JP2004253817A - 窒化物半導体レーザ素子 - Google Patents
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Abstract
【構成】 窒化物半導体と異なる材料よりなる異種基板1あるいは異種基板1上に成長された窒化物半導体層2の表面に、第1の保護膜11を部分的に形成し、その保護膜を介して第1の窒化物半導体3を成長させる。第1の窒化物半導体3は保護膜上に最初は選択成長されるが、成長を続けるに従って、保護膜上で隣接する窒化物半導体がつながる。第1の保護膜11上の第1の窒化物半導体3は格子欠陥が少ないので、保護膜を介して窒化物半導体を厚膜で成長させると、非常に結晶性の良い窒化物半導体基板が得られる。窒化物半導体基板を特定膜厚で成長させ、この上に素子構造を形成すると、特性の向上した良好な素子が得られる。
【選択図】 図6
Description
従って本発明の目的とするところは、そのような結晶性の良い窒化物半導体を成長可能な成長方法に基づき、新たな窒化物半導体レーザ素子の構造を提供することにある。
(1) 窒化物半導体と異なる材料よりなる異種基板上に成長された窒化物半導体の上に、第1の保護膜が部分的に形成されており、その第1の保護膜の上に第1の窒化物半導体が成長され、その第1の窒化物半導体の上に素子構造となる窒化物半導体が積層されてなること。
(2) 前記第1の保護膜が、第1の保護膜の形成されていない部分の表面積よりも大きい表面積を有して形成されること。
(3) 窒化物半導体と異なる材料よりなる異種基板の上に、第1の保護膜が、第1の保護膜の形成されていない部分の表面積よりも大きい表面積を有して部分的に形成されており、その第1の保護膜の上に第1の窒化物半導体が成長され、その第1の窒化物半導体の上に素子構造となる窒化物半導体が積層されてなること。
(4) 前記第1の窒化物半導体が、総膜厚70μm以上の膜厚を有し、前記異種基板が除去されてなること。
(5) 前記第1の窒化物半導体が、窓部の幅が5μm以下のストライプ状の形状の第1の保護膜を形成した上に成長されたものであること。
(6) 上記素子構造となる窒化物半導体が、超格子構造を有するn側窒化物半導体を有していること。
(7) 前記超格子構造を有するn側窒化物半導体にn電極が形成されていること。
(8) 前記窓部の幅(Ww)と保護膜の幅(Ws)の比Ws/Wwが、1〜20であること。
(バッファ層3)
後述する横方向成長方法で製造された第2の窒化物半導体層4をサファイア基板から研磨除去し、第2の窒化物半導体層4(SiドープGaN)を主面とするウェーハをMOVPE装置の反応容器内にセットし、サファイア基板1等を除去して露出した面とは反対の面上に、SiをドープしたGaNよりなる第3のバッファ層41が成長させてある。この第3のバッファ層41は膜厚100オングストローム以下、さらに好ましくは70オングストローム以下、最も好ましくは50オングストローム以下の互いに組成が異なる窒化物半導体を積層してなる歪超格子層とすることが好ましい。歪超格子層とすると、単一窒化物半導体層の結晶性が良くなるため、高出力なレーザ素子が実現できる。
次にSiをドープしたInGaNよりなるクラック防止層42を成長させてある。このクラック防止層42はInを含むn型の窒化物半導体、好ましくはInGaNで成長させることにより、Alを含む窒化物半導体層中にクラックが入るのを防止することができる。クラック防止層は100オングストローム以上、0.5μm以下の膜厚で成長させることが好ましい。100オングストロームよりも薄いと前記のようにクラック防止として作用しにくく、0.5μmよりも厚いと、結晶自体が黒変する傾向にある。なお、このクラック防止層42は省略することもできる。
次に、n側クラッド層43は、キャリア閉じ込め層、及び光閉じ込め層として作用し、Alを含む窒化物半導体、好ましくはAlGaNを含む超格子層とすることが望ましい。超格子層全体の膜厚を100オングストローム以上、2μm以下、さらに好ましくは500オングストローム以上、1μm以下で成長させることが望ましい。超格子層にするとクラックのない結晶性の良いキャリア閉じ込め層が形成できる。
次に、Siをドープしたn型GaNよりなるn型光ガイド層44を成長させてある。このn側光ガイド層44は、活性層の光ガイド層として作用し、GaN、InGaNを成長させることが望ましく、通常100オングストローム〜5μm、さらに好ましくは200オングストローム〜1μmの膜厚で成長させることが望ましい。このn側光ガイド層44は通常はSi、Ge等のn型不純物をドープしてn型の導電型とするが、特にアンドープにすることもできる。超格子とする場合には第1の層及び第2の層の少なくとも一方にn型不純物をドープしてもよいし、またアンドープでも良い。
次に、アンドープのIn 0.2 Ga 0.8 Nよりなる井戸層、25オングストロームと、アンドープIn 0.01 Ga 0.95 Nよりなる障壁層、50オングストロームを交互に積層してなる総膜厚175オングストロームの多重量子井戸構造(MQW)の活性層45を成長させてある。また、井戸層及び/または障壁層にSiをドープしてもよく、Siをドープするとしきい値が低下し好ましい。
次に、バンドギャップエネルギーがp側光ガイド層47よりも大きく、かつ活性層45よりも大きい、Mgをドープしたp型Al 0.3 Ga 0.9 Nよりなるp側キャップ層46を成長させてある。このp側キャップ層46はp型としたが、膜厚が薄いため、n型不純物をドープしてキャリアが補償されたi型、若しくはアンドープとしても良く、最も好ましくはp型不純物をドープした層とする。p側キャップ層17の膜厚は0.1μm以下、さらに好ましくは500オングストローム以下、最も好ましくは300オングストローム以下に調整する。0.1μmより厚い膜厚で成長させると、p型キャップ層46中にクラックが入りやすくなり、結晶性の良い窒化物半導体層が成長しにくいからである。Alの組成比が大きいAlGaN程薄く形成するとLD素子は発振しやすくなる。例えば、Y値が0.2以上のAl Y Ga 1-Y Nであれば500オングストローム以下に調整することが望ましい。p側キャップ層46の膜厚の下限は特に限定しないが、10オングストローム以上の膜厚で形成することが望ましい。
