JP4008145B2 - アクリル酸エステル重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリル酸エステル重合体の製造方法に関する。より詳細には、アクリル酸エステル、特にアクリル酸1級アルキルエステルをアニオン重合法により高い重合速度および高いリビング性を両立させながら重合させることができるため、所望の分子量を有する分子量分布の狭いアクリル酸エステル重合体、特にアクリル酸1級アルキルエステル重合体を、再現性よく円滑に製造することのできる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリル酸エステルのアニオン重合によるアクリル酸エステル重合体の製造方法に関して、以下の(1)および(2)の報告がなされている。
【0003】
(1)有機リチウム化合物を重合開始剤とし、リチウム2−(2−メトキシエトキシ)エトキサイドを添加剤として用いて、アクリル酸エステルをトルエンとテトラヒドロフランとの混合溶媒中、−78℃等の低温条件下で溶液重合させると、アクリル酸エステル重合体が得られる(Macromolecules第27巻、第4890〜4895頁、1994年;Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry第35巻、第361〜369頁、1997年等)。
【0004】
(2)t−ブチルリチウムを重合開始剤とし、メチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウムまたはエチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウムを添加剤として用いて、アクリル酸エステルをトルエン中、−60℃または−78℃の温度条件下で溶液重合させると、アクリル酸エステル重合体が得られる(高分子学会予稿集(Polymer Preprints, Japan)第46巻、第7号、第1081〜1082頁(1997年)および同第47巻、第2号、第179頁(1998年))。
【0005】
一方、アクリル酸エステル重合体の製造法に関するものではないが、メタクリル酸エステルのアニオン重合法に関しては、以下の(3)〜(6)の報告がなされている。
【0006】
(3)t−ブチルリチウムを重合開始剤とし、トリアルキルアルミニウムを添加剤として用いてメタクリル酸メチルをトルエン中で溶液重合させると、シンジオタクチシチーが80%以上のポリメタクリル酸メチルが生成する(Makromol.Chem.,Supplement第15巻、第167〜185頁(1989年))。
【0007】
(4)t−ブチルリチウムを重合開始剤とし、ジイソブチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムの存在下に、メタクリル酸メチルをトルエン中で溶液重合させると、シンジオタクチシチーが70%程度のポリメタクリル酸メチルが生成する(Macromolecules第25巻、第5907〜5913頁(1992年))。
【0008】
(5)t−ブチルリチウム等の有機アルカリ金属化合物を開始剤として、1個以上の嵩高な基を有する特定の有機アルミニウム化合物(例:トリイソブチルアルミニウム、ジイソブチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム等)を添加剤として使用して、メタクリル酸エステルを−20℃〜+60℃の範囲内の温度で重合させると、分子量分布の狭いメタクリル酸エステル重合体が生成する(特開平5−5009号公報)。
【0009】
(6)有機リチウム化合物開始剤を、メチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、エチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、トリス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム等のリガンドと0℃以上の温度で混合した後、メタクリル酸メチルと接触させてアニオン重合を行うことによって、シンジオタクチックトリアド含有率が70%以上のポリメタクリル酸メチルが得られる(特開平7−330819号公報)。
【0010】
なお、上記(5)における特開平5−5009号公報には、同公報に記載されているような、嵩高な基を有する有機アルミニウム化合物の存在下におけるメタクリル酸エステルのアニオン重合法をアクリル系の水素原子を有する単量体に適用した場合には、重合反応が抑制されることが記載されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
単量体のアニオン重合を工業的に行う場合においては、使用する重合開始剤の一部がすでに失活していること、ならびに単量体、溶媒等に混入して重合反応系に導入される水分等の不純物により重合反応系で重合開始剤の失活がさらに進行することを、完全には避けることができない。したがって、目的とする重合体分子量に基づいて理論的に算出される量の重合開始剤と単量体を使用してアニオン重合を行っても、目的とする分子量を有する重合体を再現性よく製造することはできない。アニオン重合におけるリビング性が高い場合、すなわち、末端の活性アニオン寿命が長いリビングポリマーが反応系中で形成される場合には、重合開始剤の使用量を基準として理論的に算出される所要量より少量の単量体を使用して重合させてリビングポリマーを形成させ、該リビングポリマーの分子量を測定し、該分子量と単量体の使用量に基づいてリビングポリマーのモル数を算出し、該リビングポリマーの分子量およびモル数ならびに目的とする最終重合体の分子量に基づいて追加すべき単量体の量を算出し、該追加量の単量体をリビングポリマーに対して重合させることによって、目的とする分子量を有する分子量分布の狭い重合体を再現性よく製造することが可能となる。これに対して、アニオン重合におけるリビング性が低い場合、上記のような2段階の重合手法を採用しても、1段階めの重合で得られるポリマーの末端のアニオンの経時的失活が著しいため、2段階めの重合後に得られる重合体は、目的とする分子量よりも低めの分子量の成分と高めの成分とを含む分子量分布の広いものとなってしまう。なお、リビング性が低い場合、重合反応中においても失活が進行するため、重合速度が比較的低いときには、1段階の重合操作においてさえ、得られる重合体の分子量分布が広くなってしまうという問題がある。
【0012】
アクリル酸エステル等の単量体のアニオン重合は発熱を伴うため、この種のアニオン重合を冷却条件下において工業的規模で行う場合、発熱による重合反応系の温度上昇を抑制することが極めて重要となる。このために、単量体を所定の速度で反応系に連続的にフィードし、それによって重合速度を制御する手法が採用されることがある。しかしながら、単量体を連続的にフィードして重合反応を行う場合には、その重合反応におけるリビング性の高さが得られる重合体の分子量分布の均一性に影響しやすい。すなわち、リビング性があまり高くはない場合、得られる重合体は分子量分布の広いものとなってしまう。
【0013】
また、アニオン重合後、得られた活性アニオン末端を有する重合体に対して末端官能化剤を反応させることによって末端に官能基を有する重合体を製造する場合にも、官能基の導入率を高める上でリビング性の高さが要求される。
【0014】
上記(1)のアクリル酸エステル重合体の製造方法においては、アクリル酸エステルを高いリビング性で重合させ所望の重合体を収率よく得るために、溶媒の一部としてテトラヒドロフランを使用することが必要である。テトラヒドロフランは、その吸水性や過酸化物の混入等のため工業的に高純度で使用または回収精製することが容易ではない。また、アクリル酸エステルとしてアクリル酸n−ブチル等のアクリル酸1級アルキルエステルを使用する場合などでは、高いリビング性を達成する上で、重合を−80℃程度の極低温条件下において行うことが必要である。以上のように、上記(1)の方法は、取り扱い面において大量使用に不向きな溶媒が必要であり、しかも冷却ユーティリティが多大となる点から、工業化への適用は困難である。
【0015】
また、上記(2)のアクリル酸エステル重合体の製造方法においては、重合系の温度が−78℃程度の極低温である場合には重合速度が低く長時間を要する。また、重合系の温度が−60℃以上の比較的高い温度である場合には、リビング性が低下するため、得られる重合体の分子量分布が広くなるか、または上記のような2段階重合法による分子量制御が困難となる。これらのことから、上記(2)の方法は工業的に不利である。
【0016】
上記(3)〜(6)で報告されているような有機アルカリ金属化合物と有機アルミニウム化合物とからなる開始剤系の存在下でのメタクリル酸エステルのアニオン重合の場合、該有機アルミニウム化合物の添加効果により例えば成長種が有するアニオンのメタクリル酸エステル単量体のエステル基への副反応を抑制することができるため、分子量分布の狭いメタクリル酸エステル重合体が得られる。しかしながら、上記特開平5−5009号公報には、同公報に記載されているようなメタクリル酸エステルのアニオン重合法をアクリル系の水素原子を有する単量体に適用した場合には、重合反応が抑制されることが記載されている。本発明者らが上記(3)〜(6)のようなメタクリル酸エステルのアニオン重合法のいくつかについて、アクリル酸エステルの重合への転用をあえて試みた結果、やはり好結果を得ることができず、アクリル酸1級アルキルエステルの場合には重合が特に難しいことが判明した。これは、重合開始剤および/または成長種が有するアニオンに由来する、アクリル酸エステル単量体のエステル基への副反応、アクリル酸エステル単量体および重合体のα位のプロトンの引き抜き、重合体が有するエステル基への攻撃等の副反応が生起することによるものと考えられる。
