JP5349028B2 - 改質された四フッ化エチレン樹脂粉末の製造方法及び改質された四フッ化エチレン樹脂粉末 - Google Patents

改質された四フッ化エチレン樹脂粉末の製造方法及び改質された四フッ化エチレン樹脂粉末 Download PDF

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本発明は、電離放射線の照射による改質された四フッ化エチレン樹脂粉末の製造方法及び改質された四フッ化エチレン樹脂粉末に関する。特に、四フッ化エチレン樹脂粉末がパラフィン系炭化水素と混じり合った状態にある混合物に電離放射線を照射する改質された四フッ化エチレン樹脂粉末の製造方法及び改質された四フッ化エチレン樹脂粉末に関する。
四フッ化エチレン樹脂は耐熱性、耐薬品性、耐酸化性、難燃性、電気絶縁性などに優れており、また、その表面は撥水・撥油性、非粘着性、滑り特性に優れている。これらの特性は、さまざまな産業用あるいは民生用材料として広範な分野に利用されている。
しかしながら、これらの特性は反面、異種の材料に対する接着性及び/又は親和性が無いため、四フッ化エチレン樹脂を単体で利用することを余儀なくされている。こうした状況を打破するため、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン(FEP)共重合体などを使用する場合には、撥水性、非粘着性など表面特性の低下は免れない。そのため、これまでにも四フッ化エチレン樹脂の様々な改質方法が提案されている。
電離放射線を用いた四フッ化エチレン樹脂の改質方法としては架橋、グラフト重合、分解、結晶化度の調整など多岐に亘る技術を適用することが試みられている。例えば、四フッ化エチレン樹脂に電離放射線を照射して、四フッ化エチレン樹脂の引裂き強度を増大させる方法(例えば、特許文献1)、焼結前の四フッ化エチレン樹脂原料に対して電離放射線を照射して、原料の融解熱量及び結晶化熱量を変えることなく、融解温度を低温側に移動させる方法(例えば、特許文献2)、成形用四フッ化エチレン樹脂粉末に電離放射線を照射した後、加熱溶融下で加圧成形して伸びや引裂き強度の向上した高強靭性四フッ化エチレン樹脂成形体を製造する方法(例えば、特許文献3)、及び、予め電離放射線を照射した四フッ化エチレン樹脂粉末を室温で圧縮成形したのち焼成して、実用強度を保持し、高い結晶化温度と高い延伸性、引裂き強度、ガス透過度等を改良した四フッ化エチレン樹脂の成形品を製造する方法(例えば、特許文献4)が挙げられる。
しかしながら、これらの技術は、いずれも四フッ化エチレン樹脂自体、すなわち主鎖の形態学的な改質、またはこれに伴う成形特性の変化による物性の改質にとどまっている。また、このような技術では、四フッ化エチレン樹脂の化学的な機能性は改質されないため、四フッ化エチレン樹脂の異種の材料に対する接着性及び/又は親和性は改善できない。
例えば、放射線グラフト重合は、例えば四フッ化エチレン樹脂を幹ポリマーとする場合には、これにビニルモノマーを接触させることにより側鎖として化学的に活性の高い枝ポリマーを電離放射線により接木重合することにより、官能性の高い種々のグラフト共重合体を調製し得る技術である。しかしながら、高分子量の枝ポリマーによって幹ポリマーの表面が被覆されてしまうため、もはや幹ポリマーの表面特性を活用することはできない欠点がある。その上、四フッ化エチレン樹脂は電離放射線に敏感で、その反応は主鎖の切断が優先して起こるために幹ポリマーの分解が進み、グラフト共重合体を効率良く得る事は困難である。
上述のように、工業的な電離放射線の利用法としては分解、架橋、結晶化度の調整などに制限され、異種の材料に対する接着性及び/又は親和性を高めた四フッ化エチレン樹脂の製造方法は未だ見出されていない。
