JPH1121405A - 耐圧摺動性四フッ化エチレン樹脂組成物 - Google Patents

耐圧摺動性四フッ化エチレン樹脂組成物

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JPH1121405A
JPH1121405A JP9174261A JP17426197A JPH1121405A JP H1121405 A JPH1121405 A JP H1121405A JP 9174261 A JP9174261 A JP 9174261A JP 17426197 A JP17426197 A JP 17426197A JP H1121405 A JPH1121405 A JP H1121405A
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pressure
tetrafluoroethylene
resin composition
sliding
tetrafluoroethylene resin
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JP9174261A
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Yoshiro Oki
芳郎 沖
Takuya Ishii
卓哉 石井
Kenji Ito
健二 伊藤
Kohei Yoshino
康平 芳野
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NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 10MPaを越えるような高面圧での摺動条
件でクリープ変形量が小さくシール性を充分に発揮で
き、しかも潤滑油に接する摺動相手のアルミニウム合金
材を摩耗損傷しない樹脂組成物とすることである。 【解決手段】 テトラフルオロエチレンと一部変性テト
ラフルオロエチレンの共重合体からなる変性四フッ化エ
チレン樹脂100体積部に対して、繊維長0.05〜1
mm、アスペクト比5〜80の炭素繊維5〜40体積
部、比表面積500m2/g以上の多孔質表面を有する炭
素粉末2〜30体積部を配合し、100℃雰囲気にてA
STM D621の圧縮クリープ特性の24時間最大変
形率が15%以下の耐圧摺動性四フッ化エチレン樹脂組
成物とする。または、上記耐圧摺動性四フッ化エチレン
樹脂組成物の成形体からなる対アルミニウム金属摺接用
シール装置とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、シールリングな
どに使用される耐圧摺動性四フッ化エチレン樹脂組成物
および対アルミニウム金属摺接用シール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、四フッ化エチレン樹脂(以下、
PTFEと略記する。)を主成分とする成形体(素材)
は、弾性率が小さく、取扱いの容易性(ハンドリング)
や安定したシール性、および動摩擦係数が低く安定して
いるという特性によって、シールリングのような摺動性
シール装置として広く用いられている。
【0003】またPTFE製の摺動性シール装置(成形
体)は、それを使用する環境や摺接相手の材料特性に応
じて、種々の添加剤が配合されており、例えばガラス繊
維、炭素繊維、グラファイト、マイカ、タルクなどは代
表的な添加剤である。
【0004】たとえば、PTFEの耐クリープ性を改善
するために、主成分のPTFEに対して熱可塑性ポリイ
ミドを配合すると共に、ガラス繊維、ガラスビーズまた
は黒鉛を配合することが特開平1−233150号公報
に開示されている。
【0005】また、同様にPTFEの耐クリープ性を改
善するために、PTFEより耐クリープ性に優れた樹脂
であるテトラフルオロエチレン−フルオロアルキルビニ
ルエーテル共重合体(PFA)やテトラフルオロエチレ
ン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)を添
加する試みがなされたが、その結果は僅かな耐クリープ
性向上に止まり、PFAやFEPと同様な耐クリープ性
をPTFEにも付与することはできなかった。
【0006】また、テトラフルオロエチレンと一部変性
