JP2002324758A - 窒化物半導体基板、及びそれを用いた窒化物半導体素子の製造方法 - Google Patents

窒化物半導体基板、及びそれを用いた窒化物半導体素子の製造方法

Info

Publication number
JP2002324758A
JP2002324758A JP2001129325A JP2001129325A JP2002324758A JP 2002324758 A JP2002324758 A JP 2002324758A JP 2001129325 A JP2001129325 A JP 2001129325A JP 2001129325 A JP2001129325 A JP 2001129325A JP 2002324758 A JP2002324758 A JP 2002324758A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
nitride semiconductor
layer
growth
crack
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001129325A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3985462B2 (ja
Inventor
Yasunobu Sugimoto
康宜 杉本
Kazuyuki Chiyouchiyou
一幸 蝶々
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nichia Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Nichia Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nichia Chemical Industries Ltd filed Critical Nichia Chemical Industries Ltd
Priority to JP2001129325A priority Critical patent/JP3985462B2/ja
Publication of JP2002324758A publication Critical patent/JP2002324758A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3985462B2 publication Critical patent/JP3985462B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Recrystallisation Techniques (AREA)
  • Semiconductor Lasers (AREA)
  • Electrodes Of Semiconductors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 異種基板上に、厚膜の窒化物半導体層を形成
した後、窒化物半導体基板を取り出すために、異種基板
を、割れ、欠けなどでウエハが破壊されることなく除去
する。 【解決手段】 窒化物半導体と異なる材料よりなると共
に、第1の主面と第2の主面とを有する異種基板10の
第1の主面上に、少なくとも第1の窒化物半導体層12
を有する成長層が設けられ、前記第2の主面側から前記
成長層が露出されない深さで溝部20が設けられた基板
に、該溝部の底部から成長層30に伸びる亀裂若しくは
割れを形成する亀裂形成工程と、亀裂形成後、前記第2
の主面側から異種基板を除去して、成長層を露出させる
基板除去工程と、を少なくとも具備してなる。これによ
り亀裂が形成され、また増殖されることで、異種基板と
成長層との間の応力が解放され、異種基板の除去、窒化
物半導体の単体化が容易に実施できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、窒化物半導体を用いた
基板及びそれを用いた窒化物半導体素子の製造方法に係
り、特に異種基板上に設けた窒化物半導体層から窒化物
半導体単体基板を取り出す方法に係る。
【0002】
【従来の技術】窒化物半導体を用いたレーザ素子は、主
に青色〜紫色の短い波長のレーザ光を発振するものであ
り、光ディスク装置などその特性を活かして様々な用途
が検討されている。このレーザ素子の連続発振は、近年
実現され、実用化されているが、その応用において素子
の特性が十分満足のいくものではなく、さらなる素子特
性の向上が求められている。
【0003】窒化物半導体素子の製造において、窒化物
半導体の成長に一般的に用いられている基板は、サファ
イア基板であるが、このような窒化物半導体と異なる材
料の異種基板を用いることは、積層後の微細加工工程、
共振器反射面の形成時、チップ化のためのウエハ分割時
に問題がある。それは、異種基板とその上に成長させた
窒化物半導体とで劈開面が異なるか、異種基板が劈開困
難な場合に、共振器反射面、チップ化を劈開して形成す
ることができないからである。さらにまた、窒化物半導
体も六方晶系にほぼ近似され、同じ六方晶系の異種基板
を用いても、異種基板の劈開面若しくは劈開容易面と、
窒化物半導体の劈開面、劈開容易面との面方位が一致せ
ず、その劈開が容易ではない。例えばサファイア基板を
用いたものであれば、このサファイア基板の劈開が困難
であるため、またサファイア基板の劈開容易面であって
も窒化物半導体の劈開面に一致しないため、共振器反射
面などの素子端面として窒化物半導体の劈開面を取り出
すことが製造上困難なものとなる。また、素子端面をエ
ッチングにより形成した窒化物半導体素子では、その共
振器反射面としての特性に劣り、また、端面形成若しく
はウエハを分割するための溝を成長層に設けると、ウエ
ハ当たりのチップ面積が減少し、歩留まりが悪化する。
【0004】さらにまた、異種基板上に、厚膜の窒化物
半導体を、例えば成長速度の大きなHVPEを用いて、
形成することが可能であるが、厚膜の窒化物半導体を形
成すると以下の問題がある。異種基板、特に窒化物半導
体と格子不整合があり、熱膨張係数差がある異種基板の
上に、厚膜の窒化物半導体を形成すると、基板に大きな
反りが発生し、そのままでは、異種基板を除去すること
が困難となる。また、反りの発生した基板において、異
種基板を研磨で除去しようとすると、異種基板が薄くな
るに従って、厚膜の窒化物半導体からの応力が大きくな
り、その大きくなった応力が異種基板にかかることで、
反りが悪化し、基板に亀裂や割れが発生し、窒化物半導
体の単体基板が取り出せない。
【0005】このような基板の反りは、異種基板10と
成長層30との相対的な応力により決定され、例えば図
5に示すように、異種基板10上の成長層30との間
に、熱膨張係数差、格子不整合により応力がかかり、異
種基板10の界面付近で引張応力、成長層30の界面付
近で圧縮応力が掛かり、異種基板上の成長層の膜厚が大
きくなると、若しくは、成長層の膜厚一定で異種基板の
膜厚を小さくすると、両者の界面にかかる応力の相対関
係が変化し、異種基板、成長層が反ることで、両者の均
衡が維持される。このため、この場合には、窒化物半導
体の成長層30の膜厚を大きくすること、異種基板の膜
厚を減らすことで、両者の界面付近での応力差が大きく
なり、反りも大きくなる。このような、反りは、異種基
板と窒化物半導体との相対的な熱膨張係数差、格子定数
差に起因するため、異種基板の材料、窒化物半導体の組
成が変化すると、両者に係る圧縮・引張応力も変化し、
反り方も、異種基板を凹面とする場合だけでなく、凸面
となる場合もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、異種
基板上に形成した厚膜の窒化物半導体から窒化物半導体
単体基板を取り出すには、基板に発生する反りを解決し
なければならない。しかし、図5に示すように、単体化
可能な程度の厚膜で窒化物半導体30を成長させた後、
異種基板を研磨・研削して薄くしていくと、基板が反る
ことによる両者の応力の均衡が破綻し、基板に割れ・欠
け・亀裂が発生する。
【0007】また、異種基板上に、厚膜の窒化物半導体
を成長させて、その上にそれを基板として、素子構造を
形成した後に、単体基板の取り出しの際にも、同様に反
りの問題がある。一方で、異種基板を装着したままで
は、熱伝導性に劣り、また、異種基板が劈開困難な材料
であったり、異種基板と窒化物半導体との面方位が一致
しない場合に、ウエハの劈開、分割、チップの取り出し
が困難となる。
【0008】基板の反りは、上述したように、異種基板
と成長層との相対的な関係に起因するため、窒化物半導
体を厚膜で成長させても、それによる応力の増大に対抗
できる膜厚、すなわち厚膜の異種基板を用いると、反り
が軽減され、厚膜の窒化物半導体を基板として、素子形
成工程、エッチング・電極形成などの素子加工工程を反
りが緩和された状態で各工程を経ることが可能である
が、異種基板が厚膜化されることで異種基板の除去がさ
らに困難なものとなる。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するものであり、窒化物半導体の単体化において、基
板の反りによる割れ、欠けの問題を回避して、窒化物半
導体基板、及び窒化物半導体素子を得るものである。
【0010】すなわち、本発明は、以下に示す(1)〜
(9)の方法により、窒化物半導体基板、窒化物半導体
素子を製造するものである。 (1)窒化物半導体と異なる材料よりなると共に、第1
の主面と第2の主面とを有する異種基板の第1の主面上
に、少なくとも第1の窒化物半導体層を有する成長層が
設けられ、前記第2の主面側から前記成長層が露出され
ない深さで溝部が設けられた基板に、該溝部の底部から
成長層に伸びる亀裂若しくは割れを形成する亀裂形成工
程と、亀裂形成後、前記第2の主面側から異種基板を除
去して、成長層を露出させる基板除去工程と、を少なく
とも具備する。これにより、従来問題となっていた単体
基板の取り出しにおいて、亀裂を形成した後で、異種基
板を除去することで、亀裂を増殖させ、反りが緩和され
ながら基板の除去が可能となり、ウエハの破壊が起こら
ずに、単体基板を得ることができる。 (2)前記溝部形成工程において、溝部底部と成長層と
の間dが、0<d≦50μmであることを特徴とする。
これにより、溝部内に、亀裂を容易に形成でき、また亀
裂の増殖において、溝部が起点となって増殖させること
ができ、亀裂形成工程、基板除去工程及び基板除去工程
における亀裂増殖、剥離発生において、有利なものとな
る。 (3)前記亀裂形成工程において、前記第2の主面側か
ら異種基板を除去して、異種基板の厚さを小さくするこ
とにより亀裂を形成することを特徴とする。これによ
り、異種基板を除去していくこと、すなわち、異種基板
の第2の主面側から除去していくことで、異種基板を薄
くしていき、これにより、成長層と異種基板との膜厚比
が変化し、亀裂が形成され、更に異種基板を薄くしてい
くことで、亀裂が増殖し、基板面全体に亀裂が形成さ
れ、成長層と異種基板との間にかかる応力が解放され、
異種基板の除去を可能とする。ここでは、異種基板を薄
くすること、すなわち、異種基板と成長層との膜厚比に
おいて、異種基板の膜厚を成長層の膜厚に対して小さく
することにより、亀裂形成、亀裂増殖を実現する。 (4)前記亀裂形成工程において、成長層の膜厚を大き
くすることにより亀裂を形成することを特徴とする。こ
れにより、異種基板と成長層との膜厚比において、成長
層の膜厚を異種基板の厚さに対して大きくすることとな
り、両者の膜厚比を変化させて、溝部付近に亀裂が形成
される。また成長層を厚くすることで、反応装置内で成
長時の温度から冷却されることにより、熱処理が施さ
れ、また熱膨張係数差による応力が加わり、図2(c)
に示すように、亀裂の形成及び亀裂の増殖、部分的な剥
離まで、発生させることもできる。 (5)前記溝部は、異種基板の第1の主面の上に、成長
層を形成した後、第2の主面側に異種基板の一部を除去
して溝部を形成することを特徴とする。 (6)前記第1の窒化物半導体層の膜厚が50μm以上
であることを特徴とする。 (7)前記異種基板の膜厚が、0.3mm以上5mm以
下の範囲であることを特徴とする。 (8)前記成長層が、第1の窒化物半導体層の上に、窒
化物半導体を積層して素子構造を有することを特徴とす
る。これにより、単体基板となる厚膜の窒化物半導体層
を成長した後に、素子構造を形成することができ、溝部
の形成、基板の除去により素子構造が形成されたウエハ
を得ることができ、すなわち、基板の単体化と同時に素
子構造が形成されたウエハを得ることができる。これに
より、基板の分割に有利となる。 (9)前記基板除去工程の後、得られた窒化物半導体基
板の上に、窒化物半導体を積層して素子構造を形成する
素子形成工程を具備することを特徴とする。これによ
り、基板の分割に有利となる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法に用いる異種基
板としては、例えば、C面、R面、及びA面のいずれか
を主面とするサファイア、スピネル(MgA1
のような絶縁性基板、SiC(6H、4H、3Cを含
