JP4879679B2 - ビニル(メタ)アクリル酸エステル線状重合体、及びその製造方法 - Google Patents

ビニル(メタ)アクリル酸エステル線状重合体、及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ビニル(メタ)アクリル酸エステル線状重合体、及びその製造方法に関し、より詳細には、ビニル(メタ)アクリル酸エステル線状アニオン重合体、及び、特定の添加剤を用いたビニル(メタ)アクリル酸エステル線状アニオン重合体の製造方法に関する。
側鎖に二重結合を有さないメタクリル酸エステル(メタクリレート)等をラジカル重合させて得られた線状重合体の製造方法については、例えば特許文献1に記載されている。
一方、ビニル(メタ)アクリル酸エステルは分子内に(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基を有するモノマーである。これらの不飽和基は、いずれもラジカル的に活性を有するため、ラジカル重合法を用いて線状ポリマーを合成しようとしても、架橋等を有する非線状ポリマーが多く生成されてしまい、ゲル化してしまう。このため、通常のラジカル重合法で、ビニル(メタ)アクリル酸エステルの線状ポリマーを合成することは困難である。
また、リビングラジカル重合法を用いると、ビニル(メタ)アクリル酸エステルの反応率が低い場合は線状ポリマーを合成することが可能であるが、反応率を向上させていくと、非線状ポリマーの割合が増加し、ゲル化してしまうようになる。
一方、従来のアニオン重合法を用いて、ビニル(メタ)アクリル酸エステルの線状ポリマーを合成しようとしても、重合はあまり進まず、数量体のオリゴマーが少量生成するのみであった。
従って、側鎖にビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類を用いた場合、分子量約300未満の線状ポリマーについては、それを効率よく得ることが困難であった一方、分子量約300以上の線状ポリマーについては、それを合成すること自体がこれまで困難であった。
特開平9−221905号公報
本発明の課題は、ビニル(メタ)アクリル酸エステルの線状重合体、特に数平均分子量300以上の線状アニオン重合体、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ビニル(メタ)アクリル酸エステルの重合を、有機金属化合物存在下で行うことにより、ビニル(メタ)アクリル酸エステルの線状重合体、特に数平均分子量が300以上である線状重合体が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、(1)有機金属化合物存在下で、ビニル(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーをアニオン重合することを特徴とする線状重合体の製造方法や、(2)有機金属化合物が、式(I)で表される化合物であることを特徴とする上記(1)に記載の線状重合体の製造方法
式(I): (R)
(式中、Rは、C1〜C20アルキル基又はC6〜C20アリール基を表し、nが2以上の場合、Rは同一又は相異なっていてもよく、Mは、長周期型周期律表第2族、第12族又は第13族に属する原子を表し、nはMの原子価を表す。)や、(3)式(I)で表される化合物が、ジアルキル亜鉛又はトリアルキルアルミニウムであることを特徴とする上記(2)に記載の線状重合体の製造方法や、(4)アニオン重合に用いられる重合開始剤に対して、0.5当量以上の有機金属化合物を用いることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の線状重合体の製造方法や、(5)有機金属化合物に加えて、有機及び/又は無機のリチウム塩の存在下で、ビニル(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーをアニオン重合することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の線状重合体の製造方法や、(6)無機リチウム塩の陰イオンが、ハロゲンアニオンであることを特徴とする上記(5)に記載の線状重合体の製造方法や、(7)有機リチウム塩の陰イオンが、アルコキシド、フェノキシド、カルボキシド、アミド及びチオアルコキシドのいずれかであることを特徴とする上記(5)又は(6)に記載の線状重合体の製造方法や、(8)アニオン重合に用いられる重合開始剤に対して、0.5当量以上の有機及び/又は無機のリチウム塩を用いることを特徴とする上記(5)〜(7)のいずれかに記載の線状重合体の製造方法に関する。
また本発明は、(9)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の製造方法によって得られる、数平均分子量が300以上の線状重合体や、(10)線状重合体中の総繰り返し単位数に対して、ビニル(メタ)アクリル酸エステルの合計繰り返し単位数が1%以上であることを特徴とする上記(9)に記載の線状重合体に関する。