次に、バンドギャップエネルギーがp側キャップ層46より小さい、Mgをドープしたp型GaNよりなるp側光ガイド層47を成長させてある。この層は、活性層の光ガイド層として作用し、n側光ガイド層44と同じくGaN、InGaNで成長させることが望ましい。また、この層はp側クラッド層48を成長させる際のバッファ層としても作用し、100オングストローム〜5μm、さらに好ましくは200オングストローム〜1μmの膜厚で成長させることにより、好ましい光ガイド層として作用する。このp側光ガイド層は通常はMg等のp型不純物をドープしてp型の導電型とするが、特に不純物をドープしなくても良い。なお、このp型光ガイド層を超格子層とすることもできる。超格子層とする場合には第1の層及び第2の層の少なくとも一方にp型不純物をドープしてもよいし、またアンドープでも良い。
次に、超格子層よりなるp側クラッド層48を形成する。この層はn側クラッド層43と同じくキャリア閉じ込め層として作用し、超格子構造とすることによりp型層側の抵抗率を低下させるための層として作用する。このp側クラッド層48の膜厚も特に限定しないが、100オングストローム以上、2μm以下、さらに好ましくは500オングストローム以上、1μm以下で成長させることが望ましい。なおここでは超格子層をn側クラッド層側にも設けたが、n側クラッド層側よりもp側層側に超格子層を設けた方が、p層の抵抗値が減少する傾向にあるため、Vfを低下させる上で好ましい。
最後に、Mgをドープしたp型GaNよりなるp側コンタクト層49を成長させてある。p側コンタクト層は500オングストローム以下、さらに好ましくは400オングストローム以下、20オングストローム以上に膜厚を調整する。
更に、窒化物半導体素子を構成する素子の好ましい層構成として、例えばInを含む量子井戸構造の活性層、バンドギャップエネルギーの異なるクラッド層に挟まれた活性層を有することが発光効率、寿命特性など素子の性能を向上させる点で好ましい。
このような層構成を有する素子構造を、横方向成長方法により得られる結晶欠陥の少ない窒化物半導体上に形成すると素子性能がより向上し好ましい。
(1) 窒化物半導体と異なる材料よりなる異種基板上に成長された窒化物半導体の上に、第1の保護膜を部分的に形成する第1の工程と、
第1の工程後、第1の窒化物半導体を、前記窒化物半導体の上に成長させると共に、第1の保護膜の上にまで成長させる第2の工程とを含むことを特徴とする窒化物半導体の成長方法。
(2) 前記第1の保護膜が、第1の保護膜の形成されていない部分の表面積よりも大きい表面積を有して形成されることを特徴とする前記(1)に記載の窒化物半導体の成長方法。
(3) 窒化物半導体と異なる材料よりなる異種基板の上に、第1の保護膜を、第1の保護膜の形成されていない部分の表面積よりも大きい表面積を有して部分的に形成する第1の工程と、
第1の工程後、第1の窒化物半導体を、前記異種基板の上に成長させると共に、第1の保護膜の上にまで成長させる第2の工程とを含むことを特徴とする窒化物半導体の成長方法。
(4) 前記第1の保護膜が、ストライプ状であり、更に隣接するストライプ状の第1の保護膜の形成されていない部分(窓部)の幅が5μm以下として形成されていることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の窒化物半導体の成長方法。
(5) 前記窓部の幅(Ww)とストライプ状の第1の保護膜の幅(Ws)の比Ws/Wwが、1〜20であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の窒化物半導体の成長方法。
(7) 前記異種基板はステップ状にオフアングルしていることを特徴とする前記(6)に記載の窒化物半導体の成長方法。
(8) 前記異種基板が(0001)面=(C面)を主面とするサファイアであり、前記第1の保護膜はそのサファイアの(112−0)面=(A面)に対して垂直なストライプ形状を有することを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の窒化物半導体の成長方法。
(9) 前記異種基板が(112−0)面=(A面)を主面とするサファイアであり、前記第1の保護膜はそのサファイアの(11−02)面=(R面)に対して垂直なストライプ形状を有することを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の窒化物半導体の成長方法。
(10) 前記異種基板が(111)面を主面とするスピネルであり、前記第1の保護膜は、そのスピネルの(110)面に対して垂直なストライプ形状を有することを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の窒化物半導体の成長方法。
第3の工程後、第2の窒化物半導体を前記第1の窒化物半導体の上に成長させると共に、第2の保護膜の上にまで成長させる第4の工程とを含むことを特徴とする前記(1)〜(10)のいずれ1項に記載の窒化物半導体の成長方法。
(12) 前記第2の保護膜は、第1の窒化物半導体の表面に現れた結晶欠陥上に形成されることを特徴とする前記(11)に記載の窒化物半導体の成長方法。
(13) 前記第2の保護膜は、前記第1の保護膜と平行なストライプ形状を有することを特徴とする前記(11)または(12)に記載の窒化物半導体の成長方法。
また、その他の成長方法は、異種基板の上に、第1の保護膜を形成し(第2の形態の方法)、且つ第1の保護膜の表面積が保護膜が形成されていない窓部の表面積より大きい表面積を有し、この第1の保護膜上に第1の窒化物半導体を成長させることにより、結晶欠陥の少ない結晶性の良好な窒化物半導体を得ることができる。この成長方法において、異種基板上に直接第1の保護膜を形成し、露出している異種基板面(保護膜の形成されていない窓部)から第1の窒化物半導体層を成長させると比較的多くの結晶欠陥が発生するが、第1の保護膜の表面積と窓部の表面積とを調整することにより結晶欠陥の少ない第1の窒化物半導体層を得ることができる。更に表面積を調整すると第1の窒化物半導体が良好に窓部に選択成長を始める。