む)、ZnS、ZnO、GaAs、Si、及び窒化物半
導体と格子整合する酸化物基板等、窒化物半導体を成長
させることが可能で従来から知られている窒化物半導体
と異なる基板材料を用いることができる。好ましい異種
基板としては、良好な結晶成長が可能なサファイア、ス
ピネル、SiCが挙げられる。また、異種基板は、オフ
アングルしていてもよく、この場合ステップ状にオフア
ングルしたを用いると窒化ガリウムからなる下地層の成
長が結晶性よく成長させるため好ましい。
【0012】ここで、本発明において、異種基板の第1
の主面とは、その上に窒化物半導体を積層して、素子構
造を形成するものであり、これらを含む成長層30を設
けるものであり、第2の主面とは、具体例として基板分
割工程において、異種基板を割るためにスクライブなど
を施すものである。オフアングルした基板としては、サ
ファイアC面からオフアングルしている場合にはオフ角
を0.1°以上0.5°以下の範囲、好ましくは0.1
°以上0.2°以下の範囲とすることで、良好な結晶性
での窒化物半導体の成長が可能である。オフアングルし
た基板は、これに限らず、異種基板材料、主面の面方
位、により、窒化物半導体の結晶性を考慮して適宜オフ
角を決定する。
【0013】本発明において、異種基板上に積層して成
長層、素子構造を形成する窒化物半導体としては、具体
的には、InAlGa1−x−yN(0≦x≦1,
0≦y≦1,0≦x+y≦1)で表されるもの、またII
I族元素としてBを用いたり、V族元素のNの一部を、A
s、Pで置換した混晶を用いることができる。この窒化
物半導体を、第1の窒化物半導体層、下地層、素子構造
となる各層を積層する。
【0014】本発明の窒化物半導体の成長において、窒
化物半導体を成長させる方法としては、特に限定されな
いが、MOVPE(有機金属気相成長法)、HVPE
(ハライド気相成長法)、MBE(分子線エピタキシー
法)、MOCVD(有機金属化学気相成長法)等、窒化
物半導体を成長させるのに知られている全ての方法を適
用できる。好ましい成長方法としては、膜厚が50μm
以下ではMOCVD法を用いると成長速度の制御が容易
であり、素子構造の形成において、原子オーダーでの素
子設計が可能となる。また膜厚が50μm以下ではHV
PEでは成長速度が速くてコントロールが難しい。ま
た、HVPEを用いた場合には、上述した組成式の窒化
物半導体の中で、好ましくは、GaN、AlNを用いる
と、結晶性良く、厚膜での成長が可能である。
【0015】また、窒化物半導体に用いるn型不純物と
しては、具体的にはSi、Ge、Sn、S、O、Ti、
Zr等のIV族、若しくはVI族元素を用いることがで
き、好ましくはSi、Ge、Snを、さらに最も好まし
くはSiを用いる。また、p型不純物としては、具体的
には、Be、Zn、Mn、Cr、Mg、Caなどが挙げ
られ、好ましくはMgが用いられる。 [第1の窒化物半導体層]本発明の第1の窒化物半導体
層12は、上記異種基板の上に、形成するものであり、
図1に示すように、異種基板10の上に形成した下地層
11の上に、形成しても良く、下地層の一部としても良
い。すなわち、異種基板10の上に形成された成長層3
0の一部として、第1の窒化物半導体層12が設けられ
る。この時、好ましくは、第1の窒化物半導体層12の
膜厚を50μm以上とすることであり、このことによ
り、後に続く異種基板除去工程において、異種基板を除
去して、窒化物半導体の単体基板を取り出すことができ
る。更に好ましくは、100μm以上とすることで、異
種基板の除去が容易になり、また取り出された窒化物半
導体単体基板の取り扱いが容易となる。このように、第
1の窒化物半導体層を厚膜に成長させるには、上述した
ように、HVPE法を用いることで、結晶性が良好で、
成長速度が大きいことから、他の成長方法に比べて、容
易に形成することができる。膜厚の上限としては特に限
定されないが、このHVPE法による窒化物半導体は、
異種基板の上に、下地層を含めた成長層として形成さ
れ、成長層を400μm以下にすることが望ましい。4
00μmより厚く異種基板の上に窒化物半導体を成長す
ると、異種基板との格子不整合あるいは熱膨張係数差に
よって発生する反りが大きくなりすぎてしまい、素子構
造となる窒化物半導体を積層する際に積層不良、面内で
の膜厚不均一が生じてしまう。しかし、一方で、上述し
たように、異種基板10と窒化物半導体層12若しくは
成長層30との応力は、両者の相対的な膜厚比に依存す
るため、異種基板の膜厚を大きくすれば、その上の成長
層の膜厚も大きくすることができる。具体的には、異種
基板の厚さを0.3mm以上5mm以下の範囲とするこ
とである。例えば、サファイア基板であれば、成長層3
0の総膜厚が100μm以上400μm以下の範囲であ
れば、異種基板の膜厚を、1mm以上3mm以下の範囲
とすれば、反りがそれほど大きくならず、素子構造を積
層する工程でも、積層不良が生じない反りとすることが
できる。しかし、異種基板が厚くなると、後に続く、溝
形成工程で、深い溝を形成することが困難になる傾向に
あるため、これらを考慮して、異種基板の膜厚、第1の
窒化物半導体層及びそれを含めた成長層全体の膜厚を決
定する。また、HVPEによる厚膜成長は、後述するよ
うに、3次元的な成長となる傾向にあり、この成長条件
を変化させることで、ウエハの反りも変化するため、成
長層の膜厚を1mm以上の厚膜とすることもできる。
【0016】さらにこの第1の窒化物半導体層をHVP
Eにより成長させることによって次のような効果もあ
る。図10に示すように、異種基板10の上に、低温成
長バッファ層11a、ラテラル成長による下地層11b
を成長させた場合、下地層11b表面では結晶欠陥の数
が不均一に面内分布していたものが、第1の窒化物半導
体層12を成長させると、第1の窒化物半導体12中で
結晶欠陥が拡散され、第1の窒化物半導体層12表面で
はほぼ均一となり、その上に成長させる窒化物半導体も
均一な層として成長させることができる。具体的には、
厚膜の窒化物半導体層をHVPEで形成すると、生成さ
れた核から核成長したドメインが膜厚方向に成長するに
伴って各ドメインが結合して成膜される3次元の成長形
態となる傾向にあり、このような場合には、核成長に伴
って貫通転位も伝搬するため、貫通転位が分散される傾
向にある。例えば、横方向成長層表面に、低欠陥密度領
域、高欠陥密度領域が設けられ、その下地層の上に厚膜
の窒化物半導体をHVPEで成長させると、貫通転位の
分布が分散されて、厚膜の窒化物半導体層表面では、平
均化されて一様な分布を示すものとなる。このような成
長形態は、HVPEの成長速度を大きくすることで、得
られる傾向にあり、具体的には、10μm/hr以上の
成長速度で成長させると、この貫通転位の分散が確認さ
れる傾向にある。また、このような成長形態は、異種基
板、若しくは単体基板との反りを変化させることがで
き、成長形態が変化することで内部ひずみ、クラックな
ども変化する。
【0017】またこの第1の窒化物半導体層12を成長
させるとき、n型導電性を得るには、SiあるいはSn
のn型不純物をドープすることが好ましい。これは第1
の窒化物半導体層を単体基板として、素子構造と対向す
る第1の窒化物半導体基板面側に、n電極を形成する場
合に、良好なオーミック性を確保できる。このSiまた
はSnのn型不純物は、5×1016/cm〜5×1
21/cmの範囲でドープすることが好ましい。5
×1016/cmより少ないと、オーミック性が悪く
なってしまい、また5×1021/cmより多いと、
不純物濃度が大きいために結晶性が悪くなり、結晶欠陥
が増大する傾向にあり、厚膜で良好な結晶が得ることが
困難となるからである。さらに好ましい範囲としては、
1×10 17/cm以上1×1020/cm以下の
範囲であり、この範囲であれば、第1の窒化物半導体層
を100μm以上の膜厚でも良好な結晶性で成長でき、
また良好なn型導電性を確保して、オーミック接触を電
極との間に形成することができる。
【0018】第1の窒化物半導体層の組成としては、特
に限定されず、上述したよう窒化物半導体と同様に、I
AlGa1−x−yN(0≦x≦1,0≦y≦
1,0≦x+y≦1)で表されるもの、また3族元素と
してBを用いたり、5族元素のNの一部を、As、Pで
置換した混晶を用いることができ、好ましくは2元、若
しくは3元混晶のInGa1−xN(0≦x≦1)、
AlGa1−yN(0≦y≦1)を用いることで、良
好な結晶性が得られる。更に好ましくは、AlGa
1−yN(0≦y≦1)を用いることで、上述したよう
な厚膜でも結晶性を良好なものとできる。更に、第1の
窒化物半導体層の形成に、HVPE法を用いる場合に
は、3元混晶よりも2元混晶を用いることが成長速度、
成長、及び結晶性を良好なものとでき、具体的には、G
aN、及びAlNが好ましく用いられる。また、第1の
窒化物半導体層をHVPEにより形成すると、横方向成
長層の形成により、面内に、貫通転位の少ない領域と多
い領域に分布した表面から、第1の窒化物半導体層表面
に貫通転位分布が分散する傾向にある。 [下地層11]本発明では、第1の窒化物半導体層を異
種基板上に形成する際に、異種基板10と第1の窒化物
半導体層12との間に、図1(b)に示すように、下地
層11を設けても良い。この下地層11は、第1の窒化
物半導体層12と異種基板との格子不整合の緩和、結晶
欠陥の低減、良好な結晶成長を主な目的として形成す
る。下地層として具体的には、以下のものが挙げられ
る。
【0019】異種基板の表面に、最初に低温成長バッフ
ァ層を形成した後、単結晶成長できる温度で、他の下地
層、第1の窒化物半導体層を形成すると、異種基板への
窒化物半導体の成長を、両者に格子不整合があっても良
好なものとできる。このため、本発明において、異種基
板材料により用いなくても良い場合もあるが、好ましく
は低温成長バッファ層を下地層として設けることが好ま
しい。この低温バッファ層とは、その上に成長させる窒
化物半導体層の成長温度よりも低温で成長させるもので
あり、具体的にはAlN、GaN、AlGaN、InG
aN等が用いられ、300℃以上900℃以下の温度
で、膜厚10Å(オングストローム)以上0.5μm以
下の範囲で形成される。この時、好ましい低温成長バッ
ファ層の組成としては、AlGa1−yN(0≦y<
1)を用いることで、さらに良好な単結晶成長、例えば
第1の窒化物半導体層の成長が可能となる。この低温成
長バッファ層は、アンドープであっても、p型、n型不
純物をドープしても、どちらでも良いが、好ましくは、
アンドープで形成すると良好な結晶性が得られる傾向に
ある。また、低温成長バッファ層の上に、形成する場合
には、それよりも高温で単結晶成長可能な温度、具体的
には800℃以上1200℃以下の温度範囲で成長させ
る。
【0020】また、下地層として、異種基板上、さらに
は上述した低温成長バッファ層の上に、更に別の窒化物
半導体を形成しても良い。この時、異種基板10と第1
の窒化物半導体12との間に設けられる下地層11とし
ては、好ましくはAlGa 1−yN(0≦y<1)を
用いることで、良好な結晶性の第1の窒化物半導体を形
成することができる。更に好ましくは、Al混晶比yが
0.3以下のAlGa1−yN(0≦y<1)若しく
はGaNを用いることで良好な結晶性でもって、第1の
窒化物半導体を形成できる。この下地層は、低温成長バ
ッファ層と同様に、p、n型不純物ドープ、アンドープ
としても良く、好ましくはアンドープで成長させること
で結晶性が良好となる。また、単体基板とする際に、素
子構造が形成された面と対向する基板面に、n電極を形
成し、下地層を第1の窒化物半導体層と共に残す場合に
は、第1の窒化物半導体層と同様に、Si、Snをドー
プすることで、n型導電性を確保することができる。
【0021】更に、下地層として、上述したもの以外
に、貫通転位を低減させる目的で、ELOG、ELO
(Epitaxitial Lateral OverGrowth)として知られる横
方向成長を用いた下地層(横方向成長層)を形成しても
良い。具体的には、異種基板、若しくは低温成長バッフ
ァ層、下地層の上に形成する。代表的な横方向成長方
法、横方向成長層としは、図3の模式断面図にしめすよ
うに、下地層412の窒化物半導体層表面にマスク41
8を設けて(図7(a))、マスク418開口部から窒
化物半導体413aを成長させ(図7(b))、マスク
418上部で横方向の成長をさせ、そして、それぞれの
マスク開口部から成長した窒化物半導体413aがマス
ク418上部で接合して(図7(c))、成膜される。
また、別の方法では、図7(x)〜(z)に示すよう
に、窒化物半導体の下地層412に凹凸を設けるか、若
しくは島状に異種基板410上に点在させて、凸部若し
くは島部の窒化物半導体412を起点として、そこから
選択的に成長させることで、図7(y)の矢印に示すよ
うに横方向への成長をさせて、それらが、接合すること
で成膜されるものとなる。このいずれの方法において
も、形成される横方向成長層は、横方向成長時に、貫通
転位も横に伝搬して横方向に延び、膜厚方向に伝搬する
貫通転位を低減させることができる。このため、このよ
うな横方向成長層を下地層に用いると貫通転位を低減で
き好ましく、またこの横方向成長層を用いる場合には、
