JP2002327068A - フッ素樹脂の改質方法および改質フッ素樹脂構成体 - Google Patents
フッ素樹脂の改質方法および改質フッ素樹脂構成体Info
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Abstract
ッ素樹脂を得るための改質方法と、これにより得られる
改質フッ素樹脂構成体を提供する。 【解決手段】酸素分圧を0.1〜10torrの濃度範
囲に設定した第1の雰囲気内でフッ素樹脂に電離性放射
線を照射した後、これを、150℃以上あるいは当該フ
ッ素樹脂の結晶分散温度(α分散温度)以上で、かつ当
該フッ素樹脂の分解温度以下の温度を有する第2の雰囲
気内において所定の時間保持する。
Description
方法および改質フッ素樹脂構成体に関し、特に、耐熱劣
化特性および耐圧縮歪み特性に優れたフッ素樹脂を得る
ための改質方法と、これにより得られる改質フッ素樹脂
構成体に関する。
に優れるフッ素樹脂は、歯車等の機械部品、耐熱構成材
あるいは絶縁材など産業用の各種用途において広く利用
されている。しかし、フッ素樹脂は、これらの諸特性に
優れる反面、破断時伸び、同強度等の機械的特性に劣る
ところがあるため、これらの特性を改善すべく様々な改
質方法の検討が行われている。
が提案されている。その代表的な例としては、たとえ
ば、特開平6−116423号、特開平7−11842
3号あるいは特開平7−118424号に開示された方
法を挙げることができ、いずれも、有効な改質手段とし
て相応の評価を受けている。
による改質方法によると、放射線の照射によるフッ素樹
脂の劣化が大きいため、劣化した部分の熱老化速度が大
きく、このため、高温で使用したときに比較的短い期間
のうちに老化現象を起こすことが多く、さらには、圧縮
永久歪性の面においても充分な特性が得られないのが普
通である。これらの2つの特性は、フッ素樹脂の適用範
囲を狭めるように影響し、たとえば、高温用のパッキン
グ材などとしてフッ素樹脂を適用しようとするとき、大
きな障害となって作用することになる。
よび耐圧縮歪み特性に優れたフッ素樹脂を得るための改
質方法と、これにより得られる改質フッ素樹脂構成体を
提供することにある。
達成するため、フッ素樹脂に電離性放射線を照射するこ
とによって前記フッ素樹脂の改質を行うフッ素樹脂の改
質方法において、酸素分圧が0.1〜10torrの濃
度範囲に設定した第1の雰囲気内でフッ素樹脂に電離性
放射線を照射し、照射された前記フッ素樹脂を、150
℃以上あるいは前記フッ素樹脂の結晶分散温度(α分散
温度)以上で、かつ前記フッ素樹脂の分解温度以下の温
度を有する第2の雰囲気内において所定の時間保持する
ことを特徴とするフッ素樹脂の改質方法を提供するもの
である。
め、電離性放射線の照射によって改質されたフッ素樹脂
より構成されるシート。フィルム、チューブあるいはコ
ーティング体等のフッ素樹脂構成体において、前記フッ
素樹脂は、酸素分圧が0.1〜10torrの濃度範囲
の雰囲気内で電離性放射線を照射することによって生成
させた、主鎖切断による末端ラジカルとフッ素原子離脱
による主鎖ラジカルとの反応による長鎖枝分かれの分子
構成を有することを特徴とする改質フッ素樹脂構成体を
提供するものである。
射線の照射によってフッ素樹脂の分子に主鎖切断による
末端ラジカルの生成と、フッ素原子の離脱による主鎖ラ
ジカルの生成とを生起させ、生成したこれらのラジカル
同士を反応させることによって長鎖枝分かれの分子構成
を成立させる点にある。そして、長鎖枝分かれの分子構
成の成立は、フッ素樹脂に対して良好な耐熱劣化性と耐
圧縮歪み性を付与するように作用するため、これによっ
て両特性に優れたフッ素樹脂を提供しようとするもので
ある。
電離性放射線を照射する際の雰囲気の酸素分圧が重要で
あり、本発明が規定する0.1〜10torrの酸素分
圧は、この効果を得るための必須要件となる。即ち、電
離性放射線の照射による主鎖切断に基づく末端ラジカル
の生成には、酸素の存在が不可欠であり、0.1tor
rの酸素分圧が有効量の末端ラジカル生成のための最低
水準となる。
改質のように過剰な主鎖切断を招き、著しい特性の低下
を招くことになる。適度な主鎖切断による末端ラジカル