【0017】
したがって、本発明の課題は、アクリル酸1級アルキルエステル等のアクリル酸エステルをアニオン重合法により高い重合速度および高いリビング性を両立させながら重合させることができ、所望の分子量を有する分子量分布の狭いアクリル酸エステル重合体を再現性よく円滑に製造することのできる工業的に有利な方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成すべく本発明者らは種々検討を重ねてきた結果、有機リチウム化合物とともに特定の有機アルミニウム化合物を用いて開始剤系を構成した場合には、アクリル酸エステルの重合を高い反応速度且つ高いリビング性で行うことができ、アクリル酸1級アルキルエステルの重合の場合にはこの効果が特に顕著であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0019】
すなわち、本発明は、アクリル酸1級アルキルエステルを、有機リチウム化合物および下記の一般式(I);
【0020】
【化2】
AlR1R2R3 (I)
【0021】
(式中、R1は炭素数3〜12の分岐状アルキル基を示し、R2およびR3はそれぞれ独立して置換基を有してもよいアリールオキシ基を示すかまたはR2とR3が結合して置換基を有してもよいアリーレンジオキシ基を示す。)
【0022】
で表される有機アルミニウム化合物の存在下に重合することを特徴とするアクリル酸1級アルキルエステル重合体の製造方法である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
【0024】
本発明では、有機リチウム化合物と上記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物[以下「有機アルミニウム化合物(I)」ということがある]の存在下にアクリル酸エステルを重合することが必要である。
【0025】
本発明で使用する有機リチウム化合物は、一般に重合開始剤として働く。本発明では、有機リチウム化合物の種類は特に制限されず、アクリル酸エステル等のアニオン重合性単量体の重合に際して従来からアニオン重合開始剤として用いられている有機リチウム化合物であれば通常使用可能である。本発明で使用し得る有機リチウム化合物の代表例については、1官能性のアニオン重合開始剤として、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等のアルキルリチウム類;フルオレニルリチウム、α−メチルスチレンオリゴマーに基づくモノアニオンのリチウム塩等のアリールリチウム類;1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、ジフェニルメチルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム等のアラルキルリチウム、トリメチルシロキシリチウム、リチウムエチルイソブチレートが挙げられ、2官能性のアニオン重合開始剤としては、テトラα−メチルスチレンジリチウム、1,3−ビス(リチオ−1,3−ジメチルペンチル)ベンゼン、1,3−ビス(リチオフェニル−3−メチルペンチル)ベンゼン等の有機ジリチウム化合物等を挙げることができる。これら有機リチウム化合物は1種のみを使用しても、または2種以上を用いてもよい。前記した有機リチウム化合物のうちでも、一般に、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、リチウムエチルイソブチレート、1,3−ビス(リチオ−1,3−ジメチルペンチル)ベンゼン、1,3−ビス(リチオフェニル−3−メチルペンチル)ベンゼン等が重合開始能力の点から好ましく使用される。
【0026】
本発明で使用する有機アルミニウム化合物(I)は、上記一般式(I)で表される化合物である。
【0027】
一般式(I)において、上述のようにR1は置換基を有してもよい炭素数3以上のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数3以上のアルコキシ基または置換基を有してもよいアリールオキシ基である。R1が炭素数1または2のアルキル基(メチル基またはエチル基)である場合には、重合における高い反応速度と高いリビング性の両立が困難となる。
【0028】
R1が置換基を有してもよい炭素数3以上のアルキル基である場合、有機アルミニウム化合物(I)の重合活性、取り扱い性、製造の容易性、入手の容易性等の点から、炭素数3〜12のアルキル基であることが好ましく、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル等の炭素数3〜10のアルキル基であることがより好ましい。重合系中における重合体活性末端の安定性やリビング性の高さ等の点からは、炭素数3以上のアルキル基の中でも炭素数3以上の分岐状アルキル基または炭素数4以上の直鎖状アルキル基が好ましく、炭素数3〜12の分岐状アルキル基または炭素数4〜12の直鎖状アルキル基がより好ましく、イソプロピル基、イソブチル基、3−メチルブチル基等の炭素数3〜10の分岐状アルキル基またはn−ヘキシル基、n−オクチル基等の炭素数6〜10の直鎖状アルキル基がさらに好ましい。これらのうちでも、入手の容易性、取り扱い性、重合体成長末端の安定化能力、リビング性等の高さの点から、総合的には、R1がイソブチル基であることが特に好ましい。
【0029】
R1が置換基を有してもよい炭素数3以上のアルコキシ基である場合、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基等を挙げることができる。
【0030】
R1が置換基を有してもよいアリールオキシ基である場合、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジ−t−ブチルフェノキシ基、2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ基、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ基、2,6−ジフェニルフェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基、9−フェナントリルオキシ基、1−ピレニルオキシ基等の置換基を有しないアリールオキシ基;および7−メトキシ−2−ナフトキシ基等の置換基を有するアリールオキシ基を挙げることができる。
【0031】
なお、R1が表す置換基を有してもよい炭素数3以上のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数3以上のアルコキシ基および置換基を有してもよいアリールオキシ基は、それぞれ置換基を有しないか、または1個以上の置換基を有する。該置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基;塩素、臭素、フッ素等のハロゲン原子等を例示することができる。
【0032】
一般式(I)においてR2およびR3は、上述のように、それぞれ独立して置換基を有してもよいアリールオキシ基を示すか、またはR2とR3が結合して置換基を有してもよいアリーレンジオキシ基を示す。
【0033】
R2およびR3がそれぞれ独立に表す置換基を有してもよいアリールオキシ基の好ましい例としては、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジ−t−ブチルフェノキシ基、2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ基、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ基、2,6−ジフェニルフェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基、9−フェナントリルオキシ基、1−ピレニルオキシ基等の置換基を有しないアリールオキシ基;および7−メトキシ−2−ナフトキシ基等の置換基を有するアリールオキシ基を挙げることができる。また、R2とR3が結合して表す置換基を有してもよいアリーレンジオキシ基の好ましい例としては、2,2’−ジフェノール、2,2’−メチレンビスフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、(R)−(+)−1,1’−ビ−2−ナフトール、(S)−(−)−1,1’−ビ−2−ナフトール等から誘導される基を挙げることができる。
【0034】
なお、R2およびR3がそれぞれ独立して表す置換基を有してもよいアリールオキシ基およびR2とR3が結合して表す置換基を有してもよいアリーレンジオキシ基は、それぞれ置換基を有しないか、または1個以上の置換基を有する。該置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基;塩素、臭素、フッ素等のハロゲン原子等を例示することができる。
【0035】
また、有機アルミニウム化合物(I)が2個または3個の置換基を有してもよいアリールオキシ基を有する場合、該アリールオキシ基はそれぞれ同じ化学構造を有していてもよく、また相異なる化学構造を有していてもよい。
【0036】