特開2001−335643 特開2002−256080 特開2004−149650 特開2007−314645
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明は、電離放射線の照射により改質された四フッ化エチレン樹脂粉末の製造方法及び改質された四フッ化エチレン樹脂粉末を提供することを目的とする。
本発明者は、四フッ化エチレン樹脂をペースト押出し法で成形する際、白灯油などのパラフィン系炭化水素で入念に粉末樹脂を湿らせて押出し性の向上を図る手法があることから、四フッ化エチレン樹脂のパラフィン系炭化水素に対する濡れ性に着目した。
すなわち、パラフィン系炭化水素で良く濡れた状態の四フッ化エチレン樹脂粉末に電離放射線を照射する方法によって、撥水・撥油性、非粘着性、滑り特性など四フッ化エチレン樹脂の表面特性を損なうことなく他の素材に対する親和性向上を図る技術について検討を重ねた。
具体的な例を挙げれば、四フッ化エチレン樹脂のパラフィン系炭化水素に対する親和性の向上を図るべく、比表面積の大きな粉末状の四フッ化エチレン樹脂に過剰のノルマルヘキサンを加えてγ線の照射を試みたところ、未照射の四フッ化エチレン樹脂粉末はノルマルヘキサン中で短時間に沈殿してしまうのに対し、照射した場合は沈殿しにくくなることを見出した。
すなわち、四フッ化エチレン樹脂のパラフィン系炭化水素に対する接触面積が高い状態を得るために、四フッ化エチレン樹脂は比表面積の大きな粉末の形状で使用し、これをパラフィン系炭化水素と混ぜ合わせた状態の混合物を調製し、さらにこれを照射に供する。該混合物の照射は、固形パラフィンとの混合物にあってはその融点以上、室温で液体のパラフィン系炭化水素との混合物の場合においても室温以上の温度、好ましくは四フッ化エチレン樹脂のパラフィン系炭化水素に対する濡れ性ならびに照射による反応効率を高めるために出来るだけ高い温度に保って電離放射線を照射することにより、接着性及び/又は親和性に優れた高機能性四フッ化エチレン樹脂を高い効率で製造する方法を見出した。
本発明の一態様である改質された四フッ化エチレン樹脂粉末の製造方法は、四フッ化エチレン樹脂粉末とパラフィン系炭化水素を所定の割合で含み、かつ、四フッ化エチレン樹脂粉末がパラフィン系炭化水素と混じり合った状態にある混合物を調製する混合物調製段階と、該混合物に電離放射線を照射する電離放射線照射段階と、を備えることを特徴とする。パラフィン系炭化水素は、室温で液体であるパラフィン化合物及び加熱により液体となる固形パラフィン化合物からなる群から選択することができる。電離放射線の照射は、大気中で行なうことができる。また、電離放射線の照射は、無酸素雰囲気中において行うことができる。さらに、電離放射線の照射は、室温から95℃の温度範囲で行ことができる。その上、電離放射線の照射は、吸収線量100Gy〜50kGyで行うことができる。また、本発明による四フッ化エチレン樹脂粉末の製造方法は、電離放射線照射段階により生成した組成物から分離精製技術を用いて、改質された四フッ化エチレン樹脂粉末を単離及び回収する段階を、さらに備えることができる。
また、本発明の他の態様である改質された四フッ化エチレン樹脂粉末は、粉末の表面で四フッ化エチレン樹脂とパラフィン系炭化水素が結合している。この改質された四フッ化エチレン樹脂粉末は、上記の方法により製造することができる。
