JP2008020896A - 樹脂フィルム、その製造方法、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

樹脂フィルム、その製造方法、偏光板および液晶表示装置 Download PDF

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守 桜沢
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Abstract

【課題】Reが逆分散であり、光弾性係数が小さく、レターデーションの湿度依存性が小さい樹脂フィルム、その製造方法、該樹脂フィルムを使用し、視角による色味変化が小さく、高温高湿度下で使用しても光漏れや色味変化が起きにくい偏光板および液晶表示装置を提供する。
【解決手段】Reが式(1)〜(4)の関係を満たし、光弾性係数が0cm/N以上3×10-8cm/N以下であることを特徴とする樹脂フィルム、その製造方法、該樹脂フィルムを用いた偏光板および液晶表示装置。(1)20nm<Re(548)<300nm;(2)0.5<Re(446)/Re(548)<1;(3)1.0<Re(629)/Re(548)<2.0;(4)0.1%≦[{(25℃10%RHのRe(548)−25℃80%RHのRe(548))}/25℃60%RHのRe(548)]≦20%
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂フィルム、その製造方法、該樹脂フィルムを用いた偏光板および液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、消費電力の小さい省スペースの画像表示装置として年々その用途が広がっている。従来、画像の視野角依存性が大きいことが液晶表示装置の大きな欠点であった。しかし、近年ではVAモードによる高視野角液晶モードが実用化されており、これによってテレビ等の高品位の画像が要求される市場でも液晶表示装置の需要が急速に拡大しつつある。
VAモード液晶表示装置は他の液晶表示モードに比べて一般にコントラストが高いというメリットがあるが、視角によってコントラストおよび色味の変化が大きいという問題を有していた。これに対し、例えば、光学特性の異なる2種類の位相差層を用いることにより斜め方向から見ても黒の表示が鮮明で無彩色のVAモード液晶表示装置を得る方法が開示されている(例えば、特許文献1および2参照)。
さらに特許文献3には、短波長側程Reが小さくなるAプレートと短波長側ほどRthが大きくなるCプレートを組み合わせることにより、視角による色味変化を改良する方法が提案されている。
とくに短波長側程Reが小さくなるAプレートとしては、前記特許文献3の変性ポリカーボネートの延伸フィルムに加えて、特許文献4の延伸セルロースアシレートフィルム、特許文献5の変性ノルボルネン樹脂の延伸フィルム等が提案されている。
特開2003−121641号公報 特開2006−323329号公報 国際公開第03/032060号パンフレット 特開2002−22941号公報 特開2003−292639号公報
しかし、特許文献3の変性ポリカーボネートの延伸フィルム及び特許文献5の変性ノルボルネンの延伸フィルムは光弾性係数が大きく、また偏光子に使用されるポリビニルアルコールとの密着を確保することが難しいため、高温高湿下で長時間点灯した場合、表示ムラが大きいという問題があった。また、特許文献4に記載の延伸セルロースアシレートフィルムの場合はレターデーションの湿度依存性が大きいため、高温高湿下で長時間点灯した場合、光漏れや色味変化がおきるという問題を有しており改良が求められていた。
本発明の目的は、Reが特定の波長分散特性を有し、光弾性係数が小さく、偏光子との密着性に優れ、レターデーションの湿度依存性が小さい樹脂フィルムおよびその製造方法を提供することである。
また本発明の別の目的は、該樹脂フィルムを使用することにより、視角による色味変化が小さく、高温高湿度下で使用しても表示ムラ、光漏れおよび色味変化が起きにくい偏光板および液晶表示装置を提供することである。
上記課題は、以下の手段によって解決される。
[1] Reが下記式(1)〜(4)の関係を満たし、光弾性係数が0cm/N以上30×10-8cm/N以下であることを特徴とする樹脂フィルム。
20nm<Re(548)<300nm ・・・式(1)
0.5<Re(446)/Re(548)<1 ・・・式(2)
1.0<Re(629)/Re(548)<2.0 ・・・式(3)
0.1%≦[{25℃10%RHにおけるRe(548)−25℃80%RHにおけるRe(548)}/25℃60%RHにおけるRe(548)]≦20% ・・・式(4)
(式中、Re(λ)は波長λにおける面内のレターデーションを表す。)
[2] Reとフィルム厚みが下記関係を満たす請求項1記載の樹脂フィルム。
0.00125<Re(548)/フィルム厚み<0.00700 ・・・式(5)
[3] 少なくとも1つの液晶性化合物を0.1質量%以上30質量%以下含有し、液晶性化合物の全添加剤に対する比率が40質量%以上100質量%以下である[1]または[2]記載の樹脂フィルム。
[4] 2種類以上の液晶性化合物の混合物を0.1質量%以上30質量%以下含有し、液晶性化合物の全添加剤に対する質量比が50質量%以上100質量%以下である[3]記載の樹脂フィルム。
[5] 液晶性化合物として下記一般式(I)で表される化合物と下記一般式(i)で表される棒状化合物をそれぞれ0.1質量%以上30質量%以下含有する[4]記載の樹脂フィルム。
Figure 2008020896
(式中、L1およびL2は各々独立に単結合または二価の連結基を表す。A1およびA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子または置換基を表す。)、−S−及び−CO−からなる群から選ばれる基を表す。R1、R2、およびR3は各々独立に置換基を表す。Xは6族、5族または4族原子を表す。nは0から2までの整数を表す。)
一般式(i):Ar1−L2−X−L3−Ar2
上記一般式(i)において、Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、芳香族基であり、L2およびL3は、それぞれ独立に、−O−CO−または−CO−O−基より選ばれる二価の連結基であり、Xは、1,4−シクロへキシレン基、ビニレン基またはエチニレン基である。
[6] セルロースアシレートを主成分として含む[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂フィルム。
[7] 偏光子の両側に2枚の保護フィルムを有し、該保護フィルムのうち少なくとも1枚が[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂フィルムであることを特徴とする偏光板。
[8] 液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有する液晶表示装置であって、該偏光板の液晶セル側保護フィルムのうち少なくとも1枚が[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂フィルムであることを特徴とする液晶表示装置。
[9] [1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂フィルムからなる液晶セル側保護フィルムに対して液晶セルを挟んで反対側にある液晶セル側保護フィルムが下記式(8)〜(12)の関係を満たすことを特徴とする[8]に記載の液晶表示装置。
0nm<Re(548)<10nm ・・・式(8)
100nm<Rth(548)<300nm ・・・式(9)
10<Rth(548)/Re(548) ・・・式(10)
1.0<Rth(446)/Rth(548)<2.0 ・・・式(11)
0.5<Rth(629)/Rth(548)<1.0 ・・・式(12)
(式中、Re(λ)およびRth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。)
[10] 前記液晶セルがVAモードであることを特徴とする[8]または[9]に記載の液晶表示装置。
本発明によれば、Reが逆分散であり、光弾性係数が小さく、偏光子との密着性に優れ、レターデーションの湿度依存性が小さい樹脂フィルムおよびその製造方法が提供される。
また本発明によれば、該樹脂フィルムを使用することにより、視角による色味変化が小さく、高温高湿度下で使用しても表示ムラ、光漏れおよび色味変化が起きにくい偏光板および液晶表示装置が提供される。
[フィルムのレターデーション]
本発明の逆分散の樹脂フィルム(逆分散フィルムあるいはRe逆分散フィルムともいう)は下記式(1)〜(4)の関係を満たす。
20nm<Re(548)<300nm ・・・式(1)
0.5<Re(446)/Re(548)<1 ・・・式(2)
1.0<Re(629)/Re(548)<2.0 ・・・式(3)
0.1%≦[{(25℃10%RHにおけるRe(548)−25℃80%RHにおけるRe(548))}/25℃60%RHにおけるRe(548)]≦20% ・・・式(4)
さらに、下記式(5)の関係を満たすことが好ましい。
0.00125<Re(548)/フィルム厚み<0.00700・・・式(5)
式(1)においてRe(548)は30nm以上200nm以下が好ましく、50nm以上150nm以下がより好ましい。
また、式(2)においてRe(446)/Re(548)は0.55以上0.95以下が好ましく0.60以上0.90以下がさらに好ましい。
また、式(3)においてRe(629)/Re(548)は1.01以上1.5以下が好ましく、1.03以上1.2以下が最も好ましい。
樹脂フィルムのレターデーションを上記範囲に制御することにより色味変化の小さいフィルムが得られる。
また、式(4)において[{(25℃10%RHにおけるRe(548)−25℃80%RHにおけるRe(548))}/25℃60%RHにおけるRe(548)]は0.1%以上10%以下がさらに好ましい。
また、式(5)においてRe(548)/フィルム厚みは0.00150以上0.00650以下がさらに好ましく、0.00170以上0.00600下が最も好ましい。
Re湿度依存性を上記範囲に設定した樹脂フィルムを使用することにより、高湿下で長時間点灯しても光漏れの発生しにくい液晶表示装置が得られる。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基に、以下の式(21)および式(22)よりRthを算出することもできる。
Figure 2008020896
注記:
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。式(21)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnxおよびnyに直交する方向の屈折率を表す。dはフィルムの厚さを表す。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d 式(22)
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)がさらに算出される。
本発明でReの逆分散性が大きいとはRe(446)/Re(548)の値を小さく、Re(629)/Re(548)の値を大きくすることを指すものとする。
本発明のRe逆分散フィルムとしては様々な樹脂フィルムが使用できる。
本発明のRe逆分散フィルムは、フィルムの延伸方向に対して略平行な方向に屈折率が最大となる構造(以下正の固有複屈折成分)及びフィルムの延伸方向に対して略垂直な方向に屈折率が最大となる構造(以下負の固有複屈折成分)を有し、負の固有複屈折成分が正の固有複屈折成分よりも長波側に吸収極大を有することに特徴がある。本発明において、正の固有複屈折成分及び負の固有複屈折成分はポリマーが有してもよく、添加剤が有してもよい。
視角によるコントラスト変化および色味変化を小さくするには、逆分散を維持したままReを大きくすることが必要である。これには、(1)正の固有複屈折成分と負の固有複屈折成分の双方に固有複屈折の大きい(すなわち分極率異方性の大きい)構造を用いる、および((2)配向度を大きくする、という二つの方法がある。
このうち、(1)の方法の場合、ポリマー中に分極率異方性の大きい構造を組み込むと光弾性が大きくなり、該樹脂フィルムを組み込んだ液晶表示装置は高温高湿におかれた場合光漏れが大きくなるという問題がある。一方、(2)の方法の場合、環境湿度によるRe変化が大きくなりやすい。特にセルロースアシレートのように偏光子に使用されるポリビニルアルコールと十分な密着性を有する親水的なポリマーでは上記問題が深刻になる。
したがって、ポリマーと添加剤の双方に、正の固有複屈折成分及び負の固有複屈折成分を組み込み相補的に用いることが、Re逆分散性が大きく、光弾性係数が小さく、Reの湿度依存性も小さい樹脂フィルムを得る上で特に好ましい。
[樹脂フィルムの光弾性]
本発明の樹脂フィルムの光弾性係数は0cm/N以上30×10−8cm/N以下が好ましく、0cm/N以上20×10−8cm2/Nがより好ましい。樹脂フィルムの光弾性係数を上記範囲とすることにより、高温高湿下に長時間点灯された場合の液晶表示装置の光漏れを低減できるという効果を奏する。
光弾性係数は、3.5cm×12cm、厚み30〜150μmの範囲に切り出したフィルムについて、荷重無し、250g、500g、1000g、1500gのそれぞれの荷重における波長630nmにおけるReを測定し、応力に対するRe変化の直線の傾きから算出することができる。測定機器は、エリプソメーター(M150、日本分光(株))が用いられる。
先に述べたように、Re発現性を大きくするためにポリマー中に分極率異方性の大きい構造を導入すると樹脂フィルムの光弾性係数が大きくなってしまうが、添加剤の場合、分極率異方性の大きい置換基を導入しても、樹脂フィルムの光弾性係数の変化が小さいという特徴がある。光弾性係数の小さいポリマーと分極率異方性の大きい添加剤を組み合わせることにより、大きなReを有しかつ光弾性係数の小さい樹脂フィルムが得られる。
[ポリマー]
本発明のRe逆分散フィルムに使用するポリマーとしては、ノルボルネン系ポリマー、セルロースアシレート系ポリマー、ポリビニルアルコール誘導体ポリマー、脂肪族ポリカーボネート系ポリマー等を好ましく用いることができる。なかでも、セルロースアシレート系ポリマーは正の固有複屈折成分と負の固有複屈折成分を併せ持ち且つ光弾性係数が小さく、偏光子に使用されるポリビニルアルコールとの親和性が高く特に好ましい。
以下に本発明で使用するセルロースアシレートについて詳しく説明する。なおセルロースアシレートを主成分として含む樹脂フィルムを、以下、Re逆分散セルロースアシレートフィルムということがある。
〔セルロースアシレート〕
セルロースアシレートの置換度は、セルロースの構成単位((β)1,4−グリコシド結合しているグルコース)に存在している、3つの水酸基がアシル化されている割合を意味する。置換度(アシル化度)は、セルロースの構成単位質量当りの結合脂肪酸量を測定して算出することができる。本発明において、セルロース体の置換度はセルロース体を重水素置換されたジメチルスルフォキシド等の溶剤に溶解してC13−NMRスペクトルを測定し、アシル基中のカルボニル炭素のピーク強度比から求めることにより算出することができる。
本発明におけるセルロースアシレートは、アシル化度が2.00〜2.98であるセルロースアセテートが好ましい。前記アシル化度は2.70〜2.97がさらに好ましく、2.86〜2.97が最も好ましい。さらに全アシル化度に対する6位のアシル化度の比率は0.25以上が好ましく、0.3以上がさらに好ましい。
本発明において、もう1つの好ましいセルロースアシレートとしては、アシル化度が2〜2.95であり、アセチル基と炭素数が3〜4のアシル基を有する混合脂肪酸エステルである。前記混合脂肪酸エステルのアシル化度は2.2〜2.85がさらに好ましく、2.4〜2.8が最も好ましい。また、アセチル化度は2.5未満が好ましく、1.9未満がさらに好ましい。
さらにもう1つの本発明において好ましいセルロースアシレートは、脂肪酸アシル基と置換もしくは無置換の芳香族アシル基とを有する混合酸エステルである。ここで置換もしくは無置換の芳香族アシル基としては下記一般式(A)で表される基が挙げられる。
Figure 2008020896
まず、前記一般式(A)について説明する。一般式(A)中、Xは置換基を示す。前記置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、アラルキル基、ニトロ、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基およびアリールオキシスルホニル基、−S−R、−NH−CO−OR、−PH−R、−P(−R)、−PH−O−R、−P(−R)(−O−R)、−P(−O−R)、−PH(=O)−R−P(=O)(−R)、−PH(=O)−O−R、−P(=O)(−R)(−O−R)、−P(=O)(−O−R)、−O−PH(=O)−R、−O−P(=O)(−R)−O−PH(=O)−O−R、−O−P(=O)(−R)(−O−R)、−O−P(=O)(−O−R)、−NH−PH(=O)−R、−NH−P(=O)(−R)(−O−R)、−NH−P(=O)(−O−R)、−SiH−R、−SiH(−R)、−Si(−R)、−O−SiH−R、−O−SiH(−R)および−O−Si(−R)が含まれる。上記Rは脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基である。
前記一般式(A)中、nは置換基の数であり、0〜5の整数を示す。前記置換基の数(n)は、1〜5であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、1〜3であることがさらに好ましく、1または2であることが最も好ましい。前記で示される置換基としては、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基およびウレイド基が好ましく、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基およびカルボンアミド基がより好ましく、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基およびアリールオキシ基がさらに好ましく、ハロゲン原子、アルキル基およびアルコキシ基が最も好ましい。
上記ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が含まれる。上記アルキル基は、環状構造あるいは分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチルおよび2−エチルヘキシルが含まれる。上記アルコキシ基は、環状構造あるいは分岐を有していてもよい。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルコキシ基は、さらに別のアルコキシ基で置換されていてもよい。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メトキシ−2−エトキシエトキシ、ブチルオキシ、ヘキシルオキシおよびオクチルオキシが含まれる。
上記アリール基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリール基の例には、フェニルおよびナフチルが含まれる。上記アリールオキシ基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリールオキシ基の例には、フェノキシおよびナフトキシが含まれる。上記アシル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アシル基の例には、ホルミル、アセチルおよびベンゾイルが含まれる。上記カルボンアミド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。カルボンアミド基の例には、アセトアミドおよびベンズアミドが含まれる。上記スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミドおよびp−トルエンスルホンアミドが含まれる。上記ウレイド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。ウレイド基の例には、(無置換)ウレイドが含まれる。
上記アラルキル基の炭素原子数は、7〜20であることが好ましく、7〜12であることがさらに好ましい。アラルキル基の例には、ベンジル、フェネチルおよびナフチルメチルが含まれる。上記アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニルが含まれる。上記アリールオキシカルボニル基の炭素原子数は、7〜20であることが好ましく、7〜12であることがさらに好ましい。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニルが含まれる。上記アラルキルオキシカルボニル基の炭素原子数は、8〜20であることが好ましく、8〜12であることがさらに好ましい。アラルキルオキシカルボニル基の例には、ベンジルオキシカルボニルが含まれる。上記カルバモイル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。カルバモイル基の例には、(無置換)カルバモイルおよびN−メチルカルバモイルが含まれる。上記スルファモイル基の炭素原子数は、20以下であることが好ましく、12以下であることがさらに好ましい。スルファモイル基の例には、(無置換)スルファモイルおよびN−メチルスルファモイルが含まれる。上記アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アシルオキシ基の例には、アセトキシおよびベンゾイルオキシが含まれる。
上記アルケニル基の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルケニル基の例には、ビニル、アリルおよびイソプロペニルが含まれる。上記アルキニル基の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルキニル基の例には、チエニルが含まれる。上記アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。上記アリールスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。上記アルキルオキシスルホニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。上記アルキルスルホニルオキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。
次に、本発明におけるセルロースアシレートの一例であるセルロース混合脂肪酸エステル中の脂肪酸エステル残基について説明する。前記セルロース混合脂肪酸エステル中の脂肪酸エステル残基において、脂肪族アシル基は炭素原子数が2〜20であることが好ましい。具体的にはアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、ラウロイル、ステアロイル等が挙げられ、好ましくはアセチル、プロピオニルおよびブチリルであり、本発明において前記脂肪族アシル基はさらに置換基を有するものも包含する意味である。前記置換基としては例えば前記の一般式(A)のXとして例示したものが挙げられる。
更に、芳香族環に置換する置換基の数が2個以上の時、該置換基は互いに同じでも異なっていてもよいし、互いに連結して縮合多環化合物(例えばナフタレン、インデン、インダン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、クロメン、クロマン、フタラジン、アクリジン、インドール、インドリンなど)を形成してもよい。
本発明における芳香族アシル基は下記関係式(23)を満たすことが好ましい。
DSB6/(DSB2+DSB3+DSB6)≧0.60・・・式(23)
ここでDSB2、DSB3、DSB6はそれぞれ2位、3位、6位の芳香族アシル基の置換度を表すものとする。
式(23)はさらに好ましくは、
DSB6/(DSB2+DSB3+DSB6)≧0.70
であり、最も好ましくは、
DSB6/(DSB2+DSB3+DSB6)≧0.80
である。
芳香族アシル基の置換度はセルロース脂肪酸モノエステルの場合、残存する水酸基に対して、好ましくは2.0以下、さらに好ましくは0.1〜2.0である。また、セルロース脂肪酸ジエステル(二酢酸セルロース)の場合、残存する水酸基に対して、好ましくは1.0以下、さらに好ましくは0.1〜1.0である。以下に一般式(A)で表される芳香族アシル基の具体例(No.1〜43)を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。前記一般式(A)で表される芳香族アシル基としては、下記No.1,3,5,6,8,13,18および28が好ましく、No.1,3,6および13が更に好ましい。
Figure 2008020896
Figure 2008020896
Figure 2008020896
Figure 2008020896
本発明で用いられるセルロースアシレートは、350〜800の質量平均重合度を有することが好ましく、370〜600の質量平均重合度を有することがさらに好ましい。また本発明で用いられるセルロースアシレートは、70000〜230000の数平均分子量を有することが好ましく、75000〜230000の数平均分子量を有することがさらに好ましく、78000〜120000の数平均分子量を有することが最も好ましい。
本発明で用いられるセルロースアシレートは、アシル化剤として酸無水物や酸塩化物を用いて合成できる。前記アシル化剤が酸無水物である場合は、反応溶媒として有機酸(例えば、酢酸)や塩化メチレンが使用される。また、触媒として、硫酸のようなプロトン性触媒を用いることができる。アシル化剤が酸塩化物である場合は、触媒として塩基性化合物を用いることができる。工業的に最も一般的な合成方法では、セルロースをアセチル基および他のアシル基に対応する有機酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)またはそれらの酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)を含む混合有機酸成分でエステル化してセルロースエステルを合成する。
セルロースの水酸基への芳香族アシル基置換の場合、一般的には芳香族カルボン酸クラロイドあるいは芳香族カルボン酸から誘導される対称酸無水物および混合酸無水物を用いる方法等により行うことができる。特に好ましいのは芳香族カルボン酸から誘導した酸無水物を用いる方法(Journal of Applied Polymer Science、Vol.29、3981−3990(1984)記載)が挙げられる。上記の方法として本発明におけるセルロースアシレートの製造方法としては、(i)セルロース脂肪酸モノエステルまたはジエステルを一旦製造したのち、残りの水酸基に前記一般式(A)で表される芳香族アシル基を導入する方法、(ii)セルロースに直接に、脂肪族カルボン酸と芳香族カルボン酸との混合酸無水物を反応させる方法、などが挙げられる。(i)においては、セルロース脂肪酸エステルまたはジエステルの製造方法自体は周知の方法であるが、これにさらに芳香族アシル基を導入する後段の反応は、該芳香族アシル基の種類によって異なる。この際、反応温度は、好ましくは、0〜100℃、より好ましくは20〜50℃であり、反応時間は、好ましくは30分以上、より好ましくは30〜300分で行われる。また(ii)の混合酸無水物を用いる方法も、反応条件は混合酸無水物の種類によって変わる。この際、反応温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜50℃であり、反応時間は、好ましくは30〜300分、より好ましくは60〜200分である。上記のいずれの反応は、無溶媒または溶媒中のいずれで行ってもよいが、好ましくは溶媒を用いて行われる。前記溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジオキサンなどを用いることができる。
前記方法においては、綿花リンターや木材パルプのようなセルロースは、酢酸のような有機酸で活性化処理した後、硫酸触媒の存在下で、上記のような有機酸成分の混合液を用いてエステル化する場合が多い。有機酸無水物成分は、一般にセルロース中に存在する水酸基の量に対して過剰量で使用する。このエステル化処理では、エステル化反応に加えてセルロース主鎖(β)1,4−グリコシド結合)の加水分解反応(解重合反応)が進行する。主鎖の加水分解反応が進むとセルロースエステルの重合度が低下し、製造するセルロースエステルフイルムの物性が低下する。そのため、反応温度のような反応条件は、得られるセルロースエステルの重合度や分子量を考慮して決定することが好ましい。
