JPH11116613A - ビニル系単量体重合用開始剤、ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

ビニル系単量体重合用開始剤、ビニル系重合体の製造方法

Info

Publication number
JPH11116613A
JPH11116613A JP29792397A JP29792397A JPH11116613A JP H11116613 A JPH11116613 A JP H11116613A JP 29792397 A JP29792397 A JP 29792397A JP 29792397 A JP29792397 A JP 29792397A JP H11116613 A JPH11116613 A JP H11116613A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymerization
compound
initiator
solution
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP29792397A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Ebara
賢司 江原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP29792397A priority Critical patent/JPH11116613A/ja
Publication of JPH11116613A publication Critical patent/JPH11116613A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F4/00Polymerisation catalysts
    • C08F4/42Metals; Metal hydrides; Metallo-organic compounds; Use thereof as catalyst precursors
    • C08F4/44Metals; Metal hydrides; Metallo-organic compounds; Use thereof as catalyst precursors selected from light metals, zinc, cadmium, mercury, copper, silver, gold, boron, gallium, indium, thallium, rare earths or actinides
    • C08F4/50Metals; Metal hydrides; Metallo-organic compounds; Use thereof as catalyst precursors selected from light metals, zinc, cadmium, mercury, copper, silver, gold, boron, gallium, indium, thallium, rare earths or actinides selected from alkaline earth metals, zinc, cadmium, mercury, copper or silver

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Polymerization Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高単量体濃度、高温系におけるビニル系単量
体のアニオン重合を、自己反応熱による暴走反応を引き
起こすことなく重合温度制御可能な速度で重合させ、高
温下で移動や停止反応のないリビング重合を可能にする
とともに、分子量分布の狭い重合体を得るための新規ビ
ニル系単量体重合用開始剤及びビニル系重合体の製造方
法を提供する。 【解決手段】 R1 1 で表わされる有機アルカリ金属
及び(R2 2 Mgで表わされる有機マグネシウム及び
少なくとも1種類の特定のフェノール系化合物からなる
ビニル系単量体重合用開始剤(R1 、R2 は炭化水素系
化合物残基、M1は、Li、Na、Kの内少なくとも1
種類のアルカリ金属)とそれを用いたビニル系重合体の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビニル系単量体重
合用開始剤及びその開始剤を用いたビニル系重合体の製
造方法に関する。更に詳しくは、本発明は従来のアニオ
ン重合法に比べて高濃度かつ高温系の重合反応にもかか
わらず、反応時に発生する重合熱で自己加速反応を起こ
すことなく、制御可能な温度範囲で重合を進行させるこ