の生成のためには、10torrが酸素分圧の上限であ
り、これら0.1torrの下限値と10torrの上
限値とが守られるとき、はじめて主鎖切断による末端ラ
ジカルが所定どおり生成し、同時に、フッ素原子離脱に
よる主鎖ラジカルも生成することとなる。
ば、フッ素樹脂が粉末体のときには、粉末体の間に存在
する酸素量も考慮に入れる必要がある。また、電離性放
射線の照射のステップとしては、0〜150℃、あるい
は0℃からフッ素樹脂の結晶分散温度(α分散温度。テ
トラフルオロエチレン系重合体の場合で120〜150
℃)の加熱雰囲気において行うことが好ましく、一方、
電離性放射線の照射量としては、5Gy〜500kGy
が好ましい。
よび主鎖ラジカルの生成を適度なものとするうえにおい
て有効に資するとともに、500kGyを上限とする照
射量の設定は、照射による過剰な温度上昇を招かないた
め、フッ素樹脂の温度制御を容易にする効果をもたら
す。この温度上昇の抑制は、従来の改質方法が温度制御
の困難さを一つの問題点としていることを考慮すると
き、有利な特質となって作用することになる。なお、よ
り好ましい電離性放射線の照射量としては、フッ素樹脂
の劣化をさらに抑制する意味合いから、5Gy〜1kG
yの範囲内に設定することができる。電離性放射線とし
ては、X線、γ線あるいは電子線が好ましく、なかで
も、出力が0.3〜5MeVの高エネルギー電子線は、
線量率が高いために特に好適といえる。
照射後に行われる第2の雰囲気内でのフッ素樹脂の保持
は、長鎖枝分かれの分子構成を成立させるための重要な
条件であり、これを充分なものとするためには、第2の
雰囲気の温度条件が肝要となる。その温度としては、1
50℃あるいはフッ素樹脂の結晶分散温度(α分散温
度)が下限であり、フッ素樹脂の分解温度が上限とな
る。電離性放射線を照射されることによって末端ラジカ
ルと主鎖ラジカルを生成させたフッ素樹脂は、この温度
雰囲気に保持される結果、両ラジカル間に効率的な反応
を生じさせ、これによって所定の長鎖枝分かれの分子構
成を生起させることになる。
鎖枝分かれの分子構成を有することは、後述の実施例に
おけるように、たとえば、温度365℃において所定の
成型体に成型できることからも明白である。もし、これ
が、従来の改質と同じく架橋による分子の三次元化に基
づく改質であれば、成型は不可能となる。また、長鎖枝
分かれの分子構成は、改質されたフッ素樹脂の破断時伸
び特性の変化によっても確認することができ、本発明に
よれば、初期値より50%以上もの伸びの増大を示すこ
とが確認されている。架橋に基づく改質であれば、初期
値より大きな伸びを示すことはない。
れの分子構成に基づくものであることを実証する証しと
して、本発明に適用可能なフッ素樹脂の種類を挙げるこ
とができる。即ち、分子構成がパーフルオロモノマのみ
の重合体あるいは共重合体は、通常、電離性放射線に対
して分解性あるいは崩壊性を有するポリマとして分類さ
れているが、本発明の改質による場合には、この種のフ
ッ素樹脂であっても分解あるいは崩壊現象を生じさせる
ことなく改質を行うことができる。
事実といえ、従って、後述する実施例においては、この
ことを実証する意味合いから、特に、パーフルオロモノ
マのみによる重合体および共重合体を選択した例を示
す。なお、この種のポリマとしては、テトラフルオロエ
チレン系重合体(PTFE)、テトラフルオロエチレン
−パーフルオロアルキルビニルエーテル系共重合体(P
FA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロ
ピレン系共重合体(FEP)あるいはこれらの混合体等
を挙げることができる。また、これらに少量の第3成分
を結合させた重合体あるいは共重合体もこの種のポリマ
の中には含まれ、たとえば、PTFEを例にとると、パ
ーフルオロアルキルビニルエーテル、ヘキサフルオロプ
ロピレンあるいはクロロトリフルオロエチレン等を分子
中に少量含むPTFEを挙げることができる。
しては、PTFEとPFA、PFAとFEP、PTFE
とFEP、PTFEとPFAとFEP、あるいはこれら
に、上記の第3成分を含むポリマを組み合わせたものな
ど、様々な混合形式が可能である。なお、分解型あるい