重合度の高い(分子量の大きい)セルロースエステルを得るためには、エステル化反応工程における最高温度を50℃以下に調節することが重要である。最高温度は、好ましくは35〜50℃、さらに好ましくは37〜47℃に調節する。反応温度が35℃以上であれば、エステル化反応が円滑に進行するので好ましい。また、反応温度が50℃以下であれば、セルロースエステルの重合度が低下するなどの不都合が生じないので好ましい。
エステル化反応の後、温度上昇を抑制しながら反応を停止すると、さらに重合度の低下を抑制でき、高い重合度のセルロースエステルを合成できる。すなわち、反応終了後に反応停止剤(例えば、水、酢酸)を添加すると、エステル化反応に関与しなかった過剰の酸無水物は、加水分解して対応する有機酸を副成する。この加水分解反応は激しい発熱を伴い、反応装置内の温度が上昇する。反応停止剤の添加速度が大きすぎることがなければ、反応装置の冷却能力を超えて急激に発熱して、セルロース主鎖の加水分解反応が著しく進行し、得られるセルロースエステルの重合度が低下するなどの問題が生じることはない。また、エステル化の反応中に触媒の一部はセルロースと結合しており、その大部分は反応停止剤の添加中にセルロースから解離する。このとき反応停止剤の添加速度が大きすぎなければ、触媒が解離するために充分な反応時間が確保され、触媒の一部がセルロースに結合した状態で残るなどの問題は生じにくい。強酸の触媒が一部結合しているセルロースエステルは安定性が非常に悪く、製品の乾燥時の熱などで容易に分解して重合度が低下する。これらの理由により、エステル化反応の後、好ましくは4分以上、さらに好ましくは4〜30分の時間をかけて反応停止剤を添加して、反応を停止することが望ましい。なお、反応停止剤の添加時間が30分以下であれば、工業的な生産性の低下などの問題が生じないので好ましい。
反応停止剤としては、一般に酸無水物を分解する水やアルコールが用いられている。ただし、本発明では、各種有機溶媒への溶解性が低いトリエステルを析出させないために、水と有機酸との混合物が、反応停止剤として好ましく用いられる。以上のような条件でエステル化反応を実施すると、質量平均重合度が500以上である高分子量セルロースエステルを容易に合成することができる。
〔Re発現剤〕
本発明におけるセルロースアシレートフィルムは2種類以上の液晶性を有するRe発現剤を含有することが好ましい。このうち少なくとも1つのRe発現剤は、前記正の固有複屈折と負の固有複屈折成分を併せ持つもの(以下逆分散Re発現剤と称することがある)であり、少なくとももう1つのRe発現剤は棒状化合物である(以下棒状Re発現剤と称することがある)ことがより好ましい。逆分散性Re発現剤と棒状Re発現剤を併用することにより、各々を単独で用いた場合に比べてRe発現性を大幅に向上でき、且つ環境湿度によるRe変化を著しく低減できる。
本発明では、前記第1のRe発現剤として、下記一般式(I)で表される化合物が好ましく、下記一般式(II)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2008020896
(式中、L1およびL2は各々独立に単結合または二価の連結基を表す。A1およびA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子または置換基を表す。)、−S−及び−CO−からなる群から選ばれる基を表す。R1、R2、およびR3は各々独立に置換基を表す。Xは6族、5族、4族原子を表し、=O、=S、=NR、=C(R)R、(Rは水素原子または置換基)等が好ましい。nは0から2までの整数を表す。)
Figure 2008020896
(一般式(II)中、L1およびL2は各々独立に単結合または二価の連結基を表す。A1およびA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子または置換基を表す。)、−S−及び−CO−からなる群から選ばれる基を表す。R1、R2、R3、R4およびR5は各々独立に置換基を表す。nは0から2までの整数を表す。)
一般式(I)又は(II)において、L1およびL2が表す二価の連結基としては、好ましくは下記の例が挙げられる。
Figure 2008020896
さらに好ましくは−O−、−COO−、−OCO−である。
一般式(I)および(II)において、R1は置換基であり、複数存在する場合は同じでも異なっていてもよく、環を形成しても良い。置換基の例としては下記のものが適用できる。
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換または無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基)、
アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル基)、ビシクロアルケニル基(置換または無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換または無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、
アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換または無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換または無置換の、芳香族または非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5または6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、
シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換または無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、
スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換または無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換または無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、
スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換または無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキルおよびアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、
アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換または無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、
アリールおよびヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換または無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換または無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)を表わす。
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
1は好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基、アミノ基、水素原子であり、さらに好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、アルコキシ基、水素原子である。
2、R3は各々独立に置換基を表す。例としては上記R1の例があげられる。好ましくは置換もしくは無置換のベンゼン環、置換もしくは無置換のシクロヘキサン環である。より好ましくは置換基を有するベンゼン環、置換基を有するシクロヘキサン環であり、さらに好ましくは4位に置換基を有するベンゼン環、4位に置換基を有するシクロヘキサン環である。
4、R5は各々独立に置換基を表す。例としては上記R1の例があげられる。好ましくは、ハメットの置換基定数σp値が0より大きい電子吸引性の置換基であることが好ましく、σp値が0〜1.5の電子吸引性の置換基を有していることがさらに好ましい。このような置換基としてはトリフルオロメチル基、シアノ基、カルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。また、R4とR5とが結合して環を形成してもよい。
なお、ハメットの置換基定数のσp、σmに関しては、例えば、稲本直樹著「ハメット則−構造と反応性−」(丸善)、日本化学会編「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応V」2605頁(丸善)、仲谷忠雄著「理論有機化学解説」217頁(東京化学同人)、ケミカル レビュー,91巻,165〜195頁(1991年)等の成書に詳しく解説されている。
1およびA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子または置換基)、−S−及び−CO−からなる群から選ばれる基を表す。好ましくは−O−、−NR−(Rは置換基)または−S−である。置換基Rとしては、上記R1の例があげられる。
以下に、一般式(I)又は(II)で表される化合物の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。下記化合物に関しては、指定のない限り括弧( )内の数字にて例示化合物(X)と示す。
Figure 2008020896
Figure 2008020896
Figure 2008020896
Figure 2008020896
Figure 2008020896
一般式(I)又は(II)で表される化合物の合成は、既知の方法を参照して行うことができる。例えば、例示化合物(1)は、下記スキームに従って合成することができる。
Figure 2008020896
前記スキーム中、化合物(1−A)から化合物(1−D)までの合成は、“Journal of Chemical Crystallography”(1997);27(9);p.515-526.に記載の方法を参照して行うことができる。
さらに、前記スキームに示したように、化合物(1−E)のテトラヒドロフラン溶液に、メタンスルホン酸クロライドを加え、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを滴下し攪拌した後、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを加え、化合物(1−D)のテトラヒドロフラン溶液を滴下し、その後、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)のテトラヒドロフラン溶液を滴下することで、例示化合物(1)を得ることができる。
(棒状Re発現剤)
本発明において棒状化合物とは直線的な分子構造を有する化合物を指す。直線的な分子構造とは、熱力学的に最も安定な構造において棒状化合物の分子構造が直線的であることを意味する。熱力学的に最も安定な構造は、結晶構造解析または分子軌道計算によって求めることができる。例えば、分子軌道計算ソフト(例、WinMOPAC2000、富士通(株)製)を用いて分子軌道計算を行い、化合物の生成熱が最も小さくなるような分子の構造を求めることができる。分子構造が直線的であるとは、上記のように計算して求められる熱力学的に最も安定な構造において、分子構造で主鎖の構成する角度が140度以上であることを意味する。
棒状化合物としては、下記式一般式(i)で表される化合物が特に好ましい。
一般式(i):Ar−L−X−L−Ar
上記一般式(i)において、Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、芳香族基であり、L2およびL3は、それぞれ独立に、−O−CO−または−CO−O−基より選ばれる二価の連結基であり、Xは、1,4−シクロへキシレン基、ビニレン基またはエチニレン基である。
本明細書において、芳香族基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基を含む。
アリール基および置換アリール基の方が、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。芳香族性へテロ環基のヘテロ環は、一般には不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性へテロ環は一般に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましく、窒素原子または硫黄原子がさらに好ましい。
芳香族基の芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環およびピラジン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
置換アリール基および置換芳香族性ヘテロ環基の置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、アルキルアミノ基(例、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基)、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基(例、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基)、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基(例、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基)、ウレイド基、アルキルウレイド基(例、N−メチルウレイド基、N,N−ジメチルウレイド基、N,N,N’−トリメチルウレイド基)、アルキル基(例、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、s−ブチル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基)、アルケニル基(例、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基)、アルキニル基(例、エチニル基、ブチニル基)、アシル基(例、ホルミル基、アセチル基、ブチリル基、ヘキサノイル基、ラウリル基)、アシルオキシ基(例、アセトキシ基、ブチリルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ラウリルオキシ基)、アルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基)、アリールオキシ基(例、フェノキシ基)、アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニルアミノ基(例、ブトキシカルボニルアミノ基、ヘキシルオキシカルボニルアミノ基)、アルキルチオ基(例、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基)、アリールチオ基(例、フェニルチオ基)、アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘプチルスルホニル基、オクチルスルホニル基)、アミド基(例、アセトアミド基、ブチルアミド基、ヘキシルアミド基、ラウリルアミド基)および非芳香族性複素環基(例、モルホリル基、ピラジニル基)が含まれる。
置換アリール基および置換芳香族性ヘテロ環基の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキル置換アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基およびアルキル基が好ましい。
アルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基のアルキル部分とアルキル基とは、さらに置換基を有していてもよい。アルキル部分およびアルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基、スルファモイル、アルキルスルファモイル基、ウレイド、アルキルウレイド基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アミド基および非芳香族性複素環基が含まれる。アルキル部分およびアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基およびアルコキシ基が好ましい。
一般式(i)において、LおよびLは、それぞれ独立に、−O−CO−または−CO−O−およびそれらの組合せからなる基より選ばれる二価の連結基である。
一般式(i)において、Xは、1,4−シクロへキシレン基、ビニレン基またはエチニレン基である。
以下に、一般式(i)で表される化合物の具体例を示す。
Figure 2008020896
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具体例(1)〜(34)、(41)、(42)は、シクロヘキサン環の1位と4位とに二つの不斉炭素原子を有する。ただし、具体例(1)、(4)〜(34)、(41)、(42)は、対称なメソ型の分子構造を有するため光学異性体(光学活性)はなく、幾何異性体(トランス型とシス型)のみ存在する。具体例(1)のトランス型(1−trans)とシス型(1−cis)とを、以下に示す。
Figure 2008020896
前述したように、棒状化合物は直線的な分子構造を有することが好ましい。そのため、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
具体例(2)および(3)は、幾何異性体に加えて光学異性体(合計4種の異性体)を有する。幾何異性体については、同様にトランス型の方がシス型よりも好ましい。光学異性体については、特に優劣はなく、D、Lあるいはラセミ体のいずれでもよい。
具体例(43)〜(45)では、中心のビニレン結合にトランス型とシス型とがある。上記と同様の理由で、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
溶液の紫外線吸収スペクトルにおいて最大吸収波長(λmax)が250nmより短波長である棒状化合物を、二種類以上併用してもよい。
棒状化合物は、文献記載の方法により合成できる。文献としては、Mol. Cryst. Liq. Cryst., 53巻、229ページ(1979年)、同89巻、93ページ(1982年)、同145巻、111ページ(1987年)、同170巻、43ページ(1989年)、J. Am. Chem. Soc., 113巻、1349ページ(1991年)、同118巻、5346ページ(1996年)、同92巻、1582ページ(1970年)、J. Org. Chem., 40巻、420ページ(1975年)、Tetrahedron、48巻16号、3437ページ(1992年)を挙げることができる。
本発明の樹脂フィルムはRe発現剤をポリマーを上回る高い配向度で配向させることにより、高Reを付与されたものである。このためには、Re発現剤が液晶性を有することが好ましく、全添加剤に対する液晶性化合物の質量比は40質量%以上100質量%以下が好ましく、50質量%以上100質量%以下がさらに好ましい。
また、本発明におけるRe発現剤は、2種類以上混合して用いることが好ましい。本発明におけるRe発現剤の添加量はセルロースアシレート100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がさらに好ましく、1〜10質量部が最も好ましい。
本発明におけるRe発現剤の添加方法は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランの有機溶媒にRe発現剤を溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加してもよいし、または直接ドープ組成中に添加してもよい。
〔セルロースアシレートフィルムの製造〕
本発明におけるセルロースアシレートフィルムは、ソルベントキャスト法により製造することができる。ソルベントキャスト法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
前記有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルおよび炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
前記エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。また、前記エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、前記有機溶媒として用いることができる。前記有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する溶媒の上述の好ましい炭素原子数範囲内であることが好ましい。
前記炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
前記炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
前記炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
また、2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
また、2種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
セルロースアシレート溶液(ドープ)は、0℃以上の温度(常温または高温)で処理することからなる一般的な方法で調製することができる。セルロースアシレート溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。
セルロースアシレート溶液中におけるセルロースアシレートの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
セルロースアシレート溶液は、常温(0〜40℃)でセルロースアシレートと有機溶媒とを撹拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で撹拌してもよい。具体的には、セルロースアシレートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、且つ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら撹拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は撹拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
撹拌は、容器内部に撹拌翼を設けて、これを用いて行うことが好ましい。撹拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。撹拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶媒中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
冷却溶解法により、セルロースアシレート溶液を調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法ではセルロースアシレートを溶解させることが困難な有機溶媒中にも、セルロースアシレートを溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセルロースアシレートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
冷却溶解法では、最初に室温で有機溶媒中にセルロースアシレートを撹拌しながら徐々に添加する。セルロースアシレートの量は、この混合物中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
次に、混合物を−100〜−10℃(好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。冷却によりセルロースアシレートと有機溶媒の混合物は固化する。
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を、冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
さらに、冷却した混合物を0〜200℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースアシレートが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよく、温浴中で加温してもよい。加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一なセルロースアシレート溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時に減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量計(DSC)による測定によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保することが好ましい。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造する。ドープにはレターデーション発現剤を添加することが好ましい。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。
ソルベントキャスト法における乾燥方法については、米国特許第2,336,310号、同2,367,603号、同2,492,078号、同2,492,977号、同2,492,978号、同2,607,704号、同2,739,069号および同2,739,070号の各明細書、英国特許第640731号および同736892号の各明細書、並びに特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号および同62−115035号の各公報に記載がある。バンドまたはドラム上での乾燥は空気、窒素などの不活性ガスを送風することにより行なうことができる。
また、得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100℃〜160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して、残留溶媒を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)を用いて2層以上の流延を行いフィルム化することもできる。この場合、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを作製することが好ましい。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40質量%の範囲となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
2層以上の複数のセルロースアシレート液を流延する場合、複数のセルロースアシレート溶液を流延することが可能であり、支持体の進行方向に間隔をおいて設けられた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよい。これらは、例えば、特開昭61−158414号、特開平1−122419号、および特開平11−198285号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによっても、フィルム化することもできる。これは、例えば、特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、および、特開平6−134933号の各公報に記載の方法を用いることができる。さらに特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高・低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押し出すセルロースアシレートフィルムの流延方法を用いることもできる。