テトラフルオロエチレンの共重合体からなる一部変性テ
トラフルオロエチレン共重合体は、変性PTFE樹脂と
も呼ばれており、これを主成分としてガラス繊維、炭素
繊維などの繊維状充填剤や、黒鉛、マイカ、タルクなど
の鱗片状充填剤を配合して弾性率を高め、耐クリープ性
をある程度改善することができる(特開平5−2394
40号公報)。
【0007】上記の充填剤配合の一部変性PTFE樹脂
組成物は、摺動相手材がアルミニウム合金である場合
に、高面圧の摺動条件でこれを損傷し、摺動面は異常摩
耗を起こすことがあった。このような不具合を避けるた
めに、前述の充填剤の添加量を減らすように試みたが、
耐クリープ性や耐摩耗性が低下するばかりであった。
【0008】また、芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊
維)は、アルミニウム合金に摺接してもこれを損傷しな
い繊維であるが、耐クリープ性を改善する効果がない。
アルミニウム合金の摺動摩耗を防止するために、モース
硬度の低いウィスカを樹脂に配合する技術は、特開平6
−184385号公報に開示されているが、ウィスカに
よる補強効果が充分でないので、高温雰囲気かつ高面圧
の摺動条件で成形体のクリープ変形率が非常に大きく、
また摩耗しやすいものであった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、シールリン
グのような摺動性シール装置を装着した装置類は、装置
全体の小型化や高性能化などの要請があり、以前より高
圧の条件下でも良好に摺動できる特性が要求されるよう
になってきた。
【0010】具体的に説明すると、冷媒を代替フロンに
変更した熱機関においては、冷媒の常温での蒸気圧が1
MPaから1.7MPaになり、100℃を越える条件
では5MPa以上になった。また、高層化する建築物の
屋上の水タンクから、階下へ導通する配管内の水圧は、
従来建築物における配管内水圧の2〜3倍にもなる。ま
た、自動車等の車両用油圧装置については、その負荷が
大きくなる傾向があり、特にトラックなどのパワーステ
アリングに係わる油圧系統では、シール装置の所要面圧
が車両重量規制の緩和に伴って従来の14MPaを越え
る高圧になってきている。
【0011】しかし、前述のような従来組成のPTFE
系樹脂からなるシールリングその他のシール装置では、
クリープ変形性が大きく、高圧条件に耐えてシール性を
充分に発揮することはできず、特にせん断方向にクリー
プ変形し(連れ込まれ)やすくて異常摩耗も起こりやす
いという問題点があった。
【0012】特に、前記したトラックやバスなどの自動
車用油圧装置においては、100℃程度の高温条件でシ
ール性が求められるので、上記したようなクリープ変形
は確実に起こると考えられる。
【0013】また、油圧シリンダなどに装着されるシー
ルリングなどの摺接用シール装置においては、通常、軸
やシリンダのいずれかをアルミニウム合金で形成して切
削加工性および軽量化を図っており、このようなシール
装置は、潤滑油に接して摺動するアルミニウム金属面
が、乾燥条件で摺動する場合(いわゆる乾燥摩擦)に比
べて損傷され易い。
【0014】なぜなら、高面圧によって摺動面に潤滑油
が充分に供給されない場合や、何らかの理由で摺動面に
非常に希薄な油膜が形成されている場合、通常の乾燥摩
擦面で起こるPTFE組成物から摺動相手材への潤滑物
質の移着が起こらない。そのため、摺動面に固体潤滑剤
または液体潤滑剤のいずれも供給されなくなり、アルミ
ニウム金属は摩耗損傷することになる。
【0015】そこで、この発明の課題は上記した問題点
を解決し、10MPaを越えるような高面圧での摺動条
件において、クリープ変形量が小さくシール性を充分に
発揮でき、しかも潤滑油に接する摺動状態で、摺動相手
のアルミニウム合金材を摩耗損傷しないという耐圧摺動
性四フッ化エチレン樹脂組成物とすることである。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明においては、テトラフルオロエチレンと一
部変性テトラフルオロエチレンの共重合体からなる変性
四フッ化エチレン樹脂100体積部に対し、炭素繊維5
〜40体積部、比表面積500m2/g以上の多孔質表面
を有する炭素粉末2〜30体積部を配合してなる耐圧摺
動性四フッ化エチレン樹脂組成物としたのである。また