本発明の改質された四フッ化エチレン樹脂粉末の製造方法によれば、四フッ化エチレン樹脂粉末とパラフィン系炭化水素を混ぜ合わせた混合物に電離放射線を照射するので、高分子量のグラフトポリマーとは異なり四フッ化エチレン樹脂粉末の表面には低分子量のパラフィン系炭化水素を付加させることができる。したがって、撥水・撥油性、非粘着性、滑り特性など四フッ化エチレン樹脂の表面特性(物性)の低下を抑制しつつ、異種材料との接着性及び/又は親和性が改善された改質された四フッ化エチレン樹脂粉末を簡易な製造方法により提供できる。さらに、本発明の改質された四フッ化エチレン樹脂粉末は、異種材料との接着性及び/又は親和性が高いので、四フッ化エチレン樹脂粉末をブレンドして製造する汎用もしくは工業製品の高性能化ならびに耐久性の向上に画期的な効果もたらすことができる。
本発明の改質された四フッ化エチレン樹脂粉末の製造方法は、四フッ化エチレン樹脂粉末とパラフィン系炭化水素とを所定の割合で含み、かつ、四フッ化エチレン樹脂粉末とパラフィン系炭化水素が混じり合った状態である混合物を調製する混合物調製段階と、該混合物に電離放射線を照射する電離放射線照射段階とを備える。
本発明において用いられる四フッ化エチレン樹脂粉末は、一般に粉末粒子径の小さいものの方が比表面積は大きくなるため、パラフィン系炭化水素との接触面積も増大し、結果として反応の確率が高まるので好ましい。また、粉末の粒子径が極めて小さく、かつ、分子量が小さな塗料や他のプラスチック等に配合して用いるために調製された四フッ化エチレン樹脂の粉末(例えば、平均粒子径10μm以下)は、その比表面積がさらに大きいことからより一層好ましい。
また、本発明においては、分子量の大きなファインパウダーもしくはモールディングパウダーなどの成形用に用いられる四フッ化エチレン樹脂の全てが適用でき、粉体形状あるいは分子量を限定するものではない。例えば、粉末の平均粒子径としては0.2〜600μmが好ましく、0.2〜30μmがより好ましい。また、比表面積としては、1〜10m/gが好ましい。すなわち、比表面積は一般に粒子の大きさに反比例して増加することから、粉末粒子径は小さいほど好ましい。四フッ化エチレン樹脂粉末の分子量としては、特に限定されるものではなく、例えば 数万〜1000万程度の分子量のものを使用できる。
四フッ化エチレン樹脂粉末の例としては、例えばFluon(登録商標)PTFEルブリカント(旭硝子株式会社製)、フッ素添加剤であるルブロン(ダイキン工業株式会社製)、低分子量フッ素樹脂粉末添加剤のKTLシリーズ((株)喜多村製)等が挙げられる。
本発明におけるパラフィン系炭化水素とは、一般式C2n+2で示される脂肪族飽和炭化水素の全ての化合物を指し、常温、常圧で気体、液体、固体の全ての状態のものを本発明で用いることができる。また、Cのn=4以上の化合物には連鎖を異にする連鎖異性体が存在するが、正化合物である直鎖化合物と側鎖のあるイソ化合物のいずれであっても使用することができる。四フッ化エチレン樹脂粉末のパラフィン系炭化水素に対する濡れ性は一般に温度が高いほど高くなり、電離放射線による反応速度も温度が高いほど高くなることから、これらの条件を確保できるパラフィン化合物を選んで使用することが好ましい。
パラフィン系炭化水素は一般に室温で液体である化合物と、加熱により液体となる固形パラフィンなどから選択するのが好ましい。また、用いるパラフィン化合物の種類は、単独(1種)又は2種以上の混合物であってもよい。
本発明において、より好ましいパラフィン系炭化水素の選択は、沸点が100℃を超えるC8(オクタン)〜C16(ヘキサデカン)の中から選ばれる常温で液体の化合物、および融点が28℃であるC18(オクタデカン)以上の固形パラフィンであり、これらは100℃に近い高い温度で安全に照射できるため特に推奨される。ここで用いる固形パラフィンは、使用の目的に合わせて融点の異なるグレードを任意に選択すれば良く、マイクロクリスタリンワックス、カルナバロウ等も選択の範囲にある。固形のパラフィン化合物としては、例えば融点が40〜70℃の範囲にある固形のパラフィンロウが好ましい。これらの固形パラフィンの例としては、例えば和光純薬工業(株)製(商品名:試薬パラフィン、融点68℃〜70℃)、日本精蝋(株)製(商品名;パラフィンワックス130、融点55℃)などが挙げられる。
