JP2000086774A - 架橋ポリテトラフルオロエチレン樹脂およびその製造方法 - Google Patents

架橋ポリテトラフルオロエチレン樹脂およびその製造方法

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JP2000086774A JP25477598A JP25477598A JP2000086774A JP 2000086774 A JP2000086774 A JP 2000086774A JP 25477598 A JP25477598 A JP 25477598A JP 25477598 A JP25477598 A JP 25477598A JP 2000086774 A JP2000086774 A JP 2000086774A
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tfe
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Shigetoshi Ikeda
重利 池田
Akihiro Oshima
明博 大島
Yoneo Tabata
米穂 田畑
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 処理前の試料形状を著しく変化させることな
く、グラフトによる枝分かれが積み重なった網目構造を
有する架橋PTFE樹脂を製造する方法を提供する。 【解決手段】 ポリテトラフルオロエチレン樹脂にその
結晶融点以下の温度において電離性放射線を照射し、そ
れによって生成したラジカルにテトラフルオロエチレン
モノマーをグラフト反応させることにより、前記樹脂の
非晶領域と界面を中心に架橋構造を形成させることを特
徴とする、架橋ポリテトラフルオロエチレン樹脂の製造
方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非晶領域と界面を
中心に架橋構造を有し、特に結晶部表面と非晶部の分子
構造が異なる架橋ポリテトラフルオロエチレン樹脂、お
よびこの樹脂を製造する新規な方法に関する。
【0002】
【従来の技術】微粉末状のポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)は、その分子量と粒径を調節することによ
って産業界に幅広い用途が見いだされ、今後、ますます
需要の増加が見込まれているフッ素樹脂である。この樹
脂は現在、塗料、インク、潤滑剤などへの添加剤として
利用されている。PTFE微粉末を配合した塗料では塗
装膜の耐久性が向上し、PTFE微粉末を添加した潤滑
油では機械の騒音や消費電流が減少する。また、軸受
け、化学装置の配管材料、電気絶縁材料、摺動材など種
々の部材として使用され、PTFEの優れた特徴(耐薬
品性、耐熱性、低摩擦性、低い誘電率、高い抵抗率な
ど)が生かされている。さらに、機能性材料にも応用さ
れていて、人口血管やカテーテルなどの医療材料、イオ
ン交換膜などはその例である。
【0003】現在、PTFEは低分子量のものから高分
子量のものに至るまで、テトラフルオロエチレンモノマ
ー(TFE)を化学触媒法によって重合して製造されて
いる。得られるPTFEは、その分子鎖が直鎖状で分岐
がほとんどなく、結晶化度が高い。従って弾性に乏しい
ため、結晶化度の低いゴム特性を有するPTFEの開発
が望まれている。
【0004】本発明者らは既に、アセトン溶媒中におい
てTFEに電離性放射線を照射することによって粉体粒
径が1μm以下の超微粉末状PTFEを製造する方法を
発明している(特開昭63−146908号)。この先
行技術によれば反応系の濃度や温度等の条件を選択する
ことによってPTFEの分子量を制御することが可能で
あり、特に低分子量の超微粉末状PTFEを低い線量の
放射線を照射するだけで製造することに主眼が置かれて
いる。しかし、この方法によって得られるPTFEも直
鎖状で分岐をもたない構造のものであり、結晶化度が高
い。
【0005】さらに本発明者らは、PTFE樹脂に放射
線を樹脂の結晶融点以上の温度で且つ酸素不存在下で照
射することによって架橋が起きて、その特性が大きく変
化することを見いだした(特開平7−118423号お
よび特願平9−206144号)。PTFEが溶融状態
で架橋した構造は、ポリエチレンなど一般の高分子の場
合と異なり、枝分かれが積み重なった網目構造(いわゆ
るY字型構造)であり、放射線による架橋の中では極め
