JP2002296224A - ヒータ一体型酸素センサ素子 - Google Patents

ヒータ一体型酸素センサ素子

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JP2002296224A
JP2002296224A JP2001102065A JP2001102065A JP2002296224A JP 2002296224 A JP2002296224 A JP 2002296224A JP 2001102065 A JP2001102065 A JP 2001102065A JP 2001102065 A JP2001102065 A JP 2001102065A JP 2002296224 A JP2002296224 A JP 2002296224A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒータが一体化され急速昇温などの熱衝撃性
に優れると共に、ヒータ寿命の長いヒータ一体型酸素セ
ンサ素子を提供することである。 【解決手段】 ジルコニア固体電解質基体の円筒管2
と、この円筒管2の少なくとも内外面の対向する位置に
形成した測定電極4と基準電極3とを備えたセンサ部
と;前記測定電極4および基準電極3の形成部位を除く
前記円筒管2の外表面に形成されたセラミック絶縁層5
と、このセラミック絶縁層5中に埋設されたヒータ7と
を備えたヒータ部とを備えたヒータ一体型酸素センサ素
子であって、前記円筒管2と前記セラミック絶縁層5と
の界面にSi含有量がSiO2換算で0.4重量%以下
である層が少なくとも5μmの厚さで存在している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の内燃機
関における空気と燃料の比率を制御するためのヒータ一
体型酸素センサ素子に関し、より詳しくは発熱体とセン
サ部が一体化された、ヒータ寿命の長いヒータ一体型酸
素センサ素子に関する。
【0002】
【従来技術】現在、自動車等の内燃機関においては、排
出ガス中の酸素濃度を検出して、その検出値に基づいて
内燃機関に供給する空気および燃料供給量を制御するこ
とにより、内燃機関からの有害物質、例えばCO、H
C、NOxを低減させる方法が採用されている。この検
出素子として、主として酸素イオン導電性を有するジル
コニアを主分とする固体電解質からなり、一端が封止さ
れた円筒管の外面および内面にそれぞれ一対の電極層が
形成された固体電解質型の酸素センサが用いられてい
る。
【0003】この酸素センサの代表的なものとしては、
図7に示すように、ZrO2 固体電解質からなり、先
端が封止された円筒管51の内面には、白金からなり空
気などの基準ガスと接触する基準電極52が、また円筒
管51の外面には排気ガスなどの被測定ガスと接触され
る測定電極53が形成されている。このような酸素セン
サにおいて、一般に、空気と燃料の比率が1付近の制御
に用いられている、いわゆる理論空燃比センサ(λセン
サ)は、測定電極53の表面に、保護層となる多孔質層
54が設けられており、所定温度で円筒管両側に発生す
る酸素濃度差を検出し、エンジン吸気系の空燃比の制御
が行われている。
【0004】一方、広範囲の空燃比を制御するために用
いられている、いわゆる広域空燃比センサ(A/Fセン
サ)は、測定電極53の表面に微細な細孔を有するガス
拡散律速層となるセラミック多孔質層54を設け、固体
電解質からなる円筒管51に一対の電極52、53を通
じて印加電圧を加え、その際得られる限界電流値を測定
して希薄燃焼領域の空燃比を制御するものである。上記
理論空燃比センサおよび広域空燃比センサは、ともにセ
ンサ部を約700℃付近の作動温度まで加熱する必要が
あり、そのために、円筒管の内側には、センサ部を作動
温度まで加熱するため棒状ヒータ55が挿入されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
排気ガス規制の強化傾向が強まり、エンジン始動直後か
らのCO、HC、NOxの検出が必要になってきた。こ
のような要求に対して、上述のように、ヒータ55を円
筒管51内に挿入してなる間接加熱方式の円筒型酸素セ
ンサでは、センサ部が活性化温度に達するまでに要する
時間(以下、活性化時間という)が遅いために排気ガス
規制に充分対応できないという問題があった。
【0006】この問題を回避する方法として、固体電解
質からなる円筒管の内面および外面に基準電極、測定電
極が設けられ、測定電極の表面に、ガス透過性の多孔性
の絶縁層を設け、この絶縁層中のガス透過性の低いガス
非透過層内に白金ヒータを設けた円筒型のヒータ一体型
酸素センサ素子が特開平10−206380号公報に記
載されている。
【0007】一方、本出願人は、先に、セラミック固体
電解質からなり一端が封止された円筒管の内面および外
面に基準電極および測定電極を形成してなるセンサ部
と、測定電極が露出するように前記円筒管の外面に測定
電極形成部に開口を設けたセラミック絶縁層を積層形成
し、測定電極がその開口部から露出するようにし、その
少なくとも露出している前記測定電極の周囲のセラミッ
ク絶縁層中に白金ヒータ(発熱抵抗体)を埋設したヒー
タ一体型酸素センサ素子を提案した。しかしながら、こ
れらヒータ一体型酸素センサは、従来の間接加熱方式と
異なり、直接加熱方式であるために急速昇温が可能であ
るが、ヒータの寿命が短いという問題があった。
【0008】従って、本発明は、ヒータが一体化され急
速昇温などの熱衝撃性に優れると共に、ヒータ寿命の長
いヒータ一体型酸素センサ素子を提供することを目的と
するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明らは、上記のヒー
タの寿命が短いという問題について固体電解質のSi含有
量が重要な役割を演じているのではないかと考え鋭意検
討した結果、通電によりマイナス極側のヒータ高温部に
Na等のアルカリ金属やCa、Mg等のアルカリ土類金属が拡
散して来て偏析し(以下、この現象をマイグレーション
と呼ぶ)、セラミック絶縁層の電気抵抗を低下させ、そ
の結果ヒータの寿命を低下させていることを突き止め
た。すなわち、問題となっているマイグレーションは、
固体電解質基体中のSi含有量が多いと、通電により固
体電解質中のNa、Ca、Mg等の不可避成分がSiを主成分
とする粒界相を経由してセラミック絶縁層の粒界相に拡
散してヒータ高温部のマイナス極側に移動、析出し、セ
ラミック絶縁層の電気抵抗を減少させることによる。そ
の結果、セラミック絶縁層の電気抵抗が減少し、ヒータ
のプラス側とマイナス側とがショートするのである。
【0010】このような知見に基づき、本発明者らは、
セラミック絶縁層に接する固体電解質基体中のSi含有量
とマイグレーションとの関係についてさらに検討を重ね
た結果、セラミック絶縁層界面から固体電解質基体に向
かって少なくとも5μmの厚みでSi含有量がSiO2換算で
0.4重量%以下の層が存在する場合は、固体電解質基
体中およびセラミック絶縁層中の粒界相を通してのNa、
Ca、Mg等の拡散が抑制され、ヒーター寿命が長くなると
いう新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のヒータ一体型酸素センサ素子は、ジ
ルコニア固体電解質基体と、この固体電解質基体の少な
くとも内外面の対向する位置に形成した測定電極と基準
電極とを備えたセンサ部と;前記測定電極および基準電
極の形成部位を除く前記固体電解質基体の外表面に形成
されたセラミック絶縁層と、このセラミック絶縁層中に
埋設された発熱体とを備えたヒータ部とを備えたもので
あって、前記固体電解質基体と前記セラミック絶縁層と
の界面にSi含有量がSiO2換算で0.4重量%以下
である層が少なくとも5μmの厚さで存在することを特
徴とする。
【0011】固体電解質基体中の粒界相を通してのNa、
Ca、Mg等の拡散が抑制される理由については現在明確で
はないが、Si含有量をSiO2換算で0.4重量%以下の層
をセラミック絶縁層と固体電解質基体および後述する固
体電解質層との間に設けることによって、固体電解質か
ら絶縁層への粒界相が不連続になりNa、Ca、Mg等の粒界
拡散速度が極度に低下し、その結果、ヒータのマイナス
側高温部へNa、Ca、Mg等のマイグレーションが抑制され
たためと考えられる。また、本発明の酸素センサ素子に
おいて、前記センサ部は円筒体および平板のいずれでも
よい。特に円筒体の場合、ヒータ部を形成するセラミッ
ク絶縁層の外表面に、保温性や耐熱衝撃性が高めるため
に、固体電解質層を形成することが望ましい。その場合
には、セラミック絶縁層と固体電解質層との界面にもS
i含有量がSiO2換算で0.4重量%以下である層を
少なくとも5μmの厚さで設けることが必要である。
【0012】一方、Siには固体電解質基体および前記
固体電解質の耐熱衝撃性を向上させるなどの働きがある
ため、前記固体電解質基体および前記固体電解質層に
は、Si含有量がSiO2換算で0.4重量%を超える
領域が存在するのが好ましい。また、本発明では、前記
センサ部とヒータ部とを同時に焼成して形成するのがよ
り好ましい。これにより、従来のように、酸素センサ部
とヒータ部とをそれぞれ個別に作製した後、酸素センサ
内にヒータを嵌合して使用する酸素センサ素子に比べ
て、製造コストが極めて安価になり、経済性の観点から
も優れている。
【0013】
【発明の実施の形態】<第1の実施形態>本発明の酸素
センサ素子の一例を図面を参照しながら説明する。図1
(a)は本発明の酸素センサ素子の一例を示す概略斜視
図であり、(b)はそのX1 −X1断面図である。図1
の酸素センサ素子1は、一般的に理論空撚比センサ(λ
センサ)と呼ばれるもので、酸素イオン導電性を有する
ジルコニア等のセラミック固体電解質からなり、先端が
封止された円筒管2(固体電解質基体)の内面に、第1
の電極として、空気などの基準ガスと接触される基準電
極3が被着形成され、また、円筒管2の基準電極3と対
向する外面には、第2の電極として、排気ガスなどの被
測定ガスと接触する測定電極4が被着形成されている。
基準電極3、ジルコニア固体電解質からなる円筒管2お
よび測定電極4によってセンサ部を形成している。
【0014】先端が封止された円筒管2の外面には、A
23などのセラミック絶縁層5が被着形成されてお
り、そのセラミック絶縁層5には、測定電極4の一部ま
たは全部が露出するように開口部6が形成されている。
また、上記開口部6の周囲のセラミック絶縁層5中には
センサ部を加熱するための白金などからなる発熱抵抗体
(以下、白金ヒータという)が埋設されており、これら
でヒータ部を形成している。また、セラミック絶縁層5
の表面には、発熱抵抗体7による加熱効率を高めるため
に、ジルコニア等のセラミック固体電解質層8が積層形
成されている。
【0015】白金ヒータ7は、リード部9を経由して端
子電極10と接続されており、これらを通じて白金ヒー
タ7に電流を流すことによりヒータ7が加熱され、 円
筒管2、基準電極3および測定電極4からなるセンサ部
を加熱する仕組みとなっている。本発明では、開口部6
の反対側の対照な位置に第2の開口部を設けてもよい
し、またセンシングの感度を向上するためこの開口部に
もう一つの被測定電極を形成することもできる。以下、
各構成部材について説明する。
【0016】(円筒管2および固体電解質層8)これら
を構成する固体電解質はZrO2 セラミックスからな
り、具体的には、Y23 およびYb23 、Sc2
3 、Sm23 、Nd23 、Dy23等の希土類
酸化物を酸化物換算で1〜30モル%、好ましくは3〜
15モル%含有する部分安定化ZrO2 あるいは安定化
ZrO2 が用いられている。また、ZrO2 中のZrを
1〜20原子%をCeで置換したZrO2 を用いること
により、電子伝導性が大きくなり、応答性がさらに改善
されるといった効果がある。さらに、焼結性を改善する
目的で、上記ZrO2に対して、Al23やSiO2を添
加含有させることができるが、多量に含有させると、高
温におけるクリープ特性が悪くなることから、Al23
およびSiO2の添加量は総量で5重量%以下、特に3
重量%以下であることが望ましい。
【0017】その際、本発明では、特に円筒管2および
固体電解質層8のセラミック絶縁層5と接する界面に、
Si含有量がSiO2換算で0.4重量%以下である厚み
が5μm以上の層が形成されていることが重要である。
この層のSi含有量が0.4重量%を越えるか、あるいは
その厚みが5μmより薄いと、Na、Ca、Mg等が白金ヒー
タのマイナス側の高温部へマイグレーションして、セラ
ミック絶縁層の電気抵抗を増加させ、その結果ヒータ寿
命を低下させる。とりわけ、Si含有量がSiO2換算で
0.4重量%以下の層が10μm以上、特に20μm以
上の厚みで存在することが望ましい。
【0018】その他の部分の固体電解質は、Si含有量
がSiO2換算で0〜2重量%含有するZrO2 セラミ
ックスからなり、上記と同様に具体的には、Y23
よびYb23 、Sc23 、Sm23 、Nd2
3 、Dy23 等の希土類酸化物を酸化物換算で1〜3
0モル%、好ましくは3〜15モル%含有する部分安定
化ZrO2 あるいは安定化ZrO2 が用いられている。
また、ZrO2 中のZrを1〜20原子%をCeで置換
したZrO2 を用いることにより、電子伝導性が大きく
なり、応答性がさらに改善されるといった効果がある。
本発明では、特に素子の耐熱衝撃性を改善するうえで、
前記その他の部分の固体電解質中のSi含有量はSiO
2換算で0.4重量%を超える量、好ましくは0.5重
量%以上、より好ましくは1重量%以上であるのがよ
い。
【0019】図2は、円筒管2および固体電解質層8に
おけるSi含有量の分布を示す概念図である。図2にお
いて、8aおよび2aはSi含有量がSiO2換算で0.
4重量%以下である厚みが5μm以上の層である。これ
に対して、8bおよび2bはそれぞれSi含有量がSiO
2換算で0.4重量%を超える量、好ましくは0.5重
量%以上の層である。また、円筒管2や固体電解質層8
自体のSi含有量がSiO2換算で0.4重量%以下であ
ってもよいが、Siは固体電解質中にSiO2換算で0.
4重量%を超える、特に0.5重量%以上含有すると、
耐熱衝撃性を高める効果を奏する。従って、円筒管2お
よび/または固体電解質層8には、Si含有量がSiO2
換算で0.4重量%を超えて含有する層とが存在するこ
とが望ましい。
【0020】特に、図2に示すように、セラミック絶縁
層5の外表面に、Si含有量がSiO2換算で0.4重量%以
下の第1固体電解質層8aと、Si含有量がSiO2換算で
0.4重量%を超える第2固体電解質層8bとを備える
ことによって、ヒータ一体型酸素センサ素子が排気ガス
と接触する外表面からの熱的衝撃に対する耐久性を高め
ることができる。特に第2固体電解質層のSi含有量は
SiO2換算で0.5重量%以上であり、その厚さが10μ
m以上、特に20μm以上であることが望ましい。
【0021】さらに、焼結性を改善する目的で、円筒管
2および固体電解質層8中には、5重量%以下、特に2
重量%以下のアルミナを含有させるのが好ましい。な
お、これら固体電解質中のNaの含有量としては、固体電
解質からセラミック絶縁層への拡散進入を確実に防止し
てヒータの寿命を長くする観点から、200ppm以
下、特に100ppm以下が望ましい。
【0022】(セラミック絶縁層5)白金ヒータ7を埋
設するセラミック絶縁層5としては、アルミナ、スピネ
ルおよびアルミナとスピネルの複合化合物材料が好適に
用いられる。この際、セラミック絶縁層の焼結性を改善
する目的で、少量のSiを添加することが望ましいが、そ
の含有率としてはSiO2換算で5重量%以下に制御する必
要がある。Siの含有量が5重量%を越えると、通電の際
にセラミック絶縁層中のNaの拡散と偏析が促進され、白
金ヒータの寿命が低下する。Siの含有量としては、3重
量%以下が特に望ましい。特に、2重量%以下がNa, Ca
等の拡散を防止する観点から望ましい。また、このセラ
ミック絶縁層5は、相対密度が80%以上、開気孔率が
5%以下の緻密質なセラミックスによって構成されてい
ることが望ましい。これは、セラミック絶縁層5が緻密
質であることにより絶縁層の強度が高くなる結果、酸素
センサ素子自体の機械的な強度を高めることができるた
めである。
【0023】(白金ヒータ7)セラミック絶縁層5の内
部に埋設されるヒータ7としては、主として白金が用い
られるが、場合によっては、白金とロジウム、パラジウ
ムもしくはルテニウムとの合金を用いることもできる。
この際、長寿命の発熱体を形成するには、白金単体のヒ
ータおよび合金のヒータとも100重量%に対してNaの
含有量を50ppm以下にするのが好ましい。Naの含有
量が50ppmを越えると、Naが通電によりマイナス極
側に拡散し白金とが反応してヒータの抵抗を増大させ
る。Naの含有量としては、特に、30ppm以下にする
ことが望ましい。また、セラミック絶縁層5との同時焼
結性の点で、そのセラミック絶縁層5の焼成温度よりも
融点の高い金属または合金を選択することが望ましい。
【0024】また、ヒータ7中には上記の金属の他に焼
結防止と絶縁層との接着力を高める観点からアルミナ、
スピネル、アルミナ/シリカの化合物、フォルステライ
トあるいは上述の電解質となり得るジルコニア等のセラ
ミックを体積比率で10〜80%、特に30〜50%の
範囲で混合することができるが、この際混合するセラミ
ックに対しても、Naの含有量は50ppm以下とすること
が望ましい。
【0025】(ヒータ部構造)セラミック絶縁層5の内
部に白金ヒータ7を埋設してなるヒータ部の構造は、図
1(b)の断面図に示すように、固体電解質からなる円
筒管2の表面に内部にヒータ7が埋設され、さらにその
セラミック絶縁層5の外面に、ジルコニア固体電解質層
8が形成される。この固体電解質層8は、固体電解質基
体である円筒管2とセラミック絶縁層5間の熱膨張差や
焼成収縮差等に起因する応力を緩和させ、熱応力をでき
る限り小さくするためのものである。この際、円筒管2
とヒータ7との間およびジルコニア固体電解質層8とヒ
ータ7との間のセラミック絶縁層5の厚みは、それぞれ
2μm以上であることが望ましい。
【0026】(電極)円筒管2の表面に被着形成される
基準電極3および測定電極4は、いずれも白金の他に、
ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよび金の群から選
ばれる1種または2種以上の合金を用いて形成される。
本発明においては、測定電極4の厚みが6μm以下であ
る面積が全測定電極面積の50%以上であるのがよい。
また、前記測定電極4の形成に関しては、平均結晶粒子
径が0.1μm以下の酸素イオン導電性粉末、例えば上
述の固体電解質粉末を1〜50体積%結晶内に含有する
平均結晶粒子径が0.5〜4μmの白金族金属を出発原
料として使用することが好ましい。また、開口部6から
露出している測定電極4の形状としては、図1(a)に
示すような縦長の長方形状、楕円形状等から構成されて
いることが望ましい。
【0027】一方、固体電解質からなる円筒管2の内面
に形成される基準電極3は、少なくとも測定電極4の前
記開口部7より露出する部分に対向する内面部分に形成
されていればよく、測定電極4の露出部面積よりも大き
い面積、例えば、円筒管2の内面全面に形成されていて
もよい。
【0028】(開口部6)開口部6の形状としては、例
えば長方形状や楕円形状が好ましい。開口部6の形状が
長方形状の場合は、その角部は緩やかな曲線とするかc
面をとった構造とすることが、開口部6の角部への熱応
力の集中を緩和する観点から好ましい。
【0029】(製造方法)次に、図1に示すヒータ一体
型酸素センサ素子の製造方法を図3に基づいて説明す
る。 (1)まず図3(a)に示すような一端が封止された中
空の円筒管12を作製する。この円筒管12は、ジルコ
ニア等の酸素イオン伝導性を有するセラミック固体電解
質粉末に対して、適宜、成形用有機バインダーを添加し
て押出成形や、静水圧成形(ラバープレス)あるいはプ
レス形成などの周知の方法により作製される。このとき
用いられる固体電解質粉末としては、SiをSiO2
算で0〜2重量%含むジルコニア粉末に対して、安定化
剤としてY23 およびYb23 、Sc23 、Sm
23 、Nd23 、Dy23等の希土類酸化物粉末
を酸化物換算で1〜30モル%、好ましくは3〜15モ
ル%の割合で添加した混合粉末、あるいはジルコニアと
上記安定化剤との共沈原料粉末が用いられる。また、Z
rO2 中のZrを1〜20原子%をCeで置換したZr
2 粉末、または共沈原料を用いることもできる。さら
に、焼結性を改善する目的で、上記固体電解質粉末に、
Al23 を5重量%以下、特に2重量%以下の割合で
添加することも可能である。
【0030】(2)上記固体電解質からなる円筒管12
の内面および外面に、基準電極および測定電極となるパ
ターン13、14を、例えば白金を含有する導電性ペー
ストを用いてスラリーデッィプ法、あるいはスクリーン
印刷、パット印刷、ロール転写などで形成する。このと
き、円筒管12内面への基準電極の印刷は、導体ペース
トを円筒管12内に充填し、ついで排出して、内面全面
に導体ペーストを塗布形成するのが効率がよい。このよ
うにしてセンサ素体Aを作製する。電極形成用の導電性
ペーストは、結晶粒子径が0.1μm以下の固体電解質
粉末と白金粉末にバインダーとテルピネオール等を混合
して、三本ロール等で24時間以上圧力の下回転混合す
ることにより調製され、超微粉の固体電解質粉末はほぼ
完全に白金内に含浸される。含浸される固体電解質粉末
としては、上述の固体電解質と同じ材料を用いることが
できるが、その中でも8〜12モル%Y2O 3を固溶し
た安定化ジルコニアが特に好ましい。また、さらに電極
を多孔質にする場合には、固体電解質粉末を含浸した白
金粉末に、固体電解質粉末を添加することも可能であ
る。焼成温度にもよるが、金属に対しては全セラミック
量は体積比で10〜60%の範囲が好ましい。
【0031】(3)次に、図3(b)に示すようなヒー
タ素体Bを形成する。まず、上記のジルコニア粉末を用
いて、これに成形用有機バインダーを適宜添加してスラ
リーを調製し、このスラリーを用いてドクターブレード
法、押し出し成形法、プレス法などにより所定厚さのセ
ラミック固体電解質層を形成するためのグリーンシート
15を作製する。グリーンシート1枚の厚みは、シート
の取り扱いの観点から50〜500μm、特に100〜
300μmの範囲が特に好ましい。このとき、上記のジ
ルコニア粉末は、焼成後のSi含有量がSiO2換算で
0.4重量%以下含有するように形成されているので、
上記グリーンシート15は、焼成後、Si含有量がSiO2
算で0.4重量%以下で、厚みが焼成後5μm以上の層
となる。このグリーンシート15表面に、アルミナ、ス
ピネルあるいはアルミナとスピネルの複合酸化物粉末を
スクリーン印刷法、パット印刷法、ロール転写法等によ
り印刷してセラミック絶縁層16を形成する。この後、
白金粉末を含む導電性ペーストをスクリーン印刷法、パ
ット印刷法、ロール転写法等により印刷してリード部を
含めた白金ヒータパターン17を塗布した後、その上に
さらに上記のセラミック絶縁層形成粉末を塗布してセラ
ミック絶縁層18を形成し、白金ヒータパターン17を
埋設したシート状の積層体19を得る。その後、開口部
20がパンチングなどによって形成される。
【0032】(4)次に、図3(c)に示すように、上
記円筒状のセンサ素体Aの表面に、ヒータ素体Bを巻き
付けて円筒状積層体を作製する。ヒータ素体Bをセンサ
素体Aに巻き付けるには、接着剤として焼成後のSi含有
量が0.4重量%以下になるように調整されたジルコニ
ア粉末にバインダーを添加してスラリーを作製し、ヒー
タ素体Bとセンサ素体Aとの間にこのスラリーを介在さ
せて接着させるか、あるいは場合によってはローラ等で
圧力を加えながら機械的に接着する。このとき、巻き付
けられたヒータ素体Bの合わせ目は、焼成時の収縮を考
慮し、シート端部同士を重ねるか、あるいは所定の間隔
をおいて接着してもよい。いずれの場合も、セラミック
絶縁層に接する円筒管の界面において、前記スラリーを
焼成して得られる固体電解質層はSi含有量がSiO2
換算で0.4重量%以下で、厚みが5μm以上になるよ
うに制御する必要がある。
【0033】(5)上記で得た円筒状積層体を、それぞ
れの構成要素が同時に焼成可能な温度で焼成することに
より、センサ素体Aとセンサ素体Bとを一体化すること
ができる。焼成は、例えば、アルゴンガス等の不活性雰
囲気中あるいは大気中1300〜1700℃で1〜10
時間程度焼成することによりヒータ素体とセンサ素体と
を同時焼成する。これにより、本発明の図1に示す素子
を作製することができる。
【0034】(他の製造方法)他の製造方法としては、
Si含有量がSiO2換算で0.4重量%以下のジルコニアシ
ートと、Si含有量がSiO2換算で0〜2重量%、好ましく
は0.4重量%を超え2重量%以下のジルコニアシート
とを2枚以上積層して、ゼラミック絶縁層と接するジル
コニアシート中のSi含有量がSiO2換算で0.4重量%以
下になり、かつ被測定ガスと接するジルコニアシート中
のSi含有量がSiO2換算で0.04重量%を超え2重量%
以下になるように調製した後、Si含有量がSiO2換算で
0.4重量%以下のジルコニアシート表面にセラミック
絶縁層、白金ヒータ等を印刷したものを、上記の電極を
形成したジルコニア円筒管に上述の方法に従い巻き付け
て一体化してもよい。
【0035】また、電極を有しない円筒管12の表面に
上記(3)によって形成したヒータ素体Bを巻き付けて
円筒状積層体を作製した後、円筒状積層体に対して、電
極ペーストをスクリーン印刷、パット印刷、ロール転写
法あるいは浸漬法によって円筒管12の内面およびヒー
タ素体Bにおける開口部20内の円筒管表面に塗布した
後、上記(5)のようにして同時焼成することもでき
る。また、他の方法としては、電極を有しない円筒管1
2の表面に上記(3)によって形成したヒータ素体Bを
巻き付けて円筒状積層体を作製した後、これを円筒管1
2の内面およびヒータ素体Bにおける開口部20の中に
電極ペーストを印刷して焼き付け処理することもでき
る。本発明では、素子全体の大きさとしては、外径を3
〜6mm、特に3〜4mmとすることにより、消費電力
を低減出来るとともに、センシング性能を高めることが
できる。
【0036】<第2の実施形態>図4は本発明にかかる
ヒータ一体型酸素センサ素子の他の実施形態を示す縦断
面図である。なお、図4において、図1で示したと同じ
構成部材には同一符号を付して説明を省略する。すなわ
ち、この酸素センサ素子は、図4に示すように、セラミ
ック絶縁層5の開口部6内に露出している測定電極4の
表面に、セラミック多孔質層11を形成したものであ
る。このセラミック多孔質層11は、以下の2つの目的
で形成される。
【0037】第1は、排気ガスによって測定電極4が被
毒して出力電圧が低下するのを防止することを目的とし
て設けるものであり、露出した測定電極4の表面にジル
コニア、アルミナ、マグネシア、スピネル等のポーラス
な保護層として形成される。このような多孔質層を設け
た酸素センサは、一般的には理論空燃比センサ(λセン
サ)素子として用いることができる。この場合に、セラ
ミック多孔質層11(保護層)としては開気孔率が10
〜40%の多孔質体からなることが望ましい。このセラ
ミック多孔質層11は、図5に示すように電極面上に形
成することも出来るが、素子の先端部の全周囲に形成し
てもよい。
【0038】第2は、露出した測定電極4の表面に微細
な細孔を有するジルコニア、アルミナ、スピネル、マグ
ネシアおよびγ−アルミナから選ばれる少なくとも1種
のガス拡散律速層として形成される。このようなガス拡
散律速層としては、開気孔率が5〜30%の多孔質体が
望ましい。また、この多孔質層11(ガス拡散律速層)
の表面には、さらに排気ガスの被毒を防止する観点か
ら、アルミナあるいはスピネルからなる前記セラミック
保護層を設けることが望ましい。この場合もセラミック
多孔質層は、電極表面の他に素子の先端部の全周囲に形
成することもできる。この様なヒータ一体型酸素センサ
素子は、後で述べる広域空燃比センサ素子(A/Fセン
サ)として応用することが可能である。
【0039】次に、セラミック多孔質層11の形成法を
説明する。理論空燃比センサや広域空燃比酸素センサを
作製する場合には、円筒状積層体を焼成後、測定電極の
表面に、アルミナ、スピネル、ジルコニア等の粉末をゾ
ルゲル法、スラリーディップ法、印刷法などによって印
刷塗布し、焼き付け処理したり、上記セラミックスをス
パッタ法あるいはプラズマ溶射法により被覆して、セラ
ミック多孔質層11であるセラミック保護層やガス拡散
律速層を形成する。また、他の方法としては、円筒状積
層体を作製する際に予め測定電極表面に前記セラミック
保護層やガス拡散律速層を形成し、円筒状積層体と同時
に焼成し形成することも可能である。その他は第1の実
施形態と同じである。
【0040】<第3の実施形態>図5は本発明にかかる
空燃比センサ素子の実施形態を示す縦断面図であって、
図5(a)は当該空燃比センサ素子25の概略斜視図、図
5(b)はのX2−X2断面の要部拡大図である。なお、
図5において、図1で示したと同じ構成部材には同一符
号を付して説明を省略する。すなわち、この空燃比セン
サ素子25は、酸素イオン導電性を有するセラミック固
体電解質からなり一端が封止された、言い換えれば縦断
面がU字状の円筒管2にセンサ素子を構成するための第
1の電極対が形成されている。具体的には、円筒管2の
内面に、空気などの基準ガスと接触される基準電極3が
形成され、また円筒管2の基準電極3と対向する外面に
は排気ガスなどの被測定ガスと接触する本発明の測定電
極4が形成されている。
【0041】また、円筒管2の外側表面には、測定電極
4の一部または全部が露出するような空間部26が形成
されており、且つその空間部26の周囲に白金ヒータ7
が埋設されたセラミック絶縁層5が設けられている。そ
して、空間部26の上面には、この空間部26を閉塞す
るように、酸素イオン導電性を有する固体電解質層28
が形成されており、この固体電解質層28の空間部26
側の内面と、それに対向する固体電解質層28外面には
内側電極29と外側電極30とからなる第2の電極対が
形成されている。かかる固体電解質層28と第2の電極
対29、30によって、空間部26の酸素濃度を所定の
濃度に制御するためのポンプセルとして機能を果たして
いる。
【0042】また、第2の電極対29、30を具備する
固体電解質層28には、被測定ガスとなる排気ガスを取
りこむための小さな拡散孔31が形成されている。ま
た、空間部26には、拡散を律速させるための多孔質体
27が設けられる。セラミック絶縁層5中に配設された
白金ヒータ7は、リード部32を経由して端子電極33
と接続されており、これらを通じてヒータ7に電流を流
すことによりヒータ7が加熱され、基準電極3および測
定電極4を具備する固体電解質からなる円筒管2および
上述の第2の電極対29、30を具備する固体電解質層
28からなるセンサ部を加熱する仕組みとなっている。
【0043】このような構造の素子においても、固体電
解質からなる円筒管2のセラミック絶縁層5との界面お
よび固体電解質層28のセラミック絶縁層5との界面に
は、前記と同様に、Si含有量がSiO2換算で0.4
重量%以下である固体電解質の層34、35が少なくと
も5μmの厚さで存在している。
【0044】なお、固体電解質層28はそれ自体がSi
含有量がSiO2換算で0.4重量%以下で形成されて
いてもよい。この場合、耐熱衝撃性を改善するために、
外面に第2の固体電解質層を設けるのが好ましい。ま
た、固体電解質層28はSi含有量がSiO2換算で0.4重
量%を超える層であっても、この固体電解質層28の内
面でセラミック絶縁層5と接する面にSi含有量がSi
2換算で0.4重量%以下である層が少なくとも5μ
mの厚さで存在していればよい。その他は第1の実施形
態と同じである。
【0045】<第4の実施形態>図6(a)は本発明にか
かるヒータ一体型の平板型の酸素センサ素子の一例を示
す概略斜視図であり、図6(b)はそのX3−X3断面図
である。図6に示す平板型酸素センサ素子39は、固体
電解質基体40に大気導入孔41が設けられており、固
体電解質基体40の外側に測定電極42が設けられ、固
体電解質基体40の固体電解質板40aを挟む対向する
大気導入孔41の内面に基準電極43が形成され、セン
サ部を形成している。測定電極42の表面には、前記し
たと同様なセラミック多孔質層47が形成される。ま
た、固体電解質基体40の一方の表面には、セラミック
絶縁層44内に白金ヒータ45を埋設したヒータ部が一
体的に形成されている。本発明によれば、このような平
板型酸素センサ素子においても、セラミック絶縁層44
と固体電解質基体40との界面に、Si含有量がSiO
2換算で0.4重量%以下の固体電解質層46を5μm
以上の厚さで形成することによって、固体電解質基体4
0からのNaなどのヒータ部への拡散を防止することが
できる。このような平板型酸素センサ素子は、各固体電
解質のシートを積層し、また白金ヒータが塗布されたッ
セラミック絶縁層のシートを積層一体化し、同時焼成す
ることによって作製することができる。その場合も、前
記Si量の少ない固体電解質層46は、シート化したも
のを挟んだり、あるいは接着剤としてセラミック絶縁層
のシートと固体電解質シートとの間に介在させることに
よって形成することができる。
【0046】以上、本発明の一例について説明したが、
本発明は、これらの構造に限定されるものではなく、固
体電解質の両面の対向する位置に一対の多孔性の白金電
極を有するセンサ部と、セラミック絶縁層中に白金ヒー
タを埋設したヒータ部とを具備し、好ましくは電極とヒ
ータが同時焼成により作製されたヒータ一体型酸素セン
サ素子であって、セラミック絶縁層に接して固体電解質
基体および固体電解質層が形成された全てに応用できる
ことは言うまでもない。
【0047】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明のヒータ一体型
酸素センサ素子を詳細に説明するが、本発明は以下の実
施例に限定されるものではない。
【0048】実施例1 図に示す酸素センサ素子を例に、本発明の実施例を説明
する。市販のアルミナ粉末と、SiO2量を変化させる
ことによってSi量を変えた複数種の5モル%Y23
含有のジルコニア粉末と、アルミナを10重量%含有す
る白金粉末と、8モル%Y23を含有するジルコニア粉
末を30体積%含有する白金の混合粉末をそれぞれ準備
した。まず、SiをSiO2換算で1.0重量%含有す
る5モル%Y23 含有のジルコニア粉末にポリビニ
ルアルコール溶液を添加して坏土を作製し、押出成形に
より焼結後の外径が約3.5mm、内径が2mmになる
ように一端が封止された円筒状センサ素体を成形した。
この成形体の表面に、測定電極として上記の8モル%Y
23を含有するジルコニアを含有する白金粉末を焼成約
10μmになるように印刷塗布するとともに、成形体の
内部全面にも上記の白金粉末からなるペーストを10μ
mになるように塗布して基準電極を形成してセンサ素体
を作製した。一方、Si量をSiO2換算で1.0重量
%含有する5モル%Y23 含有のジルコニア粉末に
ポリビニルアルコール溶液を加えてスラリーを作製し、
厚みが約200μmのグリーンシートを作製した。この
グリーンシートに前記測定電極の形状と一致する長方形
状の開口部をパンチングによって開けた。その後、Si
量をSiO2換算で0〜3.0重量%それぞれ含有する
5モル%Y23 含有のジルコニア粉末にポリビニー
ルアルコールを添加して、スラリーを形成し、これを開
口部以外の部分に印刷した。ついで、その表面にアルミ
ナ粉末を約10μmの厚みに塗布した後、上述のアルミ
ナを含有する白金粉末からなる導体ペーストを開口部の
周囲に発熱体パターンの厚みが約10μmになるように
スクリーン印刷し、さらにその上にアルミナ粉末を約1
0μmとなるように塗布し白金ヒータを埋設した図3
(b)に示す構造のヒータ素体を作製した。次に、前記
円筒状センサ素体の表面に、上記のSi量をSiO2
算で0〜3.0重量%それぞれ含有する5モル%Y2
3 含有のジルコニア粉末に接着剤としてアクリル系樹脂
を添加して、上記ヒータ素体をセンサ素体に巻き付け円
筒状積層体を作製した。その後、この円筒状積層体を大
気中にて、1500℃で2時間焼成し、焼成一体化し
た。その後、開口部内の測定電極の表面に、プラズマ溶
射によりスピネルからなる気孔率が約30%のセラミッ
ク保護層を100μmの厚みで形成して図4に示すよう
な理論空燃比センサを作製した。作製した素子を大気中
800℃で加熱しヒータが断線するまでの時間を測定し
た。その際、試料はそれぞれ10個とし、その時間の算
術平均値を求めた。なお、本実験では、セラミック絶縁
層と、固体電解質基体および固体電解質層との界面での
Si量の分析をEPDM(電子線プローブマイクロアナ
ライザー)を用いて行い、界面においてSi量が0.4
重量%以下の領域の厚さを表1に示した。
【表1】 表1より、Si含有量がSiO2換算で0.4重量%以
下の領域が全く存在しないか、または存在しても厚さが
5μmよりも薄い試料No.1,2では、ヒータの寿命
が短かったのに対して、本発明に基づく試料No.3〜
11では寿命を7000時間以上とすることができた。
【0049】実施例2 実施例1のヒータ素体を形成する際のジルコニアグリー
ンシート中のSi量および厚みを種々変化させ、ついで
Si量をSiO2換算で0.1重量%含有する5モル%
23含有のジルコニア粉末にポリビニルアルコールを
添加してスラリーを形成し、これを約8μmの厚みで塗
布した以外は、実施例1と同様にして酸素センサ素子を
作製した。作製した酸素センサ素子に対して、EPMA
によってSi量が0.4重量%以下の厚みを測定すると
ともに、第2固体電解質層の厚みとSi量を測定した。
第2固体電解質層の厚みはSi量が0.4重量%を超え
る部分の総厚みとした。また。第2固体電解質層中のS
i量は、上記の第2固体電解質層の中心部分におけるS
i量をSi含有量とした。作製した素子に対して、室温
から大気中1000℃まで20秒で昇温後、室温まで空
冷するという温度サイクルを1サイクルとして、これを
20万回行った際の素子が破壊する割合(破壊率)を求
めた。その際、試料はそれぞれ20個として、数値はそ
の平均値とした。結果を表2に示す。
【表2】 表2から、第2固体電解質層のSi含有量がSiO2
算で0.4重量%より低い試料No.12および第2固
体電解質層の厚みが10μmより薄い試料No.15で
は熱サイクルによる素子の破損率が高いことがわかる。
これに対して、第2固体電解質層のSi含有量がSiO
2換算で0.4〜2重量%で厚みが10μmより厚い試料
は全て素子の破損率が25%以下と低かった。
【0050】
【発明の効果】本発明のヒータ一体化酸素センサ素子
は、発熱体によるジルコニア固体電解質基体の加熱効率
を高め、急速昇温を行うことができる結果、センサ活性
化時間を短縮することができ、しかもセラミック絶縁層
と接する固体電解質の界面にはSi含有量がSiO2
算で0.4重量%以下である層が少なくとも5μmの厚
さで存在するため、ヒータ寿命が長くなるという効果が
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の第1の実施形態にかかるヒータ
一体化酸素センサ素子を示す概略斜視図であり、(b)
はそのX1 −X1断面図である。
【図2】本発明の概念を示す説明図である。
【図3】第1の実施形態にかかるヒータ一体化酸素セン
サ素子の製造方法を示す説明図である。
【図4】本発明の第2の実施形態にかかるヒータ一体化
酸素センサ素子を示す断面図である。
【図5】(a)は本発明の第4の実施形態にかかるヒータ
一体化酸素センサ素子を示す概略斜視図であり、(b)
はそのX2 −X2断面図である。
【図6】本発明の第5の実施形態にかかるヒータ一体化
酸素センサ素子を示す断面図である。
【図7】従来のヒータ一体化酸素センサ素子を示す断面
図である。
【符号の説明】
1…ヒータ一体化酸素センサ素子、2…円筒管、3…基
準電極、4…測定電極、5…セラミック絶縁層、6…開
口部、7…白金ヒータ、8…固体電解質層、11…多孔
質層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G004 BB04 BB07 BC02 BD04 BE04 BE10 BE13 BE22 BE23 BF05 BF09 BJ03 BL08 BM04 BM10

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ジルコニア固体電解質基体と、この固体電
    解質基体の少なくとも内外面の対向する位置に形成した
    測定電極と基準電極とを備えたセンサ部と、 前記測定電極および基準電極の形成部位を除く前記固体
    電解質基体の外表面に形成されたセラミック絶縁層と、
    このセラミック絶縁層中に埋設された発熱体とを備えた
    ヒータ部とを備えたヒータ一体型酸素センサ素子であっ
    て、 前記固体電解質基体と前記セラミック絶縁層との界面に
    Si含有量がSiO2換算で0.4重量%以下である層
    が少なくとも5μmの厚さで存在することを特徴とする
    ヒータ一体型酸素センサ素子。
  2. 【請求項2】前記センサ部が円筒体からなり、前記ヒー
    タ部がこの円筒体の外表面に形成されている請求項1記
    載のヒータ一体型酸素センサ素子。
  3. 【請求項3】前記センサ部が平板からなり、前記ヒータ
    部がこの平板と積層されている請求項1記載のヒータ一
    体型酸素センサ素子。
  4. 【請求項4】前記Si含有量がSiO2換算で0.4重
    量%以下である少なくとも5μmの厚さを有する層が固
    体電解質層である請求項1記載のヒータ一体型酸素セン
    サ素子。
  5. 【請求項5】前記ヒータ部の外表面に、Si含有量がS
    iO2換算で0.4重量%以下である少なくとも5μm
    の厚さを有する固体電解質層が形成されている請求項1
    または2記載のヒータ一体型酸素センサ素子。
  6. 【請求項6】前記ヒータ部の外表面に形成された、Si
    含有量がSiO2換算で0.4重量%以下である少なく
    とも5μmの厚さを有する第1固体電解質層と、 この第1固体電解質層の外表面に形成された、Si含有
    量がSiO2換算で0.4重量%を超える第2固体電解
    質層とを備えた請求項1または2記載のヒータ一体型酸
    素センサ素子。
  7. 【請求項7】前記第2固体電解質層が厚さ10μm以上
    の層である請求項6記載のヒータ一体型酸素センサ素
    子。
  8. 【請求項8】前記センサ部とヒータ部とが同時に焼成し
    て形成された請求項1〜3いずれかに記載のヒータ一体
    型酸素センサ素子。
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