異種基板除去工程で、横方向成長層を除去することが好
ましい。これは、上記したように、横方向成長層は、横
方向成長を伴って成膜されるため、内部に歪、応力が多
く内在する傾向にあり、単体基板を取り出す際に、この
横方向成長層を残すと反り発生の原因となるからであ
る。
【0022】また、この横方向成長層を成長させる領域
(図7におけるマスク開口部、凸部、島状部)の形状と
しては、ストライプ状、碁盤目状、ドット状、窒化物半
導体の結晶方位に合わせた六角形状に形成できる。好ま
しい形状としては、ストライプ状であり、得られる表面
がより平坦に成膜され好ましい。ここで、ストライプ状
とする場合、例えばマスク領域の幅(ストライプ幅、凹
部の幅、横方向成長領域)を3μm以上20μm以下、
好ましくは10μm以上19μm以下であり、開口部の
幅(ストライプ間隔、凸部の幅)を1μm以上20μm
以下、好ましくは1以上10μm以下であるものを形成
することであり、このようなストライプ形状を有してい
ると、転位の低減と表面状態を良好にする点で好まし
い。また、図7(x)〜(z)に示す、横方向成長の起
点として凸部、島状部の窒化物半導体を設ける際には、
具体的な方法として、エッチング技術、ダイシング技術
を用いて所望のパターンの凹凸を形成する。マスク領域
として、窒化物半導体の成長が不可能か困難な保護膜を
設ける場合における保護膜材料としては、例えば酸化
物、金属、フッ化物、窒化物、等が挙げられる。例えば
具体的には酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(Si
)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム
(ZrO)等の酸化物、窒化物、またこれらの多層
膜、金属等を用いることができ、好ましくは、SiO
及びSiNが挙げられる。また、これらの保護膜を形成
する方法としては、従来知られている蒸着、スパッタ、
CVD等の成膜技術を用いることができる。
【0023】横方向成長層をストライプ状のマスク領
域、凸部領域とする場合において、C面を主面とするサ
ファイア、A面を主面とするサファイア、又は(11
1)面を主面とするスピネルを異種基板として用いるこ
とが好ましい。以下、それぞれの異種基板を用いる場合
について説明すると、C面を主面とするサファイアであ
るとき、マスク領域のストライプが、そのサファイアの
A面に対してほぼ垂直な方向にストライプ方向を有して
いることが好ましく、また、第1の主面がサファイアC
面からオフアングルしている場合にはオフ角を0.1°
以上0.5°以下の範囲、好ましくは0.1°以上0.
2°以下の範囲とすることで良好な横方向成長が実現さ
れる。またA面を主面とするサファイアであるとき、マ
スク領域のストライプが、そのサファイアのR面に対し
てほぼ垂直な方向にストライプ方向を有していることが
好ましく、また(111)面を主面とするスピネルであ
るとき、マスク領域のストライプが、そのスピネル(M
gAl)の(110)面に対してほぼ垂直な方向
にストライプ方向を有していることが好ましい。なぜな
ら、異種基板とマスク領域のストライプ方向が上記組み
合わせであると、基板面内(異種基板の第1の主面に平
行な面内)において、窒化物半導体の成長が異方性を有
し、選択成長層の横方向の成長(ストライプ方向に垂直
な方向)が窒化物半導体の成長容易な方向となり、好ま
しいELOG成長が実現されるからである。 [溝部形成工程]以上説明したように、本発明では、異
種基板10上に成長層30が形成され、更に、異種基板
の第2の主面側に溝部が形成されたウエハを用いて、亀
裂形成工程、基板除去工程を経ることにより、窒化物半
導体単体基板を得るものである。このため、溝部を形成
する溝部形成工程は、例えば、予め溝を形成した異種基
板に成長層30を形成しても良く、異種基板の上に成長
層を形成した後に溝部形成工程を具えても良く、成長層
形成前と後で、溝部をそれぞれ形成しても良い。成長層
形成前と後で溝部を形成する例としては、成長層形成前
に第2の主面に部分的に溝部(第1の溝部)を設けて、
更に成長層形成後に新たに第1の溝部と異なる溝部(第
2の溝部)を設ける方法、別の例では、成長層形成前に
一定の深さまで溝部を設けた後、成長層形成後に更にそ
れよりも溝部を深くする方法、若しくはこの例を組み合
わせた方法を採ることも可能である。また、成長層は、
上述したように、低温成長バッファ層、横方向成長層な
どの下地層、第1の窒化物半導体層、また後述する素子
形成層、第2の窒化物半導体層など様々な層が設けられ
るが、これらの層を形成する間に溝部形成工程を具える
こともできる。具体例としては、異種基板10の上に、
下地層11を形成した後、溝部形成工程を経て、第1の
窒化物半導体層を成長させることもできる。すなわち、
溝部形成工程は、本発明において、特にその順序が限定
されず、亀裂形成工程よりも前に、溝部が設けられてい
れば良い。以下に、成長層形成後に、溝部形成工程を経
て、溝部を設ける実施形態について説明するが、上述し
たどの段階における溝部形成工程にも適用できる。
【0024】第1の窒化物半導体層12を含む成長層3
0を、異種基板の第1主面上に形成した後、図3(a)
のハッチングを施した領域として示すように、溝20を
異種基板上の成長層30が露出されない深さで形成す
る。これにより、図3(b)に示すように、異種基板1
0の第2の主面に凹凸が形成され、凹部が溝部20とな
る。この時、溝部20は、少なくとも一部が成長層30
に達しない深さで形成される必要があり、好ましくは全
ての溝部20において、成長層30に達しない深さで溝
部を形成する。これは、上述したように、成長層及び異
種基板の材料、膜厚により異なるが、第1の窒化物半導
体層を単体基板化するため上記膜厚であるような場合、
基板には、図に示すような反りが発生しており、第2の
主面側から、後述する異種基板を除去する手段では、反
りの影響を受けて、第2の主面内で深さにばらつきが生
まれる。このため、面内で部分的に、成長層に達する溝
部が形成される場合もある。しかしながら、好ましく
は、全ての溝部が、成長層に達しない深さで設けること
であり、なぜなら、成長層に達する深さで溝部を形成す
ると、成長層に割れが発生し、ウエハの割れにつながる
場合があり、成長層を単体基板として、取り出すことが
困難となるからである。ここで、溝部が成長層に達して
もウエハが割れない場合もあり、これは異種基板及び成
長層の材料、層構成などに依存し、必ずしも溝部が成長
層に達した際に割れが発生するものではないが、ウエハ
が割れて不良品の発生率を高める傾向にある。
【0025】従って、溝部が成長層に達してもウエハに
割れが発生しない場合があるため、成長層に割れが発生
しない程度に、少なくとも溝部の一部を成長層に達しな
い深さで形成し、好ましくは、全ての溝部が成長層に達
しない深さで形成する。ここで、成長層に達する深さと
は、溝部内で成長層が露出される深さを指す。また、溝
部の深さは、図3(b)に示すように、溝部20の底面
から成長層まで、若しくは成長層と異種基板との界面ま
での距離をtとした場合に、後述する亀裂形成工程の亀
裂形成手段にも依存し、特に限定されるものではない
が、0<t≦50μmの範囲とすることである。これ
は、tが50μmを超えると後に続く亀裂形成工程にお
いて、成長層に伸びる亀裂を形成することが困難となる
傾向にあり、サファイア、スピネルなどの材料のよう
に、基板材料が堅く、加工性に乏しい材料においては、
大きな力を加えて亀裂を発生させても、成長層を貫通し
てウエハの割れにつながる傾向にあるためである。ま
た、好ましくは距離tを、0<t≦20μmとすること
であり、これにより、上記堅く、加工性に乏しい基板材
料においても、亀裂形成工程において、基板除去に優れ
る亀裂を形成し、ウエハ、成長層が割れない溝部とでき
る。また、更に好ましくは、10μm以下とすること
で、更に亀裂形成工程、基板除去工程において有利とな
るが、一方で、上述したようにウエハの反りが発生して
いることによる溝部の深さにばらつきが発生し、精度良
く溝部の深さを制御することが困難であり、また加工精
度に劣る基板材料、若しくは堅く、脆いサファイア、ス
ピネルなどの基板材料では、距離tを小さくすると成長
層、ウエハに割れが発生するため、距離tを小さいと問
題も発生する。そのため、好ましくは5μm以上20μ
m以下の範囲とすることであり、この範囲内に各溝部深
さが収まるように形成する。
【0026】また、溝部を形成した基板は、別の効果が
期待できる。それは、溝部が設けられることで、異種基
板10の第2の主面側で、ウエハに反りが発生した際に
かかる応力が変化し、基板の反りを緩和させる効果を得
ることもできる。具体的には、図3(a)で溝部を設け
ることにより、図3(b)に示すように、基板の反りが
緩和されるものである。これは、上述したように異種基
板及び成長層の材料、膜厚により様々な形態が存在し、
異種基板と成長層との界面に主に熱膨張係数差、格子定
数差に起因するひずみ、応力が発生することによるもの
であり、異種基板の第2の主面側では、界面と逆方向に
応力が掛かり、第2の主面側の形状変化がその表面内に
かかる力を変化させていると考えられる。具体的には、
基板の反り緩和機構は、明らかではないものの、第2の
主面側に溝部が形成されることで、表面積が増大し、ま
た溝部が形成され、表面に凹凸が形成されることで、第
2の主面側での弾性が変化したことが要因とも考えられ
る。このような、反り緩和は、後に続く、亀裂形成工
程、基板除去工程において、ウエハの取り扱いを容易に
し、また、反りが少ないことで、上記各工程における不
良の発生を低くさせることが可能となる。また、上述し
たように、成長層の形成途中で、溝部を設ける場合に
は、反りを抑制した基板上に、窒化物半導体を成長させ
ることとなり、またエッチングによる加工をすることと
なり、反りが発生した基板で基板中央部と基板の端部と
で高さが異なることによる成長不良、加工不良の発生を
も抑制できる。
【0027】また、このような反り緩和は、溝部の大き
さ、形状、パターンにより変化させることができ、反り
の緩和が起こらない場合もある。ウエハ(基板)の反り
は、上述したように、異種基板の膜厚と成長層の膜厚及
びそれらの材料により相対的に決まるものであるため、
この反りの状態により、溝部の大きさ、形状、パターン
を適宜決定すると良い。例えば、実施例1に示す程度の
溝部では、表面積の増加よりも、溝部により部分的に異
種基板の膜厚が小さくなったことによる影響が大きく、
反りが僅かに大きくなる傾向にある。このように、溝部
による反りの変化は、溝部の形状、深さ、パターン、ピ
ッチにより、また異種基板と成長層との膜厚比により決
定される。
【0028】ここで、具体的には、溝部の形状として、
ストライプ状、格子状、ドット状、円形状、などがあ
り、好ましくは、溝の形成方法にもよるが、ストライプ
状、若しくは少なくとも2方向以上のストライプを設け
た格子状、すなわち交差したストライプによる格子状に
形成する。また、溝部は、基板表面に部分的に形成して
も良く、基板のほぼ全面に形成しても良く、規則的、不
規則的なパターンで形成しても良い。ここで、部分的に
溝部を設けるとは、第2の主面内において、例えば、溝
部が面内に占める割合(面積比)を考えた場合に、面の
中央部で面積比を大きくし、中央部から離れ、端部に至
る領域で面積比を小さくした形態、またそれとは逆に、
中央部付近を溝部の面積比を小さくして、端部付近を大
きくした形態、若しくは面内の一部の領域に溝部を設け
て(溝部形成領域)、残りの領域に溝部を設けない形
態、などがある。また、不規則なパターンとしては、ス
トライプの場合には、ストライプの間隔(ピッチ)を面
内で変化させる形態、格子状とする場合には、格子の形
状、若しくは格子で囲まれた領域(凸部領域)の形状を
面内で変化させる形態、上記面積比を変化させる形態な
どがある。この時、溝形成工程後のウエハ(基板)は、
すなわち亀裂形成工程前のウエハとしては、図9に示す
ように、溝部20が設けられることで、異種基板10の
第2の主面側に、凹凸が形成される。すなわち、後述す
る亀裂形成工程、基板除去工程において、異種基板10
に溝部20が設けられていることにより、亀裂の形成を
容易にし、また、亀裂を増幅させ、成長層との分離を可
能とさせる。
【0029】また、溝部の形成方法としては、特に限定
されないが、エッチング、ダイシング、ワイヤーソー、
スクライブなどの方法を用いることができ、好ましく
は、ダイシングで形成することで、比較的容易に溝部を
形成することができる。
【0030】また、溝形成工程は、成長層として少なく
とも第1の窒化物半導体層を形成した後であれば、いつ
でも良く、例えば第1の窒化物半導体層12形成後、素
子構造13を形成した(素子形成工程)後でも良く、素
子構造を形成した後、素子をエッチングなどで加工した
(素子加工工程)の後でも良い。 [亀裂形成工程]本発明の亀裂形成工程は、図1
(b)、(d)に示すように、異種基板10において、
主に溝部20の底面から、成長層30に向かって伸びる
亀裂を形成するものである。
【0031】具体的な亀裂の形成方法としては、溝部2
0の底面において、スクラバーなどの機械的な方法によ
