JP4865279B2 - アニオン重合による重合体の製造方法 - Google Patents

アニオン重合による重合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アニオン重合による重合体の製造方法に関し、詳しくは、リビングアニオン重合による重合体の製造方法に関する。
リビングアニオン重合法により分子量や分子量分布が制御された重合体を製造する場合は、溶媒中にアニオン重合開始剤を添加し、その中にモノマーを添加する方法が一般的である(例えば、特許文献1〔実施例1〕参照。)。
一方、リビングアニオン重合において分子量や分子量分布を制御するためには、アニオン重合開始剤と反応させようとするモノマーの反応がモノマー同士の反応よりも非常に速いこと若しくはアニオン重合開始剤と反応させようとするモノマーの反応がモノマー同士の反応とほぼ同じであることが条件となる。例えば、一般的なアニオン重合開始剤として知られているアルキルリチウム、特にハンドリングの容易なn-ブチルリチウムをTHF等の極性溶媒中でリビングアニオン重合に使用した場合、モノマーとしてp−メトキシスチレンのようなアルコキシスチレンやメタクリル酸メチル(MMA)などを用いるとうまく重合できない現象が起こる。p−メトキシスチレンでは分子量が向上するにつれて分子量分布が広がる傾向にあり、MMAでは分子量をコントロ−ルできない傾向にある。これらのことから、モノマーにより最適な開始剤を用いなければならないが、現在知られているアニオン重合開始剤の種類は極めて限られたものになっている。
特開2004−323588号公報
本発明の課題は、アニオン重合において、モノマーの種類や溶媒の種類が変化しても、分子量や分子量分布がコントロールされたアニオン重合による重合体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、アニオン重合開始剤と少量のアニオン重合性モノマーが存在する系に、有機金属化合物を添加することにより、未反応の重合開始剤を失活させ、その後に、多量のアニオン重合性モノマーを添加することにより、分子量や分子量分布がコントロールされた重合体の製造方法を提供することができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(1)アニオン重合開始剤と、該アニオン重合開始剤の5倍モル以下のアニオン重合可能なモノマーとが存在する重合溶媒中に、有機金属化合物を添加し、その後に、アニオン重合可能なモノマーを添加して重合することを特徴とする重合体の製造方法や、(2)有機金属化合物の添加前の重合溶媒中に、アニオン重合可能なモノマーが、アニオン重合開始剤の等モル以下存在することを特徴とする前記(1)に記載の重合体の製造方法や、(3)有機金属化合物の添加前の重合溶媒中に、アニオン重合可能なモノマーが、重合溶媒の1重量%以下存在することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の重合体の製造方法や、(4)有機金属化合物が、アニオン重合開始剤とアート錯体を形成して該アニオン重合活性剤を失活させる化合物であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の重合体の製造方法に関する。
また、本発明は、(5)有機金属化合物が、式(1): (R)M(式中、Rは、C1〜C20アルキル基又はC6〜C20アリール基を表し、nが2以上の場合、Rは同一又は相異なっていてもよく、Mは、長周期型周期律表第2族、第12族又は第13族に属する原子を表し、nはMの原子価を表す。)で表される化合物であることを特徴とする前記(4)に記載の重合体の製造方法や、(6)有機金属化合物が、ジアルキルマグネシウム、ジアルキル亜鉛又はトリアルキルアルミニウムであることを特徴とする前記(5)に記載の重合体の製造方法や、(7)アニオン重合開始剤が、有機アルカリ金属化合物である前記(1)〜(6)のいずれかに記載の重合体の製造方法や、(8)有機アルカリ金属化合物が、アルキルリチウムであることを特徴とする前記(7)に記載の重合体の製造方法に関する。
さらに、本発明は、(9)アニオン重合可能なモノマーが、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、又は共役ジエン系モノマーであることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載の重合体の製造方法や、(10)スチレン系モノマーが、スチレン、芳香環にアルキル基が置換したスチレン、芳香環にアルコキシ基が置換したスチレン、α−アルキルスチレン、芳香環にアルキル基が置換したα−アルキルスチレン、及び芳香環にアルコキシ基が置換したα−アルキルスチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記(9)に記載の重合体の製造方法や、(11)(メタ)アクリル酸エステル系モノマーが、三級エステルであることを特徴とする前記(9)に記載の重合体の製造方法に関する。