本発明の方法を用いることにより、ビニル(メタ)アクリル酸エステルの線状重合体であって、数平均分子量が300以上である線状重合体が製造できるようになり、また、数平均分子量が300未満である線状重合体を効率よく製造できるようになった。本発明の線状重合体は、ラジカル硬化性を示すことから、硬化性の塗料、接着剤、レジストなどに好適に使用することができる。また、本発明の線状重合体は、そのビニル(メタ)アクリル酸エステルの側鎖のビニル基を反応点とすることができることから、種々の変性重合体の原料として使用することも可能となった。
本発明の線状重合体の製造方法は、ビニル(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーを、有機金属化合物存在下でアニオン重合する方法であれば特に制限されず、本発明において「線状重合体」とは、モノマーが直鎖状(線状)に重合した重合体を意味する。
本発明において用いられる有機金属化合物としては、その存在下でビニル(メタ)アクリル酸エステルをアニオン重合させた場合に、ビニル(メタ)アクリル酸エステルの線状重合体が得られるような化合物であれば特に制限されるものではない。ここで、ビニル(メタ)アクリル酸エステルの線状重合体とは、(メタ)アクリル酸部分の二重結合(エステル部分の二重結合以外の二重結合)のみが重合に関与することによって、ビニル(メタ)アクリル酸エステルが線状(直鎖状)に重合した重合体を意味する。本発明の有機金属化合物を用いると、数平均分子量が例えば300以上、好ましくは500以上、より好ましくは1000以上、さらに好ましくは3000以上、最も好ましくは6000以上の、ビニル(メタ)アクリル酸エステルの線状重合体を得ることができる。本発明において用いられる有機金属化合物として、式(I)で表される化合物(以下、化合物(I)という。)を好ましく例示することができる。
式(I): (R)
前記式(I)において、Rは、C1〜C20アルキル基又はC6〜C20アリール基を表す。C1〜C20アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、アミル基、ヘキシル基、ベンジル基等が挙げられる。また、C6〜C20アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
nはMの原子価を表し、nが2以上のとき、Rは同一又は相異なっていてもよい。Mは、マグネシウム、カルシウム等の長周期型周期律表第2族に属する原子;亜鉛、カドミウム等の同第12族に属する原子;又はアルミニウム等の同第13族に属する原子;を表す。
化合物(I)の具体例としては、ジ−n−ブチルマグネシウム、ジ−t−ブチルマグネシウム、ジ−s−ブチルマグネシウム、n−ブチル−s−ブチルマグネシウム、n−ブチル−エチルマグネシウム、ジ−n−アミルマグネシウム、ジベンジルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム等の有機マグネシウム化合物;ジエチル亜鉛、ジブチル亜鉛等の有機亜鉛化合物;トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn−ヘキシルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物;等が挙げられ、ジアルキルマグネシウム、ジアルキル亜鉛、トリアルキルアルミニウムが好ましく、ジアルキル亜鉛、トリアルキルアルミニウムが特に好ましい。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の有機金属化合物の使用量は特に制限されないが、例えば、アニオン重合に用いられる重合開始剤に対して、0.5当量以上用いることが好ましく、1.0〜100当量の範囲で用いることがより好ましい。これにより、ビニル(メタ)アクリル酸エステルの線状重合体をより安定的により効率よく製造することができ、また、分子量や分子量分布が制御された線状重合体をより安定的に製造することができる。
本発明において用いられるビニル(メタ)アクリル酸エステルとは、ビニルアクリル酸エステル若しくはビニルメタアクリル酸エステル、又はそれらの誘導体を意味するが、例えば1−プロペニルメタクリル酸エステルや1−ブテニルメタクリル酸エステルなどの誘導体も含まれる。なお、ビニル(メタ)アクリル酸エステルは、特に制限されないが、エステルアルコール残基の炭素数が1〜20のものが反応性の観点より好ましい。本発明におけるビニル(メタ)アクリル酸エステルは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の線状重合体の製造方法は、アニオン重合可能なモノマーである限り、ビニル(メタ)アクリル酸エステルに加えて、それ以外のモノマーを用いてもよい。ビニル(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマーを用いた場合は、線状の共重合体が得られる。