は崩壊型に属さない共重合形式のフッ素樹脂として、非
フッ素系モノマをパーフルオロモノマに共重合体させ
た、たとえば、エチレン−テトラフルオロエチレン共重
合体等があるが、この形式のポリマは、非フッ素系モノ
マの部分において架橋が行われることでの非分解ないし
は非崩壊型であり、従って、上記のパーフルオロ型のフ
ッ素樹脂とは意味が異なる。勿論、本発明をこの種のフ
ッ素樹脂の改質に適用できることはいうまでもない。
第1の雰囲気を、所定の酸素分圧を有した不活性ガスの
雰囲気とすることは好ましい形態となる。不活性ガスの
例としては、窒素ガス、アルゴンガスあるいはヘリウム
ガス等が挙げられる。具体的には、たとえば、乾燥空気
中の雰囲気に置かれているフッ素樹脂を必要な減圧度に
真空引きした後、雰囲気内に不活性ガスを注入するか、
あるいは、単に、不活性ガスによるパージによって酸素
分圧を所定の水準に設定すればよい。但し、これらの雰
囲気の形成に際しては、水分の侵入をできるだけ避ける
べきである。
微量酸素の存在下に電離性放射線を照射されることによ
って示差熱曲線上での分子量が1桁以上異なる2つの分
子量分布を有するようにされたフッ素樹脂を、電離性放
射線の照射対象とする形態が考えられる。このようにす
るときには、圧縮歪みを小さくできる効果を得ることが
でき、本発明の改質効果をより高めることが可能とな
る。
2の雰囲気内に保持する時間としては、0.5〜24時
間が好適である。なお、この雰囲気の上限温度であるフ
ッ素樹脂の分解温度を例示すると、PTFEは390
℃、PFAは370℃、そしてFEPは350℃であ
る。本発明による改質方法の好ましい形態として、フッ
素樹脂中に炭酸カルシウムのようなフッ素あるいはフッ
酸等のフッ素系成分と結合する性質の無機化合物を混入
しておく形態がある。この形態とするときには、電離性
放射線の照射によるフッ素樹脂からの有害ガスの発生を
効果的に抑制することが可能となる。
を第2の雰囲気内で所定の時間保持した後、水素あるい
はフッ素ガス等の活性ガスの雰囲気内においてこのフッ
素樹脂を加熱する工程を追加する形態も有用であり、こ
のようにするときには、二重結合等の残存活性基を失効
させることができ、改質されたフッ素樹脂の安定性およ
び品質を高めるうにおいて有意義となる。なお、このた
めの加熱工程としては、別個の後工程として設けてもよ
く、あるいは電離性放射線照射後の第2の雰囲気内での
保持工程において、この加熱を同時または時間をずらせ
て実施するようにしてもよい。
を混入することによって機械的強度、耐摩耗性等の改善
を図ることは可能であり、さらに、導電性付与剤、着色
剤等を混入することも可能である。具体的には、ガラス
繊維、炭素繊維、ロックウール等の繊維状物、またはガ
ラスビーズ、シラスバルーン、グラファイト、マイカ、
クレー、アルミナ、炭酸カルシウム、ボロンナイトライ
ド、フッ化黒鉛等の粉末、あるいは酸化チタンウイス
カ、炭酸カルシウムウイスカ、硫酸カルシウムウイスカ
等の単繊維、さらには、銅、モリブデン、ブロンズ等の
金属粉などの混入が考えられる。
るいはゴムを含む非フッ素系ポリマをブレンドすること
は可能であり、さらには、本発明のフッ素樹脂構成体の
具現化の形態として、他のゴムあるいはブラスティック
との複合構造とすることも可能である。これらのブレン
ドあるいは複合構造の具体的な組み合わせとしては、た
とえば、PTFEとポリエーテルエーテルケトンあるい
はPFAとポリフェニレンサルファイドの組み合わせ等
が考えられ、ブレンド方法としては、周知のポリマブレ
ンドあるいはポリマアロイ技術を適用することができ
る。
ッ素樹脂に加えることは差し支えなく、これらの混入お
よびポリマブレンド等に際しては、周知の混合および混
練設備が使用される。本発明によって改質されたフッ素
樹脂の適用例としては、たとえば、従来の改質では適用
困難であった耐圧パッキング、歯車などのエンジニアリ
ング部品、高温耐熱容器あるいはグラフト用耐薬品性基
材等を挙げることができる。