本発明に用いる横方向成長方法の第1の形態の成長方法と、第2の形態の成長方法とは、第1の工程で第1の保護膜の形成面が、異種基板上に窒化物半導体層(例えばバッファ層、GaN層等)を成長させた面(第1の形態)であるか、異種基板面(第2の形態)であるかが異なり、更に、第2の形態で異種基板面に保護膜を形成する場合には第1の窒化物半導体層が成長し易いように、予め第1の保護膜の表面積と窓部の表面積の大きさを調整して行う点が相違するが、他はほぼ同様である。第1の形態においても、第1の保護膜の表面積と窓部の幅を調整して行うとより良好に第1の窒化物半導体が成長できる。
まず、本発明に用いる横方向成長方法の第1の形態について説明し、次に第2の形態の成長方法について説明する。
本発明で用いることのできる異種基板1としては、窒化物半導体と異なる材料よりなる基板であればどのようなものでも良く、例えば、サファイアC面の他、R面、A面を主面とするサファイア、スピネル(MgA12O4)のような絶縁性基板、SiC(6H、4H、3Cを含む)、ZnS、ZnO、GaAs、Si、及び窒化物半導体と格子整合する酸化物基板等、従来知られている窒化物半導体と異なる基板材料を用いることができる。
さらに前記基板材料の主面をオフアングルさせた基板、さらに好ましくはステップ状にオフアングルさせた基板を用いることもできる。このように異種基板の主面がオフアングルされていると結晶欠陥がより少なくなり好ましい。
また窒化物半導体2は、高温、具体的には900℃〜1100℃、好ましくは1050℃で異種基板上に成長され、膜厚は特に限定されないが、例えば1〜20μm、好ましくは2〜10μmである。窒化物半導体層2の膜厚が上記範囲であると窒化物半導体層2と第1の窒化物半導体の総膜厚が抑えられウエハの反り(異種基板を有する状態での反り)が防止でき好ましい。
第1の保護膜11の大きさは特に限定しないが、例えばストライプで形成した場合、好ましいストライプ幅は0.5〜100μm、さらに好ましくは1μm〜50μm程度の幅で形成することが望ましく、またストライプピッチは、ストライプ幅よりも狭くすることが望ましい。つまり保護膜の表面積を窓よりも大きくする方が、結晶欠陥の少ない窒化物半導体層が得られる。
窓部の幅の好ましい値は、3μm以下であり、より好ましくは、1μm以下であり、下限値は0.1μm以上である。このように窓部の幅を調整すると、より結晶欠陥の少ない窒化物半導体層が得られる。
ストライプ状の保護膜の幅は、上記範囲があげられるが特に窓部の幅を5μm以下とする場合は、2〜30μmであり、好ましくは5〜20μmであり、より好ましくは5〜15μmである。この範囲であると結晶欠陥の少ない窒化物半導体層が得られ好ましい。また、ストライプ状の保護膜の膜厚は、特に限定されないが、例えば0.01〜5μmであり、好ましくは0.1〜3μmであり、より好ましくは0.1〜2μmである。この範囲であると効果を得るのに好ましい。また、窓部の幅(Ww)と保護膜の幅(Ws)の比Ws/Wwは、1〜20であり、好ましくは1〜10である。1以下であると窓部と保護膜上に結晶欠陥が発生し易くなり、20以上であると保護膜上に成長する第1の窒化物半導体が完全にくっつかず保護膜上に空洞部ができ易くなる。
窒化物半導体層2の上に成長させる第1の窒化物半導体3としては、特に限定されないが、好ましくはアンドープ(不純物をドープしない状態、undope)のGaN、若しくはn型不純物をドープしたGaNが挙げられる。
また更に、第1の窒化物半導体は、この上に素子構造となる窒化物半導体を成長させるための基板となるが、素子構造を形成するには異種基板や保護膜等を予め除去して第1の窒化物半導体のみとしてから行う場合と、異種基板等を残して行う場合がある。また異種基板などの除去は素子構造を形成した後に除去してもよい。第1の窒化物半導体上に素子構造を形成する際に、異種基板の有無により第1の窒化物半導体の膜厚が素子構造の形成のし易さに影響を与えることから、第1の窒化物半導体の膜厚は、第1の保護膜を覆い、結晶欠陥の転位を減らすことに、さらに異種基板等を除去してまたは除去せずに素子構造を形成する等の製造工程の違い等を加味して調整されることが望ましい。
また異種基板や保護膜等を残して行う場合、第1の窒化物半導体の膜厚は1〜50μm、好ましくは2〜40μm、より好ましくは5〜30μm、もっとも好ましくは10〜20μmである。この範囲であると異種基板と窒化物半導体の熱膨張係数差によるウエハの反りが防止でき、更に素子基板となる第1の窒化物半導体の上に素子構造となる窒化物半導体を良好に成長させることができる。
異種基板等を除去してなる窒化物半導体素子において、異種基板の除去は、第1の窒化物半導体上に素子構造を形成する前でも形成した後でもよく、好ましくは、異種基板を除去して第1の窒化物半導体層を窒化物半導体基板(GaN基板)として素子構造を形成する。異種基板を除去する方法としては、研磨、エッチング等が用いられる。また、第2の保護膜を形成する場合には、異種基板を除去する際に第2の保護膜までを除去して第2の窒化物半導体のみとしてこの第2の窒化物半導体上に素子構造を形成してもよく、また第2の保護膜を除去せずに、第1の窒化物半導体及び第2の窒化物半導体をGaN基板として素子構造を形成してもよい。また、異種基板等を除去された窒化物半導体基板に素子構造となる窒化物半導体を成長させる際に、異種基板などを除去して露出された面とは反対側の面に素子構造を成長させることが結晶性のよい素子を得ることができ好ましい。