は、前記した耐圧摺動性四フッ化エチレン樹脂組成物の
成形体を対アルミニウム金属摺接用シール装置としたの
である。この耐圧摺動性四フッ化エチレン樹脂組成物
は、100℃雰囲気にてASTMD621の圧縮クリー
プ特性の24時間最大変形率が15%以下となる物性を
有する。
【0017】前記変性四フッ化エチレン樹脂は、下記の
化2の式で表わされる変性四フッ化エチレン樹脂を採用
することができる。
【0018】
【化2】
【0019】(式中、m、nは整数、m≫nであり、X
はパーフルオロアルキルエーテル基またはフルオロアル
キル基その他のフルオロアルキルを有する側鎖基であ
る。)前記の炭素繊維は、繊維長0.05〜1mm、ア
スペクト比5〜80の炭素繊維を採用することが好まし
い。前記の炭素粉末は、水蒸気賦活処理された活性炭粉
末を採用することが好ましい。
【0020】この発明における変性四フッ化エチレン樹
脂は、テトラフルオロエチレンと一部変性テトラフルオ
ロエチレンの共重合体からなる。一部変性テトラフルオ
ロエチレンであるコポリマーの分子構造は、TFE分子
構造から変性部分の分子構造が突き出しているため、コ
ポリマー同士の突出部分が引っ掛かりを持つようになっ
ている。そのため、変性四フッ化エチレン樹脂は、通常
の(変性していない)PTFEよりも分子鎖同士が滑り
難く、強度および弾性係数が高く、耐クリープ性にも優
れている。
【0021】そして、この発明では補強材として、炭素
繊維と所定比表面積の多孔質表面を有する炭素粉末を併
用することにより、組成物の耐クリープ性および耐摩耗
性を相乗的に向上させていると考えられる。
【0022】すなわち、所定比表面積の多孔質表面を有
する炭素粉末は、表面がミクロポア状になっており、摩
擦せん断を受けても負荷部のみに部分的な崩壊が起こる
ものであり、摺動接触する相手材に対して低摩擦であり
かつ相手材を損傷しないであろうと考える。また、摺動
面や摺動雰囲気に潤滑油(オイル)が存在する場合に
は、ミクロポア部分に潤滑油が吸着するので、このよう
な多孔質表面を有しない炭素粉末に比べて潤滑油を摺動
面に安定供給する能力に優れていると考える。
【0023】
【発明の実施の形態】この発明に用いる変性四フッ化エ
チレン樹脂は、前記化2の式で表わされる重合体からな
り、この樹脂は、PTFE本来の特性を保持していて、
溶融加工性を有しない程度に変性されたPTFEであ
り、変性量を多くした場合のテトラフルオロエチレン−
ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)やテトラ
フルオロエチレン−フルオロアルキルビニルエーテル共
重合体(PFA)のような溶融成形可能な熱可塑性フッ
素樹脂とは、コモノマーが異なるものである。
【0024】すなわち、変性四フッ化エチレン樹脂を構
成するコモノマーの組成を表わす化2の式中のm、n
は、m≫nであり、上記したようにPTFEが本来有す
る非溶融特性を実質上保持するように、整数値nに比べ
て整数値mの値はかなり大きいm>nの関係である。化
2の式中のXは、TFEと共重合可能な1価の基であ
り、この基は成形温度で熱分解されないものであれば特
に基の種類を限定使用したものではなく、例えば−O−
Rf(Rf:パーフルオロアルキル基)で示されるパー
フルオロアルキルエーテル基、−CF3 などのフルオロ
アルキル基、またはその他のフルオロアルキルを有する
側鎖基を採用できる。
【0025】このような変性四フッ化エチレン樹脂の重
合法は、モールディングパウダーを重合する場合に採用
される懸濁重合法、ファインパウダーを重合する乳化重
合法のいずれでもよく、分子量は約50万から1000
万であることが好ましく、100万から700万である
ことがより好ましい。
【0026】上述の条件を満足する市販の変性四フッ化
エチレン樹脂の例としては、三井・デュポンフロロケミ
カル社製:テフロンTG−70J、ダイキン工業社製:
ポリフロンM111、同社製:ポリフロンM112、ヘ
キスト社製:ホスタフロンTFM1600、同社製:ホ
スタフロンTFM1700などが挙げられる。
【0027】この発明に用いる炭素繊維は、その原材料
からピッチ系またはPAN系のいずれのものであっても
よいが、2000℃またはそれ以上の高温で焼成されて
黒鉛(グラファイト)化されたものよりも、1000℃
程度で焼成された炭化品のものが、摺動相手のアルミニ