常温常圧で液体のパラフィン系炭化水素は加熱して溶かす必要がなく、液中に粉末を投入すれば簡単に四フッ化エチレン樹脂粉末が濡れた状態で混じり合った任意濃度の混合物を調製することができる。推奨されるパラフィン系炭化水素としては、C5(ペンタン)〜C16(ヘキサデカン)の化合物の中から任意に選択すればよく、また、これらの化合物は単体あるいは二種以上の混合物であってもなんら差し支えなく使用することができる。沸点が100℃を超えるC8(オクタン)〜C16(ヘキサデカン)の中から選ばれる常温で液体の化合物は引火の危険性も低く、かつ高い温度で安全に照射できるため特に推奨される。
次に、四フッ化エチレン樹脂粉末とパラフィン系炭化水素を混ぜ合わせた状態の混合物を調製する段階について説明する。
パラフィン系炭化水素と四フッ化エチレン樹脂粉末の混合物の調製は、例えば、次のような方法が推奨される。常温常圧で液体のデカンをパラフィン系炭化水素の一成分として選択する場合には、四フッ化エチレン樹脂粉末に対して重量で1/2程度のデカンを加えることにより、丁度液面の高さが粉末の高さに揃った混合物をつくることができる。パラフィン系炭化水素に対し四フッ化エチレン樹脂粉末の量が多い場合は、良く練り合わせてペースト状の組成物と成し、さらに高濃度ではパラフィン系炭化水素をコーティングした粉末状の混合物として調製することができる。粉末状混合物の調製は、密閉容器内で長時間容器を回転するなどして中にある四フッ化エチレン樹脂粉末を自由に動かし、均一に濡れた状態と成す方法が推奨される。このように、パラフィン系炭化水素と四フッ化エチレン樹脂粉末とが界面で密着した状態、特には両者がむら無く混じり合った状態を形成できれば、この調製段階はいずれの様式も用いることができる。
固形パラフィンを使用する場合には、固形パラフィンの融点以上に加熱することによって液化した状態の下で処理することにより、上述の界面で密着した状態、すなわち、本発明で言う四フッ化エチレン樹脂粉末とパラフィン系炭化水素が混じり合った状態を形成させることができる。
また、上記のように室温で固体の固形パラフィンなどの場合は、融点以上に加熱して溶かし、これを撹拌しながらペースト状の組成物となるまで四フッ化エチレン樹脂粉末を加えて混練すれば、もはや、相分離を起こして四フッ化エチレン樹脂粉末が沈降することはなくなるので照射用混合物として好ましい。この方法で、例えば融点が約50℃の固形パラフィンであれば、重量で最大約3倍量の四フッ化エチレン樹脂粉末を配合することができる。
上記の混合物における四フッ化エチレン樹脂粉末とパラフィン系炭化水素との配合比は、本発明の目的が達成できる範囲であれば所定の範囲で任意に調製できるが、例えば、四フッ化エチレン樹脂粉末とパラフィン系炭化水素との配合が重量比で、1:10〜10:1、好ましくは1:1〜5:1、より好ましくは2:1〜3:1と規定することができる。
また、上記のように本発明における四フッ化エチレン樹脂粉末の配合量は、照射中に該粉末が液状のパラフィン系炭化水素と界面で密着した状態にあれば良く、その添加量が特に制限されるものではない。したがって、常温で液体のパラフィン系炭化水素を用いる場合は、その蒸気圧下に四フッ化エチレン樹脂粉末と接触させることも本発明の範囲内である。
次に、かくして調製した混合物に電離放射線を照射する段階について説明する。
