JP2002330870A - 真空二重容器を持った電気貯湯容器 - Google Patents

真空二重容器を持った電気貯湯容器

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JP2002330870A
JP2002330870A JP2001137063A JP2001137063A JP2002330870A JP 2002330870 A JP2002330870 A JP 2002330870A JP 2001137063 A JP2001137063 A JP 2001137063A JP 2001137063 A JP2001137063 A JP 2001137063A JP 2002330870 A JP2002330870 A JP 2002330870A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱効率や保温力またはおよび歩留まりや信
頼性の低下なく、かつコストの上昇なしに吐出路が設け
られるようにする。 【解決手段】 器体1に金属製の真空二重容器3を持
ち、この真空二重容器3の一重底部3cに外部からヒー
タ11を当てがうとともに、内容液を外部に吐出する吐
出路25を接続したものにおいて、真空二重容器3の底
部外周域に胴部3bからの真空空間63の回り込み部6
3aを有し、この回り込み部63aとこれの内側の一重
底部3cへのヒータ11の取り付け部201との間の環
状域84に、前記吐出路25の流入口25eを接続する
ことにより、上記の目的を達成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属製の真空二重容
器を持った電気貯湯容器に関するものであり、例えば家
庭用の電気ポットなどに利用される。
【0002】
【従来の技術】電気ポットは家庭や職場、食堂などで広
く使用され、四六時中使用状態に置かれることもある。
一方では、環境問題や省資源の面から省エネルギーが叫
ばれるなか、電気ポットでのヒータによる高い消費電力
が改善の対象になってきている。
【0003】そこで、従来、図17に示すような金属製
の真空二重容器aを持った電気ポットが提供され、真空
二重容器aの真空空間bにより保温性が向上する分だ
け、沸騰させた内容液を所定の温度にて保温するときの
ヒータcの消費電力が低減する。
【0004】図17に示す従来の電気ポットは特に、真
空二重容器aに口部dに内筒eが内側に張り出した絞り
部fと、胴部の真空空間bが底部に回り込んだ回り込み
部gとを有しているとともに、このような真空二重容器
aを外装ケースhに収容して器体iを構成し、この器体
iにおける真空二重容器aの口部dに通じる開口jにこ
れを覆いかつ真空二重容器aの口部dに及ぶ蓋kを設け
ている。これにより、沸騰後ヒータcによる加熱を停止
して2時間経過した時点でも実用に耐える90℃程度の
通常保温状態を確保することができる。
【0005】一方、ヒータcは加熱効率のために真空二
重容器aの回り込み部gの内側に形成される一重底部m
を取り付け部nとして当てがい取り付けている。また、
この取り付け部nを利用して内容液を電動ポンプpや手
動ポンプqにより外部へ吐出する吐出路rの流入口sを
接続し、真空空間bを貫通しなくてよいようにしてい
る。同時に、取り付け部nは上方に窪ませてヒータcを
収容し、このヒータ収容部が内容液中に突出して加熱面
積が増大するようにするとともに、流入口sが取り付け
部nまわりおよびヒータcよりも高い位置にあって、そ
の位置より下の内容液を注出できず残留させる結果、空
焚きになるのを防止できるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、吐出路rの流
入口sがヒータcの取り付け部nに接続されると、そこ
にはヒータcおよびこれを取り付けるための多数の板部
材からなる複雑な押圧構造部tが位置していて、これら
全てが吐出路rの流入口sを避けて設けられる必要があ
るので、多数の部材に流入口sを避ける貫通孔や切り欠
きを設ける必要があって製作が手間でコスト高になる。
また、組み立て時に際しては多数の部材を流入口sに対
し細かな位置合わせをして嵌め合わせる必要があるの
で、作業に手間取りこれもコスト高の原因になる。
【0007】また、ヒータcの取り付け部nに流入口s
の接続スペースをとると、流入口sに接続される樹脂製
接続部材の耐熱性を配慮して、ヒータcおよび押圧構造
部tとの間に熱的な安全隙間が必要なことも相まって、
ヒータcによる加熱効率の上から設定される最適加熱面
積に流入口sの接続スペースのための大きなロスが生
じ、加熱効率が低下する。
【0008】そこで、前記最適加熱面積に設定される図
17に示すような取り付け部nから流入口sの接続位置
を外すことが考えられる。しかし、それでは、真空空間
bの回り込み部gの側と干渉するので、回り込み部gの
内径を大きくすると回りこみ部が勢い減少して保温力が
低下する。回り込み部gの流入口sと干渉する部分だけ
を外方に移動させると、溶接するラインが円形でなくな
り一部が外部に張り出す複雑な形状になるので、溶接作
業が容易でなくコスト上昇の原因になるし、溶接不良に
よる歩留まりおよび信頼性の低下にも繋がる。
【0009】本発明の目的は、加熱効率や保温力または
および歩留まりや信頼性の低下なく、かつコストの上昇
なしに吐出路が設けられる真空二重容器を持った電気貯
湯容器を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の真空二重容器を持った電気貯湯容器は、
器体に金属製の真空二重容器を持ち、この真空二重容器
の一重底部に外部からヒータを当てがうとともに、内容
液を外部に吐出する吐出路を接続したものにおいて、真
空二重容器の底部外周域に胴部からの真空空間の回り込
み部を有し、この回り込み部とこれの内側の一重底部へ
のヒータの取り付け部との間の環状域に、前記吐出路の
流入口を接続したことを1つの特徴とするものである。
【0011】このような構成では、吐出路の流入口を真
空二重容器の一重底部を利用して簡単に接続できるよう