本発明で使用する有機アルミニウム化合物(I)の代表例としては、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム、n−オクチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、n−オクチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、n−オクチル〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム、トリス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、トリス(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウム等を挙げることができる。これらの中でも、一般式(I)においてR1がイソブチル基またはn−オクチル基であり、且つR2およびR3がそれぞれ2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ基または2,4−ジ−t−ブチルフェノキシ基である場合に相当する化合物、すなわちイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、n−オクチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムまたはn−オクチルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウムが、重合活性、重合体成長末端の安定化能力等の点から特に好ましい。
【0037】
有機アルミニウム化合物(I)の製法は特に限定されない。R1が置換基を有してもよい炭素数3以上のアルキル基または置換基を有してもよいアリールオキシ基である場合の有機アルミニウム化合物(I)は、例えば公知の手法に従い、分子中に1個または2個のフェノール性水酸基を有する芳香族化合物とトリアルキルアルミニウムとを所定割合で反応させることにより容易に製造することができる。また、R1が置換基を有してもよい炭素数3以上のアルコキシ基である場合の有機アルミニウム化合物(I)は、例えば公知の手法に従い、1個のアルキル基と2個のアリールオキシ基(置換基を有してもよい)または1個のアリーレンジオキシ基(置換基を有してもよい)とを有する三級有機アルミニウム化合物に対し、炭素数3以上のアルコールをほぼ等モル数の割合で反応させることによって容易に製造することができる。
【0038】
本発明に従うアニオン重合における有機リチウム化合物の使用量は必ずしも限定されるものではないが、有機リチウム化合物を、使用する全単量体の合計100モルに対して0.01〜10モルの範囲内となる割合で用いることが、目的とするアクリル酸エステル重合体を円滑に製造できる点から好ましい。
【0039】
有機リチウム化合物と有機アルミニウム化合物(I)の使用割合については、重合方法の種類、溶液重合を行う場合は重合溶媒の種類、その他種々の重合条件等に応じて適宜好適な割合を選択して採用することができるが、一般には有機アルミニウム化合物(I)を、有機リチウム化合物1モルに対して1.0モル以上となるような割合で用いることが好ましく、2.0モル以上となるような割合で用いることがより好ましい。重合反応の点からは有機アルミニウム化合物(I)の使用量に上限はないが、製造コスト、重合体中に含まれる有機アルミニウム化合物残渣の除去等の点から、有機アルミニウム化合物(I)の使用量は、有機リチウム化合物1モルに対して500モル以下にとどめることが好ましく、100モル以下にとどめることがより好ましい。
【0040】
本発明で使用するアクリル酸エステルの種類は特に制限されず、形式的にはアクリル酸成分とアルコール成分から構成されるアクリル酸エステルであればいずれであってもよい。本発明で用い得るアクリル酸エステルの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸セシル、アクリル酸n−ステアリル等のアクリル酸1級アルキルエステル;アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸トリメチルシリル等を挙げることができ、アクリル酸エステルは1種類に限られることなく、2種類以上を用いることができる。本発明に従う重合反応においてはアクリル酸1級アルキルエステルの重合において効果が特に顕著に発揮されるため、使用するアクリル酸エステルは主としてアクリル酸1級アルキルエステルであることが好ましい。
【0041】
なお、所望の重合に悪影響を及ぼさない限りにおいて、アクリル酸エステルとともに、必要に応じて、他のアニオン重合性単量体を少量成分として併用し共重合することも可能である。共重合可能なアニオン重合性単量体の代表例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸セシル、メタクリル酸n−ステアリル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸3−メトキシブチル、メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸トリメチルシリル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル等のメタクリル酸エステル;N−イソプロピルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等のアクリルアミド系化合物;N−イソプロピルメタクリルアミド、N−t−ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド系化合物等が挙げられる。
【0042】
本発明において使用するアクリル酸エステル等の単量体は、不活性気流下等で予め十分に乾燥処理しておくことが重合反応を円滑に進行させる点から好ましく、乾燥処理に当たっては、水素化カルシウム、モレキュラーシーブス、活性アルミナ等の脱水・乾燥剤が好ましく用いられる。
【0043】
本発明に従うアクリル酸エステルの重合反応は、有機溶媒を用いないで行うことも可能であるが、重合温度の制御、重合系内の条件の均一化等が可能であって重合を円滑に進行させ得る点から、有機溶媒中で行うことが好ましい。その際、薬品取り扱い時の安全性が比較的高く、廃水への混入が生じにくく、溶媒の回収精製が容易である等の点から、炭化水素系溶媒および/またはハロゲン化炭化水素系溶媒が好ましく用いられる。使用可能な炭化水素系溶媒の代表例としてはベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等が挙げられ、使用可能なハロゲン化炭化水素系溶媒としてはクロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等を挙げることができる。これらの有機溶媒は単独で用いても、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、炭化水素系溶媒がより好ましく用いられる。
【0044】
なお、重合に使用する有機溶媒は、予め脱気および脱水処理して精製しておくことが好ましい。
【0045】
有機溶媒の使用量は、目的とするアクリル酸エステル重合体の重合度、アクリル酸エステルの種類、有機リチウム化合物の種類、有機アルミニウム化合物(I)の種類、有機溶媒の種類等に応じて適宜調整し得るが、重合の円滑な進行、生成したアクリル酸エステル重合体の分離取得のし易さ、廃液処理負担等の点から、一般的には有機溶媒を、使用するアクリル酸エステル100重量部に対して200〜3000重量部の範囲内となる割合で用いることが好ましく、300〜2000重量部の範囲内となる割合で用いることがより好ましい。
【0046】
重合系への有機リチウム化合物、有機アルミニウム化合物(I)およびアクリル酸エステルの添加方法は特に制限されず、所望に応じて適宜好適な方法を採用することができる。例えば、有機リチウム化合物および有機アルミニウム化合物(I)については、それぞれをそのまま重合系に添加してもよく、また、一方または両方を有機溶媒またはアクリル酸エステル中に溶解させた状態で重合系に添加してもよい。アクリル酸エステルについては、そのまま重合系に供給してもよく、また有機溶媒に予め溶解させた状態で重合系に供給してもよい。
【0047】
工業的規模で重合反応を行うのであれば、重合系の温度制御が容易となる点において、アクリル酸エステルをそれ自体またはそれを含有する溶液の形で重合反応系に供給しながら重合反応を行うことが好ましい場合がある。なお、この際、アクリル酸エステルの供給は連続的であっても、断続的であってもよい。
【0048】
重合開始時における有機リチウム化合物、有機アルミニウム化合物(I)およびアクリル酸エステルの接触順序については、一般的には、有機リチウム化合物を有機アルミニウム化合物(I)と接触させ、次いでアクリル酸エステルと接触させることによって重合を開始させるか、または、有機リチウム化合物を有機アルミニウム化合物(I)の一部と接触させ、次いで、アクリル酸エステルと有機アルミニウム化合物(I)の残部からなる混合物と接触させることによって重合を開始させることが好ましい。これらの順序を採用すると、有機アルミニウム化合物(I)の作用によりアクリル酸エステル中の失活成分を不活性化することができ、さらに、アクリル酸エステルと有機アルミニウム化合物(I)とが錯体を形成することによって重合におけるリビング性を一層向上させることが可能となる。
