前記熱硬化性樹脂の具体例としては、フェノール−ホルマリン系樹脂、尿素−ホルマリン系樹脂、メラミン−ホルマリン系樹脂、アルキッド系樹脂など、前記金属塩の具体例としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸アルミニウム、水酸化チタンなど、前記金属被膜、たとえば無電解メッキ被膜を形成する金属の具体例としては、Fe、Ni、Co、Cu、Zn、Mn、Ti、Zr、Alまたはこれらの合金などが挙げられる。
【0051】
これらの中でも、樹脂中での分散性等の観点から、フェノール−ホルマリン系樹脂、尿素−ホルマリン系樹脂、メラミン−ホルマリン系樹脂などの熱硬化性樹脂、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンなどの金属水酸化物が好ましい。
【0052】
前記赤リンを被覆する被膜は、単独材料からの被膜であってもよく、2種以上の材料を組み合わせた被膜であってもよく、2重以上に積層した被膜であってもよい。
【0053】
このような安定化赤リンにおける赤リンの含有率に特に制限はないが、50%以上であるのが難燃性の点から好ましく、さらには60%以上であるのが好ましい。
【0054】
また、安定化赤リンの平均粒径としては、50μm以下が難燃性のばらつきが少なくなる点から好ましく、さらには40μm以下、特に35μm以下であることが好ましい。下限は取扱性、分散性などの点から0.1μm、さらには0.5μmである。
【0055】
目的の平均粒径の安定化赤リンをうる方法としては、赤リン製造時の粉砕工程で、篩あるいは気流などにより分級したのち被覆処理を行ない、所望の粒径の安定化赤リンをうる方法、黄リンから赤リンへ転化する際の、反応温度、反応時間、転化率を制御し、所望の粒径の赤リンを得たのち被覆処理を行ない、所望の粒径の安定化赤リンをうる方法、得られた赤リンを適当な分散媒のスラリーとして、篩やフィルターなどを用いて分級し、所望の粒径の赤リンを取り出したのち被覆処理を行なう、あるいは被覆処理した安定化赤リンをスラリーとして同様に分級して、所望の粒径の安定化赤リンを得る方法などが挙げられる。
【0056】
前記安定化赤リンは単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上組み合わせて使用する場合の組み合わせ方には限定はなく、たとえば被膜の異なるもの、粒径などの異なるものを任意に組み合わせることができる。
【0057】
赤リンの含有量は、要求される難燃性を得られるように、発泡剤添加量、発泡体密度、さらに場合によっては他の難燃剤や添加剤等の種類あるいは添加量などにあわせて適宜調整されるものであるが、スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量である。より好ましくは、0.3〜12重量部、さらに好ましくは、0.5〜10重量部である。赤リンの含有量が前記未満では、難燃性などの発泡体としての良好な諸特性が得られがたい傾向があり、一方前記範囲を超えると、発泡体製造時の安定性、表面性などを損なう場合がある。
【0058】
本発明において、赤リンをスチレン系樹脂発泡体の含有せしめる方法としては、特に制限はないが、あらかじめスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂などの熱可塑性樹脂と混練して得たマスターバッチを用いることが、取り扱いが容易であり、かつまたスチレン系樹脂発泡体中の赤リンの分散性を良好にし、所望の難燃性が安定して得られることから好ましい。
【0059】
赤リンマスターバッチ中の赤リンの含有率に特に制限はないが、好ましくは3〜70%、より好ましくは5〜50%である。赤リンの含有率が1%未満では、樹脂を所望の難燃化レベルにするのに要する添加量が多くなり、生産性が損われる傾向がある。
【0060】
赤リンマスターバッチの製法には特に制限はないが、たとえば単軸押出機または2軸押出機を用いて溶融混練する方法などがあげられる。マスターバッチを得る際に赤リンを添加する場合には、チッ素などの不活性気体雰囲気下で行なうのが取扱性の点から好ましい。また、前述した安定化赤リンをマスターバッチ化することがより好ましい。
【0061】
また、赤リンをスチレン系樹脂発泡体に含有せしめる方法として、あらかじめ無機粉末と混合したものを用いても、取り扱いが容易であって好ましい。
【0062】
このような無機粉末としては、タルク、(膨張性)黒鉛、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機粉末が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
赤リン−無機粉末混合物中の赤リンの含有率に特に制限はないが、好ましくは3〜90%、より好ましくは5〜70%である。赤リンの含有率が1%未満では、樹脂を所望の難燃化レベルにするのに要する添加量が多くなり、生産性が損われる傾向がある。
【0063】
赤リンと無機粉末を混合する方法に何ら制限はなく、例えばヘンシェルミキサーやリボンブレンダーなどの一般的な混合機を用いれば良い。また、前述した安定化赤リンを無機粉末と混合して用いても良い。
【0064】
本発明においては、赤リンとは別に、赤リンを除く含リン化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、多価アルコール類の群から選ばれる1種以上の非ハロゲン化合物を加えることが、難燃性、燃焼時の形状保持性の観点から好ましい。
