JP2001098086A - セルロースエステルフイルムの製造方法およびセルロースエステルフイルムの複屈折率上昇方法 - Google Patents

セルロースエステルフイルムの製造方法およびセルロースエステルフイルムの複屈折率上昇方法

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JP2001098086A
JP2001098086A JP27757499A JP27757499A JP2001098086A JP 2001098086 A JP2001098086 A JP 2001098086A JP 27757499 A JP27757499 A JP 27757499A JP 27757499 A JP27757499 A JP 27757499A JP 2001098086 A JP2001098086 A JP 2001098086A
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Hiroaki Sata
博暁 佐多
Yoji Ito
洋士 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な方法で高いレターデーションを有する
セルロースエステルフイルムを製造する。 【解決手段】 セルロースエステルのドープまたはメル
トを支持体上に流延する工程、そして磁場を印加しなが
らドープまたはメルトを固化する工程によりセルロース
エステルフイルムを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロースエステ
ルフイルムの製造方法および複屈折率上昇方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】セルロースエステルフイルム、特にセル
ロースアセテートフイルムは、その強靭性と難燃性から
各種の写真材料や光学材料に用いられている。セルロー
スエステルフイルムは、代表的な写真感光材料の支持体
である。また、セルロースエステルフイルムは、液晶表
示装置にも用いられている。セルロースエステルフイル
ムには、他のポリマーフイルムと比較して、光学的等方
性が高い(複屈折率が低い)との特徴がある。従って、
光学的等方性が要求される液晶表示装置の素子、例えば
偏光素子の保護フイルムやカラーフィルターには、セル
ロースエステルフイルムを用いることが普通である。逆
に、別の液晶表示装置の素子である光学補償シート(位
相差フイルム)は、高い複屈折率が要求される。従っ
て、光学補償シートとしては、ポリカーボネートフイル
ムやポリスルホンフイルムのような複屈折率が高い合成
ポリマーフイルムを用いることが普通である。合成ポリ
マーフイルムからなる光学補償シートとは別に、透明支
持体上にディスコティック液晶性分子を含む光学的異方
性層を設けた光学補償シートも提案されている(特開平
3−9325号、同6−148429号、同8−502
06号、同9−26572号の各公報記載)。光学補償
シートに要求される高い複屈折率は、ディスコティック
液晶性分子を含む光学的異方性層により達成する。これ
に対して、透明支持体には、高い光学的等方性(低い複
屈折率)が要求されるため、セルロースエステルフイル
ムが普通に用いられている。
【0003】従来のディスコティック液晶性分子を用い
た光学補償シートは、主にTFT用のTN(Twisted Ne
matic )モードの液晶セルを光学補償するように設計さ
れている。そのような光学補償シートを、VA(Vertic
ally Aligned)モード、OCB(Optically Compensato
ry Bend)モードあるいはHAN(Hybrid Aligned Nema
tic )モードの液晶セルに用いても対応できない(光学
補償できない)問題が生じる。そこで、光学補償シート
の支持体も光学的異方性にして、ディスコティック液晶
性分子を含む光学的異方性層の光学的異方性と協調し
て、VAモード、OCBモードあるいはHANモードの
液晶セルに対応する(光学補償する)ことが考えられ
る。ポリカーボネートフイルムやポリスルホンフイルム
のような複屈折率が高い合成ポリマーフイルムは、光学
的異方性支持体として用いることができる。しかし、そ
のような合成ポリマーフイルムは、支持体としての機能
(透湿性のような物性や塗布層との親和性)が貧弱であ
る。そのため、支持体としての機能が優れている(ただ
し、複屈折率が低い)セルロースエステルフイルムとレ
ターデーションが高い合成ポリマーフイルムとを貼り合
わせた積層体を、光学的異方性支持体として用いること
が望ましいとされる。以上のように、光学補償シートの
ような光学材料の技術分野では、光学的異方性(高い複
屈折率)が要求される場合には合成ポリマーフイルムを
使用し、光学的等方性(低い複屈折率)が要求される場
合にはセルロースエステルフイルムを使用することが一
般的な原則である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】欧州特許091165
6A2号明細書に、光学的異方性が要求される用途で使
用できるレターデーションが高いセルロースエステルフ
イルムが開示されている。同明細書には、セルロースエ
ステルフイルムのレターデーション(複屈折率×厚さ)
を高くする手段として、(1)レターデーション上昇剤
の使用、(2)セルロースアセテートの酢化度の調節
(低下)、(3)冷却溶解法によるセルロースエステル
フイルムの製造および(4)フイルムの延伸が開示され
ている。高いレターデーションを有するセルロースエス
テルフイルムが得られたことにより、光学的異方性が要
求される光学補償シートのような用途においても、セル
ロースエステルフイルムを使用することが可能になっ
た。しかし、上記明細書に開示されている手段(1)〜
(4)には、それぞれ若干の問題がある。(1)レター
デーション上昇剤で高い複屈折率を得るためには、レタ
ーデーション上昇剤を多量に使用する必要がる。多量に
使用したレターデション上昇剤がフイルム表面に析出す
る(ブリードアウトする)問題が生じる場合がある。
(2)セルロースアセテートの酢化度を低下させると、
フイルムの物性も低下する。(3)冷却溶解法のみで
は、複屈折率を充分に上昇させることは困難である。
(4)フイルムの延伸は、面内の複屈折率の上昇には有
効であるが、厚み方向の複屈折率には効果が少ない。ま
た、延伸ではフイルムに厚みムラが生じる場合がある。
本発明の目的は、簡単な方法で高い複屈折率を有するセ
ルロースエステルフイルムを製造することである。ま
た、本発明の目的は、簡単な方法でセルロースエステル
フイルムの複屈折率を上昇させることでもある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記
(1)〜(6)のセルロースエステルフイルムの製造方
法および下記(7)〜(11)のセルロースエステルフ
イルムの複屈折率上昇方法により達成された。 (1)セルロースエステルのドープまたはメルトを支持
体上に流延する工程、そして磁場を印加しながらドープ
またはメルトを固化する工程からなるセルロースエステ
ルフイルムの製造方法。 (2)磁場方向がフイルム平面と垂直になるように磁場
を印加する請求項1に記載の製造方法。 (3)厚み方向の複屈折率が6.8×10-4乃至4.0
×10-3のセルロースエステルフイルムを製造する
(1)に記載の製造方法。 (4)印加する磁場の強度が、0.1乃至20テスラで
ある(1)に記載の製造方法。 (5)セルロースエステルのドープまたはメルトが、芳
香族化合物を含む(1)に記載の製造方法。 (6)セルロースエステルのドープまたはメルトを、1
2℃以上の温度の支持体上に流延する(1)に記載の製
造方法。
【0006】(7)セルロースエステルフイルムを、セ
ルロースエステルのガラス転移温度以上の温度で加熱し
ながら磁場を印加することにより、セルロースエステル
フイルムの複屈折率を上昇させるセルロースエステルフ
イルムの複屈折率上昇方法。 (8)磁場方向がフイルム平面と垂直になるように磁場
を印加する(7)に記載の複屈折率上昇方法。 (9)厚み方向の複屈折率を6.8×10-4乃至4.0
×10-3まで上昇させる(7)に記載の複屈折率上昇方
法。 (10)印加する磁場の強度が、0.1乃至20テスラ
である(7)に記載の複屈折率上昇方法。 (11)セルロースエステルフイルムが、芳香族化合物
を含む(7)に記載の複屈折率上昇方法。
【0007】
【発明の効果】本発明者の研究の結果、磁場を印加しな
がらセルロースエステルのドープまたはメルトを固化す
ると、高い複屈折率を有するセルロースエステルフイル
ムが製造できることが判明した。さらに本発明者が研究
した結果、製造後のセルロースエステルフイルムであっ
ても、セルロースエステルのガラス転移温度以上の温度
で加熱しながら磁場を印加することにより、セルロース
エステルフイルムの複屈折率を上昇させることができる
ことが判明した。磁場の印加は、簡単かつ安全な手段で
容易に実施できる。磁場の印加は、複屈折率の上昇以外
に、セルロースエステル(またはフイルム)に与える影