また、2個の流延口を用いて、第一の流延口により支持体に成形したフィルムを剥ぎ取り、支持体面に接していた側に第二の流延を行うことにより、フィルムを作製することもできる。例えば、特公昭44−20235号公報に記載の方法を挙げることができる。
流延するセルロースアシレート溶液は同一の溶液を用いてもよいし、異なるセルロースアシレート溶液を2種以上用いてもよい。複数のセルロースアシレート層に機能をもたせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押し出せばよい。さらに本発明におけるセルロースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、紫外線吸収層、偏光層など)と同時に流延することもできる。
従来の単層液では、必要なフィルムの厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアシレート溶液を押し出すことが必要である。その場合セルロースアシレート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良となったりして問題となることが多かった。この問題の解決方法として、複数のセルロースアシレート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に支持体上に押し出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアシレート溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。
セルロースアシレートフィルムには、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン等)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。また、前記劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%以上であれば、劣化防止剤の効果が十分に発揮されるので好ましく、添加量が1質量%以下であれば、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)などが生じにくいので好ましい。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
また、セルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
これらの微粒子は、通常平均粒子径が0.1〜3.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させる。2次平均粒子径は0.2μm以上1.5μm以下が好ましく、0.4μm以上1.2μm以下がさらに好ましく、0.6μm以上1.1μm以下が最も好ましい。1次、2次粒子径はフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒径とした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とした。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
本発明において2次平均粒子径の小さな粒子を有するセルロースアシレートフィルムを得るために、微粒子の分散液を調製する際にいくつかの手法が考えられる。例えば、溶剤と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ作成し、この微粒子分散液を別途用意した少量のセルロースアシレート溶液に加えて撹拌溶解し、さらにメインのセルロースアシレート溶液(ドープ液)と混合する方法がある。この方法は二酸化珪素微粒子の分散性がよく、二酸化珪素微粒子が更に再凝集しにくい点で好ましい調製方法である。ほかにも、溶剤に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解した後、これに微粒子を加えて分散機で分散を行いこれを微粒子添加液とし、この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する方法もある。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度が高い方が添加量に対する液濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。最終的なセルロースアシレートのドープ溶液中でのマット剤微粒子の添加量は1m3あたり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.16gが最も好ましい。
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
これら流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。本発明におけるセルロースアシレートフィルムの製造に用いる巻き取り機は、一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
〔延伸処理〕
本発明のRe逆分散フィルムは、延伸処理されたセルロースアシレートフィルム(延伸セルロースアシレートフィルム)を用いることが特に好ましい。延伸処理によりセルロースアシレートフィルムに所望のレターデーションを付与することが可能である。セルロースアシレートフィルムの延伸方向は幅方向、長手方向のいずれでも好ましい。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などの各公報に記載されている。
フィルムの延伸は、加熱条件下で実施する。フィルムは、乾燥中の処理で延伸することができ、特に溶媒が残存する場合は有効である。長手方向の延伸の場合、例えば、フィルムの搬送ローラーの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り速度の方を速くするとフィルムは延伸される。幅方向の延伸の場合、フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによってもフィルムを延伸できる。フィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。
本発明のRe逆分散フィルムの延伸温度はガラス転移温度(以下Tg)以上(Tg+50℃)以下が好ましい。延伸温度はTg以上(Tg+30℃)以下がさらに好ましい。
また、本発明のRe逆分散フィルムが液晶性のRe発現剤を含有する場合、Re発現剤が液晶性を示す温度領域、すなわちRe発現剤の融点(以下Tm)以上等方相温度(以下Ti)以下で延伸を行うことが好ましい。さらに好ましくは(Tm+10℃)以上である。2種類以上の液晶性化合物を混合する場合は混合物としてのTm以上Ti以下で延伸することが好ましい。前記範囲の温度で延伸することにより、Re発現剤の配向を大きくすることが可能となる。
Re発現剤のTmおよびTiは、例えば、東京化学同人社刊の「液晶の化学」32ページ〜33ページに記載の方法により求めることができ、偏光顕微鏡観察下にサンプルを加熱し、結晶の融解する温度をTm、液晶性に基づく曇りがなくなりサンプルが透明となる温度をTiと定めるものとする。
本発明のRe逆分散フィルムの延伸倍率(延伸前のフィルムに対する伸び率)は、1%〜200%が好ましく、5%〜150%がさらに好ましい。とくに、幅方向に1%〜200%で延伸するのが好ましく、さらに好ましくは5%〜150%である。延伸速度は1%/分〜300%/分が好ましく、10%/分〜300%/分がさらに好ましく、30%/分〜300%/分が最も好ましい。
また、本発明における延伸セルロースアシレートフィルムは、最大延伸倍率まで延伸したのちに、最大延伸倍率より低い延伸倍率で一定時間保持する工程(以下、「緩和工程」と称することがある。)を経て製造されることが好ましい。緩和工程における延伸倍率は最大延伸倍率の50%〜99%が好ましく、70%〜97%がさらに好ましく、90%〜95%が最も好ましい。また、緩和工程の時間は1秒〜120秒が好ましく、5秒〜100秒がさらに好ましい。
さらに、本発明のRe逆分散フィルムは幅方向にフィルムを把持しながら収縮させる収縮工程を含むことにより好ましく製造することができる。
フィルムの幅方向に延伸する延伸工程と、フィルムの搬送方向(長手方向)に収縮させる収縮工程を含むことを特徴とする製造方法においてはパンタグラフ式あるいはリニアモーター式のテンターによって保持し、フィルムの幅方向に延伸しながら搬送方向にはクリップの間隔を徐々に狭めることでフィルムを収縮させることが出来る。
前記で説明した方法は、延伸工程と収縮工程の少なくとも一部が、同時に行われているということができる。
なお、上記のようなフィルムの長手方向または幅方向のいずれか一方を延伸し、同時にもう一方を収縮させ、同時にフィルムの膜厚を増加させる延伸工程を具体的に行う延伸装置として、市金工業社製FITZ機などを望ましく用いることができる。この装置に関しては(特開2001−38802号公報)に記載されている。
延伸工程における延伸倍率および収縮工程における収縮率としては目的とする面内のレターデーションReおよび厚さ方向のレターデーションRthの値により、任意に適切な値を選択することができるが、延伸工程における延伸倍率が10%以上であり、かつ収縮工程における収縮率が5%以上とすることが好ましい。
特に、フィルムの幅方向に10%以上延伸する延伸工程と、フィルムの幅方向にフィルムを把持しながらフィルムの搬送方向を5%以上収縮させる収縮工程とを含むことが好ましい。
なお、本発明でいう収縮率とは、収縮方向における収縮前のフィルムの長さに対する収縮後のフィルムの収縮した長さの割合を意味する。
収縮率としては5〜40%が好ましく、10〜30%が特に好ましい。
[延伸セルロースアシレートフィルムの厚み]
本発明における延伸セルロースアシレートフィルムの厚みは30μm以上70μm以下が好ましく、30μm以上60μm以下がさらに好ましく、30μm以上50μm以下が最も好ましい。
〔鹸化処理〕
本発明のRe逆分散フィルムはアルカリ鹸化処理することによりポリビニルアルコールのような偏光子の材料との密着性を付与し、偏光板保護フィルムとして用いることができる。
例えば本発明におけるセルロースアシレートフィルムのアルカリ鹸化処理は、フイルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。前記アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの濃度は0.1〜5.0mol/Lの範囲にあることが好ましく、0.5〜4.0mol/Lの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温〜90℃の範囲にあることが好ましく、40〜70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
<偏光板の作製>
(偏光板保護フィルム)
本発明における偏光板に用いる保護フィルムについて説明する。
本発明において用いられる保護フィルムはノルボルネン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリスルフォン、セルロースアシレート、ポリアクリレートなどから製造されたポリマーフィルムであることが好ましい。
本発明の偏光板は偏光子の両側に1ずつ合計2枚の保護フィルムを有し、2枚の保護フィルムのうち、少なくとも一枚は位相差フィルムとしての機能を合わせてもつことが好ましい。液晶表示装置に本発明の偏光板を用いる場合、液晶セルの両側に配置される二枚の偏光板の少なくとも一方の液晶セル側保護フィルムが本発明の樹脂フィルムである。
さらに、本発明の偏光板において、偏光子に対して液晶セルと反対側の保護フィルムの少なくとも1枚の透湿度が0g/m・日以上1500g/m・日以下であることが好ましい。さらに好ましくは0g/m・日以上1000g/m・日以下であり、最も好ましくはで0g/m・日以上300g/m・日以下ある。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明にかかるフィルム試料70mmφを60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、JIS Z−0208に従って、透湿度=調湿後質量−調湿前質量で単位面積あたりの水分量(g/m2)を算出できる。また、ビニルアルコール系重合体を含む樹脂層を有する偏光板保護フィルムの透湿度を測定する場合には、透明基材フィルム上に設けた該樹脂層が測定カップに接する様な向きでサンプルをセットし、透明基材フィルム側からの透湿度を測定する。
偏光子に対して液晶セルと反対側の保護フィルムの透湿度を前記範囲に制御した偏光板を液晶表示装置に組み込むことにより、高温高湿下で連続点灯してもムラが生じにくい液晶表示装置が得られる。
透湿度を前記範囲に制御したフィルム(以下低透湿度フィルムと呼ぶ場合がある)としては、日本ゼオン社製ゼオノア、JSR社製アートン等のシクロオレフィン系フィルム、特開2006−171464号公報で開示されているラクトン含有樹脂フィルム等を好ましく用いることができる。
また、セルロースアシレート等の偏光子(ポリビニルアルコール)との密着に優れたポリマーフィルムの片面に被覆層を設けることにより、透湿度を低下せしめたフィルムも本発明の低透湿フィルムとして好ましく用いることができる。以下に本発明の低湿度フィルムに好ましく用いられる被覆層について説明する。
[被覆層]
本発明の被覆層は、60℃、95%相対湿度での透湿度が300g/m・日以下であることを特徴とし、ポリビニルアルコール、エチレンポリビニルアルコール共重合体、無機層状化合物を分散させた樹脂成分、シリカ系組成物、その他の疎水的な化合物などが用いられるが、それぞれを用いた場合について詳しく説明する。また、本発明で用いる透湿度の値は、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、及びこれらの樹脂層に無機層状化合物を分散させた被覆層を有する偏光板保護フィルムを測定する場合には、セルロースアシレート類からなる透明基材フィルム側からの透湿度の値を用いる。一般にビニルアルコール系樹脂は、高湿下に樹脂層が直接晒されるとその防湿性が著しく低下するため、該樹脂層側からの透湿度の値は本発明記載の範囲に含まれない場合が多いが、基材フィルム側からの透湿度の値が300g/m・日以下の範囲を満たしていれば偏光板の耐湿熱性向上に十分効果を発揮する。
1 ビニルアルコール系重合体からなる樹脂、または、ビニルアルコール系重合体組成物中に無機層状化合物を含有する樹脂より形成された被覆層
1−(1)ビニルアルコール系重合体
被覆層を構成するビニルアルコール系重合体としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)などの単独重合体や、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、などが例示できる。また、これらのビニルアルコール系重合体は、その一部がカルボニル変性、シラノール変性、エポキシ変性、アセトアセチル変性、アミノ変性またはアンモニウム変性されたものを用いても良く、その一部にジアセトンアクリルアミド単位等を含む共重合体を用いても良い。また、各種のビニルアルコール系重合体を単独で又は二種以上組み合わせて使用することもできる。
ビニルアルコール系重合体のケン化度は、80モル%以上の範囲から選択できるが、好ましくは96モル%以上であり、より好ましくは99モル%以上である。ビニルアルコール系重合体の重合度は、透湿度、塗布性の点から、200〜5000が良く、好ましくは400〜5000、さらに好ましくは500〜3000程度である。
1−(2)その他の成分
本発明においては、樹脂組成物の成分として、ビニルアルコール系重合体および後述する層状無機化合物にさらにビニルアルコール系重合体の架橋剤を添加することができ、これにより接着層の耐水性を向上させることができる。この目的に使用できる架橋剤としては特に制限なく、公知のいずれの架橋剤も好ましく使用することができる。架橋剤の例としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミドポリ尿素、ジメチロール尿素、ジメチロールメラミン、多価エポキシ化合物、ジアルデヒド化合物、多価イソシアネート樹脂、アジリジン化合物、ポリアミドアミンエピクロルヒドリン化合物、活性化ビニル化合物、ジカーボネート化合物、ヒドラジノ基含有化合物(多価カルボン酸ポリヒドラジド化合物)、コロイダルシリカ、ジルコニウム塩、多価金属塩、ホウ酸、リン酸、ポリアクリル酸、ジカルボン酸、アジピン酸無水物、コハク酸無水物、テトライソプロピルチタネート、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトン)チタネートなどのチタン化合物等を挙げることができ、このほか、3−グリシドプロピルメトキシシラン等のカップリング剤、パーオキサイド等のラジカル発生剤等の使用も可能である。また、架橋反応を促進するための触媒やその他の添加剤を加えることも可能である。
架橋剤の添加量は、(架橋剤/(ビニルアルコール系重合体+架橋剤))で0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が特に好ましい。PVA系重合体と架橋剤の両者に対する架橋剤の質量比率が0.5質量%未満の場合には、架橋剤を添加したことにより効果が発現しない。また、ビニルアルコール系重合体と架橋剤の両者に対する架橋剤の質量比率は50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が特に好ましい。アルデヒド系化合物などの架橋剤の中には熱により黄色に変色するものもあるため、このような架橋剤についてはその添加量を小さくして変色を許容範囲内に抑制することが必要となる。
1−(3)被覆層の形成
ビニルアルコール系重合体、または、ビニルアルコール系重合体と無機層状化合物からなる被覆層は、後述の塗布方式を用い透明基材フィルム上に形成することができる。この際、製膜時に塗工装置に対する液の粘度特性を最適とするために、増粘剤などの粘度調整剤を塗工液に添加して、塗布液の液粘度を調整する方法も用いることもできる。また、被覆層の防湿性、耐水性をより向上させるために、セルロースアシレート類基板上に被覆層を塗布後、樹脂層を90℃以上、150℃以下で数分間熱処理することが好ましく、より好ましくは130℃以上150℃以下で加熱するのが良い。熱処理時間は、生産性と耐水性の点から、1分以上20分以下が好ましく、5分以上15分以下がより好ましい。また、樹脂層とセルロースアシレート基板との密着性の点からセルロースアシレートを予めけん化処理しておくことが好ましい。
1−(4)被覆層の厚み、ヘイズ、表面粗さ
被覆層の厚みは、1〜30μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは3〜20μ m 程度である。また、作製した樹脂層のヘイズ値は30%以下が好ましく、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは8%以下である。内部ヘイズ値は10%以下が好ましく、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは1%以下である。
また、表面の算術平均粗さRaは0.2以下、二乗平均平方根粗さRqは0.2以下、十点平均粗さRzは1.5以下であることが好ましい。
1−(5)構成
上記被覆層は偏光板構成図である図1(1)、(2)又は、図1(3)、(4)に示されている様に、偏光子と透明基材フィルムとの間、又は、偏光子とは透明基材フィルムを挟んで逆側に設けることができる。また、これら両方の側に設けることもできるが、偏光板加工時の生産性や、ハードコート層の塗布性等の観点から、偏光子と透明基材フィルムとの間に該樹脂層を設けた場合がより好適に用いられる。但し、偏光子とは透明基材フィルムを挟んで逆側に該樹脂層を設けた場合にも、偏光板加工時の生産性を低下させる事は無く、また、該樹脂層上に下記記載の易接着層を設けることによって、その上にさらにハードコート性を有する層等を設ける事が可能である。
2 シリカ系塗布膜より形成された被覆層
本発明で用いるシリカ系塗布膜は、セルロースアシレート類からなる透明基材フィルムの少なくとも片面に設けられ、目的の透湿度を達成し、かつ、偏光板保護フィルムとしての実用に耐えるため、緻密性と柔軟性を両立する必要がある。したがって、アルコキシシランに触媒、水を添加して加水分解縮合して作られる加水分解物であるシリカ膜のみでは、柔軟性が不十分で本発明には適さず、本発明ではアルコキキシランからなる化合物と、水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物および/またはシランカップリング剤を含有する塗布膜が好ましく用いられ、アルコキキシランからなる化合物と、水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物とシランカップリング剤を全て含有するのが特に好ましい。
2−(1)アルコキシシランからなる化合物
本発明で用いられるアルコキシシランからなる化合物としては、例えば下記式(2−1)で表される。
(R4−nSi(OR 式(2−1)
(式中、Rは水素原子、アルキル基またはアシル基を示し、Rは水素原子、アルキル基、芳香族基を示し、nは2〜4の数を示す。)
で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることができ、アシル基としてはアセチル基、プロピオニル基等を挙げることができる。メチル基、エチル基、プロピル基が特に好ましく、最も好ましくはエチル基である。nは2〜4が好ましく、3〜4が特に好ましく、4が最も好ましい。したがって、テトラアルコキシシランが好ましく、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランが特に好ましく、テトラエトキシシランが特に好ましい。nが2および3の場合は、Rで示されるアルキル基としては、炭素数1〜18、好ましくは1〜5のアルキル基等を挙げることができ、芳香族基としてはフェニル基等を挙げることができる。
2−(2)水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物
本発明では、水酸基またはアルコキシ基と反応する官能基を有する化合物を用いることができる。水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマーがより好ましく用いられ、水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基をもつものであれば特に制限されることなく用いることができる。例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂のなかから選ばれる熱硬化性あるいは電離硬化性あるいは湿気硬化性の樹脂等が用いられる水酸基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマーがより好ましく、水酸基を有するポリマーが特に好ましく、ビニルアルコール系重合体、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)の単独重合体や、エチレン− ビニルアルコール共重合体(EVOH)が更に好ましく用いられ、ポリビ
ニルアルコール(PVA)の単独重合体が最も好ましく用いられる。また、これらのビニルアルコール系重合体の一部がカルボニル基等で変性されたものや、その一部にジアセトンアクリルアミド単位等を含む共重合体などを用いることも可能である。また、各種のビニルアルコール系重合体を単独で又は二種以上組み合わせて使用することもできる。
水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物として好ましく用いることができるビニルアルコール系重合体としては、ビニルアルコール系重合体のケン化度は、80モル%以上の範囲から選択できるが、好ましくは96モル%以上であり、より好ましくは98モル%以上である。ビニルアルコール系重合体の重合度は、透湿度、塗布性の点から、200〜5000が良く、好ましくは400〜5000、さらに好ましくは500〜3000程度である。
2−(3)シランカップリング剤
本発明では、シランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤としては、末端にアルコキシシランを有する化合物であれば特に制限さないが、同時にビニル基、エポキシ基、アクリル基またはメタクリル基、アミン基、メルカプト基、水酸基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸無水物基を有するものがより好ましく、エポキシ基、アミン基、アクリル基またはメタクリル基を有するものが更により好ましい。
ビニル基を有するシランカップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等が好ましく用いることができる。
エポキシ基を有するシランカップリング剤としては、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が好ましく用いることができる。
アクリル基またはメタクリル基を有するシランカップリング剤としては、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が好ましく用いることができる。
アミン基を有するシランカップリング剤としては、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が好ましく用いることができる。
メルカプト基を有するシランカップリング剤としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が好ましく用いることができる。
イソシアネート基を有するシランカップリング剤としては、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が好ましく用いることができる。
本発明ではシランカップリング剤は水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物と同時に用いられる場合があるため、水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物と架橋するためにはエポキシ基を有するシランカップリング剤を用いるのが好ましい。
また、本発明ではシランカップリング剤はアルコキシシランからなる化合物と同時に用いられるため、アルコキシシランの脱水重縮合の反応速度を上げるという観点からはアミン基を有するシランカップリング剤を用いるのが好ましい。
また、本発明では被覆層の上にハードコート性を有する層を設けることが好ましく、ハードコート性を有する層との層間密着を向上させるためには、アクリル基またはメタクリル基を有するシランカップリング剤を用いるのが特に好ましい。
本発明で用いることができるシランカップリング剤のもう1つの好ましい態様は両末端
にアルコキシシランを有するシランカップリング剤である。両末端にアルコキシシランを有するシランカップリング剤はアルコキシシランからなる化合物との架橋ができる点で望ましく、化合物の例としては、特開2000−326448号公報に記載の有機鎖含有両末端官能性シランモノマーなどが好ましく用いられる。
本発明ではシランカップリング剤の加水分解物、シランカップリング剤の加水分解物の部分縮合物も好ましく用いることができる。本発明でシランカップリング剤という場合はシランカップリング剤の加水分解物、シランカップリング剤の加水分解物の部分縮合物を含むこととする。
エポキシ基、アミン基、アクリル基またはメタクリル基を有するシランカップリング剤はそれぞれ単独で用いてもよいが、2種以上を併用することがより好ましく、3種を併用することが特に好ましい。反応速度を上げるための重縮合触媒として有機溶媒に可溶な第3アミンなどを用い、エポキシ基を有するシランカップリング剤とアクリル基またはメタクリル基を有するシランカップリング剤の2種を同時に用いるのが更に好ましい。