本発明のアニオン重合体の製造方法によれば、モノマーの種類や溶媒の種類が変化しても、分子量や分子量分布がコントロールされた重合体を製造することができ、これにより、厳密な分子量や分子量分布が要求されるレジスト材料への応用が容易となった。
本発明のアニオン重合体の製造方法としては、アニオン重合開始剤と、該アニオン重合開始剤の5倍モル以下のアニオン重合可能なモノマーとが存在する重合溶媒中に、有機金属化合物を添加し、その後に、アニオン重合可能なモノマーを添加して重合する方法であれば特に制限されるものではなく、ブロック共重合体の製造を行うこともできる。
本発明においては、初期段階において、アニオン重合開始剤の5倍モル以下のアニオン重合可能なモノマーが存在する重合溶媒中に、有機金属化合物を添加するので、目的とする重合の不純物となるオリゴマーやポリマーの発生を抑制することができ、分子量や分子量分布がコントロールされた重合体を製造することができる。なお、本発明においては、初期段階において得られる重合体の分子量を更に正確に規定するため、一定の単量体を重合した後、その分子量をGPC等で把握し、更に所望の重合体(2〜5量体)の分子量に必要とされる単量体を加え分子量を調整することもでき、このとき、有機金属化合物は、GPC等での測定の前及び/又は後に添加することができる。
本発明の製造方法においては、上記のように、有機金属化合物の添加前の重合溶媒中に、アニオン重合可能なモノマーが、アニオン重合開始剤の5倍モル以下存在すれば特に制限されるものではないが、アニオン重合開始剤の等モル以下存在していることが好ましく、0.75モル以下存在していることがより好ましい。アニオン重合開始剤の等モル以下、好ましくは0.75モル以下で存在することにより、モノマーの添加量に応じた単量体からなる活性種を製造することができる。本発明においては、この後に、有機金属化合物を添加することにより、有機金属化合物がアニオン重合開始剤とアート錯体を形成して、未反応の重合開始剤を失活させることができ、活性種の量を容易かつ正確に把握することができる。本発明においては、その後に、多量のアニオン重合性モノマーを添加することにより、分子量や分子量分布がコントロールされた重合体を製造することができる。
上記の場合において、有機金属化合物の添加前の重合溶媒中のアニオン重合可能なモノマーの含有量としては、重合溶媒の1重量%以下であることが好ましく、0.7重量%以下であることがより好ましく、0.5重量%以下であることがさらに好ましく、その下限は0を超えるものであればよく、例えば、1重量ppm以上であればよい。
本発明において用いられる有機金属化合物としては、重合開始剤を失活させることができる化合物であれば特に制限されるものではなく、本発明の有機金属化合物は、重合開始剤に金属イオンが配位しアート錯体を形成して重合開始剤を失活させると考えられ、式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)という。)を好ましく例示することができる。また、本発明において用いられる有機金属化合物は、系中にアニオン重合を阻害する物質、例えば活性水素化合物等が存在する場合に、活性水素化合物等と反応し、重合反応が阻害されることを防止する。
式(1): (R)
前記式(1)において、Rは、C1〜C20アルキル基又はC6〜C20アリール基を表す。C1〜C20アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、アミル基、ヘキシル基、ベンジル基等が挙げられる。また、C6〜C20アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
nはMの原子価を表し、nが2以上のとき、Rは同一又は相異なっていてもよい。Mは、マグネシウム、カルシウム等の長周期型周期律表第2族に属する原子;亜鉛、カドミウム等の同第12族に属する原子;又はアルミニウム等の同第13族に属する原子;を表す。
化合物(1)の具体例としては、ジ−n−ブチルマグネシウム、ジ−t−ブチルマグネシウム、ジ−s−ブチルマグネシウム、n−ブチル−s−ブチルマグネシウム、n−ブチル−エチルマグネシウム、ジ−n−アミルマグネシウム、ジベンジルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム等の有機マグネシウム化合物;ジエチル亜鉛、ジブチル亜鉛等の有機亜鉛化合物;トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn−ヘキシルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物;等が挙げられ、ジアルキルマグネシウム、ジアルキル亜鉛、トリアルキルアルミニウムが好ましく、ジアルキル亜鉛、トリアルキルアルミニウムが特に好ましい。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の有機金属化合物の使用量としては、アニオン重合性モノマーに対する重合開始剤の余剰量に対して、少なくとも等モル以上添加することが好ましく、1.5倍モル以上添加することがより好ましく、1.5〜2.0倍モル添加することがさらに好ましい。