り、切り欠きを設ける、若しくは外力を加えて亀裂を形
成してもよく、熱処理若しくは熱衝撃、超音波等による
衝撃により亀裂を設けても良い。また、溝部形成時に、
亀裂を設けることも可能であるが、溝部形成時の亀裂
は、成長層30を貫通する亀裂となり、ウエハが割れる
場合が多い。また図2に示すように、基板、ウエハの反
りを利用して、亀裂を形成してもよい。この方法は、上
述したように、基板の反りは、異種基板と成長層との膜
厚の相対比を変化させることにより、反りを変化させる
ことができることを利用するものであり、図2に示すよ
うに、成長層を厚くすること、もしくは異種基板を薄く
するなどして、異種基板と成長層との界面にかかる応力
を変化させ、この応力変化が溝部20内で集中的にかか
ることで、亀裂を発生させることができる。異種基板の
一部を除去して薄くすることにより亀裂を形成する場合
には、後述の基板除去工程と同時に、すなわち、基板を
除去する過程で亀裂形成工程が実施される。また、成長
層30を厚くすることで、亀裂を形成する場合には、溝
部形成工程の後に、第1の窒化物半導体層12b、もし
くは後述する第2の窒化物半導体層の形成により、成長
層30を厚膜化することで、亀裂を形成することができ
る。ここで、図2(a)は、溝部20が設けられた基板
において、成長層30を厚膜化する様子(図中の矢印)
を示す模式断面図で、ここでは第1の窒化物半導体層1
2bが形成されて成長層の膜厚を大きくしている。また
図2(b)は、溝部20が設けられた基板において、異
種基板10の一部を除去して薄くする様子(図中の矢
印、及び除去領域40)を示す模式断面図である。
【0032】ここで、亀裂形成工程において異種基板に
設けられる亀裂若しくは割れは、具体的には、図1
(d)に示すように、主に溝部20の底面付近に設けら
れるものとなる。また亀裂の形状としては、図に示すよ
うに、成長層30の方向に伸びる亀裂が形成されるもの
であり、異種基板と成長層30との界面に平行な方向以
外に伸びる亀裂が形成される。ここで、図1は、溝部2
0が設けられた基板に(図1(a))、亀裂形成工程に
より異種基板10に亀裂・割れを形成し(図1
(b))、異種基板10を除去する工程(図1(c))
を示す模式断面図であり、図1(d)は亀裂が設けられ
る様子(図1(b)の一部(点線部))を拡大して示す
模式断面図であり、図1(e)は異種基板10を除去し
て、薄くしていくことにより亀裂・割れが増殖する様子
を示すものである。
【0033】また、亀裂形成工程において設けられる亀
裂は、図1(d)に示すように、異種基板内だけに設け
られる亀裂でもよく、異種基板と成長層との界面付近に
まで伸びる亀裂であってもよく、成長層30に達する亀
裂が形成されてもよい。 [基板除去工程]本発明の基板除去工程は、前記亀裂形
成工程の後、若しくは上述したように亀裂形成工程と共
に実施するものであり、異種基板の少なくとも一部を、
好ましくはほぼ全てを除去するものである。図1(c)
の除去領域C、及び点線で示す領域における異種基板
を、除去することで、図1(c)に示すように、第1の
窒化物半導体層12を含む成長層だけの窒化物半導体単
体基板が得られる。この時、除去される異種基板は、溝
形成工程で残された溝部以外の領域の異種基板の少なく
とも一部を取り除くことであり、好ましくは、ほぼ全て
の異種基板を取り除く。少なくとも除去される一部の異
種基板とは、成長層が露出する深さで、部分的に取り除
かれるものであり、すなわち、成長層と異種基板との界
面において部分的に異種基板が残され、残りの領域で成
長層が露出される形態である。このように、異種基板の
一部が除去された基板においても、成長層が露出される
ため、これらの界面にかかる応力が除去されて、反りが
緩和された基板となる。この時、除去される一部の異種
基板は、素子形成工程、素子加工工程、若しくはチップ
を取り出す際の基板分割工程において、取り扱いが可能
な程度に、反りが軽減され、基板分割できる大きさで、
異種基板を除去するようにすることである。例えば、ウ
エハ周辺部を残し、それ以外の領域(中央部付近)の異
種基板を取り除くものであっても良い。好ましくは、全
ての異種基板を除去することで、窒化物半導体の単体基
板として取り扱うことが可能となる。以下、本発明にお
ける基板除去工程と亀裂・割れとの関係について説明す
る。
【0034】従来、異種基板を除去する上で問題となっ
ていたのは、図5に示すように、単体化できる程度の厚
膜からなる窒化物半導体の成長層30を形成した後に
(図5(a))、異種基板を除去して異種基板を薄くす
ると(図5(b)及び除去領域40)、図に示すように
ウエハの反りが大きくなり、結果として図5(c)に示
すようにウエハの割れにつながるものとなっていた。本
発明では、異種基板に亀裂が設けられた状態で、異種基
板を除去していくことにより、反りの悪化を防ぎ、ウエ
ハが割れることなく、異種基板を除去し、窒化物半導体
の単体基板を取り出すことを可能にする。これは、図1
(d)に示すように、亀裂・割れを形成した異種基板
に、異種基板除去工程により、異種基板の薄膜化、若し
くは外部からの衝撃を加えることで、図1(e)に示す
ように、亀裂・割れを増殖させて、異種基板が除去され
るため、反りを悪化させずに異種基板を除去することが
可能となる。上述したように、異種基板と成長層との界
面付近には、両者の格子不整合、熱膨張係数差などに起
因するひずみ、応力が掛かり反りが発生するが、亀裂の
形成、及び亀裂が増加することで、その界面付近にかか
る力が解放されながら、異種基板を除去することとな
り、ウエハが割れずに窒化物半導体を取り出すことが可
能となるものである。亀裂形成工程、異種基板の除去工
程の初期において、亀裂は、溝部20及びその底面から
異種基板の第1の主面に、すなわち異種基板と成長層と
の界面付近との間にわたる形状で設けられ、異種基板を
除去して薄膜化すること、若しくは衝撃を加えて異種基
板を除去することにより、ウエハの反りが変化すること
によりかかる力、及び衝撃は、溝部に集中し、亀裂・割
れが増殖して、異種基板の主面全面にわたって亀裂が形
成される。このように亀裂・割れが増加することで、両
者の界面付近にかかる応力を解放しながら、異種基板の
除去を可能とするものである。
【0035】図4は、溝部20がストライプ状に設けら
れ、その溝部20に亀裂・割れを形成した様子を示す模
式図であり、図では亀裂形成時若しくは異種基板除去工
程の初期における亀裂の面内分布を示すものである。溝
部20は、成長層と異種基板との界面に近いため、亀裂
が集中する傾向にあり、また異種基板除去工程が進行す
ることで、その亀裂が大きくなり異種基板と成長層とが
部分的に剥離され、また亀裂が溝部以外に増殖する作用
も働き、異種基板の除去を可能にする。
【0036】以上説明したように、異種基板除去工程に
おいて、亀裂が形成され、そのことにより、成長層と異
種基板との界面付近の応力が解放され、また部分的に剥
離されることで、窒化物半導体の単体基板が取り出され
るが、両者の界面付近での応力が解放された状態で、す
なわち、亀裂が設けられた異種基板を残したままで、ウ
エハを取り扱うこと、例えば素子構造の形成、エッチン
グなどによる素子構造の加工、後述する成長層の厚膜化
を実施することも可能となる。このように、基板除去工
程は、他の工程を具えて、段階的に実施することもでき
る。例えば、異種基板と成長層との界面付近に十分な割
れを形成し、部分的な剥離を発生させた状態では、その
反りは単体基板と同様に取り扱うことができるため、成
長層を更に厚膜化した後、残った異種基板を除去するこ
ともできる。
【0037】本発明の基板除去工程において、溝形成工
程と同じ、エッチング、スクライブ、ダイシングする方
法に加えて、研磨、研削、熱処理若しくは熱衝撃、超音
波等の衝撃により、異種基板を除去することができる。
好ましくは、研磨、研削により除去する方法であり、な
ぜなら、亀裂形成工程により、亀裂が設けられた異種基
板を研磨・研削して、異種基板を薄くすることにより、
異種基板と成長層との膜厚比を変化させ、それによる反
りの変化を誘発させる方が、上記亀裂の増殖、剥離を発
生させ易いためである。また、超音波などによる振動・
衝撃を用いる場合には、溝部が形成されていることによ
り、異種基板と成長層との界面に近い溝部に集中的に力
が加わり、亀裂が増殖され、部分的に剥離を引き起こす
ことができ、異種基板が除去することが可能となる。更
に、熱処理、熱衝撃による場合には、溝部が設けられる
ことで、異種基板と成長層との界面に近い溝部に直接熱
を加えることができることで、溝部底面付近における成
長層の窒化物半導体を熱分解させたり、若しくはウエハ
全体を熱した後、急冷する際に、異種基板と成長層との
界面近傍の溝部底面が直接熱処理されることで、熱衝撃
を効果的に、異種基板と成長層との界面に伝えることが
でき、亀裂を増殖させて、剥離を発生させ、異種基板を
除去することができる。また、熱処理の別の形態として
は、成長層を形成する反応炉である温度で反応させた
後、反応炉内を冷却する熱処理によっても亀裂の増殖、
部分的な剥離の発生を促すことができる。また、これら
異種基板の除去手段を組み合わせることも可能である。
【0038】このように、基板除去工程では、亀裂・割
れの増殖、部分的な剥離の発生させること、若しくは基
板の除去と同時にそれらを発生されることで、基板の反
りにより、ウエハが破壊されるのを防いで基板を除去す
るものである。すなわち、基板の除去において、反りに
よるウエハ破壊が問題とならない程度に、亀裂、剥離を
引き起こされていれば、基板の除去は、研磨などにより
容易に行えるものとなる。具体的には、上記研磨などの
異種基板を薄くする方法を採らない場合において、図5
に示すように従来問題となっていた基板除去によるウエ
ハ破壊が発生しないように、亀裂を発生させ、部分的な
剥離などで、基板除去が容易な状態を生み出したのち、
研磨などで基板を取り除くこともできる。
【0039】また、異種基板除去後に、図1(c)に示
すように、更に、下地層、第1の窒化物半導体層の一部
を除去して、残った第1の窒化物半導体層を窒化物半導
体単体基板とすることが好ましい。これは、上述した下
地層は、例えば、低温成長バッファ層、横方向成長層な
どは、異種基板と窒化物半導体(第1の窒化物半導体
層)との格子不整合の緩和、貫通転位の低減を目的とし
て形成されるため、異種基板除去後に、このような下地
層を残すと、窒化物半導体層単体基板に、下地層と第1
の窒化物半導体層との間に新たな応力の発生があるため
である。これは、低温成長バッファ層は、非晶質、多結
晶として形成されるため、内部に多くのひずみや転位を
有しており、また横方向成長層は、横方向成長により内
部にひずみを有しているため、第1の窒化物半導体層の
上に形成された素子構造の素子を駆動することによっ
て、ひずみや応力、また新たな貫通転位の発生源となる
傾向が有るため、このような下地層を除去することでこ
れらの問題を回避できる。更に、第1の窒化物半導体層
の一部を除去するのには、下地層と第1の窒化物半導体
層と、若しくは下地層を用いない場合には、異種基板と
第1の窒化物半導体層と、の界面近傍において、上述し
た下地層と同様に、内部ひずみ、応力、転位が存在する
傾向にあるため、これを取り除く目的で、第1の窒化物
半導体層の一部を除去することで、良好な窒化物半導体
素子の単体基板となる。このとき取り除く第1の窒化物
半導体層の一部は、特に限定されないが、1μm以上程
度であれば、上記問題を回避できる。
【0040】また、このような下地層は、上記亀裂が成
長層表面に伸びるのを防止する割れ防止層として機能さ
せることもできる。上述したように、亀裂は、溝部から
成長層方向に伸びて形成されるが、成長層に達している
亀裂が発生しても、異種基板の除去が可能であるために
は、異種基板除去工程により亀裂が成長層表面に向かっ
て伸びるのを防ぐ層を設けることが好ましい。それ以上
成長層表面方向に亀裂が伸びるのを防ぐことが可能な層
を設けることで、異種基板除去を歩留まり良く実施さ
れ、ウエハを割ることなく窒化物半導体の単体基板を取
り出すことが可能となる。具体的には、上記低温成長バ
ッファ層は、非晶質若しくは多結晶状に膜形成されるた
め、バッファ層内部において、結晶欠陥、粒界など結晶
の面方位が大きく異なる領域が多数存在することによ
り、亀裂が成長層表面に伸びるのを抑制しているのでは
ないかと考えられる。また上記横方向成長層についても
同様に、横方向成長による軸配向性などの結晶面方位の
変化、選択成長に用いたマスク材料の介在、により亀裂
が進行するのを防ぐ効果が有るのではないかと考えられ
る。実際には、亀裂の観察は困難で、亀裂が、異種基板
内にとどまっているのか、異種基板と成長層との界面で
ほぼ止まっているのか、成長層内部に達しているのか
は、詳しいことは不明ではあるが、上述した作用によ
り、上記界面若しくは下地層内に達する亀裂でもって、
基板除去が実現されているものと考えられる。 [素子構造、素子形成工程]本発明において、素子形成
工程は、窒化物半導体を、前記第1の窒化物半導体層の
上に積層して、素子構造13を形成するものであり、素
子形成工程は、前記溝形成工程の前でも後でも良く、ま
た基板除去工程の前でも後でも良い。素子形成工程で形