とができ、しかも重合時に移動反応・停止反応を起こす
ことなくリビング的に重合を進行させることができる新
規なビニル系単量体重合用開始剤及びそれを用いたビニ
ル系重合体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリスチレンに代表されるスチレン系重
合体は、古くからラジカル重合法により工業的に生産さ
れてきたが、ラジカル重合法には周知のとうり成長ラジ
カルの再結合反応等による停止反応や溶媒やモノマーへ
の移動反応が起こるため、ポリマーの構造制御例えば分
子量分布やポリマー末端構造の制御が困難であるという
問題点があった。また、リビング重合でないためブロッ
クポリマーや星型ポリマーを得ることもできなかったの
である。
【0003】これらの問題を解決する手法としては、ス
チレンやブタジエンといったモノマーのリビングアニオ
ン重合法がある。例えば、汎用的な開始剤であるブチル
リチウムを使って行うスチレンのアニオン重合は、移動
反応及び停止反応のない重合系いわゆるリビング重合系
を形成し、極めて単分散なポリマーが得られると共に生
長末端の反応性を利用することによりブタジエンとのブ
ロックポリマーを始め多種多様のポリマーが得られるこ
とが知られている。
【0004】しかし、このスチレンのリビングアニオン
重合法は、本来ラジカル重合法では得られない様々な構
造を制御されたポリマーを得ることが可能であり、非常
に魅力的な樹脂材料が得られるにもかかわらず、特殊な
例を除いて、これまで工業的に利用されなかった。
【0005】その原因としては、リビングアニオン重合
が溶液重合であるため、生産収率が低いこと及び大掛か
りな溶媒回収プロセスが必要なことから製造コストが従
来のラジカル重合法に比べ高くなってしまい、そのため
リビングアニオン重合法を工業的に利用することがほと
んど無かったということが挙げられる。その結果、スチ
レンとブタジエンのブロックポリマーの様にリビング重
合法でしか得られないポリマー以外は、従来の溶液重合
法に頼らざるを得なかったのである。
【0006】しかるところ、リビングアニオン重合法の
製造コストを下げるためには、重合時に使用する溶媒量
を少量にし、生産性の向上と溶媒回収の負荷を極力抑え
る必要があるが、溶媒使用量を低減化すると重合系の粘
度が極度に上昇するため、重合温度は従来の溶液重合よ
りかなり高温にしなければならない。それ故、少量の溶
媒からなる高濃度のモノマー溶液を高温でリビングアニ
オン重合する製造方法が必要となるのである。
【0007】しかしながら、このような条件下で従来の
技術、例えばブチルリチウムを用いてスチレンを重合し
た場合には、次のような問題点が生じるため実際には使
用できないのである。重合開始反応及び成長反応が極
めて速く起こるため急激な重合反応熱の発生を伴い、そ
れにより多くの場合、重合系の外部から充分除熱ができ
ず重合系内の温度が急上昇して自己加速反応いわゆる暴
走反応(反応速度の制御が不可能な状態)が起こる。
高温状態例えば100℃以上では成長末端の炭素アニオ
ンが不安定となり、溶媒やポリマー主鎖への移動反応、
β位の水素引き抜き反応による停止反応等が多発してリ
ビング性が極度に低下する。
【0008】従来のブチルリチウムの様な有機アルカリ
金属を開始剤に用いた重合では、上記の問題に対して
開始剤の量を下げることで若干の重合速度の抑制化を図
っているが、得られるポリマーの分子量が高分子量化す
るという新たな問題点が生じる。即ち、有機アルキル金
属のアニオン重合で得られるポリマーの分子量は、モノ
マーとアルキル金属との量比{Mn=[モノマー]/
[有機アルキル金属]×(モノマーの分子量)、Mn:
数平均分子量、[ ]:モル濃度}で決まるため、少量
の開始剤では高分子量化してしまい、逆に低分子量のポ
リマーを得ようとするときは多量の開始剤が必要になる
のである。このようなことから、暴走反応抑制という制
限のために目的の分子量のポリマーを自由自在に得るこ
とは困難であった。
【0009】また、本出願人が先に出願したWO97/
33923(国際公開番号)に開示されている方法、即
ち有機アルカリ金属と有機マグネシウム金属の特定の比
率からなる重合用開始剤を使用した方法を用いると、高
温かつ高単量体濃度下においても暴走反応を起こすこと
なくリビング重合が可能ではあるが、得られる重合体の
分子量分布が広くなり、単分散の重合体を得ることが困
難であるため、より一層の改善が必要であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従
来の技術では達し得なかった高単量体濃度、高温系にお
けるビニル系単量体のアニオン重合を、自己反応熱によ
る暴走反応を引き起こすことなく重合温度制御可能な速