本発明に用いられるアニオン重合可能なモノマーとしては、アニオン重合性不飽和結合を有するものであれば特に制限されるものではなく、具体的には、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、又は共役ジエン系モノマー等を好ましく例示することができる。
具体的に、スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−アルキルスチレン、核置換スチレン(芳香環に置換基を有するスチレン)等を例示することができる。核置換基としては、重合開始能力があるアニオン種及び重合開始能力がないアニオン種に対して不活性な基であれば特に制限されず、具体的には、アルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、t−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、テトラヒドロピラニル基等を例示することができる。さらに、スチレン誘導体の具体例としては、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、2,4,6−トリイソプロピルスチレン、p−t−ブトキシスチレン、p−t−ブトキシ−α−メチルスチレン、m−t−ブトキシスチレン等を例示することができる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、スチレン、芳香環にアルキル基が置換したスチレン、芳香環にアルコキシ基が置換したスチレン、α−アルキルスチレン、芳香環にアルキル基が置換したα−アルキルスチレン、又は芳香環にアルコキシ基が置換したα−アルキルスチレンが好ましい。
共役ジエン系モノマーとしては、例えば、ブタジエン系モノマーを例示することができ、より具体的に、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等を例示することができ、これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、エステルアルコール残基の炭素数が1〜20のものが反応性の観点より好ましく、具体的には、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル等を例示することができ、エステルアルコール残基が三級炭素のものが好ましい。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において用いられるアニオン重合開始剤としては、求核剤であって、アニオン重合性モノマーの重合を開始させる働きを有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、アルカリ金属、有機アルカリ金属化合物等を使用することができる。
アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等が挙げられる。有機アルカリ金属化合物としては、上記アルカリ金属のアルキル化物、アリル化物、アリール化物等が挙げられ、特にアルキルリチウムが好ましい。具体的には、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、エチルナトリウム、リチウムビフェニル、リチウムナフタレン、リチウムトリフェニル、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン、α−メチルスチレンナトリウムジアニオン、1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム、1,4−ジリチオ−2−ブテン、1,6−ジリチオヘキサン、ポリスチリルリチウム、クミルカリウム、クミルセシウム等を使用できる。これらのアニオン重合開始剤は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アニオン重合開始剤の使用量は、用いるアニオン重合性モノマー全体に対して、通常0.0001〜0.2当量、好ましくは0.0005〜0.1当量である。この範囲のアニオン重合開始剤を用いることによって、目的とする重合体を収率よく製造することができる。
本発明においては、重合開始時又は重合中に、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の少なくとも1種を添加することが好ましく、これにより、リビングアニオンの安定化を図ることができ、より安定して、重合体の製造を行うことができる。