【0065】
本発明で用いられる赤リンを除く含リン化合物は、分子中にリン原子を有する化合物であれば赤リンを除いて特に制限はなく、例えば、三酸化リン、四酸化リン、五酸化リンなどのリン酸化物、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸などのリン酸化合物、モノアンモニウムホスフェート、ジアンモニウムホスフェート、ポリリン酸アンモニウム(アンモニウムポリホスフェート)などのリン酸アンモニウム塩、メラミンモノホスフェート、メラミンジホスフェート、メラミンポリホスフェートなどのリン酸メラミン塩、リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムなどのリン酸金属塩などのリン酸塩類、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートなどの脂肪族系リン酸エステル類、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェートなどの芳香族系リン酸エステル類、下記の一般式2で表されるリン酸エステル基を2以上有するリン酸エステル類、
【0066】
【化2】
(式中、R5はレゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA等の残基、R6はフェニル基、トリル基、キシリル基などであり、同一でも異なっていてもよい、nは1以上の整数である)、ホスファゼン、ポリホスファゼンなどのホスファゼン類、リン酸アミン類、リン酸アミド類、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−[スチレン−α−メチルスチレン共重合体]9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレンなどの下記一般式3で示される基を含む環状リン化合物などが挙げられる。
【0067】
【化3】
一般式2で表されるリン酸エステル類としては、レゾルシノール・ビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノール・ビス(ジキシレニルホスフェート)、レゾルシノール・ビス(ジクレジルホスフェート)、ハイドロキノン・ビス(ジフェニルホスフェート)、ハイドロキノン・ビス(ジキシレニルホスフェート)、ハイドロキノン・ビス(ジクレジルホスフェート)、ビスフェノールA・ビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールA・ビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールA・ビス(ジクレジルホスフェート)などの芳香族系ジ(リン酸エステル)類(前記一般式2において、n=1のもの)、ポリ(レゾルシノール・フェニルホスフェート)、ポリ(レゾルシノール・クレジルホスフェート)、ポリ(レゾルシノール・キシレニルホスフェート)、ポリ(ハイドロキノン・フェニルホスフェート)、ポリ(ハイドロキノン・クレジルホスフェート)、ポリ(ハイドロキノン・キシレニルホスフェート)、ポリ(ビスフェノールA・フェニルホスフェート)、ポリ(ビスフェノールA・クレジルホスフェート)、ポリ(ビスフェノールA・キシレニルホスフェート)などの芳香族系ポリ(リン酸エステル)類(前記一般式2においてnが2以上のもの)などのリン酸エステル類などが挙げられる。
【0068】
また、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどのハロゲン含有リン酸エステル類などのハロゲンおよびリン原子含有化合物を含リン化合物として使用しても良いが、環境適合性を重視する場合には、これらハロゲンを含有する化合物は使用を控えるのが好ましい。含リン化合物は単独または2種以上を混合して使用できる。
【0069】
赤リンを除く含リン化合物が粒子状、粉体状、板状、針状などの固体形状であった場合にはメラミン樹脂、フェノール樹脂、グアナミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、シランカップリング剤などから選ばれる1種以上の化合物など表面被覆あるいは表面処理できる化合物で表面処理されたものであってもよい。
【0070】
赤リンを除く含リン系化合物では、難燃性や燃焼時の形状保持の観点から、アンモニウムホスフェート、ポリリン酸アンモニウム(アンモニウムポリホスフェート)、メラミンホスフェート、メラミンポリホスフェートなどのリン酸塩、トリフェニルホスフェート、前記一般式2で表される芳香族ジ(リン酸エステル)類又は芳香族ポリ(リン酸エステル)類などのリン酸エステル類、ホスファゼン、ポリホスファゼンなどのホスファゼン類がより好ましい。赤リンを除く含リン化合物は単独または2種以上を混合して使用できる。また、アンモニウムホスフェート、ポリリン酸アンモニウム(アンモニウムポリホスフェート)、メラミンホスフェート、メラミンポリホスフェート、ホスファゼン類、リン酸アミン類、リン酸アミド類などの窒素を含む化合物は、後述する含窒素化合物としても用いることができ好ましい。
【0071】