度で重合させ、高温下で移動や停止反応のないリビング
重合を可能にするとともに、分子量分布の狭い重合体を
得るための新規ビニル系単量体重合用開始剤及びビニル
系重合体の製造方法を提供することを課題とするもので
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の技術
課題の解決について鋭意検討を重ねた結果、スチレン、
ブタジエンに代表されるビニル系単量体のアニオン重合
を、有機アルキル金属と有機マグネシウム金属に特定の
金属塩化合物からなる混合物を用いると、驚くべきこと
にリビング重合が進行し、しかも高単量体濃度かつ高温
系でも重合反応が暴走反応を起こすことなく、また極端
に重合速度が遅くもなく除熱制御が十分可能な反応速度
で重合が進行し、さらに分子量分布の狭い重合体が得ら
れることを見出し、この知見に基づき本発明を完成させ
た。
【0012】すなわち本発明は、一般式R1 1 で表わ
される有機アルカリ金属及び一般式(R2 2 Mgで表
わされる有機マグネシウム及び少なくとも1種類の下記
一般式1〜4で表わされる化合物からなるビニル系単量
体重合用開始剤、
【0013】
【化2】
【0014】(式中、R1 、R2 は炭化水素系化合物残
基、R3 、R4 、R5 は、アルキル基または水素、M1
は、Li、Na、Kから選ばれる少なくとも1種類のア
ルカリ金属、M2 は、Mg、Ca、Sr、Baから選ば
れる少なくとも1種類のアルカリ土金属を示す。)及び
上記のビニル系単量体重合用開始剤を用いることを特徴
とするビニル系重合体の製造方法を提供するものであ
る。
【0015】以下に本発明を詳細に説明する。本発明で
用いられるビニル系単量体とは、スチレン系単量体及び
共役ジエン系単量体のことを指し、スチレン系単量体と
しては、スチレン、α−アルキル置換スチレンや核アル
キル置換スチレン等が挙げられる。具体例としては、α
−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、
p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチル
スチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチ
レン、2,5−ジメチルスチレン、p−イソプロピルス
チレン、2,4,6−トリメチルスチレン等がある。
【0016】また、共役ジエン系単量体としては1、3
−ブタジエン、イソプレン、2、3−ジメチルブタジエ
ン、2−エチル−1、3−ブタジエン、1、3−ペンタ
ジエン、シクロヘキサジエン、シクロペンタジエン等が
挙げられる。これらのビニル系単量体は、一種類または
共重合体を得る目的で2種類以上の組み合わせで使用し
ても良い。
【0017】本発明の開始剤を用いると従来の開始剤に
比べ広範囲の温度領域下でリビング重合が可能となり、
特に従来の開始剤では不可能であった高温領域側でのリ
ビング重合が可能になる。即ち、本発明における好まし
い実施態様の重合温度は、−20℃以上250℃以下、
より好ましくは10℃以上240℃以下、更に好ましく
は0℃以上230℃以下である。
【0018】重合温度の下限温度は、少なくとも目標と
する重合時間内に重合が完結する速度をある程度有して
いなければならない。−20℃より低い温度でも重合は
進行するが、本発明の重合系においてはその重合が極め
て遅く進行するため、工業生産的見知から好ましくな
い。重合温度が250℃以上になると移動反応や停止反
応等の副反応が頻繁に起こり、高分子量化することが困
難となるとともにポリマーが着色するという問題が生じ
る。
【0019】本発明における重合温度は、重合反応中一
定である必要はなく重合反応の進行に従い任意の速度で
上昇させてもかまわない。特に、単量体の濃度が高い重
合反応の初期段階においては反応速度が速く発生熱量が
多いため低い温度で重合反応を進め、単量体の濃度が低
くなるにつれて徐々に温度を上昇させる方法が好まし
い。
【0020】また、本発明の開始剤による重合では、ビ
ニル系単量体の重合溶媒に対する濃度が低濃度から高濃
度の幅広い領域でリビング重合が可能であるが、好まし
い実施態様の単量体濃度は10wt%以上100wt%
以下である。そして、より好ましくは20wt%以上9
5wt%以下である。溶媒の回収を考えれば高濃度ほど
好ましいが、得られる重合体の種類によっては温度と重
合系の粘性の関係からある程度の溶媒量が必要となる場
合がある。
【0021】特にリビング重合法を利用したブロックポ
リマーの合成を行う為には、単量体の速やかな拡散を行
うため一定量の溶媒が必要である。しかし、必要以上に
濃度が希薄になれば重合反応が遅くなるばかりでなく高
温時に溶媒への移動反応が起こり易くなるため、単量体