本発明に用いられるアニオン重合可能なモノマーとしては、アニオン重合性不飽和結合を有するものであれば特に制限されるものではなく、具体的には、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、又は共役ジエン系モノマー等を好ましく例示することができる。
具体的に、スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−アルキルスチレン、核置換スチレン(芳香環に置換基を有するスチレン)等を例示することができる。核置換基としては、重合開始能力があるアニオン種及び重合開始能力がないアニオン種に対して不活性な基であれば特に制限されず、具体的には、アルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、t−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、テトラヒドロピラニル基等を例示することができる。さらに、スチレン誘導体の具体例としては、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、2,4,6−トリイソプロピルスチレン、p−t−ブトキシスチレン、p−t−ブトキシ−α−メチルスチレン、m−t−ブトキシスチレン等を例示することができる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、スチレン、芳香環にアルキル基が置換したスチレン、芳香環にアルコキシ基が置換したスチレン、α−アルキルスチレン、芳香環にアルキル基が置換したα−アルキルスチレン、又は芳香環にアルコキシ基が置換したα−アルキルスチレンが好ましい。
共役ジエン系モノマーとしては、例えば、ブタジエン系モノマーを例示することができ、より具体的に、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等を例示することができ、これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の線状重合体の製造方法において、ビニル(メタ)アクリル酸エステルに加えて、それ以外のモノマーを用いる場合、ビニル(メタ)アクリル酸エステルと、それ以外のモノマーとの使用割合は特に制限されないが、用いるモノマーの全モル数に対して、ビニル(メタ)アクリル酸エステルが1モル%以上であることが好ましく、5モル%以上であることがより好ましい。
本発明において用いられるアニオン重合開始剤としては、求核剤であって、アニオン重合性モノマーの重合を開始させる働きを有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、アルカリ金属、有機アルカリ金属化合物等を使用することができる。
アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等が挙げられる。有機アルカリ金属化合物としては、上記アルカリ金属のアルキル化物、アリル化物、アリール化物等が挙げられる。具体的には、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、エチルナトリウム、リチウムビフェニル、リチウムナフタレン、リチウムトリフェニル、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン、α−メチルスチレンナトリウムジアニオン、1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム、1,4−ジリチオ−2−ブテン、1,6−ジリチオヘキサン、ポリスチリルリチウム、クミルカリウム、クミルセシウム等を使用できる。これらのアニオン重合開始剤は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アニオン重合開始剤の使用量は、用いるモノマーに対して、通常0.001〜0.2当量、好ましくは0.005〜0.1当量である。この範囲のアニオン重合開始剤を用いることによって、目的とする重合体を収率よく製造することができる。
本発明に用いられる重合溶媒としては、重合反応に関与せず、かつ重合体と相溶性のある極性溶媒であれば特に制限されず、具体的にはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、トリオキサン等のエーテル系化合物、テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の第3級アミンなどを例示することができ、これらの中でも特にTHFが好ましい。また、これらの溶媒は、1種単独で、又は2種以上の混合溶媒として用いることができる。
