JP2002327012A - シンジオタクチックメタクリル酸エステル重合体及び重合体組成物 - Google Patents

シンジオタクチックメタクリル酸エステル重合体及び重合体組成物

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JP2002327012A
JP2002327012A JP2001134149A JP2001134149A JP2002327012A JP 2002327012 A JP2002327012 A JP 2002327012A JP 2001134149 A JP2001134149 A JP 2001134149A JP 2001134149 A JP2001134149 A JP 2001134149A JP 2002327012 A JP2002327012 A JP 2002327012A
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methacrylate
syndiotactic
polymerization
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JP2001134149A
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Koichi Migite
浩一 右手
Tatsuki Kitayama
辰樹 北山
Hidetaka Onuma
英崇 大沼
Itaru Shimizu
格 清水
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Kuraray Co Ltd
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】工業化に有利な温度条件で且つ重合体を構成す
る単量体を直接重合して得られる、rrが98%以上の
シンジオタクチックメタクリル酸エステル重合体を提供
する。 【解決手段】 メタクリル酸エステルを含む無単量体を
直接重合して得られたシンジオタクチックメタクリル酸
エステル重合体は、rr3連子の割合が98%以上であ
る。この重合体は、メタクリル酸エステルを含む単量体
を、特定の構造のケテンシリルアセタールからなる重合
開始剤を用いて、特定の構造のアルミニウムルイス酸と
シリル化剤との存在下で重合させることにより得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シンジオタクチッ
クメタクリル酸エステル重合体及び該重合体を含有する
重合体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、立体規則性のポリマーは、結
晶性ポリマーとして知られており、非立体規則性のポリ
マーとは全く異なる特性を有することが知られている。
例えば、ポリスチレンは、ガラス転移温度が100℃程
度の透明な樹脂であるが、シンジオタクチックなポリス
チレンは結晶性を有するため、耐熱性・耐溶剤性に優れ
るエンジニアプラスチックとして使用されている。ま
た、ポリプロピレンでは、アイソタクチックなものが同
様に耐熱性・耐溶剤性の素材として幅広く使用されてい
る。
【0003】ポリメタクリル酸エステルについても、立
体規則性に関して報告がなされており、アイソタクチッ
クなポリメタクリル酸メチルは、結晶性を有することが
知られている。また、ポリメタクリル酸トリフェニルメ
チルは、螺旋構造を取り、光学分割素材として使用され
ている。
【0004】一方、シンジオタクチックなポリメタクリ
ル酸エステルに関しては、シンジオタクティシティの比
率を上昇させていくとガラス転移温度が上昇することが
判っており、以下のような合成例が報告されている。 (i)特開平10−139822号公報には、トリアル
キルアルミニウムとヒンダードフェノール化合物とビス
オキサゾリン化合物の存在下、25℃での重合によりr
r=92%のポリメタクリル酸メチルの合成の例が報告
されている。 (ii)Polymer Journal, 18(8), 584(1986)には、m−
ビニルベンジルマグネシウムクロリドを開始剤に、−1
10℃での重合により、rr=96.6%のポリメタク
リル酸メチルの合成の例が報告されている。 (iii)Macromolecules, 26(26), 7136(1993)には、ビ
ス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウムヒ
ドリドを開始剤に用い,メタクリル酸メチルの重合を−
95℃で60時間行うことにより,rr=95.3%の