本発明は、上述したように四フッ化エチレン樹脂粉末がパラフィン系炭化水素で良く濡れた状態にある混合物に対して、通常、大気中で電離放射線を照射することによって達成される。また、混合物中のパラフィン系炭化水素が室温で固体であるものにあってはその融点以上の温度に加熱し、溶けた状態が保てる一定の温度で、通常、大気中で電離放射線を照射することによって達成される。
本発明においては、電離放射線を照射するときの温度は、室温で液体または気体のパラフィン系炭化水素であれば、室温で差し支えないが、50℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましい。例えば、一般式C2n+2で示されるパラフィン系炭化水素のn=8(オクタン)以上の化合物を使用する場合の引火性等を考慮すると120℃以下が好ましく、照射容器を水浴で保温できる100℃以下がより好ましい。最も好ましい温度範囲は80〜95℃である。
本発明においては、上述のように四フッ化エチレン樹脂の全表面にパラフィン系炭化水素が液体の状態で密着していること、換言すれば混合物は濡れ性の高い状態にあることが重要となる。そのため、固形パラフィンを用いる場合には、融点以上の出来るだけ高い温度に保つことが必要となり、この場合、この温度が濡れ性をさらに高めると同時に反応の確率と速度の増大につながり、一石二鳥の効果をもたらす。
また、本発明においては、上述した室温で液体のデカンなどを使用する場合でも引火の危険性がない条件を選び、なるべく高い温度(例えば、80℃〜90℃)で照射することによって四フッ化エチレン樹脂粉末に対する濡れ性を良くすると同時に、照射による反応の効率を高める利点が得られる。
電離放射線の照射は通常、大気中で行うのが簡便であるが、粒子径の大きな粉末では反応を円滑に進めるため大気の成分を人為的に調整して酸素濃度を作為的に制御した雰囲気、例えば、無酸素雰囲気、すなわち、酸素を実質的に含まない雰囲気、例えば無酸素の不活性ガス雰囲気、あるいは真空中などで照射することも可能である。例えば、四フッ化エチレンの粒子径の大きな粉末(例えば、平均粒子径20〜600μm)を使用する場合には、不活性ガス雰囲気下で電離放射線照射を行うのが、比表面積が減少することによる反応拠点の減少と酸素による反応の抑制を補うために好ましい。本発明では、酸素を実質的に含まないとは、例えば、窒素置換などの操作によって実質的に得られる酸素含有量200ppm以下をいう。
本発明における電離放射線とは、電子線、X線、γ線、中性子線、高エネルギーイオンなどの単独、あるいは、これらの混合放射線をいう。照射に際して用いる単位時間あたりの放射線の吸収線量、すなわち線量率は本発明において特定するものではないが、大線量を必要としない本発明を実施する場合、故意に高い線量率で照射を行おうとすれば照射時間が少な過ぎて線量の制御が困難となり、その結果、多大な誤差を生じるなどの弊害があるため、作業性を考慮していわゆる当業者が選択する線量率を任意に選ぶことが好ましく、かつ容易である。
本発明においては、例えば、γ線、電子線などが好ましくは使用できる。また、電離放射線の吸収線量は、特に限定されるものではなく、電離放射線を照射する際の温度等によって適宜決めることができ、例えば、100Gy〜50kGy、好ましくは150Gy〜30kGy、より好ましくは、1kGy〜20kGyの範囲である。
したがって、好ましくは80〜95℃の温度で150Gy〜30kGyの電離放射線を大気中で照射することによって四フッ化エチレン樹脂粉末の改質を達成することができる。
なお、本発明においては、上述のように、四フッ化エチレン樹脂粉末の改質のために適切な照射時間が選択できる線量率としては、2〜10kGy/hが好ましい。