の濃度は重合温度と重合時間の双方を考慮して決める必
要がある。
【0022】本発明に於てビニル系単量体の重合溶媒に
対する濃度が100%というのは、開始剤溶液由来の化
合物以外に使用する溶媒がないことを意味する。重合溶
媒を使用しない単量体濃度100%の重合は、溶媒への
移動・停止反応が無く開始剤の使用効率が高いこと、生
産性が高いこと、更に重合停止後の工程での溶媒回収プ
ロセスが不要なことから工業的には最も理想的な重合条
件である。
【0023】本発明で用いる重合溶媒は、重合反応に関
与せずかつ重合体と相溶性のある溶媒であり、一般的に
リビングアニオン重合に使われるものであれば何でもよ
く特に制限はない。好ましい溶媒としては移動反応、停
止反応の起こりにくい比較的極性の低い芳香族系炭化水
素化合物または脂環式炭化水素化合物がよく、例えばエ
チルベンゼン、トルエン、イソプロピルベンゼン、te
rt−ブチルベンゼン、シクロヘキサン等がある。
【0024】また、これらの溶媒中に本発明の目的を超
えない範囲で、テトラハイドロフラン、ジフェニルエー
テル、ジオキサン、トリオキサン等のエーテル系化合
物、テトラメチルエチレンジアミン等の3級アミンやピ
リジン等の窒素系化合物、ペンタン、n−ヘキサン、ヘ
プタン、オクタン、ノナン、デカン等の脂肪族飽和炭化
水素化合物、トリエチルアルミニウム、ジエチル亜鉛等
の弱ルイス酸を少量含有していてもよい。
【0025】本発明で用いられる一般式R1 1 で表わ
される有機アルカリ金属とは、R1が炭化水素系の化合
物残基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、s
ec−ブチル基、アミル基、ヘキシル基等のアルキル基
(異性体を含む)、又はフェニル基であり、且つM1
Li、Na、Kの中から選ばれる少なくとも一種のアル
カリ金属である有機金属化合物である。
【0026】具体的には、メチルリチウム、n−ブチル
リチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウ
ム、iso−プロピルリチウム、n−プロピルリチウ
ム、iso−プロピルリチウム、ベンジルリチウム、フ
ェニルリチウム、ヘキシルリチウム、ブチルナトリウ
ム、ブチルカリウム、クミルカリウム等である。これら
の化合物は1種類もしくは2種類以上併用しても良い。
【0027】本発明で用いられる一般式(R2 2 Mg
で表わされる有機マグネシウム化合物とは、R2 が炭化
水素系の化合物残基であり、例えばメチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−
ブチル基、sec−ブチル基、アミル基、ヘキシル基等
のアルキル基(異性体を含む)、又はシクロペンタジエ
ニル基である。
【0028】具体的にはジ−n−ブチルマグネシウム、
ジ−t−ブチルマグネシウム、ジ−sec−ブチルマグ
ネシウム、n−ブチル,sec−ブチルマグネシウム,
n−ブチル−エチルマグネシウム、n−アミルマグネシ
ウム、ジ−n−ヘキシルマグネシウム、ジシクロペンタ
ジエニルマグネシウム等が好ましい。これらの化合物は
1種類もしくは2種類以上の併用系でも良い。
【0029】
【化3】 (式中、R3 、R4 、R5 は、アルキル基または水素を
示す。)
【0030】本発明で用いられる上記の一般式1で表わ
される化合物は、R3 、R4 、R5がアルキル基又は水
素であるフェノール系化合物であり、R3 、R4 、R5
がメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、
n−ブチル基、t−ブチル基、sec−ブチル基、アミ
ル基、ヘキシル基等のアルキル基(異性体を含む)を有
する化合物である。
【0031】具体的には、フェノール、2−メチルフェ
ノール、2,4−ジメチルフェノール、2,4,6−ト
リメチルフェノール、2−メチル−6−tert−ブチ
ルフェノール、2、4−ジメチル−6−tert−ブチ
ルフェノール、2−メチル−4,6−ジ−tert−ブ
チルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチル−フェ
ノール、3,5−ジ−tert−ブチルフェノール、
2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ
−tert−ブチル−4−メチルフェノールなどであ
る。
【0032】本発明で使用される一般式R1 1 、(R
2 2 Mg及び一般式1で表わされる化合物は、次式を
満足する量比で含有していることが好ましい。 [R1 1 ]+[(R2 2 Mg]≧[一般式1化合
物]([ ]内は、モル濃度) 上記の式を満足しない領域での重合はリビングアニオン