て特徴的である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の特開平7−11
8423号および特願平9−206144号に係る方法
は、PTFE樹脂に放射線を樹脂の結晶融点以上に加熱
した状態で照射するものであるため、高温下での繊細な
温度制御が求められ、従って大掛かりな装置を必要とす
る。また、結晶融点以上で照射処理された樹脂は、成形
体であれば変形しやすく、粉体であれば粉体どうしが融
着を起こしやすい。従って、製品として扱うには、照射
処理後に二次的な加工処理を施す必要があり、必ずしも
満足のいくものではなかった。
【0007】本発明は、これらの従来技術の欠点に鑑み
て、PTFEを原料として、処理前の試料形状を著しく
変化させることなく、結晶化度が低く、枝分かれを通し
て網目構造を有する架橋PTFE樹脂を提供することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来のP
TFEの問題点を解決すべく鋭意研究した結果、PTF
E樹脂にその結晶融点以下の温度において電離性放射線
を照射し、それによって生成したラジカルにTFEをグ
ラフト反応させることにより、樹脂の非晶領域と界面を
中心に架橋構造を形成させることができることを見いだ
した。すなわち、放射線照射によって生長させたラジカ
ルにTFEをグラフト反応させることによって、架橋と
枝分かれ構造を有するPTFE樹脂が得られる。照射に
よるラジカルの生成とTFEのグラフト反応を繰り返す
ことによって、遠距離間架橋と枝分かれが積み重なった
網目構造を有する架橋PTFE樹脂が得られる。
【0009】本発明は、PTFEを溶融状態にすること
なく、Y字型架橋を一度に、または段階的に生成し得る
方法であり、実質的に架橋PTFEを室温以下の低温で
効率良く製造することを可能にする画期的なものであ
る。架橋による網目構造は一般にH字型のものをいう
が、本発明の方法によればY字型のものが形成される。
すなわち、本発明においてはポリマー主鎖とグラフトの
枝を構成している単位は両者ともTFEであるため、T
FEからなるグラフトの枝の相当部分が主鎖どうしの橋
渡しをする。すなわち、グラフトの枝の末端の相当部分
が自由ではなく、主鎖あるいは別のグラフトの枝に結合
し、Y字型の網目構造の形成に参加していると考えられ
る。生長グラフト末端ラジカルは、C−F結合より、F
を引き抜くことによる連鎖移動が困難であるため、枝分
子鎖として残る可能性は低く、他の高分子ラジカル(ア
ルキルまたは他のグラフト生長末端ラジカル)と結合す
る。換言すれば、網目構造を形成することになる。
【0010】本発明によって得られる架橋PTFEにお
いては、一般に、基材となるPTFE内での架橋の部位
は、非晶領域と結晶表面に不均一に分布している。照射
線量やグラフト条件を変えることによって架橋の密度や
分布をコントロールすることが可能であり、使用目的に
応じて調整が可能である。また、グラフトの基材となる
出発PTFEの大きさ、形状等を変えることによって、
基材のPTFE部と架橋PTFE部の比率を大きく変化
させることができる。よって、ブロック状、粉末状、フ
ィラメント状など、異なる形態の出発PTFEを用いる
ことによって、表面架橋材料、傾斜材料、バルク特性の
架橋材料など、多方面の応用が可能である。ここで、表
面架橋材料とは、架橋部の比率が低いために実質的に表
面だけに架橋が形成されているものをいい、バルク特性
の架橋材料とは、架橋部の比率が高いために基材の内部
の深いところまで架橋が形成されているものをいい、傾
斜材料とは、表面架橋材料とバルク特性の架橋材料の中
間的なものをいう。
【0011】さらに具体的に説明すると、放射線照射し
た粉末状または粒子状のPTFE原料にTFEをグラフ
トさせると、主として表面にグラフト鎖が生成するが、
モノマーの一部が拡散して内部にもグラフト鎖が生成す
る。従って、粉末状または粒子状ポリマーの表面と内部
とでグラフト鎖およびそれから生成した架橋構造の分布
に傾斜が現れる。すなわち、得られる架橋PTFEは、
明確な境界をもたず、基材部(内部)と架橋部(表面)
の組成が同じで構造が異なる、純PTFEの傾斜材料で
ある。この場合、照射線量やグラフト処理の条件を変え
ることによって架橋の程度と生成物中における分布を幅
広く変えることができ、幅広いニーズに対応できる。
【0012】本発明は、PTFE樹脂に放射線を照射
し、生成したラジカルを分子鎖切断ではなくTFEとの
グラフト反応に寄与させることで、PTFEを放射線分
解させることなくY字型構造を有する架橋PTFE樹脂
を製造する点に、重要な意義がある。また、PTFE樹