本発明はこの段階で混合物中の四フッ化エチレン樹脂粉末とパラフィン系炭化水素との界面で電離放射線の作用により生成した遊離ラジカルが反応してそれぞれの成分に機能性を付与すると考えられる。すなわち、電離放射線により四フッ化エチレン樹脂の主鎖が切断され、切断末端には活性点が生じる。一方で、水素が引き抜かれて生じたパラフィン分子のラジカルは内部に二重結合の生成を伴い、一部が四フッ化エチレン樹脂の切断末端と結合するものと考えられる。その結果として、四フッ化エチレン樹脂粉末に著しい接着性及び/又は親和性が発現する。
また、本発明においては、改質された四フッ化エチレン樹脂粉末の他に、改質された四フッ化エチレン樹脂粉末を含む改質された樹脂組成物、例えば改質された四フッ化エチレン樹脂粉末とパラフィン系炭化水素を含む組成物もまた本発明の範囲内である。
かくして電離放射線の照射により生成した改質された四フッ化エチレン樹脂粉末を含む組成物中からは、分離精製技術を用いて、接着性及び/又は親和性が向上した四フッ化エチレン樹脂粉末を容易に単離して回収することが可能である。
分離精製技術としては、例えば、遠心分離、溶媒抽出、蒸留、蒸発及びろ過等から選択される技術を単独或いは組み合わせて使用することができる。
四フッ化エチレン樹脂粉末の単離及び回収方法としては、パラフィン系炭化水素が、例えば分子量の大きな固形パラフィンなどの場合には熱キシレン、エチルエーテル、アセトン、ベンゼン、クロロホルム、二硫化炭素等の適切な溶剤で抽出することによって分離することができる。
また、パラフィン系炭化水素として、C5(ペンタン)〜C16(ヘキサデカン)の中から選ばれる常温で液体の化合物を使用した場合は、過剰の液体があるときは超遠心分離器などを用いてデカンテーションにより分別し、引き続き、溶剤置換を繰り返したのち真空乾燥することにより固体成分の四フッ化エチレン樹脂粉末を回収することができる。
したがって、本発明においては、パラフィン系炭化水素成分としてC5(ペンタン)〜C16(ヘキサデカン)の中から選ばれる常温で液体の化合物を使用する場合には、接着性及び/又は親和性の向上した高機能性四フッ化エチレン樹脂粉末の単離及び回収作業を容易に行うことができる。
なお、本発明はエチルアルコールやアセトンなどの有機溶媒をパラフィン系炭化水素成分の代替として用いることも可能であるが、引火性、毒性などが高くなることから、室温で大線量の照射を低線量率で行う必要がある。すなわち、線量率が高いと温度が上がる恐れがあるため、好ましくは5kGy/h以下の線量率で50〜100kGyの線量が推奨される。
このようにして得られた、特に表面が改質された四フッ化エチレン樹脂粉末は、撥水・撥油性、非粘着性、滑り特性など四フッ化エチレン樹脂の表面特性(物性)の低下を抑制しつつ、異種の材料に対する接着性及び/又は親和性が改良される。その結果、さまざまな産業用或いは民生用材料として広範囲な分野に、例えば、コーティング材料、塗料、インク、プラスチックブレンド材料等に用いることができる。
以下、実施例をあげて具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
(実施例1)
融点68℃〜70℃の固形パラフィン(商品名:試薬パラフィン、和光純薬工業(株)製)20(g)を90℃に加熱して融解し、これを撹拌しながら四フッ化エチレン樹脂粉末(品番:KTL−8N(平均粒径5μm)、(株)喜多村製)20(g)を少しずつ加えてペースト状とし、引き続き自然冷却することにより、重量比で1:1の白色固形組成物40(g)を得た。この組成物を再び融点以上に加熱して融解し、90℃でコバルト60を線源とする線量率5kGy/hのγ線を大気中で1時間照射し、吸収線量5kGyの組成物を得た。