重合が進行せず、特に高温条件下でラジカル熱重合が起
こるビニル系単量体については、単にラジカル重合だけ
が起こる。
【0033】
【化4】 (式中、R3 、R4 、R5 は、アルキル基または水素、
1 は、Li、Na、Kから選ばれる少なくとも1種類
のアルカリ金属、M2 は、Mg、Ca、Sr、Baから
選ばれる少なくとも1種類のアルカリ土金属を示す。)
【0034】本発明で用いられる上記の一般式2〜4で
表わされる化合物は、前記の一般式1で表わされるフェ
ノール系化合物の金属塩化合物である。金属の種類とし
ては、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Baであ
り、それらは1種類又は2種以上の混合物でもかまわな
い。一般式2〜4で表わされる化合物は、例えば一般式
1で表わされるフェノール系化合物に水酸化リチウム、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウ
ム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化
バリウム、R1 1 、R2 Mgを等量添加して中和反応
を行って得ることが出来る。
【0035】本発明で用いる開始剤は、例えば、R1
1 、(R2 2 Mg、一般式1〜4で表わされる化合物
をそれぞれと反応しない有機溶媒中で混合するだけで合
成できる。また、混合する順番も特に制限はない。更
に、ビニル系単量体含有の溶液内で(R2 2 Mgと一
般式1〜4で表わされる化合物を混合した後、R1 1
を添加して重合を開始してもよい。
【0036】本発明の重合の停止方法としては、特に制
限はなく一般的なアニオン重合法の停止方法でよい。例
えば、水、アルコール、カルボン酸、等のプロトン酸化
合物や二酸化炭素などを重合溶液に添加することで重合
を停止する。
【0037】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を実施例
により詳細に説明する。実施例で用いた単量体、溶媒は
次の方法で精製して使用した。また、試薬は、以下のも
のを使用した。 (1)スチレン(SM):旭化成工業(株)社製。Ca
2 下でスチレンを1回減圧蒸留し脱気処理後乾燥窒素
下に封入した。 (2)tert−ブチルベンゼン:純正化学社製、特級
試薬をCaH2 下で1回減圧蒸留し脱気処理後モレキュ
ラーシーブスを入れ乾燥窒素下に封入した。 (3)n−ブチルリチウム(nBuLi):関東化学社
製 1.6Mのn−ヘキサン溶液
【0038】(4)フェニルリチウム(PhLi):A
ldrich社製 1.8Mのシクロヘキサン/エーテ
ル(70/30)溶液 (5)ジブチルマグネシウム(Bu2 Mg):Aldr
ich社製 1.0Mのヘプタン溶液 、n−ジブチル
マグネシウムとsec−ジブチルマグネシウムの1:1
混合溶液 (6)2,6−ジ−tert−ブチルフェノール(tBuP
hO):和光純薬社製。三方コック付きナスフラスコに
入れ真空脱気後乾燥窒素に置換後使用した。
【0039】(7)重合停止剤:テトラハイドロフラン
(THF)とメタノール(MeOH)を90/10(v
ol比)で混合したものを使用した。重合終了して得ら
れたポリマーの重合率、分子量、分子量分布は次の方法
で測定した。 (8)重合率の測定:未反応のSMをガスクロマトグラ
フィー(GC)により条件1で測定し、次式により重合
率(Conv.)を求めた。 Conv.(%)=([仕込みSM濃度]−[未反応S
M濃度])/[仕込みSM濃度]×100
【0040】(9)数平均分子量(Mn)、重量平均分
子量(Mw)及びMw/Mnの測定は、ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定し
た。 [GCの測定条件] (条件1) 測定器:島津製作所 GC14B カラム:PEG20M(φ3mm*3m) キャリアーガス:窒素 、流量50ml/min 検出器:FID カラム温度:125℃で10分保持しその後35℃/m
inで230℃まで昇温インジェクション及びディテク
ター温度:230℃ 内部標準試薬:tert−ブチルベンゼン
【0041】[GPCの測定条件] 測定器:東ソー HLC−8020(示差屈折率検出器
内蔵) カラム:東ソー TSKgel−GMHXLを2本使用 温度:38℃ 溶媒:テトラハイドロフラン(THF) サンプル濃度:0.1wt/v% サンプリングピッチ:1/0.4(回/秒) 分子量計算:東ソーTSK標準ポリスチレンの分子量と
溶出時間の関係を3次回帰曲線として検量線を作成し、
算出した。
【0042】以下の実施例及び比較例の記載において特
に断りのない限りすべての重合操作法は次の手順で行っ
た。 [重合操作法]140℃で加熱乾燥したガラス容器と注