脂への放射線照射工程およびTFEを反応させる工程は
実質的に常温以下の低温で行われ、PTFE樹脂を結晶
融点以上に加熱することがないため、二次的な加工を必
要としない。従って、本発明は、特異なY字型構造を有
した架橋PTFE樹脂を、処理前の形状を保持しながら
工業的に安価に供給できる、非常に有用な方法である。
【0013】放射線照射によってラジカルを生成させる
方法には二通りある。一つは、酸素不存在下すなわち真
空中もしくは不活性ガス雰囲気(窒素、アルゴン、ヘリ
ウムなど)において放射線(電子線、X線、中性子線、
高エネルギーイオンなど)を照射することによって、P
TFEにアルキル型ラジカルを生成させる方法(Trapp
ed radical 法)である。もう一つは、酸素存在下で放
射線を照射するか、もしくは照射後に酸素を導入し、P
TFEに過酸化ラジカルを生成させる方法(パーオキシ
ラジカル法)である。これらの方法によってPTFE樹
脂にラジカルが生成され、その後、TFEを反応させる
ことによって、PTFEを放射線分解させることなく、
分子鎖に分岐を有する架橋PTFE樹脂を得ることがで
きる。
【0014】本発明の方法によって得られた樹脂は、処
理前のPTFEの形状および耐熱性、耐薬品性などの諸
特性が損なわれていない、Y字型の網目構造を有する架
橋PTFE樹脂である。基本的には諸種の応用分野にお
いて、圧縮応力や引張り変形に対して回復特性が改善さ
れ、また耐放射線性や耐摩耗性が著しく改善される。成
形体であれば表面で特異な構造を有するPTFE樹脂と
して、粉体であれば各種添加剤として、さらには成形加
工することによって新規なPTFE樹脂成形体としての
用途が期待される。
【0015】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。もっとも本発明はこれらに限定されない。
【0016】実施例1 厚さ0.5mm の市販のPTFEシート(ダイキン工業
(株)製、ネオフロンTFE)約0.3gを30ml のガ
ラスアンプルに入れて真空脱気し、これにコバルト60
からのガンマ線を、室温下において30kGy 照射し
た。次いで、室温で酸素不存在下においてガラスアンプ
ルにTFEを導入してシートと反応させた。反応後、シ
ートの重量測定を行ったところ、重量は処理前より約4
%増加した。また、電子顕微鏡観察によって表面状態を
調べたところ、粒径約1〜10μm の粒状物質の生成が
観察された。
【0017】実施例2 厚さ0.5mm の市販のPTFEシート(ダイキン工業
(株)製、ネオフロンTFE)約0.3gを30ml のガ
ラスアンプルに入れて真空脱気し、これにコバルト60
からのガンマ線を、室温下において30kGy 照射し
た。次いで、ガラスアンプルを氷水に浸漬して0℃に保
持し、酸素不存在下においてガラスアンプルにTFEを
導入してシートと反応させた。反応後、シートの重量測
定を行ったところ、重量は処理前より約5%増加した。
また、電子顕微鏡観察によって表面状態を調べたとこ
ろ、粒径約1〜10μm の粒状物質の生成が観察され
た。
【0018】実施例3 厚さ0.5mm の市販のPTFEシート(ダイキン工業
(株)製、ネオフロンTFE)約0.3gを30ml のガ
ラスアンプルに入れて真空脱気し、これにコバルト60
からのガンマ線を、室温下において30kGy 照射し
た。次いで、ガラスアンプルをドライアイスとメタノー
ルの混合物に浸漬して温度を−78℃に保持し、酸素不
存在下においてガラスアンプルにTFEを導入してシー
トと反応させた。反応後、シートの重量測定を行ったと
ころ、重量は処理前より約40%増加した。また、電子
顕微鏡観察によって表面状態を調べたところ、粒径約1
〜10μm の粒状物質の生成が観察された。
【0019】実施例4 市販のPTFE樹脂粉体(三井・デュポンフロロケミカ
ル(株)製、テフロンRTFE)約0.3gを30ml の
ガラスアンプルに入れて真空脱気し、これにコバルト6
0からのガンマ線を、室温下において30kGy 照射し
た。次いで、室温で酸素不存在下においてガラスアンプ
ルにTFEを導入して粉体と反応させた。反応後、粉体
の重量測定を行ったところ、重量は処理前より約25%
増加した。また、電子顕微鏡観察によって表面状態を調
べたところ、粒径約1〜10μmの粒状物質の生成が観
察された。
【0020】実施例5 市販のPTFE樹脂粉体(三井・デュポンフロロケミカ
ル(株)製、テフロンRTFE)約0.3gを30ml の
ガラスアンプルに入れて真空脱気し、これにコバルト6