【0049】
本発明に従う重合反応においては、必要に応じ、公知技術に準じて重合系に他の添加剤を添加することも可能である。例えば、塩化リチウム等の無機塩類;リチウム2−(2−メトキシエトキシ)エトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルコキシド化合物;テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルホスホニウムブロミド等の有機四級塩等が挙げられる。
【0050】
また、本発明に従う重合反応は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。さらに、反応系が均一になるように十分な攪拌条件下に重合を行うことが好ましい。
【0051】
本発明に従う重合反応における重合温度については、有機リチウム化合物の種類、有機アルミニウム化合物(I)の種類、有機溶媒の種類、アクリル酸エステルの種類等に応じて適宜好適な条件を選んで採用することができる。一般的には、低い重合温度を採用すれば、重合開始効率の低下、リビング重合性の低下、分子量分布の増大(分子量の不均一性の増大)等の不都合を抑制しやすいが、重合温度を過度に低くすると、冷却ユーティリティの所要量の増大、重合速度の低下等の点において工業的に不利となる。高いリビング重合性を維持しながら、分子量(重合度)の揃ったアクリル酸エステル重合体を、高い収率で工業的に有利に製造できる点から、一般的には−100℃〜+40℃の範囲内の温度であることが好ましく、−80℃〜+20℃の範囲内の温度であることがより好ましい。
【0052】
本発明に従う重合反応では、採用する重合温度が低いと、得られるアクリル酸エステル重合体の立体規則性が向上する傾向があり、結晶性を有するアクリル酸エステル重合体を製造することも可能である。アクリル酸エステル重合体(特にアクリル酸1級アルキルエステル重合体)は一般に軟質性に優れた素材であるので、これに結晶性を付与させることにより、優れた軟質性と優れた耐熱性または耐薬品性とを併せ持った素材を取得することが可能である。
【0053】
結晶性を有するアクリル酸エステル重合体を製造する目的においては、重合温度は−40℃以下の温度とすることが好ましい。結晶性発現の観点からは重合温度の下限に制限はないが、成長種末端のアニオン活性および重合速度の両面を考慮すると、−100℃〜−40℃の範囲内の温度を採用することが好ましく、−80℃〜−50℃の範囲内の温度を採用することがより好ましい。本発明に従う重合反応を−40℃以下の温度で行った場合、得られる結晶性アクリル酸エステル重合体は通常、35%以上のシンジオタクチックトライアッド(rr)を有する。より高い結晶性を発揮させたいのであれば、アクリル酸エステル重合体のシンジオタクチシチーは、シンジオタクチックトライアッド(rr)において40%以上であることが好ましい。なお、アクリル酸エステル重合体のシンジオタクチシチーは、該重合体を重水素化クロロホルム溶液の形態で13C−NMR測定することにより得られる64.35ppm付近のピーク[シンジオタクチックトライアッド(rr)に帰属される]、64.43ppm付近のピーク[ヘテロタクチックトライアッド(rm)に帰属される]および64.56ppm付近のピーク[アイソタクチックトライアッド(mm)に帰属される]の面積の和に対する、該シンジオタクチックトライアッド(rr)に帰属されるピークの面積の割合として表される。また、アクリル酸エステル重合体の結晶性の確認は、DSC(示差走査熱量計)測定、X線回折測定、光学顕微鏡観察等の公知の方法に準じて行うことが可能である。
【0054】
重合時間については、アクリル酸エステルの種類、有機溶媒の種類、有機リチウム化合物の種類、有機アルミニウム化合物(I)の種類、重合温度、目的とするアクリル酸エステル重合体の分子量、有機溶媒中における単量体濃度等の諸条件に応じて適宜好適な時間を採用すればよい。重合時間が短かすぎると未反応の単量体の割合が多くなり、逆に重合時間が必要以上に長すぎると生産性が低下することから、通常、数秒間〜100時間の範囲内の重合時間が好ましく採用される。
【0055】
なお、アクリル酸エステル重合体を工業的規模において製造する際には、重合開始剤の一部の失活を厳密には防止することが困難であるため、目的とする分子量に基づいて理論的に算出される割合の重合開始剤とアクリル酸エステルを使用して本発明に従う重合反応を行っても、目的とする分子量のアクリル酸エステル重合体が得られない場合がある。所定の平均分子量のアクリル酸エステル重合体を工業的規模において特に高い再現性で製造する目的においては、以下のような方法で重合操作を2段階に分けて行うことが好ましい。すなわち、重合開始剤(有機リチウム化合物)の使用量を基準として理論的に算出される所要量より少量の単量体(アクリル酸エステル等)を使用して重合させて反応系中にリビングポリマーを形成させ、該リビングポリマーの分子量を測定し、該分子量と単量体の使用量に基づいてリビングポリマーのモル数を算出し、該リビングポリマーの分子量およびモル数ならびに目的とする最終重合体の分子量に基づいて追加すべき単量体の量を算出し、該追加すべき量の単量体をリビングポリマーに対して重合させることによって、目的とする分子量を有するアクリル酸エステル重合体を高い再現性で製造することが可能である。
【0056】
本発明においては、重合反応により目的とするアクリル酸エステル重合体が形成された段階で、重合停止剤を反応混合物に添加することによって重合反応を停止させることができる。重合停止剤としては、例えばメタノール、酢酸、塩酸のメタノール溶液等のプロトン性化合物を使用することができる。重合停止剤の使用量は特に限定されるものではないが、一般には、重合開始剤として使用した有機リチウム化合物1モルに対して1〜100モルの範囲内となる割合で用いることが好ましい。
【0057】
なお、本発明では、所定のアクリル酸エステルの重合を全て終えた後であって且つ重合停止剤を添加する前の段階で、二官能性以上の多官能性のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを反応系に添加することにより、いわゆる「スター型」または「マルチアーム型」のアクリル酸エステル重合体を製造することができる。また、本発明では、所定のアクリル酸エステルの重合を全て終えた後であって且つ重合停止剤を添加する前の段階で、末端官能基付与剤(例えばアルデヒド、ラクトン、二酸化炭素等)または少量の官能基含有アニオン重合性単量体(例えばメタクリル酸グリシジル等)を反応系に添加してもよく、その場合には分子鎖の末端に水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等の官能基を有するアクリル酸エステル重合体を得ることができる。すなわち、1官能性のアニオン重合開始剤を用いて重合を行ったときには、分子鎖の片末端に官能基を有するアクリル酸エステル重合体を得ることができ、2官能性のアニオン重合開始剤を用いて重合を行ったときには、分子鎖の両末端に官能基を有するアクリル酸エステル重合体を得ることができる。
【0058】
重合停止後の反応混合物から分離取得したアクリル酸エステル重合体中に有機リチウム化合物や有機アルミニウム化合物(I)に由来する金属成分が残存していると、アクリル酸エステル重合体やそれを用いた材料(例えば粘着剤、接着剤等)の物性(粘着力、接着力等)の低下、透明性不良(外観不良、着色等)を生じる場合があるので、アクリル酸エステル重合体の使用目的に応じては、有機リチウム化合物および有機アルミニウム化合物(I)に由来する金属化合物を重合終了後に除去することが好ましい。該金属化合物の除去方法としては、アクリル酸エステル重合体を、酸性水溶液を用いた洗浄処理、イオン交換樹脂等の吸着剤を用いた吸着処理等の清浄化処理に付することが有効である。有機アルミニウム化合物(I)は重合停止後でも空気中の水分等と反応し、容易に水酸化アルミニウムに変換されるが、水酸化アルミニウムは酸性水溶液にもアルカリ水溶液にも難溶であるため、一旦生成すると除去が困難になる。したがって、重合終了後はできるだけ速やかにアクリル酸エステル重合体(反応混合物の形態でもよい)を酸性水溶液を用いて洗浄することが、金属成分の除去効率の高さにおいて好ましい。なお、酸性水溶液としては、例えば、塩酸、硫酸水溶液、硝酸水溶液、酢酸水溶液、プロピオン酸水溶液、クエン酸水溶液等を使用することができる。
【0059】
重合を停止させた後の反応混合物からアクリル酸エステル重合体を分離取得するための方法は特に制限されず、公知の方法に準じた任意の方法を採用することができる。例えば、反応混合物をアクリル酸エステル重合体の貧溶媒に注いで該アクリル酸エステル重合体を沈殿させる方法、反応混合物から溶媒を留去してアクリル酸エステル重合体を取得する方法等が採用可能である。
【0060】
また、本発明の方法によれば、任意の分子量のアクリル酸エステル重合体を製造することができる。製造可能なアクリル酸エステル重合体の分子量は広範囲にわたるが、一般には、数平均分子量が1000〜1000000の範囲内であることが、アクリル酸エステル重合体の取り扱い性、流動性、他の重合体(例えばアクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂等)との相容性、塗装性、接着性、粘着性等の点から好ましい。また、本発明の方法によれば、通常、分子量の均一性が高い(すなわち、分子量分布の狭い)アクリル酸エステル重合体が得られ、その分子量分布(Mw/Mn)は多くの場合1.5以下である。