にしながら、この接続部が一重底部に設定されたヒータ
の取り付け部と一重底部まわりにある胴部からの真空空
間の回り込み部との間の環状域によってヒータの取り付
け部および真空空間の回り込み部双方から独立したもの
にでき、回り込み部と一重底部との境界部における真空
二重容器を形成する内筒と外筒との溶接接合部が、回り
込み部と流入口との間に位置する関係が得られるので、
ヒータやヒータ押え構造部の部材や組み立て、および回
り込み部の内周における真空二重容器を構成する内筒お
よび外筒の溶接構造のいずれも複雑にしないので、部材
の製作や組み立て、および溶接が簡単で安価なものとな
るし、溶接不良などによる歩留まりや信頼性の低下を招
くこともない。
【0012】環状域における流入口の接続部は、流入口
を回り込み部およびヒータの取り付け部双方に対して独
立させる広さを持った部分的な拡張部であると、その設
け方により、真空空間の回り込み部およびヒータの取り
付け部双方の面積が減少するのを回避できるので、保温
力や加熱効率が低下することはない。
【0013】拡張部が、ヒータの取り付け部を一重底部
に対し偏心させて形成したものであると、真空空間の回
り込み部およびヒータの取り付け部双方が通常の形状の
ままで、流入口の接続のために互いの面積が減少するの
を回避するとともに、回り込み部内周での真空二重容器
を形成する内筒と外筒との溶接接合部を単純形状のまま
流入口接続部から独立させることができ、接合および接
続いずれの作業もより簡単により確実に行える。拡張部
が、一重底部に対して同心なヒータの取り付け部を外周
一部が切除された形状として形成したものであっても、
真空空間の回り込み部およびヒータの取り付け部双方が
通常の位置のままヒータの取り付け部の形状を単純に変
形させるだけで、真空空間の回り込み部およびヒータの
取り付け部双方が流入口の接続のために互いの面積が減
少するのを回避または大きく軽減するとともに、回り込
み部内周での真空二重容器を形成する内筒と外筒との溶
接接合部を単純形状のまま流入口接続部から独立させる
ことができ、接合および接続いずれの作業もより簡単に
より確実に行える。
【0014】また、これらいずれの場合もヒータの取り
付け部の面積の中心部が一重底部の中心に対して、流入
口接続位置と反対の側に偏心することになって、ヒータ
の加熱による内容液の上昇流を真空二重容器内の偏った
位置に生じさせるのと同時に、反偏り側にできる非加熱
部の内容液が前記偏り側の上昇流に追従しやすくして内
容液の対流を促進するので、内容液のヒータとの熱交換
性をよくして加熱効率を高めるとともに、温度むらをな
くして一箇所での温度検出によっても実際に近い内容液
温度が検出されるようにすることができる。
【0015】流入口がヒータよりも上に位置しているこ
とにより、ヒータの取り付け部から外れた一重底部に接
続されたことに関係なく、内容液がヒータよりも低くな
るまで吐出されるのを阻止して空焚き状態になるのを回
避することができる。
【0016】流入口の一重底部下への突出部に吐出路途
中に設ける電動ポンプが接続されていても、電動ポンプ
と流入口との接続部がヒータの取り付け部から外れてい
るので、ヒータからの熱影響を受け難く熱的安全が確保
でき高価な樹脂を用いなくても十分な耐久性が得られ、
コストの低減に貢献する。
【0017】本発明のそれ以上の目的および特徴は、以
下の詳細な説明で明らかになる。本発明の各特徴は、そ
れ単独で、あるいは可能な限り種々な組合せで複合して
用いることができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例について図1〜図16
を参照しながら詳細に説明し、本発明の理解に供する。
【0019】本実施例は、家庭用の電気ポットの場合の
一例であり、ステンレス鋼製の真空二重容器を外装ケー
スに収容した基本構成を有している。しかし、本発明は
これに限定されることはなく、用途や真空二重容器の材
質、外装ケースの有無は自由に選択することができる。
もっとも、ステンレス鋼は金属の中で熱伝導性が低く、
かつ曲げ剛性、強度が十分であり、しかも防錆効果を持
つので、飲料用の電気貯湯容器には好適である。
【0020】本実施例の電気ポットは図1に示すよう
に、ステンレス鋼製の内筒4と外筒5により構成される
金属製の真空二重容器3と、内筒4内の内容液を加熱す
るように真空二重容器3の一重底部3cに当てがったヒ
ータ11とを備え、これらを合成樹脂製の外装ケース2
に収容して器体1を構成している。このように真空二重
容器3が曲げ剛性および強度共に高い金属製であること
により壁厚および真空空間63の層が小さくてよくスリ
ムでありながらその材質と相まって高い保温力を発揮す
ることができる。しかも、口部3aは胴部3bの内径よ
りも小さい絞り形状とされるとともに、胴部3bの真空
空間63が底部の外周域に回り込んだ回り込み部63a
を有しているので、その分真空二重容器3のまわりの真
空空間63の領域が多くなり、さらに高い保温力を発揮
する。しかし、本発明において口部3aの絞り形状や外
装ケース2は必須ではない。
【0021】真空二重容器3の一重底部3cには内容液
を器体1外に吐出する吐出路25が接続され、この吐出
路25は真空二重容器3と外装ケース2との間を立ち上
がり、器体1の前部に吐出口25dが臨んでいる。吐出
路25の途中には電動ポンプ26が設けられ、内容液を
電動にて吐出できるようにしている。これに併せ、真空
二重容器3の口部3aに通じる器体1の開口12を開閉
できるように覆う蓋13に手動のベローズポンプ50が
設けられ、押圧板61による押圧操作で真空二重容器3
内に加圧空気を吹き込み内容液を加圧して吐出路25を
通じ押し出し外部に吐出させられるようにしている。
【0022】吐出路25の立上がり部25aは透明管と
してそこでの液量が器体1の図15に示す液量表示窓6
2から透視できるようにしている。しかし、内容液の液
量は立上がり部25aの液量をフォトカプラなどによっ
て段階的に検出して表示し、また各種の制御のための液
量データとして用いることもできる。また液量の自動検
出は静電容量方式によってもよいし、内容液をヒータ1
1で加熱するときの昇温特性や、ヒータ11の加熱を停
