JP2002317089A - ポリテトラフルオロエチレン樹脂組成物 - Google Patents

ポリテトラフルオロエチレン樹脂組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐圧性および耐摩擦摩耗特性を有する
摺動材料を与え得る脱金属PTFE樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 ポリテトラフルオロエチレン、炭素繊維
およびカーボンビーズ、好ましくはさらにコークス粉か
らなるポリテトラフルオロエチレン樹脂組成物。この樹
脂組成物は、金属粉末を用いることなく、優れた耐圧性
(圧縮特性、圧縮クリープ特性)および耐摩擦摩耗特性
を有する摺動材料を与えることができ、併せて軽量化を
図ることができる。特に、コークス粉を添加した場合に
は、伸び、摩擦摩耗特性を損なうことなく、従来は不可
能とされていた高い圧縮弾性率の値を得ることができ、
すなわちさらに耐圧性を向上することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリテトラフルオ
ロエチレン(PTFE)樹脂組成物に関する。更に詳しく
は、優れた耐圧性および耐摩擦摩耗特性を有する摺動材
料を与え得るPTFE樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、耐圧性、耐摩擦摩耗特性を向上さ
せるために、金属粉末およびカーボン系充填材を複合し
た材料が使用されてきている。しかしながら、銅、鉛、
亜鉛、ニッケル、錫などは、環境問題からその使用が好
ましくないとされる傾向があり、また金属は比重が非常
に重いため、金属を複合しているPTFE樹脂の比重も高く
なることを避けられない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、優れ
た耐圧性および耐摩擦摩耗特性を有する摺動材料を与え
得る脱金属PTFE樹脂組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は、
ポリテトラフルオロエチレン、炭素繊維およびカーボン
ビーズ、好ましくはさらにコークス粉からなるポリテト
ラフルオロエチレン樹脂組成物によって達成される。
【0005】
【発明の実施の形態】PTFEとしては、テトラフルオロエ
チレンの単独共重合体あるいは2重量%以下の共重合可
能な単量体で変性された共重合体のいずれをも用いるこ
とができる。このPTFEには、その60〜85重量%、好まし
くは65〜75重量%に対して、2〜15重量%、好ましくは5
〜10重量%の炭素繊維および10〜30重量%、好ましくは
15〜20重量%のカーボンビーズが配合されて用いられ
る。
【0006】炭素繊維としては、繊維長あるいは繊維径
など特に特定されるものではないが、好ましくは平均繊
維径5〜20μm、平均繊維長20〜500μmのピッチ系ものが
用いられる。炭素繊維は、上述した割合以下で用いると
摩擦摩耗特性、圧縮特性、圧縮クリープ特性などの材料
特性に対する効果が非常に薄くなり、これ以上の割合で
用いると伸び値などの材料特性の低下につながり、かつ
コスト的にも不利なものとなる。
【0007】カーボンビーズとしては、種類あるいは粒
径など特に限定されるものではないが、好ましくは芳香
族ポリマーを原料として得られる平均粒径3〜30μmの球
状カーボンを用いることが好ましい。カーボンビーズ
は、上述した割合以下で用いると摩擦摩耗特性、圧縮特
性、圧縮クリープ特性などの材料特性に対する効果が非
常に薄くなり、これ以上の割合で用いると伸び値などの
材料特性の低下につながり、かつコスト的にも不利なも
のとなる。
【0008】近年の各分野における高圧化の要求に対し
ては、上記各成分に加えて、さらにコークス粉を加える
ことが好ましい。コークス粉としては、種類は特に限定
されないが、好ましくは石油コークス、石炭コークスの
粒径3〜30μmのものが用いられる。コークス粉は、2〜1
5重量%、好ましくは3〜10重量%の割合で用いられる。
コークス粉をこれ以下の割合で用いると、圧縮弾性率
(耐圧性)への効果が小さくなり、これ以上の割合で用い
る場合には、圧縮弾性率(耐圧性)への効果がなくなり、
耐圧性に悪影響を及ぼすと同時に、伸び、摩擦摩耗特性
が低下(悪化)する。
【0009】炭素繊維、カーボンビーズ(およびコーク
ス粉)のPTFEへの配合は、炭素繊維、カーボンビーズ
(およびコークス粉)の良好な分散状態が得られる方法
であれば任意のブレンド方法を採用することができ、一
般的にはヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の混
合機を用いてブレンドを行う。
【0010】
【発明の効果】本発明に係るPTFE樹脂組成物は、金属粉
末を用いることなく、優れた耐圧性(圧縮特性、圧縮ク
リープ特性)および耐摩擦摩耗特性を有する摺動材料を
与えることができ、併せて軽量化を図ることができる。
特に、コークス粉を添加した場合には、伸び、摩擦摩耗
特性を損なうことなく、従来は不可能とされていた高い
圧縮弾性率の値を得ることができ、すなわちさらに耐圧
性を向上することができる。なお、摺動材料としては、
動力舵取り装着用シールリング、コンプレッサ用リップ
シールなどの高圧環境下で用いられるシールリングをは
じめとして、摺動部全般に使用できるものが挙げられ