まず、本発明の第3の工程において、図4に示すように、第1の窒化物半導体層3の表面に結晶欠陥が現れ易いと思われる部分、例えば窓部の上部に、また表面に現れた結晶欠陥を覆うように、新たな保護膜(第2の保護膜12)を設ける。本発明において、第2の保護膜12の形成位置は特に限定されず、第1の窒化物半導体層3の表面に部分的に、好ましくは第1の窒化物半導体層3の表面に現れている結晶欠陥を覆うように形成され、更に好ましくは第1の窒化物半導体層3の成長初期に結晶欠陥が存在する窓部の上部である。
このように第2の保護膜12を設けると、第1の窒化物半導体層3の表面まで転位した結晶欠陥の更なる転位が防止でき、更に素子構造を形成した後で窓部上部の転位を中断した結晶欠陥がレーザ素子等を作動中に活性層等へ再転位する恐れが考えられるがこれを防止でき好ましい。
第2の保護膜12は、第1の窒化物半導体3の表面に現れた結晶欠陥を覆うように形成されているので結晶欠陥の転位を抑えることができる。また、仮にわずかな結晶欠陥が第2の窒化物半導体4の成長の初期に転位を続けたとしても、第1の窒化物半導体3の成長の場合と同様に、第2の窒化物半導体4の成長を続けるうちに結晶欠陥の転位が止まる傾向があり、第2の窒化物半導体4の表面に現れる結晶欠陥が少なくなる。
このようにして得られた第2の窒化物半導体層4は第1の窒化物半導体層3より結晶欠陥が少なくなるので、第2の窒化物半導体層4上に素子構造を形成すると結晶性の良い素子がより得られやすくなる。
第2の形態の成長方法において、第1の窒化物半導体層3は、前記第1の形態の成長方法と同様に、窓部から成長を選択的にはじめ、第1の保護膜11上を覆っていき、図8に示すように第1の窒化物半導体層3が形成される。また、図8に示すように、異種基板1と窒化物半導体(上記第2の形態の成長方法においてはバッファ層)との界面で発生した結晶欠陥は、前記第1の形態の成長方法と同様に、窓部から転位するが、第1の窒化物半導体層3の成長を続けるうちに転位が激減し、更に第1の保護膜11上部にはほとんど結晶欠陥が発生せず、成長された第1の窒化物半導体層3の表面には結晶欠陥が少なくなる。
更に第2の形態の成長方法において、第1の形態の成長方法の場合と同様に、保護膜の幅と窓部の幅の調整や異種基板の面方位などを特定すると、より良好な第1の窒化物半導体が得られる。
第2の形態の成長方法で用いられる異種基板、保護膜、バッファ層、第1の窒化物半導体層3は、前記第1の形態の成長方法で用いられるものと同様のものが挙げられる。
このように第2の保護膜12を形成すると、第1の形態の成長方法と同様に、第1の窒化物半導体層3の表面に現れている結晶欠陥の更なる転位の抑制、転位の中断した結晶欠陥の再転位の防止等が可能となり、結晶性の良好な信頼性の高い素子を形成できる窒化物半導体基板として、第2の窒化物半導体4を得ることができる。例えば、図8に示すように、第1の窒化物半導体層3の成長初期に結晶欠陥が転位している窓部上部に第2の保護膜を形成すると、転位の中断した結晶欠陥の再転位が生じても第2の保護膜12で第2の窒化物半導体層4への転位が防止できる。
図9は窒化物半導体の結晶構造を示すユニットセル図である。窒化物半導体は正確には菱面体構造であるが、このように六方晶系で近似できる。本発明の方法では、好ましくはC面=(0001)面を主面とするサファイアを用い、第1の保護膜はサファイアA面=(112−0)面に対して垂直なストライプ形状とする。例えば、図10は主面側のサファイア基板の平面図である。この図はサファイアC面を主面とし、オリエンテーションフラット(オリフラ)面をA面としている。この図に示すように第1の保護膜のストライプをA面に対して垂直方向で、互いに平行なストライプを形成する。図10に示すように、サファイアC面上に窒化物半導体を選択成長させた場合、窒化物半導体は面内ではA面に対して平行な方向で成長しやすく、垂直な方向では成長しにくい傾向にある。従ってA面に対して垂直な方向でストライプを設けると、ストライプとストライプの間の窒化物半導体がつながって成長しやすくなり、図2〜図8等に示したような結晶成長が容易に可能となる。
本実施例はMOVPE(有機金属気相成長法)について示すものであるが、MOVPE法に限るものではなく、例えばHVPE(ハライド気相成長法)、MBE(分子線気相成長法)等、窒化物半導体を成長させるのに知られている全ての方法を適用できる。
一方、比較のため、C面を主面としA面をオリフラ面とするサファイア基板上に、第1の保護膜11を形成せず、直接200オングストロームのGaNバッファ層を成長させ、その上にSiを1×1018/cm3ドープしたGaNを100μm成長させる。
また、第2の保護膜12及び第2の窒化物半導体層4を成長させない状態で、第1の窒化物半導体層3の表面を鏡面研磨して結晶欠陥の数を観測したところ、第1の窒化物半導体層3の結晶欠陥の数は、比較例のGaN層の結晶欠陥の数に対して1/100以下に減少していた。
2インチφ、C面を主面とし、オリフラ面をA面とするサファイア基板1上にストライプ状のフォトマスクを形成し、CVD装置によりストライプ幅10μm、ストライプ間隔(窓部)6μmのSiO2よりなる第1の保護膜11を0.1μmの膜厚で形成する(図7)。なお、ストライプ方向は図10に示すように、オリフラ面に対して垂直な方向で形成する。
実施例2で得られた第1の窒化物半導体層3の表面に、ストライプ状のマスクを形成し、CVD装置によりストライプ幅10μm、窓部6μmのSi3N4よりなる第2の保護膜12を0.1μmの膜厚で形成する(図8)。なお、第2の保護膜12の位置は、図8に示すように、結晶欠陥を覆うように結晶欠陥上に、第2の保護膜12の10μmのストライプがくるようにマスク合わせをしていると共に、第1の保護膜11と平行なストライプを形成している。
第2の保護膜12形成後、再度ウェーハを反応容器に戻し、原料ガスにTMG、アンモニア、シランガスを用い、Siを1×1018/cm3ドープしたGaNよりなる第2の窒化物半導体層4を150μmの膜厚で成長させる(図8)。第2の窒化物半導体層4成長後、ウェーハを反応容器から取り出し、実施例2と同様にして、表面を鏡面研磨して、単位面積あたりの格子欠陥の数を、前記比較例のGaN層と比較したところ、本発明のものは1/100以下に減少していた。