さらに、照射後室温まで戻した該固形組成物を、別に融かしておいた同じ融点を持つ固形パラフィン(商品名:試薬パラフィン、和光純薬工業(株)製)114(g)に加えてよく攪拌して混ぜ合わせ、四フッ化エチレン樹脂粉末の濃度が13重量%である組成物を調製し、厚さ約10mmの板状に成形した。同様に、同じ濃度の未照射の組成物を調製し、三点曲げ試験により23℃における曲げ強度と曲げ弾性率を測定し、四フッ化エチレン樹脂粉末と固形パラフィンの接着性を評価した。なお、曲げ試験は、当該組成物から厚さ10mm、幅20mm、長さ45mmの試験片を削り出し、インストロン型試験機により支点間隔を厚さの4倍にとり、クロスヘッドスピード2mm/minで行った。試験結果を下表に示す。照射組成物においては曲げ強度、曲げ弾性率ともに未照射組成物より顕著に高く、マトリックスである固形パラフィンとフィラーに相当する四フッ化エチレン樹脂粉末の界面で、相互の接着性が著しく向上していることを示す結果を得た。
(実施例2)
別の固形パラフィンへの添加を調製して、四フッ化エチレン樹脂粉末の濃度を10重量%とした以外は実施例1と同様にして固形パラフィン組成物及び未照射の固形パラフィン組成物を調製した。
かくして調製した組成物は、各々エチルアルコールで汚れを取った高密度ポリエチレン板に室温で塗り広げ、さらにキムワイプで光沢が出るまで拭き取ったのち、新東科学(株)製のVCMフォトセンサ式ポータブル摩擦計(HEIDON トライボギアミューズ94iII)により、それぞれの組成物を塗った表面の靜摩擦係数を測定した。その結果は、下表に示すように照射組成物では最も摩擦係数が小さく、パラフィンとの接着性が高いために拭き取り作業による四フッ化エチレン樹脂微粉末の脱落が少ないことを裏付ける結果となった。
(実施例3)
n−デカン50(g)を三角フラスコに取り、上記と同様の(株)喜多村製の四フッ化エチレン樹脂粉末(KTL−8N)約90(g)を少しずつ加え、n−デカンの液面が四フッ化エチレン樹脂粉末に被さる程度の浴比に整えた照射用の試料を調製した。この試料はコバルト60を線源とする線量率10kGy/hのγ線により、大気中、85℃で10kGy(1時間)照射した。照射後、四フッ化エチレン樹脂粉末を単離するため、超遠心分離機で過剰のn−デカンを分離したのち四フッ化エチレン樹脂粉末をビーカーに取り、n−へキサンを加えて撹拌、洗浄し、再び超遠心分離機で四フッ化エチレン樹脂粉末を分離して取り出した。同様の操作を数回繰り返したのち風乾した四フッ化エチレン樹脂粉末を、更に60℃で20時間真空乾燥した。
かくして得られた四フッ化エチレン樹脂粉末の赤外吸収スペクトルをPerkin Elmer Spectrum ONEを用いてATR法(全反射測定法)により測定した結果を図1に示す。また、比較のため本実施例で用いた未処理の四フッ化エチレン樹脂粉末のATRスペクトルを図2に示す。図1および図2は、いずれも波数(cm−1)に関し等間隔のスペクトルを示す。四フッ化エチレン樹脂粉末のATRスペクトルは、図2に示すように1200cm−1と1145cm−1に2つに分かれた吸光係数の大きなCF伸縮振動だけが現れた。これに対し、本発明による四フッ化エチレン樹脂粉末のATRスペクトルは、図1に示すように四フッ化エチレン樹脂の吸収帯の他に、パラフィン系炭化水素に典型的なメチルおよびメチレン基のC−H伸縮振動が2840〜3000cm−1に認められ、また、1370〜1460cm−1にはC−Hの変角振動が認められた。さらに、不飽和炭素に結合した水素、=C−Hの面外変角振動が800〜1000cm−1に、ならびに伸縮振動が3000cm−1以上の吸収帯で認められた。
ATR法(全反射測定法)は、試料の表面から少しだけ潜り込んだ場所の光の反射スペクトルを判読するので表面・界面の分光計測に利用されており、この結果から、本発明の四フッ化エチレン樹脂粉末は、電離放射線により内部二重結合を生じたパラフィンが四フッ化エチレンの切断末端に結合した化学的に機能性の高い表面構造になっていると考えられる。