本発明で使用される含窒素化合物とは、窒素原子を含有する化合物であれば特に制限はないが、具体例としては、メラミン、メラム、メレム、メロン、メチロールメラミン、メラミン樹脂およびその誘導体などの他、シアヌル酸、メチルシアヌレート、ジエチルシアヌレート、トリメチルシアヌレート、トリエチルシアヌレート、イソシアヌル酸、メチルイソシアヌレート、N,N‘−ジエチルイソシアヌレート、トリスメチルイソシアヌレート、トリスエチルイソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートなどのシアヌル酸、イソシアヌル酸あるいはその誘導体や、更にはメラミンシアヌレートなどのトリアジン骨格含有化合物とシアヌル酸あるいはイソシアヌル酸およびその誘導体からなる塩、といったトリアジン骨格含有化合物などが挙げられる。
【0072】
更には、ヒドラゾジカルボンアミド、アゾジカルボンアミド、アゾイソブチロニトリルなどアゾ化合物、テトラゾールグアニジン塩、テトラゾールピペラジン塩、テトラゾールアンモニウム塩等のテトラゾールアミン塩類、また、テトラゾールナトリウム塩、テトラゾールマンガン塩、例えば5,5−ビステトラゾール2グアニジン塩、5,5−ビステトラゾール2アンモニウム塩、5,5−ビステトラゾール2アミノグアニジン塩、5,5−ビステトラゾールピペラジン塩等のテトラゾール金属塩類などのテトラゾール化合物など、後述する発泡剤としても用いることのできる化合物を含窒素化合物として使用しても良い。
【0073】
また、エチレンビステトラブロモフタルイミド、エチレンビスジブロモノルボルナンジカルボキシイミド、2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどのハロゲンおよび窒素原子含有化合物を含窒素化合物として使用しても良いが、環境適合性を重視する場合には、これらハロゲンを含有する化合物は使用を控えるのが好ましい。含窒素化合物は単独または2種以上を混合して使用できる。
【0074】
含窒素化合物としてシアヌル酸、イソシアヌル酸あるいはその誘導体を用いる場合には、化合物自体が難燃性であると共に、270℃〜400℃で分解あるいは溶融する化合物が好ましい。また、テトラゾール化合物を用いる場合には、熱分解温度が250℃以上である化合物が好ましい。
【0075】
以上のような含窒素化合物の中でも、難燃性や燃焼時の形状保持の観点から、メラミン、メラム、メレム、メロン、メチロールメラミン、メラミン樹脂およびその誘導体、また、シアヌル酸、メチルシアヌレート、ジエチルシアヌレート、トリメチルシアヌレート、トリエチルシアヌレート、イソシアヌル酸、メチルイソシアヌレート、N,N‘−ジエチルイソシアヌレート、トリスメチルイソシアヌレート、トリスエチルイソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートなどのシアヌル酸、イソシアヌル酸あるいはその誘導体、更にはメラミンシアヌレートなどのトリアジン骨格含有化合物とシアヌル酸あるいはイソシアヌル酸およびその誘導体からなる塩、といったトリアジン骨格含有化合物が特に好ましい。
【0076】
また、含リン化合物として前述したアンモニウムホスフェート、ポリリン酸アンモニウム(アンモニウムポリホスフェート)、メラミンホスフェート、メラミンポリホスフェート、ホスファゼン類などは窒素を含むことから含窒素化合物としても用いることができ、1化合物で含リン化合物および含窒素化合物の両方の効果を発現させることができ好ましい。
【0077】
本発明で使用される含ホウ素化合物とは、ホウ素原子を含有する化合物であれば特に制限はなく、具体例としては、ホウ酸、硼砂、ホウ酸亜鉛、(メタ)ホウ酸バリウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸ストロンチウム、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸スズなどのホウ酸金属塩、およびこれらの化合物の水和物などの誘導体、ホウ酸アンモニウムなどのホウ酸アンモニウム塩、リン酸ホウ素、二酸化二ホウ素、三酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等の酸化ホウ素が挙げられる。含ホウ素化合物は単独または2種以上を混合して使用できる。
【0078】
含ホウ素化合物の中でも、難燃性や燃焼時の形状保持の観点から、ホウ酸亜鉛、酸化ホウ素が好ましい。また、リン酸ホウ素などは含リン化合物でもあり、ホウ酸アンモニウムなどは含窒素化合物でもあり、1化合物で含ホウ素化合物と含リン化合物、あるいは1化合物で含ホウ素化合物と含窒素化合物の両方の効果を発現させることができ好ましい。
【0079】
本発明で用いられる多価アルコール類は、1分子中に2個以上の水酸基を含有する化合物であって、燃焼時に炭化することにより形状保持性を向上させているものと考えられる。
【0080】
その具体例としては、モノペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなどのペンタエリスリトール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体などのグリコール類、グリセリン、レゾルシノール、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。多価アルコール類は単独または2種以上を混合して使用できる。