る。
【0011】
【実施例】次に、実施例について本発明を説明する。
【0012】 実施例1〜4 実施例 PTFE(三井デュポンフロロケミカル製品テフロン7-J) 80 70 75 75 カーボンビーズ(三井鉱山製品;平均粒径:10μm) 10 20 15 15 ピッチ系炭素繊維 10 10 5 5 (呉羽化学製品;平均繊維径8μm、平均繊維長:70μm) 石炭コークス(オリエンタル産業製品;平均粒径:15μm) 5 石油コークス(中越黒鉛製品;平均粒径:20μm) 5 以上の各成分(重量%)は、前述の方法によってブレン
ドされた後、プレス等によって60〜70MPaで圧縮成形さ
れ、焼成炉にて融点以上にて焼成される。
【0013】以上の混合物について、次の各項目の測定
が行われた。得られた測定結果は次の表1に示される。 表1 実施例 測定項目 引張強さ (MPa) 20 18 15 15 伸び (%) 300 230 180 210 比重 2.01 1.95 1.87 1.87 圧縮特性 0.2%オフセット (MPa) 11 12 11 10 10%変形 (MPa) 23 25 27 27 圧縮弾性率 (MPa) 840 840 1220 1280 摺動特性 摩擦係数 0.26 0.26 0.34 0.31 摩耗係数(×10-5cm・s/(MPa・m・h)) 20 15 22 24 圧縮クリープ特性 全歪 (%) 7.5 6.4 6.0 6.3 永久歪 (%) 3.4 2.1 3.1 3.2 〔測定法〕 引張強さ、伸び、比重:JIS K-6891準拠 圧縮特性:ASTM D-605準拠 摺動特性:JIS K-7218A法;P=0.8MPa、V=0.5m/秒、T=2
4時間 圧縮クリープ特性:直径12.7mmで厚さ12.7mmの円柱状、
P=13.7MPa、T=24時間、温度=25℃
【0014】 比較例1〜4 比較例 PTFE(テフロン7-J) 60 70 80 55 カーボンビーズ(平均粒径:10μm) 20 35 ピッチ系炭素繊維(平均繊維径8μm、平均繊維長:70μm) 10 10 10 ブロンズ粉末(福田金属製品;平均粒径:8μm) 30 ガラスビーズ(東芝バロティーニ製品;平均粒径:5〜7μm) 20 以上の各成分(重量%)は、実施例の場合と同様にブレ
ンドされた後、成形、焼成される。
【0015】以上の混合物について、次の各項目の測定
が行われた。得られた測定結果は次の表2に示される。 表2 比較例 測定項目 引張強さ (MPa) 20 18 18 9 伸び (%) 210 250 330 12 比重 2.64 2.16 2.00 1.85 圧縮特性 0.2%オフセット (MPa) 9 10 14 12 10%変形 (MPa) 22 23 26 28 圧縮弾性率 (MPa) 840 800 750 750 摺動特性 摩擦係数 0.26 0.35 0.23 0.35 摩耗係数(×10-5cm・s/(MPa・m・h)) 15 53 26 60 圧縮クリープ特性 全歪 (%) 7.4 7.1 7.9 3.5 永久歪 (%) 3.4 3.1 3.4 1.3

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリテトラフルオロエチレン、炭素繊維
    およびカーボンビーズからなるポリテトラフルオロエチ
    レン樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリテトラフルオロエチレン60〜85重量
    %、炭素繊維2〜15重量%およびカーボンビーズ10〜30
    重量%からなる請求項1記載のポリテトラフルオロエチ
    レン樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 さらにコークス粉が添加された請求項1
    記載のポリテトラフルオロエチレン樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 ポリテトラフルオロエチレン60〜85重量
    %、炭素繊維2〜15重量%、カーボンビーズ10〜30重量
    %およびコークス粉2〜15重量%からなる請求項3記載
    のポリテトラフルオロエチレン樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 炭素繊維が平均繊維径5〜20μm、平均繊
    維長20〜500μmである請求項1または3記載のポリテト
    ラフルオロエチレン樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 カーボンビーズが芳香族ポリマーを原料
    として得られる平均粒径3〜30μmである請求項1または
    3記載のポリテトラフルオロエチレン樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 コークス粉が平均粒径3〜30μmの石油コ
    ークスである請求項3記載のポリテトラフルオロエチレ
    ン樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 摺動材料の成形材料として用いられる請
    求項1または3記載のポリテトラフルオロエチレン樹脂
    組成物。
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