ポリメタクリル酸メチルの合成の例が報告されている。 (iv)Polymer Journal, 27(3), 316(1995)には、te
rt−ブチルリチウムを開始剤に、ビス(2,6−ジ−
tertブチルフェノキシ)メチルアルミニウムの存在
下、メタクリル酸トリメチルシリルを−78℃で重合し
た後、得られたポリマーをメチルエステル化することで
rr=96.4%のポリメタクリル酸メチルの合成の例
が報告されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、立体規
則性ポリマーの結晶性は、立体規則性の度合いに大きく
影響されるため、上述の(i)〜(iv)の合成例の場合
にも、ポリマーに含まれている少量の非規則性セグメン
トによってそれらの結晶性が大きく低下し、求められて
いる特性が十分に得られないという問題ある。例えば、
上述の(i)〜(iv)の合成例で得られた高rrのメタ
クリル酸エステル重合体の場合、ガラス転移温度以外の
物性については、非立体規則性のポリマーとの間に大き
な相違が認められないという問題がある。このため、シ
ンジオタクチックなメタクリル酸エステル重合体の立体
規則性を、限りなく100%に近づけることが求められ
ている。
【0006】また、上述の(ii)〜(iv)の合成例の場合、
高rrポリマーが得られる重合温度条件が非常に低く、
実用化が困難であるという問題もある。特に(iv)の合成
例では、メタクリル酸メチルそのものの重合体が直接得
られるのではなく、重合後に得られるのはポリメタクリ
ル酸トリメチルシリルであり、最終的にそれを加水分解
し、次いでエステル化する必要がある。
【0007】本発明は、重合体を構成する単量体を直接
重合して得られるrrが100%に近いメタクリル酸エ
ステル重合体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特定の重
合条件において重合体を構成する単量体を直接重合させ
ると、シンジオタクティシティが100%に近いシンジ
オタクチックメタクリル酸エステル重合体が得られるこ
とを見出し、本発明に至った。
【0009】即ち、本発明は、メタクリル酸エステルを
含む単量体を直接重合して得られた重合体であって、r
r3連子の割合が98%以上であるシンジオタクチック
メタクリル酸エステル重合体を提供する。
【0010】また、本発明は、上述のシンジオタクチッ
クメタクリル酸エステル重合体を1質量%以上含むこと
を特徴とする重合体組成物を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。
【0012】本発明のシンジオタクチックメタクリル酸
エステル重合体は、メタクリル酸エステルを含む単量体
を直接重合させて得られるものであり、rr3連子の割
合がポリマー中の98%以上、好ましくは99%以上の
重合体である。従って、本発明のシンジオタクチックメ
タクリル酸エステル重合体は、非常に良好な結晶性を有
し、高いガラス転移温度、良好な耐熱性及び耐溶剤性を
示す。また、「単量体を直接重合させる」という意味
は、単量体に保護基を導入し、重合後に保護基を脱離さ
せたり、単量体単位の前駆体モノマーを重合させ、重合
後に単量体単位に変換したりすることなく、単量体それ
自体をそのまま重合系に導き重合させることを意味す
る。このため、重合反応操作が簡略化でき、工業的に有
利となる。
【0013】ここで、ポリマーの立体規則性は、ポリマ
ー鎖の局所的連鎖の立体配置により標記され、2つのモ
ノマー単位の連鎖(2連子、diad)において立体配
置が同じものをメゾ(meso)、逆のものをラセモ
(racemo)と称し、それぞれm及びrで表示され
る。シンジオタクティシティは、通常、3つのモノマー
単位で構成される連鎖(3連子、triad)がrrで
ある割合で表される(3連子シンジオタクティシテ
ィ)。また、5つのモノマー単位で構成される連鎖(5
連子、pentad)がrrrrである割合で表すこと
もある(5連子シンジオタクティシティ)。
【0014】rr3連子の割合は、ポリマーの核磁気共
鳴スペクトル(以降、NMRと称すことがある)測定に
より求めることができる。NMRでの3連子の配列を表
すシグナルは、重合体の種類、測定する溶媒などの測定
条件によって異なるため、それぞれの測定の条件に応じ
てシグナルを同定・定量する必要がある。例えば、シン
ジオタクチックメタクリル酸エステル重合体がポリメタ
クリル酸メチルの場合、重水素化クロロホルム中、55
℃での測定で、H NMRにおいてはrrを示す0.
85〜0.95ppmの領域、mrを示す1.0〜1.