響がほとんどない。そのため、欧州特許0911656
A2号明細書に開示されていた複屈折率を高くする手段
(1)〜(4)に生じるような問題とは、全く無縁であ
る。また、磁場はフイルムの形状とは関係しないため、
セルロースエステルの複屈折率を均一に上昇させること
ができる。以上の結果、高いレターデーションを有する
セルロースエステルフイルムを簡単に製造することが可
能になった。また、簡単な方法でセルロースエステルフ
イルムの複屈折率を上昇させることも可能になった。
【0008】
【発明の実施の形態】[磁場の印加]セルロースエステ
ルフイルムの製造方法では、ソルベントキャスト法にお
けるドープまたはメルトキャスト法におけるメルトを支
持体上で固化する工程おいて磁場を印加する。言い換え
ると、液体状態のセルロースエステル分子に対して、磁
場を印加して分子の配向状態を制御し、その配向状態で
セルロースエステルを固化する。セルロースエステルフ
イルムの複屈折率上昇方法では、セルロースエステルの
ガラス転移温度以上の温度で加熱しながら磁場を印加す
る。すなわち、加熱によりセルロースエステル分子を配
向可能な状態にして、その状態で磁場を印加して分子の
配向状態を制御する。磁場は、セルロースエステルの複
屈折率を上昇させる方向に印加する。よって、厚み方向
の複屈折率が高いセルロースエステルフイルムを得る場
合は、磁場方向がフイルム平面と垂直になるように磁場
を印加する。
【0009】印加する磁場の強度は、目的とするセルロ
ースエステルフイルムの複屈折率に応じて決定する。磁
場の強度は、0.1乃至20テスラ(T)であることが
好ましく、0.2乃至10Tであることがより好まし
く、0.5乃至6Tであることがさらに好ましく、1乃
至3Tであることが最も好ましい。磁場を印加する時間
は、セルロースエステルフイルムの製造方法の場合、ド
ープまたはメルトを固化するために要する時間に相当す
る。通常は、数分乃至数日である。なお、セルロースエ
ステルのガラス転移温度以上の温度で加熱しながら磁場
を印加すると、磁場を印加する時間を短縮することがで
きる。セルロースエステルフイルムの複屈折率上昇方法
では、磁場を印加する時間は、目的とするセルロースエ
ステルフイルムの複屈折率と温度のような処理条件によ
り変化する。いずれの方法でも、磁場の強度を高くする
ことにより、印加時間の短縮が可能である。また、芳香
族化合物をセルロースエステルに添加することによって
も、印加時間を短縮することができる。磁場の印加は、
市販の常温電磁石(例えば、磁気記録用の電磁石)ある
いは超伝導電磁石を、公知のセルロースエステルフイル
ムの流延装置に組み込むことで実施できる。
【0010】[芳香族化合物]芳香族化合物をセルロー
スエステルに添加しておくと、磁場の印加による固有複
屈折率の上昇効果が増大する。これは、芳香族化合物が
一般に磁化率異方性を有しており、セルロースエステル
よりも磁場の影響を受けやすい(磁場により配向しやす
い)ためと考えられる。芳香族化合物が配向することに
より、セルロースエステル分子がさらに容易に配向す
る。芳香族化合物は、セルロースエステル100重量部
に対して、0.1乃至10重量部の範囲で使用すること
が好ましい。
【0011】芳香族化合物は、芳香族環、すなわち芳香
族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を有する化合物であ
る。芳香族炭化水素環の例には、ベンゼン環、インデン
環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナ
ントレン環、アントレセン環、アセナフチレン環、ビフ
ェニレン環、ナフタセン環、ピレン環、ペンタレン環、
ヘプタレン環、as−インダセン環、s−インダセン
環、フェナレン環、フルオランテン環、アセフェナント
リレン環、アセアントリレン環、トリフェニレン環、ク
リセン環、プレイアデン環、ピセン環、ペリレン環、ペ
ンタフェン環、ペンタセン環、テトラフェニレン環、ヘ
キサフェン環、ヘキサセン環、ルビセン環、コロネン
環、トリナフチレン環、ヘプタフェン環、ヘプタセン
環、ピラントレン環およびオバレン環が含まれる。芳香
族ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族ヘ
テロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好
ましく、5員環または6員環であることがさらに好まし
い。芳香族ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有す
る。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫
黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族ヘ
テロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール
環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール
環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール
環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン
環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および
1,3,5−トリアジン環が含まれる。芳香族性ヘテロ
環よりも芳香族環の方が好ましく、ベンゼン環が特に好
ましい。
【0012】芳香族化合物が有する芳香族環の数は、1
乃至20であることが好ましく、2乃至12であること
がさらに好ましく、2乃至8であることが最も好まし
い。複数の芳香族環の間は、単結合または二価の連結基
を介して結合させることが好ましく、二価の連結基を介
して複数の芳香族環を結合させることがさらに好まし
い。二価の連結基は、−C≡C−、−CH=CH−、−
CH=N−、−CO−、−O−、−NH−またはこれら
の組み合わせであることが好ましい。組み合わせにより
得られる二価の連結基の例には、−C≡C−C≡C−、
−C≡C−CH=CH−C≡C−、−CO−O−、−C
O−NH−、−O−CO−CH=CH−および−NH−
CO−CH=CH−が含まれる。
【0013】芳香族環は、置換基を有していてもよい。
置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、
I)、シアノ、ニトロ、脂肪族基、−O−R、−CO−
R、−O−CO−R、−CO−O−R、−NH−CO−
R、−CO−NH−R、−SO3−Rおよび−SiR4
が含まれる。Rは、水素原子または脂肪族基である。上
記脂肪族基は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニ
ル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニ
ル基を含む。アルキル基は、環状アルキル基よりも鎖状
アルキル基の方が好ましい。鎖状アルキル基は、分岐を
有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1乃至
20であることが好ましく、1乃至15であることがよ
り好ましく、1乃至12であることがさらに好ましく、
1乃至10であることが最も好ましい。置換アルキル基
のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。置換
アルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子(F、C
l、Br、I)、シアノ、ニトロ、−O−R、−CO−
R、−O−CO−R、−CO−O−R、−NH−R、−
NH−CO−R、−CO−NH−R、−SO3 −Rおよ
び−SiR4 が含まれる。Rは、水素原子または脂肪族
基である。
【0014】アルケニル基は、環状アルケニル基よりも
鎖状アルケニル基の方が好ましい。鎖状アルケニル基
は、分岐を有していてもよい。アルケニル基の炭素原子
数は、2乃至20であることが好ましく、2乃至15で
あることがより好ましく、2乃至12であることがさら
に好ましく、2乃至10であることが最も好ましい。置
換アルケニル基のアルケニル部分は、上記アルケニル基
と同様である。置換アルケニル基の置換基の例は、上記
置換アルキル基の置換基の例と同様である。アルキニル
基は、環状アルキニル基よりも鎖状アルキニル基の方が
好ましい。鎖状アルキニル基は、分岐を有していてもよ
い。アルキニル基の炭素原子数は、2乃至20であるこ
とが好ましく、2乃至15であることがより好ましく、
2乃至12であることがさらに好ましく、2乃至10で
あることが最も好ましい。置換アルキニル基のアルキニ
ル部分は、上記アルキニル基と同様である。置換アルキ
ニル基の置換基の例は、上記置換アルキル基の置換基の
例と同様である。
【0015】[セルロースエステル]セルロースエステ
ルは、セルロースの低級脂肪酸エステルであることが好
ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸
を意味する。炭素原子数は、2(セルロースアセテー
ト)、3(セルロースプロピオネート)または4(セル
ロースブチレート)であることが好ましい。セルロース
アセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロ
ピオネートやセルロースアセテートブチレートのような
混合脂肪酸エステルを用いてもよい。セルロースアセテ
ートの平均酢化度(アセチル化度)は、55.0%以上
62.5%未満であることが好ましい。フイルムの物性
の観点では、平均酢化度は、58.0%以上62.5%
未満であることがさらに好ましい。ただし、平均酢化度
が55.0%以上58.0%未満(好ましくは57.0
%以上58.0%未満)であるセルロースアセテートを
用いると、非常に高いレターデーション値のフイルムを
製造することができる。酢化度とは、セルロース単位重
量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、AST
M:D−817−91(セルロースアセテート等の試験
法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。セ
ルロースエステルの粘度平均重合度(DP)は、250
以上であることが好ましく、290以上であることがさ
らに好ましい。また、本発明に使用するセルロースエス
テルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによ
るMw/Mn(Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分
子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なM
w/Mnの値としては、1.0乃至1.7であることが
好ましく、1.3乃至1.65であることがさらに好ま
しく、1.4乃至1.6であることが最も好ましい。
【0016】[セルロースエステルの複屈折率]セルロ
ースエステルフイルムの厚み方向の複屈折率は、測定光
の入射方向をフイルム膜面に対して鉛直方向として、遅
相軸を基準とする面内レターデーションの測定結果と、
入射方向をフイルム膜面に対する鉛直方向に対して傾斜
させた測定結果から外挿して求める。測定は、エリプソ
メーター(例えば、M−150:日本分光(株)製)を
用いて実施できる。厚み方向の複屈折率は、それぞれ下
記に従って算出する。 厚み方向の複屈折率=(nx+ny)/2−nz 式中、nxはフイルム平面内のx方向の屈折率であり、
nyはフイルム平面内のy方向の屈折率であり、そし
て、nzはフイルム面に垂直な方向の屈折率である。本
発明に従い磁場を印加することで、厚み方向の複屈折率
が6.8×10-4乃至4.0×10-3(好ましくは、
2.5×10-3乃至4.0×10-3)のセルロースエス
テルフイルムを得ることができる。
【0017】[有機溶媒]セルロースエステルフイルム
の製造方法では、メルトキャスト法よりも、ソルベント
キャスト法を採用することが好ましい。ソルベントキャ
スト法では、セルロースエステルを有機溶媒に溶解した
溶液(ドープ)を用いてフイルムを製造する。有機溶媒
は、炭素原子数が3乃至12のエーテル、炭素原子数が
3乃至12のケトン、炭素原子数が3乃至12のエステ
ルおよび炭素原子数が1乃至6のハロゲン化炭化水素か
ら選ばれる溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケト
ンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エ
ーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−
O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以
上有する化合物も、有機溶媒として用いることができ
る。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能
基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有
機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を
有する化合物の規定範囲内であればよい。
【0018】炭素原子数が3乃至12のエーテル類の例
には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジ
メトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキ
ソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネ
トールが含まれる。炭素原子数が3乃至12のケトン類
の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケ
トン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメ
チルシクロヘキサノンが含まれる。炭素原子数が3乃至
12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピ
ルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテー
ト、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含ま
れる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、
2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノー
ルおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。ハロゲン
化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好
ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化
水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲ
ン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている
割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、3
0乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至
65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60
モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリド
が、代表的なハロゲン化炭化水素である。
【0019】二種類以上の有機溶媒を混合して用いても
よい。特に好ましい有機溶媒は、互いに異なる三種類の
溶媒の混合溶媒であって、第1の溶媒が3乃至12のエ
ーテル、炭素原子数が3乃至12のケトン、炭素原子数
が3乃至12のエステルおよび炭素原子数が1乃至6の
ハロゲン化炭化水素から選ばれ、第2の溶媒が炭素原子
数が1乃至5の直鎖状一価アルコールから選ばれ、そし
て第3の溶媒が沸点が30乃至170℃のアルコール、
炭化水素および環状エーテルから選ばれる。第1の溶媒
のエーテル、ケトン、エステルおよびハロゲン化炭化水
素については、前述した通りである。第2の溶媒は、炭
素原子数が1乃至5の直鎖状一価アルコールから選ばれ
る。アルコールの水酸基は、炭化水素直鎖の末端に結合
してもよいし(第一級アルコール)、中間に結合しても
よい(第二級アルコール)。第2の溶媒は、具体的に
は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−
プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−
ペンタノール、2−ペンタノールおよび3−ペンタノー
ルから選ばれる。直鎖状一価アルコールの炭素原子数
は、1乃至4であることが好ましく、1乃至3であるこ
とがさらに好ましく、1または2であることが最も好ま
しい。エタノールが特に好ましく用いられる。
【0020】第3の溶媒は、沸点が30乃至170℃の
アルコール、沸点が30乃至170℃の炭化水素および
沸点が30乃至170℃の環状エーテルから選ばれる。
アルコールは一価であることが好ましい。アルコールの
炭化水素部分は、直鎖であっても、分岐を有していて
も、環状であってもよい。炭化水素部分は、飽和脂肪族
炭化水素であることが好ましい。アルコールの水酸基
は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。アルコー
ルの例には、メタノール(沸点:64.65℃)、エタ
ノール(78.325℃)、1−プロパノール(97.
15℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−ブタ
ノール(117.9℃)、2−ブタノール(99.5
℃)、t−ブタノール(82.45℃)、1−ペンタノ
ール(137.5℃)、2−メチル−2−ブタノール
(101.9℃)およびシクロヘキサノール(161
℃)が含まれる。
【0021】アルコールについては、前記第2の溶媒の
定義と重複するが、第2の溶媒として使用するアルコー
ルとは異なる種類のアルコールであれば、第3の溶媒と
して使用できる。例えば、第2の溶媒として、エタノー
ルを使用する場合は、第2の溶媒の定義に含まれる他の
アルコール(メタノール、1−プロパノール、2−プロ
パノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペン
タノール、2−ペンタノールまたは3−ペンタノール)
を第3の溶媒として使用していもよい。炭化水素は、直
鎖であっても、分岐を有していても、環状であってもよ
い。芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素のいずれも用いる
ことができる。脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽
和であってもよい。であることがさらに好ましい。炭化
水素の例には、シクロヘキサン(沸点:80.7℃)、
ヘキサン(69℃)、ベンゼン(80.1℃)、トルエ
ン(110.6℃)およびキシレン(138.4〜14
4.4℃)が含まれる。環状エーテルの例には、1,3
−ジオキソラン(沸点:78℃)が含まれる。
【0022】三種混合溶媒中には、第1の溶媒が50乃
至95重量%含まれることが好ましく、60乃至92重
量%含まれることがより好ましく、65乃至90重量%
含まれることが更に好ましく、70乃至88重量%含ま
れることが最も好ましい。第2の溶媒は、1乃至30重
量%含まれることが好ましく、2乃至27重量%含まれ
ることがより好ましく、3乃至24重量%含まれること
がさらに好ましく、4乃至22重量%含まれることが最
も好ましい。第3の溶媒は、1乃至30重量%含まれる
ことが好ましく、2乃至27重量%含まれることがより
好ましく、3乃至24重量%含まれることがさらに好ま
しく、4乃至22重量%含まれることが最も好ましい。
さらに他の有機溶媒を併用して、四種以上の混合溶媒と
してもよい。四種以上の混合溶媒を用いる場合の4番目
以降の溶媒も、前述した三種類の溶媒から選択すること
が好ましい。前述した三種類の溶媒以外の溶媒して、炭
素原子数が3乃至12のエーテル類(例、ジイソプロピ
ルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、
1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒ
ドロフラン、アニソール、フェネトール)やニトロメタ
ンを併用してもよい。
【0023】[溶液の調製(一般的な方法)]本発明で
は、冷却溶解法を採用せずに、一般的な方法で溶液を調
製することができる。一般的な方法とは、0℃以上の温
度(常温または高温)で、処理することを意味する。溶
液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドー
プの調製方法および装置を用いて実施することができ
る。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロ
ゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いること
が好ましい。セルロースエステルの量は、得られる溶液
中に10乃至40重量%含まれるように調整する。セル
ロースエステルの量は、10乃至30重量%であること
がさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述す
る任意の添加剤を添加しておいてもよい。溶液は、常温
(0乃至40℃)でセルロースエステルと有機溶媒とを
攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶
液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的
には、セルロースエステルと有機溶媒とを加圧容器に入
れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、か
つ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌す
る。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは
60乃至200℃であり、さらに好ましくは80乃至1
10℃である。
【0024】各成分は予め粗混合してから容器に入れて
もよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌
できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の
不活性気体を注入して容器を加圧することができる。ま
た、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。
あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加しても
よい。加熱する場合、容器の外部より加熱することが好
ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いる
ことができる。また、容器の外部にプレートヒーターを
設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を
加熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、こ
れを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の
壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端に
は、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けるこ
とが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を
設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。
調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるい
は、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
【0025】[溶液の調製(冷却溶解法)]冷却溶解法
により、溶液を調製することもできる。冷却溶解法で
は、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有機溶
媒(ハロゲン化炭化水素以外の有機溶媒)中にも、セル
ロースエステルを溶解させることができる。なお、通常
の溶解方法でセルロースエステルを溶解できる溶媒(例
えば、ハロゲン化炭化水素)であっても、冷却溶解法に
よると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。冷
却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロースエ
ステルを撹拌しながら徐々に添加する。セルロースエス
テルの量は、この混合物中に10乃至40重量%含まれ
るように調整することが好ましい。セルロースエステル
の量は、10乃至30重量%であることがさらに好まし
い。さらに、混合物中には前述した芳香族化合物や後述
する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
【0026】次に、混合物を−100乃至−10℃(好
ましくは−80乃至−10℃、さらに好ましくは−50
乃至−20℃、最も好ましくは−50乃至−30℃)に
冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール
浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液
(−30乃至−20℃)中で実施できる。このように冷
却すると、セルロースエステルと有機溶媒の混合物は固
化する。冷却速度は、4℃/分以上であることが好まし
く、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃
/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速い
ほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であ
り、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして10
0℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷
却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷却
を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で
割った値である。
【0027】さらに、これを0乃至200℃(好ましく
は0乃至150℃、さらに好ましくは0乃至120℃、
最も好ましくは0乃至50℃)に加温すると、有機溶媒
中にセルロースエステルが溶解する。昇温は、室温中に
放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。加温
速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分
以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であ
ることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましい
が、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000
℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実
用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する
時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してか
ら最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値であ
る。以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、
溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返し
てもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶
液の外観を観察するだけで判断することができる。
【0028】冷却溶解法においては、冷却時の結露によ
る水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ま
しい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、
加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができ
る。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を
用いることが望ましい。なお、セルロースアセテート
(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷
却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20重量
%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、3
3℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在
し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、
この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移
温度プラス10℃程度の温度で保存する必要がある。た
だし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの
平均酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機
溶媒により異なる。
【0029】[フイルムの製造]調製したセルロースエ
ステル溶液(ドープ)または溶融したセルロースエステ
ル(メルト)を支持体上に流延して、セルロースエステ
ルフイルムを製造する。ドープは支持体上に流延し、溶
媒を蒸発させてフイルムを形成する。流延前のドープ
は、固形分量が18乃至35%となるように濃度を調整
することが好ましい。メルトも支持体上に流延し、冷却
してフイルムを形成する。支持体としては、ドラムまた
はバンドを用いることが好ましい。ドラムまたはバンド
の表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソ
ルベントキャスト法における流延および乾燥方法につい
ては、米国特許2336310号、同2367603
号、同2492078号、同2492977号、同24
92978号、同2607704号、同2739069
号、同2739070号、英国特許640731号、同
736892号の各明細書、特公昭45−4554号、
同49−5614号、特開昭60−176834号、同
60−203430号、同62−115035号の各公
報に記載がある。なお、ドープを表面温度が10℃以下
のドラムまたはバンド上に流延する方法(冷却流延法)
が提案されているが、本発明では支持体温度を12℃以
上にすることが好ましい。流延したドープのゲル化(乾
燥)またはメルトのゲル化(冷却)工程において、前述
した磁場の印加を実施する。製造するフイルムの厚さ
は、40乃至300μmであることが好ましく、70乃
至200μmであることがさらに好ましい。
【0030】[フイルムの添加剤]セルロースエステル
フイルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥
速度を向上するために、可塑剤を添加することができ
る。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸
エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリ
フェニルフォスフェート(TPP)およびトリクレジル
ホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステ
ルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステル
が代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチル
フタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DE
P)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタ
レート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)お
よびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれ
る。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸
トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸
トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボ
ン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール
酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメ
リット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑
剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEH
P)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に
好ましい。可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量
の0.1乃至25重量%であることが好ましく、1乃至
20重量%であることがさらに好ましく、3乃至15重
量%であることが最も好ましい。
【0031】セルロースエステルフイルムには、劣化防
止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止
剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)や紫外線防止
剤を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3
−199201号、同5−1907073号、同5−1
94789号、同5−271471号、同6−1078
54号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、
調製する溶液(ドープ)の0.01乃至1重量%である
ことが好ましく、0.01乃至0.2重量%であること
がさらに好ましい。添加量が0.01重量%未満である
と、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量
が1重量%を越えると、フイルム表面への劣化防止剤の
ブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。
特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロ
キシトルエン(BHT)を挙げることができる。紫外線
防止剤については、特開平7−11056号公報に記載
がある。なお、平均酢化度が55.0乃至58.0%で
あるセルロースアセテートは、平均酢化度が58.0%
以上であるセルローストリアセテートと比較して、調製
した溶液の安定性や製造したフイルムの物性が劣るとの
欠点がある。しかし、上記のような劣化防止剤、特にブ
チル化ヒドロキシトルエン(BHT)のような酸化防止
剤を用いることで、この欠点を実質的に解消することが
可能である。
【0032】[液晶表示装置の構成]セルロースエステ
ルフイルムは、様々な用途で用いることができる。本発
明に従い得られるセルロースエステルフイルムは、液晶
表示装置の光学補償シートとして用いると特に効果があ
る。本発明に従い得られるセルロースエステルフイルム
には、複屈折率が高いとの特徴があるため、フイルムそ
のものを光学補償シートとして用いることができる。さ
らに、液晶性分子から形成した光学的異方性層を有する
光学補償シートの光学的異方性透明支持体としても、有
利に用いることができる。
【0033】図1は、透過型液晶表示装置の基本的な構
成を示す模式図である。図1の(a)に示す透過型液晶
表示装置は、バックライト(BL)側から順に、透明保
護膜(1a)、偏光膜(2a)、透明支持体(3a)、
光学的異方性層(4a)、液晶セルの下基板(5a)、
棒状液晶性分子からなる液晶層(6)、液晶セルの上基
板(5b)、光学的異方性層(4b)、透明支持体(3
b)、偏光膜(2b)、そして透明保護膜(1b)から
なる。透明保護膜(1a)〜光学的異方性層(4a)お
よび光学的異方性層(4b)〜透明保護膜(1b)が、
二枚の楕円偏光板を構成している。図1の(b)に示す
透過型液晶表示装置は、バックライト(BL)側から順
に、透明保護膜(1a)、偏光膜(2a)、透明支持体
(3a)、光学的異方性層(4a)、液晶セルの下基板
(5a)、棒状液晶性分子からなる液晶層(6)、液晶
セルの上基板(5b)、透明保護膜(1b)、偏光膜
(2b)、そして透明保護膜(1c)からなる。透明保
護膜(1a)〜光学的異方性層(4a)が、楕円偏光板
を構成している。図1の(c)に示す透過型液晶表示装
置は、バックライト(BL)側から順に、透明保護膜
(1a)、偏光膜(2a)、透明保護膜(1b)、液晶
セルの下基板(5a)、棒状液晶性分子からなる液晶層
(6)、液晶セルの上基板(5b)、光学的異方性層
(4b)、透明支持体(3b)、偏光膜(2b)、そし
て透明保護膜(1c)からなる。光学的異方性層(4
b)〜透明保護膜(1c)が、楕円偏光板を構成してい
る。
【0034】図2は、反射型液晶表示装置の基本的な構
成を示す模式図である。図2に示す反射型液晶表示装置
は、反射板(RP)側から順に、液晶セルの下基板(5
a)、棒状液晶性分子からなる液晶層(6)、液晶セル
の上基板(5b)、光学的異方性層(4b)、透明支持
体(3b)、偏光膜(2b)、そして透明保護膜(1
b)からなる。光学的異方性層(4b)〜透明保護膜
(1b)が、楕円偏光板を構成している。本発明に従い
製造したセルロースエステルフイルムは、図1および図
2に示した、楕円偏光板の透明支持体として特に有利に
用いることができる。
【0035】[透明保護膜]透明保護膜としては、光学
的等方性のポリマーフイルムが用いられる。保護膜が透
明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味
する。光学的等方性とは、具体的には、面内レターデー
ション(Re)が10nm以下であることが好ましく、
5nm以下であることがさらに好ましい。また、厚み方
向のレターデーション(Rth)は、40nm以下である
ことが好ましく、20nm以下であることがさらに好ま
しい。面内レターデーション(Re)と厚み方向のレタ
ーデーション(Rth)の定義については、透明支持体に
ついて後述する。透明保護膜としては、一般にセルロー
スエステルフイルム、好ましくはトリアセチルセルロー
スフイルムが用いられる。セルロースエステルフイルム
は、ソルベントキャスト法により形成することが好まし
い。透明保護膜の厚さは、20乃至500μmであるこ
とが好ましく、50乃至200μmであることがさらに
好ましい。
【0036】[偏光膜]偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、
二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜が
ある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポ
リビニルアルコール系フイルムを用いて製造する。偏光
膜の偏光軸は、フイルムの延伸方向に垂直な方向に相当
する。
【0037】[セルロースエステルフイルムの表面処
理]本発明に従い製造したセルロースエステルフイルム
を、光学的異方性透明支持体として用いる場合、偏光膜
側の面を表面処理することにより、透明支持体と偏光膜
との接着を改善することが好ましい。表面処理として
は、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処
理、アルカリ処理または紫外線照射処理を実施する。コ
ロナ放電処理とグロー放電処理は、市販の放電処理機を
用いて実施できる。放電処理は、水蒸気の存在下で実施
することが好ましい。水蒸気分圧は、10乃至100%
であることが好ましく、40乃至90%であることがさ
らに好ましい。透明支持体を予熱してから、放電処理を
行うことが好ましい。予熱温度は、50℃以上であるこ
とが好ましく、70℃以上であることがさらに好まし
く、80℃以上であることが最も好ましい。予熱温度の
上限は、透明支持体のガラス転移温度である。グロー放
電処理における真空度は、0.005乃至20Torr
であることが好ましく、0.02乃至2Torrである
ことがさらに好ましい。グロー放電処理の電圧は、50
0乃至5000Vであることが好ましく、500乃至3
000Vであることがさらに好ましい。グロー放電周波
数は、50Hz乃至20MHzであることが好ましく、
1KHz乃至1MHzであることがさらに好ましい。グ
ロー放電強度は、0.01乃至5KV・A・分/m2
あることが好ましく、0.15乃至1KV・A・分/m
2 であることがさらに好ましい。放電処理が終了した透
明支持体は、直ちに冷却することが好ましい。
【0038】火炎処理では、ガス(天然ガス、プロパン
ガス)と空気との混合比が重要である。ガス/空気の容
積比は、1/13乃至1/21であることが好ましく、
1/14乃至1/20であることがさらに好ましい。透
明支持体の面積当たりの火炎処理の熱量は、1乃至50
kcal/m2 であることが好ましい。火炎の内炎先端
と透明支持体との距離は、4cm以下であることが好ま
しい。酸処理に使用する酸は、塩酸、硫酸または硝酸の
ような無機酸であることが好ましい。アルカリ処理に使
用するアルカリは、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリ
ウムのようなアルカリ金属の水酸化物であることが好ま
しい。酸処理またはアルカリ処理は、酸またはアルカリ
の水溶液に透明支持体の偏光膜側の面を浸漬して実施す
る。浸漬時間は、30秒乃至10分であることが好まし
い。浸漬終了後、透明支持体を水で洗浄することが好ま
しい。紫外線照射処理の紫外線波長は、220乃至38
0nmであることが好ましい。照射光量は、20乃至1
0000mJ/cm3 であることが好ましく、50乃至
2000mJ/cm3 であることがさらに好ましく、1
00乃至1500mJ/cm3 であることが最も好まし
い。
【0039】酸処理またはアルカリ処理を実施すること
が特に好ましい。本発明では、透明支持体がセルロース
エステルフイルムであるため、酸処理またはアルカリ処
理は、ケン化処理として機能する。透明支持体の反対側
の面、すなわち、配向膜あるいは光学的異方性層を設け
る側の面は、表面処理を実施しないことが好ましい。ケ
ン化処理の場合、透明支持体と光学的異方性層との積層
体を、酸またはアルカリの水溶液に浸漬すれば、透明支
持体の偏光膜側の面のみを表面処理することができる。
透明支持体と配向膜あるいは光学的異方性層との接着を
改善するためには、ゼラチン下塗り層を設けることが好
ましい。ゼラチンの下塗り層の厚さは、0.01乃至1
μmであることが好ましく、0.02乃至0.5μmで
あることがさらに好ましく、0.05乃至0.2μmで
あることが最も好ましい。
【0040】[配向膜]配向膜は、有機化合物(好まし
くはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸
着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラン
グミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物
(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモ
ニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のよう
な手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、
磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配
向膜も知られている。ポリマーのラビング処理により形
成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理は、ポリマ
ー層の表面を、紙や布で一定方向に、数回こすることに
より実施する。配向膜に使用するポリマーの種類は、液
晶セルの表示モードの種類に応じて決定する。液晶セル
内の棒状液晶性分子の多くが実質的に垂直に配向してい
る表示モード(例、VA、OCB、HAN)では、光学
的異方性層の液晶性分子を実質的に水平に配向させる機
能を有する配向膜を用いる。液晶セル内の棒状液晶性分
子の多くが実質的に水平に配向している表示モード
(例、STN)では、光学的異方性層の液晶性分子を実
質的に垂直に配向させる機能を有する配向膜を用いる。
液晶セル内の棒状液晶性分子の多くが実質的に斜めに配
向している表示モード(例、TN)では、光学的異方性
層の液晶性分子を実質的に斜めに配向させる機能を有す
る配向膜を用いる。
【0041】具体的なポリマーの種類については、液晶
セルの表示モードに対応する液晶性分子を用いた光学補
償シートについての文献に記載がある。配向膜に使用す
るポリマーを架橋して、配向膜の強度を強化してもよ
い。配向膜に使用するポリマーに架橋性基を導入して、
架橋性基を反応させることにより、ポリマーを架橋させ
ることができる。なお、配向膜に使用するポリマーの架
橋については、特開平8−338913号公報に記載が