(実施例4)
実施例3と同様にして得た本発明による四フッ化エチレン樹脂粉末の染色性を未処理の四フッ化エチレン樹脂粉末と比較した。染料は市販の高純度・ファイン染料、コールダイオール(全繊維用染料)の赤を使用し、水に溶かした染料の中に四フッ化エチレン樹脂粉末を投入して撹拌しながら約85℃で30分間処理した。この際、四フッ化エチレン樹脂粉末は水に馴染まないため、予めエタノールで湿らせてから染浴中に投入した。染色処理した四フッ化エチレン樹脂粉末は、濾紙を広げた濾斗を用いて濾過した。濾紙に残った四フッ化エチレン樹脂粉末は台所用中性洗剤を溶かした水で濾液の色がなくなるまで洗浄したのち、さらに水洗後乾燥した。かくして染色した本発明による四フッ化エチレン樹脂粉末は図3(b)に見るように赤く染色したのに対し、未処理の四フッ化エチレン樹脂粉末は図3(a)に比較するように、ごく僅かに着色するものの殆ど染まらなかった。
よって、本発明による四フッ化エチレン樹脂粉末は、機能性の高い表面に改質されていて、異種材料に対する親和性も良好であることがわかる。
本発明の改質された四フッ化エチレン樹脂粉末は、異種材料に対する接着性及び/又は親和性が改善されるので、例えばさまざまな産業用或いは民生用材料として広範囲な分野に、例えば、コーティング材料、塗料、インク、プラスチックブレンド材料等に用いることができる。
本発明の一実施形態によるによる、n−デカン中に浸漬して85℃で10kGy照射したのち単離精製した四フッ化エチレン樹脂粉末のATR法による赤外吸収スペクトルを示す図である。 比較例としての、照射処理を行なっていない四フッ化エチレン樹脂粉末をATR法により測定した赤外吸収スペクトルを示す図である。 四フッ化エチレン樹脂粉末を市販の赤色染料で染色処理した写真である。(a)は、比較例として、照射処理を行なっていない粉末の写真である。(b)は、本発明の一実施形態によるn−デカン中に浸漬して85℃で10kGy照射したのち単離精製した粉末の写真である。

Claims (6)

  1. 四フッ化エチレン樹脂粉末とパラフィン系炭化水素とを所定の割合で含み、かつ、該四フッ化エチレン樹脂粉末と該パラフィン系炭化水素が混じり合った状態にある混合物を調製する混合物調製段階と、
    前記混合物に、85〜90℃の温度で、吸収線量100Gy〜20kGyの電離放射線を照射する電離放射線照射段階と、
    を備えることを特徴とする改質された四フッ化エチレン樹脂粉末の製造方法。
  2. 前記パラフィン系炭化水素が、室温で液体であるパラフィン化合物及び加熱により液体となる固形パラフィン化合物からなる群から選択される化合物の1種又は2種以上である請求項1記載の方法。
  3. 前記四フッ化エチレン樹脂粉末とパラフィン系炭化水素との配合は、重量比で1:10〜10:1である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記電離放射線照射段階により生成した組成物から、分離精製技術を用いて改質された四フッ化エチレン樹脂粉末を単離及び回収する段階をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項記載の方法により製造された、改質された四フッ化エチレン樹脂粉末。
  6. パラフィン系炭化水素が四フッ化エチレン樹脂粉末の表面で当該樹脂と結合している、請求項5記載の改質された四フッ化エチレン樹脂粉末。
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