ウム合金を摩耗損傷しにくいので好ましい。炭素繊維の
寸法は、繊維長0.05〜1mm、好ましくは0.05
〜0.1mm、繊維径はφ20μm以下、好ましくはφ
7〜15μm、アスペクト比は5〜80、好ましくは2
0〜50である。上記範囲未満の繊維長または繊維径で
は、基材の補強効果が乏しく充分な耐クリープ性や耐摩
耗性が得られず、前記範囲を越える繊維長または繊維径
では、成形性が阻害されると共に摺動相手のアルミニウ
ム合金を摩耗損傷する可能性も高くなって好ましくな
い。
【0028】上記した条件を満足する市販の炭素繊維と
しては、ピッチ系炭素繊維として、呉羽化学社製:クレ
カミルド M101S、同M107S、同M201S、
同M207S、または大阪ガスケミカル社製:ドナカー
ボン S241、同S244、同SG241、同SG2
41、同SG244がある。また、同様のPAN系炭素
繊維として、東邦レーヨン社製:ベスファイト HTA
−CMF0160−OH、同HTA−CMF0070−
OHがある。
【0029】次に、この発明に用いる比表面積が500
2/g以上の多孔質表面を有する炭素粉末は、表面に活
性炭のようなミクロポアを形成した炭素粉末であり、炭
化原料を特に限定したものではない。たとえば、ピッチ
系またはPAN(ポリアクリロニトリル)系の炭素繊維
であって1000℃程度で焼成(炭化)されたものが市
販されているが、これを利用して不活性ガス雰囲気にて
酸化剤で表面処理(活性化処理または賦活処理ともい
う。)し、比表面積を通常の炭素繊維における1m2/g
のレベルから、500m2/g以上に飛躍的に高めて表面
を活性炭のように多孔質化したものである。また、出発
原料をフェノール樹脂またはエポキシ樹脂として、上述
のように焼成し、さらに表面処理した炭化粉末を採用し
てもよい。また、ヤシガラ、石炭、木質系原料を出発材
料として、塩化亜鉛溶液などを用いて薬品賦活処理、も
しくは水蒸気賦活処理した活性炭粉末であってもよい。
【0030】この発明における炭素粉末は、上記したい
ずれの表面処理方法においても、処理条件をコントロー
ルして比表面積を500m2/g以上にしたものを使用す
る。500m2/g未満の比表面積では、ダイカスト用等
のアルミニウム合金を摺動相手とした場合に損傷させる
ことがあり、また潤滑油を充分に保持できなくなり、摺
動面へ潤滑油を充分に供給できない。また、比表面積が
過剰に大きければ、樹脂組成物の弾性率や強度を高める
ことができないことから、炭素粉末に好ましい比表面積
は、700〜1500m2/gである。
【0031】また、この発明における炭素粉末には、粉
状、粒状および繊維状のものがあり、粒状または粉状の
炭素粉末の粒径は、平均粒径において1〜100μm、
好ましくは5〜30μmである。なぜなら、上記範囲外
の粒径では均一分散が困難となり、耐クリープ性や耐摩
耗性の向上が期待できないからである。繊維状の炭素粉
末の寸法は、炭素繊維の場合と同様の理由により、繊維
長0.05〜1mm、好ましくは0.05〜0.1m
m、繊維径はφ20μm以下、好ましくはφ7〜15μ
m、アスペクト比は5〜80、好ましくは20〜50で
ある。
【0032】上記条件を満足する市販の炭素粉末として
は、下記のものが挙げられる。 [活性炭粉末] 武田薬品工業社製:白鷺A(比表面積1000m2/g:
水蒸気賦活処理品) [繊維状活性炭] 大阪ガスケミカル社製:ADOL−A7(比表面積70
0m2/g:不活性ガス中での賦活処理品) [球状活性炭] 大阪ガスケミカル社製:スーパー活性炭(比表面積20
00m2/g:不活性ガス中での賦活処理品) 前記したように、変性PTFE樹脂100体積部に対
し、炭素繊維の配合割合は、5〜40体積部であり、所
定比表面積の炭素粉末の配合割合は、2〜30体積部で
ある。
【0033】なぜなら、炭素繊維の配合割合が40体積
部を越えると、成形性が悪くなり、摺動相手のアルミニ
ウム金属を摩耗損傷する可能性も高くなる。しかし、炭
素繊維の配合割合が5体積部未満では組成物を補強する
効果が乏しく、充分な耐クリープ性や耐摩耗性が得られ
ない。
【0034】また、炭素粉末の配合割合が、30体積部
を越える多量では、組成物の成形性が悪くなり、耐摩耗
性も所要の程度より低下する。また、炭素粉末の配合割
合が、2体積部未満では組成物所期した程度に摺動面へ
の給油効果がなく、充分な摺動特性が得られない。