ある。配向膜の厚さは、0.01乃至5μmであること
が好ましく、0.05乃至1μmであることがさらに好
ましい。なお、配向膜を用いて液晶性分子を配向させて
から、その配向状態のまま液晶性分子を固定して光学的
異方性層を形成し、光学的異方性層のみを支持体上に転
写してもよい。配向状態で固定されたディスコティック
液晶性分子は、配向膜がなくても配向状態を維持するこ
とができる。そのため、光学補償シートでは、配向膜は
(ディスコティック液晶性分子を含む光学補償シートの
製造において必須ではあるが)必須の要素ではない。
【0042】[光学的異方性層]光学的異方性層は、液
晶性分子から形成する。液晶性分子としては、棒状液晶
性分子またはディスコティック液晶性分子が好ましく、
ディスコティック液晶性分子が特に好ましい。棒状液晶
性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビ
フェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エス
テル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル
類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェ
ニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン
類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニル
シクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられ
る。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分
子液晶性分子も用いることができる。高分子液晶性分子
は、以上のような低分子液晶性分子に相当する側鎖を有
するポリマーである。高分子液晶性分子を用いた光学補
償シートについては、特開平5−53016号公報に記
載がある。
【0043】ディスコティック液晶性分子は、様々な文
献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., v
ol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総
説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節
(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. C
omm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am.Che
m. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されて
いる。ディスコティック液晶性分子の重合については、
特開平8−27284公報に記載がある。ディスコティ
ック液晶性分子を重合により固定するためには、ディス
コティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重
合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに
重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を
保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基
との間に、連結基を導入する。従って、ディスコティッ
ク液晶性分子は、下記式(I)で表わされる化合物であ
ることが好ましい。
【0044】(I) D(−L−P)n 式中、Dは円盤状コアであり;Lは二価の連結基であ
り;Pは重合性基であり;そして、nは4乃至12の整
数である。式(I)の円盤状コア(D)の例を以下に示
す。以下の各例において、LP(またはPL)は、二価
の連結基(L)と重合性基(P)との組み合わせを意味
する。
【0045】
【化1】
【0046】
【化2】
【0047】
【化3】
【0048】
【化4】
【0049】
【化5】
【0050】
【化6】
【0051】
【化7】
【0052】
【化8】
【0053】
【化9】
【0054】式(I)において、二価の連結基(L)
は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−
CO−、−NH−、−O−、−S−およびそれらの組み
合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であること
が好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、ア
ルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−
O−および−S−からなる群より選ばれる二価の基を少
なくとも二つ組み合わせた基であることがさらに好まし
い。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレ
ン基、アリーレン基、−CO−および−O−からなる群
より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基
であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数
は、1乃至12であることが好ましい。アルケニレン基
の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましい。ア
リーレン基の炭素原子数は、6乃至10であることが好
ましい。アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレ
ン基は、置換基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シア
ノ、アルコキシ基、アシルオキシ基)を有していてもよ
い。二価の連結基(L)の例を以下に示す。左側が円盤
状コア(D)に結合し、右側が重合性基(P)に結合す
る。ALはアルキレン基またはアルケニレン基を意味
し、ARはアリーレン基を意味する。
【0055】L1:−AL−CO−O−AL− L2:−AL−CO−O−AL−O− L3:−AL−CO−O−AL−O−AL− L4:−AL−CO−O−AL−O−CO− L5:−CO−AR−O−AL− L6:−CO−AR−O−AL−O− L7:−CO−AR−O−AL−O−CO− L8:−CO−NH−AL− L9:−NH−AL−O− L10:−NH−AL−O−CO− L11:−O−AL− L12:−O−AL−O−
【0056】L13:−O−AL−O−CO− L14:−O−AL−O−CO−NH−AL− L15:−O−AL−S−AL− L16:−O−CO−AL−AR−O−AL−O−CO− L17:−O−CO−AR−O−AL−CO− L18:−O−CO−AR−O−AL−O−CO− L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−C
O− L20:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−A
L−O−CO− L21:−S−AL− L22:−S−AL−O− L23:−S−AL−O−CO− L24:−S−AL−S−AL− L25:−S−AR−AL−
【0057】なお、STNモードのような棒状液晶性分
子がねじれ配向している液晶セルを、光学的に補償する
ためには、ディスコティック液晶性分子もねじれ配向さ
せることが好ましい。上記AL(アルキレン基またはア
ルケニレン基)に、不斉炭素原子を導入すると、ディス
コティック液晶性分子を螺旋状にねじれ配向させること
ができる。また、不斉炭素原子を含む光学活性を示す化
合物(カイラル剤)を光学的異方性層に添加しても、デ
ィスコティック液晶性分子を螺旋状にねじれ配向させる
ことができる。
【0058】式(I)の重合性基(P)は、重合反応の
種類に応じて決定する。重合性基(P)の例を以下に示
す。
【0059】
【化10】
【0060】
【化11】
【0061】
【化12】
【0062】
【化13】
【0063】
【化14】
【0064】
【化15】
【0065】重合性基(P)は、不飽和重合性基(P
1、P2、P3、P7、P8、P15、P16、P1
7)またはエポキシ基(P6、P18)であることが好
ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、
エチレン性不飽和重合性基(P1、P7、P8、P1
5、P16、P17)であることが最も好ましい。式
(I)において、nは4乃至12の整数である。具体的
な数字は、ディスコティックコア(D)の種類に応じて
決定される。なお、複数のLとPの組み合わせは、異な
っていてもよいが、同一であることが好ましい。
【0066】二種類以上のディスコティック液晶性分子
を併用してもよい。例えば、以上述べたような重合性デ
ィスコティック液晶性分子と非重合性ディスコティック
液晶性分子とを併用することができる。非重合性ディス
コティック液晶性分子は、前述した重合性ディスコティ
ック液晶性分子の重合性基(P)を、水素原子またはア
ルキル基に変更した化合物であることが好ましい。すな
わち、非重合性ディスコティック液晶性分子は、下記式
(II)で表わされる化合物であることが好ましい。 (II) D(−L−R)n 式中、Dは円盤状コアであり;Lは二価の連結基であ
り;Rは水素原子またはアルキル基であり;そして、n
は4乃至12の整数である。式(II)の円盤状コア
(D)の例は、LP(またはPL)をLR(またはR
L)に変更する以外は、前記の重合性ディスコティック
液晶分子の例と同様である。また、二価の連結基(L)
の例も、前記の重合性ディスコティック液晶分子の例と
同様である。Rのアルキル基は、炭素原子数が1乃至4
0であることが好ましく、1乃至30であることがさら
に好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方
が好ましく、分岐を有する鎖状アルキル基よりも直鎖状
アルキル基の方が好ましい。Rは、水素原子または炭素
原子数が1乃至30の直鎖状アルキル基であることが特
に好ましい。
【0067】光学的異方性層は、液晶性分子、あるいは
下記の重合性開始剤や任意の添加剤(例、可塑剤、モノ
マー、界面活性剤、セルロースエステル、1,3,5−
トリアジン化合物、カイラル剤)を含む塗布液を、配向
膜の上に塗布することで形成する。塗布液の調製に使用
する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有
機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルム
アミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシ
ド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素
(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、
クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸
メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチル
エチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、
1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハラ
イドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を
併用してもよい。塗布液の塗布は、公知の方法(例、押
し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティン
グ法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティ
ング法)により実施できる。
【0068】液晶性分子は、実質的に均一に配向してい
ることが好ましく、実質的に均一に配向している状態で
固定されていることがさらに好ましく、重合反応により
液晶性分子が固定されていることが最も好ましい。重合
反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開
始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好
ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物
(米国特許2367661号、同2367670号の各
明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448
828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロ
イン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、
多核キノン化合物(米国特許3046127号、同29
51758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾ
ールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わ
せ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジ
ンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667
号公報、米国特許4239850号明細書記載)および
オキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明
細書記載)が含まれる。光重合開始剤の使用量は、塗布
液の固形分の0.01乃至20重量%であることが好ま
しく、0.5乃至5重量%であることがさらに好まし
い。ディスコティック液晶性分子の重合のための光照射
は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギー
は、20mJ/cm2 乃至50J/cm2 であることが
好ましく、100乃至800mJ/cm2 であることが
さらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件
下で光照射を実施してもよい。
【0069】光学的異方性層の厚さは、一般には、0.