1ppmの領域、mmを示す1.15〜1.25ppm
の領域にそれぞれ観測されるシグナルの面積比より求め
ることができる。また、13C NMRにおいてはrr
rr5連子を示す177.6〜177.8ppmの領域
に観測されるシグナル以外に、175〜179ppmの
領域にシグナルが観測されないことからも示すことがで
きる。
【0015】本発明のシンジオタクチックメタクリル酸
エステル重合体を構成する単量体に含まれるメタクリル
酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプ
ロピル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸n−ブチ
ル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキ
シル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ベンジ
ル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラ
ウリル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸トリメ
トキシシリルプロピル、メタクリル酸メトキシエチル、
メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリ
ル酸N,N−ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エ
ステル等があげられる。中でもメタクリル酸メチルを好
ましく挙げることができる。これらメタクリル酸エステ
ルは、単独又は2種以上を併用してもよい。
【0016】本発明のシンジオタクチックメタクリル酸
エステル重合体を構成する単量体には、上述のメタクリ
ル酸エステルに対する共重合成分として、アクリル酸エ
ステル類、クロトン酸エステル類、ビニルケトン類、メ
タクリロニトリル類、アクリロニトリル類、ビニルピリ
ジン類などの極性ビニル化合物類、芳香族ビニル化合物
類、オレフィン類、共役ジエン類、ラクトン類などの環
状エステル類等を挙げることができる。共重合の形態
は、特に限定されず、ランダム共重合、テーパード共重
合、ブロック共重合、グラフト共重合などをあげること
ができる。
【0017】本発明のシンジオタクチックメタクリル酸
エステル重合体は、グループトランスファー重合に従っ
て製造することができる。具体的には、上述のメタクリ
ル酸エステルを含む単量体を、式(1)
【0018】
【化1】
【0019】(式(1)中、R、R、R、R
及びRはアルキル基、例えば、メチル基、エチル
基等を表し、また、R及びR、又はR及びR
互いに連結して環、例えば4,5−ジヒドロ−2−フリ
ル環構造を構成してもよい。中でも、R及びRはメ
チル基が好ましい。)の重合開始剤を用いて、式(2)
【0020】
【化2】
【0021】(式(2)中、R21は炭素数2以上アル
キル基、例えばエチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n
−オクチル基、イソオクチル基等を表し、R22及びR
23は分岐アルキル基、例えばイソプロピル基、t−ブ
チル基等を表し、R24は水素原子又はアルキル基、例
えばメチル基、エチル基等を表す。)のルイス酸と式
(3)
【0022】
【化3】
【0023】(式(3)中、Rはアルキル基、例えばメ
チル基、エチル基等を表し、XはBr、I又は−OSO
CFを表す。)のシリル化剤の存在下で、ジクロロ
メタンやトルエンなどの溶媒中、−60〜+60℃、好
ましくは−50〜+50℃で重合させることにより製造
することができる。反応時間は、通常1分〜70時間で
ある。
【0024】式(1)の化合物の具体例としては、1−
メトキシ−1−(トリメチルシロキシ)−2−メチル−
1−プロペン、1−メトキシ−1−(トリエチルシロキ
シ)−2−メチル−1−プロペンなどがあげられる。
【0025】式(2)の化合物の具体例としては、エチ
ル ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)
アルミニウム、エチル ビス(2,6−ジ−tert−
ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、n−プ
ロピル ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキ
シ)アルミニウム、n−プロピル ビス(2,6−ジ−
tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウ
ム、イソプロピル ビス(2,6−ジ−tert−ブチ
ルフェノキシ)アルミニウム、イソプロピルビス(2,
6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)ア
ルミニウム、n−ブチル ビス(2,6−ジ−tert
−ブチルフェノキシ)アルミニウム、n−ブチル ビス
(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキ
シ)アルミニウム、イソブチル ビス(2,6−ジ−t
ert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル
ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフ
ェノキシ)アルミニウム、オクチル ビス(2,6−ジ
−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、オクチ
ル ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチル
フェノキシ)アルミニウムなどがあげられる。
【0026】式(3)の化合物の具体例としては、ヨウ
化トリメチルシラン、ヨウ化トリエチルシラン、臭化ト
リメチルシラン、トリフルオロメチルスルホン酸トリメ
チルシラン、トリフルオロメチルスルホン酸トリエチル
シランなどがあげられる。
【0027】重合後に得られた生成物から本発明のシン
ジオタクチックメタクリル酸エステル重合体を単離する
方法は、例えば、立体規則性の違いによる溶媒への溶解
性を利用した溶媒での分別や、クロマトグラフィーによ
る分画により単離することができる。
【0028】上記の重合方法で得られた本発明のシンジ
オタクチックメタクリル酸エステル重合体は、THF、
アセトンに不溶であり、クロロホルムに可溶であること
から、重合後に得られた生成物のクロロホルム溶液を多
量のTHFに投入し、沈殿物を回収することにより単離
することができる。
【0029】なお、上述のように得られたシンジオタク
チックメタクリル酸エステル重合体は上述したように単
離してもよいが、重合後に得られた生成物が本発明のシ
ンジオタクチックメタクリル酸エステル重合体を含む混
合物の場合は、単離処理することなく、生成物をそのま
ま重合体組成物として使用してもよい。
【0030】本発明のシンジオタクチックメタクリル酸
エステル重合体は、公知の添加剤と混合して使用しても
よく、また、上述したように組成物として使用する場合
にも公知の添加剤を配合してもよい。公知の添加剤とし
ては、特には限定されないが、フィラー類、モノマー
類、オイル・可塑剤類、酸化防止剤や滑剤などが挙げら
れる。
【0031】なお、本発明のシンジオタクチックメタク
リル酸エステル重合体を重合体組成物として使用する場
合、該シンジオタクチックメタクリル酸エステル重合体
の含有量は1質量%以上が好ましく、10質量%がより
好ましい。含有量が1重量%以上である場合は、シンジ
オタクチックメタクリル酸エステル重合体の立体規則性
の効果が発現する。
【0032】本発明の重合体組成物を構成する他の重合
体としては、rrが98%未満のシンジオタクチックポ
リメタクリル酸エステル、ヘテロタクチックポリメタク
リル酸エステル、アイソタクチックポリメタクリル酸エ
ステルなどの立体規則性メタクリル酸エステル重合体、
非立体規則性メタクリル酸エステル重合体、その他の熱
可塑性樹脂等が挙げられる。
【0033】本発明のシンジオタクチックメタクリル酸
エステル重合体及びそれを含有する組成物の使用用途に
ついては、特に限定されないが、良好な耐溶剤性や耐熱
性を利用した用途、例えば、容器材料、シート状成形
体、透明光学材料等が挙げられる。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてより具体的
に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定される
ものではない。
【0035】なお、実施例においては、以下のように処
理した試薬を使用し、全て窒素雰囲気下で操作を行っ
た。
【0036】また、SEC(サイズ排除クロマトグラフ
ィー)、H−NMR及び13C−NMRの測定は以下
に説明するように行った。
【0037】(試薬)ジクロロメタン(CHCl 市販品を単蒸留し、モレキュラシーブス4Aで乾燥を行
ったものに水素化カルシウムを加え、使用の直前に真空
蒸留したものを使用した。メタクリル酸メチル(MMA) 市販品をNaHSO水溶液並びにNaOH水溶液で洗
浄後、蒸留したものに、水素化カルシウムを加え、使用
の直前に真空蒸留したものを使用した。1-メトキシ-1-(トリメチルシロキシ)-2-メチル-1-フ゜ロヘ゜ン(MTS) The Jouranl of Organic Chemistry 49,2083(1984)、Jo
urnal of Organometallic Chemistry 46,59(1972)に記
載の方法により合成したものを使用した。ヨウ化トリメチルシラン(MeSiI) Aldrich社製試薬を、上記方法にて精製したCH
Clに溶解させ、安定剤として銅片を加え保存した
ものを使用した。エチルヒ゛ス(2,6-シ゛-tert-フ゛チル-4-メチルフェノキシ)アルミニウム(EtA
l(ODBMP) 市販のトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液に2倍モ
ル量の2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェ
ノキシ/ヘプタン溶液を加え、一晩、加熱して反応させ
たものを、ヘプタン中で3回再結晶・精製したものをト
ルエン溶液として使用した。
【0038】(測定)SEC測定 カラム(Plgel5μm MIXED−D(300×
7.5mm)を2本使用し、クロロホルムを溶離液に、
流速0.8ml/ml、40℃、RI検出器により測定
した。分子量は標準ポリメタクリル酸メチルから換算し
て求めた。 H NMR Varian Unity INOVA 750を用
い、重水素化クロロホルム中、55℃で測定した。3連
子の立体規則性の帰属は、rrを0.85〜0.95p
pm、mrを1.0〜1.1ppm、mmを1.15〜
1.25ppmに観測されるシグナルとして、それぞれ
の面積比より立体規則性を求めた。 13C NMR Varian Unity INOVA 750を用
い、重水素化クロロホルム中、55℃で測定した。カル
ボニル基のrrrr5連子の状態を示す175〜179
ppmの範囲にシグナルを観測し立体規則性を評価し
た。
【0039】実施例1 25mlのアンプルを窒素置換し、10mlのCH
、10mmolのMMA、0.15mmolのEt
Al(ODBMP)、0.1mmolのMe SiI
を加え、0℃に冷却した。これに、0.2mmolのM
TSを加え重合を開始し、0℃で18時間重合させた。
【0040】重合後、1Nの塩酸とメタノールの混合液