【0081】
多価アルコール類では、燃焼時の形状保持の観点から、モノペンタエリスリトールが好ましい。
【0082】
赤リンを除く含リン化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、多価アルコール類の群から選ばれる1種以上の化合物の添加量は、スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.1〜200重量部含有されることが好ましい。0.1重量部未満では難燃性、燃焼時の形状保持性が十分ではなく、200重量部を越えると成形加工性が悪くなる。難燃性、燃焼時の形状保持性、成形加工性の観点から、好ましくは0.5〜100重量部であり、特に好ましくは1〜70重量部である。
【0083】
本発明においては、赤リンの添加により良好な難燃性や燃焼時の形状保持性が得られるが、赤リンを除く含リン化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、多価アルコール類の群から選ばれる1種以上の化合物を加えることが、難燃性、燃焼時の形状保持性の観点からより好ましい。赤リンを除く含リン化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、多価アルコール類の中では、赤リンを除く含リン化合物や含窒素化合物を含有することが更に好ましい。
【0084】
本発明におけるスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂の混合割合は、難燃性、燃焼時の溶融滴下防止、形状保持性の点、及び成形加工性の点からスチレン系樹脂99〜10重量%、ポリフェニレンエーテル系樹脂1〜90重量%の合計100重量%であることが好ましい。より好ましくは、スチレン系樹脂95〜40重量%、ポリフェニレンエーテル系樹脂5〜60重量%の合計100重量%、最も好ましくはスチレン系樹脂90〜45重量%、ポリフェニレンエーテル系樹脂10〜55重量%の合計100重量%である。
【0085】
本発明においては、ハロゲン系難燃剤を使用しなくても難燃性の向上が果たせるため、特に環境適合性に優れた発泡体が得られるが、得られる発泡体の難燃性をさらに向上させる目的の場合には、次に記述する難燃剤を少量加えることができる。
【0086】
すなわち、ハロゲン系難燃剤として、例えば、テトラブロモエタン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ジブロモエチルジブロモシクロヘキサン、ジブロモジメチルヘキサン、ジブロモネオペンチルグリコール、トリブロモネオペンチルアルコールなどのハロゲン化脂肪族化合物あるいはその誘導体、あるいはハロゲン化脂環族化合物あるいはその誘導体、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、2,3−ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエーテル、ビス(2,4,6ートリブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモ無水フタル酸、オクタブロモトリメチルフェニルインダン、ペンタブロモベンジルアクリレート、トリブロモフェニルアリルエーテルなどのハロゲン化芳香族化合物あるいはその誘導体、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA(2−ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAジアリルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとトリブロモフェノール付加物、テトラブロモビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールSビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールS(2−ブロモエチルエーテル)などのハロゲン化ビスフェノール類およびその誘導体、テトラブロモビスフェノールAポリカーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとブロモ化ビスフェノール付加物エポキシオリゴマーなどのハロゲン化ビスフェノール類誘導体オリゴマー、ペンタブロモベンジルアクリレートポリマーなどのハロゲン化アクリル樹脂、エチレンビステトラブロモフタルイミド、エチレンビスジブロモノルボルナンジカルボキシイミド、2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどのハロゲンおよび窒素原子含有化合物、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス(ブロモフェニル)ホスフェートなどのハロゲンおよびリン原子含有化合物、塩素化パラフィン、塩素化ナフタレン、パークロロペンタデカン、塩素化芳香族化合物、塩素化脂環状化合物、臭化アンモニウムなどの臭素化無機化合物などが挙げられる。これら化合物は単独または2種以上を混合して使用できる。さらには、本発明のスチレン系樹脂の1種である臭素化ポリスチレン樹脂も難燃剤として用いることが出来る。しかしながら、これらハロゲンを含有する化合物は、環境適合性を重視する場合には、出来るだけ使用を控えるのが好ましい。