前記アルカリ金属アルコキシドとしては、特にリチウムアルコキシドが好ましく、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2-ブタノール、オクタノール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール等のC1〜C24のアルコールのリチウム塩を挙げることができ、これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられるアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩としては、具体的には、ナトリウム、カリウム、バリウム、マグネシウムの硫酸塩、硝酸塩、ホウ酸塩等の鉱酸塩やハロゲン化物を例示することができ、より具体的には、リチウムやバリウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物や、ホウ酸リチウム、硝酸マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等を挙げることができ、これらの中でも、リチウムのハロゲン化物、例えば塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム又はフッ化リチウムが好ましく、特に塩化リチウムが好ましい。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の使用量は、重合に影響しない範囲で任意に使用でき、例えば、重合開始剤に対して、1/10〜100倍モルで使用することができ、1/2〜20倍モルで使用することが好ましい。1/2〜20倍モルで使用することにより、分子量や分子量分布が制御された重合体をより安定的に再現性よく製造することができる。
本発明に用いられる重合溶媒としては、重合反応に関与せず、かつ重合体と相溶性のある極性溶媒であれば特に制限されず、具体的にはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、トリオキサン等のエーテル系化合物、テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の第3級アミンを例示することができ、特にTHFが好ましい。また、これらの溶媒は、1種単独で、又は2種以上の混合溶媒として用いることができる。
さらに、極性の低い脂肪族、芳香族又は脂環式炭化水素化合物であっても、重合体と比較的相溶性があれば、極性溶媒と組み合わせることにより使用することができ、具体的には、へキサンとTHFの組み合わせを例示できる。
本発明における重合温度は、移動反応や停止反応等の副反応が起こらず、単量体が消費され重合が完結する温度範囲であれば特に制限されないが、−70℃以上、重合溶媒沸点以下の温度範囲で行なわれることが好ましい。また、重合溶媒に対する単量体の濃度は、特に制限されないが、通常、1〜40重量%の範囲であり、2〜15重量%の範囲であることが好ましい。
本発明の製造方法によって得られる重合体は分子量制御されているので、単分散で分子量分布の狭い重合体となり、分子量分散度(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が、1.01〜1.50、好ましくは1.01〜1.20の重合体を得ることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
窒素雰囲気下、THF200g中に、−50℃で、n−BuLi溶液1.44g(3.5mmol)を加え、続いて、p−(1−エトキシエトキシ)スチレン0.41g(2.0mmol)を加え、15分間攪拌した。その後、ジブチルマグネシウム溶液1.29g(1.8mmol)を加え、p−(1−エトキシエトキシ)スチレン21.33g(108.7mmol)にジブチルマグネシウム溶液0.37g(0.5mmol)を加えたものを5分かけて滴下し、滴下終了後、−35℃で25分攪拌し、メタノールを加えキリングした。このキリング溶液をガスクロマトグラフィーで測定してみるとモノマー残存していなかった。また、GPC測定を行なうと分子量(Mw)84500、分散度=1.09のポリマーが生成していた。
窒素雰囲気下、THF200g中にp−メルカプトフェノール0.22g(1.7mmol)を溶解させた溶液に、室温でn−BuLi溶液3.01g(7.2mmol)を加え、60分間攪拌した。その後、−40℃に冷却し、n−BuLi溶液1.05g(5.2mmol)を加え、続いて、p−(1−エトキシエトキシ)スチレン0.51g(2.6mmol)を加え、20分間攪拌した。その後、n−BuLi/ジエチル亜鉛アート錯体1.14g(1.0mmol)とジエチル亜鉛溶液0.36g(0.5mmol)を加え、p−(1−エトキシエトキシ)スチレン21.33g(108.7mmol)にジブチルマグネシウム溶液0.15g(0.2mmol)を加えたものを9分かけて滴下し、滴下終了後、10分攪拌し、メタノールを加えキリングした。このキリング溶液をガスクロマトグラフィーで測定してみるとモノマー残存していなかった。また、GPC測定を行なうと分子量(Mw)16800、分散度=1.14のポリマーが生成していた。
窒素雰囲気下、THF120gとトルエン80gの混合溶媒中に、p−t−ブトキシスチレン0.36g(2.0mmol)を加え0℃で、n−BuLi溶液0.72g(1.7mmol)を加え、1分間攪拌した。その後、ジブチルマグネシウム溶液1.51g(2.1mmol)を加え、続いて、p−t−ブトキシスチレン17.71g(100.5mmol)にジブチルマグネシウム溶液0.19g(0.3mmol)を加えたものを4分かけて滴下し、滴下終了後、45分攪拌し、メタノールを加えキリングした。このキリング溶液をガスクロマトグラフィーで測定してみるとモノマー残存していなかった。また、GPC測定を行なうと分子量(Mw)47200、分散度=1.23のポリマーが生成していた。