成される素子構造は、例えば、第1の窒化物半導体層1
2の上に、n型窒化物半導体層、活性層、p型窒化物半
導体層、等を形成するものである。 [素子加工工程(デバイス工程)]本発明において、素
子加工工程とは、例えば実施例に示すように、素子構造
を積層した後、レーザ素子に作りつけの導波路を形成す
る目的でエッチングを施したり、n電極形成面を露出さ
せるためにエッチングしたり、また各コンタクト層に電
極を形成したりすることである。 [単体基板の厚膜化]更に、本発明では、異種基板を除
去した後、取り出した窒化物半導体単体基板(第1の窒
化物半導体層)に更に、別の窒化物半導体層(第2の窒
化物半導体層14)を成長させて、基板を厚膜化するこ
ともできる。これは、図1(c)に示すように、異種基
板が除去されることで、異種基板に掛かっていた応力が
解放されることで、取り出された単体基板自身に応力が
掛かることとなり、反りを有するものとなる。この単体
基板に、更に窒化物半導体層(第2の窒化物半導体層1
4)を成長させることで、この反りを低減させることが
可能となる。これは、単体基板内に残る内部ひずみ、応
力が、その単体基板に更に第2の窒化物半導体層14を
成長させることで、第2の窒化物半導体層14と、単体
基板との間で応力の均衡がとれたり、第2の窒化物半導
体層14内部に、単体基板の反りを打ち消す、内部応力
・ひずみが発生することによるものと考えられる。異種
基板と第1の窒化物半導体層との間にも、このような関
係が発生し、いくらかの反り緩和機構が発生していると
考えられるが、異種材料であるため、熱膨張係数差など
の影響を大きく受けて、反り緩和にそれほど寄与しない
と考えられる。このような単体基板の反りを緩和する第
2の窒化物半導体層14の膜厚としては、特に限定され
ず、また単体基板の膜厚にも依存するが、100μm以
上、好ましくは200μm以上500μm以下の範囲で
形成すると良い。第2の窒化物半導体層14の組成は特
に限定されず、第1の窒化物半導体層と同様の組成の窒
化物半導体を用いることができる。また、第2の窒化物
半導体層14と単体基板(第1の窒化物半導体層)と
が、異なる組成でも良いが、好ましくは、同一組成で形
成することで良好な結晶性、反り緩和が得られ、更に、
第2の窒化物半導体層14の形成にHVPE法を用いる
場合には、第1の窒化物半導体層と同様に、AlN、G
aNが好ましく用いられる。また、この第2の窒化物半
導体層の膜厚は、上述したようにHVPEの成長形態に
より、その反り緩和、内在するひずみ、結晶欠陥などが
変化するため、これらを適度に調整することで、上述の
範囲よりも、さらなる厚膜化、例えば1mm以上とする
こともできる。
【0041】第2の窒化物半導体層14は、図10に示
すように、異種基板を除去した基板面に、形成しても良
く、第1の窒化物半導体層の成長表面(As grown面)に
形成しても良い。異種基板除去前に、素子構造を第1の
窒化物半導体層の上に形成している場合には、異種基板
を除去した基板面に第2の窒化物半導体層14を成長さ
せ、第1の窒化物半導体層表面が単体基板となる場合に
は、成長表面(異種基板を除去した基板面に対向する
面)に、第2の窒化物半導体層14を成長させること
で、良好な反り緩和が得られる傾向にあり好ましい。ま
た、このように、単体基板に第2の窒化物半導体層14
を成長させて厚膜化する厚膜化工程の後、再び、単体基
板を研磨などにより一部除去して薄膜化して(薄膜化工
程)も良く、これら厚膜化工程、薄膜化工程を複数回、
若しくは交互に繰り返してもよい。また、厚膜化工程の
際に、図10(a)〜(c)の段階を経て、上述した横
方向成長層11b´を介して第2の窒化物半導体層14
を成長させると、貫通転位の低減がなされ、これら厚膜
化工程、薄膜化工程を複数回、若しくは交互に繰り返す
ことで、貫通転位をさらに低減させることができる。
【0042】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0043】[実施例1]以下、実施例として図1に示
す模式断面図の窒化物半導体の製造方法について、順を
追って説明する。
【0044】窒化物半導体を成長させる異種基板とし
て、厚さが2mm、2インチφ、主面がC面から0.2
°ステップ状にオフアングルした基板で、オリエンテー
ションフラット面(以下、オリフラ面と記す)がA面の
サファイア基板を用意し、MOCVDの反応容器内にそ
のウエハをセットする。次に、温度を510℃にして、
キャリアガスに水素、原料ガスにアンモニアとTMG
(トリメチルガリウム)とを用い、図10(a)に示す
ように、異種基板10の第1の主面上にGaNよりなる
低温成長バッファ層(図示されていない)を約200Å
(オングストローム)の膜厚で第1の下地層11aとし
て成長させ、さらに温度を1050℃とし、原料ガスに
TMG、アンモニアを用い、アンドープのGaNよりな
る層を第2の下地層として、2.5μmの膜厚で成長さ
せる。
【0045】第1の下地層、第2の下地層を形成した
後、図3に示すようにして、横方向成長層を第3の下地
層11bとして形成する。横方向成長層としては図7
(a)〜(c)に示す順序に沿って形成する。第2の下
地層413を形成後、ウエハを反応容器から取り出
し、CVD装置に載置して、下地層413の上に選択
成長させるためマスク領域として保護膜418を形成す
る(図7(a))。この時、マスク領域となる保護膜4
18は、サファイア基板のオリフラ面(A面)にほぼ垂
直なストライプ状のSiO2膜を、幅14μm、間隔
(開口部の幅)6μmで、ウエハのほぼ全面に前記第2
の下地層413上に形成する。続いて、ウエハをMO
CVD反応容器内に戻し、温度1050℃、原料ガスT
MG、アンモニアを用いて、保護膜418の設けられて
いない非マスク領域表面、すなわち前記下地層13aが
露出している開口部の表面に、アンドープのGaNを1
5μmの膜厚で成長させ(図7(b),(c))、平坦
な表面有する窒化物半導体層(第3の下地層)413b
とする(図7(c))。この窒化物半導体基板の成長
は、初期段階において、選択的に前記非マスク領域だけ
に窒化物半導体が成長するが、ある程度の膜厚で成長す
ると、厚さ方向への成長に加えて、マスク領域の保護膜
418に向かう横方向(基板面内)に成長して、マスク
領域の上部が横方向成長した窒化物半導体によりふさが
れた結果、下地層413aの上に膜厚15μmの窒化物
半導体基板413bが形成される。
【0046】以上の第1〜3の下地層を下地層11とし
て異種基板上に形成した後、図10(a)に示すよう
に、厚膜の第1の窒化物半導体層12を形成する。ウエ
ハをHVPE装置に載置して、下地層の上にアンドープ
のGaNを約100μmの膜厚で成長させる。
【0047】第1の窒化物半導体層を成長させた(成長
工程)後、溝形成工程として、図3(b)でハッチング
を施した領域を除去して、図3(b)に示すように、溝
部を複数形成する。ここでは、ダイシングを用いて、溝
部の深さが、溝部底部と成長層との距離tが20μmと
なる深さで溝部を形成する。図に示すように、異種基板
上に100μmの窒化物半導体を形成することで、ウエ
ハには図に示すように、異種基板の第2の主面を凹面、
成長層表面を凸面とする反りが形成され、それにより溝
部の深さは、基板中央部で浅く、基板端部付近で深く形
成される。この時、溝部の幅は、300μmで、ストラ
イプ状に、溝部と溝部との幅(ピッチ)を5mmとし
て、溝部のストライプがウエハの端から端に達する長さ
で、ウエハ全面に約9本の溝部を設け、更に、ストライ
プの方向を変えて、これに交差するストライプを上記と
同様な条件でストライプ状の溝部を形成し、格子状の溝
部を形成する。これにより、図9に示すように、格子状
の溝部20が異種基板の第2の主面に形成される。
【0048】続いて、亀裂形成工程として、図1(b)
に示すように、溝部に亀裂を形成するが、ここでは、基
板除去工程と同時に実施する。図2(b)に示すよう
に、異種基板を矢印の方向に除去領域40を除去して、
薄くすることにより、反りを変化させることで、溝部の
底面付近から異種基板と成長層との界面付近に伸びる亀
裂・割れを発生させる。更に、異種基板を除去していく
ことにより、亀裂を増殖させ、部分的に異種基板が剥離
されながら異種基板を除去していくことで、反りによる
割れを防いで異種基板を完全に除去する。ここでは、異
種基板を除去する手段として、研磨を用いる。更に、第
1の窒化物半導体層の膜厚が80μmとなるまで、図1
(c)の除去領域C及び点線で囲まれた領域を研磨し
て、下地層と第1の窒化物半導体層の一部を除去する。
【0049】このようにして得られる窒化物半導体の単
体基板(第1の窒化物半導体層)は、図1(c)に示す
ように、異種基板を有している状態では、第1の窒化物
半導体層を含む成長層側を凸面とし、異種基板側に凹面
が形成された反りが、逆転して、除去面側を凸面とし、
第1の窒化物半導体層の成長表面を凹面側とする反りの
単体基板が得られる。このようにして、窒化物半導体の
単体基板は、割れや欠けが発生することなく、単体化で
きる。 [実施例2]実施例1で第1の窒化物半導体層を形成し
た後、図10(a)に示すように、異種基板10の上
に、バッファ層11a、横方向成長層11b、第1の窒
化物半導体層12を形成後、更に、図10(b)に示す
ように、第1の窒化物半導体層12の上に、実施例1と
同様に横方向成長層11b´を形成し、欠陥密度を低減
させる。この第1の窒化物半導体層を基板101、横方
向成長層11b´を下地層102とし、図6に模式断面
図に示す、以下の素子構造を(レーザ素子)積層して、
素子形成工程とする。
【0050】ここで、第1の窒化物半導体層、好ましく
は横方向成長層の上にバッファ層103として、Al混
晶比が0.01のアンドープAlGaNからなるバッフ
ァ層103を形成する。このバッファ層103は省略可
能であるが、第1の窒化物半導体層、その上に形成した
横方向成長層がGaNである場合に、それよりも熱膨張
係数の小さい窒化物半導体のAlGa1−aN(0<
a≦1)からなるバッファ層103を用いることで、ピ
ットを低減させることができるため、第1の窒化物半導
体層、その上に形成した横方向成長層の上にバッファ層
103を形成することが好ましい。このバッファ層10
3は、横方向成長層若しくは横方向成長層の上に形成し
た第1の窒化物半導体層のように、膜厚方向の成長と横
方向成長とを伴って成膜された窒化物半導体層に、ピッ
トが発生しやすい傾向があるが、それを防ぐ効果があ
る。好ましくは、横方向成長層の上にバッファ層を形成
する。
【0051】更にバッファ層103のAl混晶比aが、
0<a<0.3であると、結晶性を良好なものとしてバ
ッファ層を形成することができる。このバッファ層をn
側コンタクト層として形成しても良く、バッファ層10
3を形成した後、前記バッファ層の組成式で表されるn
側コンタクト層を形成して、バッファ層103とその上
のn側コンタクト層104にもバッファ効果を持たせる
形態でも良い。すなわち、このバッファ層103は、第
1の窒化物半導体層、若しくはその上に形成した横方向
成長層と素子構造との間、又は素子構造中の活性層と第
1の窒化物半導体層、若しくはその上に形成した横方向
成長層との間に設けること、さらに好ましくは素子構造
中の基板側、下部クラッド層と第1の窒化物半導体層、
若しくはその上に形成した横方向成長層との間に、少な
くとも1層以上設けることで、ピットを低減し、素子特
性を向上させることができる。また、n側コンタクト層
をバッファ層とする場合には、電極との良好なオーミッ
クコンタクトが得られるように、n側コンタクト層のA
l混晶比aを0.1以下とすることが好ましい。この第
1の窒化物半導体層、若しくはその上に形成した横方向
成長層の上に設けるバッファ層は、上述した異種基板上
に設けるバッファ層と同様に300℃以上900℃以下
の低温で成長させても良く、800℃以上1200℃以
下の温度で成長させても良く、好ましくは800℃以上
1200℃以下の温度で単結晶成長させると、上述した
ピット低減効果が得られる傾向にある。このバッファ層
は、n型、p型不純物をドープしても良く、アンドープ
でも良いが、結晶性を良好なものとするためにはアンド
ープで形成することが好ましい。2層以上のバッファ層
を設ける場合には、n型、p型不純物濃度、Al混晶比
を変化させて設けることができる。
【0052】n側コンタクト層104:膜厚4μm、S
iを3×1018/cmドープしたGaN若しくはA
0.01Ga0.99N クラック防止層105:膜厚0.15μmのIn
0.06Ga0.94N(省略してもよい) n側クラッド層106:総膜厚1.2μmの超格子構造
膜厚25ÅのアンドープAl0.0516Ga0.95
Nと、膜厚25Å、Siを1×1019/cm3ドープした
GaNと、を交互に積層する。
【0053】n側光ガイド層107:膜厚0.15μm
のアンドープGaN 活性層108:総膜厚550Åの多重量子井戸構造 S
iを5×1018/cmドープした膜厚140ÅのS
iドープIn0.05Ga0.95Nよりなる障壁層
(B)と、膜厚50ÅのアンドープIn0.13Ga
0.87Nよりなる井戸層(W)とを、(B)-(W)-(B)-(W)-