【0061】
本発明の方法で得られるアクリル酸エステル重合体は、その優れた透明性、耐薬品性、耐候性、柔軟性、取り扱い性等を活用して、接着剤、粘着剤、塗料、発泡体、緩衝材、制振材、防振材、封止材、シーリング材等の原料、添加剤等として有用である。また、本発明の方法で得られるアクリル酸エステル重合体を、電気・電子分野、自動車分野、医療分野等における各種成形品に用いられる他の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等に添加することにより、その耐衝撃性、塗装性、印刷適性、耐候性等を改良することも可能である。さらには、複数の樹脂間の相容化剤としての利用も可能である。本発明の方法で得られるアクリル酸エステル重合体は、分子量分布の均一性に由来して、成形品とした場合に優れた力学特性を発揮でき、また、他の熱可塑性樹脂に添加した場合に優れた成形性を発揮できる。本発明の方法で得られるアクリル酸エステル重合体がその主鎖の片末端または両末端に官能基を有する場合、該重合体をポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド等の高分子の原料成分として使用することもできる。また、本発明の方法で得られるアクリル酸エステル重合体がその主鎖の片末端または両末端に重合性ビニル基を有する場合、該重合体をマクロモノマーまたは架橋剤として使用することが可能である。
【0062】
なお、本発明の方法で得られるアクリル酸エステル重合体を各種用途に使用するに際し、該アクリル酸エステル重合体に、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、可塑剤、安定化剤、増粘剤、粘着付与樹脂等の樹脂またはオリゴマー、着色剤、顔料、増量剤等を添加してもよい。
【0063】
【実施例】
次に実施例等を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0064】
《参考例1》[有機アルミニウム化合物(I):イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムの調製]
ナトリウムで乾燥後窒素雰囲気下に蒸留して得た乾燥トルエン34mlと、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール11.02gを、内部雰囲気を窒素で置換した内容積200mlのフラスコ内に添加し、室温で攪拌しながら溶解した。得られた溶液にトリイソブチルアルミニウム6.31mlを添加し、80℃で約18時間攪拌することによって、対応する有機アルミニウム化合物(I)[イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]を0.5mol/lの濃度で含有するトルエン溶液を調製した。
【0065】
《参考例2》[有機アルミニウム化合物(I):n−オクチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムの調製]
ナトリウムで乾燥後アルゴン雰囲気下に蒸留して得た乾燥トルエン31mlと、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール11.02gを、内部雰囲気をアルゴンで置換した内容積200mlのフラスコ内に添加し、室温で攪拌しながら溶解した。得られた溶液にトリn−オクチルアルミニウム9.17gを添加し、80℃で約18時間攪拌することによって、対応する有機アルミニウム化合物(I)[n−オクチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]を0.5mol/lの濃度で含有するトルエン溶液を調製した。
【0066】
《参考例3》[有機アルミニウム化合物:エチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムの調製]
ナトリウムで乾燥後アルゴン雰囲気下に蒸留して得た乾燥トルエン36mlと、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール11.02gを、内部雰囲気をアルゴンで置換した内容積200mlのフラスコ内に添加し、室温で攪拌しながら溶解した。得られた溶液にトリエチルアルミニウム3.42mlを添加し、80℃で約18時間攪拌することによって、対応する有機アルミニウム化合物[エチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]を0.5mol/lの濃度で含有するトルエン溶液を調製した。
【0067】
《参考例4》[有機アルミニウム化合物:ジイソブチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムの調製]
ナトリウムで乾燥後窒素雰囲気下に蒸留して得た乾燥トルエン39mlと、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール5.51gを、内部雰囲気を窒素で置換した内容積200mlのフラスコ内に添加し、室温で攪拌しながら溶解した。得られた溶液にトリイソブチルアルミニウム6.31mlを添加し、80℃で約18時間攪拌することによって、対応する有機アルミニウム化合物[ジイソブチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]を0.5mol/lの濃度で含有するトルエン溶液を調製した。
【0068】
《参考例5》[有機アルミニウム化合物:メチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムの調製]
ナトリウムで乾燥後アルゴン雰囲気下に蒸留して得た乾燥トルエン37mlと、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール11.02gを、内部雰囲気をアルゴンで置換した内容積200mlのフラスコ内に添加し、室温で攪拌しながら溶解した。得られた溶液にトリメチルアルミニウム2.40mlを添加し、80℃で約18時間攪拌することによって、対応する有機アルミニウム化合物[メチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]を0.5mol/lの濃度で含有するトルエン溶液を調製した。
【0069】
《実施例1》[イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを使用しての結晶性ポリアクリル酸n−ブチルの製造]
内部雰囲気をアルゴンで置換した内容積120mlのシュレンク管に乾燥トルエン14mlを入れた後、−78℃に冷却し、上記の参考例1におけると同様にして調製した有機アルミニウム化合物(I)[イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]のトルエン溶液(濃度:0.5mol/l)を3.76ml加えた。そこにt−ブチルリチウムのペンタン溶液(濃度:1.6mol/l)を0.12ml加えて攪拌し、アクリル酸n−ブチルを1.9g加えて10分間重合を行った後、約0.02mlのメタノールを加えることにより重合を停止させた。
得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、アクリル酸n−ブチル単量体に帰属されるピークは存在せず、アクリル酸n−ブチルの重合率は98%以上であることが判明した。
得られた溶液の残りの部分をメタノール中に注ぎ、析出した白色沈殿物を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定を行ったところ、得られたポリアクリル酸n−ブチルは単峰性のピークを現し、そのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は11600であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.08であることが判明した。さらにこのポリアクリル酸n−ブチルを1 3C−NMRにより分析したところ、そのシンジオタクチシチーはトライアッド(rr)で55%であった。また、このポリアクリル酸n−ブチルについて、DSC測定において52℃に吸熱ピークが確認され、光学顕微鏡観察において球状結晶が確認された(この結晶は約70℃まで昇温することにより融解した)。以上のことから、該ポリアクリル酸n−ブチルは結晶性を有することが確認された。
【0070】
《比較例1》[エチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを使用してのポリアクリル酸n−ブチルの製造]
有機アルミニウム化合物のトルエン溶液を上記の参考例3におけると同様にして調製した有機アルミニウム化合物[エチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]のトルエン溶液(濃度:0.5mol/l)(使用量:3.76ml)に変更した以外は実施例1と同様にして重合操作および重合停止操作を行った。
得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、アクリル酸n−ブチルの重合率はわずか約4%であることが判明した。
【0071】
《比較例2》[エチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを使用してのポリアクリル酸n−ブチルの製造]