さらに、極性の低い脂肪族、芳香族又は脂環式炭化水素化合物であっても、重合体と比較的相溶性があれば、極性溶媒と組み合わせることにより使用することができ、具体的には、へキサンとTHFの組み合わせを例示できる。
本発明における重合温度は、移動反応や停止反応等の副反応が起こらず、単量体が消費され重合が完結する温度範囲であれば特に制限されないが、−100℃以上、重合溶媒沸点以下の温度範囲で行なわれることが好ましく、−100℃以上20℃以下の温度範囲で行われることがより好ましい。また、ビニル(メタ)アクリル酸エステル等のモノマーの重合溶媒に対する濃度は、特に制限されないが、1〜40重量%の範囲であることが好ましく、2〜15重量%の範囲であることがより好ましい。
本発明の製造方法を用いると、ビニル(メタ)アクリル酸エステルの側鎖のビニル基の二重結合は重合に関与しないが、(メタ)アクリル酸部分の二重結合は重合に関与するので、ビニル(メタ)アクリル酸エステルの線状アニオン重合体を得ることができる。
本発明においては、得られる線状重合体の分子量を更に正確に規定するため、一定のモノマーを重合した後、その分子量をGPCなどで把握し、更に所望する線状重合体の分子量に必要とされるモノマーを加え分子量を調整する多段重合を用いることにより、より精密に線状重合体の分子量を規定することが可能となる。
本発明の線状重合体の製造方法は、有機及び/又は無機のリチウム塩の存在下でアニオン重合しなくてもよいが、有機金属化合物の存在下であることに加えて、有機及び/又は無機のリチウム塩の存在下で、ビニル(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーをアニオン重合することが好ましい。これにより、重合をコントロールすることがより容易になり、所望の分子量の線状重合体がより得られ易くなると共に、得られる線状重合体の分子量分布をより狭くすることができる。
本発明に用いられる無機リチウム塩は重合溶媒に可溶であれば、その種類に関係なく使用でき、例えばリチウムの硫酸塩、硝酸塩、ホウ酸塩等の鉱酸塩や、リチウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物等のハロゲン化物を例示することができる。これらの中でも、リチウム塩の陰イオンがハロゲンアニオンである、リチウムのハロゲン化物が好ましい。リチウムのハロゲン化物として、例えば塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、フッ化リチウムが挙げられ、中でも塩化リチウムが特に好ましい。
本発明に用いられる有機リチウム塩の陰イオンは重合溶媒に可溶であれば、その種類に関係なく使用できるが、好ましくはリチウムメトキシド、リチウムt−ブトキシドのようなアルコキシド、リチウムフェノキシドのようなフェノキシド、プロイオン酸リチウムのようなカルボキシド、リチウムジフェニルアミドのようなアミド、リチウムチオエトキシド、p-メルカプトフェノールのジリチウム塩のようなチオアルコキシドである。
本発明にリチウム塩を用いる場合、有機リチウム塩を1種単独で、又は2種以上を用いてもよいし、無機リチウム塩を1種単独で、又は2種以上を用いてもよいし、有機リチウム塩と無機リチウム塩をそれぞれ少なくとも1種以上用いてもよい。
本発明の有機及び/又は無機のリチウム塩の使用量は特に制限されないが、例えば、アニオン重合に用いられる重合開始剤に対して、有機及び/又は無機のリチウム塩合計で0.5当量以上用いることが好ましく、1〜50当量の範囲で用いることがより好ましい。これにより、ビニル(メタ)アクリル酸エステルの線状重合体をより安定的により効率よく製造することができ、また、分子量や分子量分布が制御された線状重合体をより安定的に製造することができる。
本発明の線状重合体の製造方法は、有機金属化合物、有機及び/又は無機のリチウム塩の存在下であることに加えて、アルカリ金属塩(ただしリチウム塩を除く)又はアルカリ土類金属塩の存在下で、ビニル(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーをアニオン重合してもよい。これにより、重合をコントロールすることがより容易になり、所望の分子量の線状重合体がより得られ易くなると共に、得られる線状重合体の分子量分布をより狭くすることができる。
アルカリ金属塩(ただしリチウム塩を除く)は特に制限されないが、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属(ただしリチウムを除く)の硫酸塩、硝酸塩、ホウ酸塩などの鉱酸塩や、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属(ただしリチウムを除く)のハロゲン化物などが挙げられる。