窒素雰囲気下、THF120g中に、チオフェノール0.23g(2.1mmol)を溶解させた溶液に、室温でn−BuLi溶液1.91g(4.6mmol)を加え、30分間攪拌した。その後、−50℃に冷却し、n−BuLi溶液0.56g(1.4mmol)を加え、続いてスチレン0.10g(1.0mmol)を加え、30分間攪拌した。その後THF6.5g中にスチレン5.04g(48.4mmol)とジブチルマグネシウム溶液0.35g(0.5mmol)を加えたものを6分かけて滴下し、滴下終了後、60分攪拌し、メタノールを加えキリングした。このキリング溶液をガスクロマトグラフィーで測定してみるとモノマー残存していなかった。また、GPC測定を行なうと分子量(Mw)18200、分散度=1.19のポリマーが生成していた。
窒素雰囲気下、THF120g中に、チオフェノール0.21g(1.9mmol)を溶解させた溶液に、室温でn−BuLi溶液1.84g(4.4mmol)を加え、30分間攪拌した。その後、−50℃に冷却し、n−BuLi溶液1.08g(2.6mmol)を加え、統いてスチレン0.16g(1.5mmol)を加え、30分間攪拌した。その後、ジブチルマグネシウム溶液1.63g(2.3mmol)を加え、3分間攪拌し、THF5.6g中にスチレン4.96g(47.6mmol)とジブチルマグネシウム溶液0.30g(0.4mmol)を加えたものを6分かけて滴下し、滴下終了後、60分攪拌し、メタノールを加えキリングした。このキリング溶液をガスクロマトグラフィーで測定してみるとモノマー残存していなかった。また、GPC測定を行なうと分子量(Mw)39700、分散度=1.04のポリマーが生成していた。
窒素雰囲気下、THF120g中に塩化リチウム0.21g(4.8mmol)を溶解させた溶液に、−50℃で、n−BuLi溶液1.30g(3.1mmol)を加え、続いてメタクリル酸メチル0.13g(1.3mmol)を加え、40分間攪拌した。その後、ジエチル亜鉛溶液2.23g(3.1mmol)を加え、THF6.2g中にメタクリル酸メチル5.42g(5.41mmol)とジエチル亜鉛溶液0.39g(0.5mmol)を加えたものを5分かけて滴下し、滴下終了後、70分攪拌し、メタノールを加えキリングした。このキリング溶液をガスクロマトグラフィーで測定してみるとモノマー残存していなかった。また、GPC測定を行なうと分子量(Mw)57200、分散度=1.23のポリマーが生成していた。

Claims (8)

  1. −70℃以上、重合溶媒の沸点以下の温度において、アニオン重合開始剤と、該アニオン重合開始剤の5倍モル以下のスチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、又は共役ジエン系モノマーであるアニオン重合可能なモノマーとが存在する重合溶媒中に、
    式(I)
    (R)M (I)
    (式中、Rは、C1〜C20アルキル基又はC6〜C20アリール基を表し、nが2以上の場合、Rは同一又は相異なっていてもよく、Mは、長周期型周期律表第2族、第12族又は第13族に属する原子を表し、nはMの原子価を表す。)
    で表される有機金属化合物を添加し、その後に、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、又は共役ジエン系モノマーであるアニオン重合可能なモノマーを添加して重合することを特徴とする、分子量分散度が1.01〜1.50である重合体の製造方法。
  2. 有機金属化合物の添加前の重合溶媒中に、アニオン重合可能なモノマーが、アニオン重合開始剤の等モル以下存在することを特徴とする請求項1に記載の重合体の製造方法。
  3. 有機金属化合物の添加前の重合溶媒中に、アニオン重合可能なモノマーが、重合溶媒の1重量%以下存在することを特徴とする請求項1又は2に記載の重合体の製造方法。
  4. 有機金属化合物が、ジアルキルマグネシウム、ジアルキル亜鉛又はトリアルキルアルミニウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の重合体の製造方法。
  5. アニオン重合開始剤が、有機アルカリ金属化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の重合体の製造方法。
  6. 有機アルカリ金属化合物が、アルキルリチウムであることを特徴とする請求項5に記載の重合体の製造方法。
  7. スチレン系モノマーが、スチレン、芳香環にアルキル基が置換したスチレン、芳香環にアルコキシ基が置換したスチレン、α−アルキルスチレン、芳香環にアルキル基が置換したα−アルキルスチレン、及び芳香環にアルコキシ基が置換したα−アルキルスチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の重合体の製造方法。
  8. (メタ)アクリル酸エステル系モノマーが、三級エステルであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の重合体の製造方法。
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