有機アルミニウム化合物のトルエン溶液を上記の参考例3におけると同様にして調製した有機アルミニウム化合物[エチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]のトルエン溶液(濃度:0.5mol/l)(使用量:3.76ml)に変更し、且つ重合時間を10分間から1時間に変更した以外は実施例1と同様にして重合操作および重合停止操作を行った。
得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、アクリル酸n−ブチルの重合率は約21%であることが判明した。
【0072】
《比較例3》[エチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを使用しての結晶性ポリアクリル酸n−ブチルの製造]
有機アルミニウム化合物のトルエン溶液を上記の参考例3におけると同様にして調製した有機アルミニウム化合物[エチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]のトルエン溶液(濃度:0.5mol/l)(使用量:3.76ml)に変更し、且つ重合時間を10分間から22時間に変更した以外は実施例1と同様にして重合操作および重合停止操作を行った。
得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、アクリル酸n−ブチルの重合率は98%以上であることが判明した。
得られた溶液の残りの部分をメタノール中に注ぎ、析出した白色沈殿物を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、得られたポリアクリル酸n−ブチルは単峰性のピークを現し、そのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は11200であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.26であることが判明した。さらに、このポリアクリル酸n−ブチルについて、DSC測定において50℃に吸熱ピークが確認され、光学顕微鏡観察において球状結晶を確認された(この結晶は約70℃まで昇温することにより融解した)。以上のことから、該ポリアクリル酸n−ブチルは結晶性を有することが確認された。
【0073】
《比較例4》[ジイソブチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを使用してのポリアクリル酸n−ブチルの製造]
温度を−78℃から−30℃に変更し、有機アルミニウム化合物のトルエン溶液を上記の参考例4におけると同様にして調製した有機アルミニウム化合物[ジイソブチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]のトルエン溶液(濃度:0.5mol/l)(使用量:3.76ml)に変更し、且つ重合時間を10分間から24時間に変更した以外は実施例1と同様にして重合操作および重合停止操作を行った。
得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、アクリル酸n−ブチルはほとんど重合しておらず、重合率は3%以下であることが判明した。
【0074】
《比較例5》[メチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを使用してのポリアクリル酸n−ブチルの製造]
有機アルミニウム化合物のトルエン溶液を上記の参考例5におけると同様にして調製した有機アルミニウム化合物[メチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]のトルエン溶液(濃度:0.5mol/l)(使用量:3.76ml)に変更し、重合時の温度を−78℃から−60℃に変更し、且つ重合時間を10分間から24時間に変更した以外は実施例1と同様にして重合操作および重合停止操作を行った。
得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、アクリル酸n−ブチルの重合率は68%であることが判明した。
得られた溶液の残りの部分をメタノール中に注ぎ、析出した白色沈殿物を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、得られたポリアクリル酸n−ブチルは単峰性のピークを現し、そのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は10500であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.72であることが判明した。
【0075】
《実施例2》[イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを使用しての非晶性ポリアクリル酸n−ブチルの製造]
温度を−78℃から−30℃に変更した以外は実施例1と同様にして重合操作および重合停止操作を行った。
得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、アクリル酸n−ブチル単量体に帰属されるピークは存在せず、アクリル酸n−ブチルの重合率は98%以上であることが判明した。
得られた溶液の残りの部分をメタノール中に注ぎ、析出した白色沈殿物を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、得られたポリアクリル酸n−ブチルは単峰性のピークを現し、そのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は17700であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.15であることが判明した。さらにこのポリアクリル酸n−ブチルを1 3C−NMRにより分析したところ、そのシンジオタクチシチーはトライアッド(rr)で33%であった。また、このポリアクリル酸n−ブチルは、DSC測定において吸熱ピークが観測されなかったことから、非晶性であることが判明した。
【0076】
《参考例6》[n−オクチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを使用しての非晶性ポリアクリル酸n−ブチルの製造]
温度を−78℃から−30℃に変更し、且つ有機アルミニウム化合物(I)のトルエン溶液を上記の参考例2におけると同様にして調製した有機アルミニウム化合物(I)[n−オクチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]のトルエン溶液(濃度:0.5mol/l)(使用量:3.76ml)に変更した以外は実施例1と同様にして重合操作および重合停止操作を行った。
得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、アクリル酸n−ブチル単量体に帰属されるピークは存在せず、アクリル酸n−ブチルの重合率は98%以上であることが判明した。
得られた溶液の残りの部分をメタノール中に注ぎ、析出した白色沈殿物を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、得られたポリアクリル酸n−ブチルは単峰性のピークを現し、そのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は21000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.13であることが判明した。さらにこのポリアクリル酸n−ブチルを1 3C−NMRにより分析したところ、そのシンジオタクチシチーはトライアッド(rr)で36%であった。また、このポリアクリル酸n−ブチルは、DSC測定において吸熱ピークが観測されなかったことから、非晶性であることが判明した。
【0077】
《実施例4》[イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを使用してのポリアクリル酸2−エチルヘキシルの製造(洗浄処理付き)]
温度を−78℃から−30℃に変更し、単量体をアクリル酸n−ブチルからアクリル酸2−エチルヘキシル(使用量:1.9g)に変更し、且つ重合時間を10分間から3時間に変更した以外は実施例1と同様にして重合操作および重合停止操作を行った。
得られた溶液に1N希硫酸を10ml加え攪拌した後、分液し、有機層を回収した。回収された有機溶液に対し、水(10ml)添加、攪拌、分液および水層除去からなる一連の洗浄操作を5回繰り返して行った。
洗浄後の溶液をメタノール中に注ぎ、析出した白色沈殿物を回収し、真空乾燥を行うことにより溶媒を完全に除去した。得られたポリアクリル酸2−エチルヘキシルは無色透明の液状物質であり、金属成分を実質的に含んでいなかった。また、ポリアクリル酸2−エチルヘキシルの回収量に基づく収率は97%で、重合がほぼ定量的に進行したことが判明した。該ポリアクリル酸2−エチルヘキシルをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、単峰性のピークを示し、そのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は11600であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.14であることが判明した。