止したときの降温特性によっても液量を自動検出するこ
とができる。
【0023】ところで、ヒータ11による最適な加熱面
積は真空二重容器3の胴部3bの内径に対応してほぼ決
まっている。これを確保してヒータ11の図1、図13
に示す取り付け部201と前記真空空間63の回り込み
部63aとを真空二重容器3の底部に併設し、かつ、前
記吐出路25の流入口25eを接続するのはスペースに
余裕がなく、従来は流入口25eはヒータ11の取り付
け部201に接続していて既述したような問題を持って
いる。
【0024】これに対処するのに本実施例では、真空空
間63の回り込み部63aとこれの内側の一重底部3c
へのヒータ11の取り付け部201との間の環状域84
に、吐出路25の流入口25eを接続する。これによ
り、吐出路25の流入口25eを真空二重容器3の一重
底部3cを利用して簡単に接続できるようにしながら、
この接続部202が一重底部3cに設定されたヒータ1
1の取り付け部201と一重底部3cまわりにある胴部
3bからの真空空間63の回り込み部63aとの間の環
状域84によってヒータ11の取り付け部201と真空
空間63の回り込み部63aとの双方から独立したもの
にでき、回り込み部63aと一重底部3cとの境界部に
おける真空二重容器3を形成する内筒4と外筒5との溶
接接合部70が、回り込み部63aと流入口25eとの
間に位置する関係が得られる。従って、ヒータ11やヒ
ータ押え構造部203の部材や組み立て、および回り込
み部63aの内周における内筒4および外筒5の溶接構
造のいずれも複雑にしないので、部材の製作や組み立
て、および溶接が簡単で安価なものとなるし、溶接不良
などによる歩留まりや信頼性の低下を招くこともない。
【0025】特に、図1、図5、図6、図13に示すよ
うに環状域84における流入口25eの接続個所が、流
入口25eを回り込み部63aおよびヒータ11の取り
付け部201双方に対して独立させる広さを持った部分
的な拡張部84aとしてある。このようにすると、拡張
部84aの設け方により、真空空間63の回り込み部6
3aとヒータ11の取り付け部201との双方の面積が
減少するのを回避できるので、保温力や加熱効率が低下
することはない。図示する例の拡張部84aは吐出路2
5が器体1の前部に設けられることに対応して器体1の
前部側に形成している。
【0026】図1、図5、図13に示す例での拡張部8
4aは、ヒータ11の取り付け部201を一重底部3c
に対し器体1の後方側に偏心させて形成してある。これ
によると、真空空間63の回り込み部63aとヒータ1
1の取り付け部201との双方が例えば図5に示すよう
な円形といった通常の形状のままで、流入口25eの接
続のために互いの面積が減少するのを回避するととも
に、回り込み部63aの内周での内筒4と外筒5との溶
接接合部70を図5に示すような単純形状のまま流入口
25eの接続部202から独立させることができ、接合
および接続いずれの作業もより簡単により確実に行え
る。
【0027】また、別の図6に示す拡張部84aは、一
重底部3cに対して同心なヒータ11の取り付け部20
1の前部側を外周一部が切除された形状として形成した
ものである。これによっても、真空空間63の回り込み
部63aとヒータ11の取り付け部201との双方が通
常の位置のままヒータ11の取り付け部201の形状を
例えば図6に示すように円形の一部をD型に切除すると
いった単純な形状に変化させるだけで、真空空間63の
回り込み部63aとヒータ11の取り付け部201との
双方が流入口25eの接続のために互いの面積が減少す
るのを回避または大きく軽減するとともに、回り込み部
63a内周での内筒4と外筒5との溶接接合部70を例
えば図6に示すような円形といった単純形状のまま流入
口25eの接続部202から独立させることができ、接
合および接続いずれの作業もより簡単により確実に行え
る。
【0028】図6に示すD型カット形状の取り付け部2
01では従来通りの大きさの取り付け部201の一部を
カットするにしても、流入口25eの独立性、つまり接
触しない程度、ないしは接続部202における溶接接合
作業の邪魔にならない程度に離しておけばよいので、そ
のカット量はヒータ11の取り付け部201に接続して
いた従来の場合生じるロス面積の数分の1となるので、
加熱効率はほとんど低下しない。
【0029】また、図5、図6に示すいずれの場合も、
ヒータ11の取り付け部201の面積の中心部が一重底
部3cの中心に対して、流入口25eの接続位置と反対
の側に偏心することになる。これによって、ヒータ11
の加熱による内容液の上昇流を真空二重容器3内の偏っ
た位置に生じさせるのと同時に、反偏り側にできる非加
熱部の内容液が前記偏り側の上昇流に追従しやすくして
内容液の対流を促進するので、内容液のヒータ11との
熱交換性をよくして加熱効率を高める。同時に内容液の
温度むらも緩和され、例えば図1に示すような一重底部
3cの中央一箇所に設けられる温度センサ29での温度
検出によっても実際に近い内容液温度を検出することが
できる。
【0030】なお、流入口25eはヒータ11の取り付
け部201から独立しているものの、ヒータ11よりも
上に位置していることにより、内容液がヒータ11より
も低くなるまで吐出されるのを阻止して空焚き状態にな
るのを回避することができる。また、流入口25eの一
重底部3c下への突出部に従来通り吐出路25途中に設
ける電動ポンプ26を接続しているが、電動ポンプ26
と流入口25eとの接続部204がヒータ11の取り付
け部201から外れているので、ヒータ11からの熱影
響を受け難く熱的安全が確保でき高価な樹脂を用いなく
ても十分な耐久性が得られ、コストの低減に貢献する。
【0031】一方、真空二重容器3を持った電気ポット
において沸騰した内容液をヒータ11による加熱なしに
放置したときの魔法瓶保温状態での保温特性は、図16
に線で示すように口部3aの内径Dの大きさにほぼ反
比例する。線は内容液の2時間後の降温幅を示し、1
20mmでは5℃程度、145mmでは10℃程度、1
80mmでは17℃程度となっている。
【0032】そこで、口部3aの内径Dを従来の145