(B)の順に積層する。
【0054】p側電子閉込め層109:膜厚100Å、
Mgを1×1020/cmドープしたp型Al0.3
0.7N p側光ガイド層110:膜厚0.15μmのMgを1×
1018/cmドープしたp型GaN p側クラッド層111:総膜厚0.45μmの超格子構
造 膜厚25ÅのアンドープAl0.05Ga0.95
Nと、膜厚25ÅでMgを1×1020/cmドープし
たp型GaNと、を交互に積層する。
【0055】p側コンタクト層112:膜厚150Å、
Mgを2×1020/cmドープしたp型GaN このようにして素子構造を形成した後、以下の素子加工
工程を実施する。
【0056】素子構造を形成した後、MOCVD装置か
らウエハを取り出し、次に、積層した半導体層を、エッ
チングにより微細加工し、レーザ素子としての共振器構
造を形成する。図7に示すように、取り出したウエハ表
面(p側コンタクト層112表面)に所望のパターン状
のSiO膜をフォトリソグラフィー技術により形成
し、前記n側コンタクト層104が露出するまでエッチ
ングして、n電極形成面を設ける。次に、以下のように
して、n側コンタクト層103を露出させなかった領域
に、図6に示すリッジストライプを形成する。先ず、p
側コンタクト層112表面に、SiO2よりなるマスク
を形成し、フォトリソグラフィー技術により幅1.8μ
mのストライプ状のSiO2よりなるマスクとする。S
iCl4ガスを用いてRIEにより、p側コンタクト層
112、およびp側クラッド層111、p側光ガイド層
110の一部をエッチングして除去し、リッジストライ
プを形成後、さらにPVD装置にウエハを搬送してSi
2からなるマスクの上から形成したリッジストライプ
の露出した表面にかけて、Zr(主としてZrO2)よ
りなる保護膜162(埋込層)を0.5μm厚さで形成
し、ウエハをフッ酸に浸漬し、SiO2のマスクをリフ
トオフ法により除去する。このようにして、図6に示す
ようなストライプ状の導波路領域として、幅1.8μm
のリッジストライプが形成され、この時リッジストライ
プはp側光ガイド層が0.1μmの膜厚となる深さまで
形成されている。この時、埋込層は、Zrの酸化物に限
らず、Ti、V、Nb、Hf、Ta、Zrよりなる群か
ら選択された少なくとも一種の元素を含む酸化物、Si
N、BN、SiC、AlNの少なくとも一種、若しくは
それらを組み合わせたもの、上部クラッド層111と逆
導電型のn型、半絶縁性、i型の窒化物半導体(Inx
AlyGa1-x-yN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+
y≦1))を用いることができる。また、図7に示すよ
うに、リッジストライプは、下地層(横方向成長層)1
02の低欠陥密度領域内に設けられるように、その上方
に配置にする。窒化物半導体の埋込層を成長させる場合
には、リッジ及び埋込層の上に、p側コンタクト層を再
び形成しても良く、素子積層時に、p側コンタクト層を
形成せずに、埋込層形成後、p側コンタクト層を形成し
ても良い。
【0057】最後に、前記エッチングにより露出したn
側コンタクト層104、p側コンタクト層112表面に
それぞれTi/Alよりなるn電極121、Ni/Au
よりなるp電極120(図7に示すようにリッジストラ
イプ表面に設けられた保護膜162にわたって形成され
る)を形成する。次に、SiO2とTiO2よりなる誘電
体多層膜の反射膜164を設けた後、p,n電極上にN
i−Ti−Au(1000Å−1000Å−8000
Å)よりなる取り出し(パット)電極122,123を
それぞれ設けた。共振器反射面とするエッチング端面側
から約600μmの長さで、各電極に電気的に接合する
取り出し電極122,123を絶縁膜である反射膜16
4を介して形成する。この時、活性層108の幅は、2
00μmの幅(共振器方向に垂直な方向の幅)であり、
n側コンタクト層104露出時に設けられたエッチング
端面(活性層端面を含む)にもSiO2とTiO2よりな
る誘電体多層膜164が設けられ、共振器面とした場合
に反射膜となる。
【0058】以上のように、素子形成工程、素子加工工
程を経た後、実施例1と同様に、溝形成工程、亀裂形成
工程及び基板除去工程を実施して、基板(第1の窒化物
半導体層)が単体化され、その上に素子構造が形成され
たウエハを得る。基板が単体化されているため、チップ
の取り出しに、窒化物半導体の劈開面を利用することが
できる。基板除去工程の後、ストライプ状の電極(共振
器方向)に垂直な方向で、単体基板(第1の窒化物半導
体層、ここではGaN)のM面(窒化物半導体を六方晶
系で近似した時のM面、{1 1- 0 0})、でバー状に分
割して、更にバー状のウエハを分割してレーザ素子を得
る。この時、共振器長は、650μmである。バー状に
する際に、エッチング端面に挟まれた導波路領域内で劈
開して、得られた劈開面を共振器面としても良く、導波
路領域の外で劈開してエッチング端面を共振器面として
も良く、一方をエッチング端面、他方を劈開面とした1
対の共振器面を形成しても良い。また、上記エッチング
端面の共振面には誘電体多層膜からなる反射膜が設けら
れるが、劈開面の共振器面にも、劈開後に反射膜を設け
ても良い。この時、反射膜としては、SiO、TiO
、ZrO、ZnO、Al、MgO、ポリイミ
ドからなる群の少なくとも一種用いることであり、λ/
4n(λは波長、nは材料の屈折率)の膜厚で積層した
多層膜としても良く、1層だけ用いても良く、反射膜と
同時に共振器端面の露出を防ぐ表面保護膜としても機能
させても良い。表面保護膜として機能させるには、λ/
2nの膜厚で形成すると良い。また、素子加工工程で、
エッチング端面を形成せずに、すなわち、n電極形成面
(n側コンタクト層)だけを露出させ、一対の劈開面を
共振器面とするレーザ素子としても良い。バー状のウエ
ハを更に分割する際にも、窒化物半導体(単体基板)の
劈開面を用いることができ、バー状に劈開したときの劈
開面に垂直な窒化物半導体(GaN)のM面、A面
({1010})で劈開して、チップを取り出しても良
く、また、バー状に劈開する際に、窒化物半導体のA面
を用いても良い。得られるレーザ素子は、室温で閾値電
流密度2.5kA/cm2、閾値電圧4.5Vで、発振波
長405nm、30mWの連続発振で、1000時間を
超える長寿命、高出力のレーザ素子が得られる。
【0059】このように、素子形成工程後に、溝形成工
程、基板除去工程を経て、基板を単体化することで、窒
化物半導体の劈開面を利用した基板切断が可能となり、
レーザ素子をフェースアップでヒートシンクにボンディ
ングする際には、熱伝導性の悪いサファイア基板を用い
ていないため、優れた放熱性を示し、長寿命化がはかれ
る。以上では、素子構造として、レーザ素子を用いた
が、ガイド層、若しくはガイド層とクラッド層とを除い
た素子構造を積層して、LED素子としても良く、ま
た、レーザ素子を端面発光LEDとしても良く、その他
の窒化物半導体素子にも適用できる。端面発光LEDと
する場合には、導波路を劈開面、若しくはエッチング端
面と平行としないで、設けることで容易に得られる。 [実施例3]実施例1で得られた単体基板の上(成長層
表面側)に、図10に示すように、第2の窒化物半導体
層14として、アンドープのGaNを300μmの膜厚
で形成し、膜厚約350μmの窒化物半導体単体基板を
得る。得られる単体基板は、第2の窒化物半導体層を成
長させることで、異種基板を除去しただけの単体基板
(実施例1)に比べて、反りの緩和された単体基板とな
る。
【0060】また、これとは逆に、単体基板の異種基板
除去した基板面側に、第2の窒化物半導体層を成長させ
ても、同様に基板の反りが緩和される。 [実施例4]実施例1において、亀裂形成工程として、
溝部の底面に、スクライバーを当て擦り、亀裂を形成し
た後、基板除去工程を経る他は、実施例1と同様にして
単体基板を得る。基板除去工程においては、実施例1と
ほぼ同様にして単体化が可能であるが、スクライバーを
当てこする際に、微妙な力加減を必要とし、作業が煩雑
となり、また、亀裂形成工程においてウエハが割れる場
合もある。このため、亀裂形成工程と基板除去工程とを
同時に実施する実施例1の方が歩留まり良く製造でき
る。 [実施例5]実施例1において、下地層を形成した後、
図10において、横方向成長層11b(15μm)の一
部として第1の窒化鬱半導体層12、5μmを形成す
る。すなわち、横方向成長層11bでは、成長初期に横
方向への成長がなされ、実施例1では10μmまでの領
域で横方向、膜厚方向への成長でもって成膜され、残り
5μmは、ほぼ膜厚方向への成長だけであり、この実施
例ではこの膜厚方向への成長層を第1の窒化物半導体層
とする。続いて、実施例1と同様に溝部形成工程を実施
して、溝部を異種基板の第2の主面に設ける。
【0061】このようにして、第1の窒化物半導体層ま
で成長させた後、HVPE反応装置に移し、図2(a)
に示すように、成長層30の厚膜化、すなわち、第1の
窒化物半導体層12aに対して、第1の窒化物半導体層
12bまで厚膜化する。ここでは、第1の窒化物半導体
層12bをアンドープGaN、400μmで形成する。
【0062】成長層30を厚膜化した後、HVPE反応
炉内で、成長時の温度から、室温まで放冷して、亀裂の
形成及び亀裂の増殖が行う。これは、図2(c)に示す
ように、厚膜の成長層を反応装置内で、ある成長温度で
形成し、成長層を厚膜化する前後における異種基板と成
長層の膜厚比の変化、及び、冷却することによる成長層
と異種基板との熱膨張係数差により、成長層と異種基板
との間の応力を変化させ、またウエハの反りを変化させ
る。これにより、溝部20付近で、亀裂が発生し、更に
冷却により、亀裂の増殖、基板面内における部分的な剥
離を発生させる。
【0063】これにより、得られるウエハは、図4にお
いて、亀裂・割れ42が、ウエハの全面に形成され、部
分的に剥離が発生されたウエハとなる。反応装置から取
り出したウエハを、研磨して、実施例1と同様に、異種
基板、下地層を除去して、単体基板を得る。このよう
に、成長層を厚膜化して、熱処理を加えることで、亀裂
の形成(亀裂形成工程)を実施し、さらにその亀裂を増
殖、剥離させることで、すなわち、異種基板と成長層と
界面にかかる応力が解放されることで、異種基板の除去
は、従来と異なり、ウエハが破壊されることなく、窒化
物半導体単体基板を得ることができる。 [比較例1]実施例1において、溝形成工程を具備せず
に、図5に示すように、第1の窒化物半導体層12形成
後、異種基板を、第2の主面側から、研磨により異種基
板を除去していき、全ての異種基板を除去する(図5
(b)、(c))。このように、溝を設けずに異種基板
を除去すると、ウエハの反りが大きくなり、成長層に達
する前に、殆どの場合、異種基板及び成長層に割れが発
生し、また、割れなかった部分でも成長層に亀裂が発生
し、単体基板をウエハの大きさで取り出すことができ
ず、また、破片としても取り出すことが困難である。 [比較例2]実施例5において、溝部を設けない他は、
実施例5と同様に、図5(x)に示すように、成長層3
0を厚膜化する。HVPE反応装置から取り出したウエ
ハは、図5(y)に示すように、両者の膜厚比の変化、
及び熱膨張係数差により、ウエハは部分的に割れが発生
し、分離されたり、また成長層30の深くまで伸びる亀
裂42・割れ41が形成されたものとなり、異種基板の
除去によって、ウエハが破壊されるものとなる。
【0064】
【発明の効果】本発明の製造方法により、従来困難であ
った異種基板の除去が、亀裂を増殖させることで、容易
となり、窒化物半導体単体基板を得ることができる。さ
らに、本発明の製造方法では、従来問題であった異種基
板を用いることによる基板の反りを亀裂の増殖により緩
和しているため、反りの緩和されたウエハを扱うことで
製造上有利となり、容易に窒化物半導体の単体基板を得
ることができる。
【0065】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法を説明する模式断面図。
【図2】本発明の製造方法において亀裂形成工程を説明
する模式断面図。
【図3】本発明の製造方法において溝部の形成を説明す
る模式断面図。
【図4】本発明の製造方法における一実施形態を説明す
る模式図。
【図5】従来の製造方法を説明する模式断面図。
【図6】本発明の製造方法の1実施形態を説明する模式
断面図。
【図7】本発明に用いる横方向成長層を説明する模式断
面図。
【図8】本発明の製造方法の1実施形態を説明する模式
図。
【図9】本発明の製造方法の1実施形態を説明する模式
図。
【図10】本発明の製造方法の1実施形態を説明する模
式断面図。
【符号の説明】
10・・・・異種基板、 11・・・・下地層、 12
・・・・第1の窒化物半導体層、 13・・・・素子構
造、 14・・・・第2の窒化物半導体層、 20・・
・・溝部、 30・・・・成長層、 40・・・・除去
領域、 41,42・・・・亀裂・割れ
フロントページの続き Fターム(参考) 4M104 AA04 AA09 BB05 BB14 CC01 EE05 EE16 FF13 FF17 GG04 5F052 KA01 KA05 5F073 CA17 CB04 CB05 DA05 DA07 EA28