1乃至10μmである。ただし、液晶セルのモードによ
っては、高い光学的異方性を得るために、光学的異方性
層を厚く(3乃至10μm)する場合がある。本発明者
の研究によれば、いことが好ましく、0.5乃至5μm
であることがさらに好ましく、1乃至5μmであること
が最も好ましい。光学的異方性層内での液晶性分子の配
向状態は、前述したように、液晶セルの表示モードの種
類に応じて決定される。液晶性分子の配向状態は、具体
的には、液晶性分子の種類、配向膜の種類および光学的
異方性層内の添加剤(例、可塑剤、バインダー、界面活
性剤)の使用によって制御される。
【0070】[液晶表示装置]本発明に従い製造したセ
ルロースエステルフイルムを用いた光学的異方性透明支
持体は、様々な表示モードの液晶セルに適用できる。前
述したように、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-
Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Cr
ystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、S
TN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically A
ligned)およびHAN(Hybrid AlignedNematic)のよ
うな様々な表示モードが提案されている。
【0071】
【実施例】[実施例1]室温において、平均酢化度61
%のセルローストリアセテート20重量部とメチレンク
ロライド80重量部を混合し、セルローストリアセテー
ト溶液(ドープ)を調製した。得られた溶液(ドープ)
をガラス板上に流延し、超電導磁石内(磁場強度:6テ
スラ)で、磁場方向がフイルム平面と垂直になるように
流延した試料を配置した。これに適当な間隔を設けた蓋
をして、3日間放置した。ガラス板からセルローストリ
アセテートフイルム(厚さ:156μm)を剥離した。
作製したフイルムの厚み方向のレターデーション(Rt
h)および厚み方向の複屈折率をエリプソメータ(M−
150、日本分光(株)製)で測定した。結果を第1表
に示す。
【0072】[比較例1]磁場を印加しなかった以外
は、実施例1と同様にしてセルローストリアセテートフ
イルム(厚さ:127μm)を作製した。作製したフイ
ルムの厚み方向のレターデーション(Rth)および厚み
方向の複屈折率をエリプソメータ(M−150、日本分
光(株)製)で測定した。結果を第1表に示す。
【0073】[実施例2]平均酢化度61%のセルロー
ストリアセテート20.3重量部、メチレンクロライド
65重量部、メタノール10.3重量部および1−ブタ
ノール2.0重量部をドープ用ミキシングタンクに投入
し、加熱しながら攪拌することにより、セルローストリ
アセテート溶液を調製した。別に、下記の芳香族化合物
(1)10.5重量部、下記の芳香族化合物(2)4.
5重量部、メチレンクロライド80重量部およびメタノ
ール20重量部を加熱攪拌して、芳香族化合物の溶液を
調製した。
【0074】
【化16】
【0075】セルローストリアセテート溶液100重量
部と芳香族化合物の溶液20重量部とを加熱しながら攪
拌してドープを調製した。得られた溶液(ドープ)をガ
ラス板上に流延し、超電導磁石内(磁場強度:6テス
ラ)で、磁場方向がフイルム平面と垂直になるように流
延した試料を配置した。これに適当な間隔を設けた蓋を
して、2日間放置した。ガラス板からセルローストリア
セテートフイルム(厚さ:100μm)を剥離した。作
製したフイルムの厚み方向のレターデーション(Rth)
および厚み方向の複屈折率をエリプソメータ(M−15
0、日本分光(株)製)で測定した。結果を第1表に示
す。
【0076】[実施例3]芳香族化合物(1)および
(2)に代えて、下記の芳香族化合物(3)を15重量
部用いた以外は、実施例2と同様にして、セルロースト
リアセテートフイルム(厚さ:100μm)を作製し
た。
【0077】
【化17】
【0078】作製したフイルムの厚み方向のレターデー
ション(Rth)および厚み方向の複屈折率をエリプソメ
ータ(M−150、日本分光(株)製)で測定した。結
果を第1表に示す。
【0079】[比較例2]磁場を印加しなかった以外
は、実施例2と同様にしてセルローストリアセテートフ
イルム(厚さ:100μm)を作製した。作製したフイ
ルムの厚み方向のレターデーション(Rth)および厚み
方向の複屈折率をエリプソメータ(M−150、日本分
光(株)製)で測定した。結果を第1表に示す。
【0080】
【表1】 第1表 ─────────────────────────────────── フイルム 磁場 芳香族化合物 厚さ Rth 複屈折率 ─────────────────────────────────── 実施例1 あり なし 156μm 145nm 9.3×10-4 比較例1 なし なし 127μm 81.6nm 6.4×10-4 実施例2 あり(1)+(2) 100μm 73nm 7.3×10-4 実施例3 あり (3) 100μm 260nm 2.6×10-3 比較例2 なし(1)+(2) 100μm 40nm 4.0×10-4 ───────────────────────────────────
【0081】[実施例4] (配向膜の形成)実施例2で作製したセルローストリア
セテートフイルムを透明支持体として用いた。透明支持
体の上に、0.1μmの厚さのゼラチン下塗り層を設け
た。下塗り層の上に、下記の変性ポリビニルアルコール
の水溶液を塗布し、80℃の温風で乾燥した後、ラビン
グ処理を行い配向膜を形成した。
【0082】
【化18】
【0083】(光学的異方性層の形成)下記のディスコ
ティック液晶性化合物1.8g、エチレンオキサイド変
性トリメチロールプロパントリアクリレート(V#36
0、大阪有機化学(株)製)0.2g、セルロースアセ
テートブチレート(CAB531−1.0、イーストマ
ンケミカル社製)0.04g、光重合開始剤(イルガキ
ュア907、日本チバガイギー(株)製)0.06gお
よび増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)
製)0.02gを、メチルエチルケトン3.43gに溶
解して塗布液を調製した。塗布液を#3のワイヤーバー
で配向膜の上に塗布した。これを金属枠に貼り付けて固
定した状態で、120℃の恒温槽中で3分間加熱し、デ
ィスコティック液晶性化合物を配向させた。120℃の
温度を維持して、120W/cmの高圧水銀灯を用いて
1分間紫外線を照射し、ディスコティック液晶性化合物
のビニル基を重合させ、配向状態を固定した。その後、
室温まで放冷した。
【0084】
【化19】
【0085】光学的異方性層の厚さは、1.0μmであ
った。光学的異方性層と透明支持体との積層体のレター
デーションを、配向膜のラビング方向に沿って測定した
ところ、光学軸の平均傾斜角は14゜、厚み方向のレタ
ーデーション(Rth)は154nmであった。
【0086】(透明支持体の表面処理)光学的異方性層
と透明支持体との積層体を、1.5Nの水酸化ナトリウ
ム水溶液(50℃)に3分間浸漬してから、室温の水洗
浴槽中で洗浄し、1.5Nの硫酸で中和し、再度、室温
の水洗浴槽中で洗浄した。積層体を100℃の温風で乾
燥した。このようにして、透明支持体との光学的異方性
層が設けられていない側の面をケン化処理した。
【0087】(透明保護膜の作製)厚さ100μmのト
リアセチルセルロースフイルム(フジタック、富士写真
フイルム(株)製)に、透明支持体と同様にケン化処理
を行い、透明保護膜を作製した。透明保護膜の厚み方向
のレターでション(Rth)を測定したところ、40nm
であった。光軸はフイルムの法線方向と、ほぼ一致して
おり、実質的に負の一軸性を示した。
【0088】(楕円偏光板の作製)延伸したポリビニル
アルコールフイルムにヨウ素を吸着させて、偏光膜を作
製した。偏光膜の片側に、ポリビニルアルコール系接着
剤を用いて、楕円偏光板を、光学的異方性層が外側とな
るように貼り付けた。反対側には、ポリビニルアルコー
ル系接着剤を用いて、透明保護膜を貼り付けた。偏光膜
の吸収軸と、光学的異方性層のラビング方向は、平行に
なるように配置した。このようにして、楕円偏光板を作
製した。楕円偏光板を、アクリル系接着剤を用いてガラ
ス板に貼り付け、高温、加圧下でエイジングした後、9
0℃の恒温槽に入れ、500時間放置した。楕円偏光板
を調べたところ、剥離、泡の発生あるいは皺の発生のよ
うな問題は全く認められなかった。さらに500時間
(合計1000時間)90℃の恒温槽に入れてから調べ
ても、剥離、泡の発生あるいは皺の発生のような問題は
全く認められなかった。
【0089】(液晶表示装置の作製)ITO透明電極が
設けられたガラス基板の上に、ポリイミド配向膜を設
け、ラビング処理を行った。5μmのスペーサーを介し
て、二枚の基板を配向膜が向かい合うように重ねた。配
向膜のラビング方向が直交するように、基板の向きを調
節した。基板の間隙に、棒状液晶性分子(ZL479
2、メルク社製)を注入し、液晶層を形成した。液晶性
分子のΔnは0.0969であった。以上のように作製
したTN液晶セルの両側に、楕円偏光板を、光学的異方
性層が基板と対面するように貼り付けて液晶表示装置を
作製した。光学的異方性層のラビング方向と、液晶セル
のラビング方向は、平行になるように配置した。液晶表
示装置の液晶セルに、電圧を印加し、白表示2V、黒表
示5Vにおける白表示と黒表示との透過率の比をコント
ラスト比として、上下左右でコントラスト比10が得ら
れる視野角を測定した。その結果、上下の視野角は11
0゜、左右の視野角は120゜であった。
【0090】[実施例5]超伝導磁石内に試料固定部お
よび面状ヒーターを有する加熱部を設けて、加熱磁場印
加装置を作製した。試料固定部に、比較例2で作製した
セルロースエステルフイルムを固定し、170℃に加熱
しながら、磁場方向がフイルム平面と垂直になるように
6テスラの磁場強度で磁場を30分間印加した。装置内
で徐冷した後、フイルムを取り出した。作製したフイル
ムの厚み方向のレターデーション(Rth)および厚み方
向の複屈折率をエリプソメータ(M−150、日本分光
(株)製)で測定した。結果を第2表に示す。
【0091】[比較例3]試料固定部に面状ヒーターを
有する加熱部を設けて、加熱装置を作製した。試料固定
部に、比較例2で作製したセルロースエステルフイルム
を固定し、170℃で30分間加熱した。装置内で徐冷
した後、フイルムを取り出した。作製したフイルムの厚
み方向のレターデーション(Rth)および厚み方向の複
屈折率をエリプソメータ(M−150、日本分光(株)
製)で測定した。結果を第2表に示す。
【0092】
【表2】 第2表 ─────────────────────────────────── フイルム 加熱 磁場印加 厚さ Rth 複屈折率 ─────────────────────────────────── 比較例2 なし なし 100μm 40nm 4.0×10-4 実施例5 あり あり 100μm 49nm 4.9×10-4 比較例3 あり なし 100μm 37nm 3.7×10-4 ───────────────────────────────────
【図面の簡単な説明】
【図1】透過型液晶表示装置の基本的な構成を示す模式
図である。
【図2】反射型液晶表示装置の基本的な構成を示す模式
図である。
【符号の説明】
BL バックライト RP 反射板 1a、1b、1c 透明保護膜 2a、2b 偏光膜 3a、3b 透明支持体 4a、4b 光学的異方性層 5a 液晶セルの下基板 5b 液晶セルの上基板 6 棒状液晶性分子からなる液晶層
フロントページの続き Fターム(参考) 2H049 BA04 BA06 BA42 BB33 BB49 BC05 BC06 BC09 BC22 4F071 AA09 AC07 AC11 AC12 AE22 AF31 AF35 AG13 BA02 BB02 BC01 BC17 4J002 AB021 EE036 EJ066 EU186 FD020 FD050 FD070 FD206 GP00 GP03

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロースエステルのドープまたはメル
    トを支持体上に流延する工程、そして磁場を印加しなが
    らドープまたはメルトを固化する工程からなるセルロー
    スエステルフイルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 磁場方向がフイルム平面と垂直になるよ
    うに磁場を印加する請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 厚み方向の複屈折率が6.8×10-4
    至4.0×10-3のセルロースエステルフイルムを製造
    する請求項1に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 印加する磁場の強度が、0.1乃至20
    テスラである請求項1に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 セルロースエステルのドープまたはメル
    トが、芳香族化合物を含む請求項1に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 セルロースエステルのドープまたはメル
    トを、12℃以上の温度の支持体上に流延する請求項1
    に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 セルロースエステルフイルムを、セルロ
    ースエステルのガラス転移温度以上の温度で加熱しなが
    ら磁場を印加することにより、セルロースエステルフイ
    ルムの複屈折率を上昇させるセルロースエステルフイル
    ムの複屈折率上昇方法。
  8. 【請求項8】 磁場方向がフイルム平面と垂直になるよ
    うに磁場を印加する請求項7に記載の複屈折率上昇方
    法。
  9. 【請求項9】 厚み方向の複屈折率を6.8×10-4
    至4.0×10-3まで上昇させる請求項7に記載の複屈
    折率上昇方法。
  10. 【請求項10】 印加する磁場の強度が、0.1乃至2
    0テスラである請求項7に記載の複屈折率上昇方法。
  11. 【請求項11】 セルロースエステルフイルムが、芳香
    族化合物を含む請求項7に記載の複屈折率上昇方法。
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