【0087】
また、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、などの無機系難燃剤が挙げられる。
【0088】
本発明において用いられる発泡剤に特に制限はなく、一般的に知られている物理発泡剤、化学発泡剤を用いることができるが、環境適合性を重視する意味からハロゲンを含有する発泡剤は、出来るだけ使用を控えるのが好ましい。
【0089】
物理発泡剤としては、例えば、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタンなどに例示される飽和炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどに例示されるエーテル類、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルi−ブチルケトン、メチルn−アミルケトン、メチルn−ヘキシルケトン、エチルn−プロピルケトン、エチルn−ブチルケトンに例示されるケトン類、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールに例示されるアルコール類、蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステルに例示されるカルボン酸エステル類が挙げられる。
【0090】
塩化メチル、塩化エチルなどに例示される塩素化炭化水素類、トリクロロフルオロメタン(R11)、ジクロロジフルオロメタン(R12)、クロロジフルオロメタン(R22)、テトラクロロジフルオロエタン(R112)、ジクロロフルオロエタン(R141b)、クロロジフルオロエタン(R142b)、ジフルオロエタン(R152a)、HFC−245fa、HFC−236ea、HFC−245ca、HCFC−225ca、HFC−134aなどに例示されるフロン類のごとき発泡剤も使用可能ではあるが、環境適合性を重視する意味からハロゲンを含有するこれら発泡剤は、出来るだけ使用を控えるのが好ましい。
【0091】
さらに、水、二酸化炭素、窒素、空気などに例示される無機ガス類なども環境適合性の上から好ましい発泡剤として挙げられる。
【0092】
また、化学発泡剤としては、例えば、ヒドラゾジカルボンアミド、アゾジカルボンアミド、アゾイソブチロニトリルなどアゾ化合物、テトラゾールグアニジン塩、テトラゾールピペラジン塩、テトラゾールアンモニウム塩等のテトラゾールアミン塩類、また、テトラゾールナトリウム塩、テトラゾールマンガン塩、例えば5,5−ビステトラゾール2グアニジン塩、5,5−ビステトラゾール2アンモニウム塩、5,5−ビステトラゾール2アミノグアニジン塩、5,5−ビステトラゾールピペラジン塩等のテトラゾール金属塩類などのテトラゾール化合物など、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トルエンスルホニルヒドラジン、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸アルミニウム、炭酸亜鉛、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、その他の炭酸塩、その他の炭酸水素塩などが挙げられる。これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0093】
これらの中でも、取り扱いの点からは化学発泡剤よりも物理発泡剤を用いることが好ましく、更に環境適合性の点を考慮すると、次に記す非ハロゲン系の物理発泡剤がより好ましい。
【0094】
すなわち、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタンなどに例示される炭素数3〜5である飽和炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどに例示されるアルキルエーテル類、水、二酸化炭素、窒素、空気などに例示される無機ガスなどの非ハロゲン系物理発泡剤が環境適合性、取り扱いの観点で好ましい。
【0095】
これらの中でも、発泡剤の一部または全部としてプロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタンなどに例示される炭素数3〜5である飽和炭化水素や、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどに例示されるエーテル、から選ばれる1種以上の発泡剤を含有することが特に好ましい。
【0096】
本発明の熱可塑性樹脂発泡体の製造時に用いられる発泡剤の量としては、発泡倍率の設定値などに応じて適宜変えればよい。通常、発泡倍率20〜40倍程度であれば発泡剤の合計量をスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂100重量部に対して2〜20重量部とするのが好ましい。発泡倍率が極小さくて良い場合は、発泡剤の添加量が2重量部未満でも充分である。逆に発泡倍率が100倍といった大きな場合は、20重量部を越えて添加する場合もあるが、この場合、過剰な発泡剤量のため発泡体中にボイドなどの不良を生じることに注意しなければならない。ただし、発泡剤として飽和炭化水素化合物を用いた場合には、10重量部を越えると発泡体の燃焼時に発泡剤自体が燃焼し、難燃性が低下する場合がある。
