JP2003183625A - ポリテトラフルオロエチレン組成物からなるシール部材 - Google Patents

ポリテトラフルオロエチレン組成物からなるシール部材

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JP2003183625A
JP2003183625A JP2001387054A JP2001387054A JP2003183625A JP 2003183625 A JP2003183625 A JP 2003183625A JP 2001387054 A JP2001387054 A JP 2001387054A JP 2001387054 A JP2001387054 A JP 2001387054A JP 2003183625 A JP2003183625 A JP 2003183625A
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ptfe
polytetrafluoroethylene
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carbon fiber
sealing member
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Yoshiichi Hirota
芳一 廣田
Hiroyuki Enomoto
博幸 榎本
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Kayaba Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、充填材とPTFE樹脂間の密着性
を向上させることで充填材の特性をPTFE樹脂成形品
に付与し、弾性率が高く延伸破断しにくいPTFE樹脂
成形品、特に油圧シリンダ用のシール部材を提供する。 【解決手段】 ポリテトラフルオロエチレンおよび炭素
繊維からなる組成物であって、炭素繊維の比表面積が1.
0〜2.0m2/gであることを特徴とするポリテトラフルオロ
エチレン組成物から成形されるシール部材23を提供す
る。このシール部材23では、ピストン25のシリンダ
チューブ26に対する摺動に起因するはみ出しが大幅に
減少する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、従来の炭素繊維入
りのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)組成物よ
りも、機械的特性、特に引張弾性率と耐圧縮クリープ特
性を改善した充填材含有のポリテトラフルオロエチレン
組成物から成るシール部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)樹脂は、低摩擦係数であるとともに耐熱性および耐
薬品性に優れているため、耐磨耗性や耐クリープ性を改
善する目的で充填材を含有させて摺動部材やシール部材
として多く使用されている。ここで使用されるPTFE
樹脂は圧縮成形用粉末であるモールディングパウダーで
ある。
【0003】一方、充填材として、ガラス繊維、炭素繊
維、グラファイト、二硫化モリブデン、ブロンズ粉末な
どの無機充填材、又は、芳香族ポリエステル、ポリイミ
ド、ポリフェニレンサルファイドなどの有機充填材が知
られている。しかし、近年の機械のコンパクト化とそれ
に伴う高圧化によって、従来の摺動部材やシール部材
は、運動する部材間にPTFE樹脂がはみ出して損傷あ
るいは変形するため機密性を長時間維持できないという
問題が発生した。特に、油圧シリンダのシール部材とし
てPTFE樹脂を用いる場合には、シール部材(バッフ
ァリング、シールリング等)のはみ出しを防止するため
の手段又は構造(例えば、バックアップリング)をシリ
ンダに設ける必要があった。図4に示すように、従来の
油圧シリンダのロッドパッキング部において、バッファ
リングのはみ出しを抑制するバックアップリングが、バ
ッファリングのロッド出口側に設けられていた。又、図
5に示すように、従来の油圧シリンダのピストンパッキ
ング部においては、シールリングの両端にバックアップ
リングが設けられていた。そこで、例えば特開平5-2394
40号公報において、かかるはみ出し変形を防止するに
は、PTFE樹脂として共重合可能な単量体で変性され
たPTFE樹脂を用いることが有効であることが示され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
充填材を含有したPTFEモールディングパウダーから
成形された摺動部材やシール部材においては、PTFE
樹脂自体が非粘着性の特性を強く有していることからP
TFE樹脂と添加された充填材との間で密着性に乏し