実施例2において、基板1にA面を主面とし、オリフラ面をR面とするサファイアを用いる。このサファイア基板1の上に実施例2と同一の第1の保護膜11を形成する。なお、第1の保護膜11の形状はR面に対して垂直なストライプとする。後は実施例2と同様にしてSiドープGaNよりなる第1の窒化物半導体層3を100μmの膜厚で成長させたところ、実施例2とほぼ同等の結晶欠陥を有する窒化物半導体層が成長できた。
実施例5はHVPE法により第1の窒化物半導体層3を成長させる。まず、(111)面を主面とし、オリフラ面を(110)面とする、1インチφのスピネルよりなる基板1を用意する。このスピネル基板1の表面に実施例2と同様にして、フォトマスクを形成し、SiO2よりなる第1の保護膜11を、オリフラ面に対して垂直なストライプ形状で形成する。なおストライプ幅は12μm、ストライプ間隔は6μmとする。
実施例2において、サファイア基板1上にストライプ幅10μm、ストライプ間隔(窓部)5μmのSiO2よりなる保護膜11を1μmの膜厚で形成する他は同様にして、Siを1×1018/cm3ドープしたGaNよりなる第1の窒化物半導体層3を100μmの膜厚で成長させる。第1の窒化物半導体層3成長後、ウェーハを反応容器から取り出し、第1の窒化物半導体層3の表面をラッピングして鏡面状とし、SiドープGaNよりなる窒化物半導体基板を得る。
その結果、本発明は、結晶欠陥の数が約1.3×106個/cm2であり、前記比較例は約2.4×107個/cm2であり、本発明のものは比較例に比べ1/10以下に減少していた。また、実施例2と比較すると結晶欠陥の数がさらに減少した。
実施例1において、アンドープGaN層2上にストライプ幅10μm、窓部3μmのSiO2よりなる保護膜11を1μmの膜厚で形成する他は同様にして第1の窒化物半導体層3を100μmの膜厚で成長させる。第1の窒化物半導体層3成長後、ウェーハを反応容器から取り出し、第1の窒化物半導体層3の裏面をラッピングしてサファイア基板を除去して鏡面状とし、SiドープGaNよりなる窒化物半導体基板を得る。
実施例6と同様に単位面積当たりの結晶欠陥の数を測定したところ、実施例6よりすくなく1×103個/cm2であり、結晶欠陥のほとんどない非常に良好な結晶性を有する素子基板となる窒化物半導体基板を得ることができた。
また、本実施例7は、実施例1の第1の窒化物半導体層3と比較しても、結晶欠陥の数がさらに減少していた。
実施例6において、基板1にA面を主面とし、オリフラ面をR面とするサファイアを用いる他は同様にして、サファイア基板1の上に第1の保護膜11を形成し、続いて、SiドープGaNよりなる第1の窒化物半導体層3を100μmの膜厚で成長させる。なお、第1の保護膜11の形状はR面に対して垂直なストライプとする。この結果、実施例6とほぼ同等の結晶欠陥の非常に少ない窒化物半導体層が成長できた。
実施例5において、SiO2よりなる第1の保護膜11を、ストライプ幅を10μm、窓部を3μm、厚みを1μmとして形成する他は同様にして、厚さ150μmのSiを1×1018/cm3ドープしたGaNを成長させる。成長後、ウェーハを反応容器から取り出し、スピネル基板をラッピングして除去し、結晶欠陥の数を測定したところ、実施例5のものとほぼ同等あるいはそれ以上の結晶欠陥の非常に少ない窒化物半導体層が得られた。
図11は本発明の成長方法により得られた窒化物半導体層を基板とする一LED素子の構造を示す模式断面図である。以下、図11を元に実施例10について説明する。
図13は本発明の一レーザ素子の構造を示す模式断面図である。以下、図13を元に実施例11について説明する。
次にSiを5×1018/cm3ドープしたIn0.1Ga0.9Nよりなるクラック防止層42を500オングストロームの膜厚で成長させる。このクラック防止層42はInを含むn型の窒化物半導体、好ましくはInGaNで成長させることにより、Alを含む窒化物半導体層中にクラックが入るのを防止することができる。クラック防止層は100オングストローム以上、0.5μm以下の膜厚で成長させることが好ましい。100オングストロームよりも薄いと前記のようにクラック防止として作用しにくく、0.5μmよりも厚いと、結晶自体が黒変する傾向にある。なお、このクラック防止層42は省略することもできる。
次に、Siを5×1018/cm3ドープしたn型Al0.2Ga0.8Nよりなる第1の層、20オングストロームと、アンドープ(undope)のGaNよりなる第2の層、20オングストロームとを交互に100層積層してなる総膜厚0.4μmの超格子構造とする。n側クラッド層43はキャリア閉じ込め層、及び光閉じ込め層として作用し、Alを含む窒化物半導体、好ましくはAlGaNを含む超格子層とすることが望ましく、超格子層全体の膜厚を100オングストローム以上、2μm以下、さらに好ましくは500オングストローム以上、1μm以下で成長させることが望ましい。超格子層にするとクラックのない結晶性の良いキャリア閉じ込め層が形成できる。
続いて、Siを5×1018/cm3ドープしたn型GaNよりなるn型光ガイド層44を0.1μmの膜厚で成長させる。このn側光ガイド層44は、活性層の光ガイド層として作用し、GaN、InGaNを成長させることが望ましく、通常100オングストローム〜5μm、さらに好ましくは200オングストローム〜1μmの膜厚で成長させることが望ましい。このn側光ガイド層44は通常はSi、Ge等のn型不純物をドープしてn型の導電型とするが、特にアンドープにすることもできる。超格子とする場合には第1の層及び第2の層の少なくとも一方にn型不純物をドープしてもよいし、またアンドープでも良い。
次に、アンドープのIn0.2Ga0.8Nよりなる井戸層、25オングストロームと、アンドープIn0.01Ga0.95Nよりなる障壁層、50オングストロームを交互に積層してなる総膜厚175オングストロームの多重量子井戸構造(MQW)の活性層45を成長させる。また、井戸層及び/または障壁層にSiをドープしてもよく、Siをドープするとしきい値が低下し好ましい。