射器、及びモノマー、溶媒、試薬を窒素グローブ内に入
れた。窒素グローブは、(有)栄興商会社製のVDB−
SA−Q型を使用した。この窒素グローブ内は、モレキ
ュラーシーブスで脱水乾燥した窒素で充分置換された環
境下にある。50mlの耐圧ガラス瓶に溶媒、開始剤、
モノマーを注射器で所定量入れ、仕込み終了後、耐圧瓶
にニトリルゴムで栓をし、その後窒素グローブから取り
出して金属の王冠で打栓した。
【0043】耐圧瓶を所定温度のオイルバス中に入れ、
入れた時間を0時間とした。適宜耐圧瓶を振って反応溶
液を攪拌した。所定の時間が経過したら耐圧瓶をオイル
バスから取り出し、直ちに水中に入れ室温まで冷却し
た。冷却後空気が入らないよう停止剤を5ml打ち込
み、素早く耐圧瓶を振って停止剤を均一分散させた。重
合溶液をTHFで希釈し、その溶液をGC及びGPCの
測定溶液とした。
【0044】
【実施例】
実施例1 窒素グローブ内でtert−ブチルベンゼン8mlを耐
圧瓶に入れ、そこに別の容器で調合した下記の溶液
(A)を0.73ml、溶液(B)を0.68ml入れ
た。その後、SMを2ml入れた。重合は、80℃、1
20分行った。得られた結果を表1に示す。 溶液(A):tert−ブチルベンゼン9.5mlにn
BuLiを0.5ml入れた。 溶液(B):2,6−ジ−tert−ブチルフェノール
0.16gにtert−ブチルベンゼン9mlを入れ、
完全溶解後Bu2 Mgを0.8ml入れた。
【0045】実施例2 窒素グローブ内でtert−ブチルベンゼン8mlを耐
圧瓶に入れ、そこに別の容器で調合した上記の溶液
(A)を0.73ml、下記の溶液(C)を1.36m
l入れた。その後、SMを2ml入れた。重合は、80
℃、120分行った。得られた結果を表1に示す。 溶液(C):2,6−ジ−tert−ブチルフェノール
0.16gにtert−ブチルベンゼン9mlを入れ、
完全溶解後Bu2 Mgを0.4ml入れた。
【0046】実施例3 窒素グローブ内でtert−ブチルベンゼン8mlを耐
圧瓶に入れ、そこに別の容器で調合した下記の溶液
(D)を0.68ml、上記の溶液(B)を0.68m
l入れた。その後、SMを2ml入れた。重合は、80
℃、120分行った。得られた結果を表1に示す。 溶液(D):2,6−ジ−tert−ブチルフェノール
0.16gにtert−ブチルベンゼン9mlを入れ、
完全溶解後nBuLiを0.5ml入れた。
【0047】実施例4 窒素グローブ内でtert−ブチルベンゼン3mlを耐
圧瓶に入れ、そこに別の容器で調合した前記の溶液
(B)を3ml、下記の溶液(E)を0.75ml入れ
た。その後、SMを27ml入れ、よく攪拌後10ml
を注射器で取り別の耐圧瓶3本にそれぞれ入れた。重合
は、80℃、60分、120分、220分行った。得ら
れた結果を表1に示す。 溶液(E):tert−ブチルベンゼン9.0mlにn
BuLiを1.0ml入れた。
【0048】実施例5 窒素グローブ内でtert−ブチルベンゼン2.1ml
を耐圧瓶に入れ、そこに別の容器で調合した前記の溶液
(B)を2.3ml、上記の溶液(E)を0.56ml
入れた。その後、SMを20ml入れ、よく攪拌後7m
lを注射器で取り別の耐圧瓶2本にそれぞれ入れた。重
合は、100℃、20分、40分行った。得られた結果
を表1に示す。
【0049】実施例6 窒素グローブ内でtert−ブチルベンゼン1.71m
lを耐圧瓶に入れ、そこに別の容器で調合した前記の溶
液(B)を1.5ml、下記の溶液(F)を0.65m
l入れた。その後、SMを20ml入れ、よく攪拌後7
mlを注射器で取り別の耐圧瓶2本にそれぞれ入れた。
重合は、120℃、5分、15分行った。得られた結果
を表1に示す。 溶液(F):tert−ブチルベンゼン9.5mlにP
hLiを0.5ml入れた。
【0050】実施例1〜6はいずれも暴走反応すること
なく重合が進行した。表1に示すとおり実施例4〜6の
結果は、ポリマーのMnがConv.とともに上昇して
いることを示しており、本発明の開始剤による重合はリ
ビング重合であることがわかる。
【0051】
【表1】
【0052】比較例1 窒素グローブ内でtertーブチルベンゼン1.71m
lを耐圧瓶に入れ、そこに別の容器で調合した前記の溶
液(A)を1.53ml入れた。その後、SMを20m
l入れ、よく攪拌した。SMを添加して数分後室温中で
の操作にもかかわらず溶液温度が自然過熱し、スチレン
モノマーが突沸した。重合反応の制御は全くできなかっ
た。
【0053】比較例2 窒素グローブ内でtert−ブチルベンゼン1.71m
lを耐圧瓶に入れ、そこに別の容器で調合した前記の溶
液(A)を1.53ml、及び下記の溶液(G)を1.
53ml入れた。その後、SMを20ml入れ、よく攪
拌後7mlを注射器で取り別の耐圧瓶2本にそれぞれ入