く、摺動面やシール面において荷重が掛かった場合にP
TFE樹脂と充填材とのズレが生じるため、充填した材
料の性質を活かせない問題点を有している。
【0005】本発明は、充填材とPTFE樹脂間の密着
性を向上させることで充填材の特性をPTFE樹脂成形
品に付与し、成形品の弾性率が高く延伸破断しにくいP
TFE組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、ポリテト
ラフルオロエチレン組成物から成形されるシール部材に
おいて、ポリテトラフルオロエチレン組成物が、ポリテ
トラフルオロエチレンおよび炭素繊維からなる組成物で
あって、炭素繊維の比表面積が1.0〜2.0m2/gであること
を特徴とする。
【0007】第2の発明は、第1の発明のポリテトラフ
ルオロエチレンが、テトラフルオロエチレンと共重合可
能なモノマーを0.1〜1.0重量%含むことを特徴とする。
【0008】第3の発明は、第1または第2の発明のポ
リテトラフルオロエチレン組成物が、炭素繊維を5〜20
重量%含有し、前記ポリテトラフルオロエチレンが粒径
10〜50μmの粒子であることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を説
明する。
【0010】本発明に用いられるポリテトラフルオロエ
チレン組成物に含有されるPTFEモールディングパウ
ダーは、テトラフルオロエチレン(TFE)の単独重合
体、或いはTFEと共重合可能な単量体(モノマー)が
0.1〜1.0重量%の割合でTFEと共重合した共重合体で
ある。この共重合可能な単量体として、例えば、炭素数
3〜6個のパーフルオロアルケン(例えばヘキサフルオ
ロプロピレン)、炭素数1〜6個のパーフルオロ(アル
キルビニルエーテル)(例えば、パーフルオロ(プロピ
ルビニルエーテル))およびクロロトリフルオロエチレ
ンが用いられる。なお、これら単量体で変性された変性
PTFEは、単独重合体のPTFE同様に溶融加工性を
有しない。
【0011】公知の懸濁重合法或いは乳化重合法によ
り、上記の単独重合体または共重合体であるPTFE重
合体は、多数の粒子からなる粉末として得られる。上記
のPTFEモールディングパウダーは、この粉末、また
はこの粉末を造粒した後、平均粒径100μm以下に粉砕し
たものである。PTFEモールディングパウダーの粒径
は、5〜100μm、好ましくは、10〜50μmである。この
ように微粉化されたPTFEモールディングパウダー
は、炭素繊維と均一に混合するのに有利である。
【0012】本発明に用いられる炭素繊維は、例えばフ
ェノール系樹脂、レーヨン、ポリアクリルニトリル、石
炭ピッチ、石油ピッチなどを原料とし炭化または黒鉛化
された繊維である。なお、1500℃以上の高温で焼成した
ものは結晶構造が黒鉛化していない場合でも黒鉛化の概
念に含めることとする。また、炭素繊維は、通常PTF
E樹脂に充填される平均繊維径が5〜20μm、好ましくは
10〜16μmのものである。5μm未満の繊維径を持った炭
素繊維は、均一分散しにくいため、繊維の凝縮が起こり
やすく、また単位面積当たりの充填量が増えることによ
り、PTFE組成物のマトリックス(母材)を形成して
いる変性PTFEの強度やクリープ特性を損なう結果を
もたらす。平均繊維径が20μmを超えると、相手材であ
るアルミ材の磨耗が大きくなる。
【0013】炭素繊維の平均繊維長は、一般に50〜500
μm、より好ましくは50〜200μmのものが用いられる。5
0μm以下となると繊維としての補強効果が充分に発揮で
きず、また500μm以上になると、成形品の伸び値の減少
をまねき柔軟性を損なう結果となる。
【0014】原料的にはポリアクリルニトリル(PA
N)系炭素繊維よりも、石油ピッチ系の炭素繊維がより
好ましい。炭素繊維の比表面積は、1.0m2/g以上が必要
であるが、2.0m2/g以上になるとPTFE樹脂と炭素繊
維との密着が強すぎて、引張試験において伸び(%)が
低下する。従って、炭素繊維の比表面積の好ましい範囲
は、1.0〜2.0m2/gである。 炭素繊維の比表面積のさら
に好ましい範囲としては、1.0〜1.5m2/gである。
【0015】炭素繊維の比表面積を制御する方法として
は、黒鉛化焼成する前後の粉砕の程度を選択することに
より可能である。また、炭素繊維の組成物中での割合
は、5〜20重量%、好ましくは8〜15重量%である。添加
量が5重量%より少ない場合には成形品の耐摩擦性、耐
クリープ性等を改善する効果が少ない。添加量が20重量
%を超える場合には成形品の伸びなどの物性が低下しす
ぎる。
【0016】その他、一般にフッ素樹脂粉末の充填材と
して混合されている平均粒径200μm以下の粉末や繊維を
少量ならばPTFE組成物に混合可能である。例えば、
ガラス充填材(例えばガラス繊維またはガラス球)、ア
ルミナ粉末、硫酸カルシウム、炭酸カルシウムまたは青