の改質の度合を例示すると、以下のようになる。 ・改質PTFE:圧縮歪み4%以下、熱分解速度6×10-3wt%/h以下。 :圧縮歪み8%以下、熱分解速度8×10-3wt%/h以下。 :未改質PTFEの1/2以下の圧縮歪み、未改質PTFEの 2倍以下の熱分解速度。 ・改質PFA :圧縮歪み10%以下、熱分解速度8×10-2wt%/h以下 。 :未改質PFAの1/2以下の圧縮歪み、未改質PFAの2倍 以下の熱分解速度。
量、温度、酸素分圧、あるいはこれらの次工程における
第2の雰囲気の温度、同保持時間等の条件の調整によっ
て設定が自在であり、従って、改質フッ素樹脂の用途に
応じてこれらの特性が決められれることになる。なお、
改質されたフッ素樹脂構成体の形式としては、シート
状、フィルム状、ブロック状、コーティング体、粉体あ
るいはシンターされたものなどを挙げることができる。
なお、ここに示された圧縮歪みと熱分解速度の定義は、
後述の実施例において示される。
改質方法および改質フッ素樹脂構成体の実施の形態を説
明する。
ングパウダ(旭化成社製G−163、平均粒径40μ
m)を収容して内部を1torrに減圧し、これに、高
純度窒素ガスを加えて容器内を常圧とした後、約80℃
の温度で80kGyの電子線を照射した。照射後のパウ
ダ温度は135℃であり、顕著な昇温を示さないことが
確認された。
0℃に昇温させ、その状態で 1時間保持することによ
って所定の改質PTFEとした後、アトマイザ粉砕機に
かけて粉砕し、得られた粉末を使用して加熱温度365
℃、圧力35MPaおよび成型時間1.5時間の条件下
で成型を行い、これにより10×10mm2 の断面積と
30mmの高さを有する正四角柱の試料(以下、全実施
例および比較例を通じて試料の形状と寸法は同じ)を作
成した。
kGyにするとともに、他を同一条件に設定することに
よりこの実施例の試料を得た。なお、電子線照射後のP
TFEパウダの温度は87℃であった。
TFEモールディングパウダを収容して内部を1tor
rに減圧し、窒素ガスと酸素ガスを加えて常圧とするこ
とにより容器内の酸素分圧を10torrに設定した。
次に、この容器に、約80℃の温度において80kGy
の電子線を照射して、これによる昇温後の温度が135
℃であることを確認した後、直ちに360〜380℃に
昇温させ、その状態で1時間保持することによって所定
の改質PTFEを得た。次いで、アトマイザで粉砕して
粉末とし、最後に、これを使用して実施例1と同一条件
下で加圧成型を行うことにより所定の試料を得た。
ネオフロンAP−210)を収容して内部を1torr
に減圧し、窒素ガスを加えて常圧とした後、約80℃の
温度で80kGyの電子線を照射した。照射後のPFA
の温度が130℃であることを確認した後、これを、直
ちに320〜340℃に昇温させ、その状態で1時間保
持することによって所定の改質PFAを得た。次に、得
られた改質PFAをアトマイザにかけて粉砕した後、こ
れを使用して加熱温度355℃、圧力35MPaおよび
成型時間1.5時間の条件下で加圧成型を行い、所定の
試料を得た。
ネオフロンFEP、NP−20)を収容して内部を1t
orrに減圧し、窒素ガスを加えて常圧とした後、約8
0℃の温度で80kGyの電子線を照射した。これによ
る昇温後の温度は150℃であり、許容範囲内であっ
た。次いで、これを、直ちに295〜315℃に昇温さ
せ、その状態のまま1時間保持することによって所定の
改質FEPとした後、アトマイザにかけて粉砕し、最後
に、これを使用して加熱温度325℃、圧力35MPa
および成型時間1.5時間の条件下で加圧成型を行い、
所定の試料を得た。
グパウダ99.9モルおよびPFAモールディングパウ
ダ0.1モルより構成される混合パウダ(三井・デュポ
ンフロロケミカル社製テフロン70J、平均粒径50μ
m)を収容して内部を1torrに減圧し、容器内に窒
素ガスを加えて常圧とした後、約80℃の温度で80k
Gyの電子線を照射した。次に、これを、直ちに360
〜380℃に昇温させ、そのままの状態で1時間保持す
ることによって所定の改質されたフッ素樹脂を得た後、
アトマイザにかけて粉砕し、引き続き、実施例1と同一
条件下に加圧成型を行うことにより所定の試料を得た。
TFEモールディングパウダを収容して内部を1tor
rに減圧し、容器内に窒素ガスを加えて常圧とした後、
約80℃の温度で80kGyの電子線を照射した。次い
で、これを、直ちに360〜380℃に昇温させ、その