【0078】
上記実施例1〜4および比較例1〜5について、得られた結果を主な重合条件と共に以下の表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
上記表1における記号は、以下の意味を有する。
iBAl(BHT)2:イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム
nOAl(BHT)2:n−オクチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム
EtAl(BHT)2:エチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム
MeAl(BHT)2:メチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム
iB2Al(BHT):ジイソブチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム
t-BuLi:t−ブチルリチウム
nBA:アクリル酸n−ブチル
2-EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
【0081】
上記の表1から、本発明に従う実施例1〜4のアクリル酸エステル重合体の製造例では、分子量分布の均一な重合体を比較的短い重合時間でありながら高い重合率で製造できることがわかる。また、比較的低い重合温度を採用した場合(実施例1)には、結晶性を有するアクリル酸エステル重合体を製造することが可能であることもわかる。
これに対し、使用する有機アルミニウム化合物の化学構造において本発明とは相違する比較例1〜5のアクリル酸エステル重合体の製造例では、高い重合率を達成するためには長い重合時間を要することがわかる。また、得られたアクリル酸エステル重合体の分子量分布の均一性も本発明に比べてやや劣る傾向があることがわかる(比較例3および5)。
【0082】
《実施例5》[イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを使用しての二段階重合操作によるポリアクリル酸n−ブチルの製造]
(1)内部雰囲気をアルゴンで置換した内容積120mlのシュレンク管に乾燥トルエン64mlを入れた後、−30℃に冷却し、上記参考例1におけると同様にして調製した有機アルミニウム化合物(I)[イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]のトルエン溶液(濃度:0.5mol/l)を3.76ml加えた。そこにt−ブチルリチウムのペンタン溶液(濃度:1.6mol/l)を0.12ml加えて攪拌し、アクリル酸n−ブチルを1.9g加えて10分間重合を行った。
得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、アクリル酸n−ブチル単量体に帰属されるピークは存在せず、アクリル酸n−ブチルの重合率は98%以上であることが判明した。また、採取したサンプルをメタノール中に注ぎ、析出した白色沈殿物を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、生成したポリアクリル酸n−ブチルは単峰性のピークを現し、そのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は18800であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.16であることが判明した。
【0083】
(2)得られた溶液の残りの部分を−30℃で攪拌下に1時間保持した後、これにアクリル酸n−ブチルをさらに5.7g加えて−30℃で3時間重合を行い、約0.02mlのメタノールを加えることにより重合を停止させた。
得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、追加したアクリル酸n−ブチルの重合率は約45%であることが判明した。
得られた溶液の残りの部分をメタノール中に注ぎ、析出した白色沈殿物を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、最終的に得られたポリアクリル酸n−ブチルは低分子量側にわずかながら肩部を有する一本のピークを現し、そのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は27800であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.60であることが判明した。得られたGPCチャートを図1に示す。
【0084】
《比較例6》[エチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを使用しての二段階重合操作によるポリアクリル酸n−ブチルの製造]
(1)有機アルミニウム化合物のトルエン溶液を上記参考例3におけると同様にして調製した有機アルミニウム化合物[エチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]のトルエン溶液(濃度:0.5mol/l)(使用量:3.76ml)に変更した以外は実施例5の(1)と同様にして一段階目の重合操作を行った。
得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、アクリル酸n−ブチル単量体に帰属されるピークは存在せず、アクリル酸n−ブチルの重合率は98%以上であることが判明した。また、採取したサンプルをメタノール中に注ぎ、析出した白色沈殿物を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、生成したポリアクリル酸n−ブチルは低分子量側に肩部を有するピークを現し、そのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は19000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.35であることが判明した。
【0085】
(2)得られた溶液の残りの部分を−30℃で攪拌下に1時間保持した後、これにアクリル酸n−ブチルをさらに5.7g加えて−30℃で3時間重合を行い、約0.02mlのメタノールを加えることによって重合を停止させた。
得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、追加したアクリル酸n−ブチルの重合率は約42%であることが判明した。
得られた溶液の残りの部分をメタノール中に注ぎ、析出した白色沈殿物を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、最終的に得られたポリアクリル酸n−ブチルは二峰性のピークを現し、そのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は27300であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.96であることから、分子量分布が均一に制御された重合体は得られなかったことが判明した。得られたGPCチャートを図2に示す。低分子量側に上記(1)における一段階目の重合操作で得られたポリアクリル酸n−ブチルに該当するピークが存在することから、一段階目の重合操作で形成されたリビングポリマー(ポリアクリル酸n−ブチル)における二段階目の重合操作の開始までの期間内での失活は無視できない程度であることがわかる。
【0086】
本発明に従う上記実施例5のアクリル酸エステル重合体の製造例と、使用する有機アルミニウム化合物の化学構造において本発明とは相違する上記比較例6のアクリル酸エステル重合体の製造例とを対比することによって、本発明に従う重合反応は、リビング性が高く(すなわち、反応系中におけるリビングポリマーのアニオン活性末端の寿命が長く)、2段階での重合手法に適していることがわかる。
【0087】
《実施例6》[イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを使用しての単量体連続フィード重合法によるポリアクリル酸n−ブチルの製造]
内部雰囲気をアルゴンで置換した内容積10リットルのオートクレーブに乾燥トルエン3.5リットルを入れ、次いで上記の参考例1におけると同様にして調製した有機アルミニウム化合物(I)[イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]のトルエン溶液(濃度:0.5mol/l)を230ml加えた。温度−35℃の冷却バスにより溶液の温度が−30℃になるまで冷却し、そこにt−ブチルリチウムのペンタン溶液(濃度:1.6mol/l)を6.5ml加えて20分間攪拌した。このようにして調製された溶液を攪拌しながら、これにアクリル酸n−ブチル300gを10ml/分の速度で添加し(添加所要時間:33分間)、その後さらに10分間攪拌を継続することによって重合反応を行った。アクリル酸n−ブチルの添加開始直後から内温が上昇し始め、重合反応期間中、最高で−24℃まで温度上昇した。次いで、重合反応系に30mlのメタノールを加えることによって重合を停止させた。
得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、アクリル酸n−ブチル単量体に帰属されるピークは存在せず、アクリル酸n−ブチルの重合率は98%以上であることが判明した。