また、アルカリ土類金属塩は特に制限されないが、例えば、バリウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、硝酸塩、ホウ酸塩などの鉱酸塩や、バリウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属のハロゲン化物などが挙げられる。
本発明においては、さらに、分子量や分子量分布を制御するため、 式(II)
Figure 0004879679

(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。但し、RとRは同時に水素原子となることはない。)、又は式(III)
Figure 0004879679

(式中、R及びRは、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、Rは、酸素原子に結合している原子が2級以上の炭素原子である置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。)で表される化合物を添加することが好ましい。
上記式(II)又は(III)で表される化合物における各Rについては以下のとおりである。
、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
炭化水素基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル等のアルキル基;シクロプロピル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等のシクロアルキル基;ビニル、アリル、イソプロペニル、1−プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1,3−ブタンジエニル、2−メチル−2−プロペニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル等のアルケニル基;エチニル、1−プロピニル、プロパルギル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、3−メチル−2−プロピニル、2−エテニルプロピル、2−ペンチル、3−ペンチル、4−ペンチニル、1−メチル−2−ブチニル、1−メチル−3−ブチニル、2−メチル−3−ブチニル、3−メチル−1−ブチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル等のアルキニル基;フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等のアリール基、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル等のアラルキル基等がある。
置換基を有していてもよい場合の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルコキシ、ニトロ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、ハロアルケニル、アルコキシカルボニルアルキル又はアルコキシカルボニルアルコキシ、アリールオキシなどがある。ここでいうアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールは、上記定義と同じである。
、R及びRは、置換基を有してよい炭化水素基を表し、炭化水素基及び置換基の意味は上記定義と同じである。
は、酸素原子に結合している原子が2級以上の炭素原子である、置換基を有してもよい炭化水素基を表す。
このような炭化水素基としては、イソプロピル、sec−ブチル、t−ブチル、イソプロペニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチルなどがあり、比較的嵩高い炭化水素基はすべて含まれる。
置換基を有してもよい場合の置換基は、上記定義と同じである。
式(II)又は(III)で表される化合物として、具体的には、アンゲリカ酸メチル、クロトン酸t−ブチル、イソ酪酸イソプロピルなどがある。これらの化合物を含め式(II)又は(III)で表される化合物は、公知の製法により製造することが可能である。
本発明の線状重合体は、上述の本発明の製造方法によって得られる、数平均分子量が300以上の線状重合体である限り特に制限されない。
本発明の線状重合体が、ビニル(メタ)アクリル酸エステルと、それ以外のモノマーとの線状重合体である場合、ビニル(メタ)アクリル酸エステルと、それ以外のモノマーとの割合は特に制限されないが、ビニル(メタ)アクリル酸エステルの合計繰り返し単位数が、線状重合体中の総繰り返し単位数に対して1%以上であることが好ましく、5%以上であることがより好ましい。
また、本発明の線状重合体の数平均分子量は、300以上である限り特に制限されないが、500以上であることがより好ましく、1000以上であることがさらに好ましく、3000以上であることがさらにまた好ましく、6000以上であることが最も好ましい。