アルコキキシランからなる化合物と水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物とシランカップリング剤の含有率をそれぞれa質量%、b質量%、c質量%とした時(この場合アルコキキシランからなる化合物の含有率は理想的に縮合した場合の重縮合後の計算値より算出する)、アルコキキシランからなる化合物と水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物の2種を用いる場合は、a/bは10/90〜90/10が好ましく、20/80〜80/20がより好ましく、40/60〜80/20が特に好ましい。アルコキキシランからなる化合物とシランカップリング剤の2種を用いる場合は、a/cは40/60〜95/5が好ましく、50/50〜90/10がより好ましい。アルコキキシランからなる化合物と水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物とシランカップリング剤の3種類を同時に用いる場合はa/(b+c)は10/90〜90/10が好ましく、20/80〜80/20がより好ましく、40/60〜80/20が特に好ましい。その場合のb/cは10/90〜90/10が好ましく、20/80〜80/20がより好ましく、40/60〜80/20が更に好ましい。
2−(4)その他の成分
本発明では、上記の如くアルコキキシランからなる化合物の重縮合反応を進めるために、触媒、水が用いられる。硬化触媒としては塩酸、硝酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸等の酸、有機溶媒に可溶なN,N−ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミンなどの第3アミン、有機金属、金属アルコキシド等が用いられる。添加量はアルコキキシランからなる化合物100質量部に対して1〜10質量部が好ましく、1〜5質量部が更に好ましい。又、水添加については部分加水分解物が理論上100%加水分解し得る量以上の量が好ましく、110〜300%相当量がより好ましく。120〜200%相当量を添加するのが更に好ましい。更に本発明では、必要に応じて被覆層中に紫外線吸収剤を含有することもできる。また、アクリル基またはメタクリル基を有するシランカップリング剤を用いる場合は、後述のハードコート層の項に記載の光開始剤をシランカップリング剤含有量の0.5〜5質量%程度含有することも好ましい。
2−(5)塗布溶媒
本発明の被覆層としてのシリカ系の塗布膜を形成するための塗布組成物の溶媒としては、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、オクタノールを1種又は2種以上混合して使用するのが好ましい。溶媒量は固形分濃度が15〜60質量%になるように調整するのが好ましい。
2−(6)ポリシラザン
本発明の被覆層としてのシリカ系の塗布膜のもう1つの好ましい素材としては、ポリシラザンを含有する塗布組成物の硬化物が挙げられ、用いられるポリシラザンとしては特開平11−240103号公報に記載の段落番号0097から0104に記載されたポリシラザンが好ましく挙げられる。ポリシラザン単体で用いることも可能であるが、前述のアルコキキシランからなる化合物の代りに用いることも可能である。
2−(7)基材との密着性
本発明の被服膜としてシリカ系の塗布膜を用いる場合は、透明基材フィルムとの密着性が課題となる。密着性を向上させるためには、透明基材フィルム上に後述の下塗り層を設けてからその上にシリカ系塗布膜を形成することも好ましく用いられるが、層数が増えることによる、生産性減少、コスト増加、層厚増加などの問題が生じるため、本発明においては基材フィルムの片面又は両面に、親水化処理、凹凸処理などの前処置を施すのがより好ましい。前処理としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、ケン化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられるが、コロナ放電処理、グロー放電処理、ケン化処理(湿式)が特に好ましく、ケン化処理が更に好ましい。
2−(8)ハードコート層との密着性
本発明の被服膜としてシリカ系の塗布膜を用いる場合は、ハードコート層との密着性がもう1つの課題となる。ハードコートとの密着性を向上させるために有効な手段の1つはシリカ系塗布膜および/またはハードコート層にシランカップリング剤を含有させることが好ましく、シリカ系塗布膜にシランカップリング剤を含有させることがより好ましく、シリカ系塗布膜およびハードコート層の両方に同じ官能基を有するシランカップリング剤を含有させることがより特に好ましい。ハードコート層の樹脂成分には一般に多官能アクリレートまたはメタクリレートモノマー、オリゴマー、ポリマーを用いることが多いため、シランカップリング剤がアクリル基またはメタクリル基を有するシランカップリング剤であることが更に好ましい。
本発明の被服膜としてシリカ系の塗布膜を用いる場合のハードコート層との密着性を向上させるもう1つの好ましい手段は、被覆層とハードコート層の間に中間層を設けることである。中間層としては後述の下塗り層を設けることができるが、より好ましくは、シランカップリング剤を含有する層を設けることが好ましく、アクリル基またはメタクリル基を有するシランカップリング剤を含有する層を設けることがより好ましく、シランカップリング剤と多官能アクリレートまたはメタクリレートモノマー、オリゴマー、ポリマーを同時に含有する層を設けることが特に好ましい。シランカップリング剤を含有する層を設ける場合は、シランカップリング剤の加水分解物、シランカップリング剤の加水分解物の部分縮合物が特に好ましい。中間層の膜厚は0.05〜2μmが好ましい。
2−(9)被覆層の厚み
本発明の被服膜としてシリカ系の塗布膜を用いる場合の被覆層の厚みは0.2〜10μmの厚さが好ましく、0.3〜5μmの厚さがより好ましく、0.4〜2μmの厚みが特に好ましい。厚みが0.2μm以下であると防湿性が劣り、逆に厚みが10μm以上であると、脆い膜になってしまったり、カールが強くなるなど偏光板保護フィルムとして適していない。被覆層のヘイズは5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることが最も好ましい。表面ヘイズと内部ヘイズの比は任意で良いが、表面ヘイズは1%以下であることがより好ましい。
2−(10)構成
本発明の被服膜としてシリカ系の塗布膜を用いる場合の、偏光板構成図である図1(1)、(2)又は、図1(3)、(4)に示されている様に、偏光子と透明基材フィルムとの間、又は、偏光子とは透明基材フィルムを挟んで逆側に設けることができる。また、これら両方の側に設けることもできるが、図1(1)、(2)のように、偏光子とは透明基材フィルムを挟んで逆側に設ける方が、偏光子との密着性、偏光板の加工適性の面で好ましい。図1(2)のようにハードコート層を表面に有する構成が、耐擦傷性、被覆層へのクラックの入りにくさの観点から特に好ましい。
4 疎水的な化合物からなる被覆層
4−(1)疎水的な化合物
本発明の低透湿性を有する被覆層は、層を構成するマトリクスの主成分を疎水的な化合物から構成することにより形成することができる。疎水的な化合物を主成分とする疎水性層を形成することにより、特に水分子の膜表面への吸着、膜中への溶解、膜中の通過、を抑制することができ、透湿性を低減することができる。また、さらにマトリクスを形成する化合物間の分子間相互作用やその他の相互作用を大きくするか、または架橋をより緻密に行うことで、マトリクス分子の膜中での運動の自由度を低減し、透湿性をさらに低減することができる。
これらの目的を達成する疎水的なマトリクスを構成するバインダー系としては、疎水的モノマーからなる系、疎水的モノマーと多官能モノマー(架橋剤)からなる系、疎水的ポリマーの系、疎水的ポリマーと架橋剤からなる系、等があげられる。さらに化合物間の相互作用が大きいバインダーとしては、液晶性モノマーの系、液晶性モノマーと架橋剤からなる系、液晶性ポリマー、液晶性ポリマーと架橋剤からなる系等があげられる。
これらのバインダーとしては、疎水性と溶解性や製膜性等の取り扱い性の観点でlogP値が1.0以上12.0以下であることが好ましく、2.0以上11.5以下であることがより好ましく、3.0以上11.0以下であることがさらに好ましい。
(logP値)
オクタノール−水分配係数(logP値)の測定は、JIS日本工業規格Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、オクタノール−水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987))、Viswanadhan’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,29,163(1989))、Broto’s fragmentation法(Eur.J.Med.Chem.−Chim.Theor.,19,71(1984))などが好ましく用いられるが、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987))がより好ましい。ある化合物のlogPの値が測定方法あるいは計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen’s fragmentation法により判断することが好ましい。
疎水的モノマーとしては、具体的にはフッ素系モノマー、シクロオレフィン系モノマー、芳香族を含有するモノマー等を使用することができる。フッ素系モノマーとしては、後述する架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物、特開平9−5519に記載の化合物、特開2000−159840に記載の化合物、等を使用することができる。またシクロオレフィン系モノマーとしては、例えば特開2006−83225、特開平5−51542、特開平6−313056、特開平6−340849に記載の化合物を使用することができる。
また、疎水的ポリマーとしては、具体的にはフッ素系のポリマー、シクロオレフィン系ポリマー、芳香族を含有するポリマー等を使用することができ、フッ素系のポリマーとしては、特公昭63−18964に記載の化合物、特開平7−70107に記載の化合物、Reports Res. Lab. Asahi Glass Co., Ltd., 55(2005) P47〜51に記載の化合物、を使用することができる。またシクロオレフィン系ポリマーとしては、特開平7−228673、特開平8−259784等に記載の樹脂組成物等を使用することができる。
本発明の疎水性層には、前記疎水性のバインダー(モノマー、ポリマー)に加えて、膜の緻密性を向上し、透湿性の低減、および脆性やカール等の膜物性をより向上させる目的で、多官能の重合性モノマー、または架橋性モノマーを併用することができる。併用できるモノマーとしては、後述の[ハードコート層]において記載されている多官能モノマーや多官能オリゴマー等を使用することができる。
また、塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む重合体(以下塩素含有重合体とも称する)も本発明の疎水性層として好ましく用いることができる。塩素含有ビニル単量体としては、一般的には、塩化ビニル、塩化ビニリデンが挙げられる。塩素含有重合体は、これら塩化ビニル又は塩化ビニリデン単量体に、これらと共重合可能な単量体を共重合することにより得ることができる。
[塩素含有ビニル単量体と共重合可能な単量体]
共重合可能な単量体としては、オレフィン類、スチレン類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタアクリルアミド類、イタコン酸ジエステル類、マレイン酸エステル類、フマル酸ジエステル類、N−アルキルマレイミド類、無水マレイン酸、アクリロニトリル、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、ビニルケトン類、ビニル異節環化合物、グリシジルエステル類、不飽和ニトリル類、不飽和カルボン酸類等から選ばれる単量体が挙げられる。
オレフィン類の例としては、ジシクロペンタジエン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等を挙げることができる。
スチレン類としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、トリフルオロメチルスチレン、ビニル安息香酸メチルエステルなどが挙げられる。
アクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステルの具体例としては、以下のものが挙げられる。
メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、t−オクチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、クロルエチルアクリレート、シアノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シアノアセトキシエチルメタクリレート、クロルベンジルメタクリレート、スルホプロピルメタクリレート、N−エチル−N−フェニルアミノエチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−(3−フェニルプロピルオキシ)エチルメタクリレート、ジメチルアミノフェノキシエチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、5−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート。
ビニルエーテル類の具体例としては、以下のものが挙げられる。
メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロルフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル。
ビニルエステル類の具体例としては、以下のものが挙げられる。
ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルジメチルプロピオネート、ビニルエチルブチレート、ビニルバレレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセトアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロル安息香酸ビニル、テトラクロル安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル。
アクリルアミド類としては、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、エチルアクリルアミド、プロピルアクリルアミド、ブチルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、シクロヘキシルアクリルアミド、ベンジルアクリルアミド、ヒドロキシメチルアクリルアミド、メトキシエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、フェニルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、β−シアノエチルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミドなどが挙げられる。
メタクリルアミド類としては、例えば、メタクリルアミド、メチルメタクリルアミド、エチルメタクリルアミド、プロピルメタクリルアミド、ブチルメタクリルアミド、t−ブチルメタクリルアミド、シクロヘキシルメタクリルアミド、ベンジルメタクリルアミド、ヒドロキシメチルメタクリルアミド、メトキシエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、フェニルメタクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、ジエチルメタクリルアミド、β−シアノエチルメタクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)メタクリルアミドなどが挙げられる。
またヒドロキシル基を有するアクリルアミド類も用いることができ、これらの例としては、N−ヒドロキシメチル−N−(1,1−ジメチル−3−オキソ−ブチル)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチル−N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−エタノールアクリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等が挙げられる。
イタコン酸ジエステル類としては、例えば、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなどが挙げられる。マレイン酸ジエステル類としては、例えば、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチルなどが挙げられる。フマル酸ジエステル類としては、例えば、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジブチルなどが挙げられる。
ビニルケトン類としては、例えば、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトンなどが挙げられる。ビニル異節環化合物としては、例えば、ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルトリアゾール、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。グリシジルエステル類としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。不飽和ニトリル類としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。N−アルキルマレイミド類としては、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド等が挙げられる。
不飽和カルボン酸類としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられ、更に、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸等の無水物等が挙げられる。
これら共重合可能な単量体は2種類以上用いてもよい。
本発明における塩素含有重合体としては、特開昭53−58553号公報、特開昭55−43185号公報、特開昭57−139109号公報、特開昭57−139136号公報、特開昭60−235818号公報、特開昭61−108650号公報、特開昭62−256871号公報、特開昭62−280207号公報、特開昭63−256665号公報などに記載がある。
塩素含有重合体における、塩素含有ビニル単量体の割合は、50〜99質量%が好ましく、60〜98質量%が更に好ましく、70〜97質量%が最も好ましい。塩素含有ビニル単量体の割合が50%以上であれば、透湿性が悪化するなどの不具合が生ずることがなく、また99%以下であれば、種々の溶剤への溶解性が得られるので好ましい。
塩素含有重合体は、旭化成ケミカルズ(株)、呉羽化学(株)から入手できる。旭化成ケミカルズ(株)から入手可能なものとしては以下のものが挙げられる。
「サランレジンR241C」、「サランレジンF216」、「サランレジンR204」、「サランラテックスL502」、「サランラテックスL529B」、「サランラテックスL536B」、「サランラテックスL544D」、「サランラテックスL549B」、「サランラテックスL551B」、「サランラテックスL557」、「サランラテックスL561A」、「サランラテックスL116A」、「サランラテックスL411A」、「サランラテックスL120」、「サランラテックスL123D」、「サランラテックスL106C」、「サランラテックスL131A」、「サランラテックスL111」、「サランラテックスL232A」、「サランラテックスL321B」。
本発明の前記疎水性層の主成分がモノマーや重合性の化合物の場合は、重合により硬化し製膜することができる。この場合に使用する重合開始剤としては、後述の光開始剤を使用することができる。重合開始剤を使用する場合は、重合開始剤の使用量としては、モノマーや重合性の化合物に対して、0.01重量%〜10.0重量%の範囲で使用することが好ましく、0.1重量%〜7.0重量%の範囲であることがより好ましく、0.5重量%〜5.0重量%の範囲であることがさらに好ましい。
以上は有機溶媒系塗布での疎水性バインダーであるが、水系塗布用の素材として、特開2003−165188に記載の水分散性ポリエステル等を使用することもできる。
4−(3)疎水性層の厚み、ヘイズ
本発明における疎水性層の厚みは、透湿性を低減する効果と、脆性やカール等の膜物性、および生産性とコストの観点から、0.5μm以上40μm以下であることが好ましい。より好ましくは、1.0μm以上30μm以下であり、2.0μm以上25μm以下であることが最も好ましい。また、本発明における疎水性層のヘイズは、光学フィルムとして取り扱うことから低いほうが良く、5.0%以下であることが好ましく、3.0%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。但し、後述するハードコート層、または防眩層を兼ねる場合は、それぞれ後述する記載の範囲となることが好ましい。
4−(4)混合領域の形成
本発明の疎水性層においては、透湿性の低減と膜の強度や耐久性の維持のために親水的なセルロース系の基材フィルムと疎水的な化合物からなる疎水性層との密着性を確保する目的で、疎水性層とセルロース系の基材フィルムとの界面において、両者の樹脂が混合した混合領域を形成することが好ましい。混合領域を形成することで干渉ムラを抑制でき、かつ通常は相溶性の低い親水性の基材フィルムと疎水性層との密着性を確保して透湿性の低減と膜の強度や耐久性を維持することができる。
混合領域の層の厚みとしては、0.2〜10μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.3〜7μmであり、更に好ましくは0.5〜5μmである。混合領域の層の厚さがこの範囲より小さいと干渉ムラの抑制効果と密着性への効果が小さく、この範囲より大きいと、透湿性を低減する効果が目減りする傾向がある。混合領域の層の厚さは、反射防止フィルムの断面をミクロトームを用いて切削し、断面から走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S−570)を用いて反射電子モードで観察し、撮影された写真より混合領域の層の厚さを求めることができる。
本発明においては、疎水性層を形成するための塗布液の溶剤として、前記の混合領域を形成する為に、支持体を溶解または膨潤させる性質を持った溶剤を選択する必要がある。これは、塗布液にそのような溶剤を用いれば、塗布直後から支持体を溶解あるいは膨潤しつつ疎水性層を形成する為に、基材フィルムと疎水性層の界面が不明確になると同時に、疎水性層の樹脂成分と基材フィルムの樹脂成分が混合した領域の層が形成される。
また、疎水性層の透湿度を低減する機能を維持するため、基材フィルム(例えばトリアセチルセルロース支持体)を溶解しない溶剤を、少なくとも一種類以上混合するのが好ましい。より好ましくは、基材フィルムを溶解する溶剤のうちの少なくとも一種類が、基材フィルムを溶解しない溶剤のうちの少なくとも一種類よりも高沸点であることが好ましい。
また、本発明の疎水性層の主成分は、疎水性な化合物であることから、基材フィルムを溶解または膨潤させる溶剤への溶解性は十分でないことが考えられる。このため、基材フィルムを溶解または膨潤する溶剤か、もしくは溶解しない溶剤のうち少なくとも一方の溶剤が、本発明の疎水性化合物の溶解性が十分な溶剤であることが好ましい。この場合、特にフッ素系のバインダーに対しては、フッ素系の溶剤を好ましく用いることもできる。
支持体がセルロースアシレートフィルムの場合、前記の支持体を溶解または膨潤させる性質を持った溶剤としては、
炭素子数が3〜12のエーテル類:具体的には、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトール等、 炭素数が3〜12のケトン類:具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、およびメチルシクロヘキサノン等、
炭素数が3〜12のエステル類:具体的には、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン醸エチル、酢酸n−ペンチル、およびγ−ブチロラクトン等、
2種類以上の官能基を有する有機溶媒:具体的には、2−メトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸エチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1,2−ジアセトキシアセトン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、アセト酢酸メチル、およびアセト酢酸エチル等
含塩素系溶剤:メチレンクロライド、クロロホルム、
が挙げられる。
これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。基材フィルムを溶解する溶剤としてはケトン系溶剤が好ましく、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンが特に好ましい。
基材フィルム(好ましくはトリアセチルセルロース)を溶解しない溶剤として、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、シクロヘキサノール、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン、2−オクタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ペンタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、トルエンが挙げられる。
これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、フッ素系のバインダーを溶解するその他の溶剤としては、パーフルオロペンタン、パーフルオロプロパン、パーフルオルヘキサン、パーフルオロメタノール、パーフルオルエタノール、等の含フッ素溶剤があげられる。
基材フィルムを溶解する溶剤の総量(A)と基材フィルムを溶解しない溶剤の総量(B)の質量割合(A/B)は、10/90〜100/0が好ましく、より好ましくは20/80〜100/0であり、さらに好ましく30/70〜100/0である。
4−(5)他層との密着性
本発明における疎水性層は、後述する構成例で使用されるように、更にハードコート層、防眩層、反射防止層を積層することが好ましく、そのため他層との密着性を保持することが好ましい。この場合、疎水性層上に直接形成することもできるが、別の方法としては後述する[下塗り層]と同様の層を別に設けることで、密着性と低透湿性を両立することができる。
4−(6)構成
本発明における疎水性層による低透湿層の構成は、偏光板構成図である図1(1)、(2)又は、図1(3)、(4)に示されている様に、偏光子と基材フィルムとの間、又は、偏光子とは基材フィルムを挟んで逆側に設けることができる。また、これら両方の側に設けることもできるが、図1(1)、(2)のように、偏光子とは基材フィルムを挟んで逆側に設ける方が、偏光子との密着性、偏光板の加工適性の面で好ましい。
また、本発明における疎水性層は、ハードコート層を兼ねても良い。この場合、膜の性能としては、別項目に記載のハードコート層の性能と同等であれば良い。
5.親水性の多官能性化合物と架橋剤を用いた被覆層
本発明において使用できる低透湿性の被覆層としては、緻密な膜を形成することにより透湿性を低減するという観点で、親水性の多官能性化合物と架橋剤の組合せからなる層を用いることができる。具体的には、(A)糖類とホルミル基含有化合物からなる樹脂組成物を積層してなる層による方法、または(B)アミノ基含有高分子化合物とアミノ基反応性官能基含有かつシラノール基含有の有機シラン化合物からなる樹脂組成物を積層してなる層による方法、等を使用することができる。これらの架橋性化合物、または反応性化合物を併用することで、膜を緻密にする効果と、更に親水性の官能基と反応することで高湿条件での低透湿性の維持を達成することができる。
本発明においては、親水性の高いセルロース系の透明基材に対してこれらの親水性基を含有する化合物を主成分とする被覆層を低透湿層として形成することで、さらに基材との密着性を十分に確保することができ、透湿性を更に低減でき、かつ低透湿性の耐久性にも優れる低透湿層を形成することができる。
5−(1)親水性の多官能性化合物と架橋剤の組成物
本発明における(A)糖類とホルミル基含有化合物からなる樹脂組成物としては、特開2003−238827、特開2003−238734に記載の樹脂組成物を用いることができる。
本発明における(B)アミノ基含有高分子化合物とアミノ基反応性官能基含有かつシラノール基含有の有機シラン化合物からなる樹脂組成物としては、特開2004−255601に記載の樹脂組成物を使用することができる。
5−(2)基材の表面処理
本発明においては、親水性の多官能性化合物と架橋剤を用いた被覆層と基材との密着性を十分に確保する目的で、被覆層を積層する前に基材フィルムの表面処理を行うことが好ましい。セルロースアシレートからなる基材の表面処理の一般的な方法としては、偏光板用の保護フィルムとしてPVAからなる偏光子との密着性を向上させる目的や、セルロースアシレートフィルム上にPVAに代表される配向膜を形成した上に液晶化合物等の配向層を形成した光学フィルムを作成する目的で、基材表面に鹸化処理を行うことが知られており、この場合、鹸化処理により表面に露出または新たに形成した水酸基とPVAの水酸基との水素結合により密着性を確保しており、高湿条件での耐久性等において、水素結合が水分により阻害され密着性が低下することが懸念される。
これに対し、本発明においては、基材フィルムの表面処理を行うことで前記(A)の樹脂組成物中に含まれるホルミル基含有化合物、または(B)の樹脂組成物中に含まれる有機シラン化合物と基材フィルム表面との架橋形成により高湿条件での耐久性も十分確保され、さらに架橋をより高密度にすることで密着性を十分確保することができる。表面処理の方法としては、コロナ処理、プラズマ処理等の火炎処理、ケン化処理等の公知の方法を選択することができるが、生産性と密着性の安定性の観点で、後述する[鹸化処理]に記載の方法によることが好ましく、特にアルカリ液を塗布する方法によることがより好ましい。
表面処理後の基材の表面接触角としては、水の接触角が50度以下であることが好ましく、45度以下であることがより好ましく、40度以下であることが最も好ましい。
また、更に基材との密着性をさらに向上する目的で、樹脂組成物中に更にカップリング剤を併用することも好ましい。カップリング剤としては、(A)の樹脂組成物に対しては水酸基反応性官能基を複数含有する化合物、ホルミル基反応性官能基と水酸基反応性官能基とを含有する化合物、(B)の樹脂組成物に対してはシラノール基と水酸基反応性官能基とを含有する化合物、アミノ基反応性官能基と水酸基反応性官能基とを含有する化合物、アミノ基と水酸基反応性官能基とを含有する化合物、等を用いることができる。
ここで、水酸基と反応性の官能基としては、イソシアネート基、エポキシ基、ホルミル基等があげられ、ホルミル基反応性の官能基としては水酸基、アミノ基、チオール基等があげられ、アミノ基反応性の官能基としてはイソシアネート基、エポキシ基、ホルミル基、等があげられる。
5−(3)他層との密着性
本発明の親水性の多官能性化合物と架橋剤を用いた被覆層は、更に後述のハードコート層、防眩層、反射防止層等の機能性層を積層することが好ましい。この場合、機能性層との密着性を確保する観点で、親水性の多官能性化合物と架橋剤を用いた被覆層中に、カップリング剤を併用することが好ましい。カップリング剤としては、ホルミル基と重合性基を含有する化合物、重合性基とアルコキシシランからなるシランカップリング剤等が好ましく用いられる。ここで重合性基としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基等の二重結合性基、およびエポキシ基、等が好ましい。
シランカップリング剤の例としては、前述のシランカップリング剤に記載の化合物があげられるが、特にエポキシ基を有するシランカップリング剤、およびアクリル基またはメタクリル基を有するシランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤の使用量としては、被覆組成物中の固形分中の含量で、0.01重量%〜10.0重量%の範囲で使用することが好ましく、0.1重量%〜7.0重量%の範囲であることがより好ましく、0.5重量%〜5.0重量%の範囲であることがさらに好ましい。
5−(4)親水性の多官能性化合物と架橋剤を用いた被覆層の厚み、ヘイズ
本発明の親水性の多官能性化合物と架橋剤を用いた被覆層の厚みとしては、透湿性を低減する効果と、脆性やカール等の膜物性、および生産性とコストの観点から、0.5μm以上40μm以下であることが好ましい。より好ましくは、1.0μm以上30μm以下であり、1.5μm以上25μm以下であることが最も好ましい。また、親水性の多官能性化合物と架橋剤を用いた被覆層のヘイズは、光学フィルムとして取り扱うことから低いほうが良く、5.0%以下であることが好ましく、3.0%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。
5−(5)構成
本発明における親水性の多官能性化合物と架橋剤を用いた被覆層による低透湿層の構成は、偏光板構成図である図1(1)、(2)又は、図1(3)、(4)に示されている様に、偏光子と基材フィルムとの間、又は、偏光子とは基材フィルムを挟んで逆側に設けることができる。また、これら両方の側に設けることもできるが、図1(1)、(2)のように、偏光子とは基材フィルムを挟んで逆側に設ける方が、偏光子との密着性、偏光板の加工適性の面で好ましい。
6 無機層状化合物を含有する被覆層
本発明の被覆層の透湿度を更に低減するためには、上述の被覆層に用いることが可能なバインダー中に無機層状化合物を分散することがより好ましい。無機層状化合物は親水性の表面を有するため、水溶性バインダー中に分散して用いるのが好ましく、上述のビニルアルコール系重合体からなる被覆層中、または、シリカ系塗布膜からなる被覆層中に分散するのが好ましく、ビニルアルコール系重合体からなる被覆層中に分散するのがより好ましい。上述の好ましいビニルアルコール系重合体と組み合わせることで最も好ましい性能を発揮することができる。一方、無機層状化合物を有機化処理することにより、親水性の低いバインダー中にも分散し、透湿度を下げることが可能である。
6−(1)無機層状化合物
本発明における無機層状化合物とは、単位結晶層が積層した構造を有し、層間に溶媒を配位又は吸収することにより膨潤又はヘキ開する性質を示す無機化合物である。このような無機化合物としては、膨潤性の含水ケイ酸塩、例えば、スメクタイト群粘土鉱物(モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト等)、パームキュライト群粘土鉱物、カオリナイト群粘土鉱物、フィロケイ酸塩(マイカ等) などが例示できる。また、合成無機層状化合物も好ましく用いられ、合成無機層状化合物としては、合成スメクタイト(ヘクトライト、サポナイト、スティブンサイトなど)、合成マイカなどが挙げられ、スメクタイト、モンモリロナイト、マイカが好ましく、モンモリロナイト、マイカがより好ましく、マイカが更に好ましい。透湿度低減、色味付きの抑止の観点から、最も好ましくは合成マイカである。また、かかる無機層状化合物は、これら無機層状化合物に有機化処理を施したものであってもよい。
膨潤性層状無機化合物は、ガスバリア性と基材−ガスバリア層間の密着性とを両立させる点から、微粒子化処理されているのが好ましい。微粒子化処理された膨潤性層状無機化合物は、通常、板状又は扁平状であり、平面形状は特に制限されず、無定形状などであってもよい。微粒子化処理された膨潤性層状無機化合物の平均粒子径(平面形状の平均粒子径) は、例えば、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜8μmがより好ましく、0.8〜6μm特に好ましい。本範囲より粒径が小さいと透湿度低減効果が充分でなく、粒径が大きいと、ヘイズ値の増加、表面粗さの増加などが好ましくない。無機化合物の濃度は、3〜60重量%、好ましくは3〜50重量%、さらに好ましくは3〜40重量%である。本範囲より少ないと透湿度低減効果が充分でなく、多いと、ヘイズ値の増加、脆性の悪化などが好ましくない。
6−(2)無機層状化合物の分散処理
無機層状化合物は層間がきちんとヘキ開した状態でバインダー中に分散することにより、透湿経路長を長くして透湿度を減少させる。したがって、無機層状化合物の各層間がきちんとヘキ開された状態を得るための分散処理が非常に重要である。分散処理は、溶液中で複数回高圧分散処理されるのが好ましい。処理圧力は10MPa以上が良く、より好ましくは20Mpa以上である。溶媒としては、特に指定はないが、有機化処理していない無機層状化合物に関しては、水又は水溶性溶媒(メタノール、やエタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコールやアセトンなど)が例示でき、水が特に好ましい。また、水と低級アルコールの混合溶媒も好ましく用いることができる。高圧分散の処理方法としては、例えば、膨潤性層状無機化合物を溶媒に膨潤させた後、高圧ホモジナイザーにより攪拌することにより、高圧分散する方法が挙げられる。塗布液の調整方法は特に限定されないが、前述の被覆層のバインダー成分を溶媒に均一に溶解させた後に層状粒子を均一に分散させた溶媒と混合する方法が有効に用いられる。
6−(3)有機化処理した無機層状化合物
無機層状化合物を親水性の低い化合物中に分散させる場合、有機溶媒に分散可能な無機層状化合物を用いることが好ましく、有機化処理してある無機層状化合物が好ましい。これらの無機層状化合物の例としては、アルキルアミン等の有機化剤により有機化処理した層状化合物である。また、被覆層の強度をより強固にし、かつ透湿性をより低減する目的では、重合性基を含有した有機化剤により有機化処理することが好ましい。市販品として使用できる有機化処理した無機層状化合物としては、ソマシフMAE・MTE・MEE・MPE(いずれもコープケミカル(株)製合成マイカ)、ルーセンタイトSAN、STN、SEN、SPN(いずれもコープケミカル(株)製合成スメクタイト)等を用いることができる。
また、有機化していない無機層状化合物、例えば市販品であれば、ルーセンタイトME−100コープケミカル(株)製合成マイカ)、ルーセンタイトSWN(コープケミカル(株)製合成スメクタイト)を有機化処理することも好ましい。有機化剤としては、4級アンモニウム塩が好ましく、特に限定はないが、式(6−3)で表される4級アンモニウム塩がより好ましい。
式(6−3) (N(Ra)4-n(Rb)n)+A
(式中、Raは(CHHまたは(CHRcH又は(CHRc)Hで示され、mは2以上の整数、Rcは任意の構造または無くてもよく、RbはCH、nは0又は1〜3の整数を表す。A-はCl-またはBr-を表す。)
nは0〜3が好ましく、0〜2が好ましく、0〜1が特に好ましい。nが多いと分散性が悪化し好ましくない。Raに関しては、全ての基が同じ構造であっても、異なる構造をとっても構わない。mは2以上であり、Raのうちの少なくとも1つの基はmが4以上が特に好ましく、8以上が更に好ましく、8〜30が特に好ましい。mが大きいほど分散性がよくなり好ましいが、大きすぎると無機層状化合物に対する有機物の割合が大きくなりすぎて好ましくない。
Raは中に、分子間の相互作用が大きくなる構造を有することも好ましい。分子間の相互作用が大きくなる構造としては−OH、―CHCHO−、−CHO(CH)−などが挙げられる。有機化処理に用いる4級アンモニウム塩として、例えば、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルベンジルオクタデシルアンモニウムブロミド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、ポリオキシプロピレントリメチルアンモニウムクロリド、ジ(ポリオキシプロピレン)ジメチルアンモニウムクロリド、ジ(ポリオキシエチレン)ドデシルメチルアンモニウムクロリド、トリ(ポリオキシプロピレン)メチルアンモニウムクロリド、トリ(ポリオキシプロピレン)メチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
有機化処理された無機層状化合物を用いる方法としては、層状化合物を有機溶媒中に十分に分散しておき、疎水性バインダーを溶媒中に溶解および/または分散させたの溶液を添加する方法のほか、疎水性バインダーの溶液中へ、上記の分散した有機化処理された無機層状化合物溶液を添加する方法等を用いることができる。また疎水性バインダーに無機層状化合物を直接添加する方法として、疎水性バインダーの溶融状態で無機層状化合物を添加し、混練等の方法により疎水性バインダー中へ分散しながら添加する方法も用いることができる。
(偏光子)
次に本発明における偏光板に用いられる偏光子について説明する。
本発明における偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)と二色性分子から構成することが好ましいが、特開平11−248937号公報に記載されているようにPVAやポリ塩化ビニルを脱水、脱塩素することによりポリエン構造を生成し、これを配向させたポリビニレン系偏光子も使用することができる。
前記PVAとしては、ポリ酢酸ビニルをケン化したポリマー素材が好ましいが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のような酢酸ビニルと共重合可能な成分とを含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。
PVAのケン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またPVAの重合度は特に限定されないが、1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。
PVAのシンジオタクティシティーは、特許2978219号明細書に記載されているように耐久性を改良するため55%以上が好ましいが、特許第3317494号に記載されているように45〜52.5%であることも好ましく用いることができる。
PVAをフィルム化した後、二色性分子を導入して偏光子を構成することが好ましい。PVAフィルムの製造方法は、PVA系樹脂を水または有機溶媒に溶解した原液を流延して成膜する方法が一般に好ましく用いられる。原液中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、通常5〜20質量%であり、この原液を流延法により製膜することによって、膜厚10〜200μmのPVAフィルムを製造できる。PVAフィルムの製造は、特許第3342516号明細書、特開平09−328593号公報、特開2001−302817号公報、特開2002−144401号公報等を参考にして行うことができる。
PVAフィルムの結晶化度は、特に限定されないが、特許第3251073号、に記載されている平均結晶化度(Xc)50〜75質量%や、面内の色相バラツキを低減させるため、特開2002−236214号公報に記載されている結晶化度38%以下のPVAフィルムを用いることができる。
PVAフィルムの複屈折(△n)は小さいことが好ましく、特許第3342516号明細書に記載されている複屈折が1.0×10−3以下のPVAフィルムを好ましく用いることができる。但し、特開2002−228835号公報に記載されているように、PVAフィルムの延伸時の切断を回避しながら高偏光度を得るため、PVAフィルムの複屈折を0.002〜0.01としてもよいし、特開2002−060505号公報に記載されているように(nx+ny)/2−nzの値を0.0003〜0.01としてもよい。PVAフィルムのRe(1090)は0nm〜100nmが好ましく、0nm〜50nmがさらに好ましい。また、PVAフィルムのRth(1090)は0nm〜500nmが好ましく、0nm〜300nmがさらに好ましい。
この他、本発明における偏光板には、特許3021494号に記載されている1,2−グリコール結合量が1.5モル%以下のPVAフィルム、特開2001−316492号公報に記載されている5μm以上の光学的異物が100cm当たり500個以下であるPVAフィルム、特開2002−030163号に記載されているフィルムのTD方向の熱水切断温度斑が1.5℃以下であるPVAフィルム、さらにグリセリンなどの3〜6価の多価アルコ−ルを1〜100質量部混合したり、特開平06−289225号公報に記載されている可塑剤を15質量%以上混合した溶液から製膜したPVAフィルムを好ましく用いることができる。
PVAフィルムの延伸前のフィルム膜厚は特に限定されないが、フィルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、20〜200μmが特に好ましい。特開2002−236212号に記載されているように水中において4倍から6倍の延伸を行った時に発生する応力が10N以下となるような薄いPVAフィルムを使用してもよい。
二色性分子はI やI などの高次のヨウ素イオンもしくは二色性染料を好ましく使用することができる。本発明では高次のヨウ素イオンが特に好ましく使用される。高次のヨウ素イオンは、「偏光板の応用」永田良編、CMC出版や工業材料、第28巻、第7号、p.39〜p.45に記載されているようにヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液および/またはホウ酸水溶液にPVAを浸漬し、PVAに吸着・配向した状態で生成することができる。
二色性分子として二色性染料を用いる場合は、アゾ系色素が好ましく、特にビスアゾ系とトリスアゾ系色素が好ましい。二色性染料は水溶性のものが好ましく、このため二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入され、遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として好ましく用いられる。
このような二色性染料の具体例としては、例えば、C.I.Direct Red 37、 Congo Red(C.I.Direct Red 28)、C.I.Direct Violet 12、C.I.Direct Blue 90、C.I.Direct Blue 22、C.I.Direct Blue 1、C.I.Direct Blue 151、C.I.Direct Green 1等のベンジジン系、C.I.Direct Yellow 44、C.I.Direct Red 23、C.I.Direct Red 79等のジフェニル尿素系、C.I.Direct Yellow 12等のスチルベン系、C.I.Direct Red 31等のジナフチルアミン系、C.I.Direct Red 81、C.I.Direct Violet 9、C.I.Direct Blue 78等のJ酸系を挙げることができる。
これ以外にも、C.I.Direct Yellow 8、C.I.Direct Yellow 28、C.I.Direct Yellow 86、C.I.Direct Yellow 87、C.I.Direct Yellow 142、C.I.Direct Orange 26、C.I.Direct Orange 39、C.I.Direct Orange 72、C.I.Direct Orange 106、C.I.Direct Orange 107、C.I.Direct Red 2、C.I.Direct Red 39、C.I.Direct Red 83、C.I.Direct Red 89、C.I.Direct Red 240、C.I.Direct Red 242、C.I.Direct Red 247、C.I.Direct Violet 48、C.I.Direct Violet 51、C.I.Direct Violet 98、C.I.Direct Blue 15、C.I.Direct Blue 67、C.I.Direct Blue 71、C.I.Direct Blue 98、C.I.Direct Blue 168、C.I.Direct Blue 202、C.I.Direct Blue 236、C.I.Direct Blue 249、C.I.Direct Blue 270、C.I.Direct Green 59、C.I.Direct Green 85、C.I.Direct Brown 44、C.I.Direct Brown 106、C.I.Direct Brown 195、C.I.Direct Brown 210、C.I.Direct Brown 223、C.I.Direct Brown 224、C.I.Direct Black 1、C.I.Direct Black 17、C.I.Direct Black 19、C.I.Direct Black 54等が、さらに特開昭62−70802号、特開平1−161202号、特開平1−172906号、特開平1−172907号、特開平1−183602号、特開平1−248105号、特開平1−265205号、特開平7−261024号、の各公報記載の二色性染料等も好ましく使用することができる。各種の色相を有する二色性分子を製造するため、これらの二色性染料は2種以上を配合してもかまわない。二色性染料を用いる場合、特開2002−082222号公報に記載されているように吸着厚みが4μm以上であってもよい。
フィルム中の該二色性分子の含有量は、少なすぎると偏光度が低く、また、多すぎても単板透過率が低下することから通常、フィルムのマトリックスを構成するポリビニルアルコール系重合体に対して、0.01〜5質量%の範囲に調整される。
前記偏光子の好ましい膜厚としては、5μm〜40μmが好ましく、さらに好ましくは10μm〜30μmである。また、偏光子の厚さと上述する保護フィルムの厚さの比を、特開2002−174727号公報に記載されている0.01≦A(偏光子膜厚)/B(保護フィルム膜厚)≦0.16範囲とすることも好ましい。
さらに、保護フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸との交差角は、任意の値でよいが、平行もしくは45±20゜の方位角であることが好ましい。
<偏光板の製造工程>
次に、本発明における偏光板の製造工程について説明する。
本発明における偏光板の製造工程は、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程、保護フィルム貼り合わせ工程、貼り合わせ後乾燥工程から構成されることが好ましい。染色工程、硬膜工程、延伸工程の順序を任意に変えること、また、いくつかの工程を組み合わせて同時に行っても構わない。また、特許第3331615号明細書に記載されているように、硬膜工程の後に水洗することも好ましく行うことができる。
本発明では、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程、保護フィルム貼り合わせ工程、貼り合わせ後乾燥工程を記載の順序で遂次行うことが特に好ましい。また、前述の工程中あるいは後にオンライン面状検査工程を設けても構わない。
前記膨潤工程は、水のみで行うことが好ましいが、特開平10−153709号公報に記載されているように、光学性能の安定化および、製造ラインでの偏光板基材のシワ発生回避のために、偏光板基材をホウ酸水溶液により膨潤させて、偏光板基材の膨潤度を管理することもできる。
また、膨潤工程の温度、時間は、任意に定めることができるが、10℃〜60℃、5秒〜2000秒が好ましい。
前記染色工程は、特開2002−86554号公報に記載の方法を用いることができる。また、染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。また、特開2002−290025号公報に記載されているように、ヨウ素の濃度、染色浴温度、浴中の延伸倍率、および浴中の浴液を攪拌させながら染色させる方法を用いてもよい。
二色性分子として高次のヨウ素イオンを用いる場合、高コントラストの偏光板を得るためには、染色工程はヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液を用いることが好ましい。この場合のヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液のヨウ素は0.05〜20g/l、ヨウ化カリウムは3〜200g/l、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は1〜2000が好ましい範囲である。染色時間は10〜1200秒が好ましく、液温度は10〜60℃が好ましい。さらに好ましくは、ヨウ素は0.5〜2g/l、ヨウ化カリウムは30〜120g/l、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は30〜120がよく、染色時間は30〜600秒、液温度は20〜50℃がよい。
また、特許第3145747号明細書に記載されているように、染色液にホウ酸、ホウ砂等のホウ素系化合物を添加してもよい。
前記硬膜工程は、架橋剤溶液に浸漬、または溶液を塗布して架橋剤を含ませるのが好ましい。また、特開平11−52130号公報に記載されているように、硬膜工程を数回に分けて行うこともできる。
前記架橋剤としては米国再発行特許第232897号明細書に記載のものが使用でき、特許第3357109号明細書に記載されているように、寸法安定性を向上させるため、架橋剤として多価アルデヒドを使用することもできるが、ホウ酸類が最も好ましく用いられる。硬膜工程に用いる架橋剤としてホウ酸を用いる場合には、ホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液に金属イオンを添加しても良い。金属イオンとしては塩化亜鉛が好ましいが、特開2000−35512号公報に記載されているように、塩化亜鉛の変わりに、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛塩を用いることもできる。
本発明では、塩化亜鉛を添加したホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液を作製し、PVAフィルムを浸漬させて硬膜を行うことが好ましく行われる。ホウ酸は1〜100g/l、ヨウ化カリウムは1〜120g/l、塩化亜鉛は0.01〜10g/l、硬膜時間は10〜1200秒が好ましく、液温度は10〜60℃が好ましい。さらに好ましくは、ホウ酸は10〜80g/l、ヨウ化カリウムは5〜100g/l、塩化亜鉛は0.02〜8g/l、硬膜時間は30〜600秒がよく、液温度は20〜50℃がよい。
前記延伸工程は、米国特許2,454,515号明細書などに記載されているような、縦一軸延伸方式、もしくは特開2002−86554号公報に記載されているようなテンター方式を好ましく用いることができる。好ましい延伸倍率は2倍〜12倍であり、さらに好ましくは3倍〜10倍である。また、延伸倍率と原反厚さと偏光子厚さの関係は特開2002−040256号公報に記載されている(保護フィルム貼合後の偏光子膜厚/原反膜厚)×(全延伸倍率)>0.17としたり、最終浴を出た時の偏光子の幅と保護フィルム貼合時の偏光子幅の関係は特開2002−040247号公報に記載されている0.80≦(保護フィルム貼合時の偏光子幅/最終浴を出た時の偏光子の幅)≦0.95とすることも好ましく行うことができる。
前記乾燥工程は、特開2002−86554号公報で公知の方法を使用できるが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特許第3148513号明細書に記載されているように、水中退色温度を50℃以上とするような熱処理を行ったり、特開平07−325215号公報や特開平07−325218号公報に記載されているように温湿度管理した雰囲気でエージングすることも好ましく行うことができる。
保護フィルム貼り合わせ工程は、乾燥工程を出た前述の偏光子の両面を2枚の保護フィルムで貼合する工程である。貼合直前に接着液を供給し、偏光子と保護フィルムとを重ね合わせるように、一対のロールで貼り合わせる方法が好ましく使用される。また、特開2001−296426号公報および特開2002−86554号公報に記載されているように、偏光子の延伸に起因するレコードの溝状の凹凸を抑制するため、貼り合わせ時の偏光子の水分率を調整することが好ましい。本発明では0.1%〜30%の水分率が好ましく用いられる。
偏光子と保護フィルムとの接着剤は特に限定されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等の変性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等が挙げられ、中でもPVA系樹脂が好ましい。接着剤層厚みは乾燥後に0.01〜5μmが好ましく、0.05〜3μmが特に好ましい。
また、偏光子と保護フィルムとの接着力を向上させるために、保護フィルムを表面処理して親水化してから接着することが好ましく行われる。表面処理の方法は特に制限は無いが、上述のようにアルカリ溶液を用いてケン化する方法、コロナ処理法など公知の方法を用いることができる。また、表面処理後にゼラチン下塗り層等の易接着層を設けてもよい。特開2002−267839号公報に記載されているように保護フィルム表面の水との接触角は50°以下が好ましい。
貼り合わせ後乾燥条件は、特開2002−86554号公報に記載の方法に従うが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特開平07−325220号公報に記載されているように温湿度管理をした雰囲気でエージングすることも好ましい。
偏光子中の元素含有量は、ヨウ素0.1〜3.0g/m、ホウ素0.1〜5.0g/m、カリウム0.1〜2.00g/m、亜鉛0〜2.00g/mであることが好ましい。また、カリウム含有量は特開2001−166143号公報に記載されているように0.2質量%以下であってもよいし、偏光子中の亜鉛含有量を特開2000−035512号公報に記載されている0.04質量%〜0.5質量%としてもよい。
特許第3323255号明細書に記載されているように、偏光板の寸法安定性を上げるために、染色工程、延伸工程および硬膜工程のいずれかの工程において有機チタン化合物および/または有機ジルコニウム化合物を添加使用し、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物から選ばれた少なくとも一種の化合物を含有することもできる。また、偏光板の色相を調整するために二色性染料を添加してもよい。
<偏光板の特性>
(1)透過率および偏光度
本発明における偏光板の好ましい単板透過率は42.5%〜49.5%であるが、さらに好ましくは42.8%〜49.0%である。下記式4で定義される偏光度の好ましい範囲は99.900%〜99.999%であり、さらに好ましくは99.940%〜99.995%である。平行透過率の好ましい範囲は36%〜42%であり、直交透過率の好ましい範囲は、0.001%〜0.05%である。
Figure 2008020896
上述の透過率はJISZ8701に基づいて、下記式により定義される。
Figure 2008020896
ここで、K、S(λ)、y(λ)、τ(λ)は以下の通りである。
Figure 2008020896
S(λ):色の表示に用いる標準光の分光分布
y(λ):XYZ系における等色関数
τ(λ):分光透過率
また、下記式5で定義される二色性比の好ましい範囲は48〜1215であるが、さらに好ましくは53〜525である。
Figure 2008020896
ヨウ素濃度と単板透過率とは特開2002−258051号公報の[0017]に記載されている範囲であってもよい。
平行透過率は、特開2001−083328号公報や特開2002−022950号公報に記載されているように波長依存性が小さくてもよい。偏光板をクロスニコルに配置した場合の光学特性は、特開2001−091736号公報の[0007]に記載されている範囲であってもよく、平行透過率と直交透過率との関係は、特開2002−174728号公報の[0006]に記載されている範囲内であってもよい。
また、特開2002−221618号公報に記載されているように、光の波長が420〜700nmの間での10nm毎の平行透過率の標準偏差が3以下で、且つ、光の波長が420〜700nmの間での10nm毎の(平行透過率/直交透過率)の最小値が300以上であってもよい。
偏光板の波長440nmにおける平行透過率と直交透過率、波長550nmにおける平行透過率と直交透過率、波長610nmにおける平行透過率と直交透過率が、特開2002−258042号公報の[0012]や特開2002−258043号公報の[0012]に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
(2)色相
本発明における偏光板の色相は、CIE均等知覚空間として推奨されているL表色系における明度指数Lおよびクロマティクネス指数aとbを用いて好ましく評価される。
、a、bの定義は、例えば、東京電機大学出版局刊、色彩光学等に記載されている。
偏光板単枚の好ましいaの範囲は−2.5〜0.2であり、さらに好ましくは−2.0〜0である。偏光板単枚の好ましいbの範囲は1.5〜5であり、さらに好ましくは2〜4.5以下である。2枚の偏光板の平行透過光のaの好ましい範囲は−4.0〜0であり、さらに好ましくは−3.5〜−0.5である。2枚の偏光板の平行透過光のbの好ましい範囲は2.0〜8であり、さらに好ましくは2.5〜7である。2枚の偏光板の直交透過光のaの好ましい範囲は−0.5〜1.0であり、さらに好ましくは0〜2である。2枚の偏光板の直交透過光のbの好ましい範囲は−2.0〜2であり、さらに好ましくは−1.5〜0.5である。
色相は、前述のX、Y、Zから算出される色度座標(x,y)で評価しても良く、例えば、2枚の偏光板の平行透過光の色度(x、y)と直交透過光の色度(x、y)は、特開2002−214436号の0017欄、特開2001−166136号の[0007]や特開2002−169024号の各公報の[0005]〜[0008]に記載されている範囲にしたり、色相と吸光度との関係を特開2001−311827号公報の[0005]〜[0006]に記載されている範囲内にすることも好ましく行うことができる。
(3)視野角特性
偏光板をクロスニコルに配置して波長550nmの光を入射させる場合の、垂直光を入射させた場合と、偏光軸に対して45度の方位から法線に対し40°の角度で入射させた場合の、透過率比やxy色度差を特開2001−166135号や特開2001−166137号公報に記載された範囲とすることも好ましい。また、特開平10−068817号公報に記載されているように、クロスニコル配置した偏光板積層体の垂直方向の光透過率(T)と、積層体の法線から60°傾斜方向の光透過率(T60)との比(T60/T)を10000以下としたり、特開2002−139625号公報に記載されているように、偏光板に法線から仰角80°までの任意な角度で自然光を入射させた場合に、その透過スペクトルの520〜640nmの波長範囲において波長域20nm以内における透過光の透過率差を6%以下としたり、特開平08−248201号公報に記載されている、フィルム上の任意の1cm離れた場所における透過光の輝度差が30%以内とすることも好ましい。
(4)耐久性
(4−1)湿熱耐久性
60℃、相対湿度95%の雰囲気に500時間放置した場合のその前後における光透過率および偏光度の変化率が絶対値に基づいて3%以下であることが好ましい。特に光透過率の変化率は2%以下、また、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1.0%以下であることが好ましい。また、特開平07−077608号公報に記載されているように80℃、相対湿度90%、500時間放置後の偏光度が95%以上、単体透過率が38%以上であることも好ましい。
(4−2)ドライ耐久性
80℃、ドライ雰囲気下に500時間放置した場合のその前後における光透過率および偏光度の変化率も絶対値に基づいて3%以下であることが好ましい。特に、光透過率の変化率は2%以下、また、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1.0%以下、更には0.1%以下であることが好ましい。
(4−3)その他の耐久性
さらに、特開平06−167611号公報に記載されているように80℃で2時間放置した後の収縮率を0.5%以下としたり、ガラス板の両面にクロスニコル配置した偏光板積層体を69℃の雰囲気中で750時間放置した後のx値およびy値を特開平10−068818号公報に記載されている範囲内としたり、80℃、相対湿度90%の雰囲気中で200時間放置処理後のラマン分光法による105cm−1および157cm−1のスペクトル強度比の変化を、特開平08−094834号公報や特開平09−197127号公報に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
(5)配向度
PVAの配向度は高い程良好な偏光性能が得られるが、偏光ラマン散乱や偏光FT−IR等の手段によって算出されるオーダーパラメーター値として0.2〜1.0が好ましい範囲である。また、特開昭59−133509号公報に記載されているように、偏光子の全非晶領域の高分子セグメントの配向係数と占領分子の配向係数(0.75以上)との差を少なくとも0.15としたり、特開平04−204907号公報に記載されているように偏光子の非晶領域の配向係数を0.65〜0.85としたり、I やI の高次ヨウ素イオンの配向度を、オーダーパラメーター値として0.8〜1.0とすることも好ましく行うことができる。
(6)その他の特性
特開2002−006133号公報に記載されているように、80℃で30分加熱したときの単位幅あたりの吸収軸方向の収縮力を4.0N/cm以下としたり、特開2002−236213号公報に記載されているように、偏光板を70℃の加熱条件下に120時間置いた場合に、偏光板の吸収軸方向の寸法変化率および偏光軸方向の寸法変化率を、共に±0.6%以内としたり、偏光板の水分率を特開2002−090546号公報に記載されているように3質量%以下とすることも好ましく行うことができる。さらに、特開2000−249832号公報に記載されているように延伸軸に垂直な方向の表面粗さを中心線平均粗さに基づいて0.04μm以下としたり、特開平10−268294号に記載されているように透過軸方向の屈折率nを1.6より大きくしたり、偏光板の厚みと保護フィルムの厚みの関係を特開平10−111411号公報の[0004]に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
<偏光板の機能化>
本発明における偏光板は、ディスプレイの視認性向上のための反射防止フィルム、輝度向上フィルムや、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層等の機能層を有する光学フィルムと複合した機能化偏光板として好ましく使用される。
(反射防止フィルム)
本発明における偏光板は反射防止フィルムと組み合わせて使用することができる。反射防止フィルムは、フッ素系ポリマー等の低屈折率素材を単層付与しただけの反射率1.5%程度のフィルム、もしくは薄膜の多層干渉を利用した反射率1%以下のフィルムのいずれも使用できる。本発明では、透明支持体上に低屈折率層、および低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)を積層した構成が好ましく使用される。また、日東技報,vol.38,No.1,May,2000,26頁〜28頁や特開2002−301783号公報などに記載された反射防止フィルムも好ましく使用できる。
各層の屈折率は以下の関係を満足する。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
反射防止フィルムに用いる透明支持体は、前述の偏光子の保護フィルムに使用する樹脂フィルムを好ましく使用することができる。
低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55であることが好ましく、さらに好ましくは1.30〜1.50である。低屈折率層は、耐擦傷性、防汚性を有する最外層として使用することが好ましい。耐擦傷性向上のため、シリコーン基を含有する含シリコーン化合物や、フッ素を含有する含フッ素化合物等の素材を用い表面への滑り性付与することも好ましく行われる。
前記含フッ素化合物としては、例えば、特開平9−222503号公報明細書段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報明細書段落番号[0019]〜[0030]、特開2001−40284号公報明細書段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物を好ましく使用することができる。
前記含シリコーン化合物はポリシロキサン構造を有する化合物が好ましいが、反応性シリコーン(例、サイラプレーン(チッソ(株)製)や両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報)等を使用することもできる。シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化させてもよい(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報、特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)。
低屈折率層には、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820号公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有させることも好ましく行うことができる。
前記低屈折率層は、気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されても良いが、安価に製造できる点で、塗布法で形成することが好ましい。塗布法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法を好ましく使用することができる。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
中屈折率層および高屈折率層は、平均粒径100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子をマトリックス用材料に分散した構成とすることが好ましい。高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物、例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等を好ましく使用できる。
このような超微粒子は、粒子表面を表面処理剤で処理したり(シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造としたり(特開2001−166104等)、特定の分散剤併用する(例、特開平11−153703号公報、米国特許第6,210,858B1明細書、特開2002−2776069号公報等)等の態様で使用することができる。
前記マトリックス用材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等を使用できるが、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の多官能性材料や、特開2001−293818号公報等に記載の金属アルコキシド組成物から得られる硬化性膜を使用することもできる。
前記高屈折率層の屈折率は、1.70〜2.20であることが好ましい。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
前記中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
前記反射防止フィルムのヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。また、膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
(輝度向上フィルム)
本発明における偏光板は、輝度向上フィルムと組み合わせて使用することができる。輝度向上フィルムは、円偏光もしくは直線偏光の分離機能を有しており、偏光板とバックライトとの間に配置され、一方の円偏光もしくは直線偏光をバックライト側に後方反射もしくは後方散乱する。バックライト部からの再反射光は、部分的に偏光状態を変化させ、輝度向上フィルムおよび偏光板に再入射する際、部分的に透過するため、この過程を繰り返すことにより光利用率が向上し、正面輝度が1.4倍程度に向上する。輝度向上フィルムとしては異方性反射方式および異方性散乱方式が知られており、いずれも本発明における偏光板と組み合わせることができる。
異方性反射方式では、一軸延伸フィルムと未延伸フィルムとを多重に積層して、延伸方向の屈折率差を大きくすることにより反射率ならびに透過率の異方性を有する輝度向上フィルムが知られており、誘電体ミラーの原理を用いた多層膜方式(国際公開第95/17691号パンフレット、国際公開第95/17692号パンフレット、国際公開第95/17699号パンフレットの各明細書記載)やコレステリック液晶方式(欧州特許606940A2号明細書、特開平8−271731号公報記載)が知られている。誘電体ミラーの原理を用いた多層方式の輝度向上フィルムとしてはDBEF―E、DBEF−D、DBEF−M(いずれも3M社製)、コレステリック液晶方式の輝度向上フィルムとしてはNIPOCS(日東電工(株)製)が本発明で好ましく使用される。NIPOCSについては、日東技報,vol.38,No.1,May,2000,19頁〜21頁などを参考にすることができる。
また、本発明では国際公開第97/32223号パンフレット、国際公開第97/32224号パンフレット、国際公開第97/32225号パンフレット、国際公開第97/32226号パンフレットの各明細書および特開平9−274108号、同11−174231号の各公報に記載された正の固有複屈折性ポリマーと負の固有複屈折性ポリマーとをブレンドして一軸延伸した異方性散乱方式の輝度向上フィルムと組み合わせて使用することも好ましい。異方性散乱方式輝度向上フィルムとしては、DRPF−H(3M社製)が好ましい。
(他の機能性光学フィルム)
本発明における偏光板は、さらに、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層、ガスバリア層、滑り層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けた機能性光学フィルムと組み合わせて使用することも好ましい。また、これらの機能層は、前述の反射防止フィルムにおける反射防止層、あるいは光学異方性層等と同一層内で相互に複合して使用することも好ましい。これらの機能層は、偏光子側および偏光子と反対面(より空気側の面)のどちらか片面、もしくは両面に設けて使用できる。
〔ハードコート層〕
本発明における偏光板は耐擦傷性等の力学的強度を付与するため、ハードコート層を透明支持体の表面に設けた機能性光学フィルムと組み合わせることが好ましく行われる。ハードコート層を、前述の反射防止フィルムに適用して用いる場合は、特に、透明支持体と高屈折率層の間に設けることが好ましい。
前記ハードコート層は、光および/または熱による硬化性化合物の架橋反応、または、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものを好ましく使用することができる。
ハードコート層の膜厚は、0.2μm〜100μmであることが好ましい。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層を形成する材料は、エチレン性不飽和基を含む化合物、開環重合性基を含む化合物を用いることができ、これらの化合物は単独あるいは組み合わせて用いることができる。エチレン性不飽和基を含む化合物の好ましい例としては、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールのポリアクリレート類;ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジアクリレート等のエポキシアクリレート類;ポリイソシナネートとヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートの反応によって得られるウレタンアクリレート等を好ましい化合物として挙げることができる。また、市販化合物としては、EB−600、EB−40、EB−140、EB−1150、EB−1290K、IRR214、EB−2220、TMPTA、TMPTMA(以上、ダイセル・ユーシービー(株)製)、UV−6300、UV−1700B(以上、日本合成化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、開環重合性基を含む化合物の好ましい例としては、グリシジルエーテル類としてエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルなど、脂環式エポキシ類としてセロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401、EHPE3150CE(以上、ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテルなど、オキセタン類としてOXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)などが挙げられる。その他にグリシジル(メタ)アクリレートの重合体、或いはグリシジル(メタ)アクリレートと共重合できるモノマーとの共重合体をハードコート層に使用することもできる。
ハードコート層には、ハードコート層の硬化収縮の低減、基材との密着性の向上、本発明においてハードコート処理物品のカールを低減するため、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム等の酸化物微粒子やポリエチレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリジメチルシロキサン等の架橋粒子、SBR、NBRなどの架橋ゴム微粒子等の有機微粒子等の架橋微粒子を添加することも好ましく行われる。これらの架橋微粒子の平均粒径は、1nm〜20000nmであることが好ましい。また、架橋微粒子の形状は、球状、棒状、針状、板状など特に制限無く使用できる。微粒子の添加量は硬化後のハードコート層の60体積%以下であることが好ましく、40体積%以下がより好ましい。
上記で記載した無機微粒子を添加する場合、一般にバインダーポリマーとの親和性が悪いため、ケイ素、アルミニウム、チタニウム等の金属を含有し、かつアルコキシド基、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の官能基を有する表面処理剤を用いて表面処理を行うことも好ましく行われる。
ハードコート層は、熱または活性エネルギー線を用いて硬化することが好ましく、その中でも放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を用いることがより好ましく、安全性、生産性を考えると電子線、紫外線を用いることが特に好ましい。熱で硬化させる場合は、プラスチック自身の耐熱性を考えて、加熱温度は140℃以下が好ましく、より好ましくは100℃以下である。
〔前方散乱層〕
前方散乱層は、本発明における偏光板を液晶表示装置に適用した際の、上下左右方向の視野角特性(色相と輝度分布)改良するために使用される。本発明では、前方散乱層は屈折率の異なる微粒子をバインダー分散した構成が好ましく、例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子との相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等の構成を使用することができる。また、本発明における偏光板をヘイズの視野角特性を制御するため、住友化学(株)の技術レポート「光機能性フィルム」31頁〜39頁に記載された「ルミスティ」と組み合わせて使用することも好ましく行うことができる。
〔アンチグレア層〕
アンチグレア(防眩)層は、反射光を散乱させ映り込みを防止するために使用される。アンチグレア機能は、液晶表示装置の最表面(表示側)に凹凸を形成することにより得られる。アンチグレア機能を有する光学フィルムのヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
フィルム表面に凹凸を形成する方法は、例えば、微粒子を添加して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、比較的大きな粒子(粒径0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成する方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、フィルム表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等を好ましく使用することができる。
[液晶表示装置]
次に本発明の液晶表示装置について説明する。
図2は、本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。図2において、液晶表示装置10は、液晶層15とこの上下に配置された液晶セル上電極基板13および液晶セル下電極基板16とを有する液晶セル、液晶セルの両側に配置された上側偏光板11および下側偏光板18からなる。液晶セルと各偏光板との間にカラーフィルターを配置してもよい。前記液晶表示装置10を透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置する。
上側偏光板11および下側偏光板18は、それぞれ2枚の保護フィルムで偏光子を挟むように積層した構成を有しており、本発明の液晶表示装置10は、一方の偏光板の液晶セル側の保護フィルムが上記の式(1)〜(4)の特性を有し、他方の偏光板の液晶セル側の保護フィルムが上記の式(8)〜(12)の特性を有するのが好ましい。本発明の液晶表示装置10は、装置の外側(液晶セルから遠い側)から、透明保護フィルム、偏光子、本発明におけるセルロースアシレートフィルムの順序で積層することが好ましい。
液晶表示装置10には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。TFTやMIMのような3端子または2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置が本発明は有効である。もちろん時分割駆動と呼ばれるSTNモードに代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置でも有効である。
〔Rth順分散フィルム〕
以下に式(8)〜(12)の特性を有する偏光板保護フィルムについて説明する。このような保護フィルムは、本発明のRe逆分散フィルムからなる液晶セル側保護フィルムに対して液晶セルを挟んで反対側に配置されるのがよい。
前記式(8)は、0nm<Re(548)<5nmであることがさらに好ましく、0nm<Re(548)<3nmであることが最も好ましい。
前記式(9)は、70nm<Rth(548)<280nmであることがさらに好ましく、70nm<Rth(548)<250nmであることが最も好ましい。
前記式(10)は15<Rth(548)/Re(548)であることがさらに好ましく、20<Rth(548)/Re(548)であることが最も好ましい。
前記式(11)は、1.01<Rth(446)/Rth(548)<1.8であることがさらに好ましく、1.01<Rth(446)/Rth(548)<1.5であることが最も好ましい。
前記式(12)は、0.5<Rth(629)/Rth(548)<1.0であることがさらに好ましく、0.7<Rth(629)/Rth(548)<0.98であることが最も好ましい。
Re(λ)およびRth(λ)を上記範囲に設定することにより、視角による色味変化に対する低減効果の大きい偏光板保護フィルムが得られる。
前記式(8)〜(12)の特性を有する偏光板保護フィルム(以下Rth順分散フィルムと称することがある)としては様々なポリマーフィルムが使用できる。前記ポリマーフィルムとしては、ポリカーボネート、シクロオレフィン系ポリマー、セルロースアシレート等のポリマーフィルムが好ましい。このうち、セルロースアシレートが偏光板加工適性の点から特に好ましい。なおセルロースアシレートを主成分として含むRth順分散フィルムを、以下、Rth順分散セルロースアシレートフィルムということがある。
本発明におけるRth順分散フィルムに用いるセルロースアシレートフィルムのレターデーションは様々な方法により調節可能である。このうち、後述するRth発現剤による調節、およびフィルムの延伸による調節を好ましく用いることができる。
ここで、「Rth発現剤」とはフィルムの厚み方向に複屈折を発現する性質を有する化合物である。
Rth順分散フィルムはポリマーフィルム単独でもよく、またポリマーフィルム上に光学異方性層が設けられたものでもよい。光学異方性層としては、コレステリック液晶を固定した光学異方性層を用いることができる。光学異方性層としては、例えば特開平3−67219号公報や特開平3−140921号公報、特開平5−61039号公報や特開平6−186534号公報、特開平9−133810号公報などに記載されたコレステリック液晶層や、特開平11−352328号に開示の水平配向したディスコティック液晶化合物を固定した光学異方性層などを好ましく用いることができる。ポリマーフィルム上に直接光学異方性層を設けてもよく、またポリマーフィルムと光学異方性層の間に配向層、密着層等他の機能層を設けてもよい。光学異方性層を設けるポリマーフィルムとしてはポリカーボネート、シクロオレフィン系ポリマー、セルロースアシレート等のポリマーフィルムが好ましい。このなかでも偏光板加工適性の点からセルロースアシレートが特に好ましい。
Rth順分散フィルムがポリマーフィルム単独からなる場合もポリカーボネート、シクロオレフィン系ポリマー、セルロースアシレート等の樹脂フィルムが好ましい。このうち、セルロースアシレートが偏光板加工適性の点から特に好ましい。
本発明におけるRth発現剤としては、250nm〜380nmの波長範囲に吸収極大を有する分極率異方性の大きい化合物が好ましい。
(セルロースアシレート)
次にRth順分散セルロースアシレートフィルムに使用するセルロースアシレートについて説明する。
セルロースアシレートはアセチル化度が2.00〜2.98のセルロースアセテートが好ましい。アセチル化度は2.2〜2.96がさらに好ましい。
本発明におけるRth順分散セルロースアシレートフィルムに使用するセルロースアセテートは、350〜800の質量平均重合度を有することが好ましく、370〜600の質量平均重合度を有することがさらに好ましい。また本発明で用いられるセルロースアシレートは、70000〜230000の数平均分子量を有することが好ましく、75000〜230000の数平均分子量を有することがさらに好ましく、78000〜120000の数平均分子量を有することが最も好ましい。
本発明におけるRth順分散セルロースアシレートフィルムに使用するセルロースアシレートは本発明におけるRe逆分散フィルムに使用するセルロースアシレートと同様の原材料、合成法により製造することができる。
また、本発明におけるRth順分散セルロースアシレートフィルムの製造における、ドープ調製、流延、乾燥、剥ぎ取りの工程は、本発明におけるRe逆分散セルロースアシレートフィルムの製造と同様にして行うことができる。
(延伸)
本発明におけるRth順分散セルロースアシレートフィルムは延伸処理をおこなってもよい。延伸は幅方向のみの一軸延伸、あるいは幅方向および搬送方向の二軸延伸が好ましい。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などの各公報に記載されている。
フィルムの延伸は、常温または加熱条件下で実施する。加熱温度は、フィルムのガラス転移温度以下であることが好ましい。フィルムは、乾燥中の処理で延伸することができ、特に溶媒が残存する場合は有効である。長手方向の延伸の場合、例えば、フィルムの搬送ローラーの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り速度の方を速くするとフィルムは延伸される。幅方向の延伸の場合、フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによってもフィルムを延伸できる。フィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。
二軸延伸には、同時二軸延伸法と逐次二軸延伸法があるが、連続製造の観点から逐次二軸延伸方法が好ましく、ドープを流延した後、バンドもしくはドラムよりフィルムを剥ぎ取り、幅方向(長手方向)に延伸した後、長手方向(幅方向)に延伸される。
本発明におけるRth順分散セルロースアシレートフィルムの好ましい延伸倍率は、幅方向のみの一軸延伸の場合1.0倍〜1.1倍が好ましく、1.02倍〜1.07倍がさらに好ましい。
2軸延伸の場合、搬送方向と幅方向との延伸倍率が下記式(D)の関係を満たすことが好ましい。
式(D):0.01<(垂直方向の延伸倍率)−(平行方向の延伸倍率)<0.1
式(D)としてさらに好ましくは、0.02<(垂直方向の延伸倍率)−(平行方向の延伸倍率)<0.08である。
これらの範囲に調節することにより、搬送時に発生するセルロースアシレート分子鎖の配向が打ち消されれフィルムのReを好ましい範囲に調節することができ、かつ面状を大幅に改良することができる。
(Rth順分散セルロースアシレートフィルムの厚み)
本発明におけるRth順分散セルロースアシレートフィルムの厚みは10μm〜200μmが好ましく、20μm〜150μmがさらに好ましく、30μm〜100μmが最も好ましい。
〔VAモード〕
本発明の液晶表示装置の液晶セルはVAモードであることが好ましい。
VAモードでは上下基板間に誘電異方性が負で、Δn=0.0813、Δε=−4.6程度の液晶をラビング配向により、液晶分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角を、約89°で作製する。図2における液晶層15の厚さdは3.5μmに設定してある。ここで厚さdと屈折率異方性Δnとの積Δndの大きさにより白表示時の明るさが変化する。このため最大の明るさを得るためには液晶層の厚みを0.2μm〜0.5μmの範囲になるように設定する。
液晶セルの上側偏光板11の吸収軸12と下側偏光板18の吸収軸19は略直交に積層する。液晶セル上電極基板13および液晶セル下電極基板16のそれぞれの配向膜の内側には透明電極(図示せず)が形成されるが、電極に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶層15中の液晶分子は、基板面に対して概略垂直に配向し、その結果液晶パネルを通過する光の偏光状態はほとんど変化しない。すなわち、液晶表示装置では、非駆動状態において理想的な黒表示を実現する。これに対し、駆動状態では、液晶分子は基板面に平行な方向に傾斜し、液晶パネルを通過する光はかかる傾斜した液晶分子により偏光状態を変化させる。換言すると、液晶表示装置では、駆動状態において白表示が得られる。なお図2において、符号14および17は、配向制御方向である。
ここでは上下基板間に電界が印加されるため、電界方向に垂直に液晶分子が応答するような、誘電率異方性が負の液晶材料を使用した。また電極を一方の基板に配置し、電界が基板面に平行の横方向に印加される場合は、液晶材料は正の誘電率異方性を有するものを使用する。
またVAモードの液晶表示装置では、TNモードの液晶表示装置で一般的に使われているカイラル剤の添加は、動的応答特性の劣化させるため用いることは少ないが、配向不良を低減するために添加されることもある。
VAモードの特徴は、高速応答であることと、コントラストが高いことである。しかし、コントラストは正面では高いが、斜め方向では劣化する課題がある。黒表示時に液晶分子は基板面に垂直に配向している。正面から観察すると、液晶分子の複屈折はほとんどないため透過率は低く、高コントラストが得られる。しかし、斜めから観察した場合は液晶分子に複屈折が生じる。さらに上下の偏光板吸収軸の交差角が、正面では90°の直交であるが、斜めから見た場合は90°より大きくなる。この2つの要因のために斜め方向では漏れ光が生じ、コントラストが低下する。これを解決するために光学補償シートを配置する。
また白表示時には液晶分子が傾斜しているが、傾斜方向とその逆方向では、斜めから観察した時の液晶分子の複屈折の大きさが異なり、輝度や色調に差が生じる。これを解決するためには、液晶表示装置の一画素を複数の領域に分割するマルチドメインと呼ばれる構造にする。
〔マルチドメイン〕
例えば、VA方式では液晶分子が電界印加により、一つの画素内で異なる複数の領域に傾斜することで視角特性が平均化される。一画素内で配向を分割するには、電極にスリットを設けたり、突起を設け、電界方向を変えたり電界密度に偏りを持たせる。全方向で均等な視野角を得るにはこの分割数を多くすればよいが、4分割、あるいは8分割以上することでほぼ均等な視野角が得られる。特に8分割時は偏光板吸収軸を任意の角度に設定できるので好ましい。
また配向分割の領域境界では、液晶分子が応答しずらい。そのためノーマリーブラック表示では黒表示が維持されるため、輝度低下が問題となる。そこで液晶材料にカイラル剤を添加して境界領域を小さくすることが可能である。
以下、本発明を実施例によってさらに説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。
[実施例1]
〔Re逆分散フィルム101の作製〕
(セルロースアシレート溶液11の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液11を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液11の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.70、重合度420のセルロースアセテート
100.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤) 6.0質量部
ビフェニルフォスフェート(可塑剤) 3.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(マット剤溶液12の調製)
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液12を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液12の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、
日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
セルロースアシレート溶液11 10.3質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(レターデーション発現剤溶液13の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、レターデーション発現剤溶液13を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤溶液13の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
Re発現剤(104) 20.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 67.2質量部
メタノール(第2溶媒) 10.0質量部
セルロースアシレート溶液11 12.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記マット剤溶液12の1.3質量部とレターデーション発現剤溶液13の6.0質量部をそれぞれ濾過後にインラインミキサーを用いて混合し、さらにセルロースアシレート溶液11を92.7質量部加えて、インラインミキサーを用いて混合し、バンド流延機を用いて流延し、100℃で残留溶媒含量40%まで乾燥し、フィルムを剥ぎ取った。140℃の雰囲気温度で残留溶媒含量15%のフィルムをテンターを用いて延伸倍率40%で横延伸したのち、さらに120℃で3分間保持した。その後、クリップを外して130℃で30分間乾燥させ、Re逆分散セルロースアシレートフィルム101を製造した。作製されたRe逆分散セルロースアシレートフィルム101の残留溶媒量は0.1%であり、膜厚は99μmであった。
[実施例2]
〔Re逆分散フィルム102の作製〕
上記マット剤溶液12の1.3質量部とレターデーション発現剤溶液13の6.0質量部をそれぞれ濾過後にインラインミキサーを用いて混合し、さらにセルロースアシレート溶液11を92.7質量部加えて、インラインミキサーを用いて混合し、バンド流延機を用いて流延し、80℃で残留溶媒含量25%まで乾燥し、フィルムを剥ぎ取った。100℃の雰囲気温度で残留溶媒含量5%まで乾燥した後にさらに130℃で30分間乾燥させ、膜厚108μmのセルロースアシレートフィルムを製造した。
このフィルムを、搬送しながら160℃で幅方向に15%延伸したのち搬送方向に5%収縮させた後、120℃で3分間把持した。クリップをはずしてさらに120℃で30分間乾燥させ、Re逆分散セルロースアシレートフィルム102を製造した。作製されたRe逆分散セルロースアシレートフィルム102の残留溶媒量は0.2%であり、膜厚は96μmであった。
[実施例3]
〔Re逆分散フィルム103の作製〕
(セルロースアシレート溶液21の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液21を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液21の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.36、ベンゾイル置換度0.42(6位のベンゾイル置換度/総ベンゾイル置換度=0.89)、重合度320のセルロースアセテートベンゾエート
100.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤) 6.0質量部
ビフェニルフォスフェート(可塑剤) 3.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 315.0質量部
メタノール(第2溶媒) 47.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(マット剤溶液22の調製)
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液22を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液22の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、
日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
セルロースアシレート溶液21 10.3質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(レターデーション発現剤23溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、レターデーション発現剤溶液23を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤溶液23の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
Re発現剤(104) 20.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 67.2質量部
メタノール(第2溶媒) 10.0質量部
セルロースアシレート溶液21 12.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記マット剤溶液22の1.3質量部とレターデーション発現剤溶液23の6.0質量部をそれぞれ濾過後にインラインミキサーを用いて混合し、さらにセルロースアシレート溶液21を92.7質量部加えて、インラインミキサーを用いて混合し、バンド流延機を用いて流延し、70℃で残留溶媒含量40%まで乾燥し、フィルムを剥ぎ取った。130℃の雰囲気温度で残留溶媒含量20%のフィルムをテンターを用いて延伸倍率35%で横延伸したのち、さらに120℃で3分間保持した。その後、クリップを外して120℃で30分間乾燥させ、Re逆分散フィルム103を製造した。作製されたRe逆分散セルロースアシレートフィルム103の残留溶媒量は0.1%であり、膜厚は70μmであった。
[実施例4]
〔Re逆分散フィルム104の作製〕
上記マット剤溶液22の1.3質量部とレターデーション発現剤溶液23の6.0質量部をそれぞれ濾過後にインラインミキサーを用いて混合し、さらにセルロースアシレート溶液21を92.7質量部加えて、インラインミキサーを用いて混合し、バンド流延機を用いて流延し、120℃で残留溶媒含量15%まで乾燥し、フィルムを剥ぎ取った。100℃の雰囲気温度で残留溶媒含量5%まで乾燥した後にさらに120℃で30分間乾燥させ、膜厚95μmのセルロースアシレートフィルムを製造した。
このフィルムを、搬送しながら140℃で幅方向に30%延伸したのち搬送方向に10%収縮させた後、120℃で3分間把持した。クリップをはずしてさらに120℃で30分間乾燥させ、Re逆分散セルロースアシレートフィルム104を製造した。作製されたRe逆分散フィルム101の残留溶媒量は0.1%であり、膜厚は90μmであった。
[実施例5]
〔Re逆分散フィルム105の作製〕
(セルロースアシレート溶液31の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液31を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液31の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.94、重合度400のセルロースアセテート
100.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤) 3.5質量部
ビフェニルフォスフェート(可塑剤) 1.8質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(マット剤溶液32の調製)
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液32を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液32の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、
日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
セルロースアシレート溶液31 10.3質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(レターデーション発現剤溶液33の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、レターデーション発現剤溶液33を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤溶液33の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
Re発現剤(104) 20.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 67.2質量部
メタノール(第2溶媒) 10.0質量部
セルロースアシレート溶液31 12.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記マット剤溶液32の1.3質量部とレターデーション発現剤溶液33の4.9質量部をそれぞれ濾過後にインラインミキサーを用いて混合し、さらにセルロースアシレート溶液31を93.8質量部加えて、インラインミキサーを用いて混合し、バンド流延機を用いて流延し、100℃で残留溶媒含量3%まで乾燥し、フィルムを剥ぎ取った。155℃の雰囲気温度でフィルムをテンターを用いて延伸倍率25%で横延伸したのち、クリップを外して130℃で20分間乾燥させ、Re逆分散セルロースアシレートフィルム105を製造した。作製されたRe逆分散セルロースアシレートフィルム105の残留溶媒量は0.1%未満であり、膜厚は95μmであった。
[実施例6]
〔Re逆分散フィルム107〜109の作製〕
実施例5のRe逆分散フィルム105において、Re発現剤の種類および添加量、延伸温度を表1の内容にした以外は、実施例5と同様にしてRe逆分散フィルム107〜109を作製した。
[実施例7]
〔Re逆分散フィルム110の作製〕
実施例5のRe逆分散フィルム105において、セルロースアシレート溶液31中のトリフェニルフォスフェートとビフェニルフォスフェートを添加せず、Re発現剤の種類および添加量、延伸温度を表1の内容にした以外は、実施例5と同様にしてRe逆分散フィルム110を作製した。
[比較例1]
〔Re逆分散フィルム201の作製〕
室温において、平均酢化度59.7%のセルロースアセテート120質量部、トリフェニルホスフェート9.36質量部、ビフェニルジフェニルホスフェート4.68質量部、下記のレターデーション発現剤B1.00質量部、メチレンクロリド543.14質量部、メタノール99.35質量部およびn−ブタノール19.87質量部を混合して、溶液(ドープ)を調製した。
Figure 2008020896
得られたドープを、ガラス板上に流延し、室温で1分間乾燥後、45℃で5分間乾燥させた。乾燥後の溶剤残留量は30質量%であった。セルロースアセテートフィルムをガラス板から剥離し、120℃で10分間乾燥した。フィルムを適当な大きさに切断した後、130℃で流延方向とは平行な方向に延伸した。延伸方向と垂直な方向は、自由に収縮できるようにした。延伸後、そのままの状態で120℃で30分間乾燥した後、延伸フィルムを取り出した。延伸後の溶剤残留量は0.1質量%であった。得られたフィルムの厚さは、95μmであった。また、延伸倍率は42%倍であった。
[比較例2]
〔Re逆分散フィルム202の作製〕
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、更に90℃に約10分間加熱した後、平均孔径34μmのろ紙を用いて定流量ろ過を行い、セルロースアシレート溶液41を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液41
―――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.79、全置換度に対する6位置換度の比率が
0.327のセルロースアシレート 100.0質量部
トリフェニルフォスフェイト 8.0質量部
ビフェニルジフェニルフォスフェイト 4.0質量部
メチレンクロライド 403.0質量部
メタノール 60.2質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
次に上記方法で作成したセルロースアシレート溶液41を含む下記組成物を分散機に投入し、マット剤分散液42を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤分散液42
――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒径16nmのシリカ粒子
(aerosil R972 日本アエロジル(株)製 2.0質量部
メチレンクロライド 72.4質量部
メタノール 10.8質量部
セルロースアシレート溶液41 10.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
次に上記方法で作成したセルロースアシレート溶液を含む下記組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して溶解し、レターデーション発現剤溶液43を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤溶液43
―――――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤C 20.0質量部
メチレンクロライド 58.3質量部
メタノール 8.7質量部
セルロースアシレート溶液41 12.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
上記セルロースアシレート溶液41を100質量部、マット剤分散液42を1.35質量部、更にレターデーション発現剤溶液43を表1に示す割合になるように混合し、製膜用ドープを調製した。
Figure 2008020896
上述のドープをバンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が35質量%でバンドから剥ぎ取ったフィルムを、テンターを用いて25%の延伸率で幅方向に延伸して、セルロースアシレートフィルムを製造した。テンターでは熱風を当てて乾燥をしながら、幅方向に延伸した後、約5%収縮させ、その後テンター搬送からロール搬送に移行し、更に乾燥し、ナーリングを施し幅1500mmで巻き取った。
[比較例3]
〔Re逆分散フィルム203の作製〕
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解した後、平均孔径34μmの濾紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターで濾過した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
環状ポリオレフィン溶液 D−3
―――――――――――――――――――――――――――――――――
環状ポリオレフィン:ARTON‐G 150質量部
流動パラフィン:ダフニーオイルCP68(出光興産(株)) 15質量部
ジクロロメタン 450質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
次に上記方法で作成した環状ポリオレフィン溶液を含む下記組成物を分散機に投入し、微粒子分散液を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
微粒子分散液 M−3
―――――――――――――――――――――――――――――――――
1次平均粒径16nmのシリカ粒子
(aerosil R972 日本アエロジル(株)) 2質量部
ジクロロメタン 83質量部
環状ポリオレフィン溶液 D−3 10質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
上記環状ポリオレフィン溶液D‐3を100質量部、微粒子分散液M−1を1.35質量を混合し、製膜用ドープを調製した。上述のドープをバンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が約25質量%でバンドから剥ぎ取ったフィルムを120℃で乾燥した。
更にをテンター内で、130℃に加熱し、フィルムを搬送方向と垂直方向に1.15倍に延伸したのち、その後、90℃の雰囲気下で1分間この状態を保持しながら冷却し、更に室温で冷却し、テンター内から取り出すことにより、比較例の延伸ポリマーフィルム202を得た。厚みは88μmであった。
[比較例4]
〔Re逆分散フィルム204の作製〕
実施例5のRe逆分散フィルム105において、Re発現剤の種類および添加量、延伸温度を表1の内容にした以外は、実施例5と同様にしてRe逆分散フィルム204を作製した。
Figure 2008020896
以上のようにして作製したRe逆分散フィルム101〜110及び比較例201〜204及び後で述べる市販のピュアエース(フィルム205)について、自動複屈折率計(KOBRA−WR、王子計測機器(株)製)により25℃・相対湿度10%、60%、80%における波長446nm、548nm、628nmのReおよびRthをそれぞれ測定した。
さらに、フィルムを3.5cm×12cmに切り出し、荷重無し、250g、500g、1000g、1500gのそれぞれの荷重におけるReをエリプソメーター(M150、日本分光(株))で測定し、応力に対するRe変化の直線の傾きから算出することにより光弾性係数を測定した。
結果を下記表2に示す。
Figure 2008020896
[実施例7]
〔Re逆分散フィルム101の鹸化処理〕
作製したRe逆分散フィルム101を、2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、Re逆分散フィルム101表面の鹸化処理を行った。
[実施例8]
〔Re逆分散フィルム102〜105、107〜110の鹸化処理〕
前記Re逆分散フィルム101と同様にしてRe逆分散フィルム102〜105、107〜110の表面をそれぞれ鹸化した。
[比較例4]
〔Re逆分散フィルム201、202および204の鹸化処理〕
前記Re逆分散フィルム101と同様にして比較用Re逆分散フィルム201、202および204を鹸化した。