また、採取したサンプルをメタノール中に注ぎ、析出した白色沈殿物を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、得られたポリアクリル酸n−ブチルは単峰性のピークを現し、そのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は49400であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.05であることが判明した。得られたGPCチャートを図3に示す。該GPCチャートに基づいて、分子量10000以下の低分子量成分は含まれていないことが判明した。
【0088】
《比較例7》[エチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを使用しての単量体連続フィード重合法によるポリアクリル酸n−ブチルの製造]
有機アルミニウム化合物のトルエン溶液を上記の参考例3におけると同様にして調製した有機アルミニウム化合物[エチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]のトルエン溶液(濃度:0.5mol/l)(使用量:230ml)に変更した以外は実施例6と同様にして重合操作および重合停止操作を行った。なお、アクリル酸n−ブチルの添加開始直後から内温が上昇し始め、重合反応期間中、最高で−27℃まで温度上昇した。
得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、アクリル酸n−ブチル単量体に帰属されるピークは存在せず、アクリル酸n−ブチルの重合率は98%以上であることが判明した。
また、採取したサンプルをメタノール中に注ぎ、析出した白色沈殿物を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、得られたポリアクリル酸n−ブチルは単峰性ではあるが幅広いピークを現し、そのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は53600、分子量分布(Mw/Mn)は2.71であることが判明した。得られたGPCチャートを図4に示す。該GPCチャートに基づいて、分子量10000以下の低分子量成分が約3%含まれていることが判明した。
【0089】
本発明に従う上記実施例6のアクリル酸エステル重合体の製造例と、使用する有機アルミニウム化合物の化学構造において本発明とは相違する上記比較例7のアクリル酸エステル重合体の製造例とを対比することによって、本発明に従う重合反応は、リビング性が高く(すなわち、反応系中におけるリビングポリマーのアニオン活性末端の寿命が長く)、単量体連続フィード重合法に適していることがわかる。
【0090】
《実施例7》[イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを使用してのポリアクリル酸n−ブチルの製造]
内部雰囲気を窒素で置換した内容積100mlのなす形フラスコに、上記参考例1と同様にして調製した有機アルミニウム化合物(I)[イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]のトルエン溶液(濃度:0.5mol/l)を18.5ml加え−5℃に冷却した後、t−ブチルリチウムのペンタン溶液(1.6mol/l)を0.58ml加えて1時間攪拌し、開始剤系溶液を調製した。内部雰囲気を窒素で置換した内容積100mlのアンプル管に乾燥トルエン28mlを入れ、−78℃に冷却した後に上記開始剤系溶液を12.7ml加え、さらにアクリル酸n−ブチルを6.9ml加えて重合を開始させた。アクリル酸n−ブチルの添加とともに重合溶液は黄色の透明溶液となり、17時間後にメタノールを添加することによって重合を停止させた。
得られた無色透明な溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、アクリル酸n−ブチル単量体に帰属されるピークは存在せず、アクリル酸n−ブチルの重合率は98%以上であることが判明した。また、このサンプルを大量のメタノール中に注いで、析出した沈殿物(ポリアクリル酸n−ブチル)を回収した。回収されたポリメタクリル酸n−ブチルをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、数平均分子量(Mn)は39000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.05であることが判明した。
【0091】
《実施例8》[イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを使用してのポリアクリル酸n−ブチルの製造(洗浄処理付き)]
内部雰囲気を窒素で置換した内容積100mlのシュレンク管に乾燥トルエン16mlを入れた後、−78℃に冷却し、上記参考例1と同様にして調製した有機アルミニウム化合物(I)[イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]のトルエン溶液(濃度:0.5mol/l)を1.33ml加えた。そこにt−ブチルリチウムのペンタン溶液(1.6mol/l)を0.04ml加えて攪拌し、アクリル酸n−ブチルを1.12ml加えて重合を開始させた。アクリル酸n−ブチルの添加とともに重合溶液は黄色透明な溶液となり、14時間後にメタノールを添加することによって重合を停止させた。
得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、アクリル酸n−ブチル単量体に帰属されるピークは存在せず、アクリル酸n−ブチルの重合率は98%以上であることが判明した。
この重合停止後の溶液の残りの部分に対し、クエン酸を20重量%の濃度で含む水溶液を50mlずつ使用して5回洗浄し、次いで蒸留水を50mlずつ使用して3回洗浄することにより、金属成分(有機リチウム化合物の残渣および有機アルミニウム化合物の残渣)を除去した。残った有機相を大量のメタノール中に注いで、析出した沈殿物を回収した。回収した沈殿物は、金属成分を実質的に含まないポリアクリル酸n−ブチルであった。それをテトラヒドロフランに溶解し、得られた溶液を用いてGPC測定したところ、数平均分子量(Mn)は38000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.07であることが判明した。
【0092】
【発明の効果】
本発明によれば、アクリル酸1級アルキルエステル等のアクリル酸エステルをアニオン重合法により、取り扱い性に問題のある溶媒を使用しない場合においても高い重合速度および高いリビング性を両立させながら重合させることができるため、所望の分子量を有する分子量分布の狭いアクリル酸エステル重合体を再現性よく円滑に、且つ工業的に有利に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う実施例5において最終的に得られたポリアクリル酸n−ブチルのGPCチャートである(横軸は流出時間を表す)。
【図2】本発明以外の比較例6において最終的に得られたポリアクリル酸n−ブチルのGPCチャートである(横軸は流出時間を表す)。
【図3】本発明に従う実施例6において最終的に得られたポリアクリル酸n−ブチルのGPCチャートである(横軸は流出時間を表す)。
【図4】本発明以外の比較例7において最終的に得られたポリアクリル酸n−ブチルのGPCチャートである(横軸は流出時間を表す)。
Claims (5)
- アクリル酸1級アルキルエステルを、有機リチウム化合物および下記の一般式(I);
【化1】
AlR1R2R3 (I)
(式中、R1は炭素数3〜12の分岐状アルキル基を示し、R2およびR3はそれぞれ独立して置換基を有してもよいアリールオキシ基を示すかまたはR2とR3が結合して置換基を有してもよいアリーレンジオキシ基を示す。)
で表される有機アルミニウム化合物の存在下に重合することを特徴とするアクリル酸1級アルキルエステル重合体の製造方法。 - 有機リチウム化合物を有機アルミニウム化合物と接触させ、次いでアクリル酸エステルと接触させることによって重合を開始させるか、または、有機リチウム化合物を有機アルミニウム化合物の一部と接触させ、次いで、アクリル酸エステルと有機アルミニウム化合物の残部からなる混合物と接触させることによって重合を開始させる請求項1に記載の製造方法。
- アクリル酸エステルを重合反応系に供給しながら重合反応を行う請求項1または2に記載の製造方法。
- 理論量より少量のアクリル酸エステルを使用して重合を行ってリビングポリマーを形成させ、該リビングポリマーの分子量およびモル数ならびに目的とする最終重合体の分子量に基づいて追加すべきアクリル酸エステルの量を算出し、次いで該追加すべき量のアクリル酸エステルをリビングポリマーに対して重合させる請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 重合終了後に、得られたアクリル酸エステル重合体を酸性水溶液を用いて洗浄することによって、該アクリル酸エステル重合体中に含まれる金属成分を除去する請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
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