JP2002296421A - レターデーション制御剤およびセルロースエステルフイルム - Google Patents
レターデーション制御剤およびセルロースエステルフイルムInfo
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Abstract
ステルフイルムの屈折率を任意に制御する。 【解決手段】 セルロースエステルフイルムを一軸延伸
すると、延伸方向と直交する方向のセルロースエステル
フイルムの屈折率が大きくなるようにレターデーション
を制御する機能を有するセルロースエステルフイルム用
レターデーション制御剤を用いる。
Description
ルフイルム用のレターデーション制御剤、レターデーシ
ョンが制御されたセルロースエステルフイルムに関す
る。
うな光学異方性膜(位相差膜)は、反射防止膜や液晶表
示装置に関連する多くの用途を有しており、すでに実際
に使用されている。特開平5−27118号および同5
―27119号の各公報には、レターデーションが大き
い複屈折性フイルムと、レターデーションが小さい複屈
折性フイルムとを、それらの光軸が直交するように積層
させた位相差板が開示されている。二枚のフイルムのレ
ターデーションの差が可視光域の全般にわたりλ/4ま
たはλ/2であれば、位相差板は理論的には可視光域の
全体にわたりλ/4板またはλ/2板として機能する。
特開平10−68816号および同10−90521号
の各公報にも、二枚のフイルムを積層することによって
広い波長領域でλ/4をできる位相差膜が開示されてい
る。以上のポリマーフイルムとしては、ポリカーボネー
トのような合成ポリマーの延伸フイルムが使用されてい
た。
イルムを延伸することによって、一枚で広い波長領域に
おいてλ/4を達成できることが開示されている(特開
2000−137116号公報)。さらに、セルロース
エステルフイルムに添加剤(レターデーション制御剤)
を用いるとより、広い範囲の波長領域においてλ/4を
達成できることがわかってきた(WO00/65384
号明細書)。WO00/65384号明細書では、セル
ロースエステルフイルムにレターデーション制御剤を添
加して延伸する方法を用いているが、目標の光学特性を
得るためにはフイルムを破断領域近くまで延伸する必要
があり、製造上、延伸が少なくすむことが求められてい
た。本発明の目的は、延伸倍率が低くても、セルロース
エステルフイルムの屈折率を任意に制御できるレターデ
ーション制御剤を提供することである。また、本発明の
目的は、延伸倍率が低くても、屈折率が任意に制御され
ているセルロースエステルフイルムを提供することでも
ある。
(1)、(3)および(5)のセルロースエステルフイ
ルム、そして下記(2)、(4)および(6)の光学異
方性膜により達成された。 (1)セルロースエステルフイルムを一軸延伸すると、
延伸方向と直交する方向のセルロースエステルフイルム
の屈折率が大きくなるようにレターデーションを制御す
る機能を有するセルロースエステルフイルム用レターデ
ーション制御剤。 (2)下記式(I)で表される(1)に記載のセルロー
スエステルフイルム用レターデーション制御剤: (I) (Q)m−L−(M)n [式(I)において、Qは、配向性付与基であり;M
は、複屈折性付与基であり;Lは、直接結合またはm+
n価の連結基であり;そして、mおよびnは、それぞ
れ、1以上の整数である]。 (3)上記式(I)で表されるセルロースエステルフイ
ルム用レターデーション制御剤。 (4)一軸延伸されたセルロースエステルフイルムであ
って、延伸により延伸方向と直交する方向の屈折率が大
きくなっていることを特徴とするセルロースエステルフ
イルム。 (5)上記式(I)で表されるレターデーション制御剤
を含む(4)に記載のセルロースエステルフイルム。 (6)上記式(I)で表されるレターデーション制御剤
を含むセルロースエステルフイルム。 (7)さらに、セルロースエステルフイルムを一軸延伸
すると、延伸方向のセルロースエステルフイルムの屈折
率が大きくなるようにレターデーションを制御する機能
を有するセルロースエステルフイルム用レターデーショ
ン制御剤を含む(6)に記載のセルロースエステルフイ
ルム。
デーション制御剤は、セルロースエステルフイルムを一
軸延伸した場合に、延伸方向のセルロースエステルフイ
ルムの屈折率を制御する機能を有する。従来のレターデ
ーション制御剤とは別に、あるいは従来のレターデーシ
ョン制御剤に加えて、セルロースエステルフイルムを一
軸延伸した場合に、延伸方向と直交する方向のセルロー
スエステルフイルムの屈折率を制御する機能を有するレ
ターデーション制御剤があれば、延伸倍率が低くても、
セルロースエステルフイルムの屈折率を任意に制御でき
る。本発明の研究の結果、上記式(I)で表される化合
物は、上記のようなレターデーション制御剤としての機
能を有することが判明した。以上の結果、本発明によれ
ば、従来から制御できていた延伸方向の屈折率に加え
て、延伸方向と直交する方向の屈折率も制御することが
可能になった。その結果、任意の屈折率、あるいは任意
の光学異方性(レターデーション値)を有するセルロー
スエステルフイルムを製造することができる。
明では、セルロースエステルフイルムを一軸延伸したと
きに延伸方向と直交する方向に屈折率が大きくなる化合
物を、レターデーション制御剤として用いる。レターデ
ーション制御剤としては、少なくとも1つの配向性付与
基と少なくとも1つの複屈折性付与基を有する化合物が
好ましく、下記式(I)で表される構造を有する化合物
であることがより好ましい。 (I) (Q)m−L−(M)n 上記式(I)において、Qは、配向性付与基を表し;M
は、複屈折性付与基を表し;Lは、直接結合またはm+
n価の連結基を表し;そして、m、nは、おのおの1以
上の整数を表す。
り、セルロースエステルフイルムを延伸した場合に延伸
方向にレターデーション制御剤を延伸方向と平行に配向
することを促進する置換基を表し、Qが複数、即ちmが
2以上であるときにはQは同じであっても異なっていて
もよく、また、複数のQとLが連結して環状構造を形成
してもよい。複数のQとLが連結して形成される環状構
造は、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素基、または、
飽和もしくは不飽和の複素環基である。mは好ましくは
2以上である。Qおよび(Q)m−Lとして好ましい置
換基を以下に具体的に示す。
ステルフイルムを延伸した場合に延伸方向と直交する方
向に複屈折性が発現することを促進する置換基を表し、
Mが複数、即ちnが2以上であるときにはMは同じであ
っても異なっていてもよく、また、複数のMとLが連結
して環状構造を形成してもよい。複数のMとLが連結し
て形成される環状構造は、飽和もしくは不飽和の環状炭
化水素基、または、飽和もしくは不飽和の複素環基であ
る。Mおよび(M)n−Lとして好ましい置換基を以下
に具体的に示す。
なる化合物または置換基(Q)m−Lと水素原子からな
る化合物(Q)m−L(H)nの溶液中における最大吸
収波長(λQ)および吸光係数(εQ)と、置換基Mと
水素原子からなるMHなる化合物または置換基(M)n
−Lと水素原子からなる化合物(M)n−L(H)mの
溶液中における最大吸収波長(λM)および吸光係数
(εM)と比較して、λM>λQまたはεM>εQの関
係にあることが好ましく、λM>λQかつεM>εQの
関係であることがより好ましい。
表し、具体的には直接結合、炭素原子、窒素原子、酸素
原子、硫黄原子、リン原子、水素原子およびこれらの原
子の組み合わせによって得られる連結基を表す。以下に
具体的に示す。
複屈折性付与基Mからなる化合物の具体例を以下に示
す。
知の合成方法に準じて合成できる。例えば、Chem. Let
t.,10巻、1055頁(1998年)、Can. J. Che
m.,54巻、37頁(1976年)、J. Med. Chem.,4
1巻、2号、148頁(1998年)、Chem. Ber., 1
11巻、1453頁(1978年)に記載の合成方法を
参照して、合成すればよい。
で用いても、2種類上の化合物を混合して用いてもよ
い。
上げてλ/4板を作製する場合には、延伸時に延伸方向
と平行な方向に屈折率が大きくなるレターデーション制
御剤(以下、平行型レターデーション制御剤と記す)を
用いてもよい。平行型レターデーション制御剤として
は、溶液の紫外線吸収スペクトルにおいて最大吸収波長
(λmax)が250nmより短波長である棒状化合物が好
ましい。棒状化合物は、少なくとも一つの芳香族環を有
することが好ましく、少なくとも二つの芳香族環を有す
ることがさらに好ましい。棒状化合物は、直線的な分子
構造を有することが好ましい。直線的な分子構造とは、
熱力学的に最も安定な構造において棒状化合物の分子構
造が直線的であることを意味する。熱力学的に最も安定
な構造は、結晶構造解析または分子軌道計算によって求
めることができる。例えば、分子軌道計算ソフト(例、
WinMOPAC2000、富士通(株)製)を用いて分子軌道計算
を行い、化合物の生成熱が最も小さくなるような分子の
構造を求めることができる。分子構造が直線的であると
は、上記のように計算して求められる熱力学的に最も安
定な構造において、分子構造の角度が140度以上であ
ることを意味する。
れる化合物が好ましい。 (II)Ar1 −L1 −Ar2 式(II)において、Ar1 およびAr2 は、それぞれ独
立に、芳香族基である。上記芳香族基は、アリール基
(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘ
テロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基を含む。アリー
ル基および置換アリール基の方が、芳香族性ヘテロ環基
および置換芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。芳香族
性へテロ環基のヘテロ環は、一般には不飽和である。芳
香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環である
ことが好ましく、5員環または6員環であることがさら
に好ましい。芳香族性へテロ環は一般に最多の二重結合
を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子ま
たは硫黄原子が好ましく、窒素原子または硫黄原子がさ
らに好ましい。芳香族性へテロ環の例には、フラン環、
チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキ
サゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダ
ゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール
環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン
環、ピラジン環、および1,3,5−トリアジン環が含
まれる。芳香族基の芳香族環としては、ベンゼン環、フ
ラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、
チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリ
ジン環、ピリミジン環およびピラジン環が好ましく、ベ
ンゼン環が特に好ましい。
環基の置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、B
r、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミ
ノ、アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミ
ノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ)、ニトロ、スル
ホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基(例、N−
メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N,N
−ジメチルカルバモイル)、スルファモイル、アルキル
スルファモイル基(例、N−メチルスルファモイル、N
−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモ
イル)、ウレイド、アルキルウレイド基(例、N−メチ
ルウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N,N,N’
−トリメチルウレイド)、アルキル基(例、メチル、エ
チル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘプチル、オクチ
ル、イソプロピル、s−ブチル、t−アミル、シクロヘ
キシル、シクロペンチル)、アルケニル基(例、ビニ
ル、アリル、ヘキセニル)、アルキニル基(例、エチニ
ル、ブチニル)、アシル基(例、ホルミル、アセチル、
ブチリル、ヘキサノイル、ラウリル)、アシルオキシ基
(例、アセトキシ、ブチリルオキシ、ヘキサノイルオキ
シ、ラウリルオキシ)、アルコキシ基(例、メトキシ、
エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘ
プチルオキシ、オクチルオキシ)、アリールオキシ基
(例、フェノキシ)、アルコキシカルボニル基(例、メ
トキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカ
ルボニル、ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボ
ニル、ヘプチルオキシカルボニル)、アリールオキシカ
ルボニル基(例、フェノキシカルボニル)、アルコキシ
カルボニルアミノ基(例、ブトキシカルボニルアミノ、
ヘキシルオキシカルボニルアミノ)、アルキルチオ基
(例、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチル
チオ、ペンチルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ)、
アリールチオ基(例、フェニルチオ)、アルキルスルホ
ニル基(例、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プ
ロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ペンチルスルホ
ニル、ヘプチルスルホニル、オクチルスルホニル)、ア
ミド基(例、アセトアミド、ブチルアミド基、ヘキシル
アミド、ラウリルアミド)および非芳香族性複素環基
(例、モルホリル、ピラジニル)が含まれる。
環基の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ、カルボ
キシル、ヒドロキシル、アミノ、アルキル置換アミノ
基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、アルコキシ
カルボニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基およびア
ルキル基が好ましい。アルキルアミノ基、アルコキシカ
ルボニル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基のアル
キル部分とアルキル基とは、さらに置換基を有していて
もよい。アルキル部分およびアルキル基の置換基の例に
は、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルボキシル、シア
ノ、アミノ、アルキルアミノ基、ニトロ、スルホ、カル
バモイル、アルキルカルバモイル基、スルファモイル、
アルキルスルファモイル基、ウレイド、アルキルウレイ
ド基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アシル
オキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキ
シカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコ
キシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチ
オ基、アルキルスルホニル基、アミド基および非芳香族
性複素環基が含まれる。アルキル部分およびアルキル基
の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミ
ノ、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、ア
シルアミノ基、アルコキシカルボニル基およびアルコキ
シ基が好ましい。
基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−CO
−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二
価の連結基である。アルキレン基は、環状構造を有して
いてもよい。環状アルキレン基としては、シクロヘキシ
レンが好ましく、1,4−シクロへキシレンが特に好ま
しい。鎖状アルキレン基としては、直鎖状アルキレン基
の方が分岐を有するアルキレン基よりも好ましい。アル
キレン基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ま
しく、1乃至15であることがより好ましく、1乃至1
0であることがさらに好ましく、1乃至8であることが
さらにまた好ましく、1乃至6であることが最も好まし
い。
環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐
を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさら
に好ましい。アルケニレン基およびアルキニレン基の炭
素原子数は、2乃至10であることが好ましく、2乃至
8であることがより好ましく、2乃至6であることがさ
らに好ましく、2乃至4であることがさらにまた好まし
く、2(ビニレンまたはエチニレン)であることが最も
好ましい。
す。 L−1:−O−CO−アルキレン基−CO−O− L−2:−CO−O−アルキレン基−O−CO− L−3:−O−CO−アルケニレン基−CO−O− L−4:−CO−O−アルケニレン基−O−CO− L−5:−O−CO−アルキニレン基−CO−O− L−6:−CO−O−アルキニレン基−O−CO−
で、Ar1 とAr2 とが形成する角度は、140度以上
であることが好ましい。棒状化合物としては、下記式
(III)で表される化合物がさらに好ましい。 (III)Ar1 −L2 −X−L3 −Ar2 式(III)において、Ar1 およびAr2 は、それぞれ独
立に、芳香族基である。芳香族基の定義および例は、式
(II)のAr1 およびAr2 と同様である。
れぞれ独立に、アルキレン基、−O−、−CO−および
それらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結
基である。アルキレン基は、環状構造よりも鎖状構造を
有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直
鎖状構造を有することがさらに好ましい。アルキレン基
の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましく、1
乃至8であることがより好ましく、1乃至6であること
がさらに好ましく、1乃至4であることがさらにまた好
ましく、1または2(メチレンまたはエチレン)である
ことが最も好ましい。L2 およびL3 は、−O−CO−
または−CO−O−であることが特に好ましい。
へキシレン、ビニレンまたはエチニレンである。以下
に、式(II)で表される化合物の具体例を示す。
2)は、シクロヘキサン環の1位と4位とに二つの不斉
炭素原子を有する。ただし、具体例(1)、(4)〜
(34)、(41)、(42)は、対称なメソ型の分子
構造を有するため光学異性体(光学活性)はなく、幾何
異性体(トランス型とシス型)のみ存在する。具体例
(1)のトランス型(1-trans)とシス型(1-cis)と
を、以下に示す。
子構造を有することが好ましい。そのため、トランス型
の方がシス型よりも好ましい。具体例(2)および
(3)は、幾何異性体に加えて光学異性体(合計4種の
異性体)を有する。幾何異性体については、同様にトラ
ンス型の方がシス型よりも好ましい。光学異性体につい
ては、特に優劣はなく、D、Lあるいはラセミ体のいず
れでもよい。具体例(43)〜(45)では、中心のビ
ニレン結合にトランス型とシス型とがある。上記と同様
の理由で、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
吸収波長(λmax)が250nmより短波長である棒状化
合物を、二種類以上併用してもよい。棒状化合物は、文
献記載の方法を参照して合成できる。文献としては、Mo
l. Cryst. Liq. Cryst., 53巻、229ページ(1979
年)、同89巻、93ページ(1982年)、同145巻、111
ページ(1987年)、同170巻、43ページ(1989
年)、J. Am. Chem. Soc., 113巻、1349ページ(199
1年)、同118巻、5346ページ(1996年)、同92
巻、1582ページ(1970年)、J. Org. Chem., 40
巻、420ページ(1975年)、Tetrahedron、48巻16
号、3437ページ(1992年)を挙げることができる。
ルとしては、セルロースの低級脂肪酸エステルを用いる
ことが好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下
の脂肪酸を意味する。炭素原子数は、2(セルロースア
セテート)、3(セルロースプロピオネート)または4
(セルロースブチレート)であることが好ましい。セル
ロースアセテートが特に好ましい。セルロースアセテー
トプロピオネートやセルロースアセテートブチレートの
ような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。セルロース
アセテートの平均酢化度(アセチル化度)は、45.0
乃至62.5%であることが好ましく、55.0乃至6
1.0%であることがさらに好ましい。
整するため、赤外線吸収剤をセルロースエステルフイル
ムに添加することができる。赤外線吸収剤は、セルロー
スエステル100質量部に対して、0.01乃至5質量
部の範囲で使用することが好ましく、0.02乃至2質
量部の範囲で使用することがより好ましく、0.05乃
至1質量部の範囲で使用することがさらに好ましく、
0.1乃至0.5質量部の範囲で使用することが最も好
ましい。二種類以上の赤外線吸収剤を併用してもよい。
赤外線吸収剤は、750乃至1100nmの波長領域に
最大吸収を有することが好ましく、800乃至1000
nmの波長領域に最大吸収を有することがさらに好まし
い。赤外線吸収剤は、可視領域に実質的に吸収を有して
いないことが好ましい。
たは赤外線吸収顔料を用いることが好ましく、赤外線吸
収染料を用いることが特に好ましい。赤外線吸収染料に
は、有機化合物と無機化合物が含まれる。有機化合物で
ある赤外線吸収染料を用いることが好ましい。有機赤外
線吸収染料には、シアニン化合物、金属キレート化合
物、アミニウム化合物、ジイモニウム化合物、キノン化
合物、スクアリリウム化合物およびメチン化合物が含ま
れる。赤外線吸収染料については、色材、61〔4〕2
15−226(1988)、および化学工業、43−5
3(1986、5月)に記載がある。
観点で染料の種類を検討すると、ハロゲン化銀写真感光
材料の技術分野で開発された赤外線吸収染料が優れてい
る。ハロゲン化銀写真感光材料の技術分野で開発された
赤外線吸収染料には、ジヒドロペリミジンスクアリリウ
ム染料(米国特許5380635号明細書および特願平
8−189817号明細書記載)、シアニン染料(特開
昭62−123454号、同3−138640号、同3
−211542号、同3−226736号、同5−31
3305号、同6−43583号の各公報、特願平7−
269097号明細書および欧州特許0430244号
明細書記載)、ピリリウム染料(特開平3−13864
0号、同3−211542号の各公報記載)、ジイモニ
ウム染料(特開平3−138640号、同3−2115
42号の各公報記載)、ピラゾロピリドン染料(特開平
2−282244号記載)、インドアニリン染料(特開
平5−323500号、同5−323501号の各公報
記載)、ポリメチン染料(特開平3−26765号、同
4−190343号の各公報および欧州特許37796
1号明細書記載)、オキソノール染料(特開平3−93
46号明細書記載)、アントラキノン染料(特開平4−
13654号明細書記載)、ナフタロシアニン色素(米
国特許5009989号明細書記載)およびナフトラク
タム染料(欧州特許568267号明細書記載)が含ま
れる。
ルベントキャスト法によりセルロースエステルフイルム
を製造することが好ましい。ソルベントキャスト法で
は、セルロースエステルを有機溶媒に溶解した溶液(ド
ープ)を用いてフイルムを製造する。有機溶媒は、炭素
原子数が3乃至12のエーテル、炭素原子数が3乃至1
2のケトン、炭素原子数が3乃至12のエステルおよび
炭素原子数が1乃至6のハロゲン化炭化水素から選ばれ
る溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケトンおよび
エステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、
ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−
CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する
化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶
媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有して
いてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場
合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合
物の規定範囲内であればよい。
には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジ
メトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキ
ソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネ
トールが含まれる。炭素原子数が3乃至12のケトン類
の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケ
トン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメ
チルシクロヘキサノンが含まれる。炭素原子数が3乃至
12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピ
ルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテー
ト、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含ま
れる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、
2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノー
ルおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。ハロゲン
化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好
ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化
水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲ
ン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている
割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、3
0乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至
65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60
モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリド
が、代表的なハロゲン化炭化水素である。二種類以上の
有機溶媒を混合して用いてもよい。
調製できる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温
または高温)で、処理することを意味する。溶液の調製
は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製
方法および装置を用いて実施することができる。なお、
一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化
水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好まし
い。セルロースエステルの量は、得られる溶液中に10
乃至40質量%含まれるように調整する。セルロースエ
ステルの量は、10乃至30質量%であることがさらに
好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の
添加剤を添加しておいてもよい。溶液は、常温(0乃至
40℃)でセルロースエステルと有機溶媒とを攪拌する
ことにより調製することができる。高濃度の溶液は、加
圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セ
ルロースエステルと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉
し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が
沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温
度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60乃至2
00℃であり、さらに好ましくは80乃至110℃であ
る。
もよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌
できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の
不活性気体を注入して容器を加圧することができる。ま
た、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。
あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加しても
よい。加熱する場合、容器の外部より加熱することが好
ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いる
ことができる。また、容器の外部にプレートヒーターを
設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を
加熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、こ
れを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の
壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端に
は、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けるこ
とが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を
設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。
調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるい
は、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
できる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させ
ることが困難な有機溶媒(ハロゲン化炭化水素以外の有
機溶媒)中にも、セルロースエステルを溶解させること
ができる。なお、通常の溶解方法でセルロースエステル
を溶解できる溶媒(例えば、ハロゲン化炭化水素)であ
っても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られ
るとの効果がある。冷却溶解法では最初に、室温で有機
溶媒中にセルロースエステルを撹拌しながら徐々に添加
する。セルロースエステルの量は、この混合物中に10
乃至40質量%含まれるように調整することが好まし
い。セルロースエステルの量は、10乃至30質量%で
あることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述
する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
ましくは−80乃至−10℃、さらに好ましくは−50
乃至−20℃、最も好ましくは−50乃至−30℃)に
冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール
浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液
(−30乃至−20℃)中で実施できる。このように冷
却すると、セルロースエステルと有機溶媒の混合物は固
化する。冷却速度は、4℃/分以上であることが好まし
く、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃
/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速い
ほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であ
り、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして10
0℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷
却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷却
を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で
割った値である。
は0乃至150℃、さらに好ましくは0乃至120℃、
最も好ましくは0乃至50℃)に加温すると、有機溶媒
中にセルロースエステルが溶解する。昇温は、室温中に
放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。加温
速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分
以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であ
ることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましい
が、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000
℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実
用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する
時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してか
ら最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値であ
る。以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、
溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返し
てもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶
液の外観を観察するだけで判断することができる。
る水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ま
しい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、
加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができ
る。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を
用いることが望ましい。なお、セルロースアセテート
(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷
却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量
%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、3
3℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在
し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、
この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移
温度プラス10℃程度の温度で保存する必要がある。た
だし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの
平均酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機
溶媒により異なる。
プ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースエス
テルフイルムを製造する。ドープは、ドラムまたはバン
ド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。
流延前のドープは、固形分量が18乃至35%となるよ
うに濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバン
ドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法につ
いては、米国特許2336310号、同2367603
号、同2492078号、同2492977号、同24
92978号、同2607704号、同2739069
号、同2739070号、英国特許640731号、同
736892号の各明細書、特公昭45−4554号、
同49−5614号、特開昭60−176834号、同
60−203430号、同62−115035号の各公
報に記載がある。ドープは、表面温度が10℃以下のド
ラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延し
た2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られ
たフイルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに
100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥
して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法
は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方
法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮するこ
とが可能である。この方法を実施するためには、流延時
のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル
化することが必要である。本発明に従い調製した溶液
(ドープ)は、この条件を満足する。製造するフイルム
の厚さは、40乃至120μmであることが好ましく、
70乃至100μmであることがさらに好ましい。
物性を改良するため、または乾燥速度を向上するため
に、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、
リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられ
る。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェ
ート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TC
P)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル
酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フ
タル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DM
P)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレ
ート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジ
フェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシル
フタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステル
の例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACT
E)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACT
B)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例に
は、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、
セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが
含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DE
P、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用
いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。可塑剤
の添加量は、セルロースエステルの量の0.1乃至25
質量%であることが好ましく、1乃至20質量%である
ことがさらに好ましく、3乃至15質量%であることが
最も好ましい。
止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止
剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)や紫外線防止
剤を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3
−199201号、同5−1907073号、同5−1
94789号、同5−271471号、同6−1078
54号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、
調製する溶液(ドープ)の0.01乃至1質量%である
ことが好ましく、0.01乃至0.2質量%であること
がさらに好ましい。添加量が0.01質量%未満である
と、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量
が1質量%を越えると、フイルム表面への劣化防止剤の
ブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。
特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロ
キシトルエン(BHT)を挙げることができる。紫外線
防止剤については、特開平7−11056号公報に記載
がある。
は、位相差板として用いることができる。位相差板をλ
/4板として使用する場合は、波長450nmで測定し
たレターデーション値が100乃至125nmとなり、
かつ波長590nmで測定したレターデーション値が1
35乃至160nmとなるようにする。波長450nm
で測定したレターデーション値が108乃至117nm
であり、波長550nmで測定したレターデーション値
が133乃至142nmであり、かつ波長590nmで
測定したレターデーション値が143乃至152nmで
あることが好ましい。位相差板をλ/2板として使用す
る場合は、波長450nmで測定したレターデーション
値が200乃至250nmとなり、かつ波長590nm
で測定したレターデーション値が270乃至320nm
となるようにする。波長450nmで測定したレターデ
ーション値が216乃至234nmであり、波長550
nmで測定したレターデーション値が266乃至284
nmであり、かつ波長590nmで測定したレターデー
ション値が286乃至304nmであることが好まし
い。レターデーション値(Re)は、下記式に従って算
出する。 レターデーション値(Re)=(nx−ny)×d 式中、nxは位相差板の面内の最大屈折率(x方向)で
あり;nyは位相差板の面内のx方向に垂直な方向(y
方向)の屈折率であり;そしてdは位相差板の厚さ(n
m)である。
述したセルロースエステルフイルム一枚で達成できる。
位相差板のレターデーション値とその波長依存性は、
(1)セルロースエステルの組成(特に平均酢化度)の
調整、(2)添加剤の種類と使用量の調整、および
(3)フイルムの厚さにより制御できる。位相差板(セ
ルロースエステルフイルム)の厚さは、5乃至1000
μmであることが好ましく、10乃至500μmである
ことがさらに好ましい。
λ/4板の面内の遅相軸と直線偏光膜の透過軸との角度
が実質的に45゜になるように積層すると円偏光板が得
られる。実質的に45゜とは、40乃至50゜であるこ
とを意味する。λ/4板の面内の遅相軸と偏光膜の透過
軸との角度は、41乃至49゜であることが好ましく、
42乃至48゜であることがより好ましく、43乃至4
7゜であることがさらに好ましく、44乃至46゜であ
ることが最も好ましい。直線偏光膜のλ/4板とは反対
側の面には、透明保護膜を設けることが好ましい。透明
保護膜は、透明な(光透過率が80%以上の)ポリマー
を用いて製造することが好ましい。透明なポリマーとし
ては、ポリオレフィン、セルロースアセテート、ポリカ
ーボネート、ポリアリレート、ポリスルホンあるいはポ
リエーテルスルホンを用いることができる。市販の透明
ポリマーまたは透明ポリマーフイルムを用いてもよい。
と透明保護膜とは、接着剤を用いて貼り合わせる。接着
剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂またはホウ素
化合物の水溶液が好ましいく、ポリビニルアルコール系
樹脂が特に好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂とし
ては、アルコール以外の官能基(例、アセトアセチル、
スルホ、カルボキシル、アルコキシ基)を導入した変性
ポリビニルアルコールを用いてもよい。接着剤の厚さ
は、乾燥後に0.01乃至10μmであることが好まし
く、0.05乃至5μmであることがさらに好ましい。
円偏光板には、様々な用途がある。本発明の円偏光板
は、反射型液晶表示装置に特に有効に用いられる。
晶表示装置の基本的な構成を示す模式図である。図1に
示す反射型液晶表示装置は、下から順に、下基板
(1)、反射電極(2)、下配向膜(3)、液晶層
(4)、上配向膜(5)、透明電極(6)、上基板
(7)、λ/4板(8)、そして直線偏光膜(9)から
なる。下基板(1)と反射電極(2)が反射板を構成す
る。下配向膜(3)〜上配向膜(5)が液晶セルを構成
する。そして、λ/4板(8)と直線偏光膜(9)とが
円偏光板を構成する。カラー表示の場合には、さらにカ
ラーフィルター層を設ける。カラーフィルター層は、反
射電極(2)と下配向膜(3)との間、または上配向膜
(5)と透明電極(6)との間に設けることが好まし
い。図1に示す反射電極(2)の代わりに透明電極を用
いて、別に反射板を取り付けてもよい。透明電極と組み
合わせて用いる反射板としては、金属板が好ましい。反
射板の表面が平滑であると、正反射成分のみが反射され
て視野角が狭くなる場合がある。そのため、反射板の表
面に凹凸構造(特許275620号公報記載)を導入す
ることが好ましい。反射板の表面が平坦である場合は
(表面に凹凸構造を導入する代わりに)、直線偏光膜の
片側(セル側あるいは外側)に光拡散フイルムを取り付
けてもよい。
型、STN(Supper Twisted Nematic)型またはHAN
(Hybrid Aligned Nematic)型であることが好ましい。
TN型液晶セルのツイスト角は、40乃至100゜であ
ることが好ましく、50乃至90゜であることがさらに
好ましく、60乃至80゜であることが最も好ましい。
液晶層の屈折率異方性(Δn)と液晶層の厚み(d)と
の積(Δnd)の値は、0.1乃至0.5μmであるこ
とが好ましく、0.2乃至0.4μmであることがさら
に好ましい。STN型液晶セルのツイスト角は、180
乃至360゜であることが好ましく、220乃至270
゜であることがさらに好ましい。液晶層の屈折率異方性
(Δn)と液晶層の厚み(d)との積(Δnd)の値
は、0.3乃至1.2μmであることが好ましく、0.
5乃至1.0μmであることがさらに好ましい。HAN
型液晶セルは、片方の基板上では液晶が実質的に垂直に
配向しており、他方の基板上のプレチルト角が0乃至4
5゜であることが好ましい。液晶層の屈折率異方性(Δ
n)と液晶層の厚み(d)との積(Δnd)の値は、
0.1乃至1.0μmであることが好ましく、0.3乃
至0.8μmであることがさらに好ましい。液晶を垂直
配向させる側の基板は、反射板側の基板であってもよい
し、透明電極側の基板であってもよい。反射型液晶表示
装置は、印加電圧が低い時に明表示、高い時に暗表示で
あるノーマリーホワイトモードでも、印加電圧が低い時
に暗表示、高い時に明表示であるノーマリーブラックモ
ードでも用いることができる。ノーマリーホワイトモー
ドの方が好ましい。
%のセルロースアセテート120質量部、レターデーシ
ョン制御剤(I−1)2.4質量部、トリフェニルホス
フェート9.36質量部、ビフェニルジフェニルホスフ
ェート4.68質量部、メチレンクロリド718質量
部、およびメタノール62.4質量部を混合して、溶液
(ドープ)を調整した。得られたドープを、ガラス板上
に流延して、室温にて1分間乾燥後、45℃にて5分間
乾燥させた。セルロースアセテートフイルムをガラス板
から剥離し、100℃で30分間乾燥させ、130℃で
20分間乾燥させた。乾燥後のフイルムの溶媒残存量
は、0.5質量%であった。フイルムを適当な大きさに
切断した後、130℃で流延方向と平行な方向に1.3
3倍の長さに延伸した。延伸方向と垂直な方向は自由に
収縮できるようにした。流延後そのままの状態で室温ま
で冷却し、延伸フイルムを取り出した。延伸後のフイル
ムの溶媒残存量は、0.1質量%であった。このように
して得られたフイルムの厚さは、102μmであった。
得られたフイルム(位相差板)について、エリプソメー
ター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長
450nm、550nm、および590nmにおけるレ
ターデーション値(Re)を測定したところ、それぞ
れ、66.2nm、30.3nm、および18.2nm
であった。偏光顕微鏡で観察したところ、延伸方向と直
交する方向が遅相軸であった。
制御剤(I−1)を添加しなかった以外は実施例1と同
じ方法によって延伸したフイルムを作製した。延伸後の
フイルムの溶媒残存量は、0.1質量%であった。この
ようにして得られたフイルムの厚さは、104μmであ
った。得られたフイルム(位相差板)について、エリプ
ソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用い
て、波長450nm、550nm、および590nmに
おけるレターデーション値(Re)を測定したところ、
それぞれ、15.2nm、30.3nm、および35.
2nmであった。偏光顕微鏡で観察したところ、延伸方
向と平行な方向が遅相軸であった。以上、実施例1にお
いて、本発明のレターデーション制御剤を用いると延伸
方向と直交する方向の屈折率が大きくなった。
ープ)にさらにレターデーション制御剤(23-trans)
を3.0質量部を加えて、実施例1と同じ方法によって
延伸したフイルムを作製した。延伸後のフイルムの溶媒
残存量は0.1質量%であった。このようにして得られ
たフイルムの厚さは、103μmであった。得られたフ
イルム(位相差板)について、エリプソメーター(M−
150、日本分光(株)製)を用いて、波長450n
m、550nm、および590nmにおけるレターデー
ション値(Re)を測定したところ、それぞれ、11
1.3nm、137.3nm、および145.2nmで
あった。偏光顕微鏡で観察したところ、延伸方向と平行
な方向が遅相軸であった。
型液晶表示装置(カラーザウルスMI−310、シャー
プ(株)製)の偏光板と位相差板を剥ぎとり、代わりに
上記で作製した位相差板と偏光板(表面がAR処理され
た保護膜を積層した偏光板)を取り付けた。作製した反
射型液晶表示装置について、目視で評価したところ、白
表示、黒表示、そして中間調のいずれにおいても、色味
がなく、ニュートラルグレーが表示されていることがわ
かった。次に、作製した反射型液晶表示装置について、
測定機( EZcontrast160D、Eldim社製)を用いて反射輝
度のコントラスト比を測定したところ、正面からのコン
トラスト比は20であり、コントラスト比が3となる視
野角は上下120°以上、左右120°以上であった。
図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 セルロースエステルフイルムを一軸延伸
すると、延伸方向と直交する方向のセルロースエステル
フイルムの屈折率が大きくなるようにレターデーション
を制御する機能を有するセルロースエステルフイルム用
レターデーション制御剤。 - 【請求項2】 下記式(I)で表される請求項1に記載
のセルロースエステルフイルム用レターデーション制御
剤: (I) (Q)m−L−(M)n [式(I)において、Qは、配向性付与基であり;M
は、複屈折性付与基であり;Lは、直接結合またはm+
n価の連結基であり;そして、mおよびnは、それぞ
れ、1以上の整数である]。 - 【請求項3】 下記式(I)で表されるセルロースエス
テルフイルム用レターデーション制御剤: (I) (Q)m−L−(M)n [式(I)において、Qは、配向性付与基であり;M
は、複屈折性付与基であり;Lは、直接結合またはm+
n価の連結基であり;そして、mおよびnは、それぞ
れ、1以上の整数である]。 - 【請求項4】 一軸延伸されたセルロースエステルフイ
ルムであって、延伸により延伸方向と直交する方向の屈
折率が大きくなっていることを特徴とするセルロースエ
ステルフイルム。 - 【請求項5】 下記式(I)で表されるレターデーショ
ン制御剤を含む請求項4に記載のセルロースエステルフ
イルム: (I) (Q)m−L−(M)n [式(I)において、Qは、配向性付与基であり;M
は、複屈折性付与基であり;Lは、直接結合またはm+
n価の連結基であり;そして、mおよびnは、それぞ
れ、1以上の整数である]。 - 【請求項6】 下記式(I)で表されるレターデーショ
ン制御剤を含むセルロースエステルフイルム: (I) (Q)m−L−(M)n [式(I)において、Qは、配向性付与基であり;M
は、複屈折性付与基であり;Lは、直接結合またはm+
n価の連結基であり;そして、mおよびnは、それぞ
れ、1以上の整数である]。 - 【請求項7】 さらに、セルロースエステルフイルムを
一軸延伸すると、延伸方向のセルロースエステルフイル
ムの屈折率が大きくなるようにレターデーションを制御
する機能を有するセルロースエステルフイルム用レター
デーション制御剤を含む請求項6に記載のセルロースエ
ステルフイルム。
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