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化物半導体と異なる材料よりなると共
    に、第1の主面と第2の主面とを有する異種基板の第1
    の主面上に、少なくとも第1の窒化物半導体層を有する
    成長層が設けられ、前記第2の主面側から前記成長層が
    露出されない深さで溝部が設けられた基板に、該溝部の
    底部から成長層に伸びる亀裂若しくは割れを形成する亀
    裂形成工程と、 亀裂形成後、前記第2の主面側から異種基板を除去し
    て、成長層を露出させる基板除去工程と、を少なくとも
    具備してなる窒化物半導体基板の製造方法。
  2. 【請求項2】前記溝部形成工程において、溝部底部と成
    長層との間dが、0<d≦50μmであることを特徴と
    する請求項1記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  3. 【請求項3】前記亀裂形成工程において、前記第2の主
    面側から異種基板を除去して、異種基板の厚さを小さく
    することにより亀裂を形成することを特徴とする請求項
    1又は2記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  4. 【請求項4】前記亀裂形成工程において、成長層の膜厚
    を大きくすることにより亀裂を形成することを特徴とす
    る請求項1又は2記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  5. 【請求項5】前記溝部は、異種基板の第1の主面の上
    に、成長層を形成した後、第2の主面側に異種基板の一
    部を除去して溝部を形成することを特徴とする請求項1
    乃至4記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  6. 【請求項6】前記第1の窒化物半導体層の膜厚が50μ
    m以上であることを特徴とする請求項1乃至5記載の窒
    化物半導体基板の製造方法。
  7. 【請求項7】前記異種基板の膜厚が、0.3mm以上5
    mm以下の範囲であることを特徴とする請求項1乃至6
    記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  8. 【請求項8】前記成長層が、第1の窒化物半導体層の上
    に、窒化物半導体を積層して素子構造を有することを特
    徴とする請求項1乃至7記載の窒化物半導体素子の製造
    方法。
  9. 【請求項9】前記基板除去工程の後、得られた窒化物半
    導体基板の上に、窒化物半導体を積層して素子構造を形
    成する素子形成工程を具備することを特徴とする請求項
    1乃至8記載の窒化物半導体素子の製造方法。
JP2001129325A 2001-04-26 2001-04-26 窒化物半導体基板、及びそれを用いた窒化物半導体素子の製造方法 Expired - Fee Related JP3985462B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001129325A JP3985462B2 (ja) 2001-04-26 2001-04-26 窒化物半導体基板、及びそれを用いた窒化物半導体素子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001129325A JP3985462B2 (ja) 2001-04-26 2001-04-26 窒化物半導体基板、及びそれを用いた窒化物半導体素子の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002324758A true JP2002324758A (ja) 2002-11-08
JP3985462B2 JP3985462B2 (ja) 2007-10-03

Family

ID=18977866

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001129325A Expired - Fee Related JP3985462B2 (ja) 2001-04-26 2001-04-26 窒化物半導体基板、及びそれを用いた窒化物半導体素子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3985462B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006514780A (ja) * 2002-12-16 2006-05-11 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア ハイドライド気相成長法による平坦な無極性a面窒化ガリウムの成長
JP2007081181A (ja) * 2005-09-15 2007-03-29 Matsushita Electric Ind Co Ltd 半導体発光素子
JP2007081183A (ja) * 2005-09-15 2007-03-29 Matsushita Electric Ind Co Ltd 半導体発光素子
JP2007081182A (ja) * 2005-09-15 2007-03-29 Matsushita Electric Ind Co Ltd 半導体発光素子
JP2008133180A (ja) * 2006-11-07 2008-06-12 Siltron Inc 金属層上に成長した化合物半導体基板、その製造方法、及びそれを用いた化合物半導体素子
WO2011108706A1 (ja) * 2010-03-05 2011-09-09 並木精密宝石株式会社 単結晶基板、単結晶基板の製造方法、多層膜付き単結晶基板の製造方法および素子製造方法
WO2011108703A1 (ja) * 2010-03-05 2011-09-09 並木精密宝石株式会社 多層膜付き単結晶基板、多層膜付き単結晶基板の製造方法および素子製造方法
US8450192B2 (en) 2002-12-16 2013-05-28 The Regents Of The University Of California Growth of planar, non-polar, group-III nitride films
JP2015032789A (ja) * 2013-08-06 2015-02-16 住友電気工業株式会社 炭化珪素半導体基板およびその製造方法、ならびに炭化珪素半導体装置の製造方法

Cited By (20)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006514780A (ja) * 2002-12-16 2006-05-11 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア ハイドライド気相成長法による平坦な無極性a面窒化ガリウムの成長
JP2010004074A (ja) * 2002-12-16 2010-01-07 Regents Of The Univ Of California ハイドライド気相成長法による平坦な無極性窒化ガリウムの成長
US8450192B2 (en) 2002-12-16 2013-05-28 The Regents Of The University Of California Growth of planar, non-polar, group-III nitride films
JP2007081181A (ja) * 2005-09-15 2007-03-29 Matsushita Electric Ind Co Ltd 半導体発光素子
JP2007081183A (ja) * 2005-09-15 2007-03-29 Matsushita Electric Ind Co Ltd 半導体発光素子
JP2007081182A (ja) * 2005-09-15 2007-03-29 Matsushita Electric Ind Co Ltd 半導体発光素子
JP2008133180A (ja) * 2006-11-07 2008-06-12 Siltron Inc 金属層上に成長した化合物半導体基板、その製造方法、及びそれを用いた化合物半導体素子
TWI395259B (zh) * 2006-11-07 2013-05-01 Siltron Inc 成長於金屬層上之複合半導體基板、其製造方法及利用該複合半導體基板形成之複合半導體元件
US8158501B2 (en) 2006-11-07 2012-04-17 Siltron, Inc. Compound semiconductor substrate grown on metal layer, method of manufacturing the same, and compound semiconductor device using the same
US8198649B2 (en) 2006-11-07 2012-06-12 Siltron, Inc. Compound semiconductor substrate grown on metal layer, method for manufacturing the same, and compound semiconductor device using the same
CN102770940A (zh) * 2010-03-05 2012-11-07 并木精密宝石株式会社 带多层膜的单晶衬底、带多层膜的单晶衬底的制造方法以及元件制造方法
CN102792420A (zh) * 2010-03-05 2012-11-21 并木精密宝石株式会社 单晶衬底、单晶衬底的制造方法、带多层膜的单晶衬底的制造方法以及元件制造方法
WO2011108703A1 (ja) * 2010-03-05 2011-09-09 並木精密宝石株式会社 多層膜付き単結晶基板、多層膜付き単結晶基板の製造方法および素子製造方法
WO2011108706A1 (ja) * 2010-03-05 2011-09-09 並木精密宝石株式会社 単結晶基板、単結晶基板の製造方法、多層膜付き単結晶基板の製造方法および素子製造方法
KR101495581B1 (ko) 2010-03-05 2015-02-25 나미키 세이미쓰 하우세키 가부시키가이샤 다층막이 형성된 단결정 기판, 다층막이 형성된 단결정 기판의 제조 방법 및 소자 제조 방법
JP5674759B2 (ja) * 2010-03-05 2015-02-25 並木精密宝石株式会社 多層膜付き単結晶基板、多層膜付き単結晶基板の製造方法および素子製造方法
JP5732684B2 (ja) * 2010-03-05 2015-06-10 並木精密宝石株式会社 単結晶基板、単結晶基板の製造方法、多層膜付き単結晶基板の製造方法および素子製造方法
TWI489016B (zh) * 2010-03-05 2015-06-21 Namiki Precision Jewel Co Ltd Single crystal substrate, single crystal substrate manufacturing method, multi-layer single-crystal substrate manufacturing method and component manufacturing method
TWI550690B (zh) * 2010-03-05 2016-09-21 Namiki Precision Jewel Co Ltd A single crystal substrate having a multilayer film, a manufacturing method of a single crystal substrate having a multilayer film, and an element manufacturing method
JP2015032789A (ja) * 2013-08-06 2015-02-16 住友電気工業株式会社 炭化珪素半導体基板およびその製造方法、ならびに炭化珪素半導体装置の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3985462B2 (ja) 2007-10-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4097601B2 (ja) 窒化物半導体レーザ素子、及びその製造方法
JP3436128B2 (ja) 窒化物半導体の成長方法及び窒化物半導体素子
JP5245904B2 (ja) 半導体レーザ素子の製造方法
KR100874077B1 (ko) 질화물 반도체 레이저 소자 및 그 제조 방법
JP5056142B2 (ja) 窒化物半導体レーザ素子の製造方法及び窒化物半導体レーザ素子
JP2000299497A (ja) 窒化物半導体素子
JP2000277437A (ja) 窒化物半導体の成長方法及び窒化物半導体素子
JP4665394B2 (ja) 窒化物半導体レーザ素子
JP3985462B2 (ja) 窒化物半導体基板、及びそれを用いた窒化物半導体素子の製造方法
JP4873116B2 (ja) 窒化物半導体レーザ素子、及びその製造方法
JP2006165407A (ja) 窒化物半導体レーザ素子
US20110026554A1 (en) Nitride semiconductor laser element
JP4097343B2 (ja) 窒化物半導体レーザ素子の製造方法
JP2000058972A (ja) 窒化物半導体レーザ素子
JP3528814B2 (ja) 窒化物半導体から成る単体基板の製造方法
JP2008034862A (ja) 窒化物半導体の成長方法
JP4092884B2 (ja) 窒化物半導体基板、それも用いた窒化物半導体素子の製造方法
JP2007013191A (ja) 半導体装置及びその製造方法
JPH1027939A (ja) 窒化物半導体レーザ素子
JP4224952B2 (ja) 窒化物半導体発光素子及びその製造方法
JP2002280308A (ja) 窒化物半導体の成長方法及びそれを用いた素子
JP2004056051A (ja) 窒化物半導体基板の製造方法
JP2004253817A (ja) 窒化物半導体レーザ素子
JP4430689B2 (ja) 窒化物半導体レーザ素子の製造方法
KR200318416Y1 (ko) 질화물 반도체 레이저 소자

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060829

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061030

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20061212

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070213

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20070308

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070410

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070528

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070619

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070702

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100720

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100720

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100720

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110720

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110720

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120720

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120720

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120720

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130720

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees