JPH1180223A - クロトン酸メチル重合体又は共重合体の製法 - Google Patents

クロトン酸メチル重合体又は共重合体の製法

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JPH1180223A
JPH1180223A JP24841797A JP24841797A JPH1180223A JP H1180223 A JPH1180223 A JP H1180223A JP 24841797 A JP24841797 A JP 24841797A JP 24841797 A JP24841797 A JP 24841797A JP H1180223 A JPH1180223 A JP H1180223A
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methyl crotonate
crotonate
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polymer
methyl
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JP24841797A
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Koichi Hatada
耕一 畑田
Kouichi Migite
浩一 右手
Toshiyuki Tarao
俊之 多羅尾
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Osaka Soda Co Ltd
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Daiso Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クロトン酸メチルをモノマー成分とする重合
反応を高収率で行い、ジタクチック立体規則性ポリクロ
トン酸メチルを高分子反応を経ないで直接重合反応で得
る。 【解決手段】 (1)式のグループトランスファー重合
反応開始剤、(2)式の水銀化合物助触媒及び(3)式
のケイ素化合物助触媒にクロトン酸メチル又はクロトン
酸メチルとα,β−不飽和カルボン酸エステルを接触さ
せるクロトン酸メチル重合体又は共重合体の製法。 (R1)(R2)C=C(OR3)OSiZ (1) (R5)2-y HgLy (2) (R6)p(R7)q(R8)r SiIs (3) Zは(OR4)3-x (R4)x であり、R1 〜R4 は水素原
子又は有機基、R5 〜R8 は有機基、LはI又はClO
4 、sは1,2又は3、p,q,rは0,1,2,又は
3でp+q+r+s=4を満足する数、Xは0,1,2
又は3、yは1又は2である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴム、プラスチッ
ク素材として、また相溶化剤や官能基を有する機能性高
分子材料として有用なクロトン酸メチル重合体又は共重
合体の効率的な重合法に関する。
【0002】
【従来の技術】メタクリル酸エステルの重合体は重要な
工業材料として幅広く使用されているが、その異性体で
あるクロトン酸エステルの重合はきわめて限られた特定
の条件のみでしか実現されていない。
【0003】例えばラジカル重合反応においては、J.
Polym.Sci.,PartA;Polym.Ch
em.,32巻1957頁(1994年)又はPoly
m.J.,23巻,211頁(1991年)に示されて
いる如く、推定される退化性連鎖移動反応の為に連鎖生
長反応が進行しにくく、通常は収率も低くきわめて低分
子量重合物を与えるのみである。
【0004】また、アニオン系重合反応においてもZi
ran Kexueban,20巻37頁(1993
年),Chemical Abstract,122巻
32713ではクロトン酸ターシャリーブチルエステル
の重合反応が、特開昭49−83786号公報ではクロ
トン酸のα−分枝アルキルエステルの重合反応が、J.
Appl.Polym.Sci,11巻1797頁(1
967年)ではクロトン酸のセカンダリーアルキルエス
テルの重合反応が開示されているがいずれもクロトン酸
エステルのアルコール部として少なくともアルコールの
α−位が置換された立体障害を有するものに関するもの
のみである。
【0005】また、特公昭45−38825号公報の特
許請求の範囲には水素化アルミニウム触媒を用いるクロ
トン酸エステルの重合反応が開示されているが、重合反
応性のないクロトン酸エステルとしてクロトン酸メチル
が明示されている。
【0006】更に、DE4432361,GB1119
746では塩化ビニル又は塩化ビニルデンとの共重合モ
ノマーとしてクロトン酸アルキルエステルが開示されて
いるが、これらは長鎖アルキルアルコールのクロトン酸
エステルに関するものである。
【0007】Makromol.Chem.,114巻
182頁,(1968年)にはアルキル亜鉛、アルキル
アルミニウム系の触媒によるクロトン酸メチルエステル
を含む各種の高重合反応が開示されているが、反応収率
はきわめて低く、最高収率が得られる場合でも96時間
でわずか28%の収率しか得られていない。
【0008】本発明者らは、Makromolecul
es,26巻7086頁(1993年)では、クロトン
酸トリフェニルメチルの重合反応を、Makromol
ecules,29巻1964頁(1996年)ではク
ロトン酸ターシャリーブチルの重合反応においてそれぞ
れ得られたポリマーからの誘導反応によりそれぞれスレ
オジイソタクチック及びジヘテロタクチックの立体規則
性を有するクロトン酸メチル重合体の合成を開示してい
るがいずれも高分子反応を必要とする間接的な合成法で
あり非効率である。
【0009】前記Polym.J.,23巻,211頁
(1991)年)にも記載されている如く一般にクロト
ン酸のメチル又はn−アルキルエステルではグリニヤー
ル系触媒、アルキルリチウム触媒、リチウムアルミニウ
ムヒドリド触媒ではサイドリアクションの副生の為に重
合反応は不可とされていた。同誌にはクロトン酸エステ
ルの各種モデル重合体の熱重量分析チャートが示されて
おり、β−水素を持たないクロトン酸メチルエステルは
β−水素を有する他の一般的なクロトン酸アルキルエス
テルに比べ約100℃だけ高い熱分解温度を持つことに
が示され実用的材料としても特異な重合体であることが
容易に推察されている。
【0010】Polym.Prepr.Jpn.,42
巻310頁(1993年)にはグループトランスファー
重合反応開始剤とヨウ化亜鉛助触媒系を用いたクロトン
酸メチルの重合反応を開示しているが、本発明者らの実
験によれば収率12.5%で少量のオリゴマーが得られ
たのみであった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】クロトン酸メチルの重
合体に期待される特異な物性に鑑み、本発明はクロトン
酸メチルを高分子反応を経る間接的な合成法でなく、モ
ノマーから直接高収率で効率的に単独重合体又は共重合
体を与える重合法を提供する事を目的とする。同時に得
られた重合体がジタクチックの立体規則性を有する重合
体を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)式で表
されるグループトランスファー重合反応開始剤及び
(2)式で表される水銀化合物助触媒及び(3)式で表
されるケイ素化合物助触媒にクロトン酸メチル又はクロ
トン酸メチルとα,β−不飽和カルボン酸エステルを接
触させて重合することを特徴とするクロトン酸メチル重
合体又は共重合体の製法である。 (R1)(R2)C=C(OR3)OSiZ (1) (1)式において、Zは(OR4)3-x (R4)x であり、
1,R2,R3 は水素原子又は炭素数20以下の酸素原子
を1又は2個含んでいても良い飽和又は不飽和の脂肪
族、脂環族又は芳香族の有機基あるいはそれらの組み合
わせからなる有機基を表し、それぞれ独立に選ばれる原
子又は基である。またR4 はR1,R2,R3 と同様な意味
を表し、Xは0,1,2又は3である。 (R5)2-y HgLy (2) (2)式において、yは1又は2, LはI又はClO4,
5 は炭素数10以下の脂肪族、脂環族、又は芳香族の
有機基あるいはそれらの組み合わせからなる有機基を表
す。 (R6)p (R7)q (R8)r SiIs (3) (3)式において、sは1,2及び3から選ばれ、p,
q,rは0,1,2及び3から選ばれ、且つp+q+r
+s=4を満足する数R6,R7,R8 は炭素数20以下の
の脂肪族、脂環族又は芳香族の有機基あるいはそれらの
組み合わせからなる有機基を表わし、それぞれ独立に選
ばれる基である。
【0013】尚、該触媒系はMacromolecul
es,28巻8035頁(1995年)及び同誌804
3頁にアクリル酸ブチルの重合触媒として報告されてお
り、又USP4,732,955にはアクリル酸エステ
ルとマレイミド化合物との共重合触媒として開示されて
いるが、クロトン酸メチルの重合触媒としては本発明者
らによって始めて見出されたものであり、さらには、該
重合触媒はα,β−不飽和カルボン酸エステルとの共重
合体を効率的に重合することが可能であり、末端に官能
基を有する共重合体又はブロックポリマー共重合体など
機能性共重合体が効率よく得られる。
【0014】(1)式で表される重合反応開始剤の具体
例としては、例えば1−メトキシ−1−(トリメチルシ
ロキシ)−2−メチル−1−プロぺン、1−エトキシ−
1−(トリメチルシロキシ)−2−メチル−1−プロペ
ン、1−メトキシ−1(トリエチルシロキシ)1−プロ
ペン、1−メトキシ−1−(トリアリルシロキシ)−2
−メチル−1−プロペン、1−メトキシ−1−(トリシ
クロヘキシルメチルシロキシ)−2−メチル−1−プロ
ぺン、1−メトキシ−1−(トリフェニルシロキシ)−
2−メチル−1−プロぺン、1−ブトキシ−1−(トリ
ベンジルシロキシ)−2−メチル−1−プロペン、1−
メトキシ−1−(フェニルジメチルシロキシ)−2−メ
チル−1−プロペン、1−アリルオキシ−1−(トリメ
チルシロキシ)−2−メチル−1−プロペン、1−ベン
ジルオキシ−1−(トリブチルシロキシ)−2−エチル
−1−プロペン、1−tert−ブチルオキシ−(トリ
メチルシロキシ)−2−メチル−1−プロぺン、1−
(2−メトキシ−1−エトキシ)−1−(トリメチルシ
ロキシ)−2−メチル−1−プロぺン、1−[2−(2
−メトキシ−1−エトキシ)エトキシ]−1−(トリメ
チルシロキシ)−2−メチル−1−プロぺン、などが挙
げられる。
【0015】(2)式で表される水銀化合物助触媒の具
体例としては、例えばCH3 HgI,C2 5 HgI,
6 5 HgI,HgI2 ,CH3 HgClO4 ,Hg
(ClO4)2 などが挙げられる。
【0016】(3)式で表されるケイ素化合物助触媒の
具体例としては、例えば(CH3)3SiI,(CH3)2
iI2,CH3 SiI3,(C2 5)3 SiI,(n−C4
9)3SiI,(tert−C4 9)3 SiI,(tert−
4 9)2 SiI2,(C6 5)3 SiI,[(2,6−ジ
−tert−C4 9)−C6 3]3 SiI,(CH3)2(C
2 5)SiI,(CH3)2(C6 5)SiIなどが挙げられ
る。
【0017】クロトン酸メチルと共重合させるα,β−
不飽和カルボン酸エステルとしては、炭素数30以下、
好ましくは8以下のアルコール成分からなるクロトン酸
エステル、炭素数12以下、好ましくは8以下のアルコ
ール成分からなるアクリル酸エステル又はメタクリル酸
エステル(以下両者を合わせて(メタ)アクリル酸エス
テルと称することがある)が好ましい共重合成分として
挙げることができる。
【0018】炭素数30以下のアルコール成分からなる
クロトン酸エステルの具体例としては、クロトン酸−i
so−プロピル、クロトン酸−iso−ブチル、クロト
ン酸−tert−ブチル、クロトン酸シクロヘキシル、
などのα−分枝低級アルコールのクロトン酸エステル
類、クロトン酸エチル、クロトン酸−n−プロピル、ク
ロトン酸−n−ブチル、クロトン酸−n−オクチルなど
のα−非分枝低級アルコールのクロトン酸エステル類、
クロトン酸ステアリル、クロトン酸セチル、クロトン酸
オレイニル、クロトン酸リノレニルなどの飽和又は不飽
和のα−非分枝高級アルコールのクロトン酸エステル類
が挙げられる。これらのうち炭素数8以下のα−分枝低
級アルコール又はα−非分枝低級アルコールのクロトン
酸エステル類が好ましい。
【0019】炭素数12以下のアルコール成分からなる
(メタ)アクリル酸エステルの好ましい具体例として
は、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)ア
クリル酸−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸−n
−ブチル、(メタ)アクリル酸−iso−ブチル、(メ
タ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル
酸−2−エチルヘキシルなどが挙げられる。共重合体に
おけるクロトン酸メチルとα,β−不飽和カルボン酸エ
ステルとの組成比はクロトン酸メチルが少なくとも10
モル%の範囲である。
【0020】
【発明の実施の形態】クロトン酸メチル1モル又はクロ
トン酸メチルとα,β−不飽和カルボン酸エステルの合
計1モルに対する重合反応開始剤(1)の使用量は0.
001〜0.2モル、好ましくは0.003〜0.1モ
ル、更に好ましくは0.005〜0.08モルの範囲が
適当であり、水銀化合物助触媒(2)の使用量は0.0
001〜0.02モル、好ましくは0.0003〜0.
01モル、更に好ましくは0.0005〜0.008モ
ルの範囲が適当であり、またケイ素化合物助触媒(3)
の使用量は0.0001〜0.05モル、好ましくは
0.0003〜0.03モル、更に好ましくは0.00
05〜0.02モルの範囲が適当である。
【0021】重合反応は溶剤の存在下又は非存在下のい
ずれも可能であるが、クロトン酸メチル、α,β−不飽
和カルボン酸エステル、重合反応開始剤(1)、水銀化
合物助触媒(2)及びケイ素化合物助触媒(3)を溶解
又は分散し得る溶剤の存在下で行うことが好ましい。共
重合反応におけるモノマーの添加法は、反応開始時に総
てのモノマーの全量を反応系に存在させてもよいし、当
初クロトン酸メチル又はα,β−不飽和カルボン酸エス
テルの一種又は2種以上を存在させて重合反応を開始
し、目的の重合率の時点で逐次残部のモノマーを加えて
反応を継続して行うこともできる。後者の方法を目的重
合体に応じて適合させることによって、いわゆるブロッ
ク共重合体を得ることができる。単独重合反応及び共重
合反応のいずれにおいても重合反応終了時、酸又は塩基
触媒の存在下、又は非存在下で水又はアルコールと処理
することにより重合体の片末端をカルボン酸又はエステ
ル基に転換することができる。この転換は重合反応後重
合体を一旦単離した後行うこともできる。
【0022】重合反応に使用される溶剤としてはプロパ
ン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘ
キサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族又は脂環族
炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの脂肪
族置換又は非置換の芳香族炭化水素類、ジクロロメタ
ン、クロロホルム、トリクロロエタン、ブロモホルムな
どのハロゲン置換脂肪族炭化水素類、ジメチルエーテ
ル、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテ
ル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒ
ドロピラン、ジオキサンなどの環状又は非環状のエーテ
ル類、あるいはそれらの中から選ばれる成分からなる混
合溶剤など、本重合系を阻害しない溶媒系が挙げられ
る。溶剤の使用量には特に制限はないが経済性の観点か
らクロトン酸メチル1g又はクロトン酸メチルとα,β
−不飽和カルボン酸エステルの合計1gに対し100m
l以下の範囲が好ましい。溶剤は通常用いられる方法で
水などのプロティックな不純物などの重合阻害物を極力
除去精製したものを用いることが好ましい。
【0023】反応温度は−100℃〜+20℃、好まし
くは−90℃〜+10℃、更に好ましくは−80℃〜+
5℃が適用される。反応時間は上記反応条件の設定に依
存するが通常1〜200時間、好ましくは5〜150時
間、更に好ましくは10〜130時間が適用される。反
応の際には静置又は撹拌のいずれも適用出来る。又、反
応は窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気、又は真空
中など、重合反応の阻害物質が実質的に存在しない環境
で行われることが好ましい。本発明の重合法におけるク
ロトン酸メチルの重合体はジタクチックの立体規則性を
有する立体異性体を優先的に与える。尚ジタクチック構
造に関してはMacromoleules,29巻、1
904頁(1996年)に示されている。
【0024】
【実施例】以下の実施例によって本発明を説明する。
【0025】実施例1 乾燥アルゴン雰囲気下、−40℃に冷却したガラス反応
器に10mmolのクロトン酸メチル、0.016mm
olのHgI2 、0.048mmolのヨードトリメチ
ルシラン及び8mlのジクロロメタンを加え、−40℃
で撹拌下この溶液に1−メトキシ−1−(トリメチルシ
ロキシ)−2−メチル−1−プロペンをジクロロメメタ
ン0.8mlに溶かした溶液を加えた。−40℃で24
時間撹拌した後少量のメタノールを加え反応を停止さ
せ、減圧下揮発分を留去した。残査をトルエンに溶か
し、その溶液を大量のメタノールに加えた。析出したポ
リマーをろ過し、メタノールで数回洗浄後真空下40℃
で6時間乾燥させた。(ここで得られたポリマーを「メ
タノール不溶部」とする。)収率は40.1%であっ
た。上記ろ過過程で得られた濾液について、溶媒を留去
し、残査をアセトンに溶かし、これをメタノール−水
(体積比50:50)に加え、不溶部を遠心分離器を用
いて集めた。(ここで得られたポリマーを「メタノール
可溶部」とする。)収率は38.0%であった。
【0026】上記で得られた「メタノール不溶部」及び
「メタノール可溶部」について、数平均分子量Mnをベ
ーパープレッシャーオスモメトリー(VPO)にて、又
「メタノール不溶部」について分子量分布Mw/Mnを
ゲルパーミエーションクロマートグラフィー(GPC)
にて求めた。ここでMwは重量平均分子量を示す。 メタノール不溶部 Mn;6200,Mw/Mn;1.