ままの状態で1時間保持することによって所定の改質P
TFEを得た。次に、これをアトマイザにかけて粉砕
し、得られた粉末を電子線未照射の上記の原料PTFE
パウダに50wt%混合することによって混合粉末を調
合し、この粉末を使用して実施例1と同一条件により所
定の試料を作成した。
ウムを含むPTFEモールディングパウダ(旭化成社製
G−163、平均粒径40μm)を収容して内部を1t
orrに減圧し、容器内に高純度窒素ガスを加えて常圧
とした後、約80℃の温度で80kGyの電子線を照射
した。照射による昇温後のパウダの温度は135℃であ
った。次に、これを、直ちに360〜380℃に昇温さ
せ、そのままの状態で1時間保持することによって改質
されたPTFEとし、引き続き、アトマイザにかけるこ
とによって粉砕した後、得られたPTFEを使用して実
施例1と同一条件により所定の試料を作成した。
Eモールディングパウダを使用して実施例1と同一条件
による加圧成型を行い、所定の試料を得た。
を使用して実施例4と同一条件による加圧成型を行い、
所定の試料を得た。
を使用して実施例5と同一条件による加圧成型を行い、
所定の試料を得た。
TFEモールディングパウダを収容し、大気中および室
温下に電子線を100kGy照射した後、これをアトマ
イザにかけて粉砕した。次いで、得られた粉末を電子線
未照射の上記のPTFEパウダに50wt%を占めるよ
うに混合した後、これを使用して実施例1と同一条件に
よる加圧成型を行い、所定の試料を得た。
TFEモールディングパウダを収容して内部を1×10
-3torr以下に減圧し、容器内に窒素ガスを加えて常
圧とした後、340℃の温度で100kGyの電子線を
照射し、次いで、これをアトマイザで粉砕することによ
り改質PTFEの粉末を得た。
と同じPFAを使用し、他を同一条件とすることによっ
て改質されたPFAの粉末を得た。
と同じFEPを使用し、他を同一条件とすることによっ
て改質されたFEPの粉末を得た。
較例によって得られた試料の圧縮歪みと改質フッ素樹脂
の熱分解速度の試験結果をまとめたものである。試験内
容および試験方法は以下による。 ・圧縮歪み(JIS K7208に準拠) 25℃において試料に150kg/cm2 の荷重をかけ
て圧縮し、この状態で24時間放置したときの荷重解除
後の圧縮歪みを次式(厚さ単位:mm)によって求め
た。
び昇温速度50℃/分以上の条件で急速に370℃まで
昇温させて保持したときの、重量減少速度(wt%/
h)を熱分解速度として求めた。
最大9%で平均4%の圧縮歪みにとどまっているのに比
べ、改質をしない比較例1〜3の場合には、当然の結果
ではあるが、12〜32%と、パッキング等に適用した
ときに実用に耐えない特性しか示していない。本発明に
よる改質効果が充分であること、そして、改質結果がパ
ッキング等として問題なく適用できる水準にあること
は、以上の圧縮歪み特性の試験結果から明白である。
改質のPTFEを含むために試料成型は可能であるが、
電子線の照射で劣化を起こしているために荷重の負荷に
対して弱く、このため、脆く測定不可の結果を示してい
る。従来の改質方法に相当するこの比較例4と実施例を
対比したとき、本発明の効果は歴然としている。
実施例の場合が10-2以下の熱分解速度を示しているの
に比べ、比較例の熱分解速度は、これよりも1桁多い1
0-1の水準を示し、両者の差は明白である。低い酸素分
圧下に電子線を照射し、照射後に所定の温度の雰囲気に
保持する本発明の効果が現れているもので、フッ素樹脂
の用途を拡大しようとするとき、この耐熱劣化特性の向
上は大きな利益を生むこととなる。
素樹脂の改質方法および改質フッ素樹脂構成体によれ
ば、酸素分圧を0.1〜10torrの濃度範囲に設定
した第1の雰囲気内でフッ素樹脂に電離性放射線を照射
した後、これを、150℃以上あるいは当該フッ素樹脂
の結晶分散温度(α分散温度)以上で、かつ当該フッ素
樹脂の分解温度以下の温度を有する第2の雰囲気内にお
いて所定の時間保持するため、優れた耐圧縮歪み特性と
耐熱劣化特性を有するフッ素樹脂を得ることができる。
Claims (12)
- 【請求項1】フッ素樹脂に電離性放射線を照射すること
によって前記フッ素樹脂の改質を行うフッ素樹脂の改質