【0097】
JIS規格A 9511における燃焼性試験方法は、試験片の着火限界指示線まで約5秒間をかけてろうそくを水平移動させて、着火限界指示線到達と同時にろうそくを後退させて、着火した炎が消えるまでの時間と燃焼の停止位置を確認するものである(測定方法A)。そして、炎が3秒以内に消え、残じんがなく、燃焼停止位置が燃焼限界指示線(着火限界指示線から約28mmの位置)を超えて燃焼しない場合に規格に適合という、高度な難燃性を要求している。
【0098】
本発明における熱可塑性樹脂発泡体では、赤リンの添加量、更には赤リンを除く含リン化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、多価アルコール類の群から選ばれる1種以上の化合物の添加量、あるいはスチレン系樹脂とポリフェニレン系樹脂の配合比率等を適宜調整することにより、JIS規格A 9511に適合する発泡体を得ることが可能であり、このような場合、高い難燃性を有する発泡体となることから、より好ましい発泡体となる。
【0099】
本発明においては、必要に応じて本発明の効果を阻害しない範囲でシリカ、タルク、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの加工助剤、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定剤、帯電防止剤、顔料などの着色剤などを含有させることができるが、これらに限定されるものではない。
【0100】
特に、より安定的に押出発泡するためには、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスフェート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレイトなどのヒンダードフェノール系抗酸化剤、トリフェニルフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビスステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4−ジイルビスホスホナイトなどのリン系安定剤、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンなどのアミン系安定剤、3,3−チオビスプロピオン酸ジオデシルエステル、3,3−チオビスプロピオン酸ジオクタデシルエステルなどのイオウ系安定剤を添加するのが好ましい。
【0101】
本発明の熱可塑性樹脂発泡体を製造する方法に特に制限はないが、次のような方法が挙げられる。
【0102】
(1)スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂、赤リン、必要に応じて赤リンを除く含リン化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、多価アルコール類の群から選ばれる1種以上の化合物を加熱溶融させた後、発泡剤を注入して押出発泡する方法。
【0103】
(2)スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂、赤リン、必要に応じて赤リンを除く含リン化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、多価アルコール類の群から選ばれる1種以上の化合物と、発泡剤を同時に加熱溶融混練して押出発泡する方法。
【0104】
(3)予め発泡剤を含有したスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂、赤リン、必要に応じて赤リンを除く含リン化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、多価アルコール類の群から選ばれる1種以上の化合物からなる組成物をプレス機を用いて加熱溶融し成形体とした後、再び加熱して発泡させる方法。
【0105】
(4)予め発泡剤を含有したスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂、赤リン、必要に応じて赤リンを除く含リン化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、多価アルコール類の群から選ばれる1種以上の化合物からなる粒状組成物を型内に充填し加熱して発泡させる方法。
【0106】
(5)スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂、必要に応じて赤リンやその他の添加剤をあらかじめ溶融混練した後、さらに(1)〜(4)の方法で発泡する方法。
【0107】
(6)スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂、必要に応じて赤リンやその他の添加剤をあらかじめ溶融混練した後、さらに所定の配合量となるようにスチレン系樹脂やポリフェニレンエーテル系樹脂、赤リンやその他の添加剤を加えて、(1)〜(4)の方法で発泡する方法、などが挙げられる。
【0108】