0からのガンマ線を、−78℃において60kGy 照射
した。照射温度を−78℃に保持するには、ガラスアン
プルをドライアイスとメタノールの混合物に浸漬するこ
とにより実施した。次いで、−78℃で酸素不存在下に
おいてガラスアンプルにTFEを導入して粉体と反応さ
せた。反応後、粉体の重量測定を行ったところ、重量は
処理前より約60%増加した。また、電子顕微鏡観察に
よって表面状態を調べたところ、粒径約1〜10μm の
粒状物質の生成が観察された。
【0021】実施例6 市販のPTFE樹脂粉体(三井・デュポンフロロケミカ
ル(株)製、テフロンRTFE)約0.3gを30ml の
ガラスアンプルに入れて真空脱気し、これにコバルト6
0からのガンマ線を、−196℃において60kGy 照
射した。照射温度を−196℃に保持するには、ガラス
アンプルを液体窒素に浸漬することにより実施した。次
いで、ガラスアンプルをドライアイスとメタノールの混
合物に浸漬して−78℃に保持し、酸素不存在下におい
てガラスアンプルにTFEを導入して粉体と反応させ
た。反応後、粉体の重量測定を行ったところ、重量は処
理前より約120%増加した。また、電子顕微鏡観察に
よって表面状態を調べたところ、粒径約1〜10μm の
粒状物質の生成が観察された。
【0022】実施例7 市販のPTFE樹脂粉体(三井・デュポンフロロケミカ
ル(株)製、テフロンRTFE)約0.3gを30ml の
ガラスアンプルに入れて真空脱気し、これにコバルト6
0からのガンマ線を、室温下において60kGy 照射し
た。次いで、ガラスアンプルをドライアイスとメタノー
ルの混合物に浸漬して−78℃に保持し、酸素不存在下
においてガラスアンプルにTFEを導入して粉体と反応
させた。反応後、粉体の重量測定を行ったところ、重量
は処理前より約80%増加した。また、電子顕微鏡観察
によって表面状態を調べたところ、粒径約1〜10μm
の粒状物質の生成が観察された。
【0023】実施例8 市販のPTFE樹脂粉体(三井・デュポンフロロケミカ
ル(株)製、テフロンRTFE)約0.3gを30ml の
ガラスアンプルに入れて真空脱気し、これにコバルト6
0からのガンマ線を、室温下において60kGy 照射し
た。次いで、ガラスアンプルを開封して空気を導入する
ことによって粉体を酸素と接触させ、ラジカルをパーオ
キシラジカルに変化させた。次いで、ガラスアンプルを
ドライアイスとメタノールの混合物に浸漬して−78℃
に保持し、再び真空脱気して酸素不存在下においてTF
Eを導入して粉体と反応させた。反応後、粉体の重量測
定を行ったところ、重量は処理前より約70%増加し
た。また、電子顕微鏡観察によって表面状態を調べたと
ころ、粒径約1〜10μm の粒状物質の生成が観察され
た。
【0024】実施例9 市販のPTFE樹脂粉体(三井・デュポンフロロケミカ
ル(株)製、テフロンRTFE)約0.3gを30ml の
ガラスアンプルに入れて真空脱気し、これにコバルト6
0からのガンマ線を、室温下において30kGy 照射し
た。次いで、ガラスアンプルをドライアイスとメタノー
ルの混合物に浸漬して−78℃に保持し、酸素不存在下
においてガラスアンプルにTFEを導入して粉体と反応
させた。反応後、同様の処理工程を一回繰り返し、粉体
の重量測定を行ったところ、重量は処理前より約100
%増加した。また、電子顕微鏡観察によって表面状態を
調べたところ、粒径約1〜10μm の粒状物質の生成が
観察された。
【0025】実施例10 市販のPTFE樹脂粉体(三井・デュポンフロロケミカ
ル(株)製、テフロンRTFE)約0.3gを30ml の
ガラスアンプルに入れて真空脱気し、これにコバルト6
0からのガンマ線を、室温下において20kGy 照射し
た。次いで、ガラスアンプルをドライアイスとメタノー
ルの混合物に浸漬して−78℃に保持し、酸素不存在下
においてガラスアンプルにTFEを導入して粉体と反応
させた。反応後、同様の処理工程をさらに二回繰り返
し、粉体の重量測定を行ったところ、重量は処理前より
約170%増加した。また、電子顕微鏡観察によって表
面状態を調べたところ、粒径約1〜10μm の粒状物質
の生成が観察された。
【0026】実施例11 厚さ0.1mm の市販のPTFEシート(ダイキン工業
(株)製、ネオフロンTFE)をASTM D-1882Lの
ダンベル片に打ち抜き、30ml のガラスアンプルに入
れて真空脱気し、ガラスアンプルをドライアイスとメタ
ノールの混合物に浸漬して−78℃に保持し、ダンベル
片にコバルト60からのガンマ線を50kGy 照射し
た。次いで、−78℃、酸素不存在下においてガラスア