方法において、 酸素分圧を0.1〜10torrの濃度範囲に設定した
第1の雰囲気内でフッ素樹脂に電離性放射線を照射し、 照射された前記フッ素樹脂を、150℃以上あるいは前
記フッ素樹脂の結晶分散温度(α分散温度)以上で、か
つ前記フッ素樹脂の分解温度以下の温度を有する第2の
雰囲気内において所定の時間保持することを特徴とする
フッ素樹脂の改質方法。 - 【請求項2】前記電離性放射線の照射のステップは、0
〜150℃、あるいは0℃から前記結晶分散温度まで加
熱された前記フッ素樹脂を対象として照射量が5Gy〜
500kGyとなるように行われることを特徴とする請
求項1項記載のフッ素樹脂の改質方法。 - 【請求項3】前記電離性放射線の照射のステップは、前
記フッ素樹脂として、パーフルオロモノマのみの重合体
あるいは共重合体を使用することによって行われること
を特徴とする請求項1項記載のフッ素樹脂の改質方法。 - 【請求項4】前記電離性放射線の照射のステップは、前
記重合体あるいは共重合体として、テトラフルオロエチ
レン系重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ
アルキルビニルエーテル系共重合体、テトラフルオロエ
チレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体あるいは
これらの混合体を選択することによって行われることを
特徴とする請求項3項記載のフッ素樹脂の改質方法。 - 【請求項5】前記電離性放射線の照射のステップは、前
記酸素分圧が前記濃度範囲であって、かつ窒素ガス、ア
ルゴンガスあるいはヘリウムガス等の不活性ガスを含む
前記第1の雰囲気内において行われることを特徴とする
請求項1項記載のフッ素樹脂の改質方法。 - 【請求項6】前記電離性放射線の照射のステップは、前
記照射によって生成するフッ素あるいはフッ酸等のフッ
素系成分と結合することのできる炭酸カルシウム等の無
機化合物を含んだ前記フッ素樹脂に対して行われること
を特徴とする請求項1項記載のフッ素樹脂の改質方法。 - 【請求項7】前記電離性放射線の照射のステップは、前
記フッ素樹脂として、微量酸素の存在下に電離性放射線
を照射されることによって示差熱曲線上において分子量
が1桁以上異なる2つの分子量分布を有するようにされ
たフッ素樹脂を使用することによって行われることを特
徴とする請求項1項記載のフッ素樹脂の改質方法。 - 【請求項8】前記フッ素樹脂を前記第2の雰囲気におい
て所定の時間保持するステップは、0.5〜24時間行
われることを特徴とする請求項1項記載のフッ素樹脂の
改質方法。 - 【請求項9】前記フッ素樹脂を前記第2の雰囲気におい
て所定の時間保持するステップは、水素あるいはフッ素
ガス等の活性ガスの雰囲気内において前記フッ素樹脂を
加熱する工程を当該ステップ内に含むか、あるいは後工
程に有することを特徴とする請求項1項記載のフッ素樹
脂の改質方法。 - 【請求項10】電離性放射線の照射によって改質された
フッ素樹脂より構成されるシート、フィルム、チューブ
あるいはコーティング体等のフッ素樹脂構成体におい
て、 前記フッ素樹脂は、酸素分圧が0.1〜10torrの
濃度範囲の雰囲気内で電離性放射線を照射することによ
って生成させた、主鎖切断による末端ラジカルとフッ素
原子離脱による主鎖ラジカルとの反応による長鎖枝分か
れの分子構成を有することを特徴とするフッ素樹脂構成
体。 - 【請求項11】前記フッ素樹脂は、パーフルオロモノマ
のみの重合体あるいは共重合体であることを特徴とする
請求項10項記載のフッ素樹脂構成体。 - 【請求項12】前記重合体あるいは共重合体は、テトラ
フルオロエチレン系重合体、テトラフルオロエチレン−
パーフルオロアルキルビニルエーテル系共重合体、テト
ラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重
合体あるいはこれらの混合体より選択されることを特徴
とする請求項11項記載のフッ素樹脂構成体。
Priority Applications (1)
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