mm未満に設定すると、本発明の目的である保温力の改
善を一応図ることができ、保温力増大の面からは口部3
aの内径Dを極力小さくするのが好適である。しかし、
それには制限がある。例えば真空二重容器3内を洗浄や
拭き取りなどのお手入れをすることを考えると、大人の
人の手、特にこぶしが入るにはD=80mm程度が限度
であり、D=100mm程度になると作業しやすく、D
=120mm程度を越えると作業が自由になる。これを
内径Dとお手入れ性の良し悪し性との関係を判定すると
図16の線で示すようになる。
【0033】また、蓋13のベローズポンプ50を収容
している部分を進入部13aとして図1、図2に示すよ
うに口部3a内に進入させることにより、真空二重容器
3内の空気を口部3a外からできるだけ遠ざけて熱が上
部へ逃げるのを抑え、かつ、ベローズポンプ50を収容
した蓋13が外方に大きく張り出さないようにできる
が、実用上差し支えない吐出流量を確保できる容量のベ
ローズポンプ50に対して、内径Dが120mmを下回
ると進入部13aを口部3aに進入させるのが勢い困難
になり、内径Dが100mmを切るとベローズポンプ5
0は口部3aの上にしか配置できないので、蓋13は外
方へ大きく張り出し電気ポットが大型化する原因にな
る。このような口部3aの内径Dと小型化に対する良し
悪し性との関係を評価すると図16に線で示すように
なる。
【0034】また、口部3aの内径Dが胴よりも小さく
なる部分は絞り加工により形成するが、口部3aの内径
が小さければ小さいほど絞り加工が困難で、複数部分に
切り離して加工した後溶接して一体にする必要が生じコ
スト上昇の原因になったり、絞り加工ができても割れな
どにより歩留まりや信頼性が低下したり、歩留まりや信
頼性は確保できても加工に時間が掛かってコスト上昇の
原因になったりする。例えば、JISのSUS304、
SUS436などの材料からなる内筒4につき、胴径1
80mmからの絞り加工にて口部3aの内径Dとして1
20mm以下を目指すと胴部と絞り部とを切り離して加
工する必要がある。このような内径Dと加工の難易によ
る良し悪し性との関係につき評価すると、図16に線
で示すようになる。
【0035】また、内筒4の内面にフッ素コーティング
や研磨処理などを施すのに、ガンやノズルなどの器具が
入らないといけないし、処理が均一であるためには器具
を自由に動かせることも必要である。従って、口部3a
の内径Dが小さいほど処理は困難になるし、処理できて
も時間が掛かったり均一に処理できないといった問題が
ある。また、フッ素コーティング前の内面をブラスト処
理して荒らしフッ素コート層の付着力を高める工程にお
いては、内筒4の内に吹き付けたブラスト材が内筒4外
に戻り難く作業性が悪くなる。例えば、口部3aの内径
Dが100mmを切るとコーティング材を吹き付けるガ
ンが内筒4内に入らなくなり、フッ素コーティングは不
可能になる。このような内径Dと内筒4の内面の加工や
処理の難易による良し悪し性との関係につき評価する
と、図16に線で示すようになる。
【0036】以上の線〜に示す保温特性および各種
良し悪し性との関係を総合判断すると、お手入れ性、小
型化性、絞り加工性・コスト性、および内筒4の内面の
加工・処理の容易性のいずれも満足できる限度となる1
20mmを内径Dの下限とするのが好適である。また、
内径D=140mmでは上記したように2時間後の降温
幅が8℃程度で、内容液温度は中温保温温度92℃程度
をまだ保っており、内径Dが145mmである従来の場
合の2時間後の降温幅が10℃程度、内容液温度が通常
保温温度90℃程度となるのに対して十分な保温力の向
上が見られ好適である。3Lの容量の電気ポットの場
合、従来年間6500円程度の節電になっていたのが、
内径D=140mmでは内容液が従来の場合と同じ実用
保温温度90℃程度になるまでヒータ11の通電を停止
したままにすると7000円強の節電になる。これは3
年で商品価額に達し元が取れることになる。
【0037】しかし、内径Dの上限を決める要素として
は前記実測データの各種特性の他に、公的な省エネ基
準、愛用者カードやインターネット情報などによるユー
ザの希望事項、エアコン、テレビ、冷蔵庫などの他の家
電製品との消費電力などとの比較、省エネ率など各種の
要素がある。
【0038】以上から口部3aの内径Dは120〜14
0mmとするのが好適であり、真空空間63の底部への
回り込み部63aの内径もこれに同じか近い値に設定す
るのが保温力の面で好適となる。
【0039】さらに、図1に示すように真空二重容器3
の口部3aの外径が真空二重容器3を形成している外筒
5の胴径よりも小さければ、口部3aの内径Dが小さく
なったことを利用して外径も小さくして、口部3aまわ
りをかさ低くすることができ、器体1のさらなる小型化
に貢献する。本実施例では特に、真空二重容器3の口部
3aの外径が内筒4の胴径よりも小さい。これにより、
口部3aまわりをさらにかさ低くすることができる。
【0040】なお、口部3aの内径Dは既述したように
大人の人の手が入って、しかも、満水位指標67aが見
える図2に示すような視野範囲θが得られる寸法にする
のが好適である。また視野範囲θは操作パネル32を見
て操作する場合の目の位置を含むのが好適である。図示
する実施例では内筒4の胴部4mの一部を内側に浮き出
させた浮き出し壁4nに浮き出し線として満水位指標6
7aを形成して前記の視野範囲θを満足している。しか
も、満水位指標67aよりもさらに見やすくなる満水位
指標67aの下の部分に上向きの矢印67bとこの矢印
67bの方向に満水位指標67aがあることを気付かせ
る文字表示67cを形成してあり、満水位を超える水を
入れないことを使用者によって守られやすい。また、満
水位が真空二重容器3の胴径よりも十分に小さい設計に
おいて特に、口部3aの内径を満水位とほぼ同じかそれ
よりも小さく設定しても口部3aからの熱の逃げを抑え
やすく保温力が向上する。
【0041】このように口部3aの外径を小さくする本
実施例において、さらに、真空二重容器3を形成してい
る内筒4の口部4aと外筒5の口部5aとの接合部64
が、図1〜図4に示すように真空二重容器3の口部3a