次に、バンドギャップエネルギーがp側光ガイド層47よりも大きく、かつ活性層45よりも大きい、Mgを1×1020/cm3ドープしたp型Al0.3Ga0.9Nよりなるp側キャップ層46を300オングストロームの膜厚で成長させる。このp側キャップ層46はp型としたが、膜厚が薄いため、n型不純物をドープしてキャリアが補償されたi型、若しくはアンドープとしても良く、最も好ましくはp型不純物をドープした層とする。p側キャップ層17の膜厚は0.1μm以下、さらに好ましくは500オングストローム以下、最も好ましくは300オングストローム以下に調整する。0.1μmより厚い膜厚で成長させると、p型キャップ層46中にクラックが入りやすくなり、結晶性の良い窒化物半導体層が成長しにくいからである。Alの組成比が大きいAlGaN程薄く形成するとLD素子は発振しやすくなる。例えば、Y値が0.2以上のAlYGa1-YNであれば500オングストローム以下に調整することが望ましい。p側キャップ層46の膜厚の下限は特に限定しないが、10オングストローム以上の膜厚で形成することが望ましい。
次に、バンドギャップエネルギーがp側キャップ層46より小さい、Mgを1×1020/cm3ドープしたp型GaNよりなるp側光ガイド層47を0.1μmの膜厚で成長させる。この層は、活性層の光ガイド層として作用し、n側光ガイド層44と同じくGaN、InGaNで成長させることが望ましい。また、この層はp側クラッド層48を成長させる際のバッファ層としても作用し、100オングストローム〜5μm、さらに好ましくは200オングストローム〜1μmの膜厚で成長させることにより、好ましい光ガイド層として作用する。このp側光ガイド層は通常はMg等のp型不純物をドープしてp型の導電型とするが、特に不純物をドープしなくても良い。なお、このp型光ガイド層を超格子層とすることもできる。超格子層とする場合には第1の層及び第2の層の少なくとも一方にp型不純物をドープしてもよいし、またアンドープでも良い。
次に、Mgを1×1020/cm3ドープしたp型Al0.2Ga0.8Nよりなる第1の層、20オングストロームと、Mgを1×1020/cm3ドープしたp型GaNよりなる第2の層、20オングストロームとを交互に積層してなる総膜厚0.4μmの超格子層よりなるp側クラッド層48を形成する。この層はn側クラッド層43と同じくキャリア閉じ込め層として作用し、超格子構造とすることによりp型層側の抵抗率を低下させるための層として作用する。このp側クラッド層48の膜厚も特に限定しないが、100オングストローム以上、2μm以下、さらに好ましくは500オングストローム以上、1μm以下で成長させることが望ましい。なお本実施例では超格子層をn側クラッド層側にも設けたが、n側クラッド層側よりもp側層側に超格子層を設けた方が、p層の抵抗値が減少する傾向にあるため、Vfを低下させる上で好ましい。
最後に、Mgを2×1020/cm3ドープしたp型GaNよりなるp側コンタクト層49を150オングストロームの膜厚で成長させる。p側コンタクト層は500オングストローム以下、さらに好ましくは400オングストローム以下、20オングストローム以上に膜厚を調整する。
図14は本発明の成長方法により得られた窒化物半導体層を基板とする一LED素子の構造を示す模式断面図であり、第2の窒化物半導体層4よりなる基板より上の素子構造としては、実施例10のLED素子と同様の構造を有する。
また、実施例12のLED素子の窒化物半導体基板としては、実施例3においてSiをドープしたGaNよりなる第1の窒化物半導体層3の膜厚を25μm、第2の窒化物半導体層4をアンドープのGaNとしての膜厚を25μmとした他は同様にして形成されたものを用いる。
このようにして得られたアンドープGaNよりなる第2の窒化物半導体層4の上に、Siを1×1018/cm3ドープしたGaNよりなる第2のバッファ層31、膜厚20オングストローム、単一量子井戸構造のIn0.4Ga0.6Nよりなる活性層32、膜厚0.3μmのMgドープAl0.2Ga0.8Nよりなるp側クラッド層33、膜厚0.5μmのMgドープGaNよりなるp側コンタクト層34が順に積層された構造を有しており、p側コンタクト層34のほぼ全面には透光性のp電極35と、そのp電極35の上に、ボンディング用のパッド電極36が形成されている。
なお、基板1、バッファ層2、第1の窒化物半導体層3、第1の保護膜11、第2の保護膜12の全て、及び第2の窒化物半導体層4の一部は実施例10と同様にして除去して、本実施例のように同一面側にn電極とp電極とを設けた構造とすることもできる。
アンドープのGaNよりなる第2の窒化物半導体層4の上に、n型不純物をドープした窒化物半導体層(第2のバッファ層31)を積層した構造の窒化物半導体素子においてn型層側にn電極を設ける場合、n型不純物をドープした窒化物半導体層の方にn電極を設ける方が、Vfが低く、発光効率の高いLED素子が得られやすい傾向にある。なお、このLED素子は実施例10のLED素子に比較して、出力は約1.5倍、静電耐圧も約1.5倍に向上した。
実施例1と同様に、サファイアC面を主面として、オリフラ面をA面とするサファイア基板上にGaNよりなるバッファ層を200オングストロームと、アンドープGaN層2を4μm成長させたウェーハを用意し、CVD装置を用いて、このアンドープGaN層2の上にストライプ幅20μm、窓部5μmのSiO2よりなる第1の保護膜を0.1μmの膜厚で形成してなるウェーハを、MOVPE装置に移送し、アンドープGaN層2及び第1の保護膜の上に、Siを1×1019/cm3ドープしたGaNよりなる第1の窒化物半導体層を15μmの膜厚で成長させ、素子構造を成長させるための窒化物半導体基板を形成する。
C面からのオフアングル角θ=0.13゜、ステップ段差およそ15オングストローム、テラス幅Wおよそ56オングストロームのステップを有し、オリフラ面をA面とする2インチφのサファイア基板を用意する。図15はこのサファイア基板の断面を拡大して示す模式図である。図15に示すステップ状にオフアングルした基板は、ほぼ水平なテラス部分Aと、段差部分Bとを有している。テラス部分Aの表面凹凸は平均でおよそ0.5オングストローム、最大でおよそ2オングストローム程度に調整され、ほぼ規則正しく形成されている。一方、段差部分の高さはおよそ15オングストローム程度に調整されている。なおオフ角θは誇張して示しているが、成長面の水平面に対して、0.13゜しか傾斜していない。このようなオフ角を有するステップ状部分は、基板全体に渡って連続して形成されていることが望ましいが、特に部分的に形成されていても良い。オフ角θとは、図15に示すように、複数の段差の底部を結んだ直線と、最上層のステップの水平面との角度を指すものとする。ステップ段差は30オングストローム以下、さらに好ましくは25オングストローム以下、最も好ましくは20オングストローム以下にする。下限は2オングストローム以上が望ましい。特に基板にサファイアC面を用いた場合、C面からのオフ角θは1度以内、好ましくは0.8度以下、さらに好ましくは0.6度以下に調整する。なお本実施例ではステップ状のオフ基板を用いたが、特にステップ状でなくても、通常のオフ基板でも良い。適当にオフアングルした異種基板を用いることにより、窒化物半導体と異種基板との原子間距離が接近し、ステップ成長が可能となり、より一層結晶欠陥の少ないGaN基板が得られる。
実施例13において、Siを1×1019/cm3ドープしたGaNよりなる第1の窒化物半導体層10μm成長後、ウェーハを反応容器から取り出し、その第1の保護膜の窓部に相当する位置に、ストライプ幅15μmの第2の保護膜を0.1μmの厚さで形成する。そして再度ウェーハをMOVPE装置に移送し、第1の窒化物半導体層と、第2の保護膜の上に、Siを1×1019/cm3ドープしたGaNよりなる第2の窒化物半導体層を15μmの膜厚で成長させる。
実施例10において、素子構造を形成する窒化物半導体基板を、実施例6と同様にして第1の窒化物半導体層3を成長させ、このウェーハのサファイア基板1、バッファ層、保護膜11等を研磨、除去し、第1の窒化物半導体層3の表面を露出させ、第1の窒化物半導体層3のみにして窒化物半導体基板とする他は同様にしてLEDチップを得る。
このLEDは、実施例10と同様に非常に優れた特性を示したが、本発明の実施例10と比較すると実施例16のほうがより良好であった。
以下、図16を元に実施例17について説明する。図16は本発明の成長方法により得られた窒化物半導体層を基板とする一レーザ素子の構造を示す模式断面図である。
次に、Siを1×1019/cm3ドープしたn型Al0.2Ga0.8Nよりなる第1の層、20オングストロームと、アンドープ(undope)のGaNよりなる第2の層、20オングストロームとを交互に100層積層してなる総膜厚0.4μmの超格子構造とする。
続いて、Siを1×1017/cm3ドープしたn型GaNよりなるn型光ガイド層44を0.1μmの膜厚で成長させる。
次に、Siを1×1017/cm3ドープのIn0.2Ga0.8Nよりなる井戸層、25オングストロームと、Siを1×1017/cm3ドープのIn0.01Ga0.95Nよりなる障壁層、50オングストロームを交互に積層してなる総膜厚175オングストロームの多重量子井戸構造(MQW)の活性層45を成長させる。
次に、バンドギャップエネルギーがp側光ガイド層47よりも大きく、かつ活性層45よりも大きい、Mgを1×1020/cm3ドープしたp型Al0.3Ga0.9Nよりなるp側キャップ層46を300オングストロームの膜厚で成長させる。
次に、バンドギャップエネルギーがp側キャップ層46より小さい、Mgを1×1018/cm3ドープしたp型GaNよりなるp側光ガイド層47を0.1μmの膜厚で成長させる。
次に、Mgを1×1020/cm3ドープしたp型Al0.2Ga0.8Nよりなる第1の層、20オングストロームと、Mgを1×1020/cm3ドープしたp型GaNよりなる第2の層、20オングストロームとを交互に積層してなる総膜厚0.4μmの超格子層よりなるp側クラッド層48を形成する。
最後に、Mgを2×1020/cm3ドープしたp型GaNよりなるp側コンタクト層49を150オングストロームの膜厚で成長させる。
図17は本発明の成長方法により得られた窒化物半導体層を基板とする一LED素子の構造を示す模式断面図である。活性層32から上の素子構造としては、実施例16のLED素子と同様の構造を有する。また実施例18のLED素子の窒化物半導体基板としては、実施例7と同様にしてアンドープのGaNよりなる第1の窒化物半導体層3成長させ、このウエハのサファイア基板1、バッファ層、窒化物半導体層2、第1の保護膜11等を除去して第1の窒化物半導体層3のみにしたものを用いる。この第1の窒化物半導体層3のサファイア基板1や第1の保護膜11を除去して露出された面とは反対側の面上に、下記の超格子層を有するn側クラッド層51を成長させる。
(n側クラッド層51)
Siを1×1019/cm3ドープしたn型Al0.2Ga0.8Nよりなる第1の層、20オングストロームと、アンドープ(undope)のGaNよりなる第2の層、20オングストロームとを交互に100層積層してなる総膜厚0.4μmの超格子構造とする。超格子層にするとクラックのない結晶性の良いキャリア閉じ込めのクラッド層が形成できる。
実施例7において、アンドープのGaNよりなる第1の窒化物半導体層3の膜厚を15μmとする他は同様にして窒化物半導体基板となる第1の窒化物半導体層3を成長させる。この第1の窒化物半導体層3の上に、実施例18と同様にして素子構造を形成し、LED素子を得る。
得られたLED素子は、実施例18のLED素子と同様に、良好な特性を示した。
実施例19において、異種基板として、実施例14と同様にステップ状にオフアングルしているサファイア基板を用いる他は同様にしてLED素子を得る。
このLED素子は実施例19のLED素子と比較して、出力でおよそ5%向上した。