【0035】なお、この発明の効果を阻害しないなら
ば、以下に列挙するような周知の樹脂用添加材を配合す
ることもできる。 (1)摩耗補強剤:PTFE潤滑粉、二硫化モリブデン (2)電気特性向上剤:炭化粉末、酸化亜鉛、酸化チタ
ンなど (3)クラッキング性向上剤:黒鉛 (4)熱伝導性向上剤:黒鉛、金属酸化物粉末 (5)靭性向上のための添加剤:PFA、FEP。
【0036】以上述べた諸原材料を混合し、混練する手
段は、特に限定するものではなく、粉末原料のみをヘン
シェルミキサー、ボールミキサー、リボンブレンダー、
レディゲミキサー、ウルトラヘンシェルミキサーなどに
て乾式混合すればよい。さらに、湿式法などにより成形
方法に合致する所定粒径の粒子に造粒することが好まし
い。
【0037】この発明の耐圧摺動性四フッ化エチレン樹
脂組成物でもってシールリングなどの対アルミニウム金
属摺接用シール装置を成形するには、樹脂成形に一般的
に採用される以下の成形法を採用できる。たとえば、フ
リーベーキング法、ホットモールディング法、アイソス
タチックモールディング、連続ラム押出し、ペースト押
出し法、ダイレクトモールドなどである。
【0038】なお、この発明の耐圧摺動性四フッ化エチ
レン樹脂組成物の好適な用途としては、フロン代替冷媒
が使用されているコンプレッサー用シール、高層マンシ
ョンまたは公共ビルディングなどの高層建築物用の高水
圧シール、トラック、バス、自動車などのパワーステア
リングシールなどが挙げられる。さらに、ショベルカ
ー、フォークリフト、ブルドーザーまたは釘打ち機等の
建設機械関連のシール軸受としても使用可能である。ま
た、安全性を考慮するならば、前述の100℃雰囲気で
負荷圧力が10MPaを越えるような仕様より穏やかな
条件で用いるシール装置であってもよい。また、接触す
る相手の材質が、鋼、鋳鉄などのアルミニウム合金より
硬度の高い材質の場合であっても、前記組成物をシール
装置等の成形体として使用可能であるのは勿論である。
【0039】
【実施例】実施例および比較例に用いる原材料を一括し
て以下に示す。なお、原材料に括弧書きした番号は、表
中の原材料番号と一致している。 (1)変性四フッ化エチレン樹脂−1[変性PTFE−
1] 三井デュポンフロロケミカル社製:テフロンTG70J (2)変性四フッ化エチレン樹脂−2[変性PTFE−
2] ダイキン工業社製:ポリフロンM111 (3)四フッ化エチレン樹脂[PTFE] 三井デュポンフロロケミカル社製:テフロン7J (4)テトラフルオロエチレン−フルオロアルキルビニ
ルエーテル共重合体[PFA] 三井デュポンフロロケミカル社製:PFA MP10 (5)炭素繊維(ピッチ系)−1[CF−1] 呉羽化学社製:クレカミルド M101S (6)炭素繊維(PAN系)−2[CF−2] 東邦レーヨン社製:ベスファイト HTA−CMF01
60−OH (7)活性炭粉末 武田薬品工業社製:白鷺A(比表面積1000m2/g) (8)繊維状活性炭 大阪ガスケミカル社製:ADOL−A7(比表面積70
0m2/g) (9)球状活性炭 大阪ガスケミカル社製:スーパー活性炭 M2000
(比表面積2000m2/g) (10)黒鉛 日本黒鉛社製:ACP(比表面積9
2/g) (11)カーボンブラック 昭和キャボット社製:ショウブラックN110(比表面
積144m2/g) (12)ガラス繊維 旭ファイバーグラス社製:MF−KAC
【0040】〔実施例1〜9、比較例1〜13〕表1お
よび表2に示す配合割合で原材料をヘンシェル乾式混合
機を用いてドライブレンドし、プレス機を用いてφ30
×100(mm)の棒素形材、φ124×φ64×10
0(mm)の円筒素形材を予備成形し、370℃で4時
間フリーベーキング法により焼成した。これらの素材を
切削加工してφ17×φ21×10(mm)の摩擦摩耗
試験機用のリング状試験片、12.7×12.7×1
2.7(mm)の圧縮クリープ用の試験片を作製した。
また、円筒素形材についてはスカイビング加工により1
×80×1000(mm)の一般物性用のシート試験片
を作成した。
【0041】摩擦摩耗試験は、スラスト型試験機を用
い、試験条件は100℃のATFオイル中に摺接相手材
のアルミニウム合金(ADC12:JIS H2118
12種)、周速6m/分、荷重12MPaで10時間
供試し、試験終了直前の動摩擦係数、樹脂試験片の摩耗