における開口端の外径側に位置している。これにより、
口部3aの内径Dを外径とともに小さくする口部3aの
絞り形状を内筒4と外筒5とで分担し合って、内外筒
4、5の1つに絞り形状が集中しないので、加工しやす
く材料面および加工作業面にて有利でありコストの低減
を図ることができる。内外筒4、5ともJISのSUS
304、SUS436などを用いて問題なく製造するこ
とができる。
【0042】上記の口部3aの外径を小さくするのに併
せ、真空二重容器3の口部3aの外径と胴部3bの外径
との間の口部3aまわりにできる環状空間65を利用し
て、図1〜図3に示すように肩部材6と真空二重容器3
との取り付け部66を設けてある。これにより、金属製
の真空二重容器3の肩部3dに配して口部3aに通じる
器体1の開口12部まわりに必要な形状を与えやすい肩
部材6を取り付けるのに、肩部材6と真空二重容器3と
の取り付け部66を真空二重容器3の胴部外径と口部外
径との間の口部3aまわりにできる環状空間65を利用
して設けるので、取り付け部66のための特別な空間が
不要となり器体1がかさ張らないし、口部3aまわりに
スペースの余裕ができ、必要な取り付け強度やシール部
を持つなどかさ張りやすい取り付け部66を設けたり、
他の必要なものを併設したりするのに好適である。
【0043】図示する例では真空二重容器3の肩部3d
の円周方向数箇所に図1〜図3、図7に示すような取り
付け金具71を溶接などして設け、この取り付け金具7
1に肩部材6の内周にある取り付けフランジ6aを当て
がった上に、さらに金属製で断面L型のワッシャリング
75を当てがい、ワッシャリング75側から取り付け金
具71まで通したねじ72によりねじ止めしてある。こ
のねじ止めは肩部3dが水平であることにより取り付け
金具71および肩部材6ともに単純な形状にて達成する
ことができる。
【0044】肩部材6のねじ止め部は肩部材6の前記取
り付けフランジ6aを一体形成している内周面6bに嵌
め合わせた合成樹脂製の肩リング73により覆い隠すよ
うにしている。肩リング73は図14に示すように円周
方向数箇所に下方に延びるフック片73cを有し、これ
らフック片73cが図4に示すようにワッシャリング7
3および取り付けフランジ6aに形成した孔75a、6
dに上方から挿入され、その最終挿入位置で孔6dの開
口縁と弾性係合することにより外れ止めされている。肩
リング73は外周の溝73aに嵌め付けたシール部材7
4が肩部材6の内周面6bに圧着して双方間の隙間をシ
ールしている。また、肩リング73は図3、図4に示す
ように内周が真空二重容器3の口部3aにおける内筒4
および外筒5の接合部64に鉤状断面を持って被さり双
方間をそれらに挟み込んだシール部材77によりシール
している。シール部材77は内外筒4、5の接合部64
とされた口部4a、5aに内周側が嵌まり合っている。
【0045】また、図1、図2に示すように前記環状空
間65を利用して、口部3aに通じる器体1の開口12
を開閉する蓋13を器体1に開閉できるようにヒンジ連
結する連結部15を設けてある。このように、器体1の
連結部15を環状空間65を利用して設けることによ
り、蓋13をヒンジ連結する連結部15のための特別な
空間が不要となり器体1がかさ張らないし、口部3aま
わりのスペースに余裕ができ、蓋13を着脱するための
可動部であるストッパ68を持つなど複雑でかさ張りや
すい連結部15を設けたり、他の必要なものを併設する
のに好適である。複雑でかさ張る連結部のために従来図
17に示し、図15に仮想線で示すように器体1の外面
から突出していたのを、図16に実線で示すような胴部
2bから突出しない連結部15とすることが容易にで
き、外観のシンプル化も図れる。
【0046】図示する例では図2に示すようにストッパ
68はばね69により上方に向け付勢されて、連結部1
5におけるヒンジピン16との嵌まり合い凹部171の
横向き開放部171aを常時閉じている。これにより、
蓋13を口部3aおよび器体1の開口12から脱した開
き位置にしておいてヒンジピン16を凹部171から引
出すように移動させて取り外そうとしても、ヒンジピン
16はストッパ68に引っ掛かって凹部171から抜け
出せない。蓋13を外すにはストッパ68をその操作部
68aによりばね69に抗し下動させて凹部171の開
放部171aを開放する必要がある。これによって、蓋
13が不用意に外れるようなことを防止する。
【0047】また、蓋13は既述し図2に示すように真
空二重容器3の口部3a内への進入部13aを有し、口
部3aは蓋13が開閉されるときに進入部13aが描く
包絡線78に対する最近接位置にあるようにしている。
このように、蓋13の一部を進入部13aとして真空二
重容器3の口部3a内への進入を図ることによって、口
部3aから熱が逃げるのを邪魔して保温力を高めるのと
同時に、蒸気通路17や手動ポンプであるベローズポン
プ50を収容するなどで蓋13に必要となる大きな容量
を十分に確保しながら器体1外部への膨らみを抑えられ
る。しかも、真空二重容器3の前記のように内径Dを小
さくした口部3aが、蓋13の開閉時に前記進入部13
aの輪郭が描く包絡線78の直近にあるので、蓋13の
開閉を邪魔しない限度一杯まで内径Dを小さくして熱を
より逃げにくくすることができる。
【0048】しかも、蓋13の前記進入部13aの基部
まわりには蓋13と進入部13aに当てがった金属製の
内蓋121との間に挟み込んだシール部材122が設け
られ、口部3aの最内径部に圧接して口部3aを閉じて
いる。これにより、満水位と進入部13aとの間の蒸気
通路17の内側開口17aを内容液が閉じないための安
全空間に位置する空気が口部3aよりも外部へ大きく広
がって熱が逃げやすくなるのを防止するので、保温力が
向上する。
【0049】また、前記電動ポンプ26およびベローズ
ポンプ50などの手動ポンプの少なくとも一方を備えて
いると、電気貯湯容器を定置したまま内容液を吐出して
使用することができ、近時大型化し持ち上げ難くなって
いる大型タイプのものに好適である。特に手動ポンプを
備えているとヒータ11で加熱しない魔法瓶保温状態で