18 メタノール可溶部 Mn;4300 メタノール不溶部の分子量分布はシャープであり、重合
反応が“リビング性”を有していることが分かる。表1
にその結果を示す。
【0027】実施例2−4 1−メトキシ−1−(トリメチルシロキシ)−2−メチ
ル−1−プロペンの使用量、反応温度および反応時間を
表1に示したものを用いた以外は実施例1と同様にして
重合反応及び後処理を行いポリマーを得た。結果を表1
に示す。
【0028】
【表1】
【0029】実施例4のメタノール不溶部のポリマーの
1H−NMRスペクトルを図1に示す(a)。比較とし
て高度ジヘテロタクチックポリクロトン酸(tert−
ブチル)から誘導された高度ジヘテロタクチックポリク
ロトン酸メチル(Makromolecules,29
巻1904頁(1996年)のスペクトル(b)、及び
アタクチック性ポリクロトン酸(tert−ブチル)か
ら誘導されたアタクチック性ポリクロトン酸メチル(M
akromolecules,26巻7086頁(19
93年)のスペクトル(c)を同図に示したが、これよ
り本発明で得られたポリマーのメタノール不溶部は
(b)とは別種のジタクチックの立体規則性を有するポ
リマーであることが分かる。
【0030】
【発明の効果】特定の開始剤系と助触媒を用いることに
より、クロトン酸メチルを成分とする重合反応を高収率
で効率的に行う事が可能となった。又、ジタクチックの
立体規則性を有するクロトン酸メチル重合体又は共重合
体の直接合成が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4のメタノール不溶部のポリクロトン酸
メチル、高度ジヘテロタクチックポリクロトン酸メチル
及びアタクチック性ポリクロトン酸メチルの(CF3)2
CHOH/C6 6(95/5 V/V)溶媒中、500
MHZ のNMRスペクトロメーターにて55℃で測定し
1H−NMRスペクトルを示す。
【符号の説明】
(a)実施例4のメタノール不溶部のポリクロトン酸メ
チル (b)高度ジヘテロタクチックポリクロトン酸メチル (c)アタクチック性ポリクトロン酸メチル

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)式で表されるグループトランスフ
    ァー重合反応開始剤、(2)式で表される水銀化合物助
    触媒及び(3)式で表されるケイ素化合物助触媒にクロ
    トン酸メチル又はクロトン酸メチルとα,β−不飽和カ
    ルボン酸エステルを接触させて重合することを特徴とす
    るクロトン酸メチル重合体又は共重合体の製法。 (R1)(R2)C=C(OR3)OSiZ (1) (R5)2-y HgLy (2) (R6)p (R7)q (R8)r SiIs (3) 式(1)において、Zは(OR4)3-x (R4)x であり、
    1,R2,R3 は水素原子又は炭素数20以下の酸素原子
    を1又は2個含んでいても良い飽和又は不飽和の脂肪
    族、脂環族又は芳香族の有機基あるいはそれらの組み合
    わせからなる有機基を表し、それぞれ独立に選ばれる原
    子又は基である。またR4 はR1,R2,R3と同様な意味
    を表し、Xは0,1,2又は3である。式(2)におい
    て、yは1又は2、LはI又はClO4 、R5 は炭素数
    10以下の脂肪族、脂環族又は芳香族の有機基をあるい
    はそれらの組み合わせからなる有機基を表す。式(3)
    において、sは1,2及び3から選ばれ、p,q,rは
    0,1,2及び3から選ばれ、且つp+q+r+s=4
    を満足する数、R6,R7,R8 は炭素数20以下の脂肪
    族、脂環族又は芳香族の有機基あるいはそれらの組み合
    わせからなる有機基を表し、それぞれ独立に選ばれる基
    である。
  2. 【請求項2】 クロトン酸メチル重合体がジタクチック
    の立体規則性を有する請求項1記載のクロトン酸メチル
    重合体の製法。
  3. 【請求項3】 α,β−不飽和カルボン酸エステルが炭
    素数30以下のアルコール成分からなるクロトン酸エス
    テルである請求項1記載のクロトン酸メチル共重合体の
    製法。
  4. 【請求項4】 α,β−不飽和カルボン酸エステルが炭
    素数12以下のアルコール成分からなるアクリル酸エス
    テル又はメタクリル酸エステルである請求項1記載のク
    ロトン酸メチル共重合体の製法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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