量、相手材の摩耗量を表3および表4に示した。
【0042】圧縮クリープ試験は、ASTM D621
に準拠し、常温および100℃の雰囲気で面圧140k
gf/cm2 で圧縮し、24時間後の最大変形率(%)
と、さらにその後24時間経過後の変形率(永久変形
率:%)を求めた。
【0043】また、ASTM D1708に準拠し、引
張強度および破断伸び率を測定し、これらの結果を表3
および表4中に併記した。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】表3および表4の結果からも明らかなよう
に、実施例の組成物は、100℃雰囲気にてASTM
D621の圧縮クリープ特性の24時間最大変形率が1
5%以下であり、オイル雰囲気条件での摩擦摩耗試験で
相手材(ADC12)をほとんど損傷することなく、低
摩擦特性および耐摩耗性に優れていた。
【0049】それに対して、変性PTFEに比表面積5
00m2/g未満の炭素粉末を配合した比較例4、5、炭
素粉末を全く配合していない比較例2、3および炭素繊
維と炭素粉末の配合量が所定量より多い比較例8は、最
大変形率が15%以下ではあったが、摩擦摩耗試験で相
手材を著しく損傷した。また、炭素繊維および炭素粉末
の配合量が所定量より少ない比較例7は、摺動相手材を
摩耗損傷させないが、耐摩耗性および耐クリープ性が劣
っていた。
【0050】
【発明の効果】この発明は、以上説明したように、変性
四フッ化エチレン樹脂に、炭素繊維、および所定の比表
面積の多孔質表面を有する炭素粉末をそれぞれ所定量配
合した四フッ化エチレン樹脂組成物としたので、10M
Paを越えるような高面圧での摺動条件において、クリ
ープ変形量が小さくシール性を充分に発揮でき、しかも
潤滑油に接する摺動状態で、摺動相手のアルミニウム合
金材を摩耗損傷しない耐圧摺動性四フッ化エチレン樹脂
組成物であるという利点がある。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テトラフルオロエチレンと一部変性テト
    ラフルオロエチレンの共重合体からなる変性四フッ化エ
    チレン樹脂100体積部に対し、炭素繊維5〜40体積
    部、比表面積500m2/g以上の多孔質表面を有する炭
    素粉末2〜30体積部を配合してなる耐圧摺動性四フッ
    化エチレン樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 テトラフルオロエチレンと一部変性テト
    ラフルオロエチレンの共重合体からなる変性四フッ化エ
    チレン樹脂100体積部に対し、炭素繊維5〜40体積
    部、比表面積500m2/g以上の多孔質表面を有する炭
    素粉末2〜30体積部を配合してなり、100℃雰囲気
    にてASTM D621の圧縮クリープ特性の24時間
    最大変形率が15%以下である耐圧摺動性四フッ化エチ
    レン樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 変性四フッ化エチレン樹脂が、下記の化
    1の式で表わされる変性四フッ化エチレン樹脂である請
    求項1または2に記載の耐圧摺動性四フッ化エチレン樹
    脂組成物。 【化1】 (式中、m、nは整数、m≫nであり、Xはパーフルオ
    ロアルキルエーテル基またはフルオロアルキル基その他
    のフルオロアルキルを有する側鎖基である。)
  4. 【請求項4】 炭素繊維が、繊維長0.05〜1mm、
    アスペクト比5〜80の炭素繊維である請求項1〜3の
    いずれか1項に記載の耐圧摺動性四フッ化エチレン樹脂
    組成物。
  5. 【請求項5】 比表面積500m2/g以上の多孔質表面
    を有する炭素粉末が、水蒸気賦活処理された活性炭粉末
    である請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐圧摺動性
    四フッ化エチレン樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐
    圧摺動性四フッ化エチレン樹脂組成物の成形体からなる
    対アルミニウム金属摺接用シール装置。
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