の使用時に通電なしに定置したままでの内容液の吐出が
でき、省エネルギーや電源のないところでの使用に好適
である。
【0050】さらに詳述すると、図2に示すように、内
筒4は胴部4mにおける満水位ライン67の少し上から
斜め内側に立ち上がる絞り形状面4bにて前記小径な口
部3aに繋がり、ここから口部3aのストレートな内径
面4cを形成した後、やや斜め上向きとなる口部3aの
開口端面3a1を形成して前記外筒5との溶接接合部6
4に達している。外筒5は胴部5mにおける前記内筒4
の絞り形状面4bの立上がり始点にほぼ対応した位置か
ら絞り形状面4bよりは緩やかに内側斜めに立ち上がる
絞り形状面5bを形成した後、絞り形状面4bの立上が
り終点にほぼ対応した位置の水平な肩部3dに繋がり、
ここからストレートに立ち上がって内筒4との溶接接合
部64に達している。
【0051】また、内筒4は図9に示すように胴部4m
下端に少しの内向きフランジ4eを形成し、これを円形
な底板81との溶接接合部80を持った一体化により容
器形状にしている。こうして形成される容器形状をした
内筒4の底部には、外周側から中央側に向け水平部4
f、緩やかな下り傾斜部4g、水平部4h、急な下り傾
斜部4i、中央水平部4jを形成している。このような
内筒4の底部外周の傾斜構造はビードのような汚れやす
く洗浄の邪魔になるディテール部をなさない緩やかな面
にて強度保証をする力学的形状を与えている。
【0052】一方、外筒5は図10に示すように胴部5
m下端に内向きのフランジ5cを形成し、これにフラン
ジ5c部から内筒4の中央水平部4jの外周部まで延び
る水平な底リング5dとを溶接接合部90をもって一体
化するとともに、底リング5dの内周を内筒4の中央水
平部4jとの溶接接合部80をもって一体化している。
底リング5dには2つの環状の補強ビード5gが折り曲
げ形成され、図1、図13に示すように内側の補強ビー
ド5gが内筒4の急な下り傾斜部4iと係合し合うこと
によって、底リング5dと中央水平部4jとの溶接接合
時に、内外筒4、5の底部どうしの位置決めができるよ
うにしている。
【0053】以上の結果、外筒5の底リング5dと内筒
4の底部との間に胴部からの空間のまわり込み部が全周
において均一に形成される。つまり真空空間63が形成
されたときは真空空間63の全周均一な回り込み部63
aとなる。内筒4の中央水平部4jは外筒5の底リング
5dとの溶接接合部80から内側が一重底部3cとなり
ここにヒータ11を当てがうことで内筒4内に入れた内
容液を効率よく加熱することができるが、本実施例では
中央水平部4jのヒータ11を当てがう部分を上方へ窪
ませた下向きの凹部3eとしてあり、この凹部3eの深
さ分だけヒータ11の位置が内容液側に突出するし、ヒ
ータ11の設置域の内容液との接触面積が多くなって加
熱効率が向上する。
【0054】この凹部3eによる内筒4内への突出部と
回り込み部63aとの間の環状域84が上向きの凹部に
形成されており、吐出路25を通じて吐出される内容液
がこの凹部によって多く残されるようになり、空焚き防
止に好適である。
【0055】一重底部3cに当てがったヒータ11の背
部に設けられる押え構造部203は、金属製の遮熱板8
7を有している。この遮熱板87は真空二重容器3の真
空空間まわり込み部と凹部3eの外面に溶接などして円
周方向数箇所に取り付けた図1、図8、図13に示すよ
うな取り付け金具88にねじ89によりねじ止めし、遮
熱板87とヒータ11との間に金属製の何枚かのバック
アップ板92およびばね部材91を挟み込み、ばね部材
91によってヒータ11を一重底部3cに押し付け密着
させている。また、ヒータ11の当てがい部および、環
状域84の底部に前記溶接接合部70となる内外筒4、
5が接し合った二重構造部が前記のように流入口25e
の接続部202と独立して位置している。なお、この底
部の取り付け金具88と肩部の前記取り付け金具71と
は同一のものを採用している。
【0056】また、外筒5は前記絞り形状面5bの部分
から肩部3dを経て内筒4との接合部64に至る口部5
aの範囲を胴部側と独立した別部材83とし、胴部側と
外向きフランジ5e、5f間に溶接接合部85を設けて
いる。この別部材83の溶接接合を最後に行うことによ
り、容器形状の内筒4と別部材83のない外筒5部分と
を嵌め合わせて底部の溶接接合を行って後、別部材83
の溶接接合を行うことによって、内外筒4、5の双方に
絞り形状面4b、5bを持った内外筒4、5を組み合わ
せた二重容器構造が実現する。
【0057】内外筒4、5間の真空空間63は、溶接接
合をし終えた内外筒4、5において、図8に示すように
肩部3dの一部に形成された図11に示す真空引き孔1
01を通じ真空排気して封口材により封口処理すること
によって形成される。真空排気は真空状態の加熱炉内に
て行われる。真空空間63内には図12に示すようなゲ
ッタ102が1つまたはそれ以上設けられ、真空空間6
3内で経時的に発生するガスを吸収して真空空間63の
真空度が低下しないようにする。
【0058】蓋13は真空二重容器3からの蒸気を外部
に逃がす蒸気通路17が形成され、蓋13の真空二重容
器3内に面する位置の内側開口17aと、外部に露出す
る外面に形成された外側開口17bとの間で通じてい
る。蒸気通路17の途中には、器体1が横転して内容液
が進入してきた場合にそれを一時溜め込み、あるいは迂
回させて、外側開口17bに至るのを遅らせる安全経路
17cを設けてある。これにより、器体1が横転して内
容液が蒸気通路17を通じて外部に流出するまでに器体
1を起こすなどの処置ができるようになる。また、蒸気
通路17には器体1の横転時に、蒸気通路17に進入し
ようとし、あるいは進入した内容液が先に進むのを阻止
するように自重などで働く転倒時止水弁18が適所に設
けられている。図示する実施例では内側開口17aの直
ぐ内側の一か所に設けてある。
【0059】蓋13の前部には閉じ位置で肩部材6側の
係止部19に係合して蓋13を閉じ位置にロックするロ
ック部材21が設けられ、蓋13が閉じられたときに係
止部19に自動的に係合するようにばね22の付勢によ
ってロック位置に常時突出するようにしている。これに