を滴下し、多量のヘキサンに投入、ポリマーを析出させ
回収した。
【0041】得られたポリマーの収率は82.9%であ
った。また、得られたポリマーのSECチャートのバイ
モーダルなピークであり、溶出時間の早い成分のピーク
全体に対する面積比は28%であった。
【0042】続いてSEC分取作業を行い、溶出時間の
早い成分と遅い成分を回収した。溶出時間の早い成分
は、THF、アセトンに不溶であった。
【0043】それぞれの成分について、H NMR測
定を行ったところ、溶出時間の早い成分のrrは98
%、溶出時間の遅い成分のrrは80%であった。ま
た、SEC分取により得られた溶出時間の早い成分には
少量の溶出時間の遅い成分が混入しており、このことか
らまた、重合後得られた溶出時間の早い成分のrrは少
なくとも98%以上であることが分かった。
【0044】更に13C NMR測定を行ったところ、
溶出時間の遅い成分のカルボニル基のシグナルは、rr
rr5連子シグナル以外にmrrm、rrmr5連子シ
グナルが観測されたのに対し、溶出時間の早い成分のカ
ルボニル基のシグナルは、rrrr5連子のシグナルし
か観測されず、シンジオタクティシティが100%に近
いことが分かった。
【0045】重合後に得られた生成物(ポリマー)及び
SEC分取後の各成分についてのSECのチャートを図
1に示す。また、SEC分取後の各成分についての
NMRチャートを図2に、13C NMRチャートを
図3に示す。
【0046】実施例2 重合開始温度並びに重合温度を−40℃に、重合時間を
66時間に変更した以外は、実施例1と同じ操作を行っ
た。
【0047】得られたポリマーの収率は20.6%であ
った。ポリマーのSECのチャートはバイモーダルなピ
ークであり、溶出時間の早い成分のピーク全体に対する
面積比は37%であった。
【0048】続いて、実施例1と同様にSEC分取を行
い、各成分のH NMR観測を行ったところ、溶出時
間の早い成分のrrは99%以上であった。また、13
CNMR測定により、溶出時間の早い成分のカルボニル
基のシグナルには、rrrr5連子のシグナル以外のシ
グナルが観測されなかった。
【0049】重合後に得られた生成物(ポリマー)及び
SEC分取後の各成分についてのSECのチャートを図
4に示す。また、SEC分取後の各成分についての
NMRチャートを図5に、また、SEC分取後の溶出
時間の早い成分の13C NMRチャートを図6に示
す。
【0050】以上の実施例より、少なくともrrは98
%以上のポリメタクリル酸メチルが得られたことが分か
る。また、得られたポリマーは、THFやアセトンに不
溶であることから、耐溶剤性に優れていることが分か
る。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、工業化に有利な温度条
件で且つ重合体を構成する単量体を直接重合して得られ
る、rrが98%以上のシンジオタクチックメタクリル
酸エステル重合体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における重合後に得られた生成物(ポ
リマー)及びSEC分取後の各成分についてのSECの
チャートである(重合後の生成物(同図(a))、溶出
時間の早い成分(同図(b))、溶出時間の遅い成分
(同図(c)))。
【図2】実施例1におけるSEC分取後の各成分につい
てのH NMRチャートである(溶出時間の早い成分
(同図(a))、溶出時間の遅い成分(同図
(b)))。
【図3】実施例1におけるSEC分取後の各成分につい
ての13C NMRチャートである(溶出時間の早い成
分(同図(a))、溶出時間の遅い成分(同図
(b)))。
【図4】実施例2における重合後に得られたポリマー及
びSEC分取後の各成分についてのSECのチャートで
ある(重合後の生成物(同図(a))、溶出時間の早い
成分(同図(b))、溶出時間の遅い成分(同図
(c)))。
【図5】実施例2におけるSEC分取後の各成分につい
てのH NMRチャートである(溶出時間の早い成分
(同図(a))、溶出時間の遅い成分(同図
(b)))。
【図6】実施例2におけるSEC分取後の溶出時間の早
い成分についての13C NMRチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北山 辰樹 大阪府箕面市牧落5丁目8番2−207号 (72)発明者 大沼 英崇 大阪府箕面市牧落5丁目8番1−807号 (72)発明者 清水 格 京都府京都市左京区浄土寺真如町1番11号 Fターム(参考) 4J002 AA01X BG05W BG05X BG06W BG07W 4J100 AL03P AL04P AL08P BA05P BA29P BC04P BC43P CA01 CA03 FA08

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタクリル酸エステルを含む単量体を直
    接重合して得られる重合体であって、rr3連子の割合
    が98%以上であるシンジオタクチックメタクリル酸エ
    ステル重合体。
  2. 【請求項2】 rr3連子の割合が99%以上である請
    求項1記載のシンジオタクチックメタクリル酸エステル
    重合体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のシンジオタクチッ
    クメタクリル酸エステル重合体を1質量%以上含むこと
    を特徴とする重合体組成物。
JP2001134149A 2001-05-01 2001-05-01 シンジオタクチックメタクリル酸エステル重合体及び重合体組成物 Pending JP2002327012A (ja)

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