本発明の線状重合体は、プレポリマーとして用いることも可能であるし、反応性ポリマーとして使用することもできる。本発明の線状重合体は、ビニル(メタ)アクリル酸エステルの側鎖のビニル基を反応点とすることができることから、種々の変性重合体の原料として使用することもできる。また、本発明の線状重合体は、硬化性の塗料、接着剤、レジストなどに好適に使用することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
(実施例1)
窒素雰囲気下、テトラヒドロフラン(THF)(溶媒)100g中に、−50℃で、塩化リチウム(無機リチウム塩)0.04g(0.9mmol)を加え、続いてn−BuLi溶液(アニオン重合開始剤)1.31g(3.15mmol)を加え、さらにクロトン酸t−ブチル0.14g(0.98mmol)を加えて30分間攪拌した。その後、ジエチル亜鉛(有機金属化合物)溶液2.25g(3.10mmol)を加え、4分間攪拌し、ビニルメタクリレート5.57g(49.7mmol)を5分かけて滴下した。滴下終了後、60分間攪拌し、メタノールを加えキリングした。このキリング溶液をガスクロマトグラフィーで測定してみるとモノマー残存していなかった。また、GPC測定を行なうと分子量(Mw)6450、分散度=1.5のポリマーが生成していた。ビニルエステルのビニル基は、アニオン重合性を持たないので、本実施例において得られた分子量(Mw)6450の重合体は、線状重合体である。
(実施例2)
窒素雰囲気下、テトラヒドロフラン(THF)(溶媒)120g中に、−50℃で、塩化リチウム(無機リチウム塩)0.20g(4.7mmol)を加え、続いてn−BuLi溶液(アニオン重合開始剤)1.44g(3.5mmol)を加え、さらにクロトン酸t−ブチル0.08g(0.6mmol)を加えて40分間攪拌した。その後、ジエチル亜鉛(有機金属化合物)溶液2.54g(3.5mmol)を加え、3分間攪拌し、THF10gにビニルメタクリレート0.54g(4.8mmol)、メチルメタクリレート4.34g(43.3mmol)、ジエチル亜鉛(有機金属化合物)溶液0.41g(0.6mmol)を加えたものを8分かけて滴下した。滴下終了後、70分間攪拌し、メタノールを加えキリングした。このキリング溶液をガスクロマトグラフィーで測定してみるとモノマー残存していなかった。また、GPC測定を行なうと分子量(Mw)20500、分散度=1.13のポリマーが生成していた。
(比較例)
窒素雰囲気下、テトラヒドロフラン(THF)(溶媒)100g中に、−50℃で、n−BuLi溶液(アニオン重合開始剤)0.90g(2.16mmol)を加え、この反応溶液に、ビニルメタクリレート5,69g;(50.7mmol)を3分かけて滴下し
、滴下終了後、60分間攪拌し、メタノールを加えキリングした。このキリング溶液をガスクロマトグラフィーで測定してみると、モノマーは残存していなかったが、副反応と思われる化合物のピークが観測された。また、GPC測定を行なうと、分子量200〜300のオリゴマーのピークが数個観測されただけであった。

Claims (8)

  1. ジアルキル亜鉛存在下で、ビニル(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーをアニオン重合することを特徴とする線状重合体の製造方法。
  2. アニオン重合に用いられる重合開始剤に対して、0.5当量以上のジアルキル亜鉛を用いることを特徴とする請求項1に記載の線状重合体の製造方法。
  3. ジアルキル亜鉛に加えて、有機及び/又は無機のリチウム塩の存在下で、ビニル(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーをアニオン重合することを特徴とする請求項1又は2に記載の線状重合体の製造方法。
  4. 無機リチウム塩の陰イオンが、ハロゲンアニオンであることを特徴とする請求項に記載の線状重合体の製造方法。
  5. 有機リチウム塩の陰イオンが、アルコキシド、フェノキシド、カルボキシド、アミド及びチオアルコキシドのいずれかであることを特徴とする請求項又はに記載の線状重合体の製造方法。
  6. アニオン重合に用いられる重合開始剤に対して、0.5当量以上の有機及び/又は無機のリチウム塩を用いることを特徴とする請求項のいずれかに記載の線状重合体の製造方法。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の製造方法によって得られる、数平均分子量が300以上の線状重合体。
  8. 線状重合体中の総繰り返し単位数に対して、ビニル(メタ)アクリル酸エステルの合計繰り返し単位数が1%以上であることを特徴とする請求項に記載の線状重合体。
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