対応して蓋13にはロック部材21を後退操作して前記
ロックを解除するロック解除部材23が設けられてい
る。ロック解除部材23は図1に示すように軸24によ
って蓋13に枢支されたレバータイプのものとされ、前
端23aを親指などで押し下げて反時計回りに回動させ
ることでロック部材21をばね22に抗して後退させて
ロックを解除し、続いてロック解除操作で起き上がった
後端23bを他の指で引き上げることによりロックを解
除された蓋13を持ち上げこれを開くことができる。
【0060】電動ポンプ26は遠心ポンプであって真空
二重容器3内から流れ込む内容液を吐出路25を通じて
器体1外に臨む吐出口25dに向け送りだし、吐出口2
5dから外部に吐出させ使用に供する。外装ケース2の
底2aと真空二重容器3の底部との間の空間79には、
前記電動ポンプ26とともに、ヒータ11や電動ポンプ
26を通電制御する制御基板27を収容する回路ボック
ス28が設置されている。図示する実施例では回路ボッ
クス28は外装ケース2の底の開口部に一体形成して設
けてある。また、回路ボックス28は下向きに開口しこ
れを閉じる蓋160を設けてある。真空二重容器3の一
重の底部3cの中央には温度センサ29が下方から当て
がわれ、内容液のその時々の温度を検出して、湯沸しや
保温モードで内容液を加熱制御する場合の温度情報を得
る。
【0061】器体1の肩部材6の前部に嘴状に突出する
突出部31の上面には操作パネル32が設けられ、モー
ド設定などの操作部や、操作に対応する表示、あるいは
動作状態を示す表示を行うようにしてある。操作パネル
32の下方、つまり内側には前記操作および表示に対応
する信号の授受および動作を行う操作基板33が設けら
れて操作パネル32と協働して外部からの操作や外部へ
の表示が行えるようにする。吐出路25の上部は器体1
の突出部31と外装ケース2側のパイプカバー部2dと
の間に入った部分で逆U字状のユニット25cを構成
し、このユニット25cに転倒時止水弁134aおよび
前傾時止水弁134bと吐出口25dを設けている。吐
出口25dはパイプカバー部2dを通じて下向きに外部
に開口している。
【0062】外装ケース2の底2aにある開口2cには
下方から蓋板36を当てがってねじ止めや部分的な係合
により取付け、蓋板36の外周部には回転座環37が回
転できるように支持して設けられ、器体1がテーブル面
などに定置されたときに回転座環37の上で軽く回転し
て向きを変えられるようにしてある。
【0063】制御基板27は電源オンによって内容液の
衛生上やカルキ臭除去などの面から一旦沸騰させ、ある
いは、さらに沸騰を持続させるなどのカルキ除去を行っ
て後、温度センサ29による検知温度が所定の保温温度
になるまでヒータ11の加熱を停止し、所定の保温温度
になればヒータ11による断続加熱や通電容量の小さな
加熱によって所定の保温温度を保つようにする。
【0064】保温温度は操作パネル32での操作にて選
択でき、コーヒーや紅茶、緑茶などには即時に間に合
い、あるいは瞬時に再沸騰させてから使用できる98℃
程度の高温保温、それより若干低い90℃程度の通常保
温、玉露や赤ちゃんのミルク溶きに適当な60℃程度の
低温保温などが選択対象になっている。また、内容液を
沸騰させた後ヒータ11による加熱を行わずに保温を行
う魔法瓶保温モードも持っている。一方、内容液を電動
ポンプ26で注出したり、内容液が帰宅時や起床時など
所定の時点で湯沸しが終了し、あるいは所定の保温状態
になっているようにタイマ設定を行うお休みタイマモー
ド、即席めんや冷凍食品の再生時間などのクッキング時
間をカウントして知らせるキッチンタイマ、内容液の不
用意な注出を防止するための注出ロックモード、などを
選択設定することも行われる。さらに、それら設定状態
を解除する解除操作も行われたりもする。
【0065】また、前記狭い突出部31内に吐出路25
のユニット25cと共に設置されるなどしても、前記真
空二重容器3の口部3aまわりの環状空間65を利用し
て真空二重容器3の側に大きく逃がせるので、操作パネ
ル32の内側にある操作基板33やそれを収容している
基板ボックス34などと干渉し合うのを防止しやすく、
突出部31の薄型化、小型化も図れる。また、操作パネ
ル32も口部3aの外径が小さくなった分だけ器体1の
開口12の径も小さくなるので、従来と同じ突出度の突
出部31の先端から開口12までの距離が大きくなり、
操作パネル32の面積が大きくなり、各種の操作キーや
表示部を設けるのに見やすくかつ操作しやすくなるので
好適であり多機能化にも対応しやすい。また、大きな液
晶表示部38aが設けられる利点もある。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、吐出路の流入口を真空
二重容器の一重底部を利用して簡単に接続できるように
しながら、この接続部が一重底部に設定されたヒータの
取り付け部と一重底部まわりにある胴部からの真空空間
の回り込み部との間の環状域によってヒータの取り付け
部および真空空間の回り込み部双方から独立したものに
でき、回り込み部と一重底部との境界部における真空二
重容器を形成する内筒と外筒との溶接接合部が、回り込
み部と流入口との間に位置する関係が得られるので、ヒ
ータやヒータ押え構造部の部材や組み立て、および回り
込み部の内周における真空二重容器を構成する内筒およ
び外筒の溶接構造のいずれも複雑にしないので、部材の
製作や組み立て、および溶接が簡単で安価なものとなる
し、溶接不良などによる歩留まりや信頼性の低下を招く
こともない。
【0067】環状域における流入口の接続部は、流入口
を回り込み部およびヒータの取り付け部双方に対して独
立させる広さを持った部分的な拡張部であると、その設
け方により、真空空間の回り込み部およびヒータの取り
付け部双方の面積が減少するのを回避できるので、保温
力や加熱効率が低下することはない。
【0068】拡張部が、ヒータの取り付け部を一重底部
に対し偏心させて形成したものであると、真空空間の回
り込み部およびヒータの取り付け部双方が通常の形状の
ままで、流入口の接続のために互いの面積が減少するの
を回避するとともに、回り込み部内周での真空二重容器