れた。重合は、80℃で行った。耐圧瓶をオイルバスに
浸漬後約5分で2本とも重合が暴走し反応が完結した。 溶液(G):tert−ブチルベンゼン6.8mlにB
2 Mgを3.2ml入れた。
【0054】比較例3 窒素グローブ内で耐圧瓶に別の容器で調合した前記の溶
液(E)を0.56ml、下記の溶液(H)を4.3m
l入れた。その後、SMを20ml入れ、よく攪拌後7
mlを注射器で取り別の耐圧瓶2本にそれぞれ入れた。
重合は、120℃、22分、40分行った。いずれも重
合はリビング重合にならず、得られたポリマーの分子量
及び分子量分布は、Mn=93,100、Mw=20
3,000、Mw/Mn=2.18と分子量分布の広い
ものしか得られなかった。 溶液(H):2,6−ジ−tert−ブチルフェノール
0.40gにtert−ブチルベンゼン9mlを入れ、
完全溶解後Bu2 Mgを0.4ml入れた。
【0055】
【発明の効果】本発明のビニル系単量体重合用開始剤
は、従来の技術では達し得なかった高単量体濃度、高温
系におけるビニル系単量体のアニオン重合を、自己反応
熱による暴走反応を引き起こすことなく重合温度制御可
能な速度で重合させ、高温下で移動や停止反応のないリ
ビング重合を可能にするとともに、分子量分布の狭い重
合体が得られるという効果を有する。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式R1 1 で表わされる有機アルカ
    リ金属及び一般式(R2 2 Mgで表わされる有機マグ
    ネシウム及び少なくとも1種類の下記一般式1〜4で表
    わされる化合物からなるビニル系単量体重合用開始剤。 【化1】 (式中、R1 、R2 は炭化水素系化合物残基、R3 、R
    4 、R5 は、アルキル基または水素、M1 は、Li、N
    a、Kから選ばれる少なくとも1種類のアルカリ金属、
    2 は、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる少なくと
    も1種類のアルカリ土金属を示す。)
  2. 【請求項2】 請求項1記載のビニル系単量体重合用開
    始剤を用いることを特徴とするビニル系重合体の製造方
    法。
JP29792397A 1997-10-16 1997-10-16 ビニル系単量体重合用開始剤、ビニル系重合体の製造方法 Pending JPH11116613A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29792397A JPH11116613A (ja) 1997-10-16 1997-10-16 ビニル系単量体重合用開始剤、ビニル系重合体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29792397A JPH11116613A (ja) 1997-10-16 1997-10-16 ビニル系単量体重合用開始剤、ビニル系重合体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11116613A true JPH11116613A (ja) 1999-04-27

Family

ID=17852847

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29792397A Pending JPH11116613A (ja) 1997-10-16 1997-10-16 ビニル系単量体重合用開始剤、ビニル系重合体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11116613A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19758686B4 (de) * 1996-03-14 2006-03-23 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Styrolharz-Zusammensetzung und deren Verwendung für Nahrungsmittelverpackungen
US8933159B2 (en) 2008-12-02 2015-01-13 Albemarle Corporation Brominated flame retardants and precursors therefor
US8993684B2 (en) 2008-06-06 2015-03-31 Albemarle Corporation Low molecular weight brominated polymers, processes for their manufacture and their use in thermoplastic formulations