このような製造方法の中でも、発泡剤として非ハロゲン系発泡剤を用い、スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂に赤リン、必要に応じて赤リンを除く含リン化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、多価アルコール類の群から選ばれる1種以上の化合物を含有させた熱可塑性樹脂発泡体を押出発泡して得る製造方法が、環境適合性の観点から好ましい。
【0109】
また、少なくともスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂をあらかじめ押出機で溶融混練した後、非ハロゲン発泡剤を用いて発泡体を得る方法が、均質な発泡体を得られる点から好ましい。更には、スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂と赤リン、必要に応じて赤リンを除く含リン化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、多価アルコール類の群から選ばれる1種以上の化合物をあらかじめ押出機で溶融混練した後、非ハロゲン発泡剤を用いて発泡体を得る方法がより好ましい。
【0110】
【実施例】
次に本発明の熱可塑性樹脂発泡体について実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに制限されるものではない。なお、特に断らない限り「部」は重量部を、「%」は重量%を表す。
【0111】
以下に示す実施例、比較例の方法で得られた発泡体の特性として、発泡体密度、燃焼性、燃焼時の溶融変形、溶融滴下状況(形状保持性)を下記の方法に従って評価した。
【0112】
(1)発泡体密度(kg/m3):発泡体密度は、次の式:発泡体密度(g/cm3)=発泡体重量(g)/発泡体体積(cm3)に基づいて求め、単位を(kg/m3)に換算して示した。
【0113】
(2)燃焼性:製造後4日経過した発泡体を用い、JIS規格A 9511に規定の燃焼性評価における測定方法Aに準じて燃焼性試験を行い、下記の基準に従い判定した。
○:炎を離した後、3秒以内に消炎し、残じんもなく、燃焼限界指示線を超えて燃焼せず、JIS規格A 9511に適合した
△:炎を離した後、燃焼時間は3秒を越えてJIS規格A 9511に適合しなかったが、試験片は全焼せずに自己消火性を示した
×:炎を離した後、自己消火せず試験片全体が燃焼してしまった
【0114】
(3)形状保持性(燃焼時の溶融滴下状況、溶融変形状況):(2)と同様にして燃焼性試験を行い、燃焼中の溶融滴下状況あるいは消炎後の状態を目視にて観察し下記の基準に従い判定した。
○:溶融滴下せず、炭化あるいは発泡炭状になり、形状をほぼ維持あるいは変形するものの収縮はほとんど見られない
△:溶融滴下せず、炭化あるいは発泡炭状になるが、収縮が見られた
×:溶融滴下して試験片が残存しなかった、あるいは溶融滴下して大きく収縮した
【0115】
実施例1〜14
スチレン系樹脂(A&Mスチレン(株)製、商品名G9401=ポリスチレン100%)と、ポリフェニレンエーテル系樹脂含有樹脂(日本ジーイープラスチック(株)製、商品名ノリルEFN4230−111=ポリスチレン30%/ポリフェニレンエーテル70%)と、安定化赤リンマスターバッチ(日本化学工業(株)製、商品名ヒシガードマスターPS16=ポリスチレン85%/水酸化チタンコート赤リン15%)と、更に必要に応じて赤リンを除く含リン化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、多価アルコール類を表1記載の配合部数となるように添加して、リボンブレンダーを用いて混合して混合物を得た。
【0116】
この混合物中のポリスチレンとポリフェニレンエーテルの合計100部に対し、更にタルク0.3部、ステアリン酸バリウム0.2部を添加し、混合した後、44mmφ同方向回転ニ軸押出機を用いて260℃で溶融混練しペレット状の樹脂組成物を得た。
【0117】
得られたペレット状の樹脂組成物を口径65mmと口径90mmのものを縦に連結した押出機へ約40kg/hrの割合で供給した。前記口径65mmの押出機に供給し、240℃に加熱して溶融混練し、これに連結された口径90mmの押出機で樹脂温度を120〜150℃に冷却し、口径90mmの押出機の先端に設けた厚さ方向2mm、幅方向50mmの長方形断面吐出口のあるダイスより大気中へ押し出し、直方体状の押出発泡体を得た。このときペレット状の樹脂組成物100部に対して、発泡剤としてイソブタン、ジメチルエーテル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(表1中HFC134a)を表1記載の部数で圧入した。このとき発泡剤はそれぞれ別のラインから、前記口径65mmの押出機の先端付近(口径90mmの押出機の先端ダイスと反対側の端部側に接続される側の端部)から前記樹脂中に圧入した。得られた発泡体の特性を表1に示す。下記、比較例1〜4と比較し、形状保持性が向上した発泡体が得られた。
【0118】
【表1】
【0119】
比較例1〜4