を形成する内筒と外筒との溶接接合部を単純形状のまま
流入口接続部から独立させることができ、接合および接
続いずれの作業もより簡単により確実に行える。拡張部
が、一重底部に対して同心なヒータの取り付け部を外周
一部が切除された形状として形成したものであっても、
真空空間の回り込み部およびヒータの取り付け部双方が
通常の位置のままヒータの取り付け部の形状を単純に変
形させるだけで、真空空間の回り込み部およびヒータの
取り付け部双方が流入口の接続のために互いの面積が減
少するのを回避または大きく軽減するとともに、回り込
み部内周での真空二重容器を形成する内筒と外筒との溶
接接合部を単純形状のまま流入口接続部から独立させる
ことができ、接合および接続いずれの作業もより簡単に
より確実に行える。
【0069】また、これらいずれの場合もヒータの取り
付け部の面積の中心部が一重底部の中心に対して、流入
口接続位置と反対の側に偏心することになって、ヒータ
の加熱による内容液の上昇流を真空二重容器内の偏った
位置に生じさせるのと同時に、反偏り側にできる非加熱
部の内容液が前記偏り側の上昇流に追従しやすくして内
容液の対流を促進するので、内容液のヒータとの熱交換
性をよくして加熱効率を高めるとともに、温度むらをな
くして一箇所での温度検出によっても実際に近い内容液
温度が検出されるようにすることができる。
【0070】流入口がヒータよりも上に位置しているこ
とにより、ヒータの取り付け部から外れた一重底部に接
続されたことに関係なく、内容液がヒータよりも低くな
るまで吐出されるのを阻止して空焚き状態になるのを回
避することができる。
【0071】流入口の一重底部下への突出部に吐出路途
中に設ける電動ポンプが接続されていても、電動ポンプ
と流入口との接続部がヒータの取り付け部から外れてい
るので、ヒータからの熱影響を受け難く熱的安全が確保
でき高価な樹脂を用いなくても十分な耐久性が得られ、
コストの低減に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る真空二重容器を持った電気ポット
の1つの実施例を示す断面図である。
【図2】図1の電気ポットの真空二重容器の口部まわり
を示す、その(a)は断面図、その(b)は満水位指標
部の正面図である。
【図3】図1の電気ポットの真空二重容器の口部まわり
の肩部材取り付け部を示す断面図である。
【図4】図1の電気ポットの真空二重容器の口部まわり
の肩部材取り付け部を示す別の位置での断面図である。
【図5】図1の電気ポットにおける吐出路接続状態の1
つの例を示す横断面図である。
【図6】図1の電気ポットにおける吐出路接続状態の別
の例を示す横断面図である。
【図7】図1の電気ポットにおける真空二重容器の半部
を示す平面図である。
【図8】図1の電気ポットにおける真空二重容器の半部
を示す下面図である。
【図9】図1の電気ポットにおける真空二重容器を構成
する内筒の底部を示す一部の断面図である。
【図10】図1の電気ポットにおける真空二重容器を構
成する外筒の底部を示す一部の断面図である。
【図11】図1の電気ポットにおける真空二重容器の口
部を示す一部の断面図である。
【図12】図1の電気ポットにおける真空二重容器の口
部を示す別の位置での一部の断面図である。
【図13】図1の電気ポットにおける真空二重容器の底
部の全体を示す断面図である。
【図14】図1の電気ポットにおける肩部材のねじ止め
部を覆う肩リングの断面図である。
【図15】図1の電気ポットの外観斜視図である。
【図16】真空二重容器の口部の内径と各種の面から見
た良し悪し性との関係を示すグラフである。
【図17】従来の真空二重容器を持った電気ポットの断
面図である。
【符号の説明】
1 器体 2 外装ケース 3 真空二重容器 3a 口部 3b 胴部 3c 一重底部 4 内筒 5 外筒 11 ヒータ 25 吐出路 25e 流入口 63 真空空間 63a 回り込み部 201 取り付け部 202、204 接続部 203 押え構造部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 器体に金属製の真空二重容器を持ち、こ
    の真空二重容器の一重底部に外部からヒータを当てがう
    とともに、内容液を外部に吐出する吐出路を接続した真
    空二重容器を持った電気貯湯容器において、 真空二重容器の底部外周域に胴部からの真空空間の回り
    込み部を有し、この回り込み部とこれの内側の一重底部
    へのヒータの取り付け部との間の環状域に、前記吐出路
    の流入口を接続したことを特徴とする真空二重容器を持
    った電気貯湯容器。
  2. 【請求項2】 環状域における流入口の接続部は、流入
    口を回り込み部およびヒータの取り付け部双方に対して
    独立させる広さを持った部分的な拡張部である請求項1
    に記載の真空二重容器を持った電気貯湯容器。
  3. 【請求項3】 拡張部は、ヒータの取り付け部を一重底
    部に対し偏心させて形成した請求項2に記載の真空二重
    容器を持った電気貯湯容器。
  4. 【請求項4】 拡張部は、一重底部に対して同心なヒー
    タの取り付け部を外周一部が切除された形状として形成
    した請求項2に記載の真空二重容器を持った電気貯湯容
    器。
  5. 【請求項5】 回り込み部と一重底部との境界部におけ
    る真空二重容器を形成する内筒と外筒との溶接接合部
    が、回り込み部と流入口との間に位置している請求項1
    〜4のいずれか1項に記載の真空二重容器を持った電気
    貯湯容器。
  6. 【請求項6】 流入口はヒータよりも上に位置している
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気貯湯容器。
  7. 【請求項7】 流入口の一重底部下への突出部に吐出路
    途中に設ける電動ポンプが接続されている請求項1〜6
    のいずれか1項に記載の真空二重容器を持った電気貯湯
    容器。
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