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19758686B4 (de) * 1996-03-14 2006-03-23 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Styrolharz-Zusammensetzung und deren Verwendung für Nahrungsmittelverpackungen
US8993684B2 (en) 2008-06-06 2015-03-31 Albemarle Corporation Low molecular weight brominated polymers, processes for their manufacture and their use in thermoplastic formulations
US9914830B2 (en) 2008-06-23 2018-03-13 Albemarle Corporation Low molecular weight brominated polymers, processes for their manufacture and their use in thermoplastic formulations
US8933159B2 (en) 2008-12-02 2015-01-13 Albemarle Corporation Brominated flame retardants and precursors therefor

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5514753A (en) Process for preparing a block copolymer
JP3145716B2 (ja) ビニル系重合体の製造方法及びビニル系単量体重合用開始剤
US6444767B1 (en) Method for retarded anionic polymerization
JPH01131221A (ja) メタクリレートおよびその誘導体のブロックポリマー
US4461874A (en) Block copolymers of conjugated dienes or vinyl substituted aromatic hydrocarbons and acrylic esters and process for their manufacture
JP3431284B2 (ja) ブロック共重合体の製造方法
US20060167187A1 (en) Method for the anionic polymerisation of high-impact polystyrene
US20070161763A1 (en) Method for the production of impact polystyrene
JPH11116613A (ja) ビニル系単量体重合用開始剤、ビニル系重合体の製造方法
US4097557A (en) Method of preparing block polymers
KR20160064724A (ko) 신규 음이온 중합 개시제 및 이를 이용한 공역디엔계 공중합체의 제조방법
JP5189746B2 (ja) スチレン系重合体の製造方法
US6800689B2 (en) Process for producing polymer rubber and oil extended polymer rubber
JPH10218908A (ja) テトラヒドロピラニルメタノールのアルキルエーテルの存在下での共役ジエンとビニルアレーンのアニオン共重合
JP4865279B2 (ja) アニオン重合による重合体の製造方法
JPH1180220A (ja) 共役ジエン系重合体の製造方法
JP2002206003A (ja) アニオン重合体の製造方法
JP3887004B2 (ja) 重合体の製造方法
JPH1171419A (ja) スチレン系重合体の製造方法、スチレン系単量体重合用開始剤及びスチレン系重合体
JP3870527B2 (ja) アルコキシスチレン重合体の製造方法
JPH09249706A (ja) 重合速度制御するための触媒組成物及びその組成物を用いた重合方法
JP2001055404A (ja) アクリルモノマーと非アクリルコモノマーとの共重合体の製造方法
JPH0219126B2 (ja)
JP5362185B2 (ja) 重合安定化剤を用いたリビングアニオン重合法による重合体の製造方法
EP1373323A1 (en) Co2-terminated rubber