銅粉末等の親水性充填材、チタン酸カリウム繊維、タル
ク、酸化亜鉛粉末、カーボン繊維、二硫化モリブデン、
グラファイト粉末等の半親水性充填材、及びポリイミ
ド、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリフェニレンサ
ルファイド等の有機充填材が利用できる。
【0017】シール部材の原料となるPTFE組成物に
おける成分(PTFEモールディングパウダー、炭素繊
維等)の混合に際しては、V型ブレンダー、タンブラ
ー、ヘンシェルミキサー等による、通常の公知の混合方
法が採用される。例えば、ヘンシェルミキサーを用い、
回転数約200〜1000rpm、時間約4〜15分間といった混合
方法が用いられる。
【0018】また、本発明のPTFE組成物の成形方法
は、限定されるものでなく公知のPTFEモールディン
グパウダーの圧縮成形法を適用すればよい。
【0019】このように得られた成形品は、延伸破断し
にくく、変形しにくい等の特性を持つ。
【0020】以下に実施例により本発明をより具体的に
説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるもので
はない。
【0021】なお実施例で得られたPTFE造粒粉末の
物性測定方法及び成形品の成形方法及び成形品の成形方
法、物性測定法は下記のとおりである。 物性測定法 (1)比表面積測定 マイクロメリテックス製フローソーブII 2300型を使用
してBET一点法により比表面積(m2/g)を求めた。 (2)引張試験 (東洋ボールドウィン製テンシロンU
TM型機) ASTM-D-1708に従って試験片を打ち抜き、試験に用い
た。23℃と120℃で測定を行った。ここで、120℃で試験
を行うのは、PTFE組成物が油圧シリンダのバッファ
シール等に使用されることを想定した場合の油温を考慮
したものである。 (3)圧縮クリープ 外形50mm、高さ100mmのビレットから切削することによ
りASTM-D-621に規定される試験片を得て、120℃で圧縮
クリープを測定した。
【0022】
【実施例1】平均粒径35μmのPTFEモールディング
パウダー(三井・デュポンフロロケミカル(株)製:70
-J)90重量%と炭素繊維(CF)(比表面積1.5m2/g)
10重量%からなる組成物をヘンシェルミキサーで回転数
450rpm、時間10分間の条件で均一に混合した。この組成
物を700kg/cm2で予備成形し、370℃で3時間焼成し、直
径50mm、高さ100mmの円筒状成形物を得た。これから外
径50mm、厚さ2mmの円盤を切削加工し、これからASTM-D-
1708記載のマイクロダンベルにて試験片を打ち抜き、引
張試験を行った。また、ASTM-D-621に規定される試験片
を得て、120℃で圧縮クリープを測定した。結果を表1
に示す。
【0023】
【実施例2】平均粒径35μmのPTFEモールディング
パウダー(三井・デュポンフロロケミカル(株)製:70
-J)85重量%と炭素繊維(比表面積1.5m2/g)10重量%
とPFAパウダー(三井・デュポンフロロケミカル
(株)製:MP-103)5重量%からなる組成物をヘンシェ
ルミキサーで均一に混合した。この組成物を実施例1と
同様に成形し物性を測定した。結果を表1に示す。
【0024】
【比較例1】平均粒径35μmのPTFEモールディング
パウダー(三井・デュポンフロロケミカル(株)製:70
-J)90重量%と炭素繊維(CF)(比表面積0.5m2/g)
10重量%とからなる組成物をヘンシェルミキサーで均一
に混合した。この組成物を実施例1と同様に成形し物性
を測定した。結果を表1に示す。
【0025】
【比較例2】平均粒径35μmのPTFEモールディング
パウダー(三井・デュポンフロロケミカル(株)製:7-
J)90重量%と炭素繊維(比表面積0.5m2/g)10重量%
とからなる組成物をヘンシェルミキサーで均一に混合し
た。この組成物を実施例1と同様に成形し物性を測定し
た。結果を表1に示す。
【0026】
【実施例3】油圧シリンダのバッファリングやシールリ
ングなどのシール部材が、本発明を適用する成形品とし
て挙げられる。
【0027】本発明によるバッファリング15は、油圧
シリンダにおいて図1のように使用される。ここで図1
は、油圧シリンダのロッドパッキングの構造を示してい
る。11はワイパーリング、12はメインシール(ウレ
タン製Uパッキング)、13はロッドカバー、14はN
BR製角リング、15はバッファリング、16はロッド
である。バッファリング15は、摺動するロッド16に
摺接するように取付溝に収容され、メインシールとして
機能するシールリング12に伝わる通常の油圧変動や衝
撃圧を緩和する。なお、ワイパーリング11は、異物の
侵入を防止するために設けられている。本発明によるバ
ッファリング15を使用すれば、従来技術とは違ってバ
ックアップリング等のはみ出しを防止するための部材を
バッファリング15に対してメインシール12側に設け
る必要がなくなり、バッファリング15が単体で使用で
きる。
【0028】さらに、本発明によるシールリング23
は、油圧シリンダにおいて図2のように使用される。こ
こで図2は、油圧シリンダのピストンパッキングの構造
を示している。21は外側ウェアリング、22は内側ウ
ェアリング、23はシールリング、24はO−リング、
25はピストン、26はシリンダチューブである。ピス
トン25のシリンダチューブ26に対する摺動に起因す
るシールリング23のはみ出しが本発明によるシールリ
ングでは起こらない。従来技術とは違ってバックアップ
リングをシールリング23の両端に設ける必要がなくな
り、シールリング23が単体で使用できる。
【0029】
【発明の効果】実施例の効果を比較例の結果とともに表
1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】本発明のポリテトラフルオロエチレン組成
物を圧縮成形しその後焼成することにより得られる成形
品は、PTFE樹脂と充填材の密着性に優れているた
め、弾性率が向上し、延伸破断しにくい。また、120
℃における、圧縮クリープ特性の向上もみられる。なお
表1において、MDは圧縮方向(モールディングディメン
ジョン)でのクリープ、CDは、圧縮方向に垂直な方向
(クロスディメンジョン)でのクリープである。
【0032】本発明のポリテトラフルオロエチレン組成
物により、高圧下での使用においても変形の少ない成形
品(例えばシールリング等)の作製が可能になる。さら
に、油圧シリンダのシール部材に、本発明のポリテトラ
フルオロエチレン組成物から作製される成形品を適用す
る場合、成形品のはみ出しを防止するための手段又は構
造を設ける必要がなくなる。次に、本発明による成形品
であるバッファリングのはみ出し試験を行った結果につ
いて説明する。
【0033】試験装置を図3aに示す。試験装置は、2
つの取り付け部(31Aと31B)にサンプルを供試で
き、通常品と発明品を同時に試験できる。バッファリン
グの取り付け部の略図を図3bに示す。試験は、温度1
20℃、圧力38MPa、速度16m/min、走行距離16Km
の条件で行われた。図3cに示すバッファリングのはみ
出し量A1は、通常品で0.5mm、発明品で0.1mmとなり、
本発明により、はみ出し量の大幅な減少がみられた。こ
のように本発明により、バッファリングの耐久寿命が延
びる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による油圧シリンダのロッドパッキング
の構造を示す図。
【図2】本発明による油圧シリンダのピストンパッキン
グの構造を示す図。
【図3】(a)バッファリングのはみ出し試験装置。(b)
試験装置におけるバッファリングの取り付け部の略図。
(c) バッファリングのはみ出し量を示す図。
【図4】従来技術による油圧シリンダのロッドパッキン
グの構造を示す図。
【図5】従来技術による油圧シリンダのピストンパッキ
ングの構造を示す図。
【符号の説明】
11 ワイパーリング 12 シールリング 15 バッファリング 22 内側ウェアリング 23 シールリング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 27/18 C08L 27/18 F16J 15/16 F16J 15/16 A Fターム(参考) 3J043 AA12 AA13 CB06 CB13 4F072 AA02 AB10 AB17 AD07 AK04 AL02 4H017 AA20 AA39 AB12 AD01 AE05 4J002 BD151 DA016 FA046 FD010 FD016 GJ02 GM00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリテトラフルオロエチレン、及び、比表
    面積が1.0〜2.0m2/gである炭素繊維を含むポリテトラフ
    ルオロエチレン組成物から成形されることを特徴とする
    シール部材。
  2. 【請求項2】前記ポリテトラフルオロエチレン組成物に
    おいて、前記ポリテトラフルオロエチレンがテトラフル
    オロエチレンと共重合可能なモノマーを0.1〜1.0重量%
    含むことを特徴とする請求項1に記載のシール部材。
  3. 【請求項3】前記ポリテトラフルオロエチレン組成物に
    おいて、前記炭素繊維が5〜20重量%含有され、前記ポ
    リテトラフルオロエチレンが粒径10〜50μmの粒子であ
    ることを特徴とする請求項1または2に記載のシール部
    材。
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