表1に示した比率で樹脂、赤リンを除く含リン化合物、多価アルコール類を用いた以外は実施例1〜14と同様にして発泡体を得た。(ただし、比較例1〜3においては表1記載の比率となるようにスチレン系樹脂(A&Mスチレン(株)製、商品名G9401=ポリスチレン100%)、赤リンを除く含リン化合物、多価アルコール類を混合し、更にタルク0.3部、ステアリン酸バリウム0.2部を添加した後、44mmφ同方向回転ニ軸押出機を用いて200℃で溶融混練しペレット状の樹脂組成物を得た。その後、前記口径65mmの押出機に供給し、200℃に加熱して溶融混練し、これに連結された口径90mmの押出機で樹脂温度を120℃に冷却し、口径90mmの押出機の先端に設けた厚さ方向2mm、幅方向50mmの長方形断面吐出口のあるダイスより大気中へ押し出し、直方体状の押出発泡体を得た。)得られた発泡体の特性を表1に示す。実施例1〜14と比較して、形状保持性が劣る。
【0120】
なお、用いた化合物は下記の通りである。
【0121】
(1)スチレン系樹脂
・ポリスチレン(A&Mスチレン(株)製G9401=ポリスチレン100%)
【0122】
(2)ポリフェニレンエーテル系樹脂含有樹脂
・ポリスチレン−ポリフェニレンエーテル樹脂(日本ジーイープラスチック(株)製ノリルEFN4230−111=ポリスチレン30%−ポリフェニレンエーテル70%)
【0123】
(3)赤リン
・水酸化チタンコート赤リン−ポリスチレンマスターバッチ(日本化学工業(株)製ヒシガードマスターPS16=水酸化チタンコート赤リン15%−ポリスチレン85%、なお上記水酸化チタンコート赤リンは日本化学工業(株)製ヒシガードTP−10=赤リン分90%、平均粒子径5μm、発火点300℃以上、ホスフィン発生量0.1μg/g以下(100℃×1時間))
【0124】
(4)赤リンを除く含リン化合物
・ポリリン酸アンモニウム(チッソ(株)製、商品名テラージュC−60、表1中APPと記載)
・トリフェニルホスフェート(大八化学工業(株)製、商品名「TPP」、表1中TPPと記載)
【0125】
(5)含窒素化合物
・メラミンシアヌレート(日産化学工業(株)製、商品名「MC440」、表1中MCと記載)
・メラミン(和光純薬工業(株)製試薬)
【0126】
(6)含ホウ素化合物
・酸化ホウ素(ユー エス ボラックス製 ボリックオキサイド)
・ホウ酸亜鉛(ユー エス ボラックス製 ファイアーブレイクZB)
【0127】
(7)多価アルコール類
・ペンタエリスリトール(和光純薬工業(株)製試薬、表1中PEと記載)
【0128】
(8)ハロゲン系難燃剤
・ヘキサブロモシクロドデカン(アルベマールコーポレーション製、商品名「SAYTEX HBCD−LM」、表1中HBCDと記載)
【0129】
(9)発泡剤
・イソブタン(三井化学(株)製)
・ジメチルエーテル(三井化学(株)製)
・1,1,1,2−テトラフルオロエタン(ダイキン工業(株)製、表1中HFC134aと記載)
【0130】
【発明の効果】
本発明によれば、ハロゲン非含有の難燃剤およびハロゲン非含有の発泡剤を用いて、燃焼時の溶融変形、溶融滴下の問題が飛躍的に改善され、難燃性、燃焼時の形状保持性、断熱性も優れた性能を持つ、環境適合性の優れた熱可塑性樹脂発泡体が得られる。
Claims (8)
- スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂100重量部に対して、赤リンを0.1〜20重量部含有することを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体。
- 更に、赤リンを除く含リン化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、多価アルコール類の群から選ばれる1種以上の非ハロゲン化合物を、スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.1〜200重量部含有することを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂発泡体。
- 赤リンが、熱硬化性樹脂、金属塩および金属よりなる群から選ばれた1種以上の物質により被覆処理された赤リンであることを特徴とする請求項1又は2記載の熱可塑性樹脂発泡体。
- 含窒素化合物がトリアジン骨格含有化合物であることを特徴とする請求項2又は3記載の熱可塑性樹脂発泡体。
- スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂が、スチレン系樹脂99〜10重量%、ポリフェニレンエーテル系樹脂1〜90重量%の合計100重量%を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の熱可塑性樹脂発泡体。
- 非ハロゲン系発泡剤の一部または全部として、炭素数が3〜5である飽和炭化水素、及びエーテル、から選ばれる1種以上の発泡剤を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体。
- JIS規格A 9511の燃焼性の規格に適合することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体。
- スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる熱可塑性樹脂100重量部に対して、赤リンを0.1〜20重量部含有する混合物に、非ハロゲン系発泡剤を用いて発泡成形することを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
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