ンプルにTFEを導入してダンベル片と反応させた。反
応後、ダンベル片の機械特性を調べるため、INSTR
ON製:4302型引張り試験機によって、室温下で引張り
速度:200mm/min の条件で引張り試験に供した。試
験結果を表1に示す。
【0027】
【表1】 表 1 試 料 降伏点強度(MPa) 弾性率(MPa) 未処理 12.0 145 60 kGy 照射のみ 9.9 143 60 kGy 照射後、グラフト処理 12.5 178
【0028】60kGy 照射したPTFEにおいては降
伏点強度が低下し、材料が劣化しているが、その後グラ
フト処理したPTFEにおいては降伏点強度の低下は見
られず、弾性率は増大した。TFEを反応させることに
よって、生成したラジカルが分子鎖切断ではなくグラフ
ト反応に寄与し、Y字型架橋を有する網目構造が形成さ
れたと考えられる。
【0029】実施例12 厚さ0.1mm の市販のPTFEシート(ダイキン工業
(株)製、ネオフロンTFE)にガンマ線を−78℃の
真空中において50kGy 照射した後、TFEを−78
℃においてグラフト反応させた。反応後、シート材の熱
分析(DSC)を行い、結晶融解温度を測定した。PT
FEの結晶融解温度:327℃のメインシグナルの他
に、グラフト反応による320℃をピークとする新たな
シグナルが観測された。このシグナルはホモポリマーの
PTFEの結晶融解温度(327℃)よりも低い値であ
り、グラフトによる架橋構造に起因するものと推量され
る。
【0030】実施例13 厚さ0.5mm の市販のPTFEシート(ダイキン工業
(株)製、ネオフロンTFE)に電子線を3MGy 照射
して架橋させた(3MGy 照射後の架橋PTFEは、架
橋によって結晶の生成が抑制され、結晶は存在せず、そ
れゆえ特定の結晶融解温度も持たない)。
【0031】この架橋PTFEシート約0.3gをガラ
スアンプルに入れて真空脱気し、ガラスアンプルをドラ
イアイスとメタノールの混合物に浸漬して−78℃に保
持し、コバルト60からのガンマ線を50kGy 照射し
た。次いで、−78℃、酸素不存在下においてガラスア
ンプルにTFEを導入してシートと反応させた。反応
後、シートの重量測定を行ったところ、重量は処理前よ
り約5%増加した。また、シート材の熱分析(DSC)
を行い、結晶融解温度を測定したところ、PTFEの結
晶融解温度:327℃のメインシグナルの他に、グラフ
ト反応による298℃をピークとする新たなシグナルが
観測された。このシグナルはホモポリマーのPTFEの
結晶融解温度(327℃)よりも低い値であり、グラフ
トによる架橋構造に起因するものと推量される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 7/00 305 C08J 7/00 305 // C08L 27:18 Fターム(参考) 4F070 AA24 GA04 GB02 HA04 HB01 4F073 AA05 BA16 BB01 CA41 FA06 4J026 AA26 BA11 CA03 CA09 DB22 DB32 FA01 FA02 FA03 FA09 GA01 GA02 4J100 AC26P CA01 CA31 DA24 DA47 DA51 HA53 HC04 HE20 HE21 HE26

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリテトラフルオロエチレン樹脂にその
    結晶融点以下の温度において電離性放射線を照射し、そ
    れによって生成したラジカルにテトラフルオロエチレン
    モノマーをグラフト反応させることにより、前記樹脂の
    非晶領域と界面を中心に架橋構造を形成させることを特
    徴とする、架橋ポリテトラフルオロエチレン樹脂の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 前記架橋構造はグラフトによる枝分かれ
    高分子鎖による網目構造である、請求項1に記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の方法によって得られ
    た、非晶領域と界面を中心に架橋構造を有する架橋ポリ
    テトラフルオロエチレン樹脂。
  4. 【請求項4】 前記架橋構造はグラフトによる枝分かれ
    高分子鎖による網目構造である、請求項3に記載の架橋
    ポリテトラフルオロエチレン樹脂。
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