実施例7において窓部の幅を5μm、3μm、1μmにして行った他は同様にして3種類の窒化物半導体基板を形成し、実施例7と同様にして結晶欠陥の数を測定し相対的にその数を比較した結果、窓部の幅が5μmである場合に比べ、3μm、及び1μmである場合のほうが結晶欠陥の数が約2割り減少した。
2・・・・バッファ層
3・・・・第1の窒化物半導体層
4・・・・第2の窒化物半導体層
11・・・・第1の保護膜
12・・・・第2の保護膜
Claims (22)
- 窒化物半導体と異なる材料よりなる異種基板上に成長された窒化物半導体の上に、第1の保護膜を部分的に形成する第1の工程と、
第1の工程後、第1の窒化物半導体を、前記窒化物半導体の上に成長させると共に、第1の保護膜の上にまで成長させる第2の工程とを含むことを特徴とする窒化物半導体の成長方法。 - 前記第1の保護膜が、第1の保護膜の形成されていない部分の表面積よりも大きい表面積を有して形成されることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体の成長方法。
- 窒化物半導体と異なる材料よりなる異種基板の上に、第1の保護膜を、第1の保護膜の形成されていない部分の表面積よりも大きい表面積を有して部分的に形成する第1の工程と、
第1の工程後、第1の窒化物半導体を、前記異種基板の上に成長させると共に、第1の保護膜の上にまで成長させる第2の工程とを含むことを特徴とする窒化物半導体の成長方法。 - 前記第1の保護膜が、ストライプ状であり、更に隣接するストライプ状の第1の保護膜の形成されていない部分(窓部)の幅が5μm以下として形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化物半導体の成長方法。
- 前記窓部の幅(Ww)とストライプ状の第1の保護膜の幅(Ws)の比Ws/Wwが、1〜20であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の窒化物半導体の成長方法。
- 前記異種基板はその基板の主面からオフアングルした主面を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の窒化物半導体の成長方法。
- 前記異種基板はステップ状にオフアングルしていることを特徴とする請求項6に記載の窒化物半導体の成長方法。
- 前記異種基板が(0001)面を主面とするサファイアであり、前記第1の保護膜はそのサファイアの(112−0)面に対して垂直なストライプ形状を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の窒化物半導体の成長方法。
- 前記異種基板が(112−0)面を主面とするサファイアであり、前記第1の保護膜はそのサファイアの(11−02)面に対して垂直なストライプ形状を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の窒化物半導体の成長方法。
- 前記異種基板が(111)面を主面とするスピネルであり、前記第1の保護膜は、そのスピネルの(110)面に対して垂直なストライプ形状を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の窒化物半導体の成長方法。
- 前記第2の工程後、第1の窒化物半導体の上に第2の保護膜を部分的に形成する第3の工程と、
第3の工程後、第2の窒化物半導体を前記第1の窒化物半導体の上に成長させると共に、第2の保護膜の上にまで成長させる第4の工程とを含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれ1項に記載の窒化物半導体の成長方法。 - 前記第2の保護膜は、第1の窒化物半導体の表面に現れた結晶欠陥上に形成されることを特徴とする請求項11に記載の窒化物半導体の成長方法。
- 前記第2の保護膜は、前記第1の保護膜と平行なストライプ形状を有することを特徴とする請求項11または12に記載の窒化物半導体の成長方法。
- 窒化物半導体と異なる材料よりなる異種基板上に成長された窒化物半導体の上に、第1の保護膜が部分的に形成されており、その第1の保護膜の上に第1の窒化物半導体が成長され、その第1の窒化物半導体の上に素子構造となる窒化物半導体が積層されてなることを特徴とする窒化物半導体素子。
- 前記第1の保護膜が、第1の保護膜の形成されていない部分の表面積よりも大きい表面積を有して形成されることを特徴とする請求項14に記載の窒化物半導体素子。
- 窒化物半導体と異なる材料よりなる異種基板の上に、第1の保護膜が、第1の保護膜の形成されていない部分の表面積よりも大きい表面積を有して部分的に形成されており、その第1の保護膜の上に第1の窒化物半導体が成長され、その第1の窒化物半導体の上に素子構造となる窒化物半導体が積層されてなることを特徴とする窒化物半導体素子。
- 前記第1の窒化物半導体が、総膜厚1μm以上、50μm以下の膜厚を有し、前記異種基板を有していることを特徴とする請求項14〜16のいずれか1項に記載の窒化物半導体素子。
- 前記第1の窒化物半導体が、総膜厚70μm以上の膜厚を有し、前記異種基板が除去されてなることを特徴とする請求項14〜16のいずれか1項に記載の窒化物半導体素子。
- 前記第1の窒化物半導体が、窓部の幅が5μm以下のストライプ状の形状の第1の保護膜を形成した上に成長されたものであることを特徴とする請求項14〜18のいずれか1項に記載の窒化物半導体素子。
- 上記素子構造となる窒化物半導体が、超格子構造を有するn側窒化物半導体を有していることを特徴とする請求項14〜19のいずれか1項に記載の窒化物半導体素子。
- 前記超格子構造を有するn側窒化物半導体にn電極が形成されていることを特徴とする請求項14〜20のいずれか1項に記載の窒化物半導体素子。
- 前記窓部の幅(Ww)と保護膜の幅(Ws)の比Ws/Wwが、1〜20であることを特徴とする請求項14〜21のいずれか1項に記載の窒化物半導体素子。
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