[比較例5]
〔Re逆分散フィルム203の表面処理〕
Re逆分散フィルム203の表面を12W・分/mの条件で春日電機(株)製コロナ放電して親水性を付与した。
[比較例6]
(Re逆分散フィルム205の表面処理)
市販のポリカーボネートフィルム(商品名:ピュアエースWR(帝人(株)製))の表面に12W・分/mの条件で春日電機(株)製コロナ放電して親水性を付与し、比較例のRe逆分散フィルム205とした。
[実施例10]
〔偏光板101の作製〕
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製した。
実施例7で鹸化処理したRe逆分散フィルム101を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の片側に貼り付けた。市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)に同様のケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作成したRe逆分散フィルム101とは反対側に貼り付けた。
偏光子の透過軸と作成したRe逆分散フィルム101の遅相軸とは平行になるように配置した。また、偏光子の透過軸と市販のセルローストリアセテートフィルムの遅相軸とは、直交するように配置した。
このようにして偏光板101を作製した。
[実施例11]
〔偏光板102〜105、107〜110の作製〕
Re逆分散フィルム102〜105、107〜110についても実施例10と同様にして偏光板102〜105、107〜110を作製した。
[比較例7]
〔偏光板201〜205の作製〕
Re逆分散フィルム201〜205についても実施例10と同様にして偏光板201〜205をそれぞれ作製した。
[参考例1]
〔Rth順分散セルロースアシレートフィルム301の作製〕
(セルロースアシレート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液51を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液51組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.81、平均重合度360のセルロースアセテート
100.0質量部
トリフェニルフォスフェート 7.0質量部
ビフェニルフォスフェート 4.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
(マット剤溶液52の調製)
下記の組成物を分散機に投入し、撹拌して各成分を溶解し、マット剤溶液52を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液52組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)
2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
セルロースアシレート溶液51 10.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
(波長分散制御剤溶液53の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら撹拌して、各成分を溶解し、波長分散制御剤溶液を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――
波長分散制御剤溶液53組成
―――――――――――――――――――――――――――――――
波長分散制御剤A 20.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアシレート溶液51 12.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2008020896
上記セルロースアシレート溶液51を90.4質量部、マット剤溶液52を1.3質量部、波長分散調節剤溶液53を8.3質量部を濾過後に混合し、バンド流延機を用いて1600mmの幅で流延した。残留溶剤含量50質量%でフィルムをバンドから剥離し、100℃の条件でフィルムをテンタークリップで保持して4%の延伸倍率で横延伸し、残留溶剤含量が5質量%になるまで乾燥した(乾燥1)。さらにフィルム延伸後の幅のまま100℃で30秒間保持した。テンタークリップからフィルムを解放し、フィルムの幅方向を両端から各5%ずつを切り落とした後、さらに幅方向が自由(保持されていない)状態で135℃の乾燥ゾーンを20分間かけて通過させた後(乾燥2)、フィルムをロールに巻き取った。得られたセルロースアシレートフィルムの残留溶剤量は0.1質量%であり、膜厚は81μmであった。また、Rth(446)が209nm、Rth(548)が175nm、Rth(629)が165nmであった。
[参考例2]
〔Rth順分散セルロースアシレートフィルム302の作製〕
(セルロースアシレート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液61を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液61組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.87、平均重合度390のセルロースアセテート
100.0質量部
トリフェニルフォスフェート 8.0質量部
ビフェニルフォスフェート 4.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
(マット剤溶液62の調製)
下記の組成物を分散機に投入し、撹拌して各成分を溶解し、マット剤溶液62を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液62組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)
2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
セルロースアシレート溶液61 10.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
(波長分散制御剤溶液63の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら撹拌して、各成分を溶解し、波長分散制御剤溶液を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――
波長分散制御剤溶液63組成
―――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤C 20.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアシレート溶液61 12.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――
上記セルロースアシレート溶液61を92.2質量部、マット剤溶液62を1.3質量部、波長分散調節剤溶液63を6.5質量部を濾過後に混合し、バンド流延機を用いて1600mmの幅で流延した。残留溶剤含量60質量%でフィルムをバンドから剥離し、100℃の条件でフィルムをテンタークリップで保持して4%の延伸倍率で横延伸し、残留溶剤含量が5質量%になるまで乾燥した(乾燥1)。さらにフィルム延伸後の幅のまま100℃で30秒間保持した。テンタークリップからフィルムを解放し、フィルムの幅方向を両端から各5%ずつを切り落とした後、さらに幅方向が自由(保持されていない)状態で130℃の乾燥ゾーンを20分間かけて通過させた後(乾燥2)、フィルムをロールに巻き取った。得られたセルロースアシレートフィルムの残留溶剤量は0.1質量%であり、膜厚は51μmであった。また、Rth(446)が113nm、Rth(548)が109nm、Rth(629)が107nmであった。
[参考例3]
〔Rth順分散セルロースアシレートフィルム301及び302の鹸化処理〕
作製したRth順分散セルロースアシレートフィルム301および302を、2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、Rth順分散セルロースアシレートフィルム301および302表面の鹸化処理を行った。
〔偏光板301の作製〕
(偏光板保護フィルムの鹸化処理)
市販のセルロースアセテートフィルム(富士写真フイルム(株)製、富士タックTD80)を1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で1分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。
(偏光子の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムに、ヨウ素を吸着させて偏光子を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記で鹸化処理したRth順分散セルロースアシレートフィルム301を偏光子の片側に貼り付けた。偏光子の吸収軸とセルロースアシレートフィルムの遅相軸とは平行になるように配置した。
さらに上記で鹸化処理した市販のセルローストリアセテートフィルムを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付けた。このようにして偏光板301を作製した。
〔偏光板302の作製〕
Rth順分散セルロースアシレートフィルム302についても偏光板301の作製と同様にして、偏光板302を作製した。
[実施例12]
〔液晶表示装置の作製〕
VAモードの液晶セルに、図2における上側偏光板11として偏光板101を本発明におけるRe逆分散フィルム101が液晶セル側となるように、また、下側偏光板18には偏光板301をRth順分散セルロースアシレートフィルム301が液晶セル側となるように、粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。このようにして液晶表示装置(A)を作製した。
さらに、上側偏光板の液晶セル側のフィルムを下記表3の内容に変更して本発明の液晶表示装置および比較例の液晶表示装置(B)〜(N)を作製した。
〔液晶表示装置の評価〕
上記で作製した液晶表示装置(A)〜(N)について極角60°において、方位角0°と方位角80°との色味変化を観察した。さらに35℃80%RHの環境下で250時間連続点灯した際の光漏れの有無を確認した。結果を表3に示す。
Figure 2008020896
表3の結果から本発明の液晶表示装置(A)〜(I)は視角による色味変化が小さくかつ高温高湿下で連続点灯しても光漏れが起きにくく好ましいことがわかる。なかでも、フィルム厚みが薄逆分散フィルム(107)〜(109)を使用した本発明の液晶表示装置(F)、(G)および(H)は高温高湿下で連続点灯しても光漏れがおこらず特に好ましい。一方、比較例の液晶表示装置(J)および(N)は視角による色味変化は小さいが、高温高湿下での光漏れが大きい問題がある。また、比較例の液晶表示装置(L)および(M)高温高湿下での光漏れは小さいが、視角による色い変化が大きく好ましくない。
[実施例13]
〔塗布液の調整〕
<被覆層用塗布液1>
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
塩素含有重合体:R204 12g
{旭化成ライフ&リビング(株)製「サランレジンR204」}
テトラヒドロフラン 63g
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<下塗り層用塗布液S1>
(1層目塗布液 (帯電防止層用))
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
蒸留水 781.7重量部
ポリアクリル樹脂(ジュリマーET−410:日本純薬製、固形分30%)
30.9重量部
針状構造酸化スズ粒子(FS−10D:石原産業製、固形分20%)
131.1重量部
カルボジイミド化合物(カルボジライトV−02−L2:日清紡製、固形分40%)
6.4重量部
界面活性剤(サンデットBL:三洋化成工業製 固形分44.6%)
1.4重量部
界面活性剤(ナロアクティーHN−100:三洋化成工業製 固形分100%)
0.7重量部
シリカ微粒子分散液(シーホスターKE−W30:日本触媒製 0.3μm 固形分20%)
5.0重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(2層目塗布液 (表面層用))
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
蒸留水 941.0重量部
ポリアクリル樹脂(ジュリマーET−410:日本純薬製、固形分30%)
57.3重量部
エポキシ化合物(デナコールEX−521:ナガセ化成工業製、固形分100%)
1.2重量部
界面活性剤(サンデットBL:三洋化成工業製 固形分44.6%)
0.5重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<下塗り層用塗布液S2>
(1層目塗布液)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
蒸留水 823.0重量部
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(Nipol Latex LX407C5:日本ゼオン製 固形分40%) 151.5重量部
2,4−ジクロル−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩(H−232:三協化学製 固形分8%) 25.0重量部
ポリスチレン微粒子(平均粒径2μ)(Nipol UFN1008:日本ゼオン製 固形分10%) 0.5重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(2層目塗布液)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
蒸留水 982.4重量部
ゼラチン(アルカリ処理) 14.8重量部
メチルセルロース(TC−5:信越化学工業製) 0.46重量部
化合物(Cpd−21) 0.33重量部
プロキセル(Cpd−22 固形分3.5%) 2.0重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2008020896
Figure 2008020896
<ハードコート層用塗布液の調整>
(ゾル液a−2の調製)
温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた1,000mlの反応容器に、アクリロキシオキシプロピルトリメトキシシラン187g(0.80mol)、メチルトリメトキシシラン27.2g(0.20mol)、メタノール320g(10mol)とKF0.06g(0.001mol)を仕込み、攪拌下室温で水15.1g(0.86mol)をゆっくり滴下した。滴下終了後室温で3時間攪拌した後、メタノール還溜下2時間加熱攪拌した。この後、低沸分を減圧留去し、更にろ過することによりゾル液a−2を120g得た。このようにして得た物質をGPC測定した結果、質量平均分子量は1500であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は30%であった。
また1H−NMRの測定結果から、得られた物質の構造は、以下の一般式で表される構造であった。
Figure 2008020896
更に、29Si−NMR測定による縮合率αは0.56であった。この分析結果から、本シランカップリング剤ゾルは直鎖状構造部分が大部分であることが分かった。
また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロキシプロピルトリメトキシシランは5%以下の残存率であった。
(1)光散乱層用塗布液の調製
───────────────────────────────────
ハードコート層用塗布液1の組成
───────────────────────────────────
PET−30 40.0g
DPHA 10.0g
イルガキュア184 2.0g
SX−350(30%) 2.0g
架橋アクリルースチレン粒子(30%) 13.0g
FP−13 0.06g
ゾル液a−2 11.0g
トルエン 38.5g
───────────────────────────────────
上記塗布液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過してハードコート層用塗布液1を調製した。
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
・PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
・イルガキュア184:重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]
・SX−350:平均粒径3.5μm架橋ポリスチレン粒子[屈折率1.60、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
・架橋アクリル−スチレン粒子:平均粒径3.5μm[屈折率1.55、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
・FP−13フッ素系表面改質剤
Figure 2008020896
(低屈折率層用塗布液の調整)
(パーフルオロオレフィン共重合体(1)の合成)
Figure 2008020896
内容量100mlのステンレス製撹拌機付オートクレーブに酢酸エチル40ml、ヒドロキシエチルビニルエーテル14.7gおよび過酸化ジラウロイル0.55gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)25gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は0.53Mpa(5.4kg/cm2)であった。該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が0.31MPa(3.2kg/cm2)に達した時点で加熱をやめ放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。得られた反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。さらにこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥後ポリマー28gを得た。次に該ポリマーの20gをN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解、氷冷下アクリル酸クロライド11.4gを滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え水洗、有機層を抽出後濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることによりパーフルオロオレフィン共重合体(1)を19g得た。得られたポリマーの屈折率は1.421であった。
(ゾル液の調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
(低屈折率層用塗布液1の調整)
ポリシロキサンおよび水酸基を含有する屈折率1.44の熱架橋性含フッ素ポリマー(JTA113、固形分濃度6%、JSR(株)製)13g、コロイダルシリカ分散液MEK−ST−L(商品名、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)1.3g、前記ゾル液0.65g、およびメチルエチルケトン4.4g、シクロヘキサノン1.2gを添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層塗布液1を調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.45であった。
(偏光板用保護フィルム401の作製)
(下塗り層1の塗設)
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、一方の面(ハードコート層との接着界面となる面)に、下塗り層用塗布液S1を乾燥膜厚が90nmとなるように塗布した。
(被覆層の塗設)
下塗り層1を塗設した80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、スロットルダイを有するコーターを用いて、被覆層用塗布液1をバックアップロール上の偏光板保護フィルムの下塗り層S1を塗布してある面上に直接押し出して塗布した。搬送速度30m/分の条件で塗布し、100℃で5分乾燥して、巻き取った。
(下塗り層2の塗設)
下塗り層1および被覆層を塗設した80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、被覆層の上に下塗り層用塗布液S2を乾燥膜厚が90nmとなるように塗布した。
(ハードコート層の塗設)
下塗り層1、被覆層、下塗り層2を塗設した80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、スロットルダイを有するコーターを用いて、ハードコート層用塗布液1をバックアップロール上の偏光板保護フィルムの下塗り層2上に直接押し出して塗布した。搬送速度30m/分の条件で塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmの防眩性
を有する防眩層を形成し、巻き取った。
(低屈折率層の塗設)
下塗り層1、被覆層、下塗り層2、ハードコート層を塗設した80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、スロットルダイを有するコーターを用いて、低屈折率層用塗布液1をバックアップロール上の偏光板保護フィルムのハードコート層を塗布してある面上に直接押し出して塗布した。120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージにより酸素濃度0.1%の雰囲気下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量300mJ/cmの紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取り、偏光板保護フィルム401を作製した。
(偏光板保護フィルム401の鹸化処理)
前記で作製した偏光板保護フィルム401を実施例7と同様にして鹸化処理をおこなった。
(偏光板401の作製)
実施例11の偏光板107の作製において、偏光子に対して本発明の樹脂フィルム107と反対側に張り合わせる保護フィルムを偏光板保護フィルム401に変えた以外は実施例11と同様にして、偏光板401を作製した。なお、防湿層(被覆層)が塗設されていない面が偏光子と接するように貼り合わせた。
(液晶表示装置401の作製および評価)
実施例12の液晶表示装置Fの作製において、偏光板107を偏光板401に変えた以外は実施例12と同様にして液晶表示装置Oを作製した。このようにして作製した液晶表示装置Oを50%90%RHの環境下で500時間点灯した後の表示ムラの有無を確認したところ、本発明の液晶表示装置Oは表示ムラが視認されず特に好ましかった。
本発明の液晶表示装置に好ましく用いられる防湿層の構成例を示す概略図である。 本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。
符号の説明
1 偏光板用保護フィルム
2 透明基材フィルム
3 被覆層
4 ハードコート性を有する層
5 偏光板
6 偏光子
7 反対側の偏光板用保護フィルム
8 液晶表示装置
9 液晶セル
11 上側偏光板
12 上側偏光板吸収軸の方向
13 液晶セル上電極基板
14 上基板の配向制御方向
15 液晶層
16 液晶セル下電極基板
17 下基板の配向制御方向
10 液晶表示装置
18 下側偏光板
19 下側偏光板吸収軸の方向

Claims (10)

  1. Reが下記式(1)〜(4)の関係を満たし、光弾性係数が0cm/N以上30×10-8cm/N以下であることを特徴とする樹脂フィルム。
    20nm<Re(548)<300nm ・・・式(1)
    0.5<Re(446)/Re(548)<1 ・・・式(2)
    1.0<Re(629)/Re(548)<2.0 ・・・式(3)
    0.1%≦[{25℃10%RHにおけるRe(548)−25℃80%RHにおけるRe(548)}/25℃60%RHにおけるRe(548)]≦20% ・・・式(4)
    (式中、Re(λ)は波長λにおける面内のレターデーションを表す。)
  2. Reとフィルム厚みが下記関係を満たす請求項1記載の樹脂フィルム。
    0.00125<Re(548)/フィルム厚み<0.00700 ・・・式(5)
  3. 少なくとも1つの液晶性化合物を0.1質量%以上30質量%以下含有し、液晶性化合物の全添加剤に対する比率が40質量%以上100質量%以下である請求項1または2記載の樹脂フィルム。
  4. 2種類以上の液晶性化合物の混合物を0.1質量%以上30質量%以下含有し、液晶性化合物の全添加剤に対する質量比が50質量%以上100質量%以下である請求項3記載の樹脂フィルム。
  5. 液晶性化合物として下記一般式(I)で表される化合物と下記一般式(i)で表される棒状化合物をそれぞれ0.1質量%以上30質量%以下含有する請求項4記載の樹脂フィルム。
    Figure 2008020896
    (式中、L1およびL2は各々独立に単結合または二価の連結基を表す。A1およびA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子または置換基を表す。)、−S−及び−CO−からなる群から選ばれる基を表す。R1、R2、およびR3は各々独立に置換基を表す。Xは6族、5族または4族原子を表す。nは0から2までの整数を表す。)
    一般式(i):Ar1−L2−X−L3−Ar2
    上記一般式(i)において、Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、芳香族基であり、L2およびL3は、それぞれ独立に、−O−CO−または−CO−O−基より選ばれる二価の連結基であり、Xは、1,4−シクロへキシレン基、ビニレン基またはエチニレン基である。
  6. セルロースアシレートを主成分として含む請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂フィルム。
  7. 偏光子の両側に2枚の保護フィルムを有し、該保護フィルムのうち少なくとも1枚が請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂フィルムであることを特徴とする偏光板。
  8. 液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有する液晶表示装置であって、該偏光板の液晶セル側保護フィルムのうち少なくとも1枚が請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂フィルムであることを特徴とする液晶表示装置。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂フィルムからなる液晶セル側保護フィルムに対して液晶セルを挟んで反対側にある液晶セル側保護フィルムが下記式(8)〜(12)の関係を満たすことを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置。
    0nm<Re(548)<10nm ・・・式(8)
    100nm<Rth(548)<300nm ・・・式(9)
    10<Rth(548)/Re(548) ・・・式(10)
    1.0<Rth(446)/Rth(548)<2.0 ・・・式(11)
    0.5<Rth(629)/Rth(548)<1.0 ・・・式(12)
    (式中、Re(λ)およびRth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。)
  10. 前記液晶セルがVAモードであることを特徴とする請求